説明

カラー受像管及びその製造方法

【課題】 カラー受像管の耐電圧特性を向上させると共に、解像度の劣化を抑制する。
【解決手段】 カラー受像管の構成を、外囲器と、蛍光体スクリーンと、内部導電膜と、一列に配置された3つの陰極と複数の電極とを有するビーム発生部、複数の電極と陽極とを有する主レンズ部及びビーム発生部と主レンズ部とを支持する絶縁支持体57A,57Bを備えた電子銃とを含み、絶縁支持体57A,57Bの一部を覆い、絶縁支持体57A,57Bの一部を覆うようにビーム発生部の複数の電極及び主レンズ部の複数の電極のうち少なくとも1つの電極54に接続され、ループ形状であるループ部18を有する金属部材8Aと、ネック部2Aの内壁において金属部材8Aに対向する領域に形成され、内部導電膜と離隔する導電膜9A,9Bとを更に含む構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー受像管に関し、詳しくは、高解像度のカラー受像管に関する。更に詳しくは、本発明は、耐電圧特性に優れ、かつ精巧な電子銃を備えたカラー受像管に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のカラー受像管は、パネル、ネック部を有する漏斗状のファンネル及び封止部を有するガラス製の外囲器と、パネルの内壁に形成された蛍光体スクリーンと、ネック部の内部空間に封止された電子銃とを含む。ファンネルの大口径側の開口端には、パネルが接合されており、ファンネルの小口径側(ネック部側)の開口端には、封止部が接合されている。ネック部は、ファンネルの最細部であり、一般的に、直径20〜40mm程度の円筒である。また、封止部は、ネック部の直径と略同じ直径の円盤である。封止部には、封止部を貫通する複数の金属製のステムピンが形成されている。このステムピンは、外囲器の外部と内部との導通をとるために設けられている。なお、封止部とステムピンとを合わせて、ステム部とも総称される。蛍光体スクリーンは、赤色蛍光体、緑色蛍光体及び青色蛍光体を含んでいる。電子銃は、複数の金属製のステムピンによって、ネック部の内部空間に支持されている。
【0003】
従来のカラー受像管に用いられる電子銃は、主に、一列に配列させた3つの電子銃を備えたインライン方式の電子銃である。インライン方式の電子銃では、通常、緑色蛍光体を発光させるための電子ビームが、一列に配列させた3電子銃のうち中央に位置する電子銃(センターガン)から射出され、赤色蛍光体を発光させるための電子ビーム及び青色蛍光体の発光させるための電子ビームは、それぞれ、センターガンの側部に位置する電子銃(サイドガン)から射出される。
【0004】
インライン方式の電子銃は、一般的に、3電子ビームに対応する3つの陰極、第1電極(制御電極)及び第2電極(加速電極)からなるビーム発生部(トライオード部)と、集束電極及び最終加速電極(陽極)を有し、ビーム発生部からの3電子ビームの各々を蛍光体スクリーン上に集束させる主レンズ部とを備える。集束電極は、互いに離隔する複数の電極で構成されている。3つの陰極から放出された3電子ビームは、第1電極及び第2電極のビーム通過孔を通って主レンズ部へ導かれる。3種類の電子ビームの各々は、主レンズ部を構成する各電極のビーム通過孔を通り、最終的に、蛍光体スクリーン上で集束する。
【0005】
インライン方式の電子銃において、ビーム発生部及び主レンズ部を構成する各電極には植設部(ストラップ)が形成されており、植設部がガラス製等の絶縁支持体に埋め込まれている。
【0006】
最終加速電極と集束電極とは、一般的に、それらのビーム通過孔が1mm程度の間隔を空けて対向するように配置されている。最終加速電極と集束電極とに所定の電圧を供給することによって、これらの電極の対向領域に主レンズが形成される。一般的に、電子銃を構成する各電極のうち集束電極の長さが、カラー受像管の管軸方向に最も長い。
【0007】
ビーム発生部の各陰極には百数十ボルト、第1電極には0ボルト(電気的に接地)、第2電極には数百ボルトの直流電圧がステムピンを介して外部から供給される。最終加速電極には、数千ボルトの直流電圧(陽極高圧)が、ファンネルの内壁に形成された内部導電膜、シールドカップ及び接触素子を介して供給される。また、主レンズ部を構成する複数の電極には、最終加速電極の20%〜40%程度の電圧が、ステムピンを介して外部から供給される。
【0008】
従来のカラー受像管において、最終加速電極に陽極高圧を供給するための内部導電膜は、通常、最終加速電極の一部又は接触素子の一部とオーバーラップする程度までネック部の内壁に形成されている。内部導電膜が形成された領域のネック部側の端(以下においては、内部導電膜端と称する)から封止部までのネック部の内壁は、ネック部の構成材料であるガラスが剥き出しの状態となっている。したがって、ネック部の内壁において内部導電膜が形成されていない部分は、内部導電膜の電位(陽極高圧)に応じて、所定の電位にチャージアップされる。ネック部の内壁の電位(以下においては、ネック電位とも称する)は、内部導電膜端からの距離が大きくなるに伴って減少する分布を示す。最終加速電極以外の電極に対向する部分のネック電位は、通常、その電極に与えられる電位よりも高い電位となる。この場合、ネック電位と電極の電位との電位差によって、電極から電子が電界放出され易くなる。つまり、最終加速電極以外の電極とネック部との間にリーク電流が発生し易くなる。これは、耐電圧特性が劣化していることを意味している。
