説明

カルボホスフェートおよび関連化合物

本発明は、概して、カルボホスフェートおよび他の化合物に関する。かかる化合物は、電池および他の電気化学デバイス、または本明細書に記載されたもののごとき他の適用に用い得る。本発明の1つの態様は、概して、カルボホスフェート化合物、すなわち、カーボネートおよびホスフェートイオンを含む化合物に指向される。例えば、一つの組の具体例により、化合物は式A(M)(PO(CO(式中、Mは1以上のカチオンを含む)を有する。Aは、例えば、リチウムおよび/またはナトリウムのごとき1以上のアルカリ金属を含み得る。いくらかの場合、xは、約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である。ある具体例において、化合物は、鉱物シドレンカイト、ボンシテダイト、ブラッドレイアイト、クラウフォルダイトまたはフェロタイカイトの単位格子に等構造の単位格子原子配列を有し得る。いくつかの具体例において、化合物は、式A(M)(YO(XO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは1以上のカチオンを含み、XはB、Cおよび/またはNを含み、YはSi、P、As、S、V、Nb、Moおよび/またはWを含む)を有し得る。いくらかの場合、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である。本発明の他の態様は、概して、かかる化合物、かかる化合物を含むキット等を調製または使用するための技術に指向される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、例えば、電池および他の適用に用いるカルボホスフェート(carbophosphate)および他の化合物に関する。
【0002】
関連出願
本願は、Cederらにより、2010年2月22日付けで出願され、「カルボホスフェートおよび関連化合物」を発明の名称とする、米国仮特許出願第61/306,670号(ここに出典明示して本明細書の一部とみなす)の優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
例えば、電気運搬手段(power vehicle)または携帯用電子デバイスに対する軽量で高密度エネルギーの電池の需要は、上昇し続けている。しかしながら、多数の化合物は電池および他の適用に用いるために研究されてきたが、良好な特性の耐熱性および/または高エネルギー密度を有する化合物を同定することは困難なままである。したがって、電池および他の適用に用いる化合物における改良が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、概して、例えば、電池および他の適用に用いるカルボホスフェートおよび他の化合物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、概して、例えば、電池および他の適用に用いるカルボホスフェートおよび他の化合物に関する。本発明の主題は、いくらかの場合、相互に関係した生成物、特定の問題に対する代替解決方法および/または1以上のシステムおよび/または物品の複数の異なる使用を含む。
【0006】
ポリアニオン基を持つ化合物は、酸化物より一般的に安定している。いくらかの場合、それらは高温でより少ないOを放出でき、これはリチウムイオン電池のごときある種の適用につき重要な安全性の特徴であり得る。加えて、重量を低下させるために、炭酸およびホウ酸のごときより低重量のポリアニオン基を、例えば、より高いエネルギーおよび出力密度のために有用であり得る。かくして、本発明のいくつかの態様は、炭酸基および/または複数のポリアニオン基、例えば、炭酸−リン酸、ケイ酸−炭酸に指向される。
【0007】
1つの態様において、本発明はある化合物に指向される。1組の具体例によれば、化合物は、式:
Li(M)(PO(CO
(式中、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。いくらかの場合、Mの少なくとも約25モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。
【0008】
もう一つの組の具体例における化合物は、式:
(M)(PO(CO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。ある種の場合には、Mの少なくとも約25モル%が1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。いくつかの具体例において、化合物は、AがNaである場合、xは2〜4であって、MはFe、Mg、MnまたはSrであるものではない。
【0009】
ある組の具体例によれば、化合物は、式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み;XはB、CおよびNの1以上を含み;YはSi、P、AsおよびSの1以上を含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。いくつかの例において、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。いくつかの具体例において、組成は、各々、A、M、YおよびXについて以下の組合せ:Na、AlおよびCo、Si、N;Na、Fe、Si、B;Na、AlおよびCo、Si、C;Na、Mn、P、C;Na、Fe、P、C;Na、Co、P、B;Na、MgおよびFe、S、C;Na、Fe、S、C;Li、Cu、P、B;およびLi、Zn、P、Bのいずれも含まない。
【0010】
もう一つの組の具体例において、化合物は式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み;XはB、CおよびNの1以上を含み;Yは、V、Nb、MoおよびWの1以上を含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。1つの具体例において、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。いくらかの場合、MはV、Nb、MoまたはWを含まない。いくつかの例において、組成は、各々、A、M、YおよびXについて以下の組合せ:Na、AlおよびCo、Si、N;Na、Fe、Si、B;Na、AlおよびCo、Si、C;Na、Mn、P、C;Na、Fe、P、C;Na、Co、P、B;Na、MgおよびFe、S、C;Na、Fe、S、C;Li、Cu、P、B;およびLi、Zn、P、Bのいずれも含まない:
【0011】
さらにもう一つの組の具体例において、化合物は式:
(M)(PO(CO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。いくらかの場合、化合物は、NaFe(PO)(CO)、NaMg(PO)(CO)、NaMn(PO)(CO)またはNaSr(PO)(CO)ではない。いくつかの具体例において、Mの少なくとも約25モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。
【0012】
もう一つの組の具体例において、化合物は、式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み;XはB、CおよびNよりなる群から選択され;Yは、Si、P、As、S、V、Nb、MoおよびWよりなる群から選択され;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。いくつかの具体例において、Mの少なくとも約10モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。いくらかの場合、化合物は、25℃および1気圧にて熱力学的に不安定である。いくつかの具体例において、Mの少なくとも約25モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。
【0013】
さらにもう一つの組の具体例において、化合物は、式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み;XはB、CおよびNよりなる群から選択され;YはSi、P、As、S、V、Nb、MoおよびWよりなる群から選択され;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。いくらかの場合、化合物は、NaFePOCO、NaMnPOCO、NaFeSO(CO、NaHCo(POBO、Al12CO(NONa(SiO12またはFeNa(SiO(BOではない。いくつかの具体例において、Mの少なくとも約25モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。
【0014】
さらにもう一つの組の具体例において、化合物は、シドレンカイト(sidorenkite)単位格子、ボンシテダイト(bonshtedtite)単位格子、ブラッドレイアイト(bradleyite)単位格子、クラウフォルダイト(crawfordite)単位格子またはフェロタイカイト(ferrotychite)単位格子に等構造の単位格子原子配列を有するリチウム含有化合物である。さらにもう一つの組の具体例において、化合物は、少なくとも約25モル%のリチウムを含むリチウム含有化合物であり、この化合物は、COの三角平面基、POの四面体基およびMO(式中、Mは正のカチオンである)の八面体基を含む単位格子を有する。さらにもう一つの組の具体例によれば、化合物は、10.7±1、20.4±1、21.4±1、27.1±1、28.8±1、34.0±1および35.8±1度の2θで極大を有するXRD回折パターンを有し、ここに、XRDは、1.5418オングストロームの波長を持つ銅Kアルファ源を有するX線回折計を用いて得られる。
【0015】
もう一つの態様において、本発明は、三斜晶系(P1)結晶構造を有する化合物に概して指向される。一組の具体例によれば、化合物は式:
(M)(PO(CO
(式中、Aが1以上のアルカリ金属を含み、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。いくらかの場合、Mの少なくとも約25モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。
【0016】
もう一つの組の具体例において、化合物は、式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み;XはB、CおよびNの1以上を含み;Yは、Si、P、AsおよびSの1以上を含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。ある種の具体例において、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。
【0017】
さらにもう一つの組の具体例によれば、化合物は式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み;XはB、CおよびNの1以上を含み;Yは、V、Nb、MoおよびWの1以上を含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する。いくらかの場合、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。ある種の具体例において、Mは、V、Nb、MoまたはWを含まない。
【0018】
さらにもう一つの態様において、本発明は電気化学デバイスに指向される。一組の具体例によれば、電気化学デバイスは、リチウム含有化合物を含むn電極を含む。ある種の具体例において、化合物には式:
Li(M)(PO(CO
(式中、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有し得る。ある種の例において、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。いくらかの場合、リチウム含有化合物は、COの三角平面基、POの四面体基および/またはMOの八面体基を含む単位格子を有する。
【0019】
もう一つの組の具体例によれば、電気化学デバイスは、式:
(M)(PO(CO
(式中、Aが1以上のアルカリ金属を含み、Mは基底状態より上の1を超える酸化状態を有する1以上の金属カチオンを含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有する化合物を含む電極を含む。いくつかの例において、Mの少なくとも約25モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。
【0020】
もう一つの組の具体例において、電気化学デバイスは、式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み;XはB、CおよびNよりなる群から選択され;YはSi、P、As、S、V、Nb、MoおよびWよりなる群から選択され;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する化合物を含む電極を含む。いくらかの場合、Mの少なくとも約25モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む。
【0021】
さらにもう一つの組の具体例において、電気化学デバイスは、本明細書に記載されたものごとき化合物を含む電極を含む。例えば、化合物はリチウム含有化合物またはナトリウム含有化合物であり得る。いくつかの具体例において、化合物は、少なくとも約100mA h/gのエネルギー密度を有する。ある具体例において、化合物は少なくとも2つの異なるポリアニオン基を含む。いくらかの場合、化合物は、少なくとも約250℃の温度に対する曝露に際して実質的に分解しない。いくつかの例において、化合物は、約5モル%以下のアニオン酸化物を含む。さらにもう一つの組の具体例において、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて分析された場合、化合物は、300℃未満の熱転移を示さない。いくらかの場合、250℃の温度に加熱された場合、化合物は1ml/g以下の酸素を放出する。
【0022】
本発明のさらにもう一つの態様は、ある方法に指向される。一組の具体例において、その方法は、リン酸アニオン、炭酸アニオン、アルカリ金属カチオンおよび非アルカリ金属カチオンを含む水性液体を供し;少なくとも約70℃の制御温度に液体を曝露し;次いで、液体から水を除去して、固形生成物を回収する行為を含む。
【0023】
