説明

カンゾウ属植物の栽培方法

【課題】天候に左右されず、短期間で日本薬局方の基準値の根部が0.5cm以上且つグリチルリチン含有量を2.5%以上にし易く、低コストのカンゾウ属植物の栽培方法を提供する。
【解決手段】雨量及び地下水や降雨による浸透水をコントロールしてカンゾウ属植物に適合した乾燥環境を創出した畑に、カンゾウ属植物を植えてなり、このカンゾウ属植物の根部を予めもしくは生育の過程で絞り拘束機構による絞り拘束を施し、その状態でカンゾウ属植物の生育を乾燥環境創出畑にて継続して、根部にストレスを与え続けることで、根部にグリチルリチンなどの薬効成分含量を増加させ得て、上記課題を達成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カンゾウ属植物の栽培方法に関するものであり、より詳細には、根部に絞り拘束を施した状態で、カンゾウ属植物の生育を継続し、根部にストレスを与え続けて、根部を多く発生させると同時に、グリチルリチンなどの薬効成分含量を増加させるようにしたカンゾウ属植物の栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウラルカンゾウなどのカンゾウ属植物は、漢方薬を含む医薬品、化粧品、食品の矯味料などの原料として重要である。例えば、ウラルカンゾウの薬効成分であるグリチルリチンは、SARSウイルスや肝炎ウイルスに対する効果が確認され、さらに、含有しているイソフラボノイドのグリシリンには、メタボリックシンドロームの改善効果があるという、薬理学的証拠が報告されている。このウラルカンゾウは、乾燥地帯に生育する植物であり、我が国では栽培が難しいため、ほぼ100%輸入に頼っている。しかしながら、ウラルカンゾウの主要輸出国である中国では、野生のウラルカンゾウの乱獲により乾燥地帯の砂漠化が進行したため、輸出規制が強化され、さらに、異常気象による収穫量の減少、農薬や重金属類の残留などがあり、ウラルカンゾウを安定的に中国から輸入できない状況になりつつある。
【0003】
そこで、我が国でウラルカンゾウの栽培が試みられているが、その地下部分が多数の細いストロン(走出茎)に分枝し、上記の薬効成分であるグリチルリチンやグリシリンの含量が増えないばかりか、ストロンの生育が優勢となり、地下部分の根部の肥大が損なわれ、収穫に4,5年の栽培期間が必要となり、さらに、収穫時に伸長し過ぎたストロンが収穫用の機械に絡み、収穫作業を困難にしている。したがって、ウラルカンゾウは、栽培、収穫、生薬調製が困難であるとされ、我が国国内ではウラルカンゾウの栽培は不可能であると言われている。このような状況下で、ウラルカンゾウの我が国国内での栽培の試みが報告されている。
【0004】
すなわち、この栽培報告は、種の直播きによるウラルカンゾウの露地栽培であり、ウラルカンゾウの種子を簡易的に割り、それを北海道名寄市の圃場に直播きして発芽させ、そのまま生育させて、1年生及び2年生のウラルカンゾウを採取し、その生育状況を調査したものである。また、発芽させた苗を上記の圃場に移植して生育させ、1年生及び2年生のウラルカンゾウを採取して、その生育状況を調査したものがある(例えば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、いわゆるウラルカンゾウの筒栽培と言われるものが報告されている。すなわち、径10cm×1.0mの塩化ビニールパイプの下端部に、排水孔のあるキャップを嵌め、そのパイプ内に培養土を充填し、苗を植えそのまま生育させて、1年生のウラルカンゾウを採取し、その生育状況を調査したものである。また、パイプ内の培土に種を播き、発芽させそのまま生育させて、1年生のウラルカンゾウを採取して、その生育状況を調査したものがある(例えば、非特許文献3参照)。
【0006】
また、ウラルカンゾウのセル苗を育苗し移植機で定植するなど、既存の農業機械を用いた省力化の報告がある(例えば、非特許文献2、非特許文献5参照)。
【0007】
また、グリチルリチン高含量のウラルカンゾウ種を選抜した報告がある(例えば、非特許文献4、非特許文献5参照)。
【0008】
また、ウラルカンゾウの主根における部位の違いによるグリチルリチン含量の変化についての報告がある(例えば、非特許文献6参照)。
【0009】
また、ウラルカンゾウ、スペインカンゾウをビニールハウス内で乾燥状態を作り、筒を使って栽培した報告がある(例えば、非特許文献7参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「カンゾウの国内栽培を目指して」 独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター北海道研究部 柴田敏郎 第3回甘草に関するシンポジウム〜持続的国内栽培をめざして〜 講演要旨集 平成17年7月(名寄市市民文化センター)、pp.3〜7
【非特許文献2】「北海道研究部における薬用植物栽培研究について」 独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター北海道研究部 柴田敏郎 薬用植物フォーラム2010 講演要旨集2010年pp25-30
【非特許文献3】「カンゾウの国内栽培を目指して(1)ウラルカンゾウの筒栽培について」 尾崎和男、芝野真喜雄、草野源次郎、渡辺斉、武田薬品工業株式会社、京都薬用植物園、大阪薬科大学、生薬学雑誌64(2),76−82(2010)
【非特許文献4】「甘草の国内栽培を目指して(2)カンゾウ(Glycyrrhiza uralensis Fisher)の優良個体の選抜について」尾崎和男、芝野真喜雄、草野源次郎、渡辺斉 武田薬品工業株式会社、京都薬用植物園、大阪薬科大学 生薬学雑誌61(2),89−92(2007)
【非特許文献5】「カンゾウの栽培研究について」独立行政法人 医薬基盤研究所 薬用植物資源研究センター北海道研究部 林 茂樹 薬用植物フォーラム2010 講演要旨集2010 pp37-40
【非特許文献6】「栽培甘草の化学的品質評価の検討について」芝野真喜雄、尾崎和男 薬用植物栽培研究 32(2)2010 pp3-8
【非特許文献7】「薬用植物の筒栽培 カンゾウ Glycyrrhiza uralensis Fisher/G.glabra の筒栽培1」末岡昭宣、吉岡達文、酒井美保、草野源次郎、芝野真喜雄 薬用植物研究32(2)2010 pp28-38
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記非特許文献1、2,5は、露地栽培地の北海道名寄市が乾燥地帯であり、しかも本州以南のような梅雨の影響を受けない点で良いが、露地栽培のため、ウラルカンゾウの根部及び地下茎部からストロンなどが分枝してしまい、このストロンのため、収穫と生薬調製とが困難となる。さらに、生育が遅く、薬効のある有効成分であるグリチルリチン含有量が、生薬「甘草」の日本薬局方の基準値である2.5%以上、並びに根部及び地下茎部が0.5cm以上の太さとなるのに2、3年かかるという時間的に不利な問題がある。
【0012】
非特許文献3は、梅雨の影響を受ける京都府で筒栽培をしているが、筒栽培であるためウラルカンゾウの根部及び地下茎部からストロンなどが分枝しづらい点で良い。しかしながら、湿度、温度、降雨量の影響を受け、生育が遅くなりがちであり、薬効のある有効成分であるグリチルリチン含有量が、生薬「甘草」の日本薬局方の基準値である2.5%以上、並びに根部及び地下茎部が0.5cm以上の太さとなるのに2、3年かかり、生産コストの面で困難さが伴うことになる。
【0013】
そして、ウラルカンゾウなどのカンゾウ属植物は、すでに述べたように、もともと砂漠地帯に自生する植物であるため、梅雨のある日本国では通常の露地栽培が難しく、仮にその露地栽培がうまくいったとしても、ストロンの生育が優勢となり、根部の生育が遅れてしまうので、収穫が出来るまでの年数がかかってしまう。この梅雨を避けるため、カンゾウ属植物のハウス内での栽培を行うと、ハウス栽培でよく問題になる害虫(アブラムシ、ハダニ、スリップス)の発生が多発することになる。
【0014】
本発明者らの知見によれば、ハウス内での筒栽培は、天候に左右され難くカンゾウ属植物の栽培に適しているが、ハウスの建設に多額の資金が必要であり、筒栽培に多くの人手が必要な不利な点があるにしても、短期間で日本薬局方の基準値である根部が0.5cm以上の太さの基準値を超えることができる点で有効である。そして、カンゾウ属植物の薬効成分であるグリチルリチン含有量が、生薬「甘草」の日本薬局方の基準値である2.5%以上とするには、収穫時の根部にグリチルリチンが多く含有していることが望ましいが、本出願人は、カンゾウ属植物の生育過程で、その根部に絞り拘束を与え続けると、絞り拘束を与えていない場合に比べ、絞り拘束を与えた箇所から先端側に位置する根部(主根)に側根が多く発生し、根部のグリチルリチン含量が飛躍的に増すことが確認されている。
【0015】
そこで、本発明の目的は、天候に左右され難く、短期間で日本薬局方の基準値である根部が0.5cm以上の太さの基準値を超え、且つグリチルリチン含有量を2.5%以上にし易くて、低イニシャルコストであると共に収穫や採取後の加工が容易な、コストパフォーマンスに優れたカンゾウ属植物の栽培方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであって、下記の構成からなることを特徴とするものである。
すなわち、本発明によれば、雨量及び地下水や降雨による浸透水をコントロールしてカンゾウ属植物に適合した乾燥環境を創出した畑に、カンゾウ属植物を植えてなり、該カンゾウ属植物の根部に予めもしくは生育の過程で絞り拘束機構による絞り拘束を施し、その状態でカンゾウ属植物の生育を前記乾燥環境創出畑にて継続して、根部(主根)にストレスを与え続け、絞り拘束を与えた箇所から先端側に位置する根部に側根を多く発生させ、根部にグリチルリチンなどの薬効成分含量を増加させるようにしたことを特徴とするカンゾウ属植物の栽培方法が提供される。
【0017】
また、本発明によれば、前記乾燥環境創出畑は、露地の畑に所定高さに盛土して畝を形成し、該畝に水を通さないシートを被せたものである上記カンゾウ属植物の栽培方法が提供される。
【0018】
また、本発明によれば、前記乾燥環境創出畑は、ハウス内の畑である上記カンゾウ属植物の栽培方法が提供される。
【0019】
また、本発明によれば、前記絞り拘束機構は、板に1以上の孔を開け、該1以上の孔に予めもしくは生育の過程で前記カンゾウ属植物の根部を通して、絞り拘束をするものである上記カンゾウ属植物の栽培方法が提供される。
【0020】
また、本発明によれば、前記カンゾウ属植物の根部に拘束具を予め装着して、絞り拘束をするものであるカンゾウ属植物の栽培方法が提供される。
【0021】
また、本発明によれば、雨量及び地下水や降雨による浸透水をコントロールしてカンゾウ属植物に適合した乾燥環境を創出した畑に、カンゾウ属植物を植えてなり、該カンゾウ属植物の根部に生育の過程で1の孔による絞り拘束を施し、その状態でカンゾウ属植物の生育を前記乾燥環境創出畑にて継続して、前記根部(主根)にストレスを与え続け、前記根部から側根を分枝させるように誘導し、該側根にグリチルリチンなどの薬効成分含量を増加させるようにしたことを特徴とするカンゾウ属植物の栽培方法が提供される。
【0022】
また、本発明によれば、前記1の孔による絞り拘束機構は、1の排水孔を有する育苗用栽培容器にて、予めもしくは生育の過程で1の排水孔に前記カンゾウ属植物の根部を通して、絞り拘束をするものであるカンゾウ属植物の栽培方法が提供される。
【0023】
上記第1の課題解決手段による作用は次のとおりである。すなわち、乾燥環境を創出した畑に植えたカンゾウ属植物の根部に、絞り拘束を施した状態で生育させ、根部にストレスを与え続けると、原因は不明であるが、絞り拘束箇所より先端側に位置する根部(側根)のグリチルリチン含有量は、絞り拘束箇所より基端側に位置する根部(主根)のグリチルリチン含有量よりも増加するというメリットがある。
【0024】
上記第2の課題解決手段による作用は、シートにより降雨の浸透がコントロールされ、且つ地下水は所定高さに盛土された高畝によりコントロールされることによって、地下水や降雨による浸透水の影響が逓減されて乾燥環境が創出された畑となる。
【0025】
上記第3の課題解決手段による作用は、ハウスにより降雨が完全に抑制され、且つ所定高さに盛土された畝により地下水や降雨による浸透水の影響も逓減されて、ハウス内土壌は乾燥環境が創出された畑となる。
【0026】
上記第4の課題解決手段による作用は、板にある1以上の孔にカンゾウ属植物の根部を通すことで、根部の絞り拘束を実現することが出来る。
【0027】
上記第5の課題解決手段による作用は、カンゾウ属植物の根部に拘束具を装着することで、根部の絞り拘束を実現するができる。
【0028】
上記第6の課題解決手段による作用は、乾燥環境を創出した畑に植えたカンゾウ属植物の根部に、1の孔による絞り拘束を施した状態で生育させ、根部にストレスを与え続けると、原因は不明であるが、絞り拘束箇所より先端側に位置する根部(主根)から多くの側根が誘導されて分枝し、それらの側根のグリチルリチン含有量は、1の孔による絞り拘束箇所より先端側及び基端側に位置する根部のグリチルリチン含有量よりも増加するというメリットがある。
【0029】
上記第7の課題解決手段による作用は、育苗用栽培容器に植えたカンゾウ属植物の根部は、生育して1の排水孔を通り、あるいは根部から分枝している根部も1の排水孔を通って1の孔による絞り拘束となり、その絞り拘束箇所より先端側に位置する根部から多くの側根が誘導されて分枝して生育することが出来る。
【発明の効果】
【0030】
本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、天候に左右され難く、短期間で日本薬局方の基準値である根部が0.5cm以上の太さの基準値を超え、且つグリチルリチン含有量を2.5%以上にし易くなって、コストパフォーマンスに優れたカンゾウ属植物を得ることが出来る効果がある。
【0031】
また、本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、上記の効果に加えて、シートや盛土による畝により、コストパフォーマンスに優れた乾燥環境の畑を、創出することが出来る効果がある。
【0032】
また、本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、上記の効果に加えて、ハウスにより完全なる乾燥環境を、創出することが出来る効果がある。
【0033】
また、本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、上記の効果に加えて、板に開けた1以上の孔により、根部の絞り拘束を極めて容易に実現することができる効果がある。
【0034】
また、本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、上記の効果に加えて、拘束具により、根部の絞り拘束を極めて容易に実現することができる効果がある。
【0035】
また、本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、生育の過程で1の孔による絞り拘束を施しても、天候に左右され難く、短期間で日本薬局方の基準値である根部が0.5cm以上の太さの基準値を超え、且つグリチルリチン含有量を2.5%以上にし易くなって、コストパフォーマンスに優れたカンゾウ属植物を得ることが出来る効果がある。
【0036】
また、本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、上記の効果に加えて、育苗用栽培容器によっても、グリチルリチン含有量が多いカンゾウ属植物を得ることが出来る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明方法の実施形態の畝に立設した栽培補助用筒体にてカンゾウ属植物を栽培している状態を示す断面図である。
【図2】本発明方法の実施形態の畝にシートを被せた状態の平面図である。
【図3】本発明方法の実施形態のハウス内に立設した栽培補助用筒体にてカンゾウ属植物を栽培している状態を示す断面図である。
【図4】本発明方法の実施形態の栽培補助用筒体に嵌める底面キャップの平面図である。
【図5】本発明方法の実施形態の栽培補助用筒体に嵌める他の底面キャップの平面図である。
【図6】本発明方法の実施形態の畝中の根部に網目状の拘束具を装着したカンゾウ属植物を栽培している状態を示す断面図である。
【図7】図6の根部に網目状の拘束具を装着したカンゾウ属植物が生育した後の状態を示す断面図である。
【図8】本発明方法の実施形態の畝に立設した育苗用栽培容器にてカンゾウ属植物を栽培している状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下に、図面を参照して本発明の最適な実施の形態を説明する。
【実施例1】
【0039】
図面において、本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、雨量及び地下水や降雨による浸透水をコントロールしてカンゾウ属植物に適合した乾燥環境を創出した畑1(以下、単に「乾燥環境創出畑」という)に、カンゾウ属植物2を植えてなり、このカンゾウ属植物2の根部3を予めもしくは生育の過程で絞り拘束機構4による絞り拘束を施し、その状態でカンゾウ属植物2の生育を乾燥環境創出畑1にて継続して、根部3にストレスを与え続け、根部3にグリチルリチンなどの薬効成分含量を増加させるようにしたものである。
【0040】
前記乾燥環境創出畑1は、カンゾウ属植物に適合した乾燥環境を創出する畑であれば特に限定がなく、例えば、露地の畑の土壌を所定高さに盛土して形成した畝10に、水を通さないシート11を被せてなるものがある。この畝10は、露地の畑における地下水位の影響を抑制するものであるから、それなりの高さ、例えば、250mmから500mm程度が必要となる。さらに、この畝10には、雨や雪などの気象状況による水分の影響を抑制するために、水を通さないシート11が被され、このシート11には、図2に示すように、前記カンゾウ属植物2を植えるための設置用孔12が開けられている。なお、このシート11は、太陽光や雨・雪などに直接晒されるため、耐候性に優れた材質のものが使用される。
【0041】
また、この乾燥環境創出畑1は、例えば、図3に示すように、露地の畑にハウス13を立て、このハウス13により、屋外の温度、日照量、風速及び水分をコントロール出来るようにした乾燥環境創出畑1Aでもよい。この乾燥環境創出畑1Aによれば、ハウス13を建てるからイニシャルコストが高めになるものの、実際に栽培するカンゾウ属植物2の種類に合わせて、屋外の温度、日照量、風速及び水分をきめ細かくコントロールすることが出来、都合がよいものとなる。
【0042】
前記絞り拘束機構4は、カンゾウ属植物2の根部3に予めもしくは生育の過程で絞り拘束を施すものであれば、特に限定がないが、例えば、養分を充分含んだ培養土14を充填し底板部15に1以上の孔16を開けた、直径30mmないし200mm×長さ100mmないし300mmの栽培補助用筒体17にて構成してもよい。すなわち、この絞り拘束機構4は、栽培補助用筒体17内の培養土14に、カンゾウ属植物2の種あるいは苗を植え、その状態の栽培補助用筒体17をシート11に開けた設置用孔12を通して畝10に立設し生育させて、その根部3が底板部15にある1以上の孔16を抜けて生育し肥大化して、やがて根部3が1以上の孔16により絞り拘束されるようにしたものである。なお、栽培補助用筒体17の1以上の孔16にカンゾウ属植物2の根部3を予め通し、最初から絞り拘束を施しても差し支えない。
【0043】
前記栽培補助用筒体17は、既述のとおり、直径30mmないし200mm×長さ100mmないし300mmのものが好ましく使用されるが、実際に栽培するカンゾウ属植物2の特性に合わせて、その直径×長さが決められる。この栽培補助用筒体17は、底板部15に開けた1以上の孔16による絞り拘束機能以外に、カンゾウ属植物2における根部3の垂直方向の順調な生育と、水平方向へのストロン18の生育を抑制することが出来、ストロン18の生育を抑制した分、栽培補助用筒体17内外に渉るカンゾウ属植物2の根部3を充分に肥大化育成する機能をも担うことになる。
【0044】
また、絞り拘束機構4は、栽培補助用筒体17の底板部15に1以上の孔16が開けられていれば足りるのであるが、図4に示すように、底板部15が、直径5mmないし10mmの小径孔16aが複数開けられた底面キャップ20であり、これが栽培補助用筒体17の底部に着脱可能な状態で嵌められたものでもよい。これらの小径孔16aは、栽培補助用筒体17内の培養土14の水分値を調整維持すると共に、カンゾウ属植物2の根部(主根)3が栽培補助用筒体17内で生育して、その先端部3aが底面キャップ20に当たった後、小径孔16aを通過伸張、肥大化し、絞られることによるストレスの為、根部(主根)3から側根21が分岐して伸張し、根部(主根)3及び側根21は畝10内の土壌の水分や養分を吸収させ、より肥大化させるものである。したがって、底面キャップ20の小径孔16aは、その直径及び個数が重要であり、最終的には実際に栽培するカンゾウ属植物2の種類によって、経験則に照らし合わせて決められる。なお、栽培補助用筒体17及びその底面キャップ20の材質は、特に限定がないが、価格面、入手のし易さから紙製あるいはポリ塩化ビニールやポリエチレンなどのプラスチック製が一般的である。なお、上記絞り拘束機構4は、栽培補助用筒体17が無く、底面キャップ20のみの使用としてもよい。
【0045】
さらに、上記した底面キャップ20は、図5に示すように、直径15mmないし30mmの一の中径孔22が中心部に開けられ、さらに、この中径孔22周りに直径3mmないし7mmの小径孔16bが複数開けられた底面キャップ20Aに替えてもよい。そして、この底面キャップ20Aは、栽培補助用筒体17の底部に着脱可能な状態で嵌められる。一の中径孔22及び複数の小径孔16bは、栽培補助用筒体17内の培養土14の水分値を調整維持すると共に、カンゾウ属植物2の根部3が栽培補助用筒体17内で生育して、その主たる根部3の先端部3aが底面キャップ20Aに当ることなく一の中径孔22を通過伸張して、畝10内の土壌の水分や養分も吸収し、その主たる根部3を中径孔22により絞り拘束した状態で、より肥大化させるものである。
【0046】
一方、他の細い根部(主根)3の先端部3aが底面キャップ20Aに当ると、その先端部3aから側根21が分枝して中径孔22周りの複数の小径孔16bを通過伸張し、畝10内の土壌の水分や養分を吸収して、栽培補助用筒体17内外の側根21を複数の小径孔16bにより絞り拘束した状態で、より肥大化させる。なお、上記絞り拘束機構4は、栽培補助用筒体17が無く、底面キャップ20Aのみの使用としてもよい。また、この底面キャップ20Aにするか、あるいは上記底面キャップ20にするかは、実際に栽培するカンゾウ属植物2の種類によって、最終的に経験則に照らし合わせて決められる。
【0047】
また、前記絞り拘束機構4は、例えば、図6に示すように、カンゾウ属植物2の根部3に予め拘束具23を装着することで、根部3を絞り拘束するものであっても良い。すなわち、カンゾウ属植物2の根部3に予め拘束具23を装着して、前記乾燥環境創出畑1、例えば、畝10に植えて生育させ、拘束具23により絞り拘束した状態で、より肥大化させてもよい。
また、拘束具として網目状物を用いても良い。網目のサイズは、特に制限されるものではないが、4mmないし7mm程度の網目状物が好ましく用いられる。
【0048】
前記培養土14は、実際に栽培するカンゾウ属植物2の特性に合わせて、その種類及び粒径を決める。そして、培養土14の粒径は5mm以下がよく、下限値は経済性も考慮して1mm程度が良い。このように、培養土14の粒径を5mm以下にすることで、カンゾウ属植物2の根部3が栽培補助用筒体17の側壁17aに沿い、培養土14の塊などに影響されることなく直線状に生育させることが出来る。また、培養土14は、これを前記栽培補助用筒体17に充填する際、栽培するカンゾウ属植物2の特性に合わせて肥料や石灰などを加え、pH5.5ないし6.8の範囲となるように調整して、充分な養分を含んだものとする。
【0049】
前記カンゾウ属植物2は、根部3を主に利用するものであり、例示すれば、G.glabra,G.uralensis,G.inflata,G.aspera,G.korshinkyi,G.eurycarpaなどのカンゾウ属植物があり、好ましくはG.glabra,G.uralensisであって、これらが特に顕著な効果が得られる。上記例示のカンゾウ属植物2は、いずれも上記の栽培方法に馴染むが、栽培補助用筒体17の長さ、底板部の複数の孔形状、培養土、肥料など、実際に栽培するカンゾウ属植物2の種類により、若干変える必要がある。
【0050】
次に、図面を参照して、上記構成になるカンゾウ属植物の栽培方法について説明する。
まず、例示した上記のカンゾウ属植物から栽培するカンゾウ属植物2を選定し、そのカンゾウ属植物2に適合する乾燥環境創出畑1あるいは1A、及び絞り拘束機構4を選択することになる。乾燥環境創出畑1を選択した場合は、露地の畑の土壌を所定高さに盛土して形成した畝10に、水を通さないシート11を被せ、このシート11に前記カンゾウ属植物2を植えるための設置用孔12を開けることになり、乾燥環境創出畑1Aを選択した場合は、露地の畑にハウス13を建てればよい。
【0051】
そして、乾燥環境創出畑1を選択し、さらに、絞り拘束機構4における栽培補助用筒体17及び底面キャップ20あるいは20Aを選択した場合は、その栽培補助用筒体17の下端部に底面キャップ20あるいは20Aを嵌めて、その栽培補助用筒体17内に選定カンゾウ属植物2に、適合する粒径の培養土14、肥料及び石灰などを混ぜたものを充填する。その後、栽培補助用筒体17にカンゾウ属植物2の苗を植えるか、その種を播く。この状態の栽培補助用筒体17を乾燥環境創出畑1の畝10に設置用孔12を通して立設する。
【0052】
この栽培方法では、日照量及び栽培補助用筒体17及び設置用孔12から侵入する雨水量を完全にコントロールすることは出来ないが、畝10に降る雨水は、シート11により排除され、さらに露地の畑における地下水や降雨による浸透水は、所定高さがある畝10によりその影響が抑制されるから、選定カンゾウ属植物2に充分適合した乾燥環境が創出されることになる。そのうえ、上記した栽培補助用筒体17あるいは設置用孔12から侵入した雨水は、逆にこれらの内部における水分値をコントロールすることになって、カンゾウ属植物2の生育環境が整えられることになる。
【0053】
したがって、カンゾウ属植物2は、全体として順調に生育し、栽培補助用筒体17内の根部3も、側壁17aに沿い分枝がほとんどない状態で直線状で垂直方向にスムーズに生育するが、同時にストロン18も水平方向へ生育するが側壁17aにより抑制される。ストロン18が抑制されることにより、根部3の成長は促進され、やがて根部3の先端部が栽培用筒体17の底面キャップ20に当たり、小径孔16aを通過伸張し、畝10内の土壌の水分や養分を吸収して肥大化する。肥大化した根部(主根)3は、底面キャップ20の小径孔16aにより絞り拘束され、そのストレスにより拘束部より先端側で多くの側根21を発生させる。根部3及び側根21は畝10の内部を伸張し、畝10内の土壌の水分や養分を吸収して肥大化することになる。
【0054】
また、底面キャップ20Aの場合には、中径孔22及び小径孔16bがあるから、主たる根部3の先端部3aは中径孔22を通過伸張し、畝10内の土壌の水分や養分を吸収して肥大化し、従たる根部3の先端部3aは、中径孔22あるいは小径孔16aを通過伸張し、畝10内の土壌の水分や養分を吸収して肥大化する。肥大化した根部(主根)3は、底面キャップ20Aの中径孔22あるいは小径孔16aにより絞り拘束され、そのストレスにより拘束部より先端側で多くの側根21を発生させる。主たる根部3及び側根21は畝10の内部を伸張し、畝10内の土壌の水分や養分を吸収して肥大化することになる。
【0055】
カンゾウ属植物2の栽培開始から6ないし10ヶ月が経過して、栽培補助用筒体17内外の根部3及び細根21が充分肥大化し、絞り拘束機構4における底面キャップ20,20Aにより絞り拘束が継続されることによって、根部3及び側根21にストレスを与え続け、その根部(主根)3及び側根21にグリチルリチンなどの薬効成分含量が充分増加させている。その後、カンゾウ属植物2は、栽培補助用筒体17と共に畝10から引き抜かれ、さらに、栽培補助用筒体17内からのストロン18も畝10へは伸張していないので、容易に収穫される。収穫されたカンゾウ属植物2は、その肥大化した根部3及び側根21が分離され、乾燥、調製などの加工を経て製品化される。さらに、カンゾウ属植物2の肥大化した根部3及び側根21はその皮も滑らかであり、水洗して土砂を除くことにより上質のカンゾウが得られる。
【0056】
さらに、絞り拘束機構4として網目状などの拘束具23を選択した場合は、ある程度生育している選定カンゾウ属植物2の根部3に拘束具23を直接装着することになって、この状態のカンゾウ属植物2を乾燥環境創出畑1の畝10に設置用孔12を通して植えることになる。この場合も、根部(主根)3及び側根21が充分肥大化し、拘束具23により絞り拘束が継続されることにより、根部(主根)3及び側根21にストレスを与え続け、その根部(主根)3及び側根21にグリチルリチンなどの薬効成分含量が充分増加させている。その後カンゾウ属植物2は、畝10から収穫される。収穫されたカンゾウ属植物2は、その肥大化した根部3及び側根21が分離され、乾燥、調製などの加工を経て製品化される。
【0057】
また、乾燥環境創出畑1Aを選択した場合は、露地の畑にハウス13を建て、そのハウス13内の畑に上記した絞り拘束機構4を施したカンゾウ属植物2を植えるため、乾燥環境創出畑1に比べて実際に栽培するカンゾウ属植物2の種類に合わせ、屋外の温度、日照量、風速及び水分をきめ細かくコントロールすることが出来るから、一層都合がよいものとなる。なお、乾燥環境創出畑1Aにおけるカンゾウ属植物2の栽培状況は、乾燥環境創出畑1の場合とほぼ同様なので、図面に符号を付してその詳細な説明を省略する。
【実施例2】
【0058】
本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、以下のようにしてもよい。
すなわち、このカンゾウ属植物の栽培方法は、雨量及び地下水や降雨による浸透水をビニールシート及び高畝によってコントロールされカンゾウ属植物に適合した乾燥環境創出畑1あるいは1Aに、カンゾウ属植物2を植えてなり、このカンゾウ属植物2の根部3に生育の過程で1の孔を有する絞り拘束機構4Aにより絞り拘束を施し、その状態でカンゾウ属植物2の生育を乾燥環境創出畑1あるいは1Aにて継続して、根部3に圧迫ストレスを与え続け、根部(主根)3から側根30を分枝させるように誘導し、この側根30にグリチルリチンなどの薬効成分含量を増加させるようにしたものである。
【0059】
上記した絞り拘束機構4Aは、カンゾウ属植物2の根部3にその生育の過程で、1の孔により絞り拘束を施すことが出来れば特に限定がなく、例えば、1の排水孔31を有する育苗用栽培容器32にて、予めもしくは生育の過程で1の排水孔31にカンゾウ属植物2の根部3を通して、絞り拘束をするものである。この育苗用栽培容器32は、育苗用のポリエチレン製ポット(以下単に「育苗用ポット32」という)であってもよい。この育苗用ポット32に、選定カンゾウ属植物2に適合する粒径の培養土14、肥料及び石灰などを混ぜたものを充填する。その後、育苗用ポット32にカンゾウ属植物2の苗を植えるか、その種を播く。この状態の育苗用ポット32を乾燥環境創出畑1の畝10に設置用孔12を通して一部埋設するか、あるいは乾燥環境創出畑1Aにおけるハウス13内の畑に一部埋設する。
【0060】
乾燥環境創出畑1あるいは1Aにおける育苗用ポット32内で、カンゾウ属植物2は、全体として順調に生育し、その根部3も側壁32aに沿い分枝がほとんどない状態で直線状で垂直方向にスムーズに生育する。やがて、その先端部3aが育苗用ポット32の底部に達するが、その中心部に排水孔31があるから、それを主たる根部3の先端部3aが通過伸張し、従たる根部3の先端部3bも排水孔31を通過伸張し、同じく畝10あるいはハウス13内の土壌の水分や養分を吸収して肥大化する。その過程で主たる及び従たる根部3の先端部3a及び先端部3bが、絞り拘束機構4Aとしての排水孔31により、絞り拘束されストレスを与え続けるから、これら根部3の先端部3a及び3bから側根30が多く派生するようになる。この多く派生した側根30には、その原因は不明であるが、グリチルリチンなどの薬効成分含量が他の部位より多いのである。その他の栽培状況は、実施例1とほぼ同様なので、図面に符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0061】
次に、上記構成になるカンゾウ属植物の栽培方法の優位性を実証したので、その状況を説明する。
〈試験例1〉
試験地:山口県岩国市の西畑圃場において、直径100mm×長さ150mmの塩化ビニール製の栽培補助用筒体に、図4に示す底面キャップ(中径孔20mm×1、小径孔5mm×12)を被せ、培養土に肥料、石灰を加えた調整したものを栽培補助用筒体に充填し、それを高さ300mmで防水シートで覆った畝に立設し、その栽培補助用筒体にウラルカンゾウの苗を植え、2010年4月6日から同年10月15日まで193日間栽培した。収穫直後の培養土及び畝の土壌を落としたウラルカンゾウの各部位の重量(g)を測定した。なお、ウラルカンゾウの各重量測定部位は、根頭部+ストロン、底面キャップより上部の根部、底面キャップより下部の根部の3部位である。さらに、底面キャップより上部の根部、底面キャップより下部の根部におけるグリチルリチン(GL)の含量(%)も測定する。なお、栽培数は9例である。
【0062】
〈対照例1〉
栽培補助用筒体を使用しないこと以外、試験例1と同じ条件にてウラルカンゾウを栽培し、その各部位の重量及びグリチルリチン(GL)の含量(%)を測定した。なお、栽培数は5例である。
【0063】
〈試験例2〉
栽培補助用筒体に代えて直径100mm×長さ110mmのポリエチレン製ポットを使用すること以外、試験例1と同じ条件にて、ウラルカンゾウを栽培し、その各部位の重量を測定し、且つポリエチレン製ポット外部の根部及びその外部根部からの側根におけるグリチルリチン(GL)の含量(%)を測定した。なお、栽培数は2例である。
以上の結果を表1に示す。
【0064】
【表1】

【0065】
また、上記試験例2で得られたウラルカンゾウの主根と側根におけるグリチルリチン(GL)の含量(%)を測定しその結果を表2に示す。栽培数は4例である。
【0066】
【表2】

【0067】
本発明のカンゾウ属植物の栽培方法により収穫した試験例1におけるカンゾウ属植物の下部根部のグリチルリチン(GL)の含量(%)は、表1に示す通り、いずれも対照例1におけるものよりも遙かに多かった。また、試験例2におけるカンゾウ属植物の外部根部のグリチルリチン(GL)の含量(%)も、対照例1におけるものよりも多い傾向が認められ,さらに、試験例2におけるカンゾウ属植物の外部側根のグリチルリチン(GL)の含量(%)は、対照例1におけるものよりも遙かに多い結果が得られた。また、主根と側根の比較において、そのすべてにおいて、主根よりも側根の部分に多量のグルチルリチンが含まれていることは注目に値する。
【0068】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体的な構成はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での変更は適宜可能であることは理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明のカンゾウ属植物の栽培方法は、天候に左右され難く、短期間で日本薬局方の基準値である根部が0.5cm以上の太さの基準値を超え、且つグリチルリチン含有量を2.5%以上にし易くて、低イニシャルコストであると共に収穫や採取後の加工が容易な、コストパフォーマンスに優れたカンゾウ属植物を得たいような場合に、極めて高い利用可能性がある。
【符号の説明】
【0070】
1 乾燥環境創出畑
2 カンゾウ属植物
3 根部(主根)
3a、3b 先端部
4、4A 絞り拘束機構
10 畝
11 シート
12 設置用孔
13 ハウス
14 培養土
15 底板部
16 1以上の孔
16a、16b 小径孔
17 栽培補助用筒体
17a、32a 側壁
18 ストロン
20、20A 底面キャップ
21 側根
22 中径孔
23 拘束具(網状物)
30 側根
31 排水孔
32 育苗用栽培容器(ポリエチレン製ポット)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
雨量及び地下水や降雨による浸透水をコントロールしてカンゾウ属植物に適合した乾燥環境を創出した畑に、カンゾウ属植物を植えてなり、該カンゾウ属植物の根部に予めもしくは生育の過程で絞り拘束機構による絞り拘束を施し、その状態でカンゾウ属植物の生育を前記乾燥環境創出畑にて継続して、根部にストレスを与え続け、根部にグリチルリチンなどの薬効成分含量を増加させるようにしたことを特徴とするカンゾウ属植物の栽培方法。
【請求項2】
前記乾燥環境創出畑は、露地の畑に所定高さに盛土して畝を形成し、該畝に水を通さないシートを被せたものである請求項1記載のカンゾウ属植物の栽培方法。
【請求項3】
前記乾燥環境創出畑は、ハウス内の畑である請求項1記載のカンゾウ属植物の栽培方法。
【請求項4】
前記絞り拘束機構は、板に1以上の孔を開け、該1以上の孔に予めもしくは生育の過程で前記カンゾウ属植物の根部を通して、絞り拘束をするものである請求項1、2または3記載のカンゾウ属植物の栽培方法。
【請求項5】
前記絞り拘束機構は、前記カンゾウ属植物の根部に拘束具を予め装着して、絞り拘束をするものである請求項1ないし3のいずれか1項記載のカンゾウ属植物の栽培方法。
【請求項6】
雨量及び地下水や降雨による浸透水をコントロールしてカンゾウ属植物に適合した乾燥環境を創出した畑に、カンゾウ属植物を植えてなり、該カンゾウ属植物の根部に生育の過程で1の孔による絞り拘束を施し、その状態でカンゾウ属植物の生育を前記乾燥環境創出畑にて継続して、前記根部にストレスを与え続け、前記根部(主根)から側根を分枝させるように誘導し、該側根にグリチルリチンなどの薬効成分含量を増加させるようにしたことを特徴とするカンゾウ属植物の栽培方法。
【請求項7】
前記1の孔による絞り拘束機構は、1の排水孔を有する育苗用栽培容器にて、予めもしくは生育の過程で1の排水孔に前記カンゾウ属植物の根部(主根)を通して、絞り拘束をするものである請求項6記載のカンゾウ属植物の栽培方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−170344(P2012−170344A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32699(P2011−32699)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(500094543)新日本製薬 株式会社 (6)
【Fターム(参考)】