説明

カルコン3−ヒドロキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子

【課題】濃黄色の着色を有する花の提供。
【解決手段】特定な配列からなる核酸分子を含んで成るか、特定な配列からなる核酸分子を含んで成る分子とハイブリダイズすることができる、カルコン3−ヒドロキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る単離された核酸分子。ここで前記ヌクレオチド配列は、モチーフFASRPLSX1X2G(X3)m(GSAGGD)n(ここでX1は、トレオニン又はセリンであり、X2はアラニン又はグリシンであり、X3はいずれかのアミノ酸であり、mは50〜200の整数であり、nは0又は1である)を含んで成るポリペプチドを含んで成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルコン3−ヒドロキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る核酸分子に関する。
【背景技術】
【0002】
花の色は、装飾用植物の最も目立つ特徴の1つであり、そして従って、それらの市場価値のための有意な因子である。従来の成長とは別に、新規種の創造のための遺伝的アプローチはますます、重要になっている。青色のカーネーション、及び世界中、多くの国々ですでに市販されている、いわゆる青色のバラの生成についての例が存在する。
【0003】
花の色の開発は主に、2種の異なった色素グループ、すなわちカロテノイド及びフラボノイドの存在に基づかれる。アントシアニンのフラボノイド種類は主に、赤、青及び紫の花の色の形成を担当し、ところが黄の花の色は、ほとんどの場合、カロテノイドの蓄積に起因する。しかしながら、いくつかの植物種においては、黄色の植物色は、黄色のフラボノイド類及びそれらの生合成的に関連する花黄色色素(カルコン及びアウロン)により形成される。従って、それぞれカルコン又はフラボノイド代謝の変性は、花色の変更に決定的に寄与する。青色の花を有する植物を成長せしめるが、黄色の品種はまったく入手できないか又は単に時折入手できる、装飾用植物における黄色の花色の導入は特に興味の対象である。しばしば、色素構造におけるわずかな少々の修飾が、劇的な色の変化をもたらす。この上記すべては、基本的構造におけるヒドロキシル基の数に適用される。
【0004】
それらの化学的純粋な形での多くのフラボノイド類は、淡黄色を有するが、花弁におけるそれらの存在は、黄花色の進行をもたらさない。A−環の通常の5,7−ヒドロキシル化パターンの他に、いわゆる“黄色のフラボノイド”は、位置6又は8で追加のヒドロキシル基を有し、これが長い波長域への吸収シフト及び従って、黄色の増強をもたらす。そのような高いヒドロキシル化された化合物の存在は、黄色の花色の進行をもたらす。クエルセタゲチンは種々の種のマリーゴールドにおいて黄色の色素として最初に同定されており、そしてまた、キヌガサギク(Rudbeckia hirta)の花にも存在する。
【0005】
黄色フラボンは、キク科(Asteraceae)のいくつかの花における主要色素を提供する。通常の有力なフラボンは黄色の花色の進行をもたらさないが、ルテオリンのB環の位置2’での追加のヒドロキシル基の存在が色素の黄色化をもたらす。イソエチン(2’−ヒドロキシルウテオリン)は、ヘイウッディエラ・オリゴセファラ(Hywoodiella oligocephala)の黄色の主要色素として同定された。2’−ヒドロキシル化を触媒するヒドロキシラーゼの導入は、一般的に単に通常のフラボンを生成する、トランスジェニックの植物の花に黄色のフラボンの形成をもたらす。
【0006】
追加のヒドロキシル基の存在が黄色の花色の進行をもたらす黄色のフラボノールの比較して、それぞれ、アントシアニン又はアントシアニジンの3’位置でのヒドロキシル基の欠失は、短い波長域への吸収のシフトを担当でき、そして従っていわゆる3−デオキシアントシアニンのオレンジ及び黄色を担当できる。3−デオキシアントシアニンは、イワタバコ科(Gesneriaceae)、ゼア・メイス(トウモロコシ)及びモロコシ属(キビ)のような数種の植物のみに存在する、まれな植物色素である。
【0007】
このグループの3種の代表物、すなわちアピゲニニジン(3−デオキシペラルゴニジン)、ルテオリニジン(3−デオキシシアニジン)及びコルチニジンが同定されている。しかしながら、それらのうち、アピゲニニジン誘導体のみが、黄色の花色に寄与している。他のものは、オレンジ色〜淡赤色化を有する。3−デオキシアントシアニンのための前駆体としてのフラバン−4−オールの生化学的形成は、位置4でのフラバノンのカルボニル基の還元により引き起こされる。この反応は、多数の栽培される植物及び装飾用植物におけるデヒドロフラボノール−4−レダクターゼにより触媒されるが、しかしながら、FHT反応が阻害されている植物においては通常わずかに生じる。
【0008】
深黄色の花黄素色素(カルコン及びアクロン)は天然において単に制限された広がりを有するが、しかしながら、キク科又はゴマノハグサ科においては頻繁に存在する。一般的に、2種のタイプのカルコン、すなわち6’−ヒドロキシカルコン(フロログルシノールタイプ)及び6’−デオキシカルコン(レソルシノールタイプ)が花において合成され得る。それぞれのアウロンは、4−ヒドロキシ−及び4−デオキシアウロン(同一の位置、異なった数の環)である。6’−デオキシカルコンは、ポリケチド中間体を通して、カルコンシンターゼ及びカルコンケチドレダクターゼ(CHKR、別名ポリケチドレダクターゼ、PKR、カルコンレダクターゼ)により形成される。
【0009】