もう一つの組の具体例において、本発明は、本明細書に記載された1以上の具体例、1つの非限定の例として、式 A(M)(YO(XO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、XはB、CおよびNよりなる群から選択され、およびYはSi、P、As、S、V、Nb、MoおよびWよりなる群から選択される)を有する化合物を調製する方法に指向される。いくらかの場合、xが約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である。
【0024】
ある種の態様によれば、本明細書に記載されるのは、以下の項により特定される主題である。これらの項は、例示的でかつ非限定であることが意図される。
1.式 Li(M)(PO(CO(式中、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有する化合物。
2.Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む項1に記載の化合物。
3.Mが1以上の遷移金属を含む項1または2記載の化合物。
4.Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む、項1〜3のいずれか1記載の化合物。
5.Mが実質的にFeおよび/またはMnよりなる項1〜4のいずれか1記載の化合物。
6.MがFeを含む項1〜5のいずれか1記載の化合物。
7.MがNiを含む項1〜4および6のいずれか1記載の化合物。
8.MがCoを含む項1〜4、6および7のいずれか1記載の化合物。
9.MがMnを含む項1〜5のいずれか1記載の化合物。
【0025】
10.MがVを含む項1〜4および6〜8のいずれか1記載の化合物。
11.MがMoを含む項1〜4、6〜8および10のいずれか1記載の化合物。
12.Mがアルカリ土類金属を含む項1〜4、6〜8、10および11のいずれか1記載の化合物。
13.Mの少なくとも約50モル%が、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む項1〜4、6〜8および10〜12のいずれか1記載の化合物。
14.Mにおける各カチオンが、包括的に、1+〜5+の酸化状態を有する項1〜13のいずれか1記載の化合物。
15.Mにおける各カチオンが、包括的に、1+〜4+の酸化状態を有する項1〜14のいずれか1記載の化合物。
16.Mにおける各カチオンが、包括的に、2+〜4+の酸化状態を有する項1〜15のいずれか1記載の化合物。
17.xが約1.5〜約10.1である項1〜16のいずれか1記載の化合物。
18.xが約1.9〜約3.1である項1〜17のいずれか1記載の化合物。
19.xが3である項1〜18のいずれか1記載の化合物。
【0026】
20.xが2である項1〜18のいずれか1記載の化合物。
21.aが約0.1〜約4である項1〜20のいずれか1記載の化合物。
22.aが約0.9〜約1.1である項1〜21のいずれか1記載の化合物。
23.aが1である項1〜22のいずれか1記載の化合物。
24.bが約0.1〜約4である項1〜23のいずれか1記載の化合物。
25.bが約0.9〜約1.1である項1〜24のいずれか1記載の化合物。
26.bが1である項1〜25のいずれか1記載の化合物。
27.化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子、ブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する項1〜26のいずれか1記載の化合物。
28.化合物に三斜晶系結晶構造を有する項1〜27のいずれか1記載の化合物。
29.項1〜28のいずれかに記載の化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
【0027】
30.式 A(M)(PO(CO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1であり;所望により、但し、化合物は、AがNaである場合、xが2〜4であり、MがFe、Mg、MnまたはSrであるものではない)を有する化合物。
31.Aが実質的に1つのアルカリ金属よりなる項30記載の化合物。
32.AがLiを含む項30または31のいずれか1記載の化合物。
33.AがNaを含む項30〜32のいずれか1記載の化合物。
34.Aが実質的にLiよりなる項30〜32のいずれか1記載の化合物。
35.Aが実質的にNaよりなる項30、31および33のいずれか1記載の化合物。
36.Aが実質的にLiおよびNaよりなる項30、32および34のいずれか1記載の化合物。
37.Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む項30〜36のいずれか1記載の化合物。
38.xが約1.5〜約10.1である項30〜37のいずれか1記載の化合物。
39.xが約1.9〜約3.1である項30〜38のいずれか1記載の化合物。
【0028】
40.aが約0.1〜約4である項30〜39のいずれか1記載の化合物。
41.aが約0.9〜約1.1である項30〜40のいずれか1記載の化合物。
42.bが約0.1〜約4である項30〜41のいずれか1記載の化合物。
43.bが約0.9〜約1.1である項30〜42のいずれか1記載の化合物。
44.Mの少なくとも約50モル%が、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含む項30〜43のいずれか1記載の化合物。
45.Mがアルカリ土類金属を含む項30〜44のいずれか1記載の化合物。
46.Mが遷移金属を含む項30〜45のいずれか1記載の化合物。
47.Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む、項30〜46のいずれか1記載の化合物。
48.化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子またはブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する項30〜47のいずれか1記載の化合物。
49.化合物に三斜晶系結晶構造を有する項30〜48のいずれか1記載の化合物。
【0029】
50.項30〜49のいずれかに記載の化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
51.シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子、ブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有するリチウム含有化合物。
52.COの三角平面基、POの四面体基およびMOの八面体基(式中、Mは正のカチオンである)を含有する単位格子を有する、少なくとも約25モル%のリチウムを含むリチウム含有化合物。
53.Mが正の二価または三価のカチオンである項52記載の化合物。
54.MOの八面体基がCOの三角平面基と端を共有する項52または53記載の化合物。
55.MOの八面体基がPOの四面体基と4つの頂点を共有する項52〜54のいずれか1記載の化合物。
56.MがFeを含む項52〜55のいずれか1記載の化合物。
57.MがNiを含む項52〜56のいずれか1記載の化合物。
58.MがCoを含む項52〜57のいずれか1記載の化合物。
59.MがMnを含む項52〜58のいずれか1記載の化合物。
【0030】
60.MがVを含む項52〜59のいずれか1記載の化合物。
61.MがCrを含む項52〜60のいずれか1記載の化合物。
62.MがCuを含む項52〜61のいずれか1記載の化合物。
63.MがTiを含む項52〜62のいずれか1記載の化合物。
64.MがBiを含む項52〜63のいずれか1記載の化合物。
65.MがSnを含む項52〜64のいずれか1記載の化合物。
66.MがSbを含む項52〜65のいずれか1記載の化合物。
67.MがMoを含む項52〜66のいずれか1記載の化合物。
68.項52〜67のいずれかに記載の化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
69.10.7±1、20.4±1、21.4±1、27.1±1、28.8±1、34.0±1および35.8±1度の2θで極大を有するXRD回折パターンを有し、ここに、XRDは、1.5418オングストロームの波長を持つ銅Kアルファ源を有するX線回折計を用いて得られるリチウム含有化合物。
【0031】
70.式 A(M)(YO(XO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み;XはB、CおよびNの1以上を含み;Yは、Si、P、AsおよびSの1以上を含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1であり;所望により、但し、組成は、各々、A、M、YおよびXについていずれかの以下の組合せ:Na、AlおよびCo、Si、N;Na、Fe、Si、B;Na、AlおよびCo、Si、C;Na、Mn、P、C;Na、Fe、P、C;Na、Co、P、B;Na、MgおよびFe、S、C;Na、Fe、S、C;Li、Cu、P、B;およびLi、Zn、P、Bを含まない)を有する化合物。
71.式 A(M)(YO(XO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、MはV、Nb、MoまたはWを含まなく;XはB、CおよびNの1以上を含み;Yは、V、Nb、MoおよびWの1以上を含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1であり;所望により、但し、組成は、各々、A、M、YおよびXについていずれかの以下の組合せ:Na、AlおよびCo、Si、N;Na、Fe、Si、B;Na、AlおよびCo、Si、C;Na、Mn、P、C;Na、Fe、P、C;Na、Co、P、B;Na、MgおよびFe、S、C;Na、Fe、S、C;Li、Cu、P、B;およびLi、Zn、P、Bを含まない)を有する化合物。
72.Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む項70または71記載の化合物。
73.Mが1以上のアルカリ土類金属を含む項70〜72のいずれか1記載の化合物。
74.Mが1以上の遷移金属を含む項70〜73のいずれか1記載の化合物。
75.Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む項70〜74のいずれか1記載の化合物。
76.xが約1.5〜約10.1である項70〜75のいずれか1記載の化合物。
77.xが約1.9〜約10.1である項70〜76のいずれか1記載の化合物。
78.xが約1.9〜約3.1である項70〜77のいずれか1記載の化合物。
79.aが約0.1〜約4である項70〜78のいずれか1記載の化合物。
【0032】
80.aが約0.9〜約1.1である項70〜79のいずれか1記載の化合物。
81.bが約0.1〜約4である項70〜80のいずれか1記載の化合物。
82.bが約0.9〜約1.1である項70〜81のいずれか1記載の化合物。
83.bが約2.9〜約3.1である項70〜82のいずれか1記載の化合物。
84.aが1であって、bが3である項70〜83のいずれか1記載の化合物。
85.XおよびYが、XおよびYについての以下の組合せ:C、P;B、P;B、Si;C、Si;C、S;B、S;N、P;N、Si;およびN、Sの1つから選択される項70および72〜84のいずれか1記載の化合物。
86.XおよびYが、XおよびYについての以下の組合せ:C、V;B、V;およびN、Vの1つから選択される項71〜85のいずれか1記載の化合物。
87.xがCであって、YがPである項70および72〜86のいずれか1記載の化合物。
88.化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子、またはブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子、またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する項70〜87のいずれか1記載の化合物。
89.化合物が三斜晶系結晶構造を有する項70〜88のいずれか1記載の化合物。
【0033】
90.項70〜89のいずれかの化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
91.式 A(M)(PO(CO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは、基底状態より上の1を超える酸化状態を有する1以上の金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有する化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
92.Mが1以上の非アルカリ金属カチオンを含む項91記載のデバイス。
93.Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む項91または92記載のデバイス。
94.Mが1以上のアルカリ土類金属を含む項91〜93のいずれか1記載のデバイス。
95.Mが1以上の遷移金属を含む項91〜94のいずれか1記載のデバイス。
96.Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む項91〜95のいずれか1記載のデバイス。
97.xが約1.5〜約10.1である項91〜96のいずれか1記載のデバイス。
98.xが約1.9〜約3.1である項91〜97のいずれか1記載のデバイス。
99.aが約0.1〜約4である項91〜98のいずれか1記載のデバイス。
【0034】
100.aが約0.9〜約1.1である項91〜99のいずれか1記載のデバイス。
101.bが約0.1〜約4である項91〜100のいずれか1記載のデバイス。
102.bが約0.9〜約1.1である項91〜101のいずれか1記載のデバイス。
103.化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子またはブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する項91〜102のいずれか1記載のデバイス。
104.式 A(M)(YO(XO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;
Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み;XはB、CおよびNよりなる群から選択され;YはSi、P、As、S、V、Nb、MoおよびWよりなる群から選択され;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
105.Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む項104記載のデバイス。
106.Mが1以上のアルカリ土類金属を含む項104または105記載のデバイス。
107.Mが1以上の遷移金属を含む項104〜106のいずれか1記載のデバイス。
108.Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む項104〜107のいずれか1記載のデバイス。
109.xが約1.5〜約10.1である項104〜108のいずれか1記載のデバイス。
【0035】
110.xが約1.9〜約3.1である項104〜109のいずれか1記載のデバイス。
111.aが約0.1〜約4である項104〜110のいずれか1記載のデバイス。
112.aが約0.9〜約1.1である項104〜111のいずれか1記載のデバイス。
113.bが約0.1〜約4である項104〜112のいずれか1記載のデバイス。
114.bが約0.9〜約1.1である項104〜113のいずれか1記載のデバイス。
115.化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子またはブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する項104〜114のいずれか1記載のデバイス。
116.リン酸アニオン、炭酸アニオン、アルカリ金属カチオンおよび非アルカリ金属カチオンを含む水性液体を供し;少なくとも約70℃の制御温度に液体を曝露し;次いで液体から水を除去して、固形生成物を回収することを含むことを特徴とする方法。
117.生成物が結晶であることを特徴とする項116記載の方法。
118.電極に固形生成物を形成することをさらに含むことを特徴とする項116または117記載の方法。
119.アルカリ金属カチオンおよびリン酸アニオンを含む第1の化合物、および非アルカリ金属カチオンおよび炭酸アニオンを含む第2の化合物を水に添加して、水性液体を形成することを特徴とする項116〜118のいずれか1記載の方法。
【0036】
120.アルカリ金属カチオンおよび炭酸アニオンを含む第1の化合物、および非アルカリ金属カチオンおよびリン酸アニオンを含む第2の化合物を水に添加して、水性液体を形成することを含むことを特徴とする項116〜118のいずれか1記載の方法、。
121.アルカリ金属カチオンおよび炭酸アニオンを含む第1の化合物、非アルカリ金属カチオンおよび硝酸アニオンを含む第2の化合物、およびリン酸アニオンを含む第3の化合物を水に添加して、水性液体を形成することを特徴とする項116〜118のいずれか1記載の方法。
122.アルカリ金属カチオンおよび炭酸アニオンを含む第1の化合物;塩素アニオン、硫酸アニオン、臭素アニオンおよびヨウ素アニオンを含む第2の化合物;およびリン酸アニオンを含む第3の化合物を水に添加して、水性液体を形成することを特徴とする項116〜118のいずれか1記載の方法。
123.アルカリ金属カチオンを含む第1の化合物、非アルカリ金属カチオンを含む第2の化合物、炭酸アニオンを含む第3の化合物、およびリン酸アニオンを含む第4の化合物を水に添加して、水性液体を形成することを特徴とする項116〜118のいずれか1記載の方法。
124.水性液体中のアルカリ金属カチオン−対−リン酸アニオンの比率が、約5:0.1〜約1:50であることを特徴とする項116〜123のいずれか1記載の方法。
125.水性液体中のアルカリ金属カチオン−対−リン酸アニオンの比率が、約5:0.1〜約1:10であることを特徴とする項116〜124のいずれか1記載の方法。
126.水性液体中のアルカリ金属カチオン−対−リン酸アニオンの比率が、約5:0.1〜約1:5であることを特徴とする項116〜125のいずれか1記載の方法。
127.水性液体中のアルカリ金属カチオン−対−リン酸アニオンの比率が、約1:1であることを特徴とする項116〜126のいずれか1記載の方法。
128.水性液体中のアルカリ金属カチオン−対−炭酸アニオンの比率が、約5:0.1〜約1:50であることを特徴とする項116〜127のいずれか1記載の方法。
129.水性液体中のアルカリ金属カチオン−対−炭酸アニオンの比率が、約5:0.1〜約1:10であることを特徴とする項116〜128のいずれか1記載の方法。
【0037】
130.水性液体中のアルカリ金属カチオン−対−炭酸アニオンの比率が、約5:0.1〜約1:5である項116〜129のいずれか1記載の方法。
131.水性液体中のアルカリ金属カチオン−対−炭酸アニオンの比率が、約1:1である項116〜130のいずれか1記載の方法。
132.水性液体中のリン酸アニオン−対−炭酸アニオンの比率が、約1:0.1〜約1:10である項116〜131のいずれか1記載の方法。
133.水性液体中のリン酸アニオン−対−炭酸アニオンの比率が、約1:0.5〜約1:2である項116〜132のいずれか1記載の方法。
134.水性液体中のリン酸アニオン−対−炭酸アニオンの比率が、約1:1である項116〜133のいずれか1記載の方法。
135.アルカリ金属カチオン−対−非アルカリ金属カチオンの比率が、約1:0.1〜約1:10である項116〜134のいずれか1記載の方法。
136.アルカリ金属カチオン−対−非アルカリ金属カチオンの比率が、約1:0.2〜約1:5である項116〜135のいずれか1記載の方法。
137.アルカリ金属カチオン−対−非アルカリ金属カチオンの比率が、約1:0.5〜約1:2である項116〜136のいずれか1記載の方法。
138.三斜晶系(P1)結晶構造および式 A(M)(PO(CO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は、1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有する化合物。
139.三斜晶系(P1)結晶構造および式 A(M)(YO(XO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み;XはB、CおよびNの1以上を含み;Yは、Si、P、AsおよびSの1以上を含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する化合物。
【0038】
140.三斜晶系(P1)結晶構造および式 A(M)(YO(XO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、MはV、Nb、MoまたはWを含まなく;XはB、CおよびNの1以上を含み;Yは、V、Nb、MoおよびWの1以上を含み;xは約0.1より大きく;aは約0.1〜約5.1であり;およびbは約0.1〜約5.1である)を有する化合物。
141.項138〜140のいずれかに記載の化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
142.リチウム含有化合物を含む電極を含む電気化学デバイスであって、
化合物が、Li(M)(PO(CO
(式中、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、リチウム含有化合物は、COの三角平面基、POの四面体基、およびMOの八面体基を含む単位格子を有し、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有する該デバイス。
【0039】
さらにもう一つの態様において、本発明は、1以上の本明細書に記載された具体例、例えば、前記に記載されたもののごとき化合物、または後記の他の化合物を用いる方法に指向される。
【0040】
本発明の他の利点および新規な特徴は、添付図面と関連して考慮される場合、本発明の種々の非限定の具体例の以下の詳細な記載から明らかになるであろう。本明細書および出典明示して本明細書の一部とみなす文書が、矛盾および/または一貫しない開示を含む場合には、本明細書が照査されるであろう。出典明示して本明細書の一部とみなす2以上の文書が、相互に関して矛盾および/または一貫しない開示を含むならば、後の発効日を有する文書が支配する。
【0041】
本発明の非限定の実施例は、添付図面を参照して例示により記載され、当該図面は模式図であって、スケールを示すことを意図しない。図において、例示された同一またはほぼ同一の構成成分は、典型的には、単一の数字によって表される。明確性の目的のために、すべての構成成分はすべての図において標識されなく、本発明の各具体例のすべての構成成分も、当業者が本発明を理解するのを可能にする必要がない場合には、例示が示されない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、本発明のある化合物についてのXRDパターンを示す。
【図2】図2は、本発明の1つの具体例による化合物についての典型的なサイクルプロフィールを示す。
【図3】図3A−3Dは、本発明の他の具体例によるある種の化合物の種々の典型的なサイクルプロフィールおよび放電容量保持率を示す。
【図4】図4は、本発明の1つの具体例による結晶単位格子を示す。
【図5】図5は、本発明の1つの具体例におけるカルボホスフェート化合物についてのある種の酸化還元活性元素についての電圧を示す。
【図6A−6B】図6A−6Bは、本発明のもう一つの具体例によるある種の化合物におけるLi拡散経路を示す。
【図7】図7は、本発明のさらにもう一つの具体例における種々のカルボスルファート化合物についての電圧を示す。
【図8】図8は、本発明のさらにもう一つの具体例における、種々のカルボシリケート(carbosilicate)についての電圧を示す。
【図9】図9は、本発明の1つの具体例による、XOおよびYO基の異なる組合せを有するある種のナトリウム金属化合物の安定性を示す;
【図10】図10は、本発明のもう一つの具体例による、XOおよびYO基の異なる組合せを有するある種のリチウム金属化合物の安定性を示す。
【図11】図11は、本発明のもう一つの具体例における、LiV(CO)(SiO)の結晶単位格子を示す。
【図12A−12B】図12A−12Bは、本発明のいくつかの具体例における、NaMnPOCOのサイクル曲線および容量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、概して、カルボホスフェートおよび他の化合物に関する。かかる化合物は、電池および他の電気化学デバイス、または本明細書に記載されたもののごとき他の適用において用い得る。本発明の1つの態様は、概して、カルボホスフェート化合物、すなわち、炭酸イオンおよびリン酸イオンを含む化合物に指向される。例えば、一組の具体例により、化合物は、式 A(M)(PO(CO(式中、Mは1以上のカチオンを含む)を有する。Aは、1以上のアルカリ金属、例えば、リチウムおよび/またはナトリウムを含み得る。いくらかの場合、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である。ある具体例において、化合物は、鉱物シドレンカイト、ボンシテダイト、ブラッドレイアイト、クラウフォルダイトまたはフェロタイカイトの単位格子に等構造の単位格子原子配列を有し得る。いくつかの具体例において、化合物は、式 A(M)(YO(XO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは1以上のカチオンを含み、XはB、Cおよび/またはNを含み、およびYはSi、P、As、S、V、Nb、Moおよび/またはWを含む)を有し得る。いくらかの場合、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である。本発明の他の態様は、概して、かかる化合物、かかる化合物を含むキット等を調製または用いるための技術に指向される。
【0044】
本発明のある態様は、概して、リチウム、ナトリウムまたはカリウムのごときアルカリ金属、1以上の他のカチオン、および炭酸基および/またはリン酸基のごときポリアニオン基を含む化合物に指向される。しかしながら、いくらかの場合、さらに、炭酸基および/またはリン酸基に加えて、他の基が存在し得る。適当なポリアニオン基の例は、以下に言及される。アルカリ金属は周期表の第1族に関連したものであり、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)またはフランシウム(Fr)を含み、1以上のものが存在し得る。かくして、例えば、「リチウム含有化合物」は、他のイオンに加えてリチウムを含むが、「ナトリウム含有化合物」は他のイオンに加えてナトリウムを含む。水素(H)は金属ではないが、それは第1族の一部であり、多数の場合にアルカリ金属に交換でき;かくして、本明細書に用いた「アルカリ金属」は水素を含む。本明細書に記載された種々の式において、前記のもののいずれかを含めて、1以上のアルカリ金属が存在し得る。いくらかの場合、本明細書に記載された構造式は「A」を含み、本明細書に開示されたいずれのかかる式においても、「A」は1以上のアルカリ金属を示す。
【0045】
化合物を形成する原子が化学結合により一緒に保持されるが、化学結合は共有結合である必要がなく(いくつかの結合が共有結合を含み得るが)、例えば、少なくともいくつかの原子が結合して、イオン結合または静電的結合により化合物を形成する場合、化合物はイオン化合物を含み得ることが注目されるべきである。また、他の結合相互作用、例えば、金属結合、ファンデルワールス力等が可能である。
【0046】
リン酸アニオン(ホスフェートともいう)は、典型的には式 PO3−を有し、炭酸アニオン(カーボネートともいう)は典型的には、式 CO2−を有する。一緒に共有結合または錯体化された2以上の原子から構成された化学的アニオン基が、単一のユニットとして作用する(対照的に、酸化物イオンOは、単一の原子からなり、ポリアニオンではない)と考えることができる場合、ホスフェートおよびカーボネートの双方は多原子アニオンまたは「ポリアニオン」の例である。いくらかの場合、さらに以下に言及されるごとく、他のポリアニオンが、ホスフェートおよび/またはカーボネートに加えて、またはそれらに代えて用い得る。ポリアニオンのいくつかの非限定の例は、ホウ酸、硝酸、ケイ酸、ヒ酸、硫酸、バナジン酸、ニオブ酸、モリブデン酸またはタングステン酸を含む。
【0047】
