説明

カーテン保持具

【課題】カーテンレールに位置調整可能に固定されたレール取付片を吸着してその位置にカーテンの開閉位置を維持するとともに、レール取付片の位置を支障なく通過可能し、カーテンの開閉位置を選択可能とする。
【解決手段】カーテンの上縁を吊持しカーテンレール4に移動可能に取り付けられるカーテン保持具3の保持用ランナー15は、上方に開口した凹部23を備え、凹部23内には、マグネット21が上下動可能に装入されており、レール取付片16は、マグネット21に吸着可能な吸着部43を備えており、しかも締着部41によって、フランジ縁14に対してカーテンレール4に移動可能かつ所望の位置に選択的に固定可能であり、保持用ランナー15は、レール取付片16がカーテンレール4に固定された位置で、マグネット21が上昇してレール取付片16の吸着部43を吸着し、その位置でカーテンを保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーテンの開閉状態を所望の状態に保持するために、カーテンの開閉端部をカーテンレールの長手方向の所定の位置で保持するためにカーテンレールに取り付けられるカーテン保持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンレールにおいて、レール側から係止片を出して先頭ランナーの係止バーに当てて、カーテン上で走行する先頭ランナーを所定位置に停止させるカーテン戻り防止構造は公知である(特許文献1参照)。
【0003】
アコーディオンドアにおいて、レール側にマグネットを固定し、先頭ランナーに鉄製プレートを取り付け、その吸着力によりドアが開いている状態で保持される構成は公知である(特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2001−137106号公報
【特許文献2】実開昭55−178563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1のようなカーテン戻り防止構造は、レール側からレール外側に係止片を出しているために意匠性の高いレールに取付けた場合、意匠を損ねてしまい、また戻り防止は可能であるが、所定位置に保持させることはできない。また、係止片はカーテンレールの天板に一端固定されると、自由にその位置を調整しにくい。
【0006】
また、上記特許文献2に示すものでは、レール側のマグネットは固定式であって任意の位置に移動させることができない。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを目的としており、カーテンの意匠性を損なうことなく、カーテンの開放端部をカーテンレールの長手方向の1又は複数の位置に選択的に保持でき、しかもその1又は複数の位置を、カーテンレールの長手方向に沿って簡単に調整し変更可能なようにすることができるカーテン保持具を実現するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記課題を解決するために、カーテンレールに取り付けられ、保持用ランナーとレール取付片とから成るカーテン保持具であって、前記保持用ランナーは、上方に開口した凹部を備えており、カーテンの上縁を吊持しカーテンレールに移動可能に取り付けられており、前記凹部内には、マグネットが該凹部から抜けでない状態で上下動可能に装入されており、前記レール取付片は、カーテンレールに対して摺動可能な締着部と前記マグネットに吸着可能な吸着部とを備えており、前記締着部は、前記レール取付片を前記保持用ランナーより上方において該カーテンレールに移動可能とし、また該カーテンレールの所望の位置に選択的に固定可能とし、前記保持用ランナーは、前記レール取付片がカーテンレールに固定された位置で、前記マグネットが上昇して該レール取付片の吸着部を吸着して停止し、該位置にカーテンを保持し開閉位置を維持することを特徴とするカーテン保持具を提供する。
【0009】
本発明は上記課題を解決するために、前壁と、後壁と、頂壁と、前壁及び後壁の下部に互いに対向するように形成された軌道縁と、前壁及び後壁の中間部に互いに対向するように形成されたフランジ縁とを備えたカーテンレールに取り付けられ、保持用ランナーとレール取付片とから成るカーテン保持具であって、前記保持用ランナーは、上方に開口した凹部を備えており、カーテンの上縁を吊持しカーテンレールに移動可能に取り付けられており、前記凹部内には、マグネットが該凹部から抜けでない状態で上下動可能に装入されており、前記レール取付片は、前記フランジ縁に対して、摺動可能でありまた締着可能でもある締着部と、前記マグネットに吸着可能な吸着部とを備えており、前記締着部は、前記レール取付片を、前記保持用ランナーより上方において前記カーテンレールに移動可能とし、また該カーテンレールの所望の位置に選択的に固定可能とし、前記保持用ランナーは、前記レール取付片がカーテンレールに固定された位置で、前記マグネットが上昇して該レール取付片の吸着部を吸着して停止し、該位置にカーテンを保持し開閉位置を維持することを特徴とするカーテン保持具を提供する。
【0010】
前記レール取付片の締着部は、前記フランジ縁の上に水平面内で回転できないように載置されており、上下方向にネジが螺着されており、該ネジを回転することにより、前記フランジ縁に対して締め付けられて締着され、又は緩められて前記フランジ縁上を摺動可能となることが好ましい。
【0011】
前記マグネットはヨークで挟持されており、該ヨークは、マグネットとともに前記凹部内に上下動可能に装入されており、該ヨークの上端は前記レール取付片の吸着部に対向可能な位置にあることが好ましい。
【0012】
前記保持用ランナーの凹部の側面には長孔が形成されており、前記ヨークの側面には水平方向に突起が突設されており、該突起は、前記長孔に摺動可能に嵌合されていることが好ましい。
【0013】
前記保持用ランナーは、カーテンレールに沿った移動方向における端部に、前記マグネットとは別の端部マグネットを備えており、該端部マグネットは、該移動方向に向けた吸着面を備えていることが好ましい。
【0014】
前記保持用ランナーの凹部は、カーテンレールに沿った移動方向における端部に形成されており、該移動方向に向けた開口が形成され、マグネットは該移動方向に向けた吸着面を備えている構成としてもよい。
【0015】
前記保持用ランナーの凹部は、カーテンレールに沿った移動方向における端部に形成されており、該移動方向に向けた開口が形成され、前記ヨークの一部は、前記移動方向に向けた開口から突出している構成としてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るカーテン保持具によれば、次のような効果を奏する。
(1)保持用ランナーの上方に開口された凹部に装入されヨークプレートで挟持されたマグネットが、レール取付片の吸着部に対向する位置にくると、レール取付片を吸着して、突起が凹部の長孔に案内されて相対的に上昇し、レール取付片の吸着部を確実に吸着する。従って、保持用ランナーは、その位置で停止し、その位置でカーテンをしっかりと保持し、開閉位置を維持することができる。
【0017】
(2)保持用ランナーの上方に開口された凹部に装入されヨークプレートで挟持されたマグネットは、レール取付片の対向位置以外にあるときは、自重で凹部内に落ち込んで収納されているので、保持用ランナーを、レール取付片の直下を通過させても、ヨークプレートのかしめ部や磁石がレール取付片の吸着部に衝突したり引っ掛かったりすることがない。
【0018】
これにより、カーテンレールの長手方向に沿って複数のレール取付片が固定されている場合に、保持用ランナーを、所望の保持位置ではないレール取付片については、その直下をなんら障害なく通過させることが可能となる。また、カーテン開閉時に、仮に保持用ランナー傾動や跳ね上がりが生じても、ヨークプレートのかしめ部がフランジ縁に当接しにくくなり、カーテン保持具の本体部のスムースな走行乃至カーテンのスムースな開閉動作が可能となる。
【0019】
(3)レール取付片は、水平上部に螺着した固定用ネジにより締着部をカーテンレールのフランジ縁に押しつけることにより簡単に締着し、また緩めることができるから、カーテンレールの長手方向に沿って自由に移動でき所望の位置を選択して簡単に締着可能である。
【0020】
(4)マグネットはヨークプレートでかしめられて挟持され、しかもヨークプレートの側面に形成された突起が凹部側面に形成された長孔で上下動可能かつ抜け止めされているので、マグネットは、ヨークプレート及び凹部から抜け出るようなことはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係るカーテン保持具を実施するための最良の形態を実施例に基づき図面を参照して、以下説明する。
【実施例1】
【0022】
(全体構成)
図1は、片開きカーテン1(一方向にカーテンを引いて開閉するカーテン)の全体構成を示し、図2は、両開きカーテン2(左右方向に左右のカーテンを引いて開閉するカーテン)の全体構成を示す図である。
【0023】
図1及び図2に示す片開きカーテン1及び両開きカーテン2のいずれについても、本発明に係るカーテン保持具3をカーテンレール4に取り付けることにより、カーテン5を所望の開閉状態で維持されるように、カーテンレール4の所定の位置に保持することができる。
【0024】
図3は、本発明に係るカーテン保持具3をカーテンレール4に取り付けた部分を示す図である。なお、本明細書ではカーテンレール4の長手方向であり、カーテンレール4に沿ってカーテン5が移動する方向を左右方向とも言い、カーテン5を正面から見て、カーテン5の正面裏面の方向を前後方向とも言う。
【0025】
カーテンレール4は、図3(a)、(b)に示すように、前壁6、後壁7及び頂壁8から形成されている。前壁6及び後壁7には、それぞれ上部及び下部の側面に水平な上部取付片9及び下部取付片9が突設されている。上部取付片9を化粧板10の上面11に載置し、下部取付片9を化粧板10の内面に形成された溝12に嵌合するようにして、前壁6及び後壁7の前後に化粧板10が装着されている。
【0026】
前壁6及び後壁7の下端には、それぞれ内側に向けて互いに対向するように水平に張り出し、かつカーテンレール4の長手方向に沿って前後一対の軌道縁13が形成されている。また、前壁6及び後壁7の頂壁8と軌道縁13との間の上下方向のほぼ中間位置には、それぞれ内側に向けて互いに対向するように水平に張り出し、かつカーテンレール4の長手方向に沿って前後のフランジ縁14が形成されている。
【0027】
本発明に係るカーテン保持具3の実施例1を説明する。実施例1のカーテン保持具3は、図3(a)、(b)に示すように、保持用ランナー15とレール取付片16とから成る。実際にカーテンに取り付けて利用する場合は、カーテンの態様(例.片開きカーテンか両開きカーテンか等)によって、保持用ランナー15及びレール取付片16は、それぞれ1又は複数個取り付けられる。
【0028】
まず、保持用ランナー15の構成について、図3及び図4を参照して以下に説明する。保持用ランナー15は、樹脂材等から一体成形された本体フレーム17を有する。本体フレーム17は、その前後方向の厚さは、カーテンレール4の前後の軌道縁13の間隔より小さく形成され、前後の軌道縁13の間に嵌合し、カーテンレール4の長手方向に移動可能である。
【0029】
本体フレーム17の上部には、左右方向に間隔をおいて、前後一対の第1の転動ローラー18と、前後一対の第2の転動ローラー19が取り付けられている。第1の転動ローラー18及び第2の転動ローラー19は、カーテンレール4の前後の軌道縁13上を転動する。これにより、保持用ランナー15は、カーテン5を吊るためにカーテンレール4に取り付けられた通常のカーテン吊持用ランナー20(図1及び図2参照)と同様に、カーテンレール4の長手方向に移動可能である。
【0030】
さらに、本体フレーム17の上部には、第1の転動ローラー18と第2の転動ローラー19との間の位置に、第1のマグネット21を装入するための第1の凹部23が形成されている。また、本体フレーム17には、カーテンレール4に沿った移動方向における端部に該移動方向の一方に向けた開口を有する第2の凹部24が形成されている。この実施例1では、本体フレーム17の左端部(図3(b)及び図4(a)参照)に、第2のマグネット22を装着するための第2の凹部24が形成されている。
【0031】
第1の凹部23は、上方に向けて開口しており、さらに、第1の凹部23を形成する前側面部25及び後側面部26に、それぞれ上下方向に長い長孔28が形成されている。第1の凹部23内に、その開口から、第1のマグネット21が、その上面を吸着面として上下方向に可動に装入されている。この実施例1では、第1のマグネット21は、図4(b)、(c)に示すように、前後一対の第1のヨークプレート29で前後方向からかしめられ保護された状態で装入されている。
【0032】
第1のマグネット21の上端周縁は面取りされており、前後一対の第1のヨークプレート29の上端部30は、この面取りされた周縁に沿うように第1のマグネット21をかしめて固定している。第1のヨークプレート29の上端部30は、第1の凹部23の開口から若干上方に突出している。第1のヨークプレート29の前側面及び後側面には、それぞれ長孔28に上下方向に移動可能に嵌合する第1の突起31が外側に向けて突設されている。
【0033】
第1の突起31の外面には、上方から下方に向けて厚みが徐々に薄くなるように内側に向けて傾斜したテーパ面32が形成されている。第1のヨークプレート29で挟持された第1のマグネット21を、第1の凹部23内に装入する場合には、第1の突起31のテーパ面32の下端側から第1の凹部23の開口を少し押し広げるようにして挿入し、第1の突起31を長孔28に嵌合させる。
【0034】
第1の突起31は、長孔28に嵌合すると、そのテーパ面32の上端は厚肉となっているので、開口を人為的に押し広げない限り、長孔28から抜け出すことがなく、第1のヨークプレート29及び第1のマグネット21は第1の凹部23から抜けない。
【0035】
以上の構成から成る第1のヨークプレート29で挟持された第1のマグネット21は、第1の凹部23内に装入されているが、第1の突起31が長孔28を上下方向に摺動可能な範囲内で、第1のヨークプレート29で挟持された第1のマグネット21も上下方向に移動可能である。
【0036】
第2の凹部24を形成する前側面部33及び後側面部34(図3(a)参照)には、それぞれ、図4(d)に示すような丸孔35が形成されている。第2の凹部24内に、その開口から、前後一対の第2のヨークプレート36で前後方向からかしめられて挟持された第2マグネット22が、左側面を吸着面として装着されている。
【0037】
第2のマグネット22が第2ヨークプレートで前後方向からかしめられ挟持される構造は、第1のマグネット21が一対の第1のヨークプレート29でかしめられて挟持される構成と同じである。第2のヨークプレート36の上端部は、第2の凹部24の開口から若干側方に突出している。一対の第2のヨークプレート36の前側面部33及び後側面部34には、それぞれ第1の突起31と同様にその外面にテーパ面を有する第2の突起37が形成されている。
【0038】
一対の第2のヨークプレート36で挟持された第2のマグネット22は、第2の突起37の薄肉側から第2の凹部24の開口を押し広げるようにして、開口から第2の凹部24内に挿入し、第2の突起37を丸孔35に嵌合させる。第2の突起37は、丸孔35に嵌合すると、そのテーパ面の一端側は厚肉となっているので、丸孔35から抜けだすことがなく、第2のヨークプレート36は第2の凹部24から抜けない。第2の突起は第1の突起31と異なり、長孔ではなく丸孔35に嵌合するので、丸孔35内では移動しない。
【0039】
本体フレーム17の下部には、左右方向に間隔をおいて2つの吊持部38が形成されている。この吊持部38には取付孔が形成されており、これにカーテンリング39を挿通して取付け、カーテン5の開放端部40の上縁を吊持することができる。なお、本実施例1では、保持用ランナー15はカーテン5の開放端部40の上縁を吊持する構成で説明するが、必ずしも保持用ランナー15はカーテン5の開放端部40を吊るのではなく、カーテン5の他の部分の上縁を吊るようにしてもよい。
【0040】
次に、レール取付片16について、図3及び図5を参照して以下に説明する。図5(a)は左側面図を示し、図5(b)は、カーテンレール4の長手方向に沿ったレール取付片16の垂直断面を示す図である。レール取付片16は、マグネットに吸着される鉄片等の材料で形成されている。
【0041】
レール取付片16は、図5(a)、(b)に示すように、締着部41(水平上部)、垂直中間部42、及び吸着部43(水平下部)を備えており、全体形状は、断面が略クランク形状に形成されている。レール取付片16の垂直中間部42及び吸着部43は、その前後方向幅が前後一対のフランジ縁14の間の寸法より小さく形成されており、前後一対のフランジ縁14の間で、カーテンレール4の長手方向に移動可能である。
【0042】
吸着部43は、第1のヨークプレート29で挟持された第1のマグネット21が対向する位置(図3(b)参照)にくると、第1のマグネット21の磁力によって、第1のヨークプレート29のかしめ部に吸着される。この際、第1のヨークプレート29は、第1の突起1が長孔28で案内されて、第1のマグネット21とともに、レール取付片16に対して相対的に上昇し、吸着部43が第1のヨークプレート29に吸着されると、保持用ランナー15はその位置で保持される。
【0043】
締着部41は、水平部44と前後端の垂直部45から断面略門型に形成されている。そして、締着部41は、その前後方向の幅は、カーテンレール4の前壁6及び後壁7の間に嵌合して長手方向に移動可能であるが、水平面内では回転しないような寸法に形成されている。前後の垂直部45は、図3に示すように、それぞれ下端がカーテンレール4の前後のフランジ縁14に載置される。締着部41の水平部44には、上下方向に貫通したネジ孔が形成されており、このネジ孔に下方から固定用ネジ46が螺着されている。
【0044】
締着部41を、カーテンレール4の前後のフランジ縁14に載置した状態で、固定用ネジ46を一方向に回転すると、レール取付片16は下方に移動し、締着部41でカーテンレール4の前後のフランジ縁14を締め付ける。これにより、レール取付片16はカーテンレール4に固定される。
【0045】
また、固定用ネジ46を逆方向に回転すると、締着部41のフランジ縁14に対する締め付けを緩め、緩着状態となる。この状態では、締着部41はフランジ縁14上で摺動可能であり、レール取付片16はカーテンレール4に沿って長手方向に移動可能となる。
【0046】
(作用)
実施例1のカーテン保持具3の作用を、そのカーテンレール4への取付け及び使用状態等とともに、以下、図1〜6を参照して説明する。保持用ランナー15をカーテンレール4に取り付ける場合は、カーテンレール4のエンドキャップ47を取り外し、カーテンレール4の端部開口から装入する。この場合、本体フレーム17の下部は、前後の軌道縁13の間の開口にカーテンレール4の長手方向に移動可能に嵌合し、第1の転動ローラー18と第2の転動ローラー19は軌道縁13上に載置し転動可能な状態となるようにする。
【0047】
レール取付片16は、保持用ランナー15と同様に、カーテンレール4の端部開口から装入する。この場合、レール取付片16の吸着部43は、カーテンレール4の前後フランジ縁14の間の隙間に、カーテンレール4の長手方向に移動可能に嵌合し、締着部41をカーテンレール4の前後のフランジ縁14に載置した状態とする。
【0048】
この状態では、カーテンレール4の長手方向に移動可能である。そして、カーテンレール4の長手方向の所望の位置において、固定用ネジ46を回転してレール取付片16は下方に移動し、締着部41でカーテンレール4の前後のフランジ縁14を締め付ける。これにより、レール取付片16は、カーテンレール4の所定の位置に、選択して固定される。
【0049】
カーテン5は、その上縁を走行可能に装着された複数のカーテン吊持用ランナー20を介してカーテンレール4に取り付けられるが、その開放端部40の上縁をカーテンリングを介して保持用ランナー15の吊持部38に取り付けられる。
【0050】
そして、カーテン5をカーテンレール4の長手方向に開閉し、その開閉動作に応じてカーテン保持具3がカーテンレール4の軌道縁13上で走行する。第1のヨークプレート29で挟持された第1のマグネット21は、常時はその自重で第1の凹部23内に落ち込んで収納された状態にある。
【0051】
従って、保持用ランナー15を、レール取付片16の直下を通過させても、第1のヨークプレート29の上端部30が、レール取付片16の吸着部43に衝突したり、引っ掛かったりすることがない。これにより、カーテンレール4の長手方向に沿って複数のレール取付片16が固定されている場合でも、保持用ランナー15を、保持すべき所望の位置ではないレール取付片16については、その直下をなんら障害なく通過させることが可能となる。
【0052】
また、カーテン5を勢いよく、或いは不自然に引っ張ったりして開閉したりして、保持用ランナー15が傾いたり、跳ね上がったりしても、第1のヨークプレート29の上端部30が上方のフランジ縁14に当接したりすることはなく滑らかな開閉操作が可能となる。
【0053】
第1のヨークプレート29で挟持された第1のマグネット21が、レール取付片16の吸着部43に対向する直下の位置にくると、吸着部43が第1のマグネット21に吸着される。これにより、第1の突起31が長孔28内でスムースに案内されながら、第1のヨークプレート29で挟持された第1のマグネット21は、レール取付片16に対して相対的に上昇し、保持用ランナー15は、そのレール取付片16の固定位置で確実に保持される。この結果、カーテンの開放端部40は、レール取付片16の位置で保持され、開閉状態が維持される。
【0054】
さらに、カーテンレール4に装着されるカーテン保持具3の使用例を、図1及び図2において説明する。
【0055】
図1に示すような片開きカーテン1においては、保持用ランナー15は、その第2のヨークプレート36で挟持された第2のマグネット22が開放端側(右側)に向くようにカーテンレール4に装着される。そして、保持用ランナー15に、カーテンの開放端部40の上縁がカーテンリング39を介して取り付けられている。
【0056】
レール取付片16は、複数個用いられ、カーテンレール4に沿って、カーテン5を保持したい所望の複数の箇所に間隔をおいて固定される。図1に示す例では、レール取付片16は、カーテンレール4の左端部、右端部、及びカーテンレール4の両端部の間の所望の1又は複数の位置に、固定されている。
【0057】
カーテン5を開き、保持用ランナー15を、左端部に固定されたレール取付片16の位置で保持すれば、カーテンを最も開いた際に保持することができる。カーテン5を閉じて、保持用ランナー15を、右端部に固定されたレール取付片16の位置で保持すれば、カーテン5を閉じた状態で保持することができる。また、カーテンレール4の両端部の間の所望位置に固定されたレール取付片16の位置で保持すれば、カーテン5をその位置まで開いた状態で保持できる。
【0058】
なお、レール取付片として、カーテンレール4の端部に、図1の右下にその要部拡大図を示すが、水平な締着部48及び垂直部49とから成る断面略L型の形状のレール取付片50を用いてもよい。締着部48は、レール取付片16の締着部41と同じ構造であり、フランジ縁14に対して締め付けて固定される。そして、垂直部49には、クランク状の吸着部51が形成されており、この吸着部51が、保持用ランナー15の第2の第2のヨークプレート36で挟持された第2のマグネット22に吸着されてカーテン5を閉じた位置に保持することもできる。
【0059】
図2に示すような両開きカーテン2では、互いに