カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙
【課題】カレンダ処理される繊維ウェブからなる新規で有用な安全紙の提供。
【解決手段】本発明に係る安全紙は、カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙であって、繊維ウェブをカレンダ処理するプロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望の形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、該未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする。
【解決手段】本発明に係る安全紙は、カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙であって、繊維ウェブをカレンダ処理するプロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望の形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、該未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙等に関する。この出願の概念において、用語“ウェブ処理”は、抄紙機/板紙抄紙機で生成される繊維ウェブの処理に関連する多様な処理を指し、例えば、プレス処理、乾燥処理、カレンダ処理、コーティング(塗工)処理、サイジング処理である。処理装置は、また、例えば別のコーティング装置、印刷装置若しくはカレンダ装置のような、繊維ウェブに対する仕上げ装置であってもよい。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1乃至3に開示されるように、種々のベルトカレンダが従前から開示されている。しかし、これらのベルトカレンダは、紙若しくはボード紙のあるグレードのカレンダ処理に対してのみにしか適していない。
紙若しくはボード紙は、広範な種類で入手可能であるが、基本重量に従って2つのグレードに分けることができる。即ち、単一のプライであり基本重量が25−300g/m2の紙、及び、マルチプライ技術で製造され、150−600g/m2のボード紙である。尚、紙及びボード紙の境界線は、最小の基本重量を持つボード紙が最も重いグレードの紙よりも軽いので、あいまいなものである。一般的に、紙は印刷用、ボード紙は梱包用である。
【0003】
続く説明は、繊維ウェブに現在適用される値の例であり、開示された値から相当な変動があってもよい。説明は、主に、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3の章である。
【0004】
機械パルプ、即ち木材含有印刷紙は、新聞用紙、未塗工及び塗工雑誌用紙を含む。
【0005】
新聞用紙は、完全に機械パルプからなるか、若しくは、機械パルプのある部分の代わりとなるリサイクル繊維及び/又は幾らかの漂白ソフトウッドパルプ(0−15%)を含んでよい。新聞用紙に対する一般的な値は、概ね次のようにみなせる。即ち、基本重量40−48g/m2、灰分含有率(SCAN−P 5:63)0−20%、PPS s10 ラフネス(SCAN−P 76−95)3.0−4.5μm、Bendtsen ラフネス(SCAN−P 21−67)100−200ml/min、密度600−750kg/m3、白色度(ブライトネス)(ISO 2470:1999)57−63%、及び、不透明度(ISO 2470:1998)57−63%である。
【0006】
未塗工雑誌用紙(SC=スーパーカレンダ仕上げ)は、通常、機械パルプ50−70%、漂白ソフトウッドパルプ10−25%及び充填剤15−30%を含む。カレンダ処理SC紙(例えば、SC−C,SC−B及びSC−A/A+)に対する典型的な値は、基本重量40−60g/m2、灰分含有率(SCAN−P 5:63)0−35%、Hunter gloss(ISO/DIS 8254/1)<20−50%、PPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)1.0−2.5μm、密度700−1250kg/m3、白色度(ISO 2470:1999)62−70%、及び、不透明度(ISO 2470:1998)90−95%を含む。
【0007】
表1は、機械パルプ含有塗工紙に対する典型的な値である(MFC紙=マシーン仕上げ塗工、FCO紙=フィルム塗工オフセット(film coated offset)、LWC=軽量塗工紙、MWC紙=中間量塗工紙、HWC紙=重量塗工紙)。
【0008】
【表1】
塗工雑誌用紙(LWC=軽量塗工紙)は、機械パルプ40−60%、漂白ソフトウッドパルプ25−40%、及び、充填剤と塗料20−35%を含む。
【0009】
HWC紙は、2回以上コーティングされてよい。
【0010】
化学パルプで生成された、木材のない印刷紙若しくは上質紙は、未塗工若しくは塗工化学パルプベース印刷紙を含み、機械パルプの部分は10%より少ない。
【0011】
未塗工化学パルプベース印刷紙(WFU)は、漂白バーチウッドパルプ55−80%、漂白ソフトウッドパルプ0−30%、及び、充填剤10−30%を含む。WFUの値は、非常に不安定であり、即ち、基本重量50−90g/m2(240g/m2まで)、Bendtsen ラフネス250−500ml/min、白色度86−92%、及び、不透明度83−98%である。
【0012】
塗工化学パルプベース印刷紙(WFC)では、コーティングの量が、要求や意図したアプリケーションに応じて広範に変わる。次は、一回及び2回塗工の化学パルプベース印刷紙に対する典型的な値である。即ち、一回塗工の基本重量90g/m2、Hunter gloss65−80%、PPS s10 ラフネス0.75−2.2μm、白色度80−88%、及び、不透明度91−94%であり、2回塗工の基本重量130g/m2、Hunter gloss70−80%、PPS s10 ラフネス0.65−0.95μm、白色度83−90%、及び、不透明度95−97%である。
【0013】
剥離紙は、25−150g/m2の基本重量を有する。
【0014】
他の紙は、例えば、袋用紙、ティッシュペーパ及び壁紙基材を含む。
【0015】
ボード紙作成は、化学パルプ、機械パルプ及び/又はリサイクルパルプを利用する。ボード紙は、アプリケーションに応じて、例えば次の主要な集合に分けられる。
【0016】
ライナ及びひだを含む波型ボード紙(段ボール紙)。
【0017】
ボックスやケースを作成するために使用されるボックスボード紙。ボックスボード紙は、例えば、液体梱包ボード紙を含む(FBB=折り畳みボックスボード紙、LPB=液体梱包ボード紙、WLC=チップボード紙、SBS=固体漂白亜硫酸、SUS=固体未漂白亜硫酸)。
【0018】
例えばカード、フィルム、フォルダ、ケース、カバー等を生成するためのグラフィック用ボード紙。
【0019】
壁紙基材。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】フィンランド特許第95061号
【特許文献2】フィンランド特許出願第971343号
【特許文献3】フィンランド特許出願第20001025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述から明らかな如く、紙及びボード紙には広範な範囲があり、多数の種々のマシーンがそれらを作成するのに使用される。本発明の目的は、処理領域において非常に広範な圧力幅及び適用時間(熱移動時間及び/又は処理時間)の使用を可能とし、広範な種類の塗工及び未塗工印刷紙、ボード紙及び他の紙の処理に対して適用可能であり、また、コーティング装置の上流の主要カレンダ、ペーパーマシン若しくはコーティング装置の下流の仕上げカレンダ、ブレーカースタック、ウェットスタックカレンダとして、又は、ドライヤ、コータ、サイザー、プリンタ及び/又はプレスとして適用可能である処理装置及びその動作方法を提供することである。本発明の装置は、ソフトカレンダ、マルチニップカレンダ、マシーンカレンダ、シューカレンダ若しくはヤンキーシリンダの代替として想到し得る。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の目的を達成するため、本発明の装置は、前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の移動/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により画成され、また、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約200MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0023】
接触圧力は、ベルトと対向部材との間の処理領域内のウェブに付与される圧力作用の累計を指し、圧力作用は、ベルトの張力、及び/又は、考えられるベルト内部のプレス部材により付与される圧縮力により生ずる。ある圧力値若しくは圧力範囲への接触圧力の圧力調整は、所望の張力若しくは緊張の使用を可能とする適切なベルト材料、及び、必要であれば、ベルト単独で達成される圧力を超えて圧力を増大できる適切なプレス部材を選ぶことによって実現される。尚、ベルト及び対向部材並びに考えられるプレス部材によりなる組立体に依存して、接触圧力調整範囲の部分をカバーし、必要であれば組立体に含まれる幾つかの部材を変位させることによってその他の圧力値若しくは圧力範囲への遷移を実現すること、若しくは、例えば約0.01MPaから約70MPa若しくは約0.01MPaから約200MPaであることができる接触圧力調整範囲の全体をカバーすることは可能である。例えば、ベルト張力単独でなしえる圧縮は、プレス部材でなしえる圧縮に比して顕著に不十分であり、それに故に、プレス部材無しで実現する解決策では、調整範囲は、例えば約0.01MPaから約75MPaの範囲内のように、下限値に近いところにある。プレス部材を使用する時、調整範囲は、例えば、約5MPaから約70MPa、好ましくは約7MPaから約50MPa若しくは例えば約70MPaから約200MPaであることができる。
【0024】
本発明の装置は、好ましくは、カレンダ、コータ、フィルム送り装置、プリンタ、ドライヤ及び/又はプレスを構成する。
【0025】
一のアプリケーションでは、本発明は、ペーパーマシンのプレスセクションから来る紙ウェブが少なくとも1回カレンダ処理を実行される、SC紙(スーパーカレンダ処理された紙)の作製方法及びその方法により製造されるSC紙グレードに関する。
【0026】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3のpp.53−68, Finishingを参照して、一般的にSC紙について説明する。
【0027】
SC紙は、機械パルプが支配的な成分でありコーティングされない製品ラインを構成する。これらの製品は、通常的には、機械パルプ50−75%、化学パルプ5−25%、及び、充填剤10−35%を含む。紙は、脱インク処理された廃棄パルプ(DIP)を含んでもよい。典型的な基本重量は40−60g/m2である。
【0028】
従来的には、SC紙は、10−12ロールのスーパーカレンダでカレンダ処理されている。典型的には、2若しくは3のオフライン型カレンダは、単一のペーパーマシンの製造を扱うことができる。カレンダ処理速度は、500−700m/minの範囲内で変化する。ニップ圧は、典型的には、300−400kN/mであり、熱ロールは、80−120℃の範囲の水温度を有する。紙の二面性は、カレンダの上下ニップを反転配置し、種々の温度及び蒸気処理レベルで調整できる。
【0029】
カレンダにおけるスチームインジェクタによるSC紙の蒸気処理は、SCカレンダ処理の主要部を構成する。典型的には、カレンダスタックは、紙の品質を高めるために3若しくは4のスチームボックスを備える。現在設置されるスチームボックスは、領域調整型であり、フィードボック走行制御が、CD方向の良好な光沢プロファイルを提供する。紙厚さ(キャリパ)は、撓み補償型の上部ロール及び底部ロールで調整される。
【0030】
新聞用紙と平滑なSC紙との間のSC−C及びSC−Bグレードは、2つのニップがあるソフトカレンダにより製造できる。走行の際の表面温度は、160−200℃であり、ニップ圧は、350kN/mまでである。蒸気処理も、これらのグレードをカレンダ処理する際の主要部分である。
【0031】
ポリマー被覆及び高温が、SC紙のカレンダ処理に徐々に採用されてきている。現在のトレンドは、マルチニップカレンダ処理に向いている。現代のペーパーマシンは、1800−2000m/minで走行するが、ペーパーマシン当たり4つのスーパーカレンダを必要とする。最近のカレンダ処理のコンセプトは、ポリマー被覆のおかげで、より高いカレンダ処理速度、温度及びニップ圧を可能とする。最も要求の厳しいグレードに対するロールの数は10若しくは12である。
【0032】
本発明の目的は、所望の特性のSC紙を容易に製造でき、先行技術のカレンダ処理の解決策に対して、それらの多くの利点を提供しつつ、取って代わることができる方法を提供することにある。
【0033】
この目的を達成するため、本発明のSC紙の作製方法は、当該方法により前記少なくとも1回のカレンダ処理で使用される処理装置が金属ベルトカレンダを構成し、少なくとも1つのガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域(若しくはカレンダ処理領域)が形成され、当該金属ベルトカレンダにおける前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約70MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0034】
SC紙を作製するための本発明の方法は、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間を、便宜的には5−200msの範囲に調整し、好ましくは20−80msの範囲に調整し、金属ベルト温度を、便宜的には約20−400℃の範囲に、好ましくは約150−200℃の範囲に調整することを含む。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。
【0035】
金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。その他の解決策は、熱ロールと被覆された金属ベルトとの間でSC紙をカレンダ処理することを含む。熱ロールを使用するとき、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。対向部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。
【0036】
SC紙を作製するために本発明の方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、カレンダ処理領域を現に通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。その他の解決策は、熱ロールと被覆された金属ベルトとの間でSC紙をカレンダ処理することを含む。熱ロールが使用される場合、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。対向部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。
【0037】
一のアプリケーションでは、本発明は、ペーパーマシンのプレスセクションから来る紙ウェブが、塗工ステーションの上流で少なくとも1回のプリカレンダ処理、及び/又は、塗工ステーションの下流で少なくとも1回の最終カレンダ処理に通される、機械パルプを含有する塗工紙の作製方法、及び、当該方法により製造される機械パルプ含有塗工紙に関する。
【0038】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68を参照して、一般的に機械パルプ含有塗工紙について説明する。
【0039】
MFC(machine finished coated)、FCO(film coated offset)、LWC(light weight coated)、MWC(medium weight coated)及びHWC(heavy weight coated)のようなウッド含有塗工紙は、しばしば、コーティング前にプリカレンダ処理され、コーティング後に最終カレンダ処理される。
【0040】
機械パルプ含有塗工紙は、通常的には、機械パルプ45−75%及び化学パルプ25−55%を含む。充填剤は、塗工された損紙からの顔料を除いて、通常的に使用されない。ベース紙若しくはストックにおける充填剤の最終的な量は、約5−10%である。典型的な基本重量は40−80g/m2である。
【0041】
プリカレンダ処理における目的は、コーティング前に必要レベルまでラフネス及び多孔率を低減することである。従来的には、LWCプリカレンダ処理は、一の水加熱ロールと一の撓み補償型ロールとを含む2つのロールのマシーンカレンダにより実行されてきた。ニップ圧は、典型的には、10−40kN/mの範囲内で可変し、温度は80℃−100℃の範囲内である。
【0042】
紙の厚さ若しくはキャリパを調整することは、プリカレンダ処理の主要部である。従来的には、横方向若しくはクロスマシーン方向の厚さプロファイルは、熱い/冷たいエアジェット、インダクションコイル、及び/又は領域調整型カレンダロールにより調整される。最近開発された個別領域調整型ロールは、追加の装置を必要とせずにクロス方向の厚さプロファイルを調整できる。
【0043】
従来的には、LWC及びMWC紙の最終カレンダ処理は、10−12ロールのスーパーカレンダにより実行される。典型的な組立体は、1つのペーパーマシンに対して2若しくは3つのオフライン型のスーパーカレンダを含む。カレンダは、600−800m/minの範囲内の速度を有する。ニップ圧は、典型的には、300−350kN/mであり、熱ロールは、80−120℃の範囲の水温度を有する。
【0044】
FCO紙の最終カレンダ処理は、10−12ロールのスーパーカレンダ若しくは2−ニップのオンライン型ソフトカレンダにより実行される。MFC紙の最終カレンダ処理は、光沢の観点で控えめな望みの結果、比較的穏やかな条件で2−ニップのオンライン型ソフトカレンダにより実行される。ロール温度は、典型的には、70−90℃であり、ニップ圧は70−120kN/mである。
【0045】
ポリマー被覆及び高温は、LWC紙のカレンダ処理において非常に有用である。現代のペーパーマシンは、1800−2000m/minの走行速度を持ち、ペーパーマシン当たり4つのスーパーカレンダを必要とする。最近開発されたマルチロールカレンダのコンセプトは、相当により高い走行速度を可能とする。
【0046】
本発明の目的は、所望の特性のウッド含有塗工紙を容易に製造でき、先行技術のプリカレンダ処理及び/又は最終カレンダ処理の解決策に対して、それらの幾つかの利点を提供しつつ、取って代わることができる方法を提供することにある。
【0047】
この本発明の目的を達成するため、本発明の機械パルプ含有塗工紙作製方法は、処理装置をプリカレンダ処理及び/又は最終カレンダ処理で使用し、該処理装置は、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約200MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0048】
本発明の方法により製造される機械パルプ含有塗工紙は、表面が、0.4−5.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)、及び/又は、0.1−300ml/minのBendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)、及び/又は、600−1500kg/m3の密度(SCAN−P 7:75)を有することを特徴とする。特に、表面は、0.6−2.8μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有する。表面のBendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)は、好ましくは5−100ml/minである。
【0049】
機械パルプ含有塗工紙作製方法は、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間を、便宜的には5−200msの範囲に調整し、好ましくは20−80msの範囲に調整し、金属ベルト温度を、便宜的には約20−400℃の範囲に、好ましくは約150−200℃の範囲に調整することを含む。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくは、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。対向部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。熱ロールを使用するとき、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。本発明の機械パルプ含有塗工紙作製方法用の金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、カレンダ処理領域を現に通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。プレス部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。
【0050】
本発明の機械パルプ含有塗工紙作製方法では、金属ベルトカレンダ処理は、好ましくは、金属ベルト最終カレンダ処理と組み合せられるが、最終カレンダ処理は、金属ベルトによるプリカレンダ処理のおかげで、現在利用可能な最終カレンダ処理法により実行することができ、最終カレンダ処理の程度に関して軽くすることができる。本発明の機械パルプ含有塗工紙作製方法では、現在利用可能なプリカレンダ処理法を採用し、最終カレンダ処理を金属ベルトカレンダで実行することも実現可能であり、この場合、例えば、実効的な処理領域のおかげで相当に少ない数のニップで等価の紙グレードを製造することや、更には、金属ベルトカレンダがマルチロールカレンダに比してコスト面で魅力があるという、利点を享受できる。
【0051】
本発明の一のアプリケーションは、新聞用紙の作製方法及び当該方法により製造される新聞用紙グレードに関する。
【0052】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68を参照して、一般的に新聞用紙について説明する。
【0053】
新聞用紙は、通常的には、機械パルプ75−100%、及び化学パルプ0−25%を含み、最大量の充填剤は8%である。紙パルプは、機械繊維若しくはリサイクル繊維を100%まで含んでもよい。リサイクル繊維は、バージン繊維で生成された紙よりも高い充填剤含有率を有しうる(20%ほどの高さ)。
