説明

カラーフィルターアレイの製造方法

カラーフィルターアレイ及び大気バリアを製造する方法は、基材上に半反射性材料層をコーティングする工程、半反射性層の上に実質的に透明な層を蒸着して1つの厚さを有する光干渉層を形成する工程、及び1つ又は2つ以上の段階であって、それぞれの段階が、光干渉層上に印刷することによりパターン化層を生成させること、パターン化層全体にわたって実質的に透明な層を蒸着して最初の又は前の光干渉層と組み合わされた場合に光干渉層を提供すること、溶剤によりパターン化層を除去することを含む。次いで、最後の光干渉層の上方に第2の半反射性材料層をコーティングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルターアレイを特に蒸着によって製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの背面のディスプレイ及び光センサ内に、カラーフィルターアレイが見いだされる。ディスプレイにおいては、カラーフィルターアレイCFAは、色を見るのを可能にするように、白光画素の前面に整合して配置されている。カメラに使用されているようなセンサにおいては、CFAは、色の検出を可能にするようにパンクロマティック・センサの前面に使用される。CFAは通常、パターンを成して設けられたレッド、グリーン及びブルー領域から成るアレイである。デジタルカメラにおいて使用される一般的なアレイは、Bayerパターン・アレイである。各色の分解能の低減は、2×2セルを使用することによりできる限り少なくされ、そして3つの色のうちグリーンは、これに対して眼が最も高い感受性を有する色であるので、各セル内で2倍感知されるように選ばれる色である。
【0003】
同様のアレイをディスプレイ内に使用することもできる。例えば米国特許第4,877,697号明細書には、液晶ディスプレイ(LCD)のためのアレイが記載されており、そして米国特許出願公開第2007/0123133号明細書には、OLEDデバイスのためのアレイが記載されている。
【0004】
アレイは、カラーインクのインクジェット、写真技術的にはフォトリソグラフィの利用、カラーインクの利用などを含む多くの方法で形成することができる。別の方法は、干渉フィルタ、又は光の特定の色を反射するように選ばれた寸法を備えた空洞を有するファブリ・ペロー共振器を作ることである。空洞の背後には、平滑な金属コーティングであってよい反射器、又は種々異なる屈折率を有する交互の材料層から成るブラッグ反射器がある。このようなフィルタは、入射及び観察の角度に応じて、光の種々異なる色を反射することになる。しかしながら、ブラッグ反射器における層の相対的な厚さを注意深く選ぶことによって、観察角度が変化するのに伴って色が変化する量を低減することが可能である。
【0005】
いくつかのデバイス、例えばOLEDは、空気及び湿分を締め出すように密閉しなければならない。これを行う1つの方法は、薄い無機金属酸化物でアレイをコーティングすることである。これは、カナダ国特許第2133399号明細書に記載されている。
【0006】
化学蒸気堆積法(CVD)及び原子層堆積法(ALD)は、材料、特に金属酸化物から成る薄層を基材上に敷設するための技術である。
【0007】
化学蒸気堆積法は、高純度、高性能の固体材料を製造するために用いられる化学的方法である。この方法は、誘導体及び半導体から成る薄膜を製造するために、半導体業界でしばしば用いられる。典型的なCVD法では、基材を1種又は2種以上の揮発性前駆体に曝露し、この前駆体は、所期の堆積物を生成するように基材表面上で反応及び/又は分解する。
【0008】
原子層堆積法は、様々な組成の基材上にコンフォーマルな材料薄膜を堆積する自己限定的な連続表面化学反応である。ALDは、ALD反応がCVD反応を2つ又は3つ以上の部分反応に分け、反応シーケンス中に前駆体材料を別々に保つことを除けば、CVDと化学的特性が似ている。
【0009】
ALDは、導体から絶縁体まで、種々のセラミックを含むいくつかのタイプの薄膜を堆積させるために用いることができる。
【0010】
構成部分を形成するときには、敷設される材料をパターニングすることが通常必要である。これを行うための方法が数多く記録されている:
平坦な材料層を堆積し、そしてフォトリソグラフィ法を用いて、デバイスの残りを損傷しないように選ばれた好適なエッチングによって、不所望な層区分をエッチングにより取り除く。
基材上にフォトレジストを置き、そしてコンベンショナルなリソグラフィ法を用いてこのレジスト内にプロフィールを画像形成する。任意には、このレジストを処理し、次いで、CVD又はALDを用いて、頂部上に層をコーティングする。レジスト上のコーティングの上を引掻き、そして好適な溶剤で処理することによりレジストを除去する。この溶剤は引掻き傷に浸透する。コーティングは、レジストが溶解された場所で脱落する。
基材にマスクを適用し、マスクをパターニングし、ALD又はCVDを用いてパターニングされたマスク上に層をコーティングし、次いでマスクを機械的に除去する(国際公開第2006/111766号パンフレット参照)。
ALDを利用し、成長メカニズムに特異的な阻害剤を見いだし、そしてこれを印刷する(米国特許第7030001号明細書参照)。
【0011】
第1の方法は、フォトリソグラフィの比較的複雑な手順に依存する。これは、通常、レジストをスピンコーティングし、レジストをベーキングし、レジストを露光し、レジストをベーキングし、レジストを現像し、洗浄し、次いでこれを乾燥させる工程から成る多工程プロセスである。第3の方法では、マスクは基材上にコーティングされた後でパターニングされる。このことは、フォトレジスト法を用いて、或いはおそらくより好都合には、好適に調整されたレーザーでマスクをアブレートすることによって行うことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
バリアとして作用することもできるパターニングされたCFA層を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、カラーフィルターアレイ及び大気バリアを製造する方法であって、基材上に半反射性材料層をコーティングする工程、半反射性層の上に実質的に透明な層を蒸着して1つの厚さを有する光干渉層を形成する工程、及び1つ又は2つ以上の段階であって、それぞれの段階が、光干渉層上に印刷することによりパターン化層を生成させること、パターン化層全体にわたって実質的に透明な層を蒸着して最初の又は前の光干渉層と組み合わされた場合に光干渉層を提供すること、溶剤によりパターン化層を除去すること、及び最後の光干渉層の上方に第2の半反射性材料層をコーティングすることを含む1つ又は2つ以上の段階を含む、カラーフィルターアレイ及び大気バリアを製造する方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、硬質、耐水性、ガス不透過性のカラーフィルターアレイを提供する。これは、少なくとも2つの別個の構成部分、すなわちカラーフィルターアレイ、ガスバリア、及び場合によっては別個の引掻き傷防止層を有する必要を無くする。単一のデバイスとして、このカラーフィルターアレイは、より迅速に製造でき、所要の組み立て労力を少なくする。
【0015】
ここで添付の図面を参照しながら、本発明について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明において用いることのできる原子層堆積法の工程を記述するフローチャートである。
【図2】図2は、本発明の方法において用いることができる原子層堆積のための分配マニホルドの実施態様を示す側方断面図である。
【図3】図3は、薄膜堆積を施される基材に対するガス材料の分配の実施態様を示す側方断面図である。
【図4A】図4Aは、付随する堆積作業を概略的に示す、ガス材料の分配の実施態様の断面図である。
【図4B】図4Bは、付随する堆積作業を概略的に示す、ガス材料の分配の実施態様の断面図である。
【図5A】図5Aは、カラーフィルターアレイを形成するために使用されるパターンを示す図である。
【図5B】図5Bは、カラーフィルターアレイを形成するために使用されるパターンを示す図である。