カルコンは、すべてのフラボノイド種類のための二次植物代謝物及び生化学的前駆体である。従って、及び植物におけるそれらの生理学的機能、同様のもの、例えば花色に対する影響のために、それらは、植物生理学において重要な役割を演じる。広くゆきわたっている5−ヒドロキシフラボノイドの生合成の中間体を表す通常の6’−ヒドロキシカルコンの他に、よりまれな6’−デオキシカルコンは、化学的に、それらはそれぞれの5−デオキシフラバノンに転換され得るが、そしてまた、ほとんどの植物のカルコンイソメラーゼ(CHI)による基質として許容されないので、キク科の種の植物において、しばしば蓄積する。
【0010】
6’−デオキシカルコンの蓄積は、黄色の花色の進行をもたらす。他方では、6’−デオキシカルコンは、それらはフラバノに酵素的に又は化学的に転換され得るので、まれな場合ではあるが、植物組織に蓄積される。従って、単に少数の場合において、それらは、カーネーション(Dianthus caryophyllus)、キンギョソウ(Antirrhinum majus)及び永久花(Helichrysom bracteatum)におけるように、花の黄色化を担当できる。なぜならば、CHIの他に、それらの変異体はフラボノイド代謝の少なくとももう1つの酵素活性を欠いているからである。
【0011】
フラボノイドのように、カルコンはまた、B−環における位置4(フラボノイドにおける位置4’に対応する)で、すなわち位置3又は3及び5(フラボノイドにおける位置3’又は3’及び5’に対応する)で、ヒドロキシル基の他に、追加のヒドロキシル基を有することができる。シトクロムP450−依存性モノオキシゲナーゼにより触媒される、位置3’及び3’, 5’でのフラボノイドの非常に十分に研究されたヒドロキシル化に比較して、カルコンのB−環における追加のヒドロキシル基の導入を担当できる酵素については、長い間、不明確であった。6−デオキシカルコンの位置3でのヒドロキシル基の導入がシトクロム−P450−依存性モノオキシゲナーゼにより触媒されることが示された。それらの花弁にカルコンを蓄積する種々の植物、及びカルコンを蓄積しないそのような植物の1つの組換えF3’に関する研究は、それらのF3’Hが、カルコンのヒドロキシル化を触媒できないことを示した。
【0012】
すでに言及されたように、F3’Hは、膜結合されるシトクロム(cyt)P450−依存性モノオキシゲナーゼである。Cyt P450酵素のスーパーファミリーは、NADPHはNADHの存在下で多数の基質との多くの異なった及び複雑な酸化反応を触媒する非常に種々の酵素群である。それらは、ヘムグループを包含し、そして原核生物及び真核生物において存在する。植物おいては、非常に多数のcyt P450遺伝子が見出され得る。例えばArabidopsis属においては、cyt P450遺伝子が検出される。cyt P450酵素の配列同一性はしばしば、非常に低い。
【発明の概要】
【0013】
本発明の目的は、例えば植物における着色に影響を及ぼすために、B−環におけるカルコンをヒドロキシル化できるポリペプチドをコードする核酸の提供である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、コスモスCH3H及びF3’Hアミノ酸配列の対の一列整列を示す。
【図2】図2は、種々のF3’Hアミノ酸配列の領域の一列整列を示す。
【図3】図3は、ナリンゲニル(100%)に対してコスモスF3’H及びM2の%での基質特異性を示す。
【図4】図4は、コスモス・スルフレウス(Cosmos sulphureus)のそれぞれ、CH3H又はF3’Hのキメラ及び突然変異誘発された遺伝子の構成の図示、及び得られる組換え酵素のターンオーバー率(0−5%:−、6−30%;+、31−60%:++、61−100%:+++)を示す。
【図5】図5は、キメラ遺伝子の構成のために使用されるプライマーを示す。
【図6】図6は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図7】図7は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図8】図8は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図9】図9は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図10】図10は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図11】図11は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図12】図12は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図13】図13は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図14】図14は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図15】図15は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図16】図16は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【図17】図17は、種々のフラボノイドヒドロキシラーゼの核酸配列を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、配列番号1を含んで成るか、又は配列番号1と60%の同一性を有するか、又は配列番号1の配列を含んで成る分子とハイブリダイズすることができる、カルコン3−ヒドロキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る単離された核酸分子に関し、ここで前記ヌクレオチド配列は、モチーフFASRPLSX1X2G(X3)m(GSAGGD)n(ここでX1は、トレオニン又はセリンであり、X2はアラニン又はグリシンであり、X3はいずれかのアミノ酸であり、mは50〜200の整数であり、nは0又は1である)を含んで成るポリペプチドを含んで成ることを特徴とする。