電子構造改変を介して、リン酸基(PO)のごときある種のポリアニオン基が所与の遷移金属イオンの動作電圧の上昇を示した。それらは、いくらかの場合、化合物において酸素をより強く結合することにより、安定性を増加し得る。炭酸基のごときある種のポリアニオン基は、他のポリアニオン基、例えば、リン酸基と比較して、比較的軽い。かくして、リン酸基のごとき他のポリアニオン基の存在の有無での炭酸基のごときかかる比較的軽いポリアニオン基の使用は、比較的より高いエネルギー密度に導くことができる。本発明者の知る限りでは、炭酸基およびリン酸基の組合せを持つリチウム含有化合物は、電池材料であることまたは電池材料として試験されたことは知られていない。
【0048】
また、化合物は1以上のカチオンを含み得る。例えば、いくらかの場合、化合物は一価のカチオン(1+の形式電荷を持つ)、二価のカチオン(2+の形式電荷を持つ)および/または三価のカチオン(3+の形式電荷を持つ)を含み得る。一価カチオンの例は、以前に記載されたもののごときアルカリ金属ならびにある種の遷移金属イオンを含む。二価または三価のカチオンの例は、限定されるものではないが、種々の遷移金属イオンまたはアルカリ土類金属イオンを含む。アルカリ土類金属は周期表の第2族に関連したものであり、典型的には、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)および/またはラジウム(Ra)を含む。具体例に依存して、1以上のものが存在し得る。遷移金属は、周期表の第3〜12族を含み、スカンジウム(Sc)、チタン(Ti)、バナジウム(V)、クロム(Cr)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、イットリウム(Y)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)等のごとき元素を含む。カチオンの他の例は、ビスマス(Bi)、スズ(Sn)、アンチモン(Sb)等のごとき非遷移金属カチオンを含む。
【0049】
本明細書に言及されるごとく、本発明のある種の化合物は、構造式により表され、これらは、本明細書に開示されたいずれのかかる式においても、1以上のカチオンを表す「M」を含み得る。例えば、ある具体例によれば、Mは1以上の二価および/または三価のカチオンを含み得る。いくつかの具体例において、Mは、リチウムまたはナトリウムのごときアルカリ金属および/または一価カチオンを含まない。また、本発明のある種の具体例において、Mは、マグネシウムまたはカルシウムのごときアルカリ土類金属を含まない。いくらかの場合、Mカチオンの少なくとも約10モル%は、1以上の非アルカリ、非アルカリ土類金属を含み得る。ある種の具体例において、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約75モル%または実質的にすべてのMカチオンは、1以上の非アルカリ、非アルカリ土類金属イオンを含み得る。
【0050】
いくつかの具体例において、化合物は固体であり得、いくらかの場合、結晶;例えば、化合物を形成するために本明細書に開示されたカチオンおよびアニオンは、明確な結晶構造を有する、すなわち、結晶構造を形成するために繰り返される単位格子原子配列を規定する繰り返しアレイにおいて配列し得る。例えば、後記に詳述されるごとく、カチオンおよびアニオンは、単位格子原子配列がシドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子、ブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造であるように、本発明のある種の化合物において配列し得る。
【0051】
1つの態様において、本発明は、アルカリ金属カチオン、非アルカリ金属カチオンもしくは基底状態(すなわち、基底状態はMである場合)より上の1を超える酸化状態を有する金属カチオン、リン酸アニオンおよび炭酸アニオンを含む化合物に指向される。化合物は、化学量論的または非化学量論的であり得る。例えば、ある組の具体例において、化合物は、式:
(PO(CO
を有し得る。この式において、Aはアルカリ金属(例えば、Li、Na、K等)であって、Mは1以上のカチオンを含む。例えば、Mは1以上の非アルカリ金属カチオン、基底状態(すなわち、M)より上の1を超える酸化状態を有する1以上の金属カチオン、1以上の非アルカリ土類金属カチオン、1以上の二価または三価のカチオン、1以上の遷移金属イオン等、ならびにこれらの組合せを含み得る(例えば、Mは、アルカリ金属でなく、アルカリ土類金属でない1以上のカチオンを含み得る)。また、Mの組合せが可能であり、例えば、Mは1以上の二価のカチオンおよび/または1以上の三価のカチオン等を含み得る。いくらかの場合、Mを形成するカチオンのいくつかだけが遷移金属イオンを含み得る。例えば、前記のごとく、いくつかの具体例において、Mを形成するカチオンの少なくとも約10モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、または少なくとも約75モル%は、遷移金属イオンであり得る。ある具体例において、Mの少なくとも約10モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、または少なくとも約75モル%は、1以上の非アルカリおよび非アルカリ土類金属を含む。一組の具体例において、特定の非限定の例として、式はLi(M)(PO(COまたはNa(M)(PO(COであり得る。
【0052】
本明細書のいずれの式においても、aは約0.1〜約5.1、約0.1〜約4.1、約0.2〜約4.1、約0.3〜約3.1、約0.4〜約2.1、約0.5〜約1.5、約0.7〜約1.3、または約0.9〜約1.1であり得る。また、bは、約0.1〜約5.1、約0.1〜約4.1、約0.2〜約4.1、約0.3〜約3.1、約2.9〜約3.1、約0.4〜約2.1、約0.5〜約1.5、約0.7〜約1.3、または約0.9〜約1.1であり得る。いくつかの具体例において、aが約1であり、および/またはbは約1である。加えて、yは約0.1より大きくてもよい。例えば、yは、約0.1〜約5.1、約0.1〜約4.1、約0.2〜約4.1、約0.3〜約3.1、約0.4〜2.1、約0.5〜約1.5、約0.7〜約1.3、または約0.9〜約1.1であり得る。また、いくつかの例において、yは1であり得る。また、xは約0.1より大きくてもよい。例えば、xは、約0.1〜約5.1、約0.1〜約4.1、約1.5〜約10.1、約1.9〜約10.1、約0.2〜約4.1、約1.5〜約3.5、約1.7〜約3.3、約1.9〜約3.1、約1.8〜約2.2、約1.9〜約2.1、約2.8〜約3.2、または約2.9〜約3.1であり得る。例えば、xはいくらかの場合、2または3であり得;xについての他の範囲が後記される。
【0053】
一組の具体例において、x、y、aおよびbは、量(x+jy−3a−2b)(式中、jは、Mの価数の合計(1以上のMが存在するならば、モル平均される)である)が、約−0.5〜約0.5、約−0.3〜約0.3、または−0.1〜約0.1であるように選択される。いくらかの(すべてではない)場合、量(x+jy−3a−2b)は約0である。1つの非限定の例として、aおよびbが、各々、1であり、xが3であり、yが1であり、Mは二価である(したがって、jは2である)ならば、この関係は満たされる。しかしながら、他の具体例において、これらの関係は、例えば、本発明のある種の非化学量論的な化合物につき、必ずしも必要ではないかもしれない。
【0054】
言及されるごとき、本明細書のいずれの式におけるMも、非アルカリ金属カチオンのごときカチオンであり得る。いくらかの場合、Mにおけるいくつかまたはすべてのカチオンは、いずれの酸化状態、例えば、包括的に1+〜5+、包括的に1+〜4+、包括的に1+〜3+、包括的に1+〜2+、包括的に2+〜5+、包括的に2+〜4+、包括的に2+〜3+、包括的に3+〜5+、包括的に4+〜5+等を有し得る。いくらかの場合、いずれのMも存在し、単一の酸化状態、例えば、1+、2+2 3+、4+、5+、6+等をを有し得る。いくつかの具体例において、Mは、基底状態(すなわち、M)より上の1を超える酸化状態を有する1以上の金属カチオンを含み得る。いくらかの場合、Mは、1以上の1価のカチオン、二価のカチオン、または三価のカチオンを含み得る。例えば、Mは、遷移金属(例えば、Fe、Ni、Co、Mn、V、Mo、W等)、アルカリ金属(例えば、MgまたはSr)等、および/またはMは、2、3または4、またはそれを超えるかかるカチオンを含み得るか、または実質的にそれらからなり得る。ある種の具体例において、Mを形成するカチオンの少なくとも約10モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、または少なくとも約75モル%は、遷移金属イオンであり得る。いくつかの具体例において、Mの少なくとも約10モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、または少なくとも約75モル%は、1以上の非アルカリおよび非アルカリ土類金属を含む。
【0055】
いくつかの具体例において、Mは2以上の二価のカチオン、三価のカチオンまたはこれらのいずれかの組合せを含み得る。例えば、いくつかの具体例において、化合物は式:
(M)(M’)(PO(CO
(式中、MおよびM’は、各々,独立して二価または三価のカチオンであり、MはM’と同一ではなく、yおよびzは、少なくともいくらかの場合、量(y+z)が約0.9〜約1.1であるかまたは、量(y+z)が約1であり得るように、選択し得る)を有し得る。例えば、yおよびzは各々約1/2であり得、yが約1/3であって、zが約2/3であり得、yが約1/4であって、zが約3/4であり得る等である。いくつかの(すべてではない)場合、x、y、z、aおよびbは、量(x+jy+kz−3a−2b)(式中、jはMの原子価であり、kはM’の原子価である)が、約−0.5〜約0.5、約−0.3〜約0.3、または−0.1〜約0.1にあるように、選択し得る。いくらかの場合、量(x+jy+kz−3a−2b)は約0である。特定の非限定の例として、MおよびM’が各々二価の場合(すなわち、jが2で、kが2である場合)、aおよびbが、各々、1であり、xは3であり、yは1/2であり、zは1/2であるならば、この関係は満たされる。さらに他の具体例において、化合物内に存在する3、4またはそれを超える二価および/または三価のカチオンが存在し得る。
【0056】
典型的には、前記に記載されたもののごとき化合物(または本明細書に言及されたいずれの他の化合物および/または式も)は、その化合物が印加電場の不存在下で実質的に電気的に中性(帯電していない)であるように、選択された添字を有するであろう。例えば、電場が印加されない場合に、正および負の電荷が実質的に平衡を保ち、化合物に実質的に中性の電荷を与える限り、化合物内の添字は、整数、10進または分数であるように選択し得る。各原子またはポリアニオンについての形式電荷(例えば、Liは1+、Kは1+、POは3−、COは2−である等)がよく知られているので、化合物が電気的に中性であるかを判断することは当業者によって行うことができる。しかしながら、いくらかの場合、化合物が、例えば、本明細書に言及されるごとくある種の非化学量論的な化合物について、印加電場の不存在下で実質的に電気的に中性であることは必ずしも化合物に必要とされない添字を有し得る。
【0057】
ある組の具体例において、本発明の化合物は、式:
(M)(PO(CO
(式中、xは約2.9〜約3.1にあり、A、M、aおよびbは前記に同じである)を有し得る。非限定例として、xはいくらかの場合に3であり得;Mは単一の二価のカチオンであり得;aは約0.1〜約5.1であり得;および/またはbは約0.1〜約5.1であり得る。例えば、化合物は、式A(M)(PO)(CO)、例えば、Li(M)(PO)(CO)、Na(M)(PO)(CO)またはK(M)(PO)(CO)を有し得る。二価のカチオンの例は、限定されるものではないが、Fe、Ni、Co、Mn、V、Mo、Sr、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbまたはMgを含む。かくして、化合物の特定の例は、限定されるものではないが、LiFeCOPO、LiNiCOPO、LiCoCOPO、LiMnCOPO、LiVCOPO、LiMoCOPO、NaFeCOPO、NaNiCOPO、NaCoCOPO、NaMnCOPO、NaVCOPO、NaMoCOPO、KFeCOPO、KNiCOPO、KCoCOPO、KMnCOPO、KVCOPOまたはKMoCOPOを含む。さらなる非限定の例は、LiCrCOPO、NaCrCOPO、KCrCOPO、LiCuCOPO、NaCuCOPO、KCuCOPO、LiTiCOPO、NaTiCOPO、KTiCOPO、LiBiCOPO、NaBiCOPO、KBiCOPO、LiSnCOPO、NaSnCOPO、KSnCOPO、LiSbCOPO、NaSbCOPOまたはKSbCOPOを含む。
【0058】
しかしながら、いくつかの具体例において、1を超える二価のカチオンは、例えば、式:
(MM’)(PO)(CO
(式中、少なくともいくらかの場合、xは約2.9〜約3.1にあり、MおよびM’は、各々、独立して単一の二価のカチオンであり、量(y+z)は約0.9〜約1.1である)として、存在し得る。これらの変数(例えば、A、M、a、b、yおよびz)は、そうでなければ前記されたものと同じであり得る。例えば、aは約0.1〜約5.1であり得、および/またはbは約0.1〜約5.1であり得る。例えば、化合物は、式A(M1/2M’1/2)(PO)(CO)、例えば、Li(M1/2M’1/2)(PO)(CO)、Na(M1/2M’1/2)(PO)(CO)またはK(M1/2M’1/2)(PO)(CO)を有し得る。特定の非限定の例は、LiFe1/2Ni1/2COPO、LiFe1/2Co1/2COPO、LiFe1/2Mn1/2COPO、LiFe1/21/2COPO、LiFe1/2Mo1/2COPO、LiNi1/2Co1/2COPO、LiNi1/2Mn1/2COPO、LiNi1/21/2COPO、LiNi1/2Mo1/2COPO、LiCo1/2Mn1/2COPO、LiCo1/21/2COPO、LiCo1/2Mo1/2COPO、LiMn1/21/2COPO、LiMn1/2Mo1/2COPO、Li1/2Mo1/2COPO、NaFe1/2Ni1/2COPO、NaFe1/2Co1/2COPO、NaFe1/2Mn1/2COPO、NaFe1/21/2COPO、NaFe1/2Mo1/2COPO、NaNi1/2Co1/2COPO、NaNi1/2Mn1/2COPO、NaNi1/21/2COPO、NaNi1/2Mo1/2COPO、NaCo1/2Mn1/2COPO、NaCo1/21/2COPO、NaCo1/2Mo1/2COPO、NaMn1/21/2COPO、NaMn1/2Mo1/2COPO、Na1/2Mo1/2COPO、KFe1/2Ni1/2COPO、KFe1/2Co1/2COPO、KFe1/2Mn1/2COPO、KFe1/21/2COPO、KFe1/2Mo1/2COPO、KNi1/2Co1/2COPO、KNi1/2Mn1/2COPO、KNi1/21/2COPO、KNi1/2Mo1/2COPO、KCo1/2Mn1/2COPO、KCo1/21/2COPO、KCo1/2Mo1/2COPO、KMn1/21/2COPO、KMn1/2Mo1/2COPOまたはK1/2Mo1/2COPOを含む。