【図5C】図5Cは最終的な単純なカラーフィルターアレイを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明を実施するための方法の一般化された工程ダイヤグラムである。2種の反応性ガス、すなわち第1分子前駆体と第2分子前駆体とが使用される。ガスはガス源から供給され、そして例えば分配マニホルドを介して、基材に送達することができる。ガス材料を分配マニホルドへ供給するための計量・バルブ装置を使用することができる。
【0018】
工程1に示したように、システムのためのガス材料の連続供給が、基材上に材料薄膜を堆積させるために行われる。シーケンス15の工程は、順次適用される。工程2において、所与の基材領域(チャネル領域と呼ばれる)に関して、第1分子前駆体又は反応性ガス材料は、基材のチャネル領域上を横方向に第1チャネル内を流れるように導かれ、領域と反応する。工程3において、システム内の基材と多チャネル流との相対運動が発生し、これが工程4の発端となる。工程4では、不活性ガスを有する第2チャネル(パージ)流が、所与のチャネル領域上に発生する。次いで、工程5において、基材と多チャネル流との相対運動が、工程6の発端となる。工程6では、所与のチャネル領域に原子層堆積が施される。原子層堆積に際して、第2分子前駆体が基材の所与のチャネル上を横方向に流れ(基材表面に対して実質的に平行である)、基材上の前の層と反応することにより、所期材料の単分子層を(理論上)生成する。かかるプロセスでは、しばしば、第1分子前駆体は、ガス状の金属含有化合物(例えば金属化合物、例えば四塩化チタン)であり、堆積された材料は、金属含有化合物である。かかる実施態様において、第2分子前駆体は、例えば非金属酸化性化合物又は加水分解性化合物、例えば水であることが可能である。
【0019】
工程7において、基材と多チャネル流との相対運動はこの場合、工程8の発端となる。工程8では、再び不活性ガスが、このときは、前の工程6から生じた所与のチャネル領域からの過剰の第2分子前駆体を掃去するために使用される。工程9において、支持体と多チャネルとの相対運動が再び発生し、これは、工程2に戻る反復シーケンスの発端となる。サイクルは、所期の膜又は層を確立するのに必要な回数だけ繰り返される。工程は、流れチャネルによって占められる領域に相当する、基材の所与のチャネル領域に関して繰り返されてよい。その間、種々のチャネルに、工程1において必要なガス材料が供給される。図1のボックス15のシーケンスと同時に、他の隣接するチャネル領域が同時に処理され、その結果、全体的に工程11に示すように、多チャネル流が並行して生じる。
【0020】
第2分子前駆体の主な目的は、基材表面の、第1分子前駆体との反応性を回復させることである。第2分子前駆体はまた、酸化物、窒化物、硫化物などの化合物を形成する、表面に位置する1種又は2種以上の金属化合物を、堆積されたばかりの金属含有前駆体と合体させるために、分子ガスとして材料を提供する。
【0021】
連続ALDパージは、基材に分子前駆体を適用した後でこれを除去するために、真空パージを用いる必要がない。
【0022】
2種の反応物ガス、つまりAX及びBYが使用されると想定すると、反応ガスAX流が供給され、所与の基材領域上を流動させられるときに、反応ガスAXの原子は基材上に化学吸着され、その結果、AとリガンドXの表面とから成る層がもたらされる(会合的化学吸着)(工程2)。次いで、残留反応ガスAXは不活性ガスでパージされる(工程4)。次いで、反応ガスBYの流動、そしてAX(表面)とBY(ガス)との化学反応が生じ、その結果、基材上にABから成る分子層が形成される(解離的化学吸着)(工程6)。残留ガスBY及び反応の副生成物がパージされる(工程8)。過程サイクルを繰り返すことによって、薄膜の厚さを増大させることができる(工程2〜9)。
【0023】
膜は、一度に1つの単分子層として堆積させることができるので、コンフォーマルであり、また均一な厚さを有する傾向がある。
【0024】
ここで図2を参照すると、基材20上に原子層を堆積させる本発明の方法において使用できる分配マニホルド10の一実施態様が側方断面図で示されている。分配マニホルド10は、第1ガス材料を受容するためのガス流入ポート14と、第2ガス材料を受容するためのガス流入ポート16と、第3ガス材料を受容するためのガス流入ポート18とを有する。これらのガスは、続いて説明する構造的配列を有する出力チャネル12を介して、出力面36で放出される。図2における矢印は、ガス材料の拡散輸送を意味し、出力チャネルから受け取られる流れを意味しない。流れは実質的に、図面のページから出るように案内される。