【0016】
本発明によれば、一定のモチーフ(上記に定義されるような)を有するポリペプチド、特に例えばフラボノイド3’−ヒドロキシラーゼのようなヒドロキシラーゼが、位置3でカルコンをヒドロキシル化できることが見出された。そのようなヒドロキシラーゼの知識は、インビボでヒドロキシラーゼを過剰発現するか又は阻害するためにそれらのヒドロキシラーゼの発現の調整を可能にする。特に、それらの酵素の知識は、それぞれ、植物又は植物細胞におけるヒドロキシル化されたカルコンの量の調整を可能にし、従って、植物又は植物細胞における色彩組成の変更を可能にする。従って、本発明の核酸分子を含んで成る植物は例えば、濃黄色の着色を有する花を有する。
【0017】
本発明の核酸分子は、位置3での種々のカルコン(これは例えば、6’−デオキシカルコン及びジヒドロカルコンを含む)のヒドロキシル化を触媒する。6’−ヒドロキシカルコン及び4−デオキシアウロンの場合、これは、3,4−ヒドロキシパターンを有するカルコンの富化のために黄色の着色の増強、及びまた、そのようなカルコンはまた、アウロン形成酵素のための好ましい前駆体を提供するので、アウロンの高められた形成をもたらす。ジヒドロカルコンの場合、病原体防御に包含されるか、又はそれらの酸化防止性質のために、健康のための有益な効果を有する、3−ヒドロキシカルコン誘導体の形成が促進される。
【0018】
本発明の核酸分子は、ヌクレオチド配列としての配列番号1、又は配列番号1と少なくとも60%、好ましくは少なくとも65%、好ましくは少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも90%、好ましくは少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、好ましくは少なくとも99%、特に100%同一性有することができる。
【0019】
少なくとも2種の配列間の同一性は、D.J.Lipman及びW.R.Pearson (Science 227 (1985), 1435-1441)、又はF. Corpet (Nucl. Acids Res. 16 (1988), 10881-10890)の方法によれば、1つの核酸又はアミノ酸配列が少なくとも1つの追加のそれぞれの配列の上部に配置される(“一列整列”)、オーバーラッピングにより達成され得る。好ましくは、これは、市販のコンピュータープログラムにより適用されるアルゴリズムを用いて行われる。これは例えば、好ましくはデフォールト標準パラメーターと共に、InforMax, Inc., USAから入手できるプログラムVector NTi''''Suite 7.0を包含する。配列同一性が決定され得る、さらなるソフトウェアは例えば、“Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、 1710 University Avenue、 Madison、WI 53705”である。このソフトウェアは、相同性の程度の配分により、類似する配列をオーバーラップする。
【0020】
本発明の核酸分子は、配列番号1の配列を含んで成る分子とハイブリダイズすることができる。
【0021】
ハイブリダイゼーションは、染色体DNAにおいて天然において存在する結合に類似する水素結合によりお互い核酸の相補鎖(すなわち、センス:アンチセンス鎖)の結合を表す。1つの核酸を標的核酸によりハイブリダイズするためには、緊縮レベルが使用される。それらの条件は、当業者により容易に変更され得る。本発明によれば、核酸分子は、多かれ少なかれ、緊縮条件下でハイブリダイズする。
【0022】
用語“緊縮ハイブリダイゼーション”は、核酸ハイブリッドが安定している条件を表すために本明細書において使用される。当業者に知られているように、ハイブリッドの安定性は、ハイブリッドの溶融温度(Tm)において影響される。一般的に、ハイブリッドの安定性は、ナトリウム濃度及び温度の関数である。典型的には、ハイブリダイゼーション反応は、低い緊縮性の条件下で行われ、続いて種々の洗浄が伴うが、但しより高い緊縮性下で行われる。ハイブリダイゼーション緊縮性についての参照は、そのような洗浄条件に関連する。
【0023】
本明細書において使用される場合、用語“適度に緊縮性のハイブリダイゼーション”とは、標的DNAと、約60%の同一性、好ましくは約75%の同一性、より好ましくは約85%の同一性を有する相補的核酸と標的核酸との結合を可能にする条件を示し;ここで標的DNAとの約90%以上の同一性が特に好ましい。好ましくは、適度に緊縮性の条件は、42℃での50%ホルムアミド、5×Denhardt’s溶液、5×SSPE、0.2%SDSにおけるハイブリダイゼーション及び0.2×SSPE、0.2%SDS(65%での)における続く洗浄に等しい条件である。
【0024】
用語“高い緊縮性でのハイブリダイゼーション”とは、65℃で0.018MのNaClにおいて安定したハイブリッドを形成する、それらの核酸配列のみのハイブリダイゼーションを可能にする条件を示す(すなわち、ハイブリッドが65℃で0.018MのNaClにおいて安定しない場合、それらが本明細書において考慮される場合、それは高い緊縮性の条件下で安定性ではないであろう)。高い緊縮性の条件は例えば、42℃で50%ホルムアミド、5×Denhardt’s溶液、5×SSPE、0.2%SDSにおけるハイブリダイゼーション、及び65℃で0.1×SSPE及び0.1%SDSにおける続く洗浄により提供され得る。