【0059】
他の具体例において、Mは三価のカチオンであり、化合物は式:
(M)(PO(CO
(式中、xが約1.9〜約2.1であり、A、M、aおよびbは前記したものに同じである)を有する。非限定の例として、xはある例において2であり得;Mは単一の三価のカチオンであり得;aは約0.1〜約5.1であり得;および/またはbは約0.1〜約5.1であり得る。三価のカチオンの1つの非限定の例は、Al3+である。例えば、化合物は、式 AM(PO)(CO)、例えば、LiM(PO)(CO)、NaM(PO)(CO)またはKM(PO)(CO)、例えば、LiAl(PO)(CO)、NaAl(PO)(CO)またはKAl(PO)(CO)を有し得る。
【0060】
さらに他の具体例において、化合物は、二価および三価のカチオン含み得る。例えば、化合物は、式:
(M)(M’)(PO(CO
(式中、Mは単一の二価のカチオンを有し、M’は単一の三価のカチオンである)を有し得る。これらの変数(例えば、A、M、a、b、x、yおよびz)は、前記に言及したものと同じであり得る。いくつか(すべてではない)場合、電荷中性については、量(x+2y+3z)は、約4.5〜約5.5、約4.7〜約5.3および4.9〜約5.1であり得る。いくらかの場合、量(x+2y+3z)は約5であり得る。かかる化合物の例は、限定されるものではないが、LiFeAlCOPO、LiNiAlCOPO、LiCoAlCOPO、LiMnAlCOPO、LiAlCOPO、LiMoAlCOPO、NaFeAlCOPO、NaNiAlCOPO、NaCoAlCOPO、NaMnAlCOPO、NaAlCOPO、NaMoAlCOPO、KFeAlCOPO、KNiAlCOPO、KCoAlCOPO、KMnAlCOPO、KAlCOPOまたはKMoAlCOPOを含む。さらなる非限定の例は、LiCrAlCOPO、NaCrAlCOPO、KCrAlCOPO、LiCuAlCOPO、NaCuAlCOPO、KCuAlCOPO、LiTiAlCOPO、NaTiAlCOPO、KTiAlCOPO、LiBiAlCOPO、NaBiAlCOPO、KBiAlCOPO、LiSnAlCOPO、NaSnAlCOPO、KSnAlCOPO、LiSbAlCOPO、NaSbAlCOPOまたはKSbAlCOPOを含む。
【0061】
一組の具体例において、化合物は、NaFe(PO)(CO)、NaMg(PO)(CO)、NaMn(PO)(CO)および/またはNaSr(PO)(CO)ではない。もう一つの組の具体例において、化合物が、AがNaである場合、xが2〜4であり、MがFe、Mg、MnまたはSrであるものではないように、化合物は選択される。しかしながら、他の具体例において、これらの化合物のいずれも含まれ得る。
【0062】
前記に記載された化合物は、典型的には、ホスフェート(PO)およびカーボネート(CO)を含む。しかしながら、これは例示の目的のみであり、他の具体例において、他のポリアニオン基はホスフェートおよび/またはカーボネートに代えてまたはそれらに加えて存在し得ると理解されるべきである。例えば、一組の具体例において、化合物は式:
(YO(XO
を有し得る。この式において、Aはアルカリ金属(例えば、Li、Na、K等)であり、XはB、Cおよび/またはNの1以上を含み、Yは、Si、P、As、S、V、Nb、Moおよび/またはWの1以上を含む。Mは、1以上のカチオンを含み得る。例として、例えば、従前に言及したごとく、Mは1以上の非アルカリ金属カチオン、基底状態(すなわち、M)を超える1を超える酸化状態を有する1以上の金属カチオン、1以上の非アルカリ土類金属カチオン、1以上の二価または三価のカチオン、1以上の遷移金属イオン等、ならびにそれらの組合せを含み得る(例えば、Mは、アルカリ金属でなく、アルカリ土類金属でない1以上のカチオンを含み得る)。いくつかの具体例において、Yは、P、Si、SおよびVよりなる群から選択され得る。
【0063】
aは、約0.1〜約5.1、約0.1〜約4.1、約0.2〜約4.1、約0.3〜約3.1、約0.4〜約2.1、約0.5〜約1.5、約0.7〜約1.3、または約0.9〜約1.1であり得る。また、bは、約0.1〜約5.1、約0.1〜約4.1、約0.2〜約4.1、約0.3〜約3.1で、約2.9〜約3.1、約0.4〜2.1、約0.5〜約1.5、約0.7〜約1.3、または約0.9〜約1.1であり得る。いくつかの具体例において、aは約1であり、および/またはbは約1である。加えて、yは約0.1より大きくてもよい。例えば、yは、約0.1〜約5.1、約0.1〜約4.1、約0.2〜約4.1、約0.3〜約3、約0.4〜2.1、約0.5〜約1.5、約0.7〜約1.3、または約0.9〜約1.1であり得る。また、yは、いくつかの例において1であり得る。また、xは約0.1より大きくてもよい。例えば、xは、約0.1〜約5.1、約0.1〜約4.1、約1.5〜約10.1、約1.9〜約10.1、約0.2〜約4.1、約1.5〜約3.5、約1.7〜約3.3、約1.9〜約3.1、約1.8〜約2.2、約1.9〜約2.1、約2.8〜約3.2、または約2.9〜約3.1であり得る。例えば、xはいくらかの場合、2または3であり得る。
【0064】
一組の具体例において、XおよびYは、XとYにつき、各々、以下の組合せ:C、P;B、P;B、Si;C、Si;C、S;B、S;N、P;N、Si;N、S;C、V;B、V;またはN、Vの1つから選択される。例えば、従前に言及された一組の具体例において、XはCであり、YはPであってもよい。
【0065】
前記の化合物の非限定の例は、Li(M)(YO(XOまたはNa(M)(YO(XOを含む。潜在的に適当な化合物の特定の例は、限定されるものではないが、Li(M)(PO(CO、Na(M)(PO(CO、Li(M)(PO(BO、Na(M)(PO(BO、Li(M)(SiO(BO、Na(M)(SiO(BO、Li(M)(SiO(CO、Na(M)(SiO(CO、Li(M)(SO(CO、Na(M)(SO(CO、Li(M)(SO(BO、Na(M)(SO(BO、Li(M)(PO(NO、Na(M)(PO(NO、Li(M)(SiO(NO、Na(M)(SiO(NO、Li(M)(SO(NO、Na(M)(SO(NO、Li(M)(VO(CO、Na(M)(VO(CO、Li(M)(VO(BO、Na(M)(VO(BO、Li(M)(VO(NOまたはNa(M)(VO(NOを含む。また、他の組合せは本発明の他の実施例において可能である。
【0066】
一組の具体例において、化合物は、各々、A、M、YおよびXについて以下の組合せ:Na、AlおよびCo、Si、N;Na、Fe、Si、B;Na、AlおよびCo、Si、C;
Na、Mn、P、C;Na、Fe、P、C;Na、Co、P、B;Na、MgおよびFe、S、C;Na、Fe、S、C;Li、Cu、P、B;およびLi、Zn、P、Bのいずれも含まない。しかしながら、また、他の具体例において、これらの化合物のいずれかを含み得る。
【0067】
いくつかの具体例において、YおよびXを含む前記のポリアニオンおよび/または他のポリアニオンを含めて、1を超える(YO)および/または(XO)が存在し得る。いくらかの場合、他の化合物は、例えば、ドーパントおよび/または不純物として存在でき、出発組成における製造技術または不純物により、または結晶構造中のギャップ、欠陥または空孔により、化合物中の変動が存在し得る。しかしながら、一組の具体例において、化合物内に存在するアニオンの酸化物(O)の量は、比較的低レベルに維持し得る。例えば、化合物は、約20モル%以下、約15mol以下、約10モル%以下、または約5モル%以下のアニオン酸化物を存在させる(従前に言及したごとく、アニオン酸化物Oは、ポリアニオンでない)。
【0068】
前記のごとく、本明細書に言及された化合物は化学量論的または非化学量論的であり得る。非化学量論的な化合物において、種々のカチオン間の比率は正確または化学量論的ではなく、および/または種々のアニオン間の比率は正確または化学量論ではない。例えば、カチオンとアニオンとの間の比率、または非化学量論的な化合物内のカチオンとアニオンとの間の比率は、1:0.99、1:0.98. 1:0.97、1:0.96、1:0.95、1:0.94、1:0.93、1:0.92、1:0.91、1:0.90、1:0.88、1:0.86、1:0.84、1:0.82、1:0.80、1:0.78、1:0.76、1:0.74、1:0.72、1:0.70等であり得、具体例に依存して、カチオンまたはアニオンのいずれかは過剰であり得る。もう一つの例として、化合物における第1と第2のカチオン(例えば、AまたはM)との間の比率は、必ずしも単純な整数比率(例えば、1:1、2:1、3:1等)でなくてもよく、分数、例えば、1−w:1、1+w:1、2−w:1、2+w:1、3−w:1、3+w:1等であり得、wが10進の数である場合、例えば、wは、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.12、0.14、0.16、0.18、0.20、0.22、0.24、0.26、0.28、0.30等であり得る。かくして、(LiFeCOPOのごとき式における暗黙の複数の1を含めた)本明細書に記載されたいずれかの式におけるいずれの添字においても、1以上の添字は、独立して、a+wまたはa−w(ここに、wは前記のごとく定義される)の付加により改変し得る。
【0069】
かくして、種々の非限定の例として、本発明の化合物は、式 Ax−w(PO(CO、Ax−w(YO(XO、Ax−w(M)(M’)(PO(CO、Ax−w(M)(M’)(YO(XO、Ax−w(PO(CO、Ax−w(YO(XO、Ax−w(M)(M’)(PO(CO、Ax−w(M)(M’)(YO(XO、Ay−w(PO(CO、Ay−w(YO(XO、A(M1−w(M’)(PO(CO、A(M1−w(M’)(YO(XO、A(M)(M’1−w(PO(CO、A(M)(M’1−w(YO(XO、Ay−w(PO(CO、Ay−w(YO(XO、A(M1−w(M’)(PO(CO、A(M1−w(M’)(YO(XO、A(M)(M’1−w(PO(CO、A(M)(M’1−w(YO(XO、A(POa−w(CO、A(YOa−w(XO、A(M)(M’)(POa−w(CO、A(M)(M’)(YOa−w(XO、A(POa−w(CO、A(YOa−w(XO、A(M)(M’)(POa−w(CO、A(M)(M’)(YOa−w(XO、A(PO(COb−w、A(YO(XOb−w、A(M)(M’)(PO(COb−w、A(M)(M’)(YO(XOb−w、A(PO(COb−w、A(YO(XOb−w、A(M)(M’)(PO(COb−w、A(M)(M’)(YO(XOb−w等を有し得る。これらの式における他の変数(例えば、A、x、M、M’、Y、X、a、b等)は、本明細書のいずれでも記載されたもの同一であり得る。また、wは他の具体例(すなわち、化合物が化学量論的であるような)において0であり得る。加えて、前記のごとく、1を超えるカチオンおよび/またはアニオンは、いくらかの場合、例えば、Ax−wy−v(PO(CO、Ax−w(POa−v(CO、Ax−w(PO(COb−v、Ax−wy−v(POa−u(CO(式中、uおよびvが独立して選択されるが、上記のwと同様に定義される)等においてのように、非化学量論的であり得る。
【0070】
1つの態様において、化合物は、単位格子原子配列がシドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子、ブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造であるような構造を有し得る。単位格子の例は図4に示される。本明細書に用いた、「等構造の」は、構造における原子が、同一の立体配置における三次元空間にトポロジー的に配置されることを意味する(例えば、酸素原子、カチオン、アニオン等は同じトポロジー配置で位置する)が、化合物における正確な次元または格子定数(例えば、原子間の間隔)は、対応する単位格子と異なり得る。例えば、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子およびブラッドレイアイト単位格子は、相互に等構造である。当業者は、単位格子変数、次元、原子の位置等の決定のためによく確立された技術を用いて、例えば、X線回折、中性子回折または電子回折のごとき結晶学的技術を用いて、本発明の化合物の単位格子および/または原子の位置を決定できるであろう。
【0071】
いくつかの具体例において、国際結晶学連合によって規定されるように、化合物は空間群番号11に属する単位格子を有する。この構造は単斜晶系であり、国際的短縮記号(International Short Symbol)(P12/m1)を有する。かくして、化合物は、単斜晶系のP21/m(11)空間群構造を採用するものであり得る。単位格子構造の特定の非限定の例は、図4に示される。この図において、酸素原子は11により示され、X原子(例えば、炭素)は12により示され、Y原子(例えば、リン)は13により示され、A原子(例えば、ナトリウム)は14により示され、M原子(例えば、マンガン)は15により示される。1つの具体例において、格子ベクトル長は、8.997、6.741および5.163であり、格子ベクトル角度は、90°、90.16°および90°である。しかしながら、いくつかの具体例において、例えば、いくつかのイオン交換が生じた後、例えば、構造が単斜晶系から三斜晶系(P1)に緩和するような構造のいくらかの緩和が生じ得る。
【0072】
一組の具体例において、化合物はCOの三角平面基(または他のXOの三角平面基)、POの四面体基(または他のYOの四面体基)および/またはMOの八面体基を含む単位格子を有し得る。Mは、正のカチオン、例えば、正の二価または三価のカチオン、またはMに関して本明細書に記載された他のカチオンであり得る。いくらかの場合、MOの八面体基(例えば、図4における原子15の周囲のクラスター)は、カーボネートCOまたは他のXO三角平面基(例えば、図4における原子12の周囲のクラスター)と端を共有し得るか、および/またはMOの八面体基は、POまたは他のYOの四面体基(例えば、原子13の周囲のクラスター)と4つの頂点を共有し得る。
【0073】