【0025】
ALD堆積を生じさせるために基材表面上で順次反応する第1及び第2ガスを受容するようにガス流入ポート14及び16が構成されており、ガス流入ポート18が、第1及び第2ガスに対して不活性のパージガスを受容する。分配マニホルド10は、基材20から距離Dを置いて配置されている。基材20と分配マニホルド10との間には、基材20の運動によって、又は分配マニホルド10の運動によって、又は基材20及び分配マニホルド10の両方の運動によって、往復運動を提供することができる。図2に示された特定の実施態様の場合、矢印R、及び図2の基材20の左右の仮想線によって示すように、出力面36を往復式に横切って、基材20が動かされる。なお、往復運動は、分配マニホルド10を使用する薄膜堆積にいつも必要とされるわけではない。基材20と分配マニホルド10との間の他のタイプの相対運動、例えば基材20又は分配マニホルド10の1つ又は2つ以上の方向における運動を提供することもできる。
【0026】
図3の断面図は、分配マニホルド10の出力面36の一部にわたって放出されたガス流を示している。この特定の配列において、各出力チャネル12は、図2に見られるガス流入導管14,16又は18のうちの1つとガス流体連通している。各出力チャネル12は典型的には、第1反応ガス材料O、又は第2反応ガス材料M、又は第3不活性ガス材料Iを送達する。
【0027】
図3は、ガスの比較的基本的又は単純な配列を示している。複数の(材料Oのような)非金属堆積前駆体、又は複数の(材料Mのような)金属含有前駆体材料を、薄膜単一堆積の際に種々のポートに順次送達することも考えられる。或いは、例えば交互の金属層を有する、又は金属酸化物材料中に混和された少量のドーパントを有する複合薄膜材料を形成するときに、反応ガスの混合物、例えば、金属前駆体材料の混合物、又は金属及び非金属前駆体の混合物を単一の出力チャネルに適用することもできる。重要な要件は、パージガスと呼ばれることもある不活性ガスとして符号Iを付けられた中間流が、ガスがその中で互いに反応する見込みのあるいかなる反応物質チャネルをも分離することである。第1及び第2反応ガス材料O及びMは、ALD堆積を生じさせるために互いに反応するが、しかし反応ガス材料O又はMも不活性ガス材料Iとは反応しない。
【0028】
図4A及び4Bの断面図は、反応ガス材料O及びMを送達するときに基材20が分配マニホルド10の出力面36に沿って進むのに伴って実施されるALDコーティング操作を、単純化された概略形態で示している。図4Aにおいて、基材20の表面は先ず、第1反応物ガス材料Oを送達するものとして指定された出力チャネル12から連続的に放出された酸化材料を受容する。基材の表面はここでは、材料Oの部分反応形態を含有する。この部分反応形態は、材料Mと反応し易い。次いで、基材20が第2反応物ガス材料Mの金属化合物の経路内に入ると、Mとの反応が行われ、金属酸化物、又は2つの反応ガス材料から形成することができる何らかの他の薄膜材料を形成する。
【0029】
図4A及び4Bが示すように、第1及び第2反応物ガス材料O及びMの流れの間には、交互の出力チャネル12毎に不活性ガス材料Iが供給される。連続する出力チャネル12は隣接しており、すなわち、示された実施態様においては仕切り22によって形成された共通の境界を共有している。ここでは、出力チャネル12は、基材20の表面に対して垂直に延びる仕切り22によって画定され、互いに分離されている。
【0030】
注目すべきは、出力チャネル12間に真空チャネルは散在しないことである。すなわち、仕切りの周りのガス材料を引き出すために、ガス材料を送達するチャネルのいずれの側にも真空チャネルは設けられていない。この有利なコンパクトな配置関係は、使用されるガス流が革新的であるため、可能である。基材に対してほぼ鉛直方向(すなわち垂直方向)のガス流を適用し、そして次いで、反対の鉛直方向に使用済ガスを引き抜くようになっている以前の方法のガス送達アレイとは異なり、分配マニホルド10は、それぞれの反応物質及び不活性ガス毎に表面に沿ってガス流(一実施態様において、好ましくほぼ層流)を導き、そして使用済ガス及び反応副生成物を異なる形で取り扱う。本発明において使用されるガス流は、基材表面の平面に沿って、そして概ね平行に導かれる。換言すれば、ガス流は、処理されている基材に対して垂直であるよりも、むしろ基材平面に対してほぼ横方向である。