【0025】
用語“低い緊縮性でのハイブリダイゼーション”とは、42℃で10%ホルムアミド、5×Denhardt’s溶液、6×SSPE、0.2%SDSにおけるハイブリダイゼーション及び50℃で0.1×SSPE、0.2%SDSにおける続く洗浄に等しい条件を示す。Denhardt’s溶液及びSSPE(例えば、Sambrookなど., Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989を参照のこと)は、他の適切なハイブリダイゼーション緩衝液のように、当業者に知られている。
本発明によれば、配列番号1は、次のヌクレオチド配列を有する:
【0026】
【表1】

【0027】
本発明によれば、配列番号1によりコードされるポリペプチドは、次のアミノ酸配列を有する:
【0028】
【表2】

【0029】
(配列番号2)
【表3】

【0030】
本発明の好ましい態様によれば、前記モチーフは、FASRPLSTAG(X3)m(GSAGGD)n又はFASRPLSSGG(X3)m(GSAGGD)nである。
このモチーフを有するポリペプチドは、本発明に従って使用されるためには特に適切化される。
本発明のさらなる観点は、本発明の核酸分子を含んで成るベクターに関する。
【0031】
本発明の核酸分子は、ベクター中に導入され得る。このベクターを用いて、核酸分子は、植物の細胞又は微生物中に導入され得る。使用されるベクターは、それぞれの生成物のクローニング又は発現のために使用され得る。従って、ベクターは、プロモーター、複製の起点、等のようなそれぞれの要素を供給される。本発明の使用されるベクターは、細胞有効性プロモーター、例えばCaMV 35Sプロモーター、ナパリンシンターゼプロモーター又はスクロースシンターゼプロモーターを含むことができる。
【0032】
ベクターが本発明の核酸分子を、標的細胞のゲノム中に導入するために使用される場合、それぞれの要素がベクターで供給され、ゲノム中への核酸の組換えを可能にする。
本発明に従って使用され得るベクターは、当業者に十分に知られており、そしてほとんど異なった手段で細胞中に導入され得る。従って、本発明のベクターは、それぞれ、エレクトロポレーション、マイクロプロジェクトボンバードメント、アグロバクテリウムを用いての、又はRNA又はDNAウィルスにより、標的細胞中に導入され得る。
【0033】
本発明のさらなる観点は、本発明の核酸分子又はベクターを含んで成る細胞、特に植物細胞に関する。明白には、例えば酵母、E.コリ、糸状菌及び同様のものとして、他の細胞において利用できる、本発明の核酸分子又はベクターを、それぞれ製造することもまた可能である。
【0034】
本発明のさらなる観点は、例えば3−ヒドロキシフロレチン誘導体、ブテイン及びエリオジクチオールカルコンとして、3,4−ヒドロキシル化パターンを有するカルコン誘導体の生成への本発明の核酸分子又はタンパク質の使用に関する。
【0035】
本発明の核酸分子は、本発明のポリペプチドを発現できるトランスジェニック植物を生成するために、植物細胞及び従って植物中に導入され得る。従って、本発明のさらなる観点はまた、本発明の核酸分子又はベクターを含んで成るトランスジェニック植物にも関する。それぞれ、本発明の核酸分子又は本発明のベクターは、当業者に十分に知られている方法を用いて、植物細胞及び植物中に導入され得る。
【0036】
好ましくは、前記植物は、装飾用植物、特にペチュニア(petunias)、セントポーリア(African violets)、ツツジ(azaleas)、ツツジ属(rhododendrons)、テンジクアオイ類(pelargonium)、フクシア(fuchsias)、シクラメン(cyclamens)、ポインセチア(poinsettias)、キンギョソウ属(Antirrhimum)、コンギク属(Aster)(Asteraceae)、ゲゴニア(Begonia)(Begoniaceae)、カリステパス(Callistephus)(Asteraceae)、ホタルブクロ属(Campanula)(Campanulaceae)、カサランタス(Catharanthus)(Apocynaceae)、キク(Chrysanthenum)(Asteraceae)、シネラリア(Cineraria)(Asteraceae)、デダントレマム(Dedanthremum)(Asteraceae)、ナデシコ(Dianthus)(Caryophyllaceae)、ダリア(Dahlia)(Asteraceae)、トウダイグサ(Euphorbia)(Euphorbiaceae)、ガーベラ(Gerbera)(Asteraceae)、アジサイ属(Hydrangea)(Hydrangeaceae)、ユリ(Lilium)(Liliaceae)、リシアンタス(Lisiantus)(=ユーストマ)(=Eustoma)(Gentianaceae)、ワスレナグサ属(Myosotis)(Boraginaceae)、ニエレムベルギア(Nierembergia)(Solanaceae)、ラン属(Orchidaceae)、オステオスペルマム(Osteospermum)(Asteraceae)、バラ属(Rosa)(Rosaceae)、スカエウォラ(Scaevola)(Scaevola)(Goodeniaceae)、シンニンギア(Sinningia)(Gesneriaceae)、ストレプトカルパス(Streptocarpus)(Gesneriaceae)、トレニア(Torenia)(Linderniaceae)、チューリップ(Liliaceae)、ビジョザクラ(Verbena)(Violaceae)及びマラスsp.(Malus sp.)から成る群から選択される。
