説明

カラー表示デバイスおよびその製造方法

【課題】 各一個の画素の周辺の画素が駆動させた電位の影響を受けることは少なく、フルカラーの表示をさせる場合であっても所望の色彩にすることができるカラー表示デバイスおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成された可逆的変色層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記可逆的変色層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記可逆的変色層が画素のサイズ以下の島状に区切られてように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPDAなどの電子機器や通信機器、電子書籍、サイネ―ジなどに用いることのできるカラー表示デバイスの発明に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー表示デバイスの発明としては、電気泳動層とカラーフィルタ層とを積層する方式(特許文献2)などが検討されているが、これは不要な色の画素を遮蔽して色彩表示することとなるので、どうしても色が薄く画面が暗くなる問題を抱えていた。そこで、最近ではこの問題を解決する方式として、エレクトロクロミック材料(特許文献1)を用いることにより、駆動させる電位の変化によって各々の画素自体の色彩を変化させる方式が検討されている。例えば、図9に示すように、表示デバイス基材90と、前記表示デバイス基材90の片面に画素50単位でパターン形成されたドライブ層8と、前記表示デバイス基材90の前記ドライブ層8が形成された面とは反対面に全面的に形成されたエレクトロクロミック材料からなる層110とを備える構造とすることで、前記ドライブ層8の各パターン80.81を駆動させて生ずる電位の変化によって前記エレクトロクロミック材料からなる層110の色彩が画素50単位で可逆的に変化するカラー表示デバイス100が得られる。そして特許文献1の実施例では、エレクトロクロミック材料の一例であるCoMEPE−FeMEPEからなる層について、電位の変化に応じて一つの画素50が赤紫、青紫、青、無色と変化することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−112957号公報
【特許文献2】特開2003−280044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、駆動させる電位の変化によって各々の画素自体の色彩を変化させる方式は、全画面を単色のベタで表示させる場合では問題は生じないが、フルカラーの表示をさせる場合、各一個の画素に駆動させた電位だけでなく、その周辺の画素に駆動させた電位の影響も受けるため、必ずしも各画素が所望の色彩にならず、また経時的に各画素の色彩が変化していくなどの問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは以下の発明により上記問題点を解決した。すなわち本発明の第1態様によれば、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成された可逆的変色層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記可逆的変色層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記可逆的変色層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイスを提供する。また本発明の第2態様によれば、前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000である、第1態様のカラー表示デバイスを提供する。
【0006】
また、本発明の第3態様によれば、前記区切られて構成された島どうしが完全に分離独立している、第1態様又は第2態様のカラー表示デバイスを提供する。また、本発明の第4態様によれば、前記区切られて構成された島どうしが一部で連結されている、第1〜3態様のいずれかのカラー表示デバイスを提供する。
【0007】
また、本発明の第5態様によれば、第1〜4態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記可逆的変色層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工による、カラー表示デバイスの製造方法を提供する。また本発明の第6態様によれば、第1〜4態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記可逆的変色層を島状に区切る方法が、フォトリソグラフィーによる、カラー表示デバイスの製造方法を提供する。
【0008】
また、本発明の第7態様によれば、第1〜4態様のいずれかのカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記島状に区切られた可逆的変色層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成する、カラー表示デバイスの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカラー表示デバイスは、表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成された可逆的変色層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記可逆的変色層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記可逆的変色層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とする。したがって、各一個の画素の周辺の画素が駆動させた電位の影響を受けることは少なく、フルカラーの表示をさせる場合であっても所望の色彩にすることができるという効果がある。また経時的に各画素の色彩が変色するのも防止できるという効果がある。
【0010】
また本発明のカラー表示デバイスは、前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000であることを特徴とする。したがって、前記可逆的変色層の各区切られて構成された島のサイズが各画素のサイズよりもかなり小さいので、ドライブ層と前記可逆的変色層との位置合わせをしなくとも、所望の色彩表示ができるという効果がある。
【0011】
また本発明のカラー表示デバイスの製造方法は、前記可逆的変色層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工あるいはフォトリソグラフィーによることを特徴とする。したがって、前記可逆的変色層のの島のサイズをかなり小さく加工できるので、より精細なカラー表示デバイスにすることができるという効果がある。
【0012】
また本発明のカラー表示デバイスの製造方法は、前記島状に区切られた可逆的変色層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成することを特徴とする。すなわち、離型性を有する基体シート上に可逆的変色層および島状にパターン化した接着層を順次形成した転写シートを作成し、該転写シートをドライブ層が形成された表示デバイス基材に積層し、次いで離型性を有する基体シートを剥離して、表示デバイス基材上に島状にパターン化した接着層および島状にパターン化した可逆的変色層層を形成する。したがって、離型性を有する基体シート上にロールツーロールで前記可逆的変色層を形成でき、且つ容易に島状にパターン化できるので、生産性が大きく向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略斜視図であり、色彩が変化する層が完全に分離独立した島状に形成されている構造の例を示す。
【図2】図1をA−A線で切断した概略断面図である。
【図3】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図であり、色彩が変化する層の一部が連結して島状に形成されている構造の例をす。
【図4】本発明のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図であり、色彩が変化する層の各島とドライブ層のパターンとが位置ずれを起こしている構造の例を示す。
【図5】本発明のカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、離型性を有する基体シート上に可逆的変色層および島状にパターン化した接着層を順次形成した転写シートを作成した工程を示す。
【図6】本発明のカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、接着層をレジスト代わりにして可逆的変色層の一部をエッチング除去した工程を示す。
【図7】本発明のカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写シートを表示デバイス基材に積層した工程を示す。
【図8】本発明のカラー表示デバイスの製造方法の一例を示した概略断面図であり、転写離型性を有する基体シートを剥離して、表示デバイス基材上に島状にパターン化した接着層および島状にパターン化した可逆的変色層を転写形成した工程を示す。
【図9】従来技術のカラー表示デバイスの構成例を示した概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のカラー表示デバイスについて説明する。図1に示すカラー表示デバイス1は、表示デバイス基材90の裏面に画素50単位でドライブ層8がパターン形成され、表面に、溝28によって各画素50のサイズ以下の島に区切られた可逆的変色層が形成されている。そして各一個の画素50のサイズは、ドライブ層8の各々のパターン80、81によって決定される。このカラー表示デバイス1をA−A線で切断した概略断面図が図2である。図2において可逆的変色層10は溝28によって島15,16,17、18、19、20に区切られ、そのうち島15,16,17、18が1つの画素に含まれる。
【0015】
表示デバイス基材90としては、ケイ酸ガラス、アクリルガラス、カルコゲンガラス、有機ガラスなどの各種のガラスやポリエステル、ウレタン、アクリル、塩化ビニルなどの各種プラスチックフィルムなどが挙げられるが、これ以外の材料であっても構わない。
また、透明であっても着色されていてもよい。ただ、後述するドライブ層8を透して背後の可逆的変色層10を見る場合は透明である必要があり、ドライブ層8を背後にして視認しないようにする場合には隠蔽性のある白や黒などの着色がされている必要がある。
【0016】
ドライブ層8としては、アモルファスシリコンなどの無機物あるいはペンタセンなどの有機物からなる薄膜トランジスタ(TFT)やメタルインシュレーターメタル(MIM)などが挙げられるが、これ以外の材料であっても構わない。ドライブ層8が透明な材料(たとえば亜鉛酸化物、スズ酸化物、インジウム酸化物、銅酸化物、ニッケル酸化物などの透明酸化物半導体材料)からなる場合には、可逆的変色層10の前面に配置し、ドライブ層8を透して背後の可逆的変色層10を見ることもできる。
【0017】
可逆的変色層10の材質は、前述した特許文献1のカウンターアニオンと金属イオンとビスターピリジン誘導体分子とが数珠つなぎになった有機/金属ハイブリッドポリマーからなるエレクトロクロミック(EC:Electro Chromic)材料が挙げられるが、電位の変化によって色彩が変化する材料であれば他の材料であっても構わない。
【0018】
可逆的変色層10の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法や各種コーターによる方法、スピンコート、塗装のほか、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、鍍金法などの方法でするとよい。可逆的変色層10の厚みは0.05〜200μmの範囲内に形成するのが好ましい。可逆的変色層10の厚さが0.05μm未満になるとピンホールなどの欠陥が発生しがちになり、厚さを200μmより厚くしても効果が上がらず生産性が低下するだけだからである。なお、図面では可逆的変色層10を表示デバイス基材90のドライブ層8が形成された面とは反対面に可逆的変色層10を設けているが、可逆的変色層10を表示デバイス基材90のドライブ層8が形成された面に設けてもよい。
【0019】
そして、可逆的変色層10には溝28が形成され、図2に示す断面図では各一個の画素50のサイズ以下の島15,16,17、18、19、20に区切られて各々独立した構造になっている。このような構造にすることによって、ドライブ層8を駆動させて電位を変化させた場合、島15,16,17、18の可逆的変色層10にはパターン80において生じた電位の変化のみの影響を受け、隣のパターン81に生じた電位の変化の影響は溝28によって遮断されることになる。
【0020】
したがって、パターン80に生じた電位の変化と隣のパターン81に生じた電位の変化とがかなり異なっていても、島15,16,17、18の可逆的変色層10はパターン80に生じた電位の変化のみによって色彩が変化し、島19,20の可逆的変色層10はパターン81に生じた電位の変化のみによって色彩が変化する。その結果、各一個の画素50は独立して所望の色彩に変化させることができるので、これを画面全体に適用すればフルカラー制御のできるカラー表示デバイス1を得ることができる。
【0021】
なお、図2に示す断面図では島15,16,17、18、19、20が完全に分離独立して形成されている例を示しているが、一部が連結された構造(図3参照)のものも権利範囲に含まれる。すなわち、隣のパターン81に生じた電位の変化を受けない程度に溝28によって区切られ島15,16,17、18、19、20が形成されていれば、それ以外の形状は制限されないという意味である。図3に示すように一部が連結された島構造の場合、可逆的変色層10の上に保護層等を形成し保護層と表示デバイス基材90との密着が悪い場合において、可逆的変色層10がそれらの密着を助けるアンカー層の役割を果たすという優位点がある。
【0022】
各島のサイズ(長さ)は、図2および図3に示されるような画素50のサイズ(長さ)の1/4か、それより小さくすることが望ましい。その理由は、図4に示されるように島15,16,17、18とドライブ層8のパターン80とが位置ずれを起こして製造された場合、島18はドライブ層8のパターン80の電位の変化だけでなく、パターン81の電位の変化の影響を受けてしまって所望の色彩に制御できなくなるが、島15,16,17の可逆的変色層10はパターン80に生じた電位の変化のみによって色彩が変化し所望の色彩に制御できるため、一個の画素50としては、許容できる範囲に所望の色彩に制御できることとなるためである。
【0023】
すなわち、各島のサイズを画素50のサイズの1/4か、それより小さくすることによりドライブ層8と可逆的変色層10との位置合わせをしなくとも、所望の色彩表示ができるという効果があるからである。ただし、各島のサイズを画素50のサイズの1/1000よりも小さくするのは、それだけ多くの溝28を形成し、各溝の幅も小さくしなければならないことから、生産性に問題があり効果も上がらない。よって島のサイズは、画素50のサイズの1/4〜1/1000にすることが好ましい。
【0024】
可逆的変色層10の厚みは0.1〜200μmの範囲内に形成するのが好ましい。色彩が変化する層10の厚さが0.1μm未満になるとピンホールなどの欠陥が発生しがちになり、厚さを200μmより厚くしても効果が上がらず生産性が低下するだけだからである。
【0025】
溝28の幅は0.02〜200μmの範囲で設定するのが好ましい。溝28の幅を200μmより大きくすると溝28が視認者に見えてしまって外観意匠上好ましくなく、溝28の幅を0.02μm未満にしようとすると、生産性に問題があり効果も上がらないからである。溝28の深さは、可逆的変色層10の厚みの1/4〜1/1の範囲が好ましい。可逆的変色層10の厚みの1/4未満しか区切りがなければ、隣のパターン81に生じた電位の変化の影響を受けやすくなるためである。
【0026】
可逆的変色層10に溝28を形成し、画素50のサイズ以下の島15,16,17、18、19、20に区切られた構造にする方法としては、ナノインプリント加工やフォトリソグラフィーが挙げられるが、これ以外の方法であっても構わない。
【0027】
具体的には、所望する溝28および島15,16,17、18、19、20の形状を反転した形状のナノインプリント型を作成し、それを可逆的変色層10の上にセットし、常温または熱を加えながら一定の圧力で押圧する、所謂常温ナノインプリント法または熱ナノインプリント法により形成する。あるいは可逆的変色層10を紫外線硬化型にできるのであれば、やや弱めの圧力で押圧して紫外線照射することにより硬化させて所定の形状にする、所謂UVナノインプリント法により形成してもよい。
【0028】
また電離放射線で硬化または可溶化層する層を形成し、電離放射線で露光し、現像した後、それをエッチングレジストとして可逆的変色層10をエッチングすることにより形成してもよい。電離放射線の例としては、可視光線、紫外線、赤外線、電子線、X線、ガンマ線などが挙げられる。電離放射線で硬化する材質としてはカリックスアレーンなどのレジストが挙げられ、電離放射線で可溶化する材質としてはアクリル系、ピリミジン系、ノボラック系などの樹脂レジストが挙げられる。
【0029】
エッチングは、異方性エッチング方式が好ましい、異方性エッチングとは、膜面方向の方位に対してはエッチングが抑制される性質のエッチングのことであり、具体的には、酸素、アルゴン、フッ素系ガスなどのプラズマを用いたドライエッチング方式などが挙げられる。エッチング後はエッチングレジストを剥離除去してもよい。剥離液は水酸化ナトリウム、水酸化カリウム水溶液などのアルカリレジスト剥離液やトルエンなどの有機溶剤などが挙げられる。
【0030】
上記ナノインプリント加工やフォトリソグラフィーでは非常に細く深い(高アスペクト比の)微細な溝を掘ることができる。したがって、色彩が変化する層の島のサイズをかなり小さく加工できるので、より精細なカラー表示デバイスにすることができるという効果がある。
【0031】
また、可逆的変色層10は表示デバイス基材90上に直接形成してもよいが、離型性を有する基体シート60上に可逆的変色層10および島状にパターン化した接着層70を順次形成した転写シート65を作成し(図5参照)、接着層70をレジスト代わりにして可逆的変色層10の一部をエッチング除去し(図6参照)、次いで転写シート65を裏面にドライブ層8が形成された表示デバイス基材90に積層し(図7参照)、次いで離型性を有する基体シート60を剥離して、裏面にドライブ層8が形成された表示デバイス基材90上に島状の接着層70および島状の可逆的変色層10を転写形成してもよい(図8参照)。
【0032】
この方法では、離型性を有する基体シート60上にロールツーロールでかつ広幅で可逆的変色層10を形成でき、容易に島状にパターン化できるので、生産性が大きく向上するという効果がある。
【0033】
離型性を有する基体シート60としては、表面にフッ素、シリコン、メラミンなどの樹脂がコートされた5〜800μmのアクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニルなどの樹脂フィルムが挙げられる。
【0034】
接着層70としては、アクリル系、ウレタン系、ビニル系、ゴム系などの樹脂からなる層が挙げられ、グラビア、スクリーン、オフセットなどの汎用の印刷法、各種コーターによる方法、塗装、ディッピングなどの方法で形成するとよい。接着層70を島状にパターン化する方法としては、前述のフォトリソグラフィーなどを用いるとよい。エッチングの方式も前述の異方性エッチング方式などを用いるとよい。なお、可逆的変色層10の接着層70が形成されていない部分を基体シート60に残したまま、可逆的変色層10の接着層70が形成されている部分だけを転写できるのであれば、接着層をレジスト代わりにして可逆的変色層10をエッチングする工程(すなわち図6の工程)を省略してもよい。あるいは、可逆的変色層10の一部を別途レジストにてエッチング除去して島状にパターン化してから、接着層70を全面的に形成してもよい。
【0035】
転写方法としては加熱したパットを押し当てる熱転写法や、別のラミネート接着層を介して接着するドライラミネート法、成形同時転写法などが挙げられる。
【実施例1】
【0036】
離型性を有する基体シートとしてシリコン樹脂をコートした25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用意し、該離型性を有する基体シート上に厚み2μmの金属イオンと有機分子が数珠つなぎになった有機/金属ハイブリッドポリマーからなる可逆的変色層、厚み1μmのノボラック樹脂からなる接着層を順次グラビア印刷によって全面に形成した。
【0037】
次いで接着層上に幅5μmの溝で区切られた面積2500μmの正方形の島状にパターン化したフォトマスクを載せ、メタルハライドランプ光源の露光光線を照射しテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドで現像し、接着層を島状にパターン化した。次いで、ドライエッチングし、色彩が変化する層も島状にパターン化した転写シートを得た。
【0038】
次いで上記転写シートを、裏面に一個の画素のサイズが200μm角の正方形でペンタセンからなるTFTドライブ層が形成された厚み2mmのソーダガラスからなる表示デバイス基材に積層し、200℃に加熱されたシリコンパッドでもって2秒間2気圧の圧力で押圧した。冷却後、転写シートの離型性を有する基体シートを剥離したところ、表示デバイス基材上に島状の島状の可逆的変色層および接着層が転写形成されたカラー表示デバイスが得られた。
【0039】
得られた、カラー表示デバイスに対しー2Vから+2Vの範囲で電位を変えて駆動させたところ、その電位の変化に応じて可逆的変色層の色彩が変化した。なお、色彩が変化する層とTFTドライブ層とは若干の位置ずれが生じていたが、各画素のカラー表示に対して影響はなく、所望のフルカラー表示が可能であった。
【符号の説明】
【0040】
1,100 カラー表示デバイス
8 ドライブ層
10 可逆的変色層
15,16,17,18,19,20 各画素のサイズ以下の島
28 溝
50 画素
60 離型性を有する基体シート
65 転写シート
70 接着層
80、81 ドライブ層のパターン
90 表示デバイス基材
110 エレクトロクロミック材料からなる層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示デバイス基材と、前記表示デバイス基材の片面に画素単位でパターン形成されたドライブ層と、前記表示デバイス基材の前記ドライブ層が形成された面又は反対面に形成された可逆的変色層とを備え、前記ドライブ層の各パターンを駆動させて生ずる電位の変化によって前記可逆的変色層の色彩が画素単位で可逆的に変化するカラー表示デバイスであって、前記可逆的変色層が画素のサイズ以下の島状に区切られて構成されていることを特徴とするカラー表示デバイス。
【請求項2】
前記区切られて構成された島のサイズが、画素のサイズの1/4〜1/1000であることを特徴とする請求項1に記載のカラー表示デバイス。
【請求項3】
前記区切られて構成された島どうしが完全に分離独立していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカラー表示デバイス。
【請求項4】
前記区切られて構成された島どうしが一部で連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラー表示デバイス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記可逆的変色層を島状に区切る方法が、ナノインプリント加工によることを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記可逆的変色層を島状に区切る方法が、フォトリソグラフィーによることを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれかに記載のカラー表示デバイスを製造する方法であって、前記島状に区切られた可逆的変色層を転写法により前記表示デバイス基材上に形成することを特徴とするカラー表示デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−180431(P2011−180431A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−45481(P2010−45481)
【出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(000231361)日本写真印刷株式会社 (477)
【Fターム(参考)】