特定の例として、1つの具体例において、本発明の化合物は、1.5418オングストロームの波長を持つ銅Kアルファ源を有するX線回折計を用いて測定し得る。XRD回折パターンは、10.7±1、20.4±1、21.4±1、27.1±1、28.8±1、34.0±1および35.8±1度の2シータ(2θ)での極大を有し得る。スペクトルの他の例は図1にみられる。いくつかの具体例において、化合物が図1にみられるものに類似するスペクトルを有することができ、例えば、当業者ならば、化合物が図1に示されるものの1つと実質的に同一のスペクトルを有することに同意するであろう。
【0074】
いくらかの場合、化合物は、25℃および1気圧にて熱力学的に不安定である。本明細書に用いた、「熱力学的に不安定」なる語句は、かかる条件の下、いずれの外部入力(例えば、温度変化、他の反応物、エネルギー等)なくして、1年または5年以内のごとき、名目上の時間スケールにわたって、より低い熱力学的エネルギーを有する、他の化合物または処方に、化合物が実質的に分解し始め得ることを意味する。例えば、例のみによって、いくつかのカーボネート含有化合物は、二酸化炭素(CO)としてカーボネートを放出することにより分解するであろう。しかしながら、多数の化合物について、速度論的制限は、化合物が熱力学的に不安定な状態でさえ分解するのを防止する。
【0075】
いくつかの具体例において、化合物は熱的安定性である。例えば、化合物は、十分に安定であり得、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、450℃または500℃でさえ(例えば、1気圧)の温度に対する曝露に際して実質的に分解せず、例えば、不可逆性プロセスにおけるより小さな分解化合物(例えば、COまたはCO)を形成する。いくらかの場合、化合物は十分に安定し、250℃または300℃の温度に加熱された場合、化合物は約3ml/g以下の酸素放出を示す。いくらかの場合、化合物は、かかる温度に対する曝露に際して、約1ml/g以下、約0.3ml/g以下、約0.1ml/g以下、または約0.3ml/g以下の酸素を放出し得る。いずれの理論によっても拘束されることなく、耐熱性および/または酸素を放出するための化合物の能力のなさは、例えば、ホスフェート(PO)および/またはカーボネート(CO)のごとき、化合物内のポリアニオン基の存在によるものであり得、かかるポリアニオン基を含まないLiCoOのごとき他の化合物と異なると考えられる。従前に言及されたごとく、いくつかの具体例において、化合物は、約20モル%以下、約15モル%以下、約10モル%以下または約5モル%以下のアニオン(非ポリアニオン)酸化物を含有する。
【0076】
化合物の耐熱性は、いずれかの適当な技術を用いて測定し得る。1つの非限定の例は、示差走査熱量測定法(DSC)である。かくして、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)を用いて分析された場合、化合物は、200℃、250℃、300℃、350℃または400℃未満の熱転移を示さないかもしれない。熱転移の例は、ガラス転移(T)および/または融解(T)転移を含む。
【0077】
一組の具体例において、化合物は、C/50(C=116mA/g)の放電率にて測定された、少なくとも約50mA h/g、いくらかの場合、少なくとも約60mA h/g、少なくとも約80mA h/g、少なくとも約100mA h/g、少なくとも約120mA h/g、少なくとも約140mA h/g、少なくとも約160mA h/g、少なくとも約180mA h/g、少なくとも約200mA h/g、少なくとも約210mA h/g、少なくとも約220mA h/gまたは少なくとも約230mA h/g等の特定の容量を有する。化合物は、例えば、少なくとも2つの異なるポリアニオン基を含むリチウム含有化合物、式Li(M)(PO(CO、A(M)(PO(CO、A(M)(YO(XOを有する化合物、または本明細書に開示された他の化合物であり得る。かかる特定の容量は、例えば、Li陽極に対する電気化学電池における陽極として適当な化合物を用い、(Li金属、例えば、Li金属陽極におけるLi/Liの電位、すなわち、Li+の電位に対し)最大4.6V、4.9V、または5.2Vに化合物を荷電させ、次いで化合物を少なくとも約116mA/gの割合にて2.0Vまで放出させることにより測定し得る。化合物の電流密度は、電極として用いた場合、約1mA/cm未満の電極表面であり得る。
【0078】
いくつかの具体例において、本明細書に言及された種々の組成は、例えば、スクリーニングテストに基づいて、例えば、充電またはサイクルプロフィールに基づいて、電池および/または他の電気化学デバイスにおける使用につき選択および/または最適化できる。例えば、組成は、電気化学電池の陰極に形成され、リチウム陽極に対して荷電され得る。次いで、種々の電圧(例えば、Li+/Liのポテンシャルに対し、4.6V、4.9Vまたは5.2V)に化合物を曝露し、次いで、少なくとも約116mA/gの割合にて2.0Vまで化合物を放電すると、種々の組成の性能を確認でき、これを用いて、特定の電池および/または他の電気化学デバイスにおける使用に組成を選択または最適化できる。化合物は、少なくとも約50mA h/g、いくらかの場合、少なくとも約60mA h/g、少なくとも約80mA h/g、少なくとも約100mA h/g、少なくとも約120mA h/g、少なくとも約140mA h/g、少なくとも約160mA h/g、少なくとも約180mA h/g、少なくとも約200mA h/g、少なくとも約210mA h/g、少なくとも約220mA h/gまたは少なくとも約230mA h/g等の特定の容量を有するように選択し得る。もう一つの例として、化合物は、前記のごとく、反復充電および放電でき、良好以上の最適化された化合物が、より多くの充電/放電サイクル後に良好な充電特性を与える。
【0079】
本発明の種々の態様によれば、本明細書に記載されたもののごとき化合物は、広範囲の目的に用い得る。いくつかの具体例において、化合物は、結合剤、充填剤、硬化剤等のごとき他の物質を所望により含有できる組成内に存在し得る。例えば、一組の具体例において、化合物は、電気化学的デバイス内に、例えば、電源ツール、ハイブリッド電気運搬手段、携帯用電子デバイス、ラップトップコンピューター等のごとき適用における使用のために、電池材料として存在し得る。いくつかのかかる具体例において、本発明の化合物は、荷電、例えば、電気電荷)を保存でき得る。例えば、化合物は、適当な電気化学デバイス内の電極において、例えば、電池、燃料電池等内の陽極として存在し得る。
【0080】
特定の例として、いくつかの具体例において、本明細書に言及された化合物は、再充電可能なアルカリ金属電池内、電極内または電極として用い得る。リチウム電池またはナトリウム電池のごとき再充電可能なアルカリ金属電池は、典型的には充電および放電中に、各々、リチウムまたはナトリウムを交換する電極を有する。アルカリ金属イオンが交換できる割合は、高い充電および/または放電率が電池に必要である多数の適用に重要である。陰極材料について、アルカリ金属イオンおよび電子は、電池の放電中に吸着され、このプロセスは充電中に逆転する。本発明は陰極に限定されるものではないが、本明細書に用いた「充電」は、材料からのアルカリ金属イオンの除去を示し、「放電」とは、材料からのアルカリ金属イオンの挿入をいう。
【0081】
本発明のもう一つの態様は、概して、本明細書に記載されたもののごとき化合物を調製するためのシステムおよび技術に指向される。例えば、ある種の具体例において、熱水技術を用いて、化合物を調製し得る。いくつかの具体例において、種々の塩を含有する水性液体(例えば、溶液または懸濁液等)を加熱し、次いで水を除去して、最終化合物を回収する。液体は、液体中に溶解または懸濁し得る最終化合物を形成するために用いるであろうイオンを含有する種々の塩を含み得る。本明細書に用いた「液体」は、例えば、溶液または懸濁液中においてのごとき、その中に溶解または懸濁された液体内に含有される種も含むと理解されるべきである。特定の例として、液体は、リン酸アニオン、炭酸アニオン、アルカリ金属カチオンおよび非アルカリ金属カチオンを含み得る。
【0082】
液体において、最終化合物中に存在するであろう陽イオンは、最終的な所望の生成物を生成するための適当な負のイオンにより平衡し得る。特定の非限定の例として、NaMnCOPOが生成されるべきならば、出発塩はNaCO、NaPO、MnCOおよび/またはMn(POを含み得る。所望の最終生成物における種の比率を制御するために、合成プロセス中に除去できる他の原子団も用い得る。例えば、硝酸(NO)またはアンモニウム種(NH)を用い得る。かくして、特定の例として、NaNOまたはMn(NOを用いて、最終生成物において、各々、NaまたはMnの量を増加でき、一方、(NHCOまたは(NHPOを用いて、最終生成物において、COまたはPOの量を増加できる。当業者は、正確な量の正および負の種を含む出発液体(例えば、溶液および/または懸濁液)を調製して、モル比の計算または他の同様の技術の使用により、過度の実験なくして所望の最終生成物を生成できるであろう。
【0083】
例えば、一組の具体例において、初期の液体は、アルカリ金属カチオンおよび炭酸アニオンを含む第1の化合物、非アルカリ金属カチオンおよび硝酸アニオンを含む第2の化合物、およびリン酸アニオンを含む第3の化合物を水に添加して、水性液体を形成することにより、調製し得る。もう一つの組の具体例において、初期の液体は、アルカリ金属カチオンおよび炭酸アニオンを含む第1の化合物;塩素アニオン、硫酸アニオン、臭素アニオンおよびヨウ素アニオンを含む第2の化合物;およびリン酸アニオンを含む第3の化合物を水に添加して、水性液体を形成することにより、調製し得る。さらにもう一つの組の具体例によれば、初期の液体は、アルカリ金属カチオンを含む第1の化合物、非アルカリ金属カチオンを含む第2の化合物、炭酸アニオンを含む第3の化合物、およびリン酸アニオンを含む第4の化合物を水に添加して、水性液体を形成することにより調製し得る。
【0084】
例えば、最終化合物が式A(M)(PO(CO(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、xは約0.1より大きく、aは約0.1〜約5.1であり、およびbは約0.1〜約5.1である)を有するならば、初期のものは、アルカリ金属カチオンおよびリン酸アニオンを含む第1の化合物、および非アルカリ金属カチオンおよび炭酸アニオンを含む第2の化合物;またはアルカリ金属カチオンおよび炭酸アニオンを含む第1の化合物、および非アルカリ金属カチオンおよびリン酸アニオンを含む第2の化合物等から形成され得る。例えば、水溶液中のアルカリ金属カチオン−対−リン酸アニオンの比率は、例えば、約5:0〜約1:50、約5:0.1〜約1:10、約5:0.1〜約1:5、約1:0.1〜約1:50、約1:0.1〜約1:10、約1:0.1〜約1:5、または約1:1であり得る。同様に、いくらかの場合、水溶液中のアルカリ金属カチオン−対−炭酸アニオンの比率は、約5:0〜約1:50、約5:0.1〜約1:10、約5:0.1〜約1:5、約1:0.1〜約1:50、約1:0.1〜約1:10、約1:0.1〜約1:5または約1:1であり得る。いくつかの具体例において、リン酸アニオン−対−炭酸アニオンの比率は、約1:0.1〜約1:10、約1:0.5〜約1:2または約1:1であり得る。、一組の具体例において、アルカリ金属カチオン−対−非アルカリ金属カチオンの比率は、約1:0.1〜約1:10、約1:0.2〜約1:5または約1:0.5〜約1:2である。
【0085】
いくつかの具体例において、本明細書に記載されたもののごときある種の化合物(例えば、ある種のLiまたはNaの鉄カルボノホスフェート)の合成および/またはイオン交換は、グローブボックス、または熱水ボンベのごとき他の密閉反応器中で行い得る。いくらかの場合、グローブボックスまたは他の反応器は、例えば、酸素への曝露を最小化するために純粋な窒素または貴ガスのごとき不活性ガスを含み得る。いずれの特定の理論による拘束を望むことなく、環境中または熱水溶液に溶解した酸素(例えば、空気)は、いくらかの場合、FeをFeに酸化し得る。この酸化反応は、鉄カルボノホスフェートの非化学量論的処方を生じることもでき、例えば、生成物の式はA3−wFe(II)1−wFe(III)POCOになる。AはLiまたはNaであり得る。その酸化反応は以下のように記載し得る:
2 AFePOCO+1/2 w O+w HO → 2A3−wFePOCO+2w A+2w OH(式中、AはNaまたはLiを表す)。しかしながら、他の具体例において、かかる化合物は望ましいかもしれない。
【0086】
しかしながら、いくらかの場合、本明細書に記載されたもののごときある種の化合物(例えば、ある種のCoまたはNiカルボノホスフェート)の合成および/またはイオン交換は、周囲環境から酸素を必ず除去する、または除去することなく、行い得る。酸素に対するCo(II)およびNi(II)のごときある種類の安定性により、周囲環境から酸素を除去する必要はないかもしれない。もう一つの例として、Mn(II)が操作条件下、酸化に対してFe(II)より一般的に安定であるので、Mnカルボノホスフェートの合成および/またはイオン交換は、周囲環境から酸素を除去して行い得る。Mn(II)の酸化は生じ得るが、それは典型的には非常にゆっくり酸化する。かくして、周囲環境から酸素を除去する必要はないかもしれない。
【0087】
初期の液体は、水中(または、水が存在する溶液、懸濁液または他の混合物)に塩を溶解および/または懸濁する、および/または引き続いておよび/または同時に、液体を制御温度、例えば、少なくとも約50℃、少なくとも約60℃、少なくとも約70℃、少なくとも約80℃、少なくとも約90℃、少なくとも約100℃、少なくとも約110℃、少なくとも約120℃、少なくとも約130℃、少なくとも約140℃、少なくとも約150℃、少なくとも約160℃、少なくとも約170℃、少なくとも約180℃、少なくとも約190℃、少なくとも約200℃、または少なくとも約210℃に加熱することにより調製し得る。ある種の具体例において、温度は約220℃、約210℃または約200℃未満であり得る。いくらかの場合、液体の温度および/または圧力は、水溶液が沸騰しないように、加熱プロセスの間制御し得る。
【0088】
かかる条件に対する適当な曝露後(例えば、2、3、4またはそれを超える日数の後)、水をいずれかの適当な技術を用いて除去して、最終生成物を生成し得る。例えば、液体は、乾燥(低湿度)空気下、または過剰水を追い出す遠心分離により、比較的高温に曝露でき、それによって、最終生成物を生成する。溶液または懸濁液を乾燥させるための技術は、当業者によく知られているであろう。いくらかの場合、最終生成物は、固形生成物、例えば、結晶生成物として回収し得る。
【0089】