【0037】
本発明は核酸分子の存在のために、ポリケチドレダクターゼ又はアクロンシンターゼに基づかれる遺伝子工学的アプローチがまた実質的に増強される。純粋に黄色の着色が達成される予定である場合、好ましくは白色又はクリームの植物が使用され、ここでカルコンイソメラーゼ変異体又はポリケチドレダクターゼを有する植物が好ましい。ピンク色−又は赤色に開花する植物を用いる場合、オレンジ色又は鮮肉色の花が形成される。
【0038】
さらに、本発明の核酸分子によりコードされる本発明のポリペプチドを発現する、特に過剰発現する植物が、病原体、特に真菌、ウィルス、ウイロイド、細菌及び線形虫に対して高められた耐性を有することが示された。特に、そのような植物は、さび菌/担糸菌、フィトホラ(Phytophora)、ブルメリア/ペロノスホラセア(Blumeria/Peronosporacea)、大麦イエロードーフウィルス(yellow dwarf virus)、サトウキビモザイクウィルス、プラムポックス(plum pox)、キサントモナス・カムペストリックpv. シトリ(Xathomonas campestric pv. Citri)、エルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)、エルウィニア・カロトボラ(Erwinia carotobora)、メロイドジネ・インコグニタ(Meloidogyne incognita)及びヘテロデラ・スカチイ(Heterodera schachtii)に対する耐性を示す。
【0039】
本発明のさらなる観点は、本発明のトランスジェニック植物の切花又は種子に関する。
本発明はさらに、次の図面及び例に基づいて、より詳細に示されるが、しかしながら、それらは本発明を制限しない。
【実施例】
【0040】
例1
材料及び方法
植物材料
試験を、コスモス・スルフレウスcv. “Sunny Goldgelb”(Austrosaat, Austria)の花弁により実施した。植物材料を、2006年、夏、及び2007年、夏に集め、液体窒素においてショック−凍結し、そして−80℃で貯蔵した。
【0041】
化学薬品
[14C]イソリクイリチゲニン(ISO)を、Halbwirthなど. (2006)[Plant Science 170 (2006) 587-595]に記載のようにして、4−ヒドロキシ[環−U−14C]ベンズアルデヒド(33.1Mbq/mg)から出発して合成した。14[C]ナリンゲニン(NAR)、[14C]ジヒドロケンプフェロール(DHK)、[14C]ケンプフェロール(KAM)及び[14C]アピゲニン(API)の合成を、Halbwirth及びStich(2008)[Phytochemistry 67 (2006) 1080-1987]に従って実施し;ナリンゲニン合成については、[2−14C]マロニル−補酵素A(55mCi/mモル)(Amersham International, UK)及び組換えカルコンシンターゼを使用し、そしてDHK, KAM及びAPIの続く合成を、マルス・ドメスチカ(Malus, domestica)からの組換えフラバノン3−ヒドロキシラーゼ、ルドベクキア・ヒルタ(Rudbeck hirta)からの組換えフラボノールシンターゼ、及びダリア・バリアビリス(Dahlia variabilis)からの高フラボンシンターゼII活性を有するミクロソーム酵素調製物により、それぞれ実施した。
【0042】
コスモス・スルフレウスCH3Hのクローニング
cDNA合成のために、コスモス・スルフレウス花弁からのmRNAを、MMACS mRNA単離キット(Miltenyl Biotec)により抽出し、そして逆転写を、RevertAid H Minus MuLV逆転写酵素キット(Fermentas Life Science)及びOligo(−dT)アンカープライマーCACCACGCGTATCGATGTCGAC(T)16Vにより実施した。次にRT PCRを、HCBI遺伝子銀行からの次のキク科(アステラセアエ)F3’H配列の保存された領域に由来する、変性されたプライマーTGGMGDATGCTKMGGAARATYTG(前方プライマー)及びGCCCATTCMAYNGTRCTAGATGA(逆方向プライマー)により実施した:
【0043】
キヌガサギク(Rudbeckia hirta)(Acc. No.:FJ216431)、エキノプス・バンナチカス(Echinops bannaticus)(Acc. No.:FJ753549)、ヤグルマギク(Centaurea cyanus)(Acc. N.:FJ753550)、ガーベラ(Gerbera hybrida)(Acc. No.:ABA64468)、オステオスペルマム・ヒブリダ(Osteospermum hybrida)(Acc. No.:ABB29899)、シコリウム・インチバス(Cichorium intibus)(Acc. No.:FJ753548)及びエゾギク(Callistephus chinensis)(Acc. No.:AF313488)。
【0044】
次に、完全な読み取り枠(ORF)を、5’−及び3’−RACEにおいて得られるフラグメントに由来する特定プライマーATGACTATTCTACCCCTACTACTC(前方向プライマー)及びCCTTAATGACTTCCATACACGTG(逆方向プライマー)により増幅した。
【0045】
キメラ遺伝子の配列分析及び構成