【0009】
この対策として、内部導電膜と離隔する金属蒸着膜をネック部の内壁に形成し、金属蒸着膜の形成された領域のネック電位を低下させる技術が常用されている(例えば、特許文献1〜4参照)。金属蒸着膜を形成すれば、静電誘導によって、金属蒸着膜の形成された領域のネック電位を、金属蒸着膜と対向する電極の電位に近い電位で安定させることができる。これにより、カラー受像管の耐電圧特性が向上する。
【0010】
ここで、ネック部の内壁に金属蒸着膜を形成する従来の方法について説明する。図9(A)は、従来の典型的なカラー受像管の製造における金属蒸着膜を形成する工程を説明するために金属部材近傍の構造例を表した模式的な正面図であり、図9(B)は、その模式的な上面図である。図9(A)又は(B)に示されたように、ネック部2Aの内部空間において、金属蒸着膜109Aを形成するための材料となる四辺形状の金属部材108A、例えば、0.2mm厚程度のステンレス製の薄材(金属リボン)が、絶縁支持体57Aの一部を覆うように電子銃を構成する電極54に接続されている。同様に、金属蒸着膜109Bを形成するための材料となる四辺形状の金属部材108Bが、絶縁支持体57Bの一部を覆うように電極54に接続されている。
【0011】
ネック部2Aの中心軸(カラー受像管の管軸)と外部コイル197の中心軸とが一致するように外部コイル197を配置した状態で、外部コイル197に高周波電流を供給してネック部2Aの内部空間に高周波磁界を発生させる。高周波磁界による誘導加熱によって、2つの四辺形状の金属部材108A,108Bを構成する物質が蒸発し、ネック部2Aの内壁に2つの金属蒸着膜109A,109Bが形成される。なお、この場合、電極54等にも渦電流(Ip:図9(A)における破線矢印)が発生し、金属部材108A,108Bのみならず、電極54等も加熱されていた。
【特許文献1】特開平9−161690号公報
【特許文献2】特開2001−35421号公報
【特許文献3】特開2001−176421号公報
【特許文献4】特開2002−203493号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
耐電圧特性を向上させるための金属蒸着膜を備えた従来のカラー受像管の場合、金属蒸着膜を形成する際に、電子銃を構成する電極が加熱されることによって、電極の膨張に起因する応力が一対の絶縁支持体を押しのける方向に発生していた。この応力によって、絶縁支持体の位置が変化したり、電極自体が変形したりしていた。つまり、本来ならば同軸上に配列しているべき各電子レンズの軸がずれる。なお、この現象は、一般的に、電子銃の軸ズレと称される。これにより、金属蒸着膜を備えた従来のカラー受像管では、電子銃の軸ズレに起因するフォーカス特性の劣化が発生し、そのフォーカス特性の劣化によって解像度が劣化していた。
【0013】
そこで、本発明では、カラー受像管の耐電圧特性を向上させると共に、解像度の劣化を抑制する。これにより、耐電圧特性及び解像度の双方が優れたカラー受像管を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の課題を解決するために、本発明に係るカラー受像管は、パネル、ネック部を有するファンネル及び封止部を備えた外囲器と、パネルの内壁に形成された蛍光体スクリーンと、ファンネルの内壁に形成された内部導電膜と、一列に配置された3つの陰極と複数の電極とを有し、3電子ビームを生成するビーム発生部、複数の電極と陽極とを有し、3電子ビームの各々を蛍光体スクリーンに集束させる主レンズ部、及び、ビーム発生部と主レンズ部とを支持する絶縁支持体を備え、ネック部の内部空間に設けられた電子銃とを含むカラー受像管であって、絶縁支持体の一部を覆うように、ビーム発生部の複数の電極及び主レンズ部の複数の電極のうち少なくとも1つの電極に接続され、ループ形状のループ部を有する金属部材と、ネック部の内壁における金属部材に対向する領域に形成され、内部導電膜と離隔する導電膜とを更に含むことを特徴とする。