【0031】
上記方法及び装置は、本発明において用いることができる蒸着法の一例である。本発明は、化学蒸気堆積法を用いても同等に良く機能する。
【実施例】
【0032】
全ての例において、上記のものと同様の装置を使用してALD/CVDコーティングを行った。二酸化チタン又はアルミナをコーティングした。二酸化チタンの場合、四塩化チタンが一方のバブラー内に、そして水が他方のバブラー内にあった。アルミナの場合、ヘプタン中のトリメチルアルミニウムの1M溶液が、一方のバブラー内に、そして水が他方のバブラー内にあった。
【0033】
両酸化物の場合、バブラーを通るキャリアガスの流量は50ml/分であった。希釈キャリアガスの流量は、水反応物質の場合には300ml/分であり、また四塩化チタン又はトリメチルアルミニウムの場合には150ml/分であった。不活性分離ガスの流量は2リットル/分であった。全ての事例のキャリアガスのために窒素を使用した。両酸化物に関して、基材振動数に対する厚さを決定するために、較正を行った。
【0034】
例1
ALD層のためのレジストとして作用するように正方形のフルオロポリマーを印刷することにより、ALDとインクジェット印刷されたP604とを組み合わせることによって、単純なカラーフィルターアレイを作成した。先ず62×62×1mmのガラススライドに、真空蒸発によってアルミニウム薄層をコーティングし、次いで、約200nm厚のチタニア層をALDによって堆積させた。
【0035】
25% w/w Fluoropel P604Aと75%ペルフルオロデカリンの混合物を形成し、これを指示書に記載されているようにダイマティックス(Dimatix)インクジェットプリンタ内に装填した。図5aに示すように、インクを充填されたダイマティックスプリンタを使用して、P604Aから成る一連の3つの5mm正方形を印刷した。次いで、図5bに示すように、3×3マトリックスを完成するためにフルオロポリマーから成る別の3つの5mm正方形を印刷する前に、約50nm厚のチタニア層を試料にコーティングした。約50nm厚の最後のチタニア層を敷設した後、HFE 7500溶剤を使用して、ニトリル手袋を嵌めた手で静かに擦って、フルオロポリマーを除去した。この上に、真空蒸発によってアルミニウム薄層をコーティングした。結果として生じた三色CFAは、図5cに図式の形で示されている。
【0036】
例2
マスキング材料としてPVPを使用して、例1を繰り返した。
単純なカラーフィルターアレイを作成した。先ず62×62×1mmのガラススライドに、真空蒸発によってアルミニウム薄層をコーティングし、次いで、ほぼ200nm厚のチタニア層をALDによって堆積した。
【0037】
10%のK30、10%のエチレングリコール及び1%のTriton X-100から成るPVPインクジェットインクを調製した。後者の2成分はジェット化を助けるために添加した。図5aに示すように、インクを充填されたダイマティックスプリンタを使用して、PVPインクから成る一連の3つの5mm正方形を印刷した。次いで、図5bに示すように、3×3マトリックスを完成するためにPVPインクから成る別の3つの5mm正方形を印刷する前に、約50nm厚のチタニア層を試料にコーティングした。約50nm厚の最後のチタニア層を敷設した後、脱イオン温水中に浸し、ニトリル手袋を嵌めた手で静かに擦ることにより、PVPインクを除去した。
【0038】
この上に、真空蒸発によってアルミニウム薄層をコーティングした。結果は、例1におけるもの、すなわち図5cに図式の形で示された三色CFAと極めて似ていた。
【0039】
例3
複雑なカラーフィルターアレイを作成した。
先ず62×62×1mmのガラススライドに、交互のアルミナ層と二酸化チタン層から成る5層の「ブラッグ反射器」をコーティングした。それぞれの層は約100nm厚であり、低屈折率のアルミナで始まり終わっている。この上に、約200nmのチタニア層を堆積させた。