対の及び複数の配列一列整列を、基質特異性の決定に影響を及ぼす領域を同定するために、ソフトウェアトールChustalWを用いて実施した。主にキク科の種からの次のF3’H配列を、複数の配列一列整列のために使用した:コスモス・スルフレウス(Acc. N.:FJ216426)、ダリア・バリアビリス(Acc. No.:FJ216428)、タゲテス・エレクタ(Acc. No.:FJ216430)、キヌガサギク(Rudbeckia hirta)(Acc. No.:FJ216431)、エキノプス・バンナチカス(Echinops bannaticus)(Acc. No.:FJ753549)、ヤグルマギク(Centaurea cyanus)(Acc. N.:FJ753550)、ガーベラ(Gerbera hybrida)(Acc. No.:ABA64468)、オステオスペルマム・ヒブリダ(Osteospermum hybrida)(Acc. No.:ABB29899)、シコリウム・インチバス(Cichorium intibus)(Acc. No.:FJ753548)、アンチリナム・マジウス(Acc. No.:DQ272592)及びアラビドプシス・タリアナ(Arabidopsis thaliana)(Acc. No.:AF271651)(Schlangenなど. 2009)。
【0046】
対の配列一列整列を、コスモス・スルフレウス(Acc. No.:FJ216426)からの列挙されるF3’Hにより実施した。コスモス・スルフレウスからの言及されたF3’HのcDNAフラグメント、及び新たに単離された配列のcDNAフラグメントから成るキメラ遺伝子を、Seitzなど。(2007)[FEBS letters 581 (2007) 3429-3434]に従って生成した。このためには、融合されるべきフラグメントを、別のPCR反応においてPfu DNAポリメラーゼ(Promega, Germany)により増幅し、そしてそれぞれ約50ngの個々のフラグメントのcDNA及びT4 DNAリガーゼ(Promega, Germany)により、20μlの全体積で10分間、連結した。希釈された連結を、続くプルーフリーディングPCRのための鋳型として使用し、ここで全キメラ遺伝子がTaq/Pwoポリメラーゼシステム(Invitrogen, UK)により増幅された。
【0047】
アミノ酸残基の挿入又は欠失
アミノ酸残基の挿入を、挿入されるべき、それぞれのアミノ酸残基をコードする、過剰の塩基を有するプライマーにより導入した。欠失を、欠失されるべきアミノ酸残基をコードする塩基を欠いている、それぞれのF3’H cDNAの2種のフラグメントの増幅を用いて導入した。前記2種の増幅されたフラグメントの続く融合を、キメラ遺伝子の構造について記載のようにして実施した。
【0048】
標的化された突然変異誘発
標的化された突然変異誘発を、メガプライマーPCRを用いて実施した。このPCRを次の2段階で実施した:最初のPCRにおいては、メガプライマーを、Pfu DNAポリメラーゼ(Promega)により増幅した。このために、突然変異されるべき挿入されたcDNAを有するプラスミドを、鋳型として使用した。他方では、プライマーとして、所望する突然変異が挿入され、そしてそのために必要とされる修飾された塩基を有する、部位で結合する内部プライマー、及び発現プライマーを使用した。他方では、この増幅された、突然変異誘発されたフラグメントを、第2PCRにおいて、プライマー及びその対応する発現プライマーとして使用し、Expand High Fidelity PCR System (Roche)により所望する突然変異を有する完全なORFを増幅した。
【0049】
酵母における異種発現
異種発現のために、プルーフリーディングアンプリコンを、酵母発現ベクターpYES2.1/V5-His-TOPO(商標)(Invitrogen, UK)中に連結し、そしてE. コリTOP10F’(Invitrogen, UK)を形質転換した。センス構造体の同定をPCRにより行い、このために、遺伝子特異的前方向及びプラスミド特異的逆方向プライマーを使用した。センス構造体を単離し、そして正しい配列を配列決定により確かめた。次に、所望するプラスミドを用いて、酵母株INVSc1(Invitrogen, UK)を形質転換した。異種発現を、既知方法に従って実施し、そして調製されたタンパク質を液体窒素においてショック凍結し、そして-80℃で貯蔵した。この調製におけるタンパク質の量の決定を、変性されたLowry方法に従って行った。
【0050】
生成物の酵素アッセイ及び同定
異種発現されたF3’Hの基質特異性を決定するために、次の酵素試験を行った:それぞれ、20μgの組換え野生型CH3H又は50μgのハイブリッドタンパク質を、0.25nモルの[14C]−カルコン又はフラボノイド基質と共に、10mMのNADPH及び0.1MのKH PO−KHPO(0.4%アスコルビン酸ナトリウム(pH7.5)を含む)緩衝液の存在下で30℃でインキュベートした。30分後、酵素反応を、10μlの氷酢酸により停止し、そしてフェノール化合物をEtOAcにより2度、抽出した。有機相を、セルロースプレート上に適用し、そしてDAW(クロロホルム:氷酢酸:水、10:9:1)においてクロマトグラフィー処理した。放射能の検出及び定量化を、TLC分析を用いて行う。
【0051】
速度論的データ
速度論的データ(見掛けのミカエリス定数(Km)及び反応の最大速度(Vmax))を、Lineweaver Burkプロットを用いて決定した。
【0052】
結果
コスモス・スルフレウスCH3H cDNAのクローニング及び配列分析
この例においては、コスモス・スルフレウスからのcDNAの完全なコード配列を、種々のキク科の種からの変性されたプライマー(NCBI GenBanK Acc. Nos.:FJ216431, FJ753549, EJ753550, ABA64468, ABB29899, FJ753548及びAF313488)及び続くRACE技法を用いて単離できた。このクローンの誘導されたアミノ酸配列は、膜結合されたcyt P450タンパク質(N−末端疎水性膜アンカー、高く保有されたヘムドメイン、等)の保存されたモチーフすべてを有する。
【0053】
cDNAクローンの配列を、次の受託番号下でEMBL/GenBankデータベース中に登録した:FJ216429。カルコンをヒドロキシル化できる低い程度までしか存在しないか又は単に存在する、主にキク科の種からのF3’H配列との一列整列は、コスモス・スルフレウスからの単離されたcDNAの誘導されたアミノ酸配列が一列整列されたF3’Hとの高い配列同一性を有することを示す。コスモス・スルフレウスからのすでに特徴づけられたF3’H(Acc. No.:FJ216426)との対の一列整列は、それらの2種の配列が同一ではなく、そして84%の配列同一性を有することを示す(図1)。
【0054】
推定上のコスモス・スルフレウスCH3Hの酵素活性
コスモス・スルフレウスからのcDNAクローの異種発現において得られた、組換え酵素による酵素研究においては、6’−デオキシカルコンイソリクイリチゲニンによる高い触媒CH3H活性が示され得た。運動学的研究は、最高のVmax/Kmax(18.01/s*kg)が基質としてIsoを用いて得られることを示した(表1)。
【0055】
従って、コスモス・スルフレウスからのタンパク質をCH3Hと呼んだ。比較として、コスモス・スルフレウスからの組換えF3’H(受託番号FJ216426)を、同じ基質により試験した。
それらの研究は、この酵素のF3’H活性及び欠失するCH3H活性を確認した。2種の組換えタンパク質のターンオーバー率は、図4に列挙される。
【0056】
CH3H反応において役割を演じ得る領域の同定
C. スルフレウスCH3HにおけるCH3H活性において役割を演じ得る領域を同定するために、一列整列研究を実施した。そのために、すでに言及されているF3’Hアミノ酸配列、すなわちカルコンをヒドロキシル化できない組換え酵素が使用された(Schlangenなど. 2009, Plant Science 177 (2009)97-102)。一列整列の分析においては、C. スルフレウスのCH3H配列におては、Gotoh(1992)によるcyt P450酵素における推定上の基質検出領域(SRS1)として記載される1つの領域が、他のF3’Hアミノ酸配列のそれぞれのSRS1領域に比較して、著しい差異を有することが決定され得た。さらに、領域D(192)GSAGGDP(199)は、このアミノ酸配列に単に存在する、コスモス・スルフレウスCH3H配列において検出され得る(図2)。C. スルフレウスとの対の一列整列においては、CH3Hが、F3’Hに比較して、4個のアミノ酸残基の挿入を有し(SAGG領域、図1)、そして挿入された4種のアミノ酸残基の隣接する残基がまた、CH3Hにおいて異なる(SAGG+N領域、図1)ことを示す。
【0057】
キメラ遺伝子の構成
一列整列において見出される著しい領域がCH3H活性に対して影響を有するかどうかを同定できるようにするために、C. スルフレウスCH3H及び次のC. スルフレウスF3’H cDNAフラグメント(C1-C5、図4及び5)を含む5種のキメラ遺伝子を構成した:C1:アミノ酸位置1−196:F3’H及び210−512:CH3H;C2:アミノ酸位置1−210:CH3H及び211−512:F3’H;C3:アミノ酸位置1−119:CH3H及び124−512:F3’H;C4:アミノ酸位置1−193:CH3H及び198−512:F3’H。前記アミノ酸位置は、C. スルフレウスF3’H及びCH3Hの対の一列整列に基づかれる。キメラ遺伝子の生成のために使用されるすべてのプライマーは図5に列挙され、そしてキメラ遺伝子の図示が図4に示される。
【0058】
挿入及び欠失による突然変異誘発されたcDNAの構成
標的化された突然変異誘発
アミノプロリンの特定性質のために(プロリンはヘリックス及びシート破壊体であり、そして時折、ループ又はターンに見られる)、A199におけるSAGG+N領域からのP199を、この位置でコスモス・スルフレウスF3’H配列に見出され得る、アラニンにより突然変異誘発した(図1)。このために使用されるプライマー及び図示が、それぞれ表3及び図4に見出される得る。
【0059】
異種発現されたキメラ及び突然変異誘発された酵素の酵素活性
C. スルフレウスからの生来の酵素、及び5種のキメラ(C1-C5)及び3種の突然変異誘発された酵素(M1, M2及びM3、図4)を、総合的に、酵母において異種発現した。それらの基質許容性に関しての組換え酵素による研究は、M3を除くすべての発現された酵素がF3’H活性を有することを示した(図4)。しかしながら、カルコンのヒドロキシル化が、キメラ遺伝子C1, C2及びC5、及びM1により観察された。しかしながら、組換え酵素C1に関しては、低いCH3H活性のみが、F3’H活性及び他の組換え酵素のCH3H活性に比較して、観察され得た。
【0060】
種々の基質に関する運動学的データを決定するために、組換え酵素による運動学的研究を実施した。それらの運動学的データは、表1に列挙される。
【0061】
例2
トランスジェニックリンゴの木の創造が、文献(Szankowskiなど.;Plant C3ll Rep 2003, 22 141-149)に記載されるように、アグロバクテリウムを用いて、若いリンゴの木の葉の形質転換により行われる。その植物を、自己根づいた植物として温室において試験するか、又は野外光のような条件下で、従来の基質上に植える。葉を、Satoなど., 2001 (Plant Science 160, 229-336)の方法に従って、HPLCを用いて、高められた3−ヒドロキシフロレチン含有率について試験した。病原体防御と3−ヒドロキシフロレチンとの間の関係は、文献から知られている(Elstner, E. F., Obwald, W., Schneider, I., 1996. Phytopathologia. Allgemeine und biochemische Grundlagen. Spektrum Akademischer Verlag, Heidelberg, Berlin, Oxford.)。
【0062】
本発明のヌクレオチドを過剰発現する、トランスジェニックリンゴのエルウィニア・アミロボラ(Erwinia amylovora)に対する高められた耐性を次の通りに試験することができる:試験の3〜4週前、苗条を10cmの高さまで切断する。細菌をKing’s B寒天プレート上で24時間、培養し、そして続いてリン酸緩衝液に再懸濁する。細胞濃度を分光光度的に10cfu/mlに設定する。負の対照として、リン酸緩衝液を、空のKing’s B寒天プレート上に空にし、そして再びデカントする。接種のために、2枚の最も若い折たたまれていない葉の先端を、事前に病原体と共に培養溶液中に浸された、ハサミにより切断する。個々のトランスジェニック系に関して、10〜20の個々を試験し、そして対照と比較する。感染の程度を、全体の菌条の長さに比較して、損傷を受けた菌条の長さの比率から計算する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1を含んで成るか、又は配列番号1と60%の同一性を有するか、又は配列番号1の配列を含んで成る分子とハイブリダイズすることができる、カルコン3−ヒドロキシラーゼ活性を有するポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んで成る単離された核酸分子であって、前記ヌクレオチド配列が、モチーフFASRPLSX1X2G(X3)m(GSAGGD)n(ここでX1は、トレオニン又はセリンであり、X2はアラニン又はグリシンであり、X3はいずれかのアミノ酸であり、mは50〜200の整数であり、nは0又は1である)を含んで成るポリペプチドを含んで成ることを特徴とする核酸分子。
【請求項2】
前記モチーフが、FASRPLSTAG(X3)m(GSAGGD)n又はFASRPLSSGG(X3)m(GSAGGD)nであることを特徴とする請求項1記載の核酸分子。
【請求項3】
請求項1又は2記載の核酸分子を含んで成るベクター。
【請求項4】
請求項1又は2記載の核酸分子、又は請求項4記載のベクターを含んで成る細胞、特に植物細胞。
【請求項5】
請求項1又は2記載の核酸分子、又は請求項4記載のベクターを含んで成るトランスジェニック植物。
【請求項6】
前記植物が、装飾用植物、特にペチュニア(petunias)、セントポーリア(African violets)、ツツジ(azaleas)、ツツジ属(rhododendrons)、テンジクアオイ類(pelargonium)、フクシア(fuchsias)、シクラメン(cyclamens)、ポインセチア(poinsettias)、キンギョソウ属(Antirrhimum)、コンギク属(Aster)(Asteraceae)、ゲゴニア(Begonia)(Begoniaceae)、カリステパス(Callistephus)(Asteraceae)、ホタルブクロ属(Campanula)(Campanulaceae)、カサランタス(Catharanthus)(Apocynaceae)、キク(Chrysanthenum)(Asteraceae)、シネラリア(Cineraria)(Asteraceae)、デダントレマム(Dedanthremum)(Asteraceae)、ナデシコ(Dianthus)(Caryophyllaceae)、ダリア(Dahlia)(Asteraceae)、トウダイグサ(Euphorbia)(Euphorbiaceae)、ガーベラ(Gerbera)(Asteraceae)、アジサイ属(Hydrangea)(Hydrangeaceae)、ユリ(Lilium)(Liliaceae)、リシアンタス(Lisiantus)(=ユーストマ)(=Eustoma)(Gentianaceae)、ワスレナグサ属(Myosotis)(Boraginaceae)、ニエレムベルギア(Nierembergia)(Solanaceae)、ラン属(Orchidaceae)、オステオスペルマム(Osteospermum)(Asteraceae)、バラ属(Rosa)(Rosaceae)、スカエウォラ(Scaevola)(Scaevola)(Goodeniaceae)、シンニンギア(Sinningia)(Gesneriaceae)、ストレプトカルパス(Streptocarpus)(Gesneriaceae)、トレニア(Torenia)(Linderniaceae)、チューリップ(Liliaceae)、ビジョザクラ(Verbena)(Violaceae)及びマラスsp.(Malus sp.)から成る群から選択される請求項5記載のトランスジェニック植物。
【請求項7】
請求項5又は6記載のトランスジェニック植物の切花又は種子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−45357(P2011−45357A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−298019(P2009−298019)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(508258378)テヒニシェ ウニベルジテート ウィーン (2)
【Fターム(参考)】