【0015】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係るカラー受像管の製造方法は、(1)フェースパネルの内壁に蛍光体スクリーンを形成する工程と、(2)ネック部を有するファンネルの内壁に内部導電膜を形成する工程と、(3)蛍光体スクリーン及び内部導電膜を形成した後に、フェースパネルとファンネルとを接合する工程と、(4)3つの陰極と複数の電極とを有し、3電子ビームを生成するビーム発生部、複数の電極と陽極とを有し、3電子ビームの各々の集束を制御する主レンズ部、及び、ビーム発生部と主レンズ部とを支持する絶縁支持体を備えた電子銃を作製する工程と、金属部材を作製する工程と、(5)絶縁支持体の一部を覆うように、ビーム発生部の複数の電極及び主レンズ部の複数の電極のうち少なくとも1つの電極に金属部材を固定する工程と、(6)電子銃に金属部材を固定した後に、ネック部の内部空間に電子銃を配置し、封止部とファンネルとを接合することにより、電子銃をネック部の内部空間に封止する工程と、(7)電子銃を封止した後に、外部コイルを用いた高周波加熱により、金属部材を構成する物質をネック部の内壁に蒸着させて導電膜を形成する工程とを含むカラー受像管の製造方法であって、金属部材が、ループ形状であるループ部を有し、導電膜を形成する工程では、ループ部に沿った渦電流を発生させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るカラー受像管であれば、ネック部の内壁に内部導電膜と離隔する導電膜が形成されることによって、耐電圧特性が向上する。また、本発明に係るカラー受像管であれば、導電膜を形成する材料となる金属部材がループ部を有することによって、導電膜を形成する際に、ループ部を選択的かつ効率よく加熱でき、電子銃の軸ズレの発生を抑制できる。したがって、耐電圧特性が向上すると共に、電子銃の軸ズレに起因する解像度の劣化が抑制される。
【0017】
本発明に係るカラー受像管の製造方法であれば、導電膜を形成する際に、金属部材のループ部を選択的かつ効率よく加熱できる。これにより、電子銃の軸ズレの発生を抑制しつつ、導電膜を形成できる。したがって、耐電圧特性及び解像度の双方が優れたカラー受像管を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明に係るカラー受像管は、上述のように、パネル、ネック部を有するファンネル及び封止部を備えた外囲器と、パネルの内面に形成された蛍光体スクリーンと、ネック部の内部空間に設けられた電子銃と、ファンネルの内壁に形成された内部導電膜と、ネック部の内壁に形成され、内部導電膜と離隔する導電膜と、電子銃に固定された金属部材とを含む。カラー受像管は、一般的に、電気的作用や磁気的作用によって電子銃から射出された電子ビームを偏向させる偏向器を更に含む。通常、カラー受像管における偏向器は、ファンネルの外縁に設けられ、磁気的な作用によって電子ビームを偏向させる。なお、本発明のカラー受像管は、導電膜及び金属部材以外、公知のいかなるカラー受像管と同一の構成であってもよい。
【0019】
本発明に係るカラー受像管には、少なくとも1つの金属部材が形成されている。金属部材は、絶縁支持体の一部を覆うように、ビーム発生部の複数の電極及び主レンズ部の複数の電極のうち少なくとも1つの電極に接続される。金属部材は、1つの電極に接続されていてもよいし、2つ以上の電極に接続されていてもよい。金属部材が絶縁支持体の一部を跨ぐように配置され、金属部材の両端部が電極に接続されていることが好ましい。金属部材を絶縁支持体上に強固に固定できるからである。
【0020】
1つの電極に金属部材を接続する場合には、金属部材と電極とが導通するように接続してもよいし、金属部材と電極とが電気的に絶縁されるように接続してもよい。耐電圧特性を向上させる観点からは、前者が好ましい。後者よりも前者の方が、静電誘導によって誘起される導電膜の電位が電極の電位に近い電位となるからである。
【0021】
同一直流電圧が供給される2つの電極に金属部材を接続する場合には、金属部材と各電極とが導通するように接続してもよいし、金属部材と各電極とが電気的に絶縁されるように接続してもよい。一方、異なる直流電圧が供給される2つの電極に金属部材を接続する場合には、2つの電極が電気的に絶縁されるように接続しなければならない。なお、3つ以上の電極に金属部材を接続する場合も同様である。
【0022】
導電膜は、金属部材を材料とする蒸着によって形成される蒸着膜である。ネック部の内壁に導電膜を形成することによって、耐電圧特性を向上させることができる。本発明のカラー受像管は、内部導電膜と離隔し、かつ互いとも離隔する複数の導電膜を含んでもよい。
【0023】
本発明に係るカラー受像管では、金属部材のループ部が、管軸と3つの陰極の配列方向とを含む平面と実質的に平行な平面上に配置されていることが好ましい。ループ部の全体が平坦に保たれれば、導電膜を形成する際にループ部における渦電流の発生を促進でき、ループ部を更に効率よく加熱できるからである。また、電子銃を構成する各電極とネック部との間隔が3つの陰極の配列方向よりも3つの陰極の配列方向と管軸とに直交する方向の方が大きく、電極とループ部との間隔を大きく確保できるために、導電膜を形成する際にループ部を更に選択的に加熱できるからである。なお、実質的に平行な平面には、厳密に平行な平面ではない場合を含意する。
【0024】
本発明に係るカラー受像管では、金属部材のループ部が、電子銃の絶縁支持体上に配置されていることが好ましい。絶縁支持体の電極と反対側の表面は一般的に略平坦であるためにループ部の全体を平坦に保ち易いからである。また、ループ部の全体が、金属部材の接続された電極から確実に遠ざけられるために、導電膜を形成する際にループ部を更に選択的に加熱できるからである。
【0025】
以下において、本発明に係るカラー受像管の具体例について図面を参照しながら説明する。なお、説明の便宜上、カラー受像管の管軸と直交する3つの陰極の配列方向を水平方向と定義し、水平方向と管軸方向とに直交する方向を垂直方向と定義する。
【0026】
図1は、カラー受像管の構造例を表す模式的な部分切断平面図である。図1に示されたように、カラー受像管は、パネル1、ネック部2Aを有するファンネル2及び封止部3を備えた外囲器と、蛍光体スクリーン4と、電子銃5と、偏向ヨーク(偏向器)6と、内部導電膜7と、2つの金属部材8と、2つの金属蒸着膜(導電膜)9と、封止部3を貫通する複数のステムピン10とを含む。なお、2つの金属部材8及び2つの金属蒸着膜9以外は、公知のいかなるカラー受像管と同一の構成であってもよい。
【0027】
電子銃5は、3つの陰極50、第1電極51及び第2電極52を有するビーム発生部11と、第3電極53、第4電極54、第5電極55及び第6電極(陽極,最終加速電極)56を有する主レンズ部12と、2つの絶縁支持体57と、3つの陰極加熱用のヒーター58と、シールドカップ61と、複数の接触素子62とを備えたQPF構造の電子銃である。
【0028】
図2(A)は、カラー受像管におけるネック部近傍の構造例を部分的に表した模式的な側面図であり、図2(B)は、その模式的な上面図である。なお、図2(A)はネック部及びネック部に形成された部材を部分的に切断して水平方向から見た場合を表し、図2(B)はネック部及びネック部に形成された部材を部分的に切断して垂直方向から見た場合を表している。
【0029】
図2(A)又は(B)に示されたように、第1電極51〜第6電極56の各々は、垂直方向に対向する略平行な2つの絶縁支持体57に植設されており、各電極の相対位置が固定されている。シールドカップ61は、溶接によって第6電極56に固定されている。また、複数の接触素子62の各々は、シールドカップ61に溶接によって固定されており、内部導電膜7と接触している。
【0030】
第1電極51〜第6電極56の各々には、3つの陰極50R,50G(図示せず),50Bから放出された3電子ビームが通過する開孔が形成されている。各電極に所定の電圧が供給されると、各電極間には、電子レンズが形成される。なお、第5電極55と第6電極56との間に形成される電子レンズは、第5電極55と第6電極56との間の電位差が他の電極間よりも大きく、3電子ビームの各々を蛍光体スクリーン4(図1参照)上で集束させるための主たるレンズであるために、一般的に主レンズと称される。
【0031】
第6電極56には、ファンネル2(図1参照)のパネル側の端部近傍に形成された外囲器内外の導通をとる陽極端子(図示せず)から、内部導電膜7、接触素子62及びシールドカップ61を介して電圧(陽極高圧)が供給される。3つの陰極50R,50G,50B及び第1電極51〜第5電極55には、封止部3を貫通する複数のステムピン10を介して電圧が供給される。また、3つのヒーター58R,58G(図示せず),58Bの各々には、複数のステムピン10を介して電流が供給される。
【0032】
金属部材8Aは絶縁支持体57Aの一部を覆うように、また、金属部材8Bは絶縁支持体57Bの一部を覆うように、第4電極54に接続されている。金属蒸着膜9Aは、金属部材8Aを材料とする蒸着によって形成された膜であり、金属部材8Aに応じた形状である。なお、金属部材8Aに応じた形状とは、金属部材8Aと同一形状であることを意味するのではない。また、金属蒸着膜9Bは、金属蒸着膜9Aと同様に、金属部材8Bを材料とする蒸着によって形成された膜であり、金属部材8Bに応じた形状である。
【0033】
ここで、2つの金属部材8A,8B及び2つの金属蒸着膜9A,9Bについて更に詳細に説明する。図3(A)は、カラー受像管における電子銃の第4電極近傍の構造例を表す模式的な正面図であり、図3(B)は、その模式的な上面図である。なお、図3(A)はネック部及びネック部に形成された部材を部分的に切断して管軸方向から見た場合を表し、図3(B)はネック部及びネック部に形成された部材を部分的に切断して垂直方向から見た場合を表している。
【0034】
図3(A)又は(B)に示されたように、絶縁支持体57Aの一部を覆うように形成された金属部材8Aは、円形のループ部18と、円形のループ部18の両側に形成された2つの直線状の接続部28,38とを有する。円形のループ部18は、絶縁支持体57A上に配置されている。接続部28における円形のループ部18と反対側の端部(金属部材の端部)及び接続部38における円形のループ部18と反対側の端部(金属部材の端部)は、第4電極54に接続されている。なお、金属部材8Bも金属部材8Aの場合と同様である。
【0035】
金属蒸着膜9A及び金属蒸着膜9Bは、それぞれ、ネック部2Aの内壁における金属部材8A及び金属部材8Bと対向する領域に形成されている。カラー受像管の作動時には、2つの金属蒸着膜9A,9Bは静電誘導によって第4電極54に近い電位にチャージアップされ、ネック電位が2つの金属蒸着膜9A,9Bが形成されない場合に比べて低い電位で安定する。これにより、ネック部2Aと第4電極54との間のリーク電流の発生等が防止できるために、耐電圧特性が向上する。また、金属部材8A及び金属部材8Bと第4電極54とが電気的に接続されていれば、耐電圧特性が更に向上する。
【0036】
ここで、カラー受像管の製造方法の一例について説明する。カラー受像管の製造において、円形のループ部18を有する2つの金属部材8A,8Bを用いること、及び、2つの金属部材8A,8Bを加熱する方法以外は、公知のいかなる技術を用いてもよい。なお、以下においては、便宜上、図1〜図3を適宜参照する。
【0037】
予め、図1に示されたように、パネル1と、ネック部2Aを有するファンネル2と、封止部3及び封止部3を貫通するステムピン10を有するステム部と、電子銃5とを作製する。
【0038】
また、予め、図3(B)に示されたような円形のループ部18と、2つの接続部28,38とを各々に有する2つの金属部材8A,8Bを作製する。2つの金属部材8A,8Bをプレス加工又はエッチング加工によって作製することが好ましい。この場合、簡便かつ正確に金属部材8A及び金属部材8Bを作製できるからである。ここで、これらの作製方法について詳細に説明する。なお、2つの金属部材8A,8Bの作製には同一の作製方法が適用できるため、以下においては、金属部材8Aを作製する場合について説明する。
【0039】
図4(A)〜(C)は、金属部材8Aをプレス加工によって作製する方法の一例を説明するための説明図である。図4(A)〜(C)において、上段図が模式的な平面図であり、下段図がそれぞれ上段図におけるA−A’断面、B−B’断面、C−C’断面を表す模式的な断面図である。図4(A)に示されたように、金型91及び金型92を備えたプレス加工機に、金属基材93を配置し、金型92を金型91側に下降させる。次に、図4(B)に示されたように、金型91及び金型92で金属基材93を打ち抜き、金属部材8Aと不要部分の金属基材93’とに分離する。次に、図4(C)に示されたように、金型92を上昇させて、金属部材8Aを取り出す。これにより、金属部材8Aが完成する。
【0040】
図5(A)及び(B)は、金属部材8Aをエッチング加工によって作製する方法の一例を説明するための説明図である。図5(A)に示されたように、基材(図示せず)に金属基材93を配置し、金属基材93上に金属部材8Aの形成予定領域にあたる金属基材93Aを覆う被覆部(図示せず)を設けた後に、金属基材93を溶融できるエッチング溶液96と金属基材93とを接触させて、被覆部で覆われていない領域((図5(A)中のハッチを施した領域)の金属基材93Bを溶かす。ただし、基材と金属基材93Aとの界面及び被覆部と金属基材93Aとの界面にエッチング溶液96が浸透しない状態で行なう。次に、図5(B)に示されたように、被覆部を除去し、基材から金属部材8Aを剥離する。これにより、金属部材8Aが完成する。
【0041】
図1に示されたように、パネル1の内壁に蛍光体スクリーン4を形成する。また、ファンネル2の内壁に内部導電膜7を形成する。蛍光体スクリーン4の形成されたパネル1と内部導電膜7の形成されたファンネル2とを接合する。
【0042】
図3(A)又は(B)に示されたように、金属部材8A及び金属部材8Bを、それぞれ、絶縁支持体57A及び絶縁支持体57Bの一部を覆うように、第4電極54に接続する。例えば、2つの接続部28,38の各々における円形のループ部18と反対側の端部を第4電極54に溶接して、絶縁支持体57A上に円形のループ部18が配置されるように金属部材8Aを固定する。なお、溶接によって接続すれば、2つの金属部材8A,8Bと第4電極54との電気的な導通が確保できる。
【0043】
図1に示されたように、電子銃5と封止部3及び複数のステムピン10を有するステム部とを接合する。電子銃5とステム部との接合は、2つの金属部材8A,8Bを第4電極54に接続する前に行なってもよいし、その後に行なってもよい。
【0044】
図2(A)及び(B)に示されたように、ネック部2Aの内部空間に電子銃を配置し、封止部3とネック部2Aとを接合して電子銃を封止する。なお、電子銃の封止においては、外囲器の内部空間の減圧も行なわれる。
【0045】
電子銃を封止した後に、図3(A)及び(B)に示されたように、外部コイル(図示せず)を用いて金属部材8Aを高周波加熱し、金属部材8Aを構成する物質をネック部2Aの内壁に蒸着させて金属蒸着膜9Aを形成する。このとき、外部コイルにより発生させる高周波磁界による電磁誘導によって、ループ部18に沿った渦電流を発生させる。金属部材8Aと同様にして、金属部材8Bも形成する。2つの金属部材8A,8Bは、個別に順次に加熱されてもよいし、2つの外部コイルを用いて同時に加熱されてもよい。
【0046】
ここで、2つの金属部材8A,8Bを高周波加熱する方法について詳細に説明する。図6(A)は、導電膜を形成する工程を説明するために第4電極の近傍を表す模式的な側面図であり、図6(B)は、その模式的な上面図である。図6(A)はネック部及びネック部に形成された部材を部分的に切断して水平方向から見た場合を表し、図6(B)はネック部及びネック部に形成された部材を部分的に切断して垂直方向から見た場合を表している。
【0047】
図6(A)又は(B)に示されたように、金属部材8Aの上方(図6(A)における右方向)のネック部2Aの外縁に、外部コイル97を配置する。外部コイル97を配置した後に、外部コイル97に高周波電圧を供給する。外部コイル97の回りには、高周波磁界(図6(A)の点線矢印は、ある瞬間の高周波磁界の磁力線を表す)が発生し、円形のループ部18の内部を貫通する高周波磁界の作用によって、円形のループ部18に渦電流(Is:図6(B)の破線矢印は渦電流を表す)が発生する。この渦電流(Is)のジュール熱によって金属部材8Aが加熱され、金属部材8Aを構成する物質がネック部2Aの内壁における金属部材8Aと対向する領域に蒸着する。これにより、ネック部2Aの内壁に金属蒸着膜9Aが形成される。金属部材8Aと同様にして、金属部材8Bも形成する。
【0048】
なお、従来においては、図9(A)及び(B)に示されたように外部コイル197の中心軸が管軸と略一致していたが、本発明においては、図6(A)及び(B)に示されたように外部コイル97の中心軸が管軸と一致していないことに注意を要する。外部コイル97は、円形のループ部18の中心軸が外部コイル97の内部空間を貫通するように配置されることが好ましい。確実に円形のループ部18に沿った渦電流を発生させることができるからである。更に、外部コイル97は、円形のループ部18の中心軸が外部コイル97の中心軸と実質的に平行となるように配置されることが好ましい。平行でない場合に比べて、円形のループ部18における渦電流の発生を促進できるからである。更に好ましくは、外部コイル97が、円形のループ部18の中心軸と外部コイル97の中心軸とが実質的に一致するように配置される場合である。この場合、円形のループ部18における渦電流の発生を最も促進できるからである。
【0049】
各瞬間に形成される高周波磁界の磁力線は、図6(A)に示された磁力線の場合と同様に、外部コイル97から離れるにつれて外部コイル97の中心軸から放射状に発散するために、円形のループ部18よりも外部コイル97から離れた位置に存在する第3電極53、第4電極54及び第5電極55等における磁束密度の変化は、円形のループ部18における磁束密度の変化よりも小さくなる。したがって、第3電極53、第4電極54及び第5電極55等における渦電流の発生を良好に抑制でき、それらの電極の温度上昇を良好に抑制できる。これにより、第3電極53、第4電極54及び第5電極55等の熱膨張に起因する電子銃の軸ズレを防ぐことができる。
【0050】
外部コイル97の高周波出力が同一である場合(同一コイルに周波数及び振幅の同一な高周波電圧を供給した場合)、円形のループ部18を有する金属部材8Aにおける渦電流の発生量は、接続部28,38と同様な幅を有する従来の四辺形状の金属部材の場合に比べて増加する。短時間で金属部材8Aを加熱できるために、従来の四辺形状の金属部材を用いる場合よりも第1電極51〜第6電極56(図2(A)参照)の温度上昇を抑制できる。
【0051】
また、金属部材8Aが円形のループ部18を有することによって、金属部材8Aの熱容量が、円形のループ部18に代えて、円形のループ部18と同一の輪郭である円盤部を有する金属部材を用いる場合に比べて小さい。したがって、短時間で金属部材8Aを加熱できる。また、外部コイル97に供給すべき高周波電圧のピーク値(高周波出力)を小さくすることもできる。これにより、円盤部を有する金属部材を用いる場合よりも第1電極51〜第6電極56の温度上昇を抑制できる。
【0052】
ここで、カラー受像管の一実施例について説明する。図3(A)及び(B)に示された2つの金属部材8A,8Bとしては、2つの金属蒸着膜9A,9Bを形成する前の膜厚が0.2mm程度であるステンレス製リボンを用いる。
【0053】
一実施例のカラー受像管に封止する電子銃では、図2(A)又は(B)に示されたように、3つの陰極50R,50G(図示せず)及び50Bは、水平方向に約5mmの等間隔で一列に配置させる。また、第1電極51と第2電極52とは、0.5mm以下の非常に狭い間隔を隔てて対向させ、第3電極53から第6電極56までの近隣の2つの電極は、0.5〜1mm程度の間隔を隔てて対向させる。第1電極51及び第2電極52の各々の開孔は、直径1mm以下の小さな開孔とし、第3電極53の第2電極52側の開孔は、第2電極52の開孔より大きい直径約2mm程度の開孔とし、第3電極53の第4電極側の開孔、第4電極54の両側の開孔及び第6電極56の両側の開孔は、直径4〜6mm程度の比較的大きな開孔とする。
【0054】
図7は、一実施例の電子銃の駆動方法を説明するための説明図である。3つの陰極50R,50G,50Bには、それぞれ、約150Vの直流電圧に、画像に対応したビデオ信号電圧VR,VG,VBが重畳された電圧を供給する。第1電極51は、電気的に接地する。第2電極52と第4電極54とをネック部2A(図2(A)参照)の内部空間において電気的に接続し、第2電極52及び第4電極54の各々には約700Vの直流電圧を供給する。第3電極53と第5電極55とをネック部2Aの内部空間において電気的に接続し、第3電極53及び第5電極55の各々には約6〜9kVの直流電圧が供給される。第6電極56及びシールドカップ61の各々には、約25kVの陽極高圧Ebを供給する。
【0055】
陰極50Bはヒーター58B(図2(A)及び(B)参照)による加熱によって電子が放出しやすい状態となっており、約150V以上の陰極電圧が陰極50Bに供給されると、陰極50Bから電子が放出される。陰極50Bと第1電極51と第2電極52とに供給される直流電圧によって陰極50Bと第2電極52との間に形成される電界分布を制御し、第1電極51〜第6電極56までの各電極に形成された開孔の略中心を通過するような電子ビームを発生させる。同様にして、他の2つの陰極50R,50Gからも電子ビームを発生させる。
【0056】
3つの陰極50R,50G,50Bの各々から放射された電子ビームは、第1電極51に向かって集束し、第2電極52の近傍でクロスオーバーを形成した後に発散する。発散する電子ビームは、第2電極52と第3電極53とで形成されるプリフォーカスレンズによって予備集束を受ける。プリフォーカスレンズを通過した電子ビームは、第3電極53と第4電極54とで形成される第1補助レンズと、第4電極54と第5電極55とで形成される第2補助レンズとによって、更に予備集束を受ける。第2補助レンズを通過した電子ビームは、第5電極55と第6電極56とで形成される主レンズによって集束する。これによって、最終的には、蛍光体スクリーン4(図1参照)上にビームスポットが形成される。
【0057】
上記の一実施例では、金属部材が0.2mm厚程度のステンレス製リボンの場合について説明したが、金属部材は、他の材厚や他の材質等で構成されていてもよい。
【0058】
上記においては、2つの金属部材8A,8Bの各々が円形のループ部18を有する場合について説明したが、ループ部の形状は必ずしも円形である必要はなく渦電流が発生する形状であればどのような形状でもよい。ここで、金属部材の変形例について説明する。図8(A)〜(C)は、金属部材の変形例を表す模式的な上面図である。金属部材の変形例としては、図8(A)に示されたような正方形等の多角形状のループ部68を有する構成が例示できる。渦電流の発生を促進する観点からは、ループ部の形状は、略正多角形であることが好ましい。また、変形例としては、図8(B)に示されたような楕円形又は扁平な円形のループ部78を有する構成が例示できる。また、変形例としては、図8(C)に示されたように、2本の金属リボン88,98を溶接することによって形成されたループ部18’と2つの接続部28’,38’とを有する構成が例示できる。なお、図8(C)における破線の×印の中心は、2本の金属リボンの溶接箇所を表す。ループ部18’を形成するための溶接は、金属部材を作製する工程や金属部材を電極に接続する工程等で行なう。
【0059】
上記においては、2つの金属部材8A,8Bの各々が、2つの直線状の接続部28,38とを有する場合について説明したが、接続部は、ループ部と電極とを接続できればどのような形状であってもよい。なお、金属部材の熱容量を低減する観点からは、接続部は、ループ部と電極とを最短距離で結ぶ細い直線形状であることが好ましい。また、金属部材がループ部のみを有し、ループ部が電極に直接的に接続されている構成であってもよい。
【0060】
上記においては、2つの金属部材8A,8Bが第4電極54に接続される場合について説明したが、金属部材は、陰極及び陽極以外であれば、電子銃を構成するどの電極に接続されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、カラー受像管において、耐電圧特性を向上させると共に、解像度の劣化を抑制するために利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】図1は、本発明に係るカラー受像管の構造例を表す模式的な部分切断平面図である。
【図2】図2(A)は、本発明に係るカラー受像管におけるネック部近傍の構造例を部分的に表した模式的な側面図であり、図2(B)は、その模式的な上面図である。
【図3】図3(A)は、本発明に係るカラー受像管における電子銃の第4電極近傍の構造例を表す模式的な正面図であり、図3(B)は、その模式的な上面図である。
【図4】図4(A)〜(C)は、本発明に係るカラー受像管おける金属部材をプレス加工によって作製する工程の一例を説明するための説明図である。
【図5】図5(A)及び(B)は、本発明に係るカラー受像管における金属部材をエッチング加工によって作製する工程の他の一例を説明するための説明図である。
【図6】図6(A)は、本発明に係るカラー受像管の製造方法における導電膜を形成する工程を説明するために第4電極近傍を表す模式的な側面図であり、図6(B)は、その模式的な上面図である。
【図7】図7は、本発明に係るカラー受像管における電子銃の駆動方法を説明するための説明図である。
【図8】図8(A)〜(C)は、本発明に係るカラー受像管における金属部材の変形例を表す模式的な上面図である。
【図9】図9(A)は、従来の典型的なカラー受像管の製造における金属蒸着膜を形成する工程を説明するために金属部材近傍の構造例を表した模式的な正面図であり、図9(B)は、その模式的な上面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 パネル
2 ファンネル
2A ネック部
3 封止部
4 蛍光体スクリーン
5 電子銃
6 偏向ヨーク(偏向器)
7 内部導電膜
8,8A,8B 金属部材
9,9A,9B 金属蒸着膜(導電膜)
10 ステムピン
11 ビーム発生部
12 主レンズ部
18,18’,68,78 ループ部
28,28’,38,38’ 接続部
50R,50G,50B 陰極
51 第1電極
52 第2電極
53 第3電極
54 第4電極(電極)
55 第5電極
56 第6電極(最終加速電極)
57,57A,57B 絶縁支持体
58R,58G,58B ヒーター
61 シールドカップ
62 接触素子
91,92 金型
93,93’93A,93B 金属基材
96 エッチング溶液
97 外部コイル
108A,108B 金属部材
109A,109B 金属蒸着膜
197 外部コイル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パネル、ネック部を有するファンネル及び封止部を備えた外囲器と、
前記パネルの内壁に形成された蛍光体スクリーンと、
前記ファンネルの内壁に形成された内部導電膜と、
一列に配置された3つの陰極と複数の電極とを有し、3電子ビームを生成するビーム発生部、複数の電極と陽極とを有し、前記3電子ビームの各々を前記蛍光体スクリーンに集束させる主レンズ部、及び、前記ビーム発生部と前記主レンズ部とを支持する絶縁支持体を備え、前記ネック部の内部空間に設けられた電子銃とを含むカラー受像管であって、
前記絶縁支持体の一部を覆うように前記ビーム発生部の前記複数の電極及び前記主レンズ部の前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極に接続され、ループ形状のループ部を有する金属部材と、
前記ネック部の内壁における前記金属部材に対向する領域に形成され、前記内部導電膜と離隔する導電膜とを更に含むことを特徴とするカラー受像管。
【請求項2】
前記金属部材の前記ループ部が、管軸と3つの陰極の配列方向とを含む平面と実質的に平行な平面上に配置されている請求項1に記載のカラー受像管。
【請求項3】
前記金属部材の前記ループ部が、前記電子銃の前記絶縁支持体上に配置されている請求項1に記載のカラー受像管。
【請求項4】
フェースパネルの内壁に蛍光体スクリーンを形成する工程と、
ネック部を有するファンネルの内壁に内部導電膜を形成する工程と、
前記蛍光体スクリーン及び前記内部導電膜を形成した後に、フェースパネルとファンネルとを接合する工程と、
3つの陰極と複数の電極とを有し、3電子ビームを生成するビーム発生部、複数の電極と陽極とを有し、前記3電子ビームの各々の集束を制御する主レンズ部、及び、前記ビーム発生部と前記主レンズ部とを支持する絶縁支持体を備えた電子銃を作製する工程と、
金属部材を作製する工程と、
前記絶縁支持体の一部を覆うように、前記ビーム発生部の前記複数の電極及び前記主レンズ部の前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極に前記金属部材を固定する工程と、
前記電子銃に前記金属部材を固定した後に、前記ネック部の内部空間に前記電子銃を配置し、封止部と前記ファンネルとを接合することにより、前記電子銃を前記ネック部の内部空間に封止する工程と、
前記電子銃を封止した後に、外部コイルを用いた高周波加熱により、前記金属部材を構成する物質を前記ネック部の内壁に蒸着させて導電膜を形成する工程とを含むカラー受像管の製造方法であって、
前記金属部材が、ループ形状であるループ部を有し、
前記導電膜を形成する工程では、前記ループ部に沿った渦電流を発生させることを特徴とするカラー受像管の製造方法。
【請求項5】
前記導電膜を形成する工程では、前記外部コイルの中心軸と前記ループ部の中心軸とを実質的に一致させる請求項4に記載のカラー受像管の製造方法。
【請求項6】
前記金属部材を作製する工程では、プレス加工により前記金属部材を作製する請求項4に記載のカラー受像管の製造方法。
【請求項7】
前記金属部材を作製する工程では、エッチング加工により前記金属部材を作製する請求項4に記載のカラー受像管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−139959(P2006−139959A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326835(P2004−326835)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(503217783)松下東芝映像ディスプレイ株式会社 (176)
【Fターム(参考)】