いくつかの具体例において、最終生成物は、粒子として形成し得る。粒子サイズは、例えば、処方の温度および/または時間を制御することにより、制御し得る。例えば、粒子は、約200nm〜約10マイクロメートル、約200nm〜約300nm、約300nm〜約1マイクロメートル、約1マイクロメートル〜約3マイクロメートル、または約3マイクロメートル〜約10マイクロメートルの平均直径を有し得る。平均直径は、例えば、SEMまたはTEMを用いて、見積り得る。いくらかの場合、粒子は、比較的狭いサイズ分布を有し得る。例えば、SEMまたはTEMを用いて観察されるごとく、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%または少なくとも約95%の粒子が、粒子の平均直径または体積から約10%以下で異なる、または約5%以下で異なる直径または体積を有するようであるサイズを有し得る。
【0090】
また、本発明は、いくつかの態様において、本明細書に記載されたいずれかの技術または化合物による化合物の使用の促進を含む。本明細書に用いた「促進された」は、ビジネスを行うすべての方法を含み、限定されるものではないが、例えば、本発明の方法および化合物に関与できる、例えば、本明細書に言及される販売、広告、譲渡、ライセンス、受託、指示、教育、研究、輸入、輸出、交渉、融資、貸付、取引、売却、再販、流通、交換の方法等を含む。また、促進は、いくらかの場合、政府系機関からの承認の追求を含み得る。促進の方法は、限定されるものではないが、ビジネス(公または個人)、契約またはサブ契約機関、単科大学および総合大学のごとき教育機関、研究所、政府機関等を含めた、いずれのパーティーによっても行うことができる。宣伝活動は、本発明に明確に関係する、限定されるものではないが、いずれの形態の指示またはコミュニケーション(例えば、書面、口頭、および/または電子的なコミュニケーション、例えば、電子メール、電話、ファクシミリ、インターネット、ウェブベースのもの等)も含み得る。本明細書に用いた「指示」は、指導に役立つもの(例えば、指示、ガイド、注意、ラベル、ノート、FAQ(「頻繁に尋ねられる質問」)等の構成要素を規定でき、典型的には、化合物および/または化合物の包装に対するまたはそれと関連する、書面での指示を含むことができる。また、指示は、例えば、本明細書に言及されるごとく、ユーザーが指示が化合物に関係するものであることを明確に認識できるようないずれかの方法で提供された、いずれの形式(例えば、口頭、電子的、デジタル的、光学的、視覚的等)での指示コミュニケーションを含むことができる。
【0091】
Cederらによる「カルボホスフェートおよび関連化合物」の発明の名称を有する、2010年2月22日付けで出願された米国仮特許出願第61/306,670号をここに出典明示してそのすべてを本明細書の一部とみなす。
【0092】
以下の実施例は、本発明のある種の具体例を示すが、本発明の全範囲を例示しないことが意図される。
【0093】
実施例1
本実施例は、MがFe、Co、MnまたはNiである、種々のナトリウムの単一遷移金属カルボホスフェートNaMCOPO化合物の合成を示す。これらのカルボホスフェート化合物は熱水方法を用いて合成した。また、さらなるナトリウム混合遷移金属遷移金属カルボホスフェートは、同様の技術を用いて調製し、ここに、Mは、Fe、Co、MnおよびNiの混合物を含む(しかしながら、これらの元素に限定されない)。例えば、CrまたはVは、M部位にて、上記の4元素と混合できた。
【0094】
これらの化合物のリチウム形態は、有機溶媒中のLi−Naイオン交換によって調製した。合成手順の詳細は、特定の代表例としてのNaMnCOPOおよびLiMnCOPOを用いて後記する。
【0095】
NaMnCOPOの合成に用いる出発物質は、NaCOのごとき可溶性ナトリウム塩;Mn(NO・4HOまたはMn(NO・6HOのごとき可溶性Mn塩;NaCOのごとき可溶性カーボネート;および(NHHPOのごとき可溶性ホスフェートを含んだ。代表的な手順として、0.5gのMn(NO・4HOを3mlの蒸留水に溶解して、薄ピンク色の溶液(溶液I)を形成し;次に、2gのNaCOおよび0.264gの(NHHPOを12mlの蒸留水に溶解して、透明溶液(溶液II)を形成した。溶液Iを強磁気撹拌下で溶液IIにゆっくり添加して、薄ピンク色スラリーを形成した。このスラリーを、オートクレーブ滅菌し、90℃で3日間または160℃で16時間加熱したPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)系に移した。オートクレーブを室温(約25℃)に冷却した後、最終生成物を蒸留水で3〜5回洗浄し、次いで90℃にて一晩乾燥させた。
【0096】
出発物質は、前記に列記した塩以外に、反応にNa、Mn、CO2−またはPO3−を供する他の可溶性塩であることができた。したがって、出発物質のモル比を変更できた。
【0097】
調製したNaMnCOPOからLiMnCOPOを合成するためのLi−Naイオン交換は、90℃の油浴において1週間、2M LiBr/1−ヘキサノール溶液中でNaMnCOPOの粉末を撹拌することにより行った。また、温度は、約90℃〜約135℃であることができる。イオン交換生成物を蒸留水およびメタノールによって洗浄し、70℃で一晩乾燥させた。
【0098】
同じ水熱合成およびイオン交換手順を用いて、出発物質を変更して、他のカルボホスフェート(Mは、Ni、Co、Feまたは他の金属である)を合成した。
【0099】
NaMCOPOおよびそれらの対応するLi形態LiMCOPO(M=Mn、Fe、Co、NiおよびCo0.5Mn0.5)のXRDパターンを図1に示す。
【0100】
実施例2
本実施例は、実施例1に言及したある種の化合物に関する試験を示す。調製したLiMnCOPOおよびLiFeCOPO化合物は、実験的半電池リチウムイオン電池における陰極として試験した。LiMnCOPOまたはLiFeCOPOは、60%:30%:10%の重量比でカーボンブラックおよびPVDF(ポリビニリデンフルオリド)結合剤と混合させ、陰極としてアルミニウム箔で成型した。リチウム金属箔を陽極として用いた。1:1のEC/DMC(炭酸エチレン/炭酸ジメチル)溶液中の1M LiPFを電解質として用いた。セルは、定電流モードを持つMaccor 4000電気化学的サイクラーまたはArbin 2000電気化学的サイクラーを用いて循環させた。用いた電流密度は、LiMnCOPOについて2mA/g、およびLiFeCOPOについて2mA/g〜1000mA/gであった。電圧ウィンドウは、2.0V〜4.8Vであった。図2は、LiMnCOPOの典型的なサイクルプロフィールを示し、充電および放電電圧を容量の関数としてプロットした。電流密度は2mA/gであり、サイクルウィンドウは2.0V〜4.8Vであった。図3Aは、最初の3サイクルにおける非化学量論的なLiFeCOPOの典型的なサイクルプロフィールを示し、充電および放電電圧は、容量の関数としてプロットした。電流密度は2mA/gであった。図3Bは、種々の割合で異なる電流密度を持つLiFeCOPOの容量保持を示す。また、非化学量論的試料は、良好な比率容量およびサイクル保持を示した。
【0101】
加えて、図3Cおよび3Dは、C/10割合にて、室温(約25℃)、および60℃で、化学量論的LiFeCOPOのサイクル曲線を示す。加えて、高温にて循環させた場合、LiFeCOPOはより小さな分極を示した。
【0102】
実施例3
いずれの理論による拘束を望むことなく、本実施例は、本明細書に言及したYOおよびXOポリアニオンを有するある種の化合物が、フバード修正語(Hubbard correction term)(GGA+U)を含む一般化勾配近似(GGA)を用いて、密度汎関数理論フレームワークに基づいて、シドレンカイト構造および本明細書に引用された特性を有することを示す。
【0103】
シドレンカイト構造中の異なる酸化還元活性元素Mについての電圧を計算し、図5に示した。また、この図は、電池サイクル(例えば、2+から3+まで等)中に金属原子価変化を示す。Mn、VおよびMoが注目されるようであり、これらの元素についてのエネルギー密度を表1に示す。
【0104】
【表1】

【0105】
種々のLiM(PO)(CO)化合物についての熱力学的安定性は、最初の(ab initio)計算を用いて見積もった。電圧計算の結果を図5に示す。Fe、Mn、Co、V、MoおよびBiのごとき多数の金属は、リチウムイオン電池中で現在用いる現行の電解質の電圧範囲と一致するように適した計算上の電圧を表示する。また、NiおよびCrを含めた他の金属が、注目される。そのLi含有相は、熱力学的に不安定であることが判明した;しかしながら、それらの少数は、最低エネルギーを持つ相の組合せよりエネルギーにおいて単にわずかに高く、その結果、例えば、実施例1に示されるごとく、それらは反応の動力学を制御することにより実験室にて作成できる。
【0106】
ある種のNaM(PO)(CO)等構造化合物の分析は、種々のナトリウム化合物が安定することを示した。例えば、2+酸化状態におけるM元素について、NaM(PO)(CO)は、Fe、Mn、Mg、Ca、Co、Ni、Cu、Zn等のごとき種々の元素に安定であるようである。3+酸化状態におけるM元素について、NaM(PO)(CO)は、V、Mo、Fe、Cr、Bi、Sc、Al等に安定であるようである。また、同様に、アルカリとしてのカリウムを含む、種々の化合物は安定である。例えば、2+酸化状態中のM元素について、KM(PO)(CO)はMg、Ca、Fe、Ni、Co、Sr、Mn等に安定であるようである。3+酸化状態におけるM元素について、KM(PO)(CO)は、Bi、Fe、Tl、Sb、Fe、Cr、Mn等に安定であるようである。したがって、これらの計算は、本発明のある種の化合物を生成するためのもう一つのアプローチが、まず、ナトリウム化合物またはカリウム化合物を調製し、次いで、イオン交換を用いて、リチウム化合物を生成することを含むことを示す。
【0107】
また、静電的相互作用に基づいた経験的ポテンシャルを用いて、ある種の化合物におけるLi拡散経路を評価した。図6Aおよび6Bは、シドレンカイト構造におけるLiの拡散経路を示す。この分析からの結果は、これらの化合物が良好なリチウムイオン拡散を示すことを示唆する。この拡散は、bおよびc軸に沿った最低の隔壁経路を持つ二次元であることが予測された。図6Aおよび6Bを参照。経験的ポテンシャルバリアーは、Mn、FeおよびV化合物につき、各々、521meV、394meVおよび452meVであると見積もられた。
【0108】
また、他の可能な安定したポリアニオン混合物の計算上の検索を行った。例えば、式AM(XO)(YO)(式中、xは1、2または3であり;AはNaまたはLi;XはSi、P、AsまたはSであり;およびYはBまたはCである)におけるすべての可能な化合物を計算した。ある種のNa化合物が安定であることが判明した。また、例えば、Naカルボノホスファート化学における安定な化合物は、対応するカルボノアルセネート化学において安定であった。同様に、ある種のNaボラトホスフェートが式NaM(PO)(BO)(式中、MはFe、MnまたはMoである)における安定性に近いことが判明した。また、NaM(SiO)(CO)(式中、MはFe、MoまたはVである)のごときある種のカルボノシリケートが、安定であると判明した。これらの化合物についての安定性データを、XおよびY軸に示された種々のイオンについて、A=Naにつき図9およびA=Liにつき図10に示す。「n/a」は、データが利用可能ではないことを意味する。これらの図において、グレイスケールで陰影を付けて、最低のエネルギーを持つ相の組合せに対するこれらの化合物の差異エネルギーを示す。それらのカルボノシリケート(すなわち、LiM(SiO)(CO))についてのLiバージョン用の電圧を評価し、図8に示す。例えば、LiV(CO)(SiO)は、799Wh/kgの重量エネルギー密度および2183Wh/lの体積エネルギー密度を有する。図11は、この化合物の単位格子を示す。
【0109】
他の注目される結晶構造は、フェロタイカイト(NaFe(CO(SO))に類似するものを含む。リチウムアナログ(Li(CO(SO))についての電圧を図7に示す。電圧は、一般的に同じ酸化還元対についてのカルボノホスフェートより高い傾向にあった。
【0110】
実施例4
本実施例において、種々のナトリウムカルボノホスファート化合物をナトリウムイオン電池用の陰極材料として試験した。試験条件は、実施例2のLi金属に代えて陽極としてNa金属を用い、1:1 EC/DMC(炭酸エチレン/炭酸ジメチル)溶液中の1M NaPFを電解質として用いたことを除いて、実施例2に用いたものと同様であった。
【0111】
NaMnPOCOは、一電子反応(約95mAh/g)の理論容量を超える比較的良好な容量(約120mAh/g)を示し、放電カーブは、可能な2つの電子反応を示す2つのプラトーを示した。4Vおよび3.2V付近に集中したプラトーの電圧は、一般的に計算上の予測(Mn3+/Mn4+につき4.0VおよびMn2+/Mn3+につき3.1V)と一致した。NaMnPOCOのサイクル曲線および容量を図12Aおよび12Bに示す。
【0112】
本発明のいくつかの具体例が本明細書に記載および示されるが、当業者ならば、機能を果たし、および/もしくは本明細書に記載された結果および/または1以上の有利さを得るための種々の他の手段ならびに/または構造を容易に描き、かかる各変更および改変は、本発明の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者ならば、本明細書に記載されたすべての変数、次元、材料および/または配置が、本発明の教示を用いる特定の適用または適用群に依存するであろうことを意味することを容易に認識するであろう。当業者ならば、ルーチン実験に過ぎない、本明細書に記載された本発明の特定の実施例に対する多数の等価物を認識または確認できるであろう。したがって、前記の具体例は、添付された特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明は、具体的に記載および特許請求されたとは別法で実施し得ると理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載された個々の各特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法に指向される。加えて、2以上のかかる特徴、システム、物品、材料、キットおよび/または方法のいずれの組合せも、かかる特徴、システム、物品、物質、キットおよび/または方法が、相互に矛盾しないならば、本発明の範囲内に含まれる。
本明細書に規定され用いたすべての定義は、辞書の定義、出典明示して本明細書の一部とみなす文書における定義および/または定義された用語の通常の意味に関して照査されると理解されるべきである。