【0054】
新聞用紙は、オンライン型のカレンダによりペーパーマシンでカレンダ処理される。従来的には、これは、4−6ロールのハードニップカレンダを用いてなされる。新聞用紙は、通常的には、1100m/minから1700m/minの走行速度を有する。ニップ圧は、80−100kN/mであり、熱ロール水温度は80−120℃である。
【0055】
紙の厚さを調整することは新聞用紙カレンダの主要部である。従来的には、横方向若しくはクロス方向の厚さプロファイルは、熱い/冷たいエアジェット、インダクションコイル、及び/又は領域調整型カレンダロールにより調整される。最近開発された領域調整型ロールは、追加の装置を必要とせずにクロス方向の厚さプロファイルを調整できる。
【0056】
紙のテクスチャは、従前に比してより容易に実行可能となってきており(より多くの脱イン廃棄パルプ(DIP)、微粉)、フォーマ及びプレスは、改善された強さを提供できるので、トレンドは、カレンダにおけるニップの数を減らして、ニップ圧を減らすことに向いている。
【0057】
DIPベースを備える新聞用紙用のソフトカレンダにおける典型的な走行条件は、2つのソフトニップで20−80kN/mであり、80−100℃の温度である。ある場合には、紙の二面性(これは、ペーパーマシンのプレスセクションの設計態様に依存する)に依存して、単一のソフトニップでも十分である。
【0058】
TMPベースの新聞用紙は、2つのソフトカレンダニップと相当に苛酷なカレンダ条件を必要とする。ニップ圧は、典型的には、250−350kN/mの範囲内で変化し、温度は160℃までである。TMPベースのパルプ調合物は、また、カレンダ作用を強めるために蒸気処理を必要とする。蒸気処理は、カール傾向を制御する片面乾燥を備える現代のペーパーマシンにおいて非常に効率的な結果を以って使用される。粗いパルプ調合物を扱う時、プレカレンダ処理は、乾燥セクションに対しても考慮されている(中間カレンダ若しくはブレーカースタック)。
【0059】
本発明の目的は、所望の特性の新聞用紙を容易に製造でき、先行技術のカレンダ処理方法に対して、それらの多くの利点を提供しつつ、取って代わることができる方法を提供することにある。
【0060】
本発明の目的を達成するため、本発明の新聞用紙作製方法は、少なくとも1回のカレンダ処理プロセスにおいて本方法により使用されるカレンダは、処理装置を含み、該処理装置が、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約70MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0061】
本発明の方法により製造される新聞用紙は、表面が、2.5−7.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)、及び/又は、30−600ml/minのBendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)を有する。好ましくは、表面が、3.5−5.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有する。Bendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)は、好ましくは、40−200ml/minである。
【0062】
新聞用紙の作製方法において、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間は、便宜的には5−200msの範囲に調整され、好ましくは20−80msの範囲に調整され、金属ベルト温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくは、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。対向ロールは、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。熱ロールを使用するとき、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。
【0063】
本発明の新聞用紙作製方法用の金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、カレンダ処理領域を現に通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。プレス部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。
【0064】
本発明の新聞用紙作製方法では、カレンダ処理は、好ましくは、乾燥セクションの下流で単一プロセスで最終カレンダとして実行されるが、金属ベルト処理装置は、乾燥セクション内、若しくは、乾燥セクション内及び乾燥セクションの下流の双方に配置されてよい。
【0065】
本発明の一アプリケーションは、塗工された化学パルプベースの上質グレード紙(WFC)の作製方法、及び、当該方法により製造される塗工化学パルプベース印刷紙グレードに関する。
【0066】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68に基づいて、一般的に化学パルプベース印刷紙(woodfree coated=WFC)について説明する。
【0067】
塗工化学パルプベース印刷紙グレードは、芸術本、パンフレットや年次報告のような、高い基準の印刷アプリケーション用に使用される。紙グレードのエンド使用に関する要求が、塗布されるコーティングインクの量、光沢目標及び他の諸言を決定する。WFCグレードは、一回、2回若しくは3回塗工されてよい。全体のコーティング層は、片面で40g/m2であることができる。WFC生産は、コーティング装置特有の要求に応じて表面をカレンダしようとするために、コーティング装置の前でプリカレンダの使用を伴う。最終の表面は、無光沢若しくは光沢仕上げであることができる。あるグレードは、シート形態若しくはリールで印刷される。紙テクスチャ、表面仕上げ若しくは組成の変動の全ては、グレード特有の品質基準のための適用カレンダ処理コンセプトに関するファクターである。
【0068】
プリカレンダ処理の目的は、コーティング装置の上流での要求レベルにラフネス及び多孔性を低減することである。従来的には、WFCプリカレンダ処理は、一の水加熱ロールと一の撓み補償型ロールとを含む2−ロールのマシーンカレンダにより実行されてきた。ニップ圧は、典型的には、10−40kN/mの範囲内で可変し、温度は80℃−100℃の範囲内である。ソフトカレンダ処理は、二面性に対する良好な制御性及び良好なカレンダ処理結果に起因して、益々プリカレンダプロセスで使用されている。木材含有塗工グレードにおける重要な局面は紙の厚みを調整することである。
【0069】
現在のところ、最も典型的な最終カレンダ処理は、スーパーカレンダ処理である。典型的には、2つのオフライン型のスーパーカレンダは、単一のペーパーマシンの製造を扱うことができる。カレンダの走行速度は、500−1200m/minの範囲内で変化する。光沢のない表面仕上げは、典型的には、1若しくは2のソフトニップ(ソフト−ソフトロール)を用いて、コーティングマシーンでオンライン型カレンダ処理により実現される。
【0070】
新規のマルチニップカレンダは、光沢のあるWFCグレードに関して徐々に増加する技術を構成する。高温は、ポリマー被覆ソフトロール及び高性能な荷重付与システムと相まって、嵩の最終的な節約と共に、品質の基準を得るために必要なニップ圧を低減することに役立つ。
【0071】
新たなマルチニップカレンダは、種々のカレンダ構成でWFCグレードを製造することを要求されることができる。現代のカレンダは、8−12のロールを含むシステムを用いて生産目標を達成することができる。最も適切な選択肢の選択は、量はもはや主要な関心でないので、最終品質に基づいて判断されるべきである。8−ロールのカレンダによるカレンダ処理原理は、12−ロールのカレンダとして同一の生産に対して使用されるが、幾分異なる。8−ロールスタックは、より大きな荷重及び熱を必要とする。非常に好ましい結果は、少数の過剰な荷重のニップに比して、複数の軽い荷重のニップを用いることにより得られる。これが、12−ロールカレンダを8−ロールバージョンよりも好ましいものとする。
【0072】
WFCグレードをカレンダ処理するプロセスにおける高温は、標準的な嵩を備えるより高い光沢の形態で品質に関連した利点をもたらす。80℃の温度レベルで充填型ロールにより動作する標準的なスーパーカレンダを、ポリマーロールとより高い温度を備える現代のマルチロールカレンダと比較した時、Hunter glossにおいて4−5%の感じ取れる増加がある一方、紙の密度レベルは一定である。白色度の幾らかの喪失は、より高い温度カレンダ処理と関連した数少ない場合に見受けられた。この危険性は、紙の巻き取り温度を十分低く(35℃−45℃)維持することによって解消できる。
【0073】
ソフト表面ロールのWFCカレンダ処理への影響は非常に顕著である。目的は、過剰に高い係数を備える塗工層、即ち過剰に硬いニップを防止することである。適切な塗工層は、通常的には、88091ShDの範囲内の硬さを有する。あまりに硬いコーティングは、不均一なカレンダ処理(光沢のむら)を引き起こすことができる。これは、紙の形成にもかかわる。形成が良好であるにつれて、より硬い(より高い係数を備える)塗工層を用いる際のリスクが低くなる。
【0074】
WFC無光沢若しくは艶消し表面グレードは、全体のWFC生産の増加するシェアを構成する。典型的には、Hunter gloss(ISO/DIS 8254/1)は、35%より低いレベルに保たれる。人の目は、光沢のレベルがこのレベルより小さい時は紙が無光沢であると知覚する。光沢の最小化は、クリティカルでなく、十分低いレベルで十分である。この無光沢仕上げをカレンダ処理することは、紙に対して少ないカレンダ処理作業、典型的には2、3のニップのみでカレンダ処理作業をすることを意味する。同一の理由で、カレンダ処理温度は低い。無光沢仕上げは、通常的には、ニップを画成する2つのソフトニップを備えるオンライン型のソフトカレンダにより製造される。
【0075】
無光沢仕上げ生産のための1つの従来的な解決策は、幾つかのニップをバイパスするあるウェブ走行を有するスーパーカレンダを使用することである。
【0076】
無光沢仕上げにおける目標は、紙の光沢度や平滑度として表現できる。目標は、平滑度を最大化し、同時に光沢度を最小化することである。コーティングスリップの成分は重要な役割を有する。コーティングスリップのレシピに対して正確な成分を選択することは、カレンダ処理された紙における光沢度/平滑度に関して影響を容易に与えることができる。クレイのような紙タイプの顔料、及び、プラスティック顔料のような高光沢促進顔料は、無光沢仕上げスリップには採用されない。
【0077】
無光沢仕上げの生産において、ニップの軟らかさは、クリティカルなカレンダ処理パラメータとなる。紙は、穏やかなカレンダ処理のみを受けるので、目標品質基準を得るために低いニップ圧を有することが必要である。ニップが硬すぎる場合、即ちソフトカレンダが高い弾性係数を有する場合、結果は、光沢のむらとなりうる。
【0078】
新しいマルチニップカレンダは、無光沢の仕上げ生産に対して良好なツールを提供する。新規の荷重付与システムをフルに利用することによって、仕上げプロセスにおいて紙が過剰に艶だしされることなく、紙に十分低いカレンダ作用を付与してマルチロールカレンダを稼動することが可能である。特別に被覆加工/エンボス加工された若しくはパターンニングされたロールを使用することも可能であり、これにより、粗さが低減されるが、過剰な光沢を生成しない。WFC紙の品質は、しばしば、紙の盲目的に測定された特性を観測するのではなく、印字された可視的な見た目に基づいて判断される。
【0079】
塗工された化学パルプベースの印刷紙(WFC)では、コーティングの量は、要求や意図したアプリケーションに応じて広範に変化する。次は、一回及び2回塗工された化学パルプベースの印刷紙に対する典型的な値である。
【0080】
一回塗工の基本重量90g/m2、Hunter gloss65−80%、PPS s10 ラフネス0.75−1.1μm、白色度80−88%、及び、不透明度91−94%であり、2回塗工の基本重量130g/m2、Hunter gloss70−80%、PPS s10 ラフネス0.65−0.95μm、白色度83−90%、及び、不透明度95−97%である。
【0081】
本発明の目的は、先行技術の方法に対して幾つかの利点を提供できる新規な塗工上質紙グレード作製方法を提供することにある。
【0082】
本発明の目的に達するため、本発明の塗工された化学パルプベースの上質紙(WFC)の作製方法は、本方法によりプリカレンダ処理及び/又は最終カレンダ処理で使用されるカレンダが、処理装置を含み、該処理装置は、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約70MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0083】
本発明の方法により製造される塗工化学パルプベース印刷紙グレードは、表面が、0.4−3.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有し、及び/又は、光沢度(ISO/DIS 8254)が40−90%であることを特徴とする。好ましくは、表面が、0.6−1.5μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有する。光沢度は好ましくは60−80%である。
本発明により製造される印刷紙は、便宜的には、各面で少なくとも1回塗工された印刷紙を構成する
本発明の一アプリケーションは、所望の特性(特に、Bendtsen ラフネスとPPSラフネスとの良好な相関)を備える紙を容易に製造できる未塗工の化学パルプベースの上質グレード紙(WFU)の作製方法に関する。
【0084】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68を参照して、未塗工化学パルプベース印刷紙グレード(woodfree uncoated=WFU)について説明する。
【0085】
未塗工の木材のない印刷紙は、特に複写機やプリンタ用の紙として使用される。それらは、漂白バーチウッドパルプ55−80%、漂白ソフトウッドパルプ0−30%、及び、充填剤10−30%を含む。WFUでは、値は、非常に広範に変化し、基本重量50−90g/m2(240g/m2まで)、Bendtsen ラフネス250−400ml/min、白色度(ISO 2470:1999)86−92%、及び、不透明度(ISO 2470:1998)83−98%である。
【0086】
例えば、標準的な複写紙を参照すると、典型的な値は次の通りである。即ち、基本重量は80g/m2、PPSラフネスは3.5−5.0μm、Bendtsen ラフネスは100−200ml/min、Hunter glossは7−15%である。
【0087】
複写機やプリンタ用の紙グレードの最終的な用途は、従来的な印刷紙とは実質的に異なる。カールやワープに対する抵抗や寸法安定性は、片面加熱を適用するプリンタにおいて重要なファクターである。4色印刷は、高い品質の表面仕上げを必要とする。従来的には、WFCグレードは、一若しくは2以上のニップを備えるオンライン型のハードニップカレンダを備えるペーパーマシンにおいてカレンダ処理されている。典型的な走行速度は、中くらいであり、700−1100m/minのオーダーである。ソフトカレンダ処理は、現在、WFUグレードに対する主要な技術とみなされている。マルチロールカレンダ処理も、WFUグレードに関連して実現可能である。
【0088】
本発明の目的は、マシーンカレンダ処理若しくはソフトカレンダ処理された紙に比して高いラージスケール円滑度(低いBendtsen ラフネス)を有し、マシーンカレンダ処理された紙よりも高い強度を有する紙を得ることができる新規な未塗工上質紙作製方法を提供することである。
【0089】
本発明の目的を達成するため、本発明の未塗工上質紙作製方法は、ペーパーマシンのプレスセクションから来る紙ウェブが、乾燥セクション、及び/又は、乾燥セクション及び/又はウェブ表面サイジングの下流に配置される処理装置に通され、該処理装置は、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約70MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0090】
本発明の方法により製造される未塗工化学パルプベース上質紙グレードは、表面が、1.0−7.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)、及び/又は、10−800ml/minのBendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)を有することを特徴とする。好ましくは、表面が、3.5−5.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有する。Bendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)は、好ましくは、50−200ml/minである。本発明の方法により製造される未塗工化学パルプベース上質グレード紙(WFU)は、好ましくは、印刷紙、カラー印刷紙を含み、若しくは、封筒、本、動作マニュアルを作製するために使用される。
【0091】
本発明の一アプリケーションは、ペーパーマシンのプレスセクションから来る紙ウェブが少なくとも1回のカレンダ処理に通される剥離紙作製方法、及び、本方法により製造される剥離紙グレードに関する。
【0092】
次の説明は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68を参照して剥離紙に関するものである。
【0093】
剥離紙は、食品梱包やオフィスラベルのような、種々の最終アプリケーションに対して自己接着型製品のためのベース紙若しくはストックとして使用される。ヨーロッパにおける最も一般的な剥離紙は、スーパーカレンダ処理された光沢紙であり、良好な剥離特性のためにシリコンで被覆される。
【0094】
表2は、スーパーカレンダ処理される剥離紙に対する典型的な値である。
【0095】
【表2】
剥離紙のカレンダ処理が影響するクリティカルな特性は、高いシリコン吸収抵抗(高い密度及び円滑度)、均一なシリコン吸収、CD方向での均一な厚さプロファイルである。あるグレードでは、高い透明度も必要とされる。
【0096】
現在、剥離紙は、オフライン型のスーパーカレンダでカレンダ処理される。ニップの典型的な数は、11−17の範囲である。処理剤が片側だけ(シリコン側)に付与されるので、逆のニップは存在しない。ソフトロールは、紙若しくはポリマーロールであることができる。熱ロールは、90−140℃の範囲内で変化する表面温度を有する。最も下側のニップは、最大ニップ圧450−500kN/mを有する。紙は、ペーパーマシンのリールの前で高い水分含有率15−20%のために水分付与される。これは、高い密度及び閉じた表面を得るために必要とされる。高い水分含有率のため、乾燥が、カレンダ処理後に必要とされる。乾燥は、典型的には、エアドライヤにより実行される。最終の水分は、5−7%である。典型的な走行速度は、300−500m/minの範囲内で変化する。剥離紙は、一のペーパーマシンあたり2つのスーパーカレンダを必要とする。
【0097】
本発明の目的は、所望の特性の剥離紙を容易に製造でき、先行技術のカレンダ処理方法に対して、それらの幾つかの利点を提供しつつ、取って代わることができる方法を提供することにある。
【0098】
本発明のこの目的を達成するため、剥離紙を作製するための本発明の方法は、当該方法で前記少なくとも1回のカレンダ処理において使用されるカレンダは、処理装置を含み、該処理装置は、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約200MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0099】
本発明の方法により製造される剥離グレード紙は、40−100kg/m2の基本重量(SCAN−P 6:75)、及び/又は、800−1400kg/m3の密度(SCAN−P 7:75)を有することを特徴とし、剥離紙は、好ましくは、60−90kg/m2の基本重量(SCAN−P 6:75)を有する。本発明の方法により製造される剥離紙は、1000−1260kg/m3の密度(SCAN−P 7:75)を有する。
【0100】
本発明の一アプリケーションは、ボード紙製品及びその製造に関する。本発明の目的は、ボード紙製品、特にボックスボード紙の品質及び製造の経済性を高めることである。
【0101】
ボックスボード紙は、所望の光沢及び印刷品質を確保するための特別な表面品質、及び、梱包の機能性を確保するための剛性及び破れ強度を有することを必要とされる。更に、ボードミルは、大量にボード紙を生成するので、原材料の効率的な使用が重要である。これらの要求は、部分的に互いに矛盾する。ボード紙は、しばしば湿潤の加熱状態で、ボード紙をカレンダ処理し、ニップ内で圧縮することによって、十分な光沢が備えられる。好ましくは、この圧縮は、ボード紙の内部の層を圧密にすることなく、ボード紙表面の繊維及びコーティングを平滑にする。内層の圧密は、ボード紙の剛性を減じ、その破れ強度を低減する。内層の圧密は、嵩の喪失と称される。この場合、用語嵩は、密度の逆の値であり、従って、その喪失は、高密状態への紙若しくはボード紙の圧密を指示する。
【0102】
紙及びボード紙の生産は、非常に原材料ストック集約型であるので、ストックの僅かな節約でさえも、競合者に対して実質的な効果を提供する。この点、1%の節約も、主要な競争力のある利点とみなせ、投資の反発時間は短い。更に、原材料ストックの節約は、環境的な側面から望ましい。従前よりも軽いテクスチャのおかげで、この発明のボード紙は、製品の全体の整備寿命を延ばす相乗的な効果を有する、というのは、原材料ストックの低減された消費は、より軽い梱包を生み、これにより、最終的に、搬送サービスでの節約及びごみの量の低減がもたらされるからである。
【0103】
梱包用ボード紙は、しばしば、コーティングされた構造若しくは複数層構造である。典型的には、基本ボード紙は、3つの繊維層、漂白された化学パルプを含むトップライナ及び底層からなる。中間層若しくは本体層は、しばしば、機械パルプ、典型的にはグランドウッド(GW)を含むが、しばしば、圧砕木(PGW)、及び化学熱(chemithemo)−機械パルプ(CTMP)を含む。更に、中間層は、損紙若しくはレジェクトを使用する。バインダ及び顔料は、しばしば、例えば水密性のような表面特性を整えるために使用される。ボックスボード紙に対する典型的な基本重量範囲は、180−350kg/m2である。必要とされる基本重量は、梱包に必要な剛性に依存し、より軽いボード紙は、小さな梱包に対して十分である。表面処理は、ボード紙の嵩の節約で管理され、それ故により硬いボード紙が製造される場合、結果は、より低い基本重量のボード紙の使用を可能とするので、原材料ストック及びエネルギの節約となる。
【0104】
ボード紙は、しばしば、良好な嵩及び剛性を生成するヤンキーシリンダでコーティングされるまでに平滑化され、表面特性は、良好であり、同様に、縁部に沿った乾燥縮みは小さいが、速度的な拘束、装置に対するスペースの要求、及び、高速マシーンにおける大きなサイズのヤンキーシリンダは、ヤンキーシリンダの使用の制約となる。ウェットスタックカレンダは、SBSボード紙に対する典型的な処理方法であり、その問題は、走行性の問題及び水の適用に対する制御を含み、ボード紙は、カレンダ処理前後に乾燥されなければならないので、これは、更なるコストを招く。種々のソフト若しくはロングニップカレンダの解決策は、期待の持てる結果で試験された。ソフトベルト及びシューに基づくロングニップカレンダの問題は、ソフトベルトにより引き起こされるオフセット印刷ボード紙における品質の変動及び走行パラメータの調整における困難性に留まる。
【0105】
マシーンカレンダは、しばしば、他のカレンダと共に使用され、マシーンカレンダは、ロールが弾性を有さないハードカレンダを称する。マシーンカレンダは、単独の表面処理方法としては好まれていない。ソフトカレンダは、カレンダ表面が弾性のあるソフトニップカレンダであり、表面は、木の表面硬さと同一のオーダーの硬さを有しうるが、弾性である。従って、本発明の目的は、従前よりも少ない材料消費でボックスボード紙に対して平らな印刷表面、高い光沢度及び剛性を提供することである。これらの目的は、請求項116に記載されるパッキングボード紙及び請求項133に記載される塗工ボード紙製品作製方法により達成される。
【0106】
本発明によると、ボックスボード紙は、そのコーティング中若しくは前に請求項1の処理装置により処理される。カレンダ処理ニップは、相当な長さを有し、さらに、金属ベルトは、局所的にかなり硬く、従って、表面平滑度の観点から、カレンダ処理結果は、ソフトニップカレンダにより達成されるものよりも良好となるだろう。更に、長い作用時間及び低いカレンダ処理圧のおかげで、結果は、嵩の喪失の無い高い表面品質となるだろう。金属ベルトは、好ましくは、カレンダ処理の持続時間の間強力な熱の勾配を生成するために比較的に熱い状態にまで加熱されることができる。更に、熱ベルトは、相当な長さのカレンダ処理ニップを提供するために使用でき、長いニップは、嵩を減らすことなく、カレンダ処理の作動時間を増加させ、表面繊維を表面とのよりしっかりした永久的な接触へと押圧する。
【0107】
金属ベルトカレンダは、ベルトの張力のみにより生成される圧力により、若しくは、張力が付与されたベルトにより生成される圧力に加えてベルト押圧プレス部材を用いることにより、機能することができる。マシーンのゆっくりさに起因して、ボックスボード紙の製造は、カレンダにおいてかなり長い作用時間を伴い、ウェブは比較的に狭い。これらの理由のため、プレス部材なしでも、金属ベルトのみを用いることは可能である。ベルト単独により付加される圧縮力によって、約0.01MPaから約5MPaの接触圧力を得ることが可能である。プレス部材の配備は、達成可能な接触圧力が約0.01MPaから約70MPaとなることを意味する。
【0108】
好ましくは、ボックスボード紙の多くのグレードを処理することは、ベルトの張力のみを用いることによって、若しくは、ベルト張力により生成される圧力に加えて相当に小さな更なる圧縮力を用いることによって実行される。
【0109】
本発明のボード紙用の処理装置は、好ましくは、カレンダ、及び/又は、コータ、サイザー、ドライヤ、及び/又はプレスを含む。本発明の処理装置により処理されるボード紙は、塗工されなくてもよい。
【0110】
本発明の一アプリケーションは、安全紙、及び、安全紙を作製する機構及び方法に関する。この内容において、用語安全紙は、印刷表面やパッキング材料として使用でき、本来的に適切な装置無しでは製造が困難な、即ち変造が困難な紙若しくはボード紙をいう。
【0111】
従来的には、安全紙は、紙若しくは例えばボード紙製パッケージの信憑性及び起源を確かめるための多様な色若しくは蛍光性繊維、ホログラム、ウォーターマーク等を備える。かかる解決策は、高価であり、主に、製造コストに対する価値の比が高い紙幣や他の製品に適用可能である。
【0112】
文献WO/0198588及びUS6402888では、周辺領域から識別される領域、即ちデザイン例えば文字を紙に付与することによって紙が特定される方法が開示される。より詳細には、紙には、残りの繊維ウェブに比して少ない厚みの領域であって、裸眼で紙表面の残りからはっきりと識別可能な領域が付与される。しかし、これらの方法は、ある種の複数層紙若しくはボード紙のみに適用可能である。更に、引用文献の前者に開示される安全紙製造方法は、紙を特定するために使用される装置若しくはデザインの形成後の仕上げプロセス(コーティング)を含めて、最終製品を作製するために複数の別個のプロセスを必要とする。他方、文献の後者に開示される安全紙製造方法は、ペーパーマシンの2つの別個のウェットエンドで形成される2つの繊維ウェブを、ペーパーマシンで結合及び乾燥させることによりなる。結果として、かかる方法は、複雑で高価である。
【0113】
文献US6174586は、安全紙を作製するその他の方法を開示する。ここで、紙を特定するために使用される装置若しくは文字は、紙の表面上に塗布されるコーティング上のエンボス若しくは凹部として形成されるのみである。かかる方法は、単に、ある種の紙グレードに、特に塗工されるグレードに適用可能である。更に、この方法は、遅く、従って、ペーパーマシンにおいてオンライン型のプロセスとしての適用が困難である。
【0114】
本発明の目的は、製造が簡易で早く経済的である安全マーク入り紙若しくはボード紙、及び、未塗工及び塗工紙及びボード紙グレードの双方に非常に適するような態様で、かかる紙若しくはボード紙を作製する方法及び機構を提供することである。
【0115】
この実現は、特定される安全紙が、カレンダ、好ましくは金属ベルトカレンダで繊維ウェブをカレンダ処理することにより製造され、この場合、少なくとも1つのカレンダ処理表面が、紙を特定するために使用されるデザイン若しくは装置の形状、例えば会社のロゴや文字に一致する凹部で刻印され、繊維ウェブをカレンダ処理するプロセス中に凹部に一致する繊維ウェブの領域が、カレンダ処理されないか若しくは弱くカレンダ処理されたままであり、当該未カレンダ処理若しくは弱カレンダ処理領域が、繊維ウェブのカレンダ処理された残りの表面からはっきりと識別可能となるようにする。
【0116】
従って、本発明の一の目標は、安全紙製造機構及び方法を提供することであり、より詳細には、上述したような種々の紙及びボード紙グレードにも良好に適用可能な繊維ウェブコンディショニング機構及びその動作方法を提供することである。
【0117】
本発明の安全紙は、繊維ウェブをカレンダ処理するプロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望のデザインに一致した形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、該未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする。
【0118】
本発明のカレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙の製造方法は、少なくとも1回の繊維ウェブのカレンダ処理プロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望のデザインに一致した形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする。
【0119】
本発明の目的を達成するため、本発明の装置は、少なくとも1つのカレンダ処理表面が、前記繊維ウェブの表面用に所望のデザインの形状に一致した凹部を備え、前記繊維ウェブの前記凹部に対応する領域が、前記繊維ウェブのカレンダ処理のプロセス中に、カレンダ処理されないか若しくは弱いカレンダ処理されたままであり、該カレンダ処理されないか若しくは弱いカレンダ処理がなされた領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されること特徴とする。
【0120】
本発明は、先行技術に対して多くの利点をもたらす。刻印された表面でカレンダ処理することによって製造される紙若しくはボード紙は、改竄や偽造が困難である、というのは、未カレンダ処理表面若しくは表面の残りよりも弱いカレンダ処理を受けた表面に類似するパターンを既にカレンダ処理された表面に付与することは非常に困難であるからである。
【0121】
本発明の機械的で単純な方法は、種々の種類の未塗工若しくは塗工紙及びボード紙に対して非常に適切である。本発明は、ペーパーマシンにおいてオンライン型プロセスとしてうまく適用可能であり、非常に簡素で速く経済的な安全紙製造手段を提供する。
【0122】
解決策は、現在偽造がかなり拡大している、タバコのパック、CD用のカードボードボックス等のような、梱包材料の識別にも容易に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の金属ベルトカレンダを一実施例として示す図である。
【図2】現在利用可能な方法と比較しつつ、機械パルプ含有塗工紙を作製するための本発明のプリカレンダ処理方法により得られるLWC紙に対する実験室規模の試験結果を示す。
【図3】現在利用可能な方法と比較しつつ、機械パルプ含有塗工紙を作製するための本発明のプリカレンダ処理方法により得られるLWC紙に対する実験室規模の試験結果を示す。
【図4】新聞用紙に対応する成分の紙の場合の、新聞用紙を作製するための本発明の方法により得られる試験結果を示す。
【図5】新聞用紙に対応する成分の紙の場合の、新聞用紙を作製するための本発明の方法により得られる試験結果を示す。
【図6】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図7】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図8】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図9】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図10】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図11】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図12】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図13】繊維ウェブの表面にカレンダ処理されずに残る領域を具体的に示す図1のベルトカレンダの側部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0124】
次に、本発明の処理装置及びその種々のアプリケーションは、図面を参照して詳細に説明される。
【0125】
図1を参照するに、ベルトカレンダとして実現される本発明の一の処理装置が示されており、ガイドロール3まわりに延在する金属製カレンダベルト2を含み、少なくとも幾つかのガイドロールは、ベルト2を所望の張力若しくは緊張に調整するために可動である。カレンダベルト2は、ベルトループの外側に配置されるロール5まわりを走行し、これにより、ベルト2とロール5との間にカレンダ処理領域が形成される。カレンダ処理される材料ウェブWは、カレンダ処理領域を通過し、これにより、時間を関数とした所望の圧力衝撃及び熱作用を受ける。図1では、カレンダベルト2の内側にプレスロール4が搭載される際の圧力衝撃パターンを示し、プレスロール4は、プレス部材として機能し、ベルトをロール5に押し当てて、カレンダ処理領域内により高い圧力のプレス処理領域を確立する。他方、点線8は、ロール4のベルト2との押圧接触が無く(若しくはベルト2の内側に搭載されるロール4が実際に存在しない際の)、ベルト2の張力のみによりカレンダ処理領域の接触圧力が確立される際の圧力衝撃パターンを示す。ロール5は、ロール4と同様、撓み(deflection)補償型ロールであってもなくてもよく、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、熱ロール、金属ロール、充填型ロール(filled roll)及び複合ロール(composite roll)を含む集合から選択される。ロール4に代えて、プレス部材は、幾つかの他のプロファイル可能な若しくは固定プロファイルのプレス部材を含み、クロスマシーン方向で連続する幾つかの部材を更に含んでよい。また、ロールとして設計されたプレス部材4は、クロスマシーン方向で連続する幾つかの部材からなってよい。プレス部材4は、連続的若しくは不連続に形成された表面を有してよい。更に、プレス部材4は、処理領域長及び/又はベルト張力を変化させるために可動に構成されてよい。金属ベルトは被覆されてもよい。図1に示される実施例では、ニップロールは、シューロールからなる。参照番号6は、インダクションヒータ、赤外線放射器、ガスバーナー、容量性ヒータのような加熱要素を表わす。
【0126】
SC紙作製方法における本発明の金属ベルトカレンダの使用は、支持されたウェブのおかげで、現に利用可能な解決策に比して良好な走行性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立でき、ポリマーニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、より少ないニップで等価の紙質を達成できる。更に、金属ベルトカレンダは、コストの観点からスーパーカレンダよりも断然に魅力がある。
【0127】
SC紙の金属ベルトカレンダによりカレンダ処理は、一若しくはそれ以上の処理領域、好ましくは2つの処理領域の使用を伴う。本発明の方法では、カレンダ処理は、好ましくは、乾燥セクションの下流の2つのプロセスで実行されるが、金属ベルトカレンダが、乾燥セクションにも設置されてよく、若しくは、乾燥セクションの下流と乾燥セクションの双方であってもよい。カレンダセクションで設置される金属ベルトカレンダは、ペーパーマシンの速度を増加させる手段若しくは乾燥セクションの一部の代替として使用されうる。乾燥セクションに含められる金属ベルトカレンダは、SC紙のプリカレンダ処理に対して使用されてもよい。
【0128】
SC紙のカレンダ処理は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。
【0129】
本発明のSC紙カレンダ処理方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、処理領域を通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材4は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。プレス部材4は、撓み(deflection)補償型ロールであってもなくてもよく、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、熱ロール、金属ロール、充填型ロール(filled roll)及び複合ロール(composite roll)を含む集合から選択される。
【0130】
LWC紙作製方法における本発明の金属ベルトカレンダの使用は、ウェブの通路が支持されるおかげで、単一の処理領域において両面のウェブ処理を可能とし、今日利用可能な解決策に比して良好な走行性を提供する。更に、本方法は、温度若しくは水分付与の適用により一面性を効率的に調整する可能性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立し、熱ロール/ポリマーロールニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、非常に少ないニップで等価の紙質を提供することを可能とし、金属ベルトカレンダは、価格の観点からマルチニップカレンダよりも断然に魅力がある。更に、金属ベルトカレンダは、マシーンカレンダよりも高い強度を提供できる。
【0131】
本発明のLWC紙作製方法は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、好ましくは、1−65%の範囲内、より好ましくは8−15%の範囲内である。
【0132】
LWC紙のプリカレンダ処理は、好ましくは、熱ロールと金属ベルトとの間に紙ウェブをガイドすることによってなされる。一面性を調整するため、金属ベルトは、ソフトロールに接して延在してよい。プリカレンダ処理は、好ましくは、単一のプロセスで実行される。金属ベルト及び熱ロールは、双方共に加熱可能である。最終カレンダ処理は、熱ロールと被覆された金属ベルトとの間のニップでなされてよい。好ましくは、最終カレンダ処理は、2つのプロセスで実行される。均一な光沢度及び印刷インクの吸収性を達成するため、ニップは、形成スケールの変動に適合するソフトな表面を備えなければならない。
【0133】
機械パルプ含有の塗工紙の製造方法では、金属ベルトカレンダは、ドライヤセクションに設置されてよく、この場合、ペーパーマシンのドライヤセクションの一部の置換として若しくはペーパーマシンの速度を増加させるために使用されるものであってよい。例えば、対向部材として機能する熱ロールの温度を200℃の読取値に、及び、その金属ベルトとの接触時間を40msの読取値に調整することによって、単一のニップでも、13%から6%まで紙を乾燥させるために十分となるだろう。
【0134】
図2は、種々のプリカレンダ処理方法に関連した最終カレンダ処理後のLWC紙のPPSラフネスに対する値を開示する。図3は、種々のプリカレンダ処理方法に関連した最終カレンダ処理後のLWC紙のBendtsenラフネスに対する値を開示する。図2,3に示す実験室規模の試験結果は、本発明の金属ベルトカレンダ処理は、所望の平滑性を提供できることを示しており、例えば、高いラージスケール平滑度(低いBendtsenラフネス)がマシーンカレンダやソフトカレンダに比して良好である。
【0135】
新聞用紙を作製する方法における本発明の金属ベルトカレンダの使用は、ウェブの通路が支持されるおかげで、単一の処理領域において両面のウェブ処理を可能とし、今日利用可能な解決策に比して良好な走行性を提供する。更に、本方法は、温度若しくは水分付与の適用により一面性を効率的に調整する可能性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立し、熱ロール/ポリマーロールニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、金属ベルトカレンダで新聞用紙の改善をもたらすことを可能とし、速度の制限に関連したプロセスエンジニアリングを発生させない。更に、金属ベルトカレンダは、マシーンカレンダよりも高い強度を提供できる。
【0136】
本発明の新聞用紙作製方法は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、便宜的には1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内である。
【0137】
新聞用紙作製方法では、同様に、金属ベルトカレンダは、ドライヤセクションに設置されてよく、この場合、ペーパーマシンのドライヤセクションの一部の置換として若しくはペーパーマシンの速度を増加させるために使用されるものであってよい。例えば、対向部材として機能する熱ロールの温度を200℃の読取値に、及び、その金属ベルトとの接触時間を40msの読取値に調整することによって、単一のニップでも、13%から6%まで紙を乾燥させるために十分となるだろう。
【0138】
図4は、種々のプロセス条件において得られる密度に関連したPPSラフネスに対する値を示し、図5は、種々のプロセス条件での試験で使用される紙に対するBendtsenラフネス、新聞用紙に対応した当該紙の基本重量及びパルプ成分の関係を示す。試験結果である図4,5に示すように、本発明の金属ベルトカレンダ処理は、所望の平滑性を提供でき、例えば、Bendtsenラフネスがマシーンカレンダやソフトカレンダに比して低い。
【0139】
本発明の新聞用紙作製方法は、表面サイジング無しで作製される従来の新聞用紙及び表面サイズされ及び/又は顔料着色された新聞用紙の製造の双方に適用可能である。表面サイジング及び/又は顔料着色の場合、金属ベルトカレンダは、好ましくは、表面サイジング/コーティングステーションの下流に位置する。
【0140】
塗工された化学パルプ含有の上質紙(WFC)を作製するための本発明の方法では、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間は、便宜的には5−200msの範囲に調整され、より好ましくは、20−80msの範囲に調整され、金属ベルト温度は、最も便宜的には、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度に調整される。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくはポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、金属ロール、充填型ロール及び複合ロールを含む。熱ロールの場合、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、より好ましくは、約150−200℃の範囲に調整される。
【0141】
本発明のWFC作製方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、処理領域を通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。
【0142】
本発明により金属ベルトカレンダを用いて塗工上質紙のプリカレンダ処理を実行すると、先行技術のプリカレンダ処理よりも実質的に良好な結果が得られる。例えば、コーティング剤の分布が、現に利用可能なマシーンカレンダを用いて実行されるプリカレンダ処理により達成されるものよりも均一若しくはむらのないものとなり、これにより、モットリングが低減される。更に、金属ベルトカレンダは、塗工され最終のカレンダ処理された製品においてより高い光沢及び低い粗さを提供できる。更に、本発明の方法で使用される金属ベルトカレンダは、ウェブの通路が支持されるおかげで、単一のニップでウェブの両面処理を可能とし、現在の解決策で得られるものよりも良好な走行性を提供する。更に、本方法は、温度若しくは水分付与の適用により一面性を効率的に調整する可能性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立し、熱ロール/ポリマーロールニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。プリカレンダ処理で使用されるとき、実効的な処理領域は、最終カレンダ処理の必要性を低減すると共に、速度の制約に関連したプロセスエンジニアリングを発生させない。更に、金属ベルトカレンダは、マシーンカレンダよりも高い強度を提供できる。金属ベルトカレンダのその他の利点は、ソフトカレンダと異なり、ロール/ベルト上のコーティングに容易にダメージを与えないことである。
【0143】
WFCを作製するための本発明の方法では、金属ベルトカレンダ処理は、好ましくは、金属ベルトにより最終カレンダ処理と組み合せされるが、最終カレンダ処理は、現在利用可能なオフライン型若しくはオンライン型のソフトカレンダにより実行されてよく、この場合、最終カレンダ処理の程度は、金属ベルトによるプリカレンダ処理のおかげでこれらシステムにおいて低減できる。WFCを作製するための本発明の方法では、マシーンカレンダやソフトカレンダにより実行される先行技術のプリカレンダ処理を採用し、例えばマルチロールカレンダにより実行される現在の一般的な最終カレンダ処理に対して有利な金属ベルトカレンダにより最終カレンダ処理を実行し、例えば、実効的な処理領域のおかげで、相当に少ない数のニップで等価の紙質を提供することも可能である。更に、金属ベルトカレンダは、コストの観点からマルチロールカレンダよりも断然に魅力がある。
【0144】
金属ベルトカレンダの使用は、ペーパーマシンのドライヤセクションの一部の置換として若しくはペーパーマシンの速度を増加させるために使用できるので、乾燥能力をも提供する。例えば、対向部材として機能する熱ロールを使用し、その温度を200℃の読取値に、及び、その金属ベルトとの接触時間を40msの読取値に調整することによって、単一のニップでも、10%から6%まで紙を乾燥させることが可能である。
【0145】
WFCの作製のための本発明の解決策は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。WFCの作製のための本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、便宜的には1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内である。
【0146】
図6−10は、試験走行結果に基づく最終特性に対する金属ベルトプリカレンダ処理の作用を可視化したものである。これらの図は、結果が、先行技術の方法よりも大幅に改善されていることを示す。図6,7は、金属ベルトプリカレンダ処理が、現在使用されるマシーンカレンダ方法によりもコーティング剤のより均一な分布をもたらすことを示す。均一な分布のおかげで、図8に示すように、モットリングが低減される。図9,10は、金属ベルトプリカレンダ処理が、塗工され最終的にカレンダ処理される製品においてより高い光沢度及び低い粗さをもたらすことを明らかにしている。
【0147】
WFCを作製するための最終カレンダ処理において、紙ウェブは、好ましくは、ソフト表面ロールと金属ベルトとの間に通される。最終のカレンダ処理は、熱ロールと被覆された金属ベルトとの間のニップで実行されてよい。好ましくは、最終カレンダ処理は、2つのプロセスで実行される。均一な光沢度及び印刷インクの吸収性を達成するため、ニップは、形成スケールの変動に自身を適合させるソフトな表面を備えなければならない。無光沢仕上げ(梨地仕上げ)のグレードは、適切にパターンニングされたベルト若しくは熱ロールにより作製できる。
【0148】
未塗工上質紙を作製するための方法では、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間は、便宜的には5−200msの範囲に調整され、より好ましくは、20−80msの範囲に調整され、金属ベルト温度は、最も便宜的には、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度に調整される。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくはポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。熱ロールの場合、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、より好ましくは、約150−200℃の範囲に調整される。
【0149】
本発明の未塗工上質紙作製方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、処理領域を通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。
【0150】
本発明の未塗工上質紙作製方法では、カレンダ処理は、好ましくは、乾燥セクションの下流で単一のプロセスで最終カレンダ処理として実行されるが、金属ベルトカレンダが、乾燥セクションにも設置されてよく、若しくは、乾燥セクションの下流と乾燥セクションの双方に設置されてもよい。
【0151】
未塗工上質紙の作製のための本発明の解決策は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。未塗工上質紙の作製のための本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、便宜的には1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内である。
【0152】
本発明の未塗工上質紙作製方法では、金属ベルトカレンダは、乾燥セクションで設置されてよく、この場合、金属ベルトカレンダは、ペーパーマシンの速度を増加させるため若しくは乾燥セクションの一部を代替するために使用できる。例えば、対向部材として機能する熱ロールの温度を200℃の読取値に、及び、その金属ベルトとの接触時間を40msの読取値に調整することによって、単一のニップでも、10%から6%まで紙を乾燥させるために十分となるだろう。
【0153】
未塗工上質紙作製方法において本発明の金属ベルトカレンダを使用することは、ウェブの通路が支持されるおかげで、単一のニップでウェブの両面処理を可能とし、現在の解決策で得られるものよりも良好な走行性を提供する。更に、本方法は、温度若しくは水分付与の適用により一面性の効率的な調整を可能とする。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立し、熱ロール/ポリマーロールニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、金属ベルトカレンダにより標準的な複写紙よりも平滑なカラー複写紙の製造を可能とすると共に、速度の制約に関連したプロセスエンジニアリングを発生させない。更に、金属ベルトカレンダは、マシーンカレンダよりも高い強度を提供できる。金属ベルトカレンダのその他の利点は、ソフトカレンダと異なり、ロール/ベルト上のコーティングに容易にダメージを与えないことである。
【0154】
図11は、種々のカレンダ処理法で得られる密度に関連したPPSラフネス値を示し、図12は、種々のカレンダ処理法におけるBendtsenラフネスとPPSラフネスとの関係を示す。図11,12に示す結果は、本発明の金属ベルトカレンダ処理が、所望の平滑特性をもたらすと共に、Bendtsen/PPSラフネスに対して好ましい比を提供できることを示す。
【0155】
剥離紙の作製のための本発明の解決策は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、便宜的には1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内である。
【0156】
剥離紙の作製のための本発明の方法では、金属ベルトカレンダは、乾燥セクションで設置されてよく、この場合、金属ベルトカレンダは、ペーパーマシンの速度を増加させるため若しくは乾燥セクションの一部を代替するために使用できる。金属ベルトカレンダは、カレンダ処理後の別の乾燥プロセスを回避するために使用することもできる。
【0157】
剥離紙作製方法における本発明の金属ベルトカレンダの使用は、支持されたウェブのおかげで、現に利用可能な解決策に比して良好な走行性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立でき、熱ロール/ポリマーニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、より少ないニップで等価の紙質を達成できる。更に、金属ベルトカレンダは、コストの観点からスーパーカレンダよりも断然に魅力がある。
【0158】
金属ベルトカレンダで剥離紙をカレンダ処理するプロセスは、一若しくはそれ以上の、好ましくは2−4の処理領域の使用を伴う。本発明の方法では、カレンダ処理は、好ましくは、乾燥セクションの下流で単一のプロセスで最終カレンダ処理として実行されるが、金属ベルトカレンダが、乾燥セクションにも設置されてよく、若しくは、乾燥セクションの下流と乾燥セクションの双方に設置されてもよい。
【0159】
剥離紙作製方法では、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間は、便宜的には5−200msの範囲に調整され、より好ましくは、20−80msの範囲に調整され、金属ベルト温度は、最も便宜的には、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度に調整される。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。
【0160】
金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくはポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、金属ロール、充填型ロール及び複合ロールを含む。その他の考えられる解決策では、剥離紙は、熱ロールと被覆された金属ベルトの間でカレンダ処理されてよい。熱ロールを用いる際、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、より好ましくは、約150−200℃の範囲に調整される。
【0161】
本発明の剥離紙作製方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、処理領域を通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材4は、好ましくは、約0−500kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。プレス部材4は、撓み補償型ロールであってもなくてもよく、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、熱ロール、金属ロール、充填型ロール及び複合ロールを含む集合から選択される。
【0162】
塗工ボード紙製品を作製するための本発明の解決策は、特に金属ベルトを使用するとき、意図するアプリケーションに応じて、約100℃より高い温度から約200℃より高い温度までの高温、及び約400℃までの高温を用いることによって実現される。高温は、長い適用時間と広範な圧力調整範囲と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、良好なカレンダ結果をもたらす。カレンダ処理領域におけるウェブ滞留時間は、0−1000msの範囲内に、好ましくは60−200msの範囲内になるよう調整されてよい。金属ベルトカレンダは、カレンダ処理領域を通るウェブの通路を支持することを可能とし、ベルト幅により定まる制限内にウェブ幅の変動を調整することを可能とする。ウェブの供給は、完全なウェブの全幅に亘って且つ高いウェブ速度で可能である。ウェブの供給は、とりわけ知られた態様で、例えばコードにより実行されてよい。
【0163】
処理されるウェブの水分調整は、従来的な手段により、例えば処理領域内にウェブを通す前にウェブの表面若しくは複数の表面に蒸気を当てることによって実行されてよい。水分付与及び/又は温度の調整は、横方向のプロファイルに所望の影響を付与するために使用でき、本方法は、ウェブの水分を広範に変化させることを可能とする。
【0164】
本発明のボード紙作製方法は、例えば凝縮をもたらすため、金属ベルト若しくは熱ロールを約−70℃から+50℃の温度まで冷却するプロセスを含んでよい。
【0165】
ベルトカレンダは、例えば250℃のような高温を追加的に用い、好ましくは60−200msのオーダーである、処理領域内での長い滞留時間を考慮することによって、相当に高い速度で動作することが可能であり、より低速なヤンキーシリンダにより得られるのと同等の艶効果を提供することが可能である。更に、ボード紙は、嵩を改善することができ、これにより、エネルギ及び原料の節約と相まって、ヤンキーシリンダの使用に比して天然資源の節約をもたらす。本発明の解決策により得られるその他の効果は、エネルギ、熱及び力のウェブへの印加が単一の処理で強化された態様で生ずるので、比較的低電力しか必要とされないことである。ウェブ若しくはコーティング層に導入される熱は、周囲空気にウェブから逃げることができないが、ウェブ温度を増加させる役割を継続し、ウェブ表面のグレージング処理を大幅に促進させる。
【0166】
実行された試験走行では、本発明のボード紙(プリカレンダ処理された塗工ボード紙製品)は、知られているボード紙に比して良好な嵩の安定性を維持すると同時に、知られている一般的に製造された表面処理ボード紙に比して表面特性が改善される。製造業者の観点から、同一の剛性が、非常に少ない量の材料により得られ、同一の板紙抄紙機で同一のパルプから作製されたボード紙からの差異が、表3に示される。
【0167】
【表3】
従って、試験走行は、ヤンキーシリンダの使用に比して6%より大きい嵩節約を達成した。表面もより円滑であった。従って、最終的な嵩の節約は、同一量の材料の消費で改善された剛性をもたらし、これは、実際に、製造業者は対応する量の材料を節約することを意味する。経験に基づいて、試験結果の解釈は、例えばボックスボード紙の品質及び生産の経済性の観点から、主要な発展を実際に生むことを示す。一般的に、オフライン型の試験で得られる結果は、最終的な環境で達成されるものよりも乏しく、従って、これらの予備的試験に基づいても、従前にはできなかったボード紙を製造することができると結論付けることができる。更に、本方法は、ヤンキーシリンダよりも実質的に高い速度に適用可能である。
【0168】
図13によると、ベルト2の表面には、所望のパターン若しくはエンボスに補間関係にある凹部が設けられる。カレンダ処理される材料ウェブWは、カレンダ処理領域を通って進み、所望の圧力衝撃及び熱作用を時間の関数として受け、繊維ウェブは、所望のエンボスの形状に補間関係にありベルト2に設けられる凹部136に一致する領域若しくはセクションを除いて、カレンダ処理される。凹部136は、それに対応するウェブのセクションがカレンダ処理されるが当該特定のセクションの周囲のウェブ領域よりも少ないレベルでカレンダ処理されるように、寸法決定され、この場合、ウェブは、凹部136に対応したカレンダ処理領域であって、その周囲領域から区別できる弱いカレンダ処理領域を画成する。
【0169】
図13は、ベルト2に設けられる凹部136と補完関係にあり繊維W上に形成される未カレンダ処理若しくは弱カレンダ処理領域137を明らかにするため、図1のベルトカレンダをより大きな縮尺で側部から斜視方向に示す。凹部136は、図13ではベルト2のみに設けられ、所望のエンボスの形状に補完関係にあるが、対向部材として機能するロール5の表面上に所望の形状で設けられてよく、この場合、未カレンダ処理若しくは弱カレンダ処理領域137は、カレンダ処理される繊維ウェブWの両側に画成される。図13では、繊維ウェブW、ベルト2及び領域137は、大げさに表現された厚さの差異を有しており、同様に、ベルト2に含められる凹部136は、大げさに表現された深さを有し、更に、繊維ウェブW及びベルト2は、明瞭性を良くするためにそれらの通路が分岐されている。
【0170】
本方法は、金属ベルトカレンダに特に適しているが、ソフトカレンダ、マシーンカレンダ、シューカレンダ、若しくは例えばマルチニップカレンダのような、他のカレンダ種類にも非常に適用性が高い。安全紙の製造は、最も好ましくはペーパーマシンの最終のカレンダ処理で実行され、これにより、未カレンダ処理若しくは弱カレンダ処理領域の表面は、続くプロセスにおいて実質的に変化しないままとなる。
【0171】
安全紙は、繊維ウェブの切断及びパッキング処理の下流のより遅い段階で製造されてよく、即ち繊維ウェブの最終カレンダ処理は、実際のペーパーマシンから無くされ、後に実行され、製品梱包用のボード紙の場合、例えば、梱包の切断に先行する印字処理に関連して、安全紙の製造は、したがって、特別な要求に応じた少量生産において柔軟性があるだろう。
【0172】
一般的に、本発明の処理装置は、単一動作におけるカレンダ処理及び/又は他の処理において非常に高い効率を提供すると、言える。これを利用する他の方法は、本発明の処理装置を、カレンダ能力を増大させるためにその他のカレンダと組み合せることである。かかる第2のカレンダは、例えばスーパーカレンダ若しくはマルチロールカレンダ、例えばOptiLoadの名で出願人により製造されるマルチマルチロールカレンダ、若しくは、例えばソフトカレンダ若しくはロングニップカレンダであってよい。例えばSC紙及びLWC紙の製造は、典型的には、10−12ロールのスーパーカレンダ若しくはマルチロールカレンダの使用を伴う。毎分1800−2000mの動作速度をもつ近代的なペーパーマシンは、1つのペーパーマシンに対して4つのスーパーカレンダ若しくはマルチロールカレンダまで必要とする。典型的には、2若しくは3のオフラインカレンダは、一のペーパーマシンの生産を扱うのに十分である。カレンダ処理速度は、毎分500−700mの範囲内で変化する。ニップ圧は、典型的には、300−400kN/mであり、熱ロール表面温度は、80−120℃の範囲内である。紙の二面性は、カレンダの上下ニップを反転配置し、温度若しくは蒸気処理レベルを可変することで制御できる。新聞用紙と平滑なSC紙との間のSC−C及びSC−Bグレードは、2つのニップがあるソフトカレンダにより製造できる。走行中の表面温度は、160−200℃であり、ニップ圧は、350kN/mまでである。蒸気処理(steaming)も、これらのグレードをカレンダ処理する主要部分である。
【0173】
本発明の金属ベルトカレンダが、例えばOptiLoadカレンダと組み合わされる時、金属ベルトカレンダは、好ましくは、OptiLoadカレンダの最初のニップの直ぐ上流側若しくは最後のニップの後流側に配置される。金属ベルトカレンダは、2−スタックカレンダのスタック間に配置されることも考えられる。金属ベルトカレンダは、シングル若しくは2−ニップソフトカレンダの上流若しくは下流側に、当該ソフトカレンダの性能を高めるために配置されてよい。金属ベルトカレンダ処理は、マルチロールカレンダ若しくはソフトカレンダの上流若しくは下流で、若しくは中間的段階(例えば、2−スタックカレンダのスタック間)で、現に処理されている繊維ウェブを圧密化及び加熱するために設けられる。強化されたカレンダ処理は、現在の速度よりも早い走行速度を得るために使用できる。
【0174】
本発明の装置は、意図するアプリケーションに依存して、非常に広範な圧力、温度及び滞留時間若しくはそれらの組み合わせを可能とする。例えば、圧力幅は、約0.01MPaから約70MPa若しくは、約200MPaの読取値までもの範囲内であることができ、温度は、約―70℃から約+400℃の範囲内であることができ、処理領域における滞留時間は、例えば、約0.01msから約2sの範囲内、若しくは、10sのオーダー内であることもできる。更に、種々のマシーン速度は、種々のグレードを製造するために使用できる。本発明の装置は、オンライン若しくはオフライン装置であってよい。
【0175】
本発明の処理装置を用いる種々の方法において、金属ベルト若しくは熱ロールを、例えば凝縮のために約−70℃から約+50℃の温度まで冷却することも好ましくは可能である。金属ベルトの冷却は、例えば冷却水、気化表面、冷却ロール若しくはベルトへの熱の移動によって実現されてよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙等に関する。この出願の概念において、用語“ウェブ処理”は、抄紙機/板紙抄紙機で生成される繊維ウェブの処理に関連する多様な処理を指し、例えば、プレス処理、乾燥処理、カレンダ処理、コーティング(塗工)処理、サイジング処理である。処理装置は、また、例えば別のコーティング装置、印刷装置若しくはカレンダ装置のような、繊維ウェブに対する仕上げ装置であってもよい。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1乃至3に開示されるように、種々のベルトカレンダが従前から開示されている。しかし、これらのベルトカレンダは、紙若しくはボード紙のあるグレードのカレンダ処理に対してのみにしか適していない。
紙若しくはボード紙は、広範な種類で入手可能であるが、基本重量に従って2つのグレードに分けることができる。即ち、単一のプライであり基本重量が25−300g/m2の紙、及び、マルチプライ技術で製造され、150−600g/m2のボード紙である。尚、紙及びボード紙の境界線は、最小の基本重量を持つボード紙が最も重いグレードの紙よりも軽いので、あいまいなものである。一般的に、紙は印刷用、ボード紙は梱包用である。
【0003】
続く説明は、繊維ウェブに現在適用される値の例であり、開示された値から相当な変動があってもよい。説明は、主に、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3の章である。
【0004】
機械パルプ、即ち木材含有印刷紙は、新聞用紙、未塗工及び塗工雑誌用紙を含む。
【0005】
新聞用紙は、完全に機械パルプからなるか、若しくは、機械パルプのある部分の代わりとなるリサイクル繊維及び/又は幾らかの漂白ソフトウッドパルプ(0−15%)を含んでよい。新聞用紙に対する一般的な値は、概ね次のようにみなせる。即ち、基本重量40−48g/m2、灰分含有率(SCAN−P 5:63)0−20%、PPS s10 ラフネス(SCAN−P 76−95)3.0−4.5μm、Bendtsen ラフネス(SCAN−P 21−67)100−200ml/min、密度600−750kg/m3、白色度(ブライトネス)(ISO 2470:1999)57−63%、及び、不透明度(ISO 2470:1998)57−63%である。
【0006】
未塗工雑誌用紙(SC=スーパーカレンダ仕上げ)は、通常、機械パルプ50−70%、漂白ソフトウッドパルプ10−25%及び充填剤15−30%を含む。カレンダ処理SC紙(例えば、SC−C,SC−B及びSC−A/A+)に対する典型的な値は、基本重量40−60g/m2、灰分含有率(SCAN−P 5:63)0−35%、Hunter gloss(ISO/DIS 8254/1)<20−50%、PPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)1.0−2.5μm、密度700−1250kg/m3、白色度(ISO 2470:1999)62−70%、及び、不透明度(ISO 2470:1998)90−95%を含む。
【0007】
表1は、機械パルプ含有塗工紙に対する典型的な値である(MFC紙=マシーン仕上げ塗工、FCO紙=フィルム塗工オフセット(film coated offset)、LWC=軽量塗工紙、MWC紙=中間量塗工紙、HWC紙=重量塗工紙)。
【0008】
【表1】
塗工雑誌用紙(LWC=軽量塗工紙)は、機械パルプ40−60%、漂白ソフトウッドパルプ25−40%、及び、充填剤と塗料20−35%を含む。
【0009】
HWC紙は、2回以上コーティングされてよい。
【0010】
化学パルプで生成された、木材のない印刷紙若しくは上質紙は、未塗工若しくは塗工化学パルプベース印刷紙を含み、機械パルプの部分は10%より少ない。
【0011】
未塗工化学パルプベース印刷紙(WFU)は、漂白バーチウッドパルプ55−80%、漂白ソフトウッドパルプ0−30%、及び、充填剤10−30%を含む。WFUの値は、非常に不安定であり、即ち、基本重量50−90g/m2(240g/m2まで)、Bendtsen ラフネス250−500ml/min、白色度86−92%、及び、不透明度83−98%である。
【0012】
塗工化学パルプベース印刷紙(WFC)では、コーティングの量が、要求や意図したアプリケーションに応じて広範に変わる。次は、一回及び2回塗工の化学パルプベース印刷紙に対する典型的な値である。即ち、一回塗工の基本重量90g/m2、Hunter gloss65−80%、PPS s10 ラフネス0.75−2.2μm、白色度80−88%、及び、不透明度91−94%であり、2回塗工の基本重量130g/m2、Hunter gloss70−80%、PPS s10 ラフネス0.65−0.95μm、白色度83−90%、及び、不透明度95−97%である。
【0013】
剥離紙は、25−150g/m2の基本重量を有する。
【0014】
他の紙は、例えば、袋用紙、ティッシュペーパ及び壁紙基材を含む。
【0015】
ボード紙作成は、化学パルプ、機械パルプ及び/又はリサイクルパルプを利用する。ボード紙は、アプリケーションに応じて、例えば次の主要な集合に分けられる。
【0016】
ライナ及びひだを含む波型ボード紙(段ボール紙)。
【0017】
ボックスやケースを作成するために使用されるボックスボード紙。ボックスボード紙は、例えば、液体梱包ボード紙を含む(FBB=折り畳みボックスボード紙、LPB=液体梱包ボード紙、WLC=チップボード紙、SBS=固体漂白亜硫酸、SUS=固体未漂白亜硫酸)。
【0018】
例えばカード、フィルム、フォルダ、ケース、カバー等を生成するためのグラフィック用ボード紙。
【0019】
壁紙基材。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】フィンランド特許第95061号
【特許文献2】フィンランド特許出願第971343号
【特許文献3】フィンランド特許出願第20001025号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
上述から明らかな如く、紙及びボード紙には広範な範囲があり、多数の種々のマシーンがそれらを作成するのに使用される。本発明の目的は、処理領域において非常に広範な圧力幅及び適用時間(熱移動時間及び/又は処理時間)の使用を可能とし、広範な種類の塗工及び未塗工印刷紙、ボード紙及び他の紙の処理に対して適用可能であり、また、コーティング装置の上流の主要カレンダ、ペーパーマシン若しくはコーティング装置の下流の仕上げカレンダ、ブレーカースタック、ウェットスタックカレンダとして、又は、ドライヤ、コータ、サイザー、プリンタ及び/又はプレスとして適用可能である処理装置及びその動作方法を提供することである。本発明の装置は、ソフトカレンダ、マルチニップカレンダ、マシーンカレンダ、シューカレンダ若しくはヤンキーシリンダの代替として想到し得る。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の目的を達成するため、本発明の装置は、前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の移動/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により画成され、また、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約200MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0023】
接触圧力は、ベルトと対向部材との間の処理領域内のウェブに付与される圧力作用の累計を指し、圧力作用は、ベルトの張力、及び/又は、考えられるベルト内部のプレス部材により付与される圧縮力により生ずる。ある圧力値若しくは圧力範囲への接触圧力の圧力調整は、所望の張力若しくは緊張の使用を可能とする適切なベルト材料、及び、必要であれば、ベルト単独で達成される圧力を超えて圧力を増大できる適切なプレス部材を選ぶことによって実現される。尚、ベルト及び対向部材並びに考えられるプレス部材によりなる組立体に依存して、接触圧力調整範囲の部分をカバーし、必要であれば組立体に含まれる幾つかの部材を変位させることによってその他の圧力値若しくは圧力範囲への遷移を実現すること、若しくは、例えば約0.01MPaから約70MPa若しくは約0.01MPaから約200MPaであることができる接触圧力調整範囲の全体をカバーすることは可能である。例えば、ベルト張力単独でなしえる圧縮は、プレス部材でなしえる圧縮に比して顕著に不十分であり、それに故に、プレス部材無しで実現する解決策では、調整範囲は、例えば約0.01MPaから約75MPaの範囲内のように、下限値に近いところにある。プレス部材を使用する時、調整範囲は、例えば、約5MPaから約70MPa、好ましくは約7MPaから約50MPa若しくは例えば約70MPaから約200MPaであることができる。
【0024】
本発明の装置は、好ましくは、カレンダ、コータ、フィルム送り装置、プリンタ、ドライヤ及び/又はプレスを構成する。
【0025】
一のアプリケーションでは、本発明は、ペーパーマシンのプレスセクションから来る紙ウェブが少なくとも1回カレンダ処理を実行される、SC紙(スーパーカレンダ処理された紙)の作製方法及びその方法により製造されるSC紙グレードに関する。
【0026】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3のpp.53−68, Finishingを参照して、一般的にSC紙について説明する。
【0027】
SC紙は、機械パルプが支配的な成分でありコーティングされない製品ラインを構成する。これらの製品は、通常的には、機械パルプ50−75%、化学パルプ5−25%、及び、充填剤10−35%を含む。紙は、脱インク処理された廃棄パルプ(DIP)を含んでもよい。典型的な基本重量は40−60g/m2である。
【0028】
従来的には、SC紙は、10−12ロールのスーパーカレンダでカレンダ処理されている。典型的には、2若しくは3のオフライン型カレンダは、単一のペーパーマシンの製造を扱うことができる。カレンダ処理速度は、500−700m/minの範囲内で変化する。ニップ圧は、典型的には、300−400kN/mであり、熱ロールは、80−120℃の範囲の水温度を有する。紙の二面性は、カレンダの上下ニップを反転配置し、種々の温度及び蒸気処理レベルで調整できる。
【0029】
カレンダにおけるスチームインジェクタによるSC紙の蒸気処理は、SCカレンダ処理の主要部を構成する。典型的には、カレンダスタックは、紙の品質を高めるために3若しくは4のスチームボックスを備える。現在設置されるスチームボックスは、領域調整型であり、フィードボック走行制御が、CD方向の良好な光沢プロファイルを提供する。紙厚さ(キャリパ)は、撓み補償型の上部ロール及び底部ロールで調整される。
【0030】
新聞用紙と平滑なSC紙との間のSC−C及びSC−Bグレードは、2つのニップがあるソフトカレンダにより製造できる。走行の際の表面温度は、160−200℃であり、ニップ圧は、350kN/mまでである。蒸気処理も、これらのグレードをカレンダ処理する際の主要部分である。
【0031】
ポリマー被覆及び高温が、SC紙のカレンダ処理に徐々に採用されてきている。現在のトレンドは、マルチニップカレンダ処理に向いている。現代のペーパーマシンは、1800−2000m/minで走行するが、ペーパーマシン当たり4つのスーパーカレンダを必要とする。最近のカレンダ処理のコンセプトは、ポリマー被覆のおかげで、より高いカレンダ処理速度、温度及びニップ圧を可能とする。最も要求の厳しいグレードに対するロールの数は10若しくは12である。
【0032】
本発明の目的は、所望の特性のSC紙を容易に製造でき、先行技術のカレンダ処理の解決策に対して、それらの多くの利点を提供しつつ、取って代わることができる方法を提供することにある。
【0033】
この目的を達成するため、本発明のSC紙の作製方法は、当該方法により前記少なくとも1回のカレンダ処理で使用される処理装置が金属ベルトカレンダを構成し、少なくとも1つのガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域(若しくはカレンダ処理領域)が形成され、当該金属ベルトカレンダにおける前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約70MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0034】
SC紙を作製するための本発明の方法は、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間を、便宜的には5−200msの範囲に調整し、好ましくは20−80msの範囲に調整し、金属ベルト温度を、便宜的には約20−400℃の範囲に、好ましくは約150−200℃の範囲に調整することを含む。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。
【0035】
金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。その他の解決策は、熱ロールと被覆された金属ベルトとの間でSC紙をカレンダ処理することを含む。熱ロールを使用するとき、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。対向部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。
【0036】
SC紙を作製するために本発明の方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、カレンダ処理領域を現に通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。その他の解決策は、熱ロールと被覆された金属ベルトとの間でSC紙をカレンダ処理することを含む。熱ロールが使用される場合、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。対向部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。
【0037】
一のアプリケーションでは、本発明は、ペーパーマシンのプレスセクションから来る紙ウェブが、塗工ステーションの上流で少なくとも1回のプリカレンダ処理、及び/又は、塗工ステーションの下流で少なくとも1回の最終カレンダ処理に通される、機械パルプを含有する塗工紙の作製方法、及び、当該方法により製造される機械パルプ含有塗工紙に関する。
【0038】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68を参照して、一般的に機械パルプ含有塗工紙について説明する。
【0039】
MFC(machine finished coated)、FCO(film coated offset)、LWC(light weight coated)、MWC(medium weight coated)及びHWC(heavy weight coated)のようなウッド含有塗工紙は、しばしば、コーティング前にプリカレンダ処理され、コーティング後に最終カレンダ処理される。
【0040】
機械パルプ含有塗工紙は、通常的には、機械パルプ45−75%及び化学パルプ25−55%を含む。充填剤は、塗工された損紙からの顔料を除いて、通常的に使用されない。ベース紙若しくはストックにおける充填剤の最終的な量は、約5−10%である。典型的な基本重量は40−80g/m2である。
【0041】
プリカレンダ処理における目的は、コーティング前に必要レベルまでラフネス及び多孔率を低減することである。従来的には、LWCプリカレンダ処理は、一の水加熱ロールと一の撓み補償型ロールとを含む2つのロールのマシーンカレンダにより実行されてきた。ニップ圧は、典型的には、10−40kN/mの範囲内で可変し、温度は80℃−100℃の範囲内である。
【0042】
紙の厚さ若しくはキャリパを調整することは、プリカレンダ処理の主要部である。従来的には、横方向若しくはクロスマシーン方向の厚さプロファイルは、熱い/冷たいエアジェット、インダクションコイル、及び/又は領域調整型カレンダロールにより調整される。最近開発された個別領域調整型ロールは、追加の装置を必要とせずにクロス方向の厚さプロファイルを調整できる。
【0043】
従来的には、LWC及びMWC紙の最終カレンダ処理は、10−12ロールのスーパーカレンダにより実行される。典型的な組立体は、1つのペーパーマシンに対して2若しくは3つのオフライン型のスーパーカレンダを含む。カレンダは、600−800m/minの範囲内の速度を有する。ニップ圧は、典型的には、300−350kN/mであり、熱ロールは、80−120℃の範囲の水温度を有する。
【0044】
FCO紙の最終カレンダ処理は、10−12ロールのスーパーカレンダ若しくは2−ニップのオンライン型ソフトカレンダにより実行される。MFC紙の最終カレンダ処理は、光沢の観点で控えめな望みの結果、比較的穏やかな条件で2−ニップのオンライン型ソフトカレンダにより実行される。ロール温度は、典型的には、70−90℃であり、ニップ圧は70−120kN/mである。
【0045】
ポリマー被覆及び高温は、LWC紙のカレンダ処理において非常に有用である。現代のペーパーマシンは、1800−2000m/minの走行速度を持ち、ペーパーマシン当たり4つのスーパーカレンダを必要とする。最近開発されたマルチロールカレンダのコンセプトは、相当により高い走行速度を可能とする。
【0046】
本発明の目的は、所望の特性のウッド含有塗工紙を容易に製造でき、先行技術のプリカレンダ処理及び/又は最終カレンダ処理の解決策に対して、それらの幾つかの利点を提供しつつ、取って代わることができる方法を提供することにある。
【0047】
この本発明の目的を達成するため、本発明の機械パルプ含有塗工紙作製方法は、処理装置をプリカレンダ処理及び/又は最終カレンダ処理で使用し、該処理装置は、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約200MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0048】
本発明の方法により製造される機械パルプ含有塗工紙は、表面が、0.4−5.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)、及び/又は、0.1−300ml/minのBendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)、及び/又は、600−1500kg/m3の密度(SCAN−P 7:75)を有することを特徴とする。特に、表面は、0.6−2.8μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有する。表面のBendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)は、好ましくは5−100ml/minである。
【0049】
機械パルプ含有塗工紙作製方法は、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間を、便宜的には5−200msの範囲に調整し、好ましくは20−80msの範囲に調整し、金属ベルト温度を、便宜的には約20−400℃の範囲に、好ましくは約150−200℃の範囲に調整することを含む。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくは、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。対向部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。熱ロールを使用するとき、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。本発明の機械パルプ含有塗工紙作製方法用の金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、カレンダ処理領域を現に通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。プレス部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。
【0050】
本発明の機械パルプ含有塗工紙作製方法では、金属ベルトカレンダ処理は、好ましくは、金属ベルト最終カレンダ処理と組み合せられるが、最終カレンダ処理は、金属ベルトによるプリカレンダ処理のおかげで、現在利用可能な最終カレンダ処理法により実行することができ、最終カレンダ処理の程度に関して軽くすることができる。本発明の機械パルプ含有塗工紙作製方法では、現在利用可能なプリカレンダ処理法を採用し、最終カレンダ処理を金属ベルトカレンダで実行することも実現可能であり、この場合、例えば、実効的な処理領域のおかげで相当に少ない数のニップで等価の紙グレードを製造することや、更には、金属ベルトカレンダがマルチロールカレンダに比してコスト面で魅力があるという、利点を享受できる。
【0051】
本発明の一のアプリケーションは、新聞用紙の作製方法及び当該方法により製造される新聞用紙グレードに関する。
【0052】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68を参照して、一般的に新聞用紙について説明する。
【0053】
新聞用紙は、通常的には、機械パルプ75−100%、及び化学パルプ0−25%を含み、最大量の充填剤は8%である。紙パルプは、機械繊維若しくはリサイクル繊維を100%まで含んでもよい。リサイクル繊維は、バージン繊維で生成された紙よりも高い充填剤含有率を有しうる(20%ほどの高さ)。
【0054】
新聞用紙は、オンライン型のカレンダによりペーパーマシンでカレンダ処理される。従来的には、これは、4−6ロールのハードニップカレンダを用いてなされる。新聞用紙は、通常的には、1100m/minから1700m/minの走行速度を有する。ニップ圧は、80−100kN/mであり、熱ロール水温度は80−120℃である。
【0055】
紙の厚さを調整することは新聞用紙カレンダの主要部である。従来的には、横方向若しくはクロス方向の厚さプロファイルは、熱い/冷たいエアジェット、インダクションコイル、及び/又は領域調整型カレンダロールにより調整される。最近開発された領域調整型ロールは、追加の装置を必要とせずにクロス方向の厚さプロファイルを調整できる。
【0056】
紙のテクスチャは、従前に比してより容易に実行可能となってきており(より多くの脱イン廃棄パルプ(DIP)、微粉)、フォーマ及びプレスは、改善された強さを提供できるので、トレンドは、カレンダにおけるニップの数を減らして、ニップ圧を減らすことに向いている。
【0057】
DIPベースを備える新聞用紙用のソフトカレンダにおける典型的な走行条件は、2つのソフトニップで20−80kN/mであり、80−100℃の温度である。ある場合には、紙の二面性(これは、ペーパーマシンのプレスセクションの設計態様に依存する)に依存して、単一のソフトニップでも十分である。
【0058】
TMPベースの新聞用紙は、2つのソフトカレンダニップと相当に苛酷なカレンダ条件を必要とする。ニップ圧は、典型的には、250−350kN/mの範囲内で変化し、温度は160℃までである。TMPベースのパルプ調合物は、また、カレンダ作用を強めるために蒸気処理を必要とする。蒸気処理は、カール傾向を制御する片面乾燥を備える現代のペーパーマシンにおいて非常に効率的な結果を以って使用される。粗いパルプ調合物を扱う時、プレカレンダ処理は、乾燥セクションに対しても考慮されている(中間カレンダ若しくはブレーカースタック)。
【0059】
本発明の目的は、所望の特性の新聞用紙を容易に製造でき、先行技術のカレンダ処理方法に対して、それらの多くの利点を提供しつつ、取って代わることができる方法を提供することにある。
【0060】
本発明の目的を達成するため、本発明の新聞用紙作製方法は、少なくとも1回のカレンダ処理プロセスにおいて本方法により使用されるカレンダは、処理装置を含み、該処理装置が、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約70MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0061】
本発明の方法により製造される新聞用紙は、表面が、2.5−7.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)、及び/又は、30−600ml/minのBendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)を有する。好ましくは、表面が、3.5−5.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有する。Bendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)は、好ましくは、40−200ml/minである。
【0062】
新聞用紙の作製方法において、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間は、便宜的には5−200msの範囲に調整され、好ましくは20−80msの範囲に調整され、金属ベルト温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくは、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。対向ロールは、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。熱ロールを使用するとき、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、好ましくは約150−200℃の範囲に調整される。
【0063】
本発明の新聞用紙作製方法用の金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、カレンダ処理領域を現に通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。プレス部材は、ロール以外のなにか、例えばシューやバー組立体を含んでよい。
【0064】
本発明の新聞用紙作製方法では、カレンダ処理は、好ましくは、乾燥セクションの下流で単一プロセスで最終カレンダとして実行されるが、金属ベルト処理装置は、乾燥セクション内、若しくは、乾燥セクション内及び乾燥セクションの下流の双方に配置されてよい。
【0065】
本発明の一アプリケーションは、塗工された化学パルプベースの上質グレード紙(WFC)の作製方法、及び、当該方法により製造される塗工化学パルプベース印刷紙グレードに関する。
【0066】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68に基づいて、一般的に化学パルプベース印刷紙(woodfree coated=WFC)について説明する。
【0067】
塗工化学パルプベース印刷紙グレードは、芸術本、パンフレットや年次報告のような、高い基準の印刷アプリケーション用に使用される。紙グレードのエンド使用に関する要求が、塗布されるコーティングインクの量、光沢目標及び他の諸言を決定する。WFCグレードは、一回、2回若しくは3回塗工されてよい。全体のコーティング層は、片面で40g/m2であることができる。WFC生産は、コーティング装置特有の要求に応じて表面をカレンダしようとするために、コーティング装置の前でプリカレンダの使用を伴う。最終の表面は、無光沢若しくは光沢仕上げであることができる。あるグレードは、シート形態若しくはリールで印刷される。紙テクスチャ、表面仕上げ若しくは組成の変動の全ては、グレード特有の品質基準のための適用カレンダ処理コンセプトに関するファクターである。
【0068】
プリカレンダ処理の目的は、コーティング装置の上流での要求レベルにラフネス及び多孔性を低減することである。従来的には、WFCプリカレンダ処理は、一の水加熱ロールと一の撓み補償型ロールとを含む2−ロールのマシーンカレンダにより実行されてきた。ニップ圧は、典型的には、10−40kN/mの範囲内で可変し、温度は80℃−100℃の範囲内である。ソフトカレンダ処理は、二面性に対する良好な制御性及び良好なカレンダ処理結果に起因して、益々プリカレンダプロセスで使用されている。木材含有塗工グレードにおける重要な局面は紙の厚みを調整することである。
【0069】
現在のところ、最も典型的な最終カレンダ処理は、スーパーカレンダ処理である。典型的には、2つのオフライン型のスーパーカレンダは、単一のペーパーマシンの製造を扱うことができる。カレンダの走行速度は、500−1200m/minの範囲内で変化する。光沢のない表面仕上げは、典型的には、1若しくは2のソフトニップ(ソフト−ソフトロール)を用いて、コーティングマシーンでオンライン型カレンダ処理により実現される。
【0070】
新規のマルチニップカレンダは、光沢のあるWFCグレードに関して徐々に増加する技術を構成する。高温は、ポリマー被覆ソフトロール及び高性能な荷重付与システムと相まって、嵩の最終的な節約と共に、品質の基準を得るために必要なニップ圧を低減することに役立つ。
【0071】
新たなマルチニップカレンダは、種々のカレンダ構成でWFCグレードを製造することを要求されることができる。現代のカレンダは、8−12のロールを含むシステムを用いて生産目標を達成することができる。最も適切な選択肢の選択は、量はもはや主要な関心でないので、最終品質に基づいて判断されるべきである。8−ロールのカレンダによるカレンダ処理原理は、12−ロールのカレンダとして同一の生産に対して使用されるが、幾分異なる。8−ロールスタックは、より大きな荷重及び熱を必要とする。非常に好ましい結果は、少数の過剰な荷重のニップに比して、複数の軽い荷重のニップを用いることにより得られる。これが、12−ロールカレンダを8−ロールバージョンよりも好ましいものとする。
【0072】
WFCグレードをカレンダ処理するプロセスにおける高温は、標準的な嵩を備えるより高い光沢の形態で品質に関連した利点をもたらす。80℃の温度レベルで充填型ロールにより動作する標準的なスーパーカレンダを、ポリマーロールとより高い温度を備える現代のマルチロールカレンダと比較した時、Hunter glossにおいて4−5%の感じ取れる増加がある一方、紙の密度レベルは一定である。白色度の幾らかの喪失は、より高い温度カレンダ処理と関連した数少ない場合に見受けられた。この危険性は、紙の巻き取り温度を十分低く(35℃−45℃)維持することによって解消できる。
【0073】
ソフト表面ロールのWFCカレンダ処理への影響は非常に顕著である。目的は、過剰に高い係数を備える塗工層、即ち過剰に硬いニップを防止することである。適切な塗工層は、通常的には、88091ShDの範囲内の硬さを有する。あまりに硬いコーティングは、不均一なカレンダ処理(光沢のむら)を引き起こすことができる。これは、紙の形成にもかかわる。形成が良好であるにつれて、より硬い(より高い係数を備える)塗工層を用いる際のリスクが低くなる。
【0074】
WFC無光沢若しくは艶消し表面グレードは、全体のWFC生産の増加するシェアを構成する。典型的には、Hunter gloss(ISO/DIS 8254/1)は、35%より低いレベルに保たれる。人の目は、光沢のレベルがこのレベルより小さい時は紙が無光沢であると知覚する。光沢の最小化は、クリティカルでなく、十分低いレベルで十分である。この無光沢仕上げをカレンダ処理することは、紙に対して少ないカレンダ処理作業、典型的には2、3のニップのみでカレンダ処理作業をすることを意味する。同一の理由で、カレンダ処理温度は低い。無光沢仕上げは、通常的には、ニップを画成する2つのソフトニップを備えるオンライン型のソフトカレンダにより製造される。
【0075】
無光沢仕上げ生産のための1つの従来的な解決策は、幾つかのニップをバイパスするあるウェブ走行を有するスーパーカレンダを使用することである。
【0076】
無光沢仕上げにおける目標は、紙の光沢度や平滑度として表現できる。目標は、平滑度を最大化し、同時に光沢度を最小化することである。コーティングスリップの成分は重要な役割を有する。コーティングスリップのレシピに対して正確な成分を選択することは、カレンダ処理された紙における光沢度/平滑度に関して影響を容易に与えることができる。クレイのような紙タイプの顔料、及び、プラスティック顔料のような高光沢促進顔料は、無光沢仕上げスリップには採用されない。
【0077】
無光沢仕上げの生産において、ニップの軟らかさは、クリティカルなカレンダ処理パラメータとなる。紙は、穏やかなカレンダ処理のみを受けるので、目標品質基準を得るために低いニップ圧を有することが必要である。ニップが硬すぎる場合、即ちソフトカレンダが高い弾性係数を有する場合、結果は、光沢のむらとなりうる。
【0078】
新しいマルチニップカレンダは、無光沢の仕上げ生産に対して良好なツールを提供する。新規の荷重付与システムをフルに利用することによって、仕上げプロセスにおいて紙が過剰に艶だしされることなく、紙に十分低いカレンダ作用を付与してマルチロールカレンダを稼動することが可能である。特別に被覆加工/エンボス加工された若しくはパターンニングされたロールを使用することも可能であり、これにより、粗さが低減されるが、過剰な光沢を生成しない。WFC紙の品質は、しばしば、紙の盲目的に測定された特性を観測するのではなく、印字された可視的な見た目に基づいて判断される。
【0079】
塗工された化学パルプベースの印刷紙(WFC)では、コーティングの量は、要求や意図したアプリケーションに応じて広範に変化する。次は、一回及び2回塗工された化学パルプベースの印刷紙に対する典型的な値である。
【0080】
一回塗工の基本重量90g/m2、Hunter gloss65−80%、PPS s10 ラフネス0.75−1.1μm、白色度80−88%、及び、不透明度91−94%であり、2回塗工の基本重量130g/m2、Hunter gloss70−80%、PPS s10 ラフネス0.65−0.95μm、白色度83−90%、及び、不透明度95−97%である。
【0081】
本発明の目的は、先行技術の方法に対して幾つかの利点を提供できる新規な塗工上質紙グレード作製方法を提供することにある。
【0082】
本発明の目的に達するため、本発明の塗工された化学パルプベースの上質紙(WFC)の作製方法は、本方法によりプリカレンダ処理及び/又は最終カレンダ処理で使用されるカレンダが、処理装置を含み、該処理装置は、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約70MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0083】
本発明の方法により製造される塗工化学パルプベース印刷紙グレードは、表面が、0.4−3.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有し、及び/又は、光沢度(ISO/DIS 8254)が40−90%であることを特徴とする。好ましくは、表面が、0.6−1.5μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有する。光沢度は好ましくは60−80%である。
本発明により製造される印刷紙は、便宜的には、各面で少なくとも1回塗工された印刷紙を構成する
本発明の一アプリケーションは、所望の特性(特に、Bendtsen ラフネスとPPSラフネスとの良好な相関)を備える紙を容易に製造できる未塗工の化学パルプベースの上質グレード紙(WFU)の作製方法に関する。
【0084】
次は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68を参照して、未塗工化学パルプベース印刷紙グレード(woodfree uncoated=WFU)について説明する。
【0085】
未塗工の木材のない印刷紙は、特に複写機やプリンタ用の紙として使用される。それらは、漂白バーチウッドパルプ55−80%、漂白ソフトウッドパルプ0−30%、及び、充填剤10−30%を含む。WFUでは、値は、非常に広範に変化し、基本重量50−90g/m2(240g/m2まで)、Bendtsen ラフネス250−400ml/min、白色度(ISO 2470:1999)86−92%、及び、不透明度(ISO 2470:1998)83−98%である。
【0086】
例えば、標準的な複写紙を参照すると、典型的な値は次の通りである。即ち、基本重量は80g/m2、PPSラフネスは3.5−5.0μm、Bendtsen ラフネスは100−200ml/min、Hunter glossは7−15%である。
【0087】
複写機やプリンタ用の紙グレードの最終的な用途は、従来的な印刷紙とは実質的に異なる。カールやワープに対する抵抗や寸法安定性は、片面加熱を適用するプリンタにおいて重要なファクターである。4色印刷は、高い品質の表面仕上げを必要とする。従来的には、WFCグレードは、一若しくは2以上のニップを備えるオンライン型のハードニップカレンダを備えるペーパーマシンにおいてカレンダ処理されている。典型的な走行速度は、中くらいであり、700−1100m/minのオーダーである。ソフトカレンダ処理は、現在、WFUグレードに対する主要な技術とみなされている。マルチロールカレンダ処理も、WFUグレードに関連して実現可能である。
【0088】
本発明の目的は、マシーンカレンダ処理若しくはソフトカレンダ処理された紙に比して高いラージスケール円滑度(低いBendtsen ラフネス)を有し、マシーンカレンダ処理された紙よりも高い強度を有する紙を得ることができる新規な未塗工上質紙作製方法を提供することである。
【0089】
本発明の目的を達成するため、本発明の未塗工上質紙作製方法は、ペーパーマシンのプレスセクションから来る紙ウェブが、乾燥セクション、及び/又は、乾燥セクション及び/又はウェブ表面サイジングの下流に配置される処理装置に通され、該処理装置は、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約70MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0090】
本発明の方法により製造される未塗工化学パルプベース上質紙グレードは、表面が、1.0−7.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)、及び/又は、10−800ml/minのBendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)を有することを特徴とする。好ましくは、表面が、3.5−5.0μmのPPS s10 ラフネス(SCAN−P 76:95)を有する。Bendtsen ラフネス(SCAN−P 21:67)は、好ましくは、50−200ml/minである。本発明の方法により製造される未塗工化学パルプベース上質グレード紙(WFU)は、好ましくは、印刷紙、カラー印刷紙を含み、若しくは、封筒、本、動作マニュアルを作製するために使用される。
【0091】
本発明の一アプリケーションは、ペーパーマシンのプレスセクションから来る紙ウェブが少なくとも1回のカレンダ処理に通される剥離紙作製方法、及び、本方法により製造される剥離紙グレードに関する。
【0092】
次の説明は、Jokio,M.編集、Fapet Oy, Jyvaskla出版、361頁の出典文献Papermaking Science and TechnologyのPapermaking Part3, Finishingのpp.53−68を参照して剥離紙に関するものである。
【0093】
剥離紙は、食品梱包やオフィスラベルのような、種々の最終アプリケーションに対して自己接着型製品のためのベース紙若しくはストックとして使用される。ヨーロッパにおける最も一般的な剥離紙は、スーパーカレンダ処理された光沢紙であり、良好な剥離特性のためにシリコンで被覆される。
【0094】
表2は、スーパーカレンダ処理される剥離紙に対する典型的な値である。
【0095】
【表2】
剥離紙のカレンダ処理が影響するクリティカルな特性は、高いシリコン吸収抵抗(高い密度及び円滑度)、均一なシリコン吸収、CD方向での均一な厚さプロファイルである。あるグレードでは、高い透明度も必要とされる。
【0096】
現在、剥離紙は、オフライン型のスーパーカレンダでカレンダ処理される。ニップの典型的な数は、11−17の範囲である。処理剤が片側だけ(シリコン側)に付与されるので、逆のニップは存在しない。ソフトロールは、紙若しくはポリマーロールであることができる。熱ロールは、90−140℃の範囲内で変化する表面温度を有する。最も下側のニップは、最大ニップ圧450−500kN/mを有する。紙は、ペーパーマシンのリールの前で高い水分含有率15−20%のために水分付与される。これは、高い密度及び閉じた表面を得るために必要とされる。高い水分含有率のため、乾燥が、カレンダ処理後に必要とされる。乾燥は、典型的には、エアドライヤにより実行される。最終の水分は、5−7%である。典型的な走行速度は、300−500m/minの範囲内で変化する。剥離紙は、一のペーパーマシンあたり2つのスーパーカレンダを必要とする。
【0097】
本発明の目的は、所望の特性の剥離紙を容易に製造でき、先行技術のカレンダ処理方法に対して、それらの幾つかの利点を提供しつつ、取って代わることができる方法を提供することにある。
【0098】
本発明のこの目的を達成するため、剥離紙を作製するための本発明の方法は、当該方法で前記少なくとも1回のカレンダ処理において使用されるカレンダは、処理装置を含み、該処理装置は、ガイド部材まわりに延在するよう構成される金属ベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、当該処理装置における前記処理領域の長さが、前記ベルトのガイド部材の配置/調整により、及び/又は、前記対向部材の設計態様により定まり、前記処理領域におけるウェブに付加される接触圧力が、約0.01MPaから約200MPaまでの範囲内に調整されることを特徴とする。
【0099】
本発明の方法により製造される剥離グレード紙は、40−100kg/m2の基本重量(SCAN−P 6:75)、及び/又は、800−1400kg/m3の密度(SCAN−P 7:75)を有することを特徴とし、剥離紙は、好ましくは、60−90kg/m2の基本重量(SCAN−P 6:75)を有する。本発明の方法により製造される剥離紙は、1000−1260kg/m3の密度(SCAN−P 7:75)を有する。
【0100】
本発明の一アプリケーションは、ボード紙製品及びその製造に関する。本発明の目的は、ボード紙製品、特にボックスボード紙の品質及び製造の経済性を高めることである。
【0101】
ボックスボード紙は、所望の光沢及び印刷品質を確保するための特別な表面品質、及び、梱包の機能性を確保するための剛性及び破れ強度を有することを必要とされる。更に、ボードミルは、大量にボード紙を生成するので、原材料の効率的な使用が重要である。これらの要求は、部分的に互いに矛盾する。ボード紙は、しばしば湿潤の加熱状態で、ボード紙をカレンダ処理し、ニップ内で圧縮することによって、十分な光沢が備えられる。好ましくは、この圧縮は、ボード紙の内部の層を圧密にすることなく、ボード紙表面の繊維及びコーティングを平滑にする。内層の圧密は、ボード紙の剛性を減じ、その破れ強度を低減する。内層の圧密は、嵩の喪失と称される。この場合、用語嵩は、密度の逆の値であり、従って、その喪失は、高密状態への紙若しくはボード紙の圧密を指示する。
【0102】
紙及びボード紙の生産は、非常に原材料ストック集約型であるので、ストックの僅かな節約でさえも、競合者に対して実質的な効果を提供する。この点、1%の節約も、主要な競争力のある利点とみなせ、投資の反発時間は短い。更に、原材料ストックの節約は、環境的な側面から望ましい。従前よりも軽いテクスチャのおかげで、この発明のボード紙は、製品の全体の整備寿命を延ばす相乗的な効果を有する、というのは、原材料ストックの低減された消費は、より軽い梱包を生み、これにより、最終的に、搬送サービスでの節約及びごみの量の低減がもたらされるからである。
【0103】
梱包用ボード紙は、しばしば、コーティングされた構造若しくは複数層構造である。典型的には、基本ボード紙は、3つの繊維層、漂白された化学パルプを含むトップライナ及び底層からなる。中間層若しくは本体層は、しばしば、機械パルプ、典型的にはグランドウッド(GW)を含むが、しばしば、圧砕木(PGW)、及び化学熱(chemithemo)−機械パルプ(CTMP)を含む。更に、中間層は、損紙若しくはレジェクトを使用する。バインダ及び顔料は、しばしば、例えば水密性のような表面特性を整えるために使用される。ボックスボード紙に対する典型的な基本重量範囲は、180−350kg/m2である。必要とされる基本重量は、梱包に必要な剛性に依存し、より軽いボード紙は、小さな梱包に対して十分である。表面処理は、ボード紙の嵩の節約で管理され、それ故により硬いボード紙が製造される場合、結果は、より低い基本重量のボード紙の使用を可能とするので、原材料ストック及びエネルギの節約となる。
【0104】
ボード紙は、しばしば、良好な嵩及び剛性を生成するヤンキーシリンダでコーティングされるまでに平滑化され、表面特性は、良好であり、同様に、縁部に沿った乾燥縮みは小さいが、速度的な拘束、装置に対するスペースの要求、及び、高速マシーンにおける大きなサイズのヤンキーシリンダは、ヤンキーシリンダの使用の制約となる。ウェットスタックカレンダは、SBSボード紙に対する典型的な処理方法であり、その問題は、走行性の問題及び水の適用に対する制御を含み、ボード紙は、カレンダ処理前後に乾燥されなければならないので、これは、更なるコストを招く。種々のソフト若しくはロングニップカレンダの解決策は、期待の持てる結果で試験された。ソフトベルト及びシューに基づくロングニップカレンダの問題は、ソフトベルトにより引き起こされるオフセット印刷ボード紙における品質の変動及び走行パラメータの調整における困難性に留まる。
【0105】
マシーンカレンダは、しばしば、他のカレンダと共に使用され、マシーンカレンダは、ロールが弾性を有さないハードカレンダを称する。マシーンカレンダは、単独の表面処理方法としては好まれていない。ソフトカレンダは、カレンダ表面が弾性のあるソフトニップカレンダであり、表面は、木の表面硬さと同一のオーダーの硬さを有しうるが、弾性である。従って、本発明の目的は、従前よりも少ない材料消費でボックスボード紙に対して平らな印刷表面、高い光沢度及び剛性を提供することである。これらの目的は、請求項116に記載されるパッキングボード紙及び請求項133に記載される塗工ボード紙製品作製方法により達成される。
【0106】
本発明によると、ボックスボード紙は、そのコーティング中若しくは前に請求項1の処理装置により処理される。カレンダ処理ニップは、相当な長さを有し、さらに、金属ベルトは、局所的にかなり硬く、従って、表面平滑度の観点から、カレンダ処理結果は、ソフトニップカレンダにより達成されるものよりも良好となるだろう。更に、長い作用時間及び低いカレンダ処理圧のおかげで、結果は、嵩の喪失の無い高い表面品質となるだろう。金属ベルトは、好ましくは、カレンダ処理の持続時間の間強力な熱の勾配を生成するために比較的に熱い状態にまで加熱されることができる。更に、熱ベルトは、相当な長さのカレンダ処理ニップを提供するために使用でき、長いニップは、嵩を減らすことなく、カレンダ処理の作動時間を増加させ、表面繊維を表面とのよりしっかりした永久的な接触へと押圧する。
【0107】
金属ベルトカレンダは、ベルトの張力のみにより生成される圧力により、若しくは、張力が付与されたベルトにより生成される圧力に加えてベルト押圧プレス部材を用いることにより、機能することができる。マシーンのゆっくりさに起因して、ボックスボード紙の製造は、カレンダにおいてかなり長い作用時間を伴い、ウェブは比較的に狭い。これらの理由のため、プレス部材なしでも、金属ベルトのみを用いることは可能である。ベルト単独により付加される圧縮力によって、約0.01MPaから約5MPaの接触圧力を得ることが可能である。プレス部材の配備は、達成可能な接触圧力が約0.01MPaから約70MPaとなることを意味する。
【0108】
好ましくは、ボックスボード紙の多くのグレードを処理することは、ベルトの張力のみを用いることによって、若しくは、ベルト張力により生成される圧力に加えて相当に小さな更なる圧縮力を用いることによって実行される。
【0109】
本発明のボード紙用の処理装置は、好ましくは、カレンダ、及び/又は、コータ、サイザー、ドライヤ、及び/又はプレスを含む。本発明の処理装置により処理されるボード紙は、塗工されなくてもよい。
【0110】
本発明の一アプリケーションは、安全紙、及び、安全紙を作製する機構及び方法に関する。この内容において、用語安全紙は、印刷表面やパッキング材料として使用でき、本来的に適切な装置無しでは製造が困難な、即ち変造が困難な紙若しくはボード紙をいう。
【0111】
従来的には、安全紙は、紙若しくは例えばボード紙製パッケージの信憑性及び起源を確かめるための多様な色若しくは蛍光性繊維、ホログラム、ウォーターマーク等を備える。かかる解決策は、高価であり、主に、製造コストに対する価値の比が高い紙幣や他の製品に適用可能である。
【0112】
文献WO/0198588及びUS6402888では、周辺領域から識別される領域、即ちデザイン例えば文字を紙に付与することによって紙が特定される方法が開示される。より詳細には、紙には、残りの繊維ウェブに比して少ない厚みの領域であって、裸眼で紙表面の残りからはっきりと識別可能な領域が付与される。しかし、これらの方法は、ある種の複数層紙若しくはボード紙のみに適用可能である。更に、引用文献の前者に開示される安全紙製造方法は、紙を特定するために使用される装置若しくはデザインの形成後の仕上げプロセス(コーティング)を含めて、最終製品を作製するために複数の別個のプロセスを必要とする。他方、文献の後者に開示される安全紙製造方法は、ペーパーマシンの2つの別個のウェットエンドで形成される2つの繊維ウェブを、ペーパーマシンで結合及び乾燥させることによりなる。結果として、かかる方法は、複雑で高価である。
【0113】
文献US6174586は、安全紙を作製するその他の方法を開示する。ここで、紙を特定するために使用される装置若しくは文字は、紙の表面上に塗布されるコーティング上のエンボス若しくは凹部として形成されるのみである。かかる方法は、単に、ある種の紙グレードに、特に塗工されるグレードに適用可能である。更に、この方法は、遅く、従って、ペーパーマシンにおいてオンライン型のプロセスとしての適用が困難である。
【0114】
本発明の目的は、製造が簡易で早く経済的である安全マーク入り紙若しくはボード紙、及び、未塗工及び塗工紙及びボード紙グレードの双方に非常に適するような態様で、かかる紙若しくはボード紙を作製する方法及び機構を提供することである。
【0115】
この実現は、特定される安全紙が、カレンダ、好ましくは金属ベルトカレンダで繊維ウェブをカレンダ処理することにより製造され、この場合、少なくとも1つのカレンダ処理表面が、紙を特定するために使用されるデザイン若しくは装置の形状、例えば会社のロゴや文字に一致する凹部で刻印され、繊維ウェブをカレンダ処理するプロセス中に凹部に一致する繊維ウェブの領域が、カレンダ処理されないか若しくは弱くカレンダ処理されたままであり、当該未カレンダ処理若しくは弱カレンダ処理領域が、繊維ウェブのカレンダ処理された残りの表面からはっきりと識別可能となるようにする。
【0116】
従って、本発明の一の目標は、安全紙製造機構及び方法を提供することであり、より詳細には、上述したような種々の紙及びボード紙グレードにも良好に適用可能な繊維ウェブコンディショニング機構及びその動作方法を提供することである。
【0117】
本発明の安全紙は、繊維ウェブをカレンダ処理するプロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望のデザインに一致した形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、該未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする。
【0118】
本発明のカレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙の製造方法は、少なくとも1回の繊維ウェブのカレンダ処理プロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望のデザインに一致した形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする。
【0119】
本発明の目的を達成するため、本発明の装置は、少なくとも1つのカレンダ処理表面が、前記繊維ウェブの表面用に所望のデザインの形状に一致した凹部を備え、前記繊維ウェブの前記凹部に対応する領域が、前記繊維ウェブのカレンダ処理のプロセス中に、カレンダ処理されないか若しくは弱いカレンダ処理されたままであり、該カレンダ処理されないか若しくは弱いカレンダ処理がなされた領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されること特徴とする。
【0120】
本発明は、先行技術に対して多くの利点をもたらす。刻印された表面でカレンダ処理することによって製造される紙若しくはボード紙は、改竄や偽造が困難である、というのは、未カレンダ処理表面若しくは表面の残りよりも弱いカレンダ処理を受けた表面に類似するパターンを既にカレンダ処理された表面に付与することは非常に困難であるからである。
【0121】
本発明の機械的で単純な方法は、種々の種類の未塗工若しくは塗工紙及びボード紙に対して非常に適切である。本発明は、ペーパーマシンにおいてオンライン型プロセスとしてうまく適用可能であり、非常に簡素で速く経済的な安全紙製造手段を提供する。
【0122】
解決策は、現在偽造がかなり拡大している、タバコのパック、CD用のカードボードボックス等のような、梱包材料の識別にも容易に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の金属ベルトカレンダを一実施例として示す図である。
【図2】現在利用可能な方法と比較しつつ、機械パルプ含有塗工紙を作製するための本発明のプリカレンダ処理方法により得られるLWC紙に対する実験室規模の試験結果を示す。
【図3】現在利用可能な方法と比較しつつ、機械パルプ含有塗工紙を作製するための本発明のプリカレンダ処理方法により得られるLWC紙に対する実験室規模の試験結果を示す。
【図4】新聞用紙に対応する成分の紙の場合の、新聞用紙を作製するための本発明の方法により得られる試験結果を示す。
【図5】新聞用紙に対応する成分の紙の場合の、新聞用紙を作製するための本発明の方法により得られる試験結果を示す。
【図6】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図7】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図8】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図9】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図10】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる塗工上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図11】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図12】本発明の方法及び少数の他の方法により得られる上質紙に対してより得られる試験結果を示す。
【図13】繊維ウェブの表面にカレンダ処理されずに残る領域を具体的に示す図1のベルトカレンダの側部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0124】
次に、本発明の処理装置及びその種々のアプリケーションは、図面を参照して詳細に説明される。
【0125】
図1を参照するに、ベルトカレンダとして実現される本発明の一の処理装置が示されており、ガイドロール3まわりに延在する金属製カレンダベルト2を含み、少なくとも幾つかのガイドロールは、ベルト2を所望の張力若しくは緊張に調整するために可動である。カレンダベルト2は、ベルトループの外側に配置されるロール5まわりを走行し、これにより、ベルト2とロール5との間にカレンダ処理領域が形成される。カレンダ処理される材料ウェブWは、カレンダ処理領域を通過し、これにより、時間を関数とした所望の圧力衝撃及び熱作用を受ける。図1では、カレンダベルト2の内側にプレスロール4が搭載される際の圧力衝撃パターンを示し、プレスロール4は、プレス部材として機能し、ベルトをロール5に押し当てて、カレンダ処理領域内により高い圧力のプレス処理領域を確立する。他方、点線8は、ロール4のベルト2との押圧接触が無く(若しくはベルト2の内側に搭載されるロール4が実際に存在しない際の)、ベルト2の張力のみによりカレンダ処理領域の接触圧力が確立される際の圧力衝撃パターンを示す。ロール5は、ロール4と同様、撓み(deflection)補償型ロールであってもなくてもよく、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、熱ロール、金属ロール、充填型ロール(filled roll)及び複合ロール(composite roll)を含む集合から選択される。ロール4に代えて、プレス部材は、幾つかの他のプロファイル可能な若しくは固定プロファイルのプレス部材を含み、クロスマシーン方向で連続する幾つかの部材を更に含んでよい。また、ロールとして設計されたプレス部材4は、クロスマシーン方向で連続する幾つかの部材からなってよい。プレス部材4は、連続的若しくは不連続に形成された表面を有してよい。更に、プレス部材4は、処理領域長及び/又はベルト張力を変化させるために可動に構成されてよい。金属ベルトは被覆されてもよい。図1に示される実施例では、ニップロールは、シューロールからなる。参照番号6は、インダクションヒータ、赤外線放射器、ガスバーナー、容量性ヒータのような加熱要素を表わす。
【0126】
SC紙作製方法における本発明の金属ベルトカレンダの使用は、支持されたウェブのおかげで、現に利用可能な解決策に比して良好な走行性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立でき、ポリマーニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、より少ないニップで等価の紙質を達成できる。更に、金属ベルトカレンダは、コストの観点からスーパーカレンダよりも断然に魅力がある。
【0127】
SC紙の金属ベルトカレンダによりカレンダ処理は、一若しくはそれ以上の処理領域、好ましくは2つの処理領域の使用を伴う。本発明の方法では、カレンダ処理は、好ましくは、乾燥セクションの下流の2つのプロセスで実行されるが、金属ベルトカレンダが、乾燥セクションにも設置されてよく、若しくは、乾燥セクションの下流と乾燥セクションの双方であってもよい。カレンダセクションで設置される金属ベルトカレンダは、ペーパーマシンの速度を増加させる手段若しくは乾燥セクションの一部の代替として使用されうる。乾燥セクションに含められる金属ベルトカレンダは、SC紙のプリカレンダ処理に対して使用されてもよい。
【0128】
SC紙のカレンダ処理は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。
【0129】
本発明のSC紙カレンダ処理方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、処理領域を通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材4は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。プレス部材4は、撓み(deflection)補償型ロールであってもなくてもよく、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、熱ロール、金属ロール、充填型ロール(filled roll)及び複合ロール(composite roll)を含む集合から選択される。
【0130】
LWC紙作製方法における本発明の金属ベルトカレンダの使用は、ウェブの通路が支持されるおかげで、単一の処理領域において両面のウェブ処理を可能とし、今日利用可能な解決策に比して良好な走行性を提供する。更に、本方法は、温度若しくは水分付与の適用により一面性を効率的に調整する可能性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立し、熱ロール/ポリマーロールニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、非常に少ないニップで等価の紙質を提供することを可能とし、金属ベルトカレンダは、価格の観点からマルチニップカレンダよりも断然に魅力がある。更に、金属ベルトカレンダは、マシーンカレンダよりも高い強度を提供できる。
【0131】
本発明のLWC紙作製方法は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、好ましくは、1−65%の範囲内、より好ましくは8−15%の範囲内である。
【0132】
LWC紙のプリカレンダ処理は、好ましくは、熱ロールと金属ベルトとの間に紙ウェブをガイドすることによってなされる。一面性を調整するため、金属ベルトは、ソフトロールに接して延在してよい。プリカレンダ処理は、好ましくは、単一のプロセスで実行される。金属ベルト及び熱ロールは、双方共に加熱可能である。最終カレンダ処理は、熱ロールと被覆された金属ベルトとの間のニップでなされてよい。好ましくは、最終カレンダ処理は、2つのプロセスで実行される。均一な光沢度及び印刷インクの吸収性を達成するため、ニップは、形成スケールの変動に適合するソフトな表面を備えなければならない。
【0133】
機械パルプ含有の塗工紙の製造方法では、金属ベルトカレンダは、ドライヤセクションに設置されてよく、この場合、ペーパーマシンのドライヤセクションの一部の置換として若しくはペーパーマシンの速度を増加させるために使用されるものであってよい。例えば、対向部材として機能する熱ロールの温度を200℃の読取値に、及び、その金属ベルトとの接触時間を40msの読取値に調整することによって、単一のニップでも、13%から6%まで紙を乾燥させるために十分となるだろう。
【0134】
図2は、種々のプリカレンダ処理方法に関連した最終カレンダ処理後のLWC紙のPPSラフネスに対する値を開示する。図3は、種々のプリカレンダ処理方法に関連した最終カレンダ処理後のLWC紙のBendtsenラフネスに対する値を開示する。図2,3に示す実験室規模の試験結果は、本発明の金属ベルトカレンダ処理は、所望の平滑性を提供できることを示しており、例えば、高いラージスケール平滑度(低いBendtsenラフネス)がマシーンカレンダやソフトカレンダに比して良好である。
【0135】
新聞用紙を作製する方法における本発明の金属ベルトカレンダの使用は、ウェブの通路が支持されるおかげで、単一の処理領域において両面のウェブ処理を可能とし、今日利用可能な解決策に比して良好な走行性を提供する。更に、本方法は、温度若しくは水分付与の適用により一面性を効率的に調整する可能性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立し、熱ロール/ポリマーロールニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、金属ベルトカレンダで新聞用紙の改善をもたらすことを可能とし、速度の制限に関連したプロセスエンジニアリングを発生させない。更に、金属ベルトカレンダは、マシーンカレンダよりも高い強度を提供できる。
【0136】
本発明の新聞用紙作製方法は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、便宜的には1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内である。
【0137】
新聞用紙作製方法では、同様に、金属ベルトカレンダは、ドライヤセクションに設置されてよく、この場合、ペーパーマシンのドライヤセクションの一部の置換として若しくはペーパーマシンの速度を増加させるために使用されるものであってよい。例えば、対向部材として機能する熱ロールの温度を200℃の読取値に、及び、その金属ベルトとの接触時間を40msの読取値に調整することによって、単一のニップでも、13%から6%まで紙を乾燥させるために十分となるだろう。
【0138】
図4は、種々のプロセス条件において得られる密度に関連したPPSラフネスに対する値を示し、図5は、種々のプロセス条件での試験で使用される紙に対するBendtsenラフネス、新聞用紙に対応した当該紙の基本重量及びパルプ成分の関係を示す。試験結果である図4,5に示すように、本発明の金属ベルトカレンダ処理は、所望の平滑性を提供でき、例えば、Bendtsenラフネスがマシーンカレンダやソフトカレンダに比して低い。
【0139】
本発明の新聞用紙作製方法は、表面サイジング無しで作製される従来の新聞用紙及び表面サイズされ及び/又は顔料着色された新聞用紙の製造の双方に適用可能である。表面サイジング及び/又は顔料着色の場合、金属ベルトカレンダは、好ましくは、表面サイジング/コーティングステーションの下流に位置する。
【0140】
塗工された化学パルプ含有の上質紙(WFC)を作製するための本発明の方法では、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間は、便宜的には5−200msの範囲に調整され、より好ましくは、20−80msの範囲に調整され、金属ベルト温度は、最も便宜的には、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度に調整される。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくはポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、金属ロール、充填型ロール及び複合ロールを含む。熱ロールの場合、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、より好ましくは、約150−200℃の範囲に調整される。
【0141】
本発明のWFC作製方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、処理領域を通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。
【0142】
本発明により金属ベルトカレンダを用いて塗工上質紙のプリカレンダ処理を実行すると、先行技術のプリカレンダ処理よりも実質的に良好な結果が得られる。例えば、コーティング剤の分布が、現に利用可能なマシーンカレンダを用いて実行されるプリカレンダ処理により達成されるものよりも均一若しくはむらのないものとなり、これにより、モットリングが低減される。更に、金属ベルトカレンダは、塗工され最終のカレンダ処理された製品においてより高い光沢及び低い粗さを提供できる。更に、本発明の方法で使用される金属ベルトカレンダは、ウェブの通路が支持されるおかげで、単一のニップでウェブの両面処理を可能とし、現在の解決策で得られるものよりも良好な走行性を提供する。更に、本方法は、温度若しくは水分付与の適用により一面性を効率的に調整する可能性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立し、熱ロール/ポリマーロールニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。プリカレンダ処理で使用されるとき、実効的な処理領域は、最終カレンダ処理の必要性を低減すると共に、速度の制約に関連したプロセスエンジニアリングを発生させない。更に、金属ベルトカレンダは、マシーンカレンダよりも高い強度を提供できる。金属ベルトカレンダのその他の利点は、ソフトカレンダと異なり、ロール/ベルト上のコーティングに容易にダメージを与えないことである。
【0143】
WFCを作製するための本発明の方法では、金属ベルトカレンダ処理は、好ましくは、金属ベルトにより最終カレンダ処理と組み合せされるが、最終カレンダ処理は、現在利用可能なオフライン型若しくはオンライン型のソフトカレンダにより実行されてよく、この場合、最終カレンダ処理の程度は、金属ベルトによるプリカレンダ処理のおかげでこれらシステムにおいて低減できる。WFCを作製するための本発明の方法では、マシーンカレンダやソフトカレンダにより実行される先行技術のプリカレンダ処理を採用し、例えばマルチロールカレンダにより実行される現在の一般的な最終カレンダ処理に対して有利な金属ベルトカレンダにより最終カレンダ処理を実行し、例えば、実効的な処理領域のおかげで、相当に少ない数のニップで等価の紙質を提供することも可能である。更に、金属ベルトカレンダは、コストの観点からマルチロールカレンダよりも断然に魅力がある。
【0144】
金属ベルトカレンダの使用は、ペーパーマシンのドライヤセクションの一部の置換として若しくはペーパーマシンの速度を増加させるために使用できるので、乾燥能力をも提供する。例えば、対向部材として機能する熱ロールを使用し、その温度を200℃の読取値に、及び、その金属ベルトとの接触時間を40msの読取値に調整することによって、単一のニップでも、10%から6%まで紙を乾燥させることが可能である。
【0145】
WFCの作製のための本発明の解決策は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。WFCの作製のための本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、便宜的には1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内である。
【0146】
図6−10は、試験走行結果に基づく最終特性に対する金属ベルトプリカレンダ処理の作用を可視化したものである。これらの図は、結果が、先行技術の方法よりも大幅に改善されていることを示す。図6,7は、金属ベルトプリカレンダ処理が、現在使用されるマシーンカレンダ方法によりもコーティング剤のより均一な分布をもたらすことを示す。均一な分布のおかげで、図8に示すように、モットリングが低減される。図9,10は、金属ベルトプリカレンダ処理が、塗工され最終的にカレンダ処理される製品においてより高い光沢度及び低い粗さをもたらすことを明らかにしている。
【0147】
WFCを作製するための最終カレンダ処理において、紙ウェブは、好ましくは、ソフト表面ロールと金属ベルトとの間に通される。最終のカレンダ処理は、熱ロールと被覆された金属ベルトとの間のニップで実行されてよい。好ましくは、最終カレンダ処理は、2つのプロセスで実行される。均一な光沢度及び印刷インクの吸収性を達成するため、ニップは、形成スケールの変動に自身を適合させるソフトな表面を備えなければならない。無光沢仕上げ(梨地仕上げ)のグレードは、適切にパターンニングされたベルト若しくは熱ロールにより作製できる。
【0148】
未塗工上質紙を作製するための方法では、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間は、便宜的には5−200msの範囲に調整され、より好ましくは、20−80msの範囲に調整され、金属ベルト温度は、最も便宜的には、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度に調整される。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくはポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロールを含む。熱ロールの場合、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、より好ましくは、約150−200℃の範囲に調整される。
【0149】
本発明の未塗工上質紙作製方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、処理領域を通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材は、好ましくは、約0−400kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。
【0150】
本発明の未塗工上質紙作製方法では、カレンダ処理は、好ましくは、乾燥セクションの下流で単一のプロセスで最終カレンダ処理として実行されるが、金属ベルトカレンダが、乾燥セクションにも設置されてよく、若しくは、乾燥セクションの下流と乾燥セクションの双方に設置されてもよい。
【0151】
未塗工上質紙の作製のための本発明の解決策は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。未塗工上質紙の作製のための本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、便宜的には1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内である。
【0152】
本発明の未塗工上質紙作製方法では、金属ベルトカレンダは、乾燥セクションで設置されてよく、この場合、金属ベルトカレンダは、ペーパーマシンの速度を増加させるため若しくは乾燥セクションの一部を代替するために使用できる。例えば、対向部材として機能する熱ロールの温度を200℃の読取値に、及び、その金属ベルトとの接触時間を40msの読取値に調整することによって、単一のニップでも、10%から6%まで紙を乾燥させるために十分となるだろう。
【0153】
未塗工上質紙作製方法において本発明の金属ベルトカレンダを使用することは、ウェブの通路が支持されるおかげで、単一のニップでウェブの両面処理を可能とし、現在の解決策で得られるものよりも良好な走行性を提供する。更に、本方法は、温度若しくは水分付与の適用により一面性の効率的な調整を可能とする。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立し、熱ロール/ポリマーロールニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、金属ベルトカレンダにより標準的な複写紙よりも平滑なカラー複写紙の製造を可能とすると共に、速度の制約に関連したプロセスエンジニアリングを発生させない。更に、金属ベルトカレンダは、マシーンカレンダよりも高い強度を提供できる。金属ベルトカレンダのその他の利点は、ソフトカレンダと異なり、ロール/ベルト上のコーティングに容易にダメージを与えないことである。
【0154】
図11は、種々のカレンダ処理法で得られる密度に関連したPPSラフネス値を示し、図12は、種々のカレンダ処理法におけるBendtsenラフネスとPPSラフネスとの関係を示す。図11,12に示す結果は、本発明の金属ベルトカレンダ処理が、所望の平滑特性をもたらすと共に、Bendtsen/PPSラフネスに対して好ましい比を提供できることを示す。
【0155】
剥離紙の作製のための本発明の解決策は、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度を用いて実行されてよい。温度に対する広い調整幅は、5−200msの範囲内であってよい長い適用若しくは作動時間、及び、圧力に対する広い調整幅と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、高品質のカレンダ結果をもたらす。本発明の方法では、カレンダに到達する紙ウェブの水分は、便宜的には1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内である。
【0156】
剥離紙の作製のための本発明の方法では、金属ベルトカレンダは、乾燥セクションで設置されてよく、この場合、金属ベルトカレンダは、ペーパーマシンの速度を増加させるため若しくは乾燥セクションの一部を代替するために使用できる。金属ベルトカレンダは、カレンダ処理後の別の乾燥プロセスを回避するために使用することもできる。
【0157】
剥離紙作製方法における本発明の金属ベルトカレンダの使用は、支持されたウェブのおかげで、現に利用可能な解決策に比して良好な走行性を提供する。金属ベルトカレンダは、実効的な処理領域を確立でき、熱ロール/ポリマーニップで達成しうる最大値が約15%であるに対して試行走行で約38%の紙の高密度化を達成した。実効的な処理領域は、より少ないニップで等価の紙質を達成できる。更に、金属ベルトカレンダは、コストの観点からスーパーカレンダよりも断然に魅力がある。
【0158】
金属ベルトカレンダで剥離紙をカレンダ処理するプロセスは、一若しくはそれ以上の、好ましくは2−4の処理領域の使用を伴う。本発明の方法では、カレンダ処理は、好ましくは、乾燥セクションの下流で単一のプロセスで最終カレンダ処理として実行されるが、金属ベルトカレンダが、乾燥セクションにも設置されてよく、若しくは、乾燥セクションの下流と乾燥セクションの双方に設置されてもよい。
【0159】
剥離紙作製方法では、紙ウェブと金属ベルトとの接触時間は、便宜的には5−200msの範囲に調整され、より好ましくは、20−80msの範囲に調整され、金属ベルト温度は、最も便宜的には、約20−400℃の温度、より好ましくは約150−200℃の温度に調整される。カレンダに到達する紙ウェブの水分は、カレンダ処理において印加される温度及び金属ベルトとの接触時間に依存して、1−65%の範囲内、好ましくは8−15%の範囲内で調整可能である。水分付与は、金属ベルトカレンダの上流のオンライン型の水分付与器により実現されてよい。
【0160】
金属ベルト用の対向部材は、好ましくは、熱ロール、若しくはポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、金属ロール、充填型ロール及び複合ロールを含む。その他の考えられる解決策では、剥離紙は、熱ロールと被覆された金属ベルトの間でカレンダ処理されてよい。熱ロールを用いる際、その温度は、便宜的には約20−400℃の範囲に調整され、より好ましくは、約150−200℃の範囲に調整される。
【0161】
本発明の剥離紙作製方法で使用される金属ベルトカレンダは、ベルトの内側に配置されるプレス部材であって、処理領域を通過するウェブに付加される圧力パルスを強めるために対向部材にベルトを押圧するプレス部材を少なくとも1つ備えることができる。プレス部材4は、好ましくは、約0−500kN/mの線荷重、好ましくは約30−100kN/mの線荷重を金属ベルトに付与するように構成されるロールを含む。プレス部材4は、撓み補償型ロールであってもなくてもよく、ポリマー被覆されたロール、ゴム被覆されたロール若しくはエラストマー表面ロールのような弾性体表面ロール、シューロール、熱ロール、金属ロール、充填型ロール及び複合ロールを含む集合から選択される。
【0162】
塗工ボード紙製品を作製するための本発明の解決策は、特に金属ベルトを使用するとき、意図するアプリケーションに応じて、約100℃より高い温度から約200℃より高い温度までの高温、及び約400℃までの高温を用いることによって実現される。高温は、長い適用時間と広範な圧力調整範囲と相まって、低速及び高速の双方において、例えば毎分100mから4000mの速度にて、良好なカレンダ結果をもたらす。カレンダ処理領域におけるウェブ滞留時間は、0−1000msの範囲内に、好ましくは60−200msの範囲内になるよう調整されてよい。金属ベルトカレンダは、カレンダ処理領域を通るウェブの通路を支持することを可能とし、ベルト幅により定まる制限内にウェブ幅の変動を調整することを可能とする。ウェブの供給は、完全なウェブの全幅に亘って且つ高いウェブ速度で可能である。ウェブの供給は、とりわけ知られた態様で、例えばコードにより実行されてよい。
【0163】
処理されるウェブの水分調整は、従来的な手段により、例えば処理領域内にウェブを通す前にウェブの表面若しくは複数の表面に蒸気を当てることによって実行されてよい。水分付与及び/又は温度の調整は、横方向のプロファイルに所望の影響を付与するために使用でき、本方法は、ウェブの水分を広範に変化させることを可能とする。
【0164】
本発明のボード紙作製方法は、例えば凝縮をもたらすため、金属ベルト若しくは熱ロールを約−70℃から+50℃の温度まで冷却するプロセスを含んでよい。
【0165】
ベルトカレンダは、例えば250℃のような高温を追加的に用い、好ましくは60−200msのオーダーである、処理領域内での長い滞留時間を考慮することによって、相当に高い速度で動作することが可能であり、より低速なヤンキーシリンダにより得られるのと同等の艶効果を提供することが可能である。更に、ボード紙は、嵩を改善することができ、これにより、エネルギ及び原料の節約と相まって、ヤンキーシリンダの使用に比して天然資源の節約をもたらす。本発明の解決策により得られるその他の効果は、エネルギ、熱及び力のウェブへの印加が単一の処理で強化された態様で生ずるので、比較的低電力しか必要とされないことである。ウェブ若しくはコーティング層に導入される熱は、周囲空気にウェブから逃げることができないが、ウェブ温度を増加させる役割を継続し、ウェブ表面のグレージング処理を大幅に促進させる。
【0166】
実行された試験走行では、本発明のボード紙(プリカレンダ処理された塗工ボード紙製品)は、知られているボード紙に比して良好な嵩の安定性を維持すると同時に、知られている一般的に製造された表面処理ボード紙に比して表面特性が改善される。製造業者の観点から、同一の剛性が、非常に少ない量の材料により得られ、同一の板紙抄紙機で同一のパルプから作製されたボード紙からの差異が、表3に示される。
【0167】
【表3】
従って、試験走行は、ヤンキーシリンダの使用に比して6%より大きい嵩節約を達成した。表面もより円滑であった。従って、最終的な嵩の節約は、同一量の材料の消費で改善された剛性をもたらし、これは、実際に、製造業者は対応する量の材料を節約することを意味する。経験に基づいて、試験結果の解釈は、例えばボックスボード紙の品質及び生産の経済性の観点から、主要な発展を実際に生むことを示す。一般的に、オフライン型の試験で得られる結果は、最終的な環境で達成されるものよりも乏しく、従って、これらの予備的試験に基づいても、従前にはできなかったボード紙を製造することができると結論付けることができる。更に、本方法は、ヤンキーシリンダよりも実質的に高い速度に適用可能である。
【0168】
図13によると、ベルト2の表面には、所望のパターン若しくはエンボスに補間関係にある凹部が設けられる。カレンダ処理される材料ウェブWは、カレンダ処理領域を通って進み、所望の圧力衝撃及び熱作用を時間の関数として受け、繊維ウェブは、所望のエンボスの形状に補間関係にありベルト2に設けられる凹部136に一致する領域若しくはセクションを除いて、カレンダ処理される。凹部136は、それに対応するウェブのセクションがカレンダ処理されるが当該特定のセクションの周囲のウェブ領域よりも少ないレベルでカレンダ処理されるように、寸法決定され、この場合、ウェブは、凹部136に対応したカレンダ処理領域であって、その周囲領域から区別できる弱いカレンダ処理領域を画成する。
【0169】
図13は、ベルト2に設けられる凹部136と補完関係にあり繊維W上に形成される未カレンダ処理若しくは弱カレンダ処理領域137を明らかにするため、図1のベルトカレンダをより大きな縮尺で側部から斜視方向に示す。凹部136は、図13ではベルト2のみに設けられ、所望のエンボスの形状に補完関係にあるが、対向部材として機能するロール5の表面上に所望の形状で設けられてよく、この場合、未カレンダ処理若しくは弱カレンダ処理領域137は、カレンダ処理される繊維ウェブWの両側に画成される。図13では、繊維ウェブW、ベルト2及び領域137は、大げさに表現された厚さの差異を有しており、同様に、ベルト2に含められる凹部136は、大げさに表現された深さを有し、更に、繊維ウェブW及びベルト2は、明瞭性を良くするためにそれらの通路が分岐されている。
【0170】
本方法は、金属ベルトカレンダに特に適しているが、ソフトカレンダ、マシーンカレンダ、シューカレンダ、若しくは例えばマルチニップカレンダのような、他のカレンダ種類にも非常に適用性が高い。安全紙の製造は、最も好ましくはペーパーマシンの最終のカレンダ処理で実行され、これにより、未カレンダ処理若しくは弱カレンダ処理領域の表面は、続くプロセスにおいて実質的に変化しないままとなる。
【0171】
安全紙は、繊維ウェブの切断及びパッキング処理の下流のより遅い段階で製造されてよく、即ち繊維ウェブの最終カレンダ処理は、実際のペーパーマシンから無くされ、後に実行され、製品梱包用のボード紙の場合、例えば、梱包の切断に先行する印字処理に関連して、安全紙の製造は、したがって、特別な要求に応じた少量生産において柔軟性があるだろう。
【0172】
一般的に、本発明の処理装置は、単一動作におけるカレンダ処理及び/又は他の処理において非常に高い効率を提供すると、言える。これを利用する他の方法は、本発明の処理装置を、カレンダ能力を増大させるためにその他のカレンダと組み合せることである。かかる第2のカレンダは、例えばスーパーカレンダ若しくはマルチロールカレンダ、例えばOptiLoadの名で出願人により製造されるマルチマルチロールカレンダ、若しくは、例えばソフトカレンダ若しくはロングニップカレンダであってよい。例えばSC紙及びLWC紙の製造は、典型的には、10−12ロールのスーパーカレンダ若しくはマルチロールカレンダの使用を伴う。毎分1800−2000mの動作速度をもつ近代的なペーパーマシンは、1つのペーパーマシンに対して4つのスーパーカレンダ若しくはマルチロールカレンダまで必要とする。典型的には、2若しくは3のオフラインカレンダは、一のペーパーマシンの生産を扱うのに十分である。カレンダ処理速度は、毎分500−700mの範囲内で変化する。ニップ圧は、典型的には、300−400kN/mであり、熱ロール表面温度は、80−120℃の範囲内である。紙の二面性は、カレンダの上下ニップを反転配置し、温度若しくは蒸気処理レベルを可変することで制御できる。新聞用紙と平滑なSC紙との間のSC−C及びSC−Bグレードは、2つのニップがあるソフトカレンダにより製造できる。走行中の表面温度は、160−200℃であり、ニップ圧は、350kN/mまでである。蒸気処理(steaming)も、これらのグレードをカレンダ処理する主要部分である。
【0173】
本発明の金属ベルトカレンダが、例えばOptiLoadカレンダと組み合わされる時、金属ベルトカレンダは、好ましくは、OptiLoadカレンダの最初のニップの直ぐ上流側若しくは最後のニップの後流側に配置される。金属ベルトカレンダは、2−スタックカレンダのスタック間に配置されることも考えられる。金属ベルトカレンダは、シングル若しくは2−ニップソフトカレンダの上流若しくは下流側に、当該ソフトカレンダの性能を高めるために配置されてよい。金属ベルトカレンダ処理は、マルチロールカレンダ若しくはソフトカレンダの上流若しくは下流で、若しくは中間的段階(例えば、2−スタックカレンダのスタック間)で、現に処理されている繊維ウェブを圧密化及び加熱するために設けられる。強化されたカレンダ処理は、現在の速度よりも早い走行速度を得るために使用できる。
【0174】
本発明の装置は、意図するアプリケーションに依存して、非常に広範な圧力、温度及び滞留時間若しくはそれらの組み合わせを可能とする。例えば、圧力幅は、約0.01MPaから約70MPa若しくは、約200MPaの読取値までもの範囲内であることができ、温度は、約―70℃から約+400℃の範囲内であることができ、処理領域における滞留時間は、例えば、約0.01msから約2sの範囲内、若しくは、10sのオーダー内であることもできる。更に、種々のマシーン速度は、種々のグレードを製造するために使用できる。本発明の装置は、オンライン若しくはオフライン装置であってよい。
【0175】
本発明の処理装置を用いる種々の方法において、金属ベルト若しくは熱ロールを、例えば凝縮のために約−70℃から約+50℃の温度まで冷却することも好ましくは可能である。金属ベルトの冷却は、例えば冷却水、気化表面、冷却ロール若しくはベルトへの熱の移動によって実現されてよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙であって、繊維ウェブをカレンダ処理するプロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望の形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、該未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする、安全紙。
【請求項2】
カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙の作製方法であって、
少なくとも1回の繊維ウェブのカレンダ処理プロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望の形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする、方法。
【請求項3】
カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙を製造するための請求項137記載の方法であって、
安全紙を製造し、前記繊維ウェブに所望のデザインの形状に一致した領域を生成する前記少なくとも1回のカレンダ処理プロセスは、抄紙機/板紙抄紙機の最終カレンダプロセスにおいて行われる方法。
【請求項4】
繊維ウェブから安全紙を作製するためのカレンダであって、
前記カレンダの少なくとも1つのカレンダ処理表面は、前記繊維ウェブの表面用の領域に補完関係にあり所望のデザインの形状に一致した凹部を備え、前記繊維ウェブのカレンダ処理のプロセスにおいて、前記繊維ウェブの前記凹部に対応する領域が、カレンダ処理されないか若しくは弱いカレンダ処理がなされ、該カレンダ処理されないか若しくは弱いカレンダ処理がなされた領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されること特徴とする、カレンダ。
【請求項5】
カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙を製造するための請求項139記載のカレンダであって、
前記カレンダは、ガイド部材まわりに延在するよう構成されるベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、前記ベルト及び/又は対向部材は、カレンダ処理されるウェブ内の所望のデザイン形状に一致した領域を生成するための凹部を備える、カレンダ。
【請求項6】
前記ベルトは金属ベルトを備える、請求項140記載のカレンダ。
【請求項7】
オンライン型若しくはオフライン型装置を構成する、請求項1記載の処理装置。
【請求項1】
カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙であって、繊維ウェブをカレンダ処理するプロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望の形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、該未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする、安全紙。
【請求項2】
カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙の作製方法であって、
少なくとも1回の繊維ウェブのカレンダ処理プロセスにおいて、前記繊維ウェブの少なくとも一方の側に、所望の形状の未カレンダ処理領域若しくは弱いカレンダ処理の領域が残され、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されるものであること特徴とする、方法。
【請求項3】
カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙を製造するための請求項137記載の方法であって、
安全紙を製造し、前記繊維ウェブに所望のデザインの形状に一致した領域を生成する前記少なくとも1回のカレンダ処理プロセスは、抄紙機/板紙抄紙機の最終カレンダプロセスにおいて行われる方法。
【請求項4】
繊維ウェブから安全紙を作製するためのカレンダであって、
前記カレンダの少なくとも1つのカレンダ処理表面は、前記繊維ウェブの表面用の領域に補完関係にあり所望のデザインの形状に一致した凹部を備え、前記繊維ウェブのカレンダ処理のプロセスにおいて、前記繊維ウェブの前記凹部に対応する領域が、カレンダ処理されないか若しくは弱いカレンダ処理がなされ、該カレンダ処理されないか若しくは弱いカレンダ処理がなされた領域は、前記繊維ウェブのカレンダ処理された表面の残りの部位に対してはっきりと識別されること特徴とする、カレンダ。
【請求項5】
カレンダ処理される繊維ウェブからなる安全紙を製造するための請求項139記載のカレンダであって、
前記カレンダは、ガイド部材まわりに延在するよう構成されるベルトと、前記ベルトの外側に設けられ、前記ベルトとの接触領域を提供する少なくとも1つの対向部材とを含み、前記ベルトと前記対向部材との間に、処理されるウェブを通すためのウェブ処理領域が形成され、前記ベルト及び/又は対向部材は、カレンダ処理されるウェブ内の所望のデザイン形状に一致した領域を生成するための凹部を備える、カレンダ。
【請求項6】
前記ベルトは金属ベルトを備える、請求項140記載のカレンダ。
【請求項7】
オンライン型若しくはオフライン型装置を構成する、請求項1記載の処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−114620(P2009−114620A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48291(P2009−48291)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【分割の表示】特願2003−564346(P2003−564346)の分割
【原出願日】平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【分割の表示】特願2003−564346(P2003−564346)の分割
【原出願日】平成15年1月29日(2003.1.29)
【出願人】(507009216)メッツォ ペーパー インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】
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