【0040】
25% w/w Fluoropel P604Aと75%ペルフルオロデカリンの混合物を形成し、これを指示書に記載されているようにダイマティックスインクジェットプリンタ内に装填した。図5aに示すように、インクを充填されたダイマティックスインクジェットプリンタを使用して、P604Aから成る一連の3つの5mm正方形を印刷した。次いで、図5bに示すように、3×3マトリックスを完成するためにフルオロポリマーから成る別の3つの5mm正方形を印刷する前に、約50nm厚のチタニア層を試料にコーティングした。約50nm厚の最後のチタニア層を敷設した後、HFE 7500溶剤を使用して、ニトリル手袋を嵌めた手で静かに擦って、フルオロポリマーを除去した。
【0041】
この上に、交互のアルミナ層と二酸化チタン層から成る5層の「ブラッグ反射器」をコーティングした。それぞれの層は、約100nm厚であり、低屈折率のアルミナで始まり終わっている。
【0042】
結果は、例1及び2で形成したものと同様に、図5cに図式の形で示された三色CFAであった。
【0043】
例1及び2は、半反射性層としてアルミニウムを使用した。言うまでもなく、本発明は、アルミニウムの使用に限定されるものではない。他の任意の好適な高反射性金属、例えばクロム又は銀も使用することができる。
【0044】
好ましい実施態様を参照しながら本発明を詳しく説明してきた。本発明の範囲内で変更及び改変を加え得ることは、当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラーフィルターアレイ及び大気バリアを製造する方法であって、基材上に半反射性材料層をコーティングする工程、前記半反射性層の上に実質的に透明な層を蒸着して1つの厚さを有する光干渉層を形成する工程、及び1つ又は2つ以上の段階であって、それぞれの段階が、前記光干渉層上に印刷することによりパターン化層を生成させること、前記パターン化層全体にわたって実質的に透明な層を蒸着して最初の又は前の光干渉層と組み合わされた場合に光干渉層を提供すること、溶剤により前記パターン化層を除去すること、及び最後の光干渉層の上方に第2の半反射性材料層をコーティングすることを含む1つ又は2つ以上の段階を含む、カラーフィルターアレイ及び大気バリアを製造する方法。
【請求項2】
前記パターン層が各段階で除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記パターン層が最終段階の後で除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記半反射層が薄い金属コーティングを含む、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
使用される金属がアルミニウムである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記半反射性層が、高屈折率と低屈折率とを備えた交互の金属酸化物から成る多数の層を有する多層ブラッグ反射器を構成している、請求項1、2または3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記半反射性層が、高屈折率と低屈折率とを備えた交互の金属酸化物から成る多数の層を有する多層ブラッグ反射器を構成しており、当該多層ブラッグ反射器において、前記層の厚さの比が、変化する観察角度に伴う色の変化を減少させるように最適化されている、請求項1、2または3に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2010−541000(P2010−541000A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526350(P2010−526350)
【出願日】平成20年9月9日(2008.9.9)
【国際出願番号】PCT/GB2008/003049
【国際公開番号】WO2009/040498
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】