【0113】
本明細書および特許請求の範囲内で用いた不定冠詞「a」および「an」は、反対に明確に示されない限りは、「少なくとも1つ」を意味すると理解されるべきである。
【0114】
ここに本明細書および特許請求の範囲に用いた「および/または」なる語句は、結合要素、すなわち、いくらかの場合に接続的に存在し、他の場合に分離的に存在する要素の「いずれかまたは双方」を意味すると理解されるべきである。「および/または」でリストされる複数の要素は、同一様式、すなわち、結合された「1以上」の要素において解釈されるべきである。具体的に同定されたものに関連または関連しないかに拘わらず、具体的に同定された要素以外に、他の要素が所望により存在し得る。かくして、非限定の例として、「Aおよび/またはB」なる参照は、「含む」のごとき無制限の語句と組み合わせて用いた場合、1つの具体例において、Aだけ(所望によりB以外の元素を含めて);もう一つの具体例において、Bだけ(所望によりA以外の元素を含めて);さらにもう一つの具体例において、AおよびBの双方(所望により他の元素を含めて)等をいうことができる。
【0115】
本明細書および特許請求の範囲に用いた「または」は、前記の「および/または」と同一の意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストにおいて項目を分離する場合、「または」または「および/または」は、総括的であると解釈され、すなわち、少なくとも1つであるが、1を超えるを含めた包含の複数またはリストの要素、所望により、さらなるリストされていない項目を含む。「の一つだけ」もしくは「の正確に一つ」、または特許請求の範囲に用いる場合の「よりなる」のごとき反対に明確に示された用語だけは、多数のまたはリストの要素の正確に一つの要素の包含をいう。一般的には、本明細書に用いた「または」なる用語は、排他性の用語により先行される場合、「いずれか」。「一つだけの」または「正確に一つの」のごとき、単に排他的な代替物(すなわち、双方でない一つまたは他のもの)を示すと解釈されるであろう。「実質的に .... よりなる」は、特許請求の範囲に用いる場合、特許法の分野に用いるその通常の意味を有するであろう。
【0116】
本明細書および特許請求の範囲に用いた「少なくとも1つの」なる語句は、1以上の要素のリストを参照して、要素のそのリストにおいるいずれかの1以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味すると考えられるべきであるが、必ずしも、要素のそのリスト内に具体的にリストされた少なくとも1つの各々およびすべての要素を含まず、要素のそのリスト中の要素のいずれかの組合せを排除しない。また、この定義は、具体的に同定されたそれらの要素に関連するまたは関連しないかに拘わらず、「少なくとも1つの」なる語句を参照する要素のリスト内で具体的に同定された要素以外の要素が所望により存在し得ることを可能にする。かくして、非限定の例としての「AおよびBの少なくとも1つ」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ」、または、同等に「Aおよび/またはBの少なくとも1つ」)は、1つの具体例において、Bが存在しない(所望により、B以外の要素を含む)、所望により1を超えるを含めて、少なくとも1つのA;もう一つの具体例において、Aが存在しない(所望により、A以外の要素を含む)、所望により1を超えるを含めて、少なくとも1つのB;さらにもう一つの具体例において、少なくとも1つの、所望により1を超えるAおよび、少なくとも1つの、所望により1を超えるB等をいうことができる。
【0117】
また、反対に明確に示されない限りは、1を超える工程または行為を含むここに特許請求されるいずれの方法においても、その方法の工程または行為の順序は、必ずしも、その方法の工程または行為が引用される順序に限定されない。
【0118】
特許請求の範囲ならびに前記の明細書において、「含む」、「含めた」、「運ぶ」、「有する」、「含有する」、「含む」、「保持する」、「より構成される」等のごときすべての移行句は、無制限、すなわち、含むが、限定されるものではないことを意味すると理解されるべきである。「よりなる」および「実質的に .... よりなる」なる移行句だけは、米国特許出願審査基準、セクション2111.03に記載された、各々、クローズドまたはセミクローズドの移行句であろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
Li(M)(PO(CO
(式中、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、
xは約0.1より大きく、
aは約0.1〜約5.1であり、
bは約0.1〜約5.1である)
を有する化合物。
【請求項2】
Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
Mがアルカリ土類金属を含む、請求項1〜3のいずれか1記載の化合物。
【請求項5】
化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子、ブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する請求項1〜4のいずれか1記載の化合物。
【請求項6】
式:
(M)(PO(CO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、
Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、
xは約0.1より大きく、
aは約0.1〜約5.1であり、
bは約0.1〜約5.1であり;
但し、化合物は、AがNaである場合、xは2〜4であり、MはFe、Mg、MnまたはSrであるものではない)
を有する化合物。
【請求項7】
Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む請求項6記載の化合物。
【請求項8】
Mが遷移金属を含む請求項6および7記載の化合物。
【請求項9】
Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む請求項6〜8のいずれか1記載の化合物。
【請求項10】
化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子またはブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する請求項6〜9のいずれか1記載の化合物。
【請求項11】
シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子、ブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有するリチウム含有化合物。
【請求項12】
COの三角平面基、POの四面体基およびMOの八面体基(式中、Mは正のカチオンである)を含有する単位格子を有する、少なくとも約25モル%のリチウムを含むリチウム含有化合物。
【請求項13】
10.7±1、20.4±1、21.4±1、27.1±1、28.8±1、34.0±1および35.8±1度の2θで極大を有するXRD回折パターンを有し、ここに、XRDは、1.5418オングストロームの波長を持つ銅Kアルファ源を有するX線回折計を用いて得られるリチウム含有化合物。
【請求項14】
式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;
Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み;
XはB、CおよびNの1以上を含み;
Yは、Si、P、AsおよびSの1以上を含み;
xは約0.1より大きく;
aは約0.1〜約5.1であり;および
bは約0.1〜約5.1であり;
但し、組成は、各々、A、M、YおよびXについていずれかの以下の組合せ:Na、AlおよびCo、Si、N;Na、Fe、Si、B;Na、AlおよびCo、Si、C;Na、Mn、P、C;Na、Fe、P、C;Na、Co、P、B;Na、MgおよびFe、S、C;Na、Fe、S、C;Li、Cu、P、B;およびLi、Zn、P、Bを含まない)
を有する化合物。
【請求項15】
式 A(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;
Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、MはV、Nb、MoまたはWを含まなく;
XはB、CおよびNの1以上を含み;
Yは、V、Nb、MoおよびWの1以上を含み;
xは約0.1より大きく;
aは約0.1〜約5.1であり;および
bは約0.1〜約5.1であり;
但し、組成は、各々、A、M、YおよびXについていずれかの以下の組合せ:Na、AlおよびCo、Si、N;Na、Fe、Si、B;Na、AlおよびCo、Si、C;Na、Mn、P、C;Na、Fe、P、C;Na、Co、P、B;Na、MgおよびFe、S、C;Na、Fe、S、C;Li、Cu、P、B;およびLi、Zn、P、Bを含まない)
を有する化合物。
【請求項16】
Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む請求項14または15記載の化合物。
【請求項17】
Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む請求項14〜16のいずれか1記載の化合物。
【請求項18】
XおよびYが、XおよびYについての以下の組合せ:C、P;B、P;B、Si;C、Si;C、S;B、S;N、P;N、Si;およびN、Sの1つから選択される請求項14〜17のいずれか1記載の化合物。
【請求項19】
化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子またはブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する請求項14〜18のいずれか1記載の化合物。
【請求項20】
式:
(M)(PO(CO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、Mは、基底状態より上の1を超える酸化状態を有する1以上の金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、
xは約0.1より大きく、
aは約0.1〜約5.1であり、
bは約0.1〜約5.1である)
を有する化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
【請求項21】
Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む請求項20記載のデバイス。
【請求項22】
Mが、Fe、Mn、Co、Ni、V、Cr、Cu、Ti、Bi、Sn、SbおよびMoの1以上を含む、請求項20または21記載のデバイス。
【請求項23】
化合物が、シドレンカイト単位格子、ボンシテダイト単位格子またはブラッドレイアイト単位格子、クラウフォルダイト単位格子またはフェロタイカイト単位格子に等構造の単位格子原子配列を有する請求項20〜22のいずれか1記載のデバイス。
【請求項24】
式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み;
Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み;
XはB、CおよびNよりなる群から選択され;
YはSi、P、As、S、V、Nb、MoおよびWよりなる群から選択され;
xは約0.1より大きく;
aは約0.1〜約5.1であり;および
bは約0.1〜約5.1である)
を有する化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
【請求項25】
Mが1以上の二価または三価のカチオンを含む請求項24記載のデバイス。
【請求項26】
Mが1以上のアルカリ土類金属を含む請求項24または25記載のデバイス。
【請求項27】
Mが1以上の遷移金属を含む請求項24〜26のいずれか1記載のデバイス。
【請求項28】
リン酸アニオン、炭酸アニオン、アルカリ金属カチオンおよび非アルカリ金属カチオンを含む水性液体を供し;
少なくとも約70℃の制御温度に液体を曝露し;次いで
液体から水を除去して、固形生成物を回収することを含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
生成物が結晶である請求項28記載の方法。
【請求項30】
電極に固形生成物を形成することをさらに含む請求項28または29記載の方法。
【請求項31】
三斜晶系(P1)結晶構造および式:
(M)(YO(XO
(式中、Aは1以上のアルカリ金属を含み、
Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、
XはB、CおよびNの1以上を含み、
Yは、Si、P、AsおよびSの1以上を含み;
xは約0.1より大きく;
aは約0.1〜約5.1であり;および
bは約0.1〜約5.1である)
を有する化合物。
【請求項32】
請求項31に記載の化合物を含む電極を含む電気化学デバイス。
【請求項33】
リチウム含有化合物を含む電極を含む電気化学デバイスであって、
化合物が、式:
Li(M)(PO(CO
(式中、Mは1以上の非アルカリ金属カチオンを含み、ここに、Mの少なくとも約25モル%は1以上の非アルカリ/非アルカリ土類金属を含み、リチウム含有化合物は、COの三角平面基、POの四面体基、およびMOの八面体基を含む単位格子を有し、
xは約0.1より大きく、
aは約0.1〜約5.1であり、
bは約0.1〜約5.1である)
を有する該電気化学デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12A−12B】
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【公表番号】特表2013−520383(P2013−520383A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554087(P2012−554087)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2011/025684
【国際公開番号】WO2011/103554
【国際公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】