説明

カルボン酸無水物をベースとする保存剤

カルボン酸無水物は、微生物による繁殖および/または破壊に対して、工業材料、化粧品、医薬品および食品、特に飲料を保護するための、工業材料用、化粧品用、医薬品用および食品、特に飲料用添加剤として非常に適切である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業材料、化粧品、医薬品および食品の保存用にカルボン酸無水物を使用することに関する。
【背景技術】
【0002】
多数のカルボン酸無水物およびそれらの調製法については、長い間、文献から既知であった。工業材料または食品の直接的な保存のためのカルボン酸無水物の使用については、今のところ、まだ記載されていない。(特許文献1)には、固定化された抗微生物性物質、特に酸無水物を含んでなる包装材料の調製法が記載されている。この文献には、活性化合物が間接的に、すなわち、包装材料から包装された物質へと移動して、その結果、包装された物質が保存されるという様式で生物学的作用がもたらされると記載されている。
【0003】
またソルビン酸無水物を組み込んだポリエチレン製包装フィルムについても記載されている。これらの製品には、かなりの抗真菌作用があると記載されている(非特許文献1)。
【0004】
さらに、保存される製品に殺生物性活性化合物を直接的に添加する工業材料、化粧品または食品の保存方法についても、かなりの数の方法が従来技術からすでに知られている。しかしながら、依然として改良の必要がある。
【0005】
最近、特に、保存される製品への殺生物剤処理によって導入された殺生物剤の残留物が、例えば、ますます問題視されるようになり、可能であれば使用を避けるべきである。
【0006】
したがって、実際に、例えば最も好ましい場合では、長い間知られていて、十分研究されており、そして特に活性がかなり低い生成物への分解によって、作用部位で「消滅する」殺生物剤がすでにいくつか開発されている。これらの例として挙げられるものは、過酸化水素、ペルオキシ酸、塩素、ジエチルジカルボネートまたはジメチルジカルボネートのような化合物である。しかしながら、媒体中で比較的安全な物質へと分解し、同時に従来使用されていた物質よりも活性範囲が良好である新規殺微生物性物質が依然として非常に必要とされている。化粧品、医薬品または食品での使用に関しては、特に、従来技術で利用可能な物質で適切なものは、ほんのわずかである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2004/056214号パンフレット
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Weng,Yih−Ming;Chen,Min−Jane;Food Science and Technology,1997,30(5),485−487
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、保存される製品に直接的に組み込むことができ、その中で、より活性が低く、特に化粧品、医薬品および食品中での使用時に安全であると考えられる化合物へと分解する、有効な殺生物性活性化合物を提供することが本発明の目的である。
【0010】
意外にも、カルボン酸無水物が、工業材料、化粧品、医薬品、食品、そして特に飲料の抗微生物処理に非常に適切であることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、微生物による攻撃および/または破壊に対して、工業材料、化粧品、医薬品および食品を保護するための、工業材料用、化粧品用、医薬品用および食品用添加剤としての少なくとも1種のカルボン酸無水物の使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
好ましくは、カルボン酸無水物は、保護される製品中に直接的に組み込まれる。
【0013】
カルボン酸無水物は、好ましくは、一般式(I)
【化1】

[式中、
およびRは、互いに独立して、それぞれ、メチル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アルコキシ、アシルオキシおよびオキソからなる群からの同一もしくは異なる置換基によって場合により一置換もしくは多置換された、直鎖もしくは分枝鎖C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、一価もしくは多価不飽和C〜C−アルケニル、C〜C−シクロアルケニル、C〜C−アルキニル、フェニル、ベンジルまたはフェネチルを表すか、
あるいは
およびRは、一緒になって、連結基−(CH−(式中、n=1〜6)を表すか、または連結基−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−または−CH=CH−を表し、上記結合基は、それぞれ、メチル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アルコキシ、アシルオキシおよびオキソからなる群からの同一もしくは異なる置換基によって場合により一置換もしくは多置換される]で表される化合物である。
【0014】
式(I)の化合物の代わりに、式(I)のカルボン酸無水物を架橋させて誘導されるジカルボン酸無水物のオリゴマーまたはポリマーの使用も可能である。
【0015】
およびRが、互いに独立して、それぞれ、メチル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アルコキシおよびアシルオキシからなる群からの同一もしくは異なる置換基によって場合により一置換もしくは多置換された、直鎖もしくは分枝鎖C〜C−アルキル、一価もしくは多価不飽和C〜C−アルケニル、フェニルまたはベンジルを表す式(I)のカルボン酸無水物の使用が特に好ましい。
【0016】
およびRが、互いに独立して、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ペント−1,3−ジエニルまたはフェニルを表す式(I)のカルボン酸無水物の使用が非常に好ましい。
【0017】
酢酸無水物、安息香酸無水物、プロピオン酸無水物および/またはソルビン酸無水物の使用が特に好ましい。
【0018】
本文中、工業材料とは、工業用に調製された非生物材料を意味するものとして理解されるべきである。工業材料は、例えば、接着剤、サイズ剤、紙および厚紙、テキスタイル、革、木材、加工木材製品、木材複合材、塗料、冷却潤滑剤、ならびに微生物によって攻撃または破壊され得る他の材料である。本発明との関連で、工業材料は、さらに、製造プラントの一部、例えば、微生物の増殖によって損なわれる冷却水回路を意味するものとして理解されるべきである。好ましく保護される工業材料は、接着剤、サイズ剤、紙および厚紙、革、木材、加工木材製品、木材複合材、塗料、冷却潤滑剤および伝熱液である。
【0019】
化粧品は、例えば、フェイスクリームもしくはハンドクリームのようなスキンケア用クリームまたはローション、あるいは口紅またはフェイスマスクのような他のメーキャップ用製品である。
【0020】
医薬品は、例えば、ジュース、滴剤、スプレー、軟膏、錠剤および静脈内に投与される点滴溶液である。
【0021】
工業材料、化粧品、医薬品および食品を保護するために、カルボン酸無水物は保護される媒体中に適切な様式で直接的に組み込まれる。一般的に均質な組み込みが都合よく、また必要とされる。これは例えば、適切な定量ポンプの使用によって達成され得る。また例えば、攪拌器または混合機によって組み込まれてもよい。
【0022】
本発明に従って使用されるカルボン酸無水物を、純粋な化合物としても、または調合物の形態でも、保護される製品に添加してよい。そのような調合物は、カルボン酸無水物に加えて、1種以上の溶媒および/または調合物助剤も含んでなる。適切な溶媒は、カルボン酸無水物の溶解性次第で、水、エタノール、およびまた適切な有機溶媒である。
【0023】
適切な調合物助剤は、例えば、界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤、安定剤、または例えばセルロースファイバーのような不活性有機もしくは無機助剤である。カルボン酸無水物を吸着性媒体に塗布し、この形態で使用してもよい。吸着性媒体の例は、セルロースファイバーおよび活性炭である。
【0024】
これらの調合物は通常、1〜90重量%の量でカルボン酸無水物を含んでなる。
【0025】
そのような調合物を数ヶ月間貯蔵することも可能である。
【0026】
本発明に従って使用されるカルボン酸無水物は、一般的に、保存される媒体を基準として、1〜100000ppmの量で、好ましくは10〜10000ppmの量で、特に好ましくは50〜5000ppmの量で、非常に好ましくは100〜2000ppmの量で利用される。
【0027】
本発明によるカルボン酸無水物の使用によって、工業材料、化粧品、医薬品および食品を生物学的分解反応に対して安定化することが可能である。そのような分解反応は、例えば、微生物による攻撃によって生じる。
【0028】
工業材料を分解または変化させ得る微生物としては、例えば、細菌、真菌、酵母菌、藻類および粘性生物(slime organism)が挙げられる。本発明に従って使用されるカルボン酸無水物は、酵母菌、細菌および真菌に対して好ましく作用する。
【0029】
例として以下の種類の微生物が挙げられる。
アセトバクター パストリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、
アスペルギスル ニガー(Aspergillus niger)のようなアスペルギルス(Aspergillus)属、
カンジダ クルセイ(Candida krusei)、
ケトミウム グラボーサム(Chaetomium globosum)のようなケトミウム(Chaetomium)属、
大腸菌(Escherichia coli)のようなエシェリヒア(Escherichia)属、
ペニシリウム グラウカム(Penicillium glaucum)のようなペニシリウム(Penicillium)属、
シュードモナス エレギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)のようなシュードモナス(Pseudomonas)属、
ロドトルラ ルブラ(Rhodotorula rubra)のようなロドトルラ(Rhodotorula)属、
サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cervisiae)のようなサッカロマイセス(Saccharomyces)属、
黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のようなブドウ球菌(Staphylococcus)。
【0030】
本発明に従って安定化された工業材料、化粧品、医薬品および食品は、より長い貯蔵期間を特徴とする。
【0031】
本発明に従って使用されるカルボン酸無水物が加水分解可能であり、対応するカルボン酸が得られることは特に都合がよい。段階的な加水分解によるカルボン酸無水物の分解によって形成するカルボン酸のいくつかは、長い間、保存剤として知られており、それらの毒理学は十分に研究されており、それらは保存作用の長期化にさらに寄与する。したがって、病原体を迅速に一時的に殺すことに加えて、永続的な保存剤成分が作用する。
【0032】
微生物による攻撃および/または破壊に対して飲料を保護するために、本発明に従って式(I)の少なくとも1種のカルボン酸無水物を使用することは特に好ましい。
【0033】
カルボン酸無水物によって、特に微生物による分解を受けやすい飲料は有効に保存および安定化される。したがって、適切に密閉した後、この様式で保存された飲料を、室温で数カ月、いずれの微生物による攻撃が観察されることなく貯蔵することができる。
【0034】
例えばトンネル低温殺菌(tunnel pasteurization)と比較して、そのような冷滅菌法には、エネルギー節約または必要とされる装置を視野に入れての利点のような多くの利点がある。また本発明による保存の有効性は、既存の冷滅菌法より良好である。
【0035】
本発明に従って使用されるカルボン酸無水物は、例えば、清涼飲料、栄養ドリンク、果汁飲料、茶飲料、アルコール性もしくは脱アルコールされたワイン飲料、フルーツパンチまたはビールのような、炭酸の入っていない飲み物または炭酸飲料用の冷消毒薬として使用するのに非常に適切である。この目的を達成するために、好ましくは、飲料を包装する直前にカルボン酸無水物を10ppm〜200ppmの量で添加する。飲料への混合は、特別な定量ポンプを使用することによって実行される。
【0036】
飲料中で使用する場合、カルボン酸無水物は、発酵性酵母菌、糸状菌または発酵性細菌のような多くの微生物を防除するように作用する。例えば、サッカロマイセス グラボーサム(Saccharomyces globosum)、サッカロマイセス ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cervisiae)、ジゴサッカロマイセス ブラリー(Zygosaccharomyces bailii)、カンジダ クルセイ(Candida crusei)、エンドマイセス ラクチス(Endomyces lactis)、ペニシリウム グラウカム(Penicillium glaucum)、アセトバクター パストリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、ブレッタノマイセス(Brettanomyces)種、ラクトバチルス ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス ブヒネリ(Lactobacillus buchneri)他多数が挙げられる。
【0037】
本発明に従って使用されるカルボン酸無水物を、都合のよい様式で、さらなる抗微生物性活性化合物と組み合わせることができる。
【0038】
したがって、さらに本発明は、式(I)の少なくとも1種のカルボン酸無水物と、好ましくは、ジメチルジカルボネート、ジエチルジカルボネート、ソルビン酸およびその塩、安息香酸およびその塩、二酸化硫黄および二酸化硫黄を放出し得る化合物、ならびにまたオルト−フェニルフェノールおよびプロピオン酸からなる群からの少なくとも1種のさらなる抗微生物性活性化合物との混合物を提供する。
【0039】
ジメチルジカルボネート、ソルビン酸およびその塩または安息香酸およびその塩との混合物が特に好ましい。
【0040】
また本発明は、微生物による攻撃および/または破壊に対して、工業材料、化粧品、医薬品、食品、特に飲料を保護するための本発明による混合物の使用を提供する。
【0041】
式(I)のカルボン酸無水物および本発明による混合物は、パンの保存用にも非常に適切である。パンを焼いた後、適切な調合物、好ましくは水性またはアルコール性溶液の形態で、式(I)のカルボン酸無水物または本発明による混合物を噴霧する。
【0042】
本発明による混合物は、一般的に、式(I)の少なくとも1種のカルボン酸無水物と、少なくとも1種のさらなる抗微生物性活性化合物とを1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1、特に好ましくは1:1の比率で含んでなる。
【0043】
本発明による混合物は、一般的に、保存される媒体を基準として、1〜100000ppmの量で、好ましくは10〜10000ppmの量で、特に好ましくは50〜5000ppmの量で、非常に好ましくは100〜2000ppmの量で利用される。
【0044】
本発明による混合物は、例えば、保存される媒体中に直接的に攪拌されるか、または定量ポンプを介して添加される。本発明による混合物を直接的にも、調合物の形態でも、保護される製品に添加することができる。そのような調合物は、混合物の成分に加えて、1種以上の溶媒および/または調合物助剤を含んでなる。適切な溶媒および調合物助剤は上記化合物である。溶媒および調合物助剤はこれらの物質に関して慣例的な量で利用される。
【0045】
以下の実施例は本発明の主題を説明するためのものであるが、本発明の主題は実施例に限定されることはない。
【実施例】
【0046】
実施例1
明示されたそれぞれの微生物で清涼飲料を汚染した。飲料を消毒するために必要とされる活性化合物の濃度は、滅菌試験によって決定された。
【0047】
栄養培地:
イースト オレンジ シーラム アガー(Yeast orange serum agar)(オクソイド(Oxoid)CM 657から)
【0048】
物質:
使用した物質は、そのままで、あるいはエタノール性またはブタノール性の溶液(例えば、2.0体積%)もしくは懸濁液として利用された。ジメチルジカルボネート、安息香酸Na、ソルビン酸K、ソルビン酸無水物および安息香酸無水物は、既知の方法により合成するか、または市販品として入手可能であった。それぞれの溶液をそれぞれの場合で新しく調製した(アルコール分解)。
【0049】
器具:
グライナー製50ml組織培養フラスコ、ホスサンズ(Holthans)製ガーゼ圧定布、ブランド(Brand)製トーマ カウンティング チャンバー(Thoma counting chamber)。
【0050】
原則に基づき、滅菌試薬および器具を使用した。滅菌処理可能な物品に加えて、必要とされる器具および試薬を適切な手段によって使用前に滅菌した。滅菌手段は、乾燥キャビネット(約120℃で少なくとも8時間)中またはオートクレーブ(約120℃で少なくとも15分間)での熱処理であった。
【0051】
実施:
飲料の充填:
試験を実行する前に、飲料基質を組織培養フラスコ中に充填した。一般的に飲料の量は40mlであった。滅菌条件下で充填を実行した。この時点で、永続性の保存剤を導入することも可能であった。
【0052】
微生物懸濁液の調製:
最適条件下(グライナー製組織培養フラスコ;50ml、25cm中または斜面寒天管中)で培養された培養液を、(試験微生物次第で)30mlまでのNaCl溶液で湿潤させ(適切な場合、約3滴のトゥイーン(Tween)80を加える)、すすぐか、またはガラスビーズを使用して(微生物次第で)、強力に洗い、必要に応じて濾過した。あるいは流体培養液を利用することも可能であった。顕微鏡およびトーマ チャンバー(Thoma chamber)を使用して、微生物数の予備的な決定をすることが可能であった。使用された微生物溶液の微生物数の正確な決定は、コッホ(Koch)接種プレート法を使用して実行された。
【0053】
微生物懸濁液の添加:
所定の微生物シード次第で(例えば、50〜500の微生物/基質1ml)、微生物溶液の適切な体積(原液または希釈物)を添加し、試料を強力に攪拌した。
【0054】
活性化合物の添加:
その後、純粋な物質として、またはジメチルジカルボネートおよびそのカルボン酸無水物の場合、適切なアルコール溶液もしくは懸濁液として、供与量の活性化合物を添加した。約20秒間、直ちに試料を強力に攪拌した。
【0055】
貯蔵:
26℃±2℃の培養温度で飲料試料を貯蔵した。
【0056】
評価:
最初に透明だった飲料の場合、曇りが汚染を示す。曇った果肉を含む飲料の場合、目視評価が常に可能ではなかった。したがって、これらの場合、アガー中の微生物数を決定することによって評価を実行した。
【0057】
【表1】

【0058】
実施例2
実施例1に記載された通り、試験を実行した。
【0059】
【表2】

【0060】
実施例3
実施例1に記載された通り、試験を実行した。
【0061】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
微生物による攻撃および/または破壊に対して、工業材料、化粧品、医薬品および食品を保護するための、工業材料用、化粧品用、医薬品用および食品用添加剤としての少なくとも1種のカルボン酸無水物の使用。
【請求項2】
カルボン酸無水物が、式(I)
【化1】

[式中、
およびRは、互いに独立して、それぞれ、メチル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アルコキシ、アシルオキシおよびオキソからなる群からの同一もしくは異なる置換基によって場合により一置換もしくは多置換された、直鎖もしくは分枝鎖C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、一価もしくは多価不飽和C〜C−アルケニル、C〜C−シクロアルケニル、C〜C−アルキニル、フェニル、ベンジルまたはフェネチルを表すか、
あるいは
およびRは、一緒になって、連結基−(CH−(式中、n=1〜6)を表すか、または連結基−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−または−CH=CH−を表し、上記結合基は、それぞれ、メチル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アルコキシ、アシルオキシおよびオキソからなる群からの同一もしくは異なる置換基によって場合により一置換もしくは多置換される]に相当することを特徴とする請求項1に記載の使用。
【請求項3】
カルボン酸無水物が、酢酸無水物、安息香酸無水物、プロピオン酸無水物およびソルビン酸無水物であることを特徴とする請求項1または2に記載の使用。
【請求項4】
保護される工業材料、化粧品、医薬品または食品を基準として、カルボン酸無水物が1〜100000ppmの量で利用されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
微生物による攻撃および/または破壊に対して飲料を保護することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
式(I)
【化2】

[式中、
およびRは、互いに独立して、それぞれ、メチル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アルコキシ、アシルオキシおよびオキソからなる群からの同一もしくは異なる置換基によって場合により一置換もしくは多置換された、直鎖もしくは分枝鎖C〜C−アルキル、C〜C−シクロアルキル、一価もしくは多価不飽和C〜C−アルケニル、C〜C−シクロアルケニル、C〜C−アルキニル、フェニル、ベンジルまたはフェネチルを表すか、
あるいは
およびRは、一緒になって、連結基−(CH−(式中、n=1〜6)を表すか、または連結基−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−O−CH−CH−または−CH=CH−を表し、上記結合基は、それぞれ、メチル、ヒドロキシル、カルボキシル、アシル、アルコキシ、アシルオキシおよびオキソからなる群からの同一もしくは異なる置換基によって場合により一置換もしくは多置換される]の少なくとも1種のカルボン酸無水物と、
少なくとも1種のさらなる抗微生物性活性化合物と
を含んでなる混合物。
【請求項7】
抗微生物性活性化合物が、ジメチルジカルボネート、ジエチルジカルボネート、ソルビン酸およびその塩、安息香酸およびその塩、二酸化硫黄および二酸化硫黄を放出し得る化合物、ならびにまたオルト−フェニルフェノールおよびプロピオン酸であることを特徴とする請求項6に記載の混合物。
【請求項8】
請求項6に記載の混合物と、少なくとも1種の溶媒または希釈剤と、必要に応じて、1種以上の調合物助剤とを含んでなる殺微生物性組成物。
【請求項9】
微生物による攻撃および/または破壊に対して、工業材料、化粧品、医薬品および食品を保護するための、工業材料用、化粧品用、医薬品用および食品用添加剤としての請求項6に記載の混合物または請求項8に記載の組成物の使用。
【請求項10】
少なくとも1種のカルボン酸無水物と、必要に応じて、少なくとも1種のさらなる抗微生物性活性化合物とを含んでなる工業材料、化粧品、医薬品および食品。

【公表番号】特表2009−544744(P2009−544744A)
【公表日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522135(P2009−522135)
【出願日】平成19年7月18日(2007.7.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006361
【国際公開番号】WO2008/014889
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(505422707)ランクセス・ドイチュランド・ゲーエムベーハー (220)
【Fターム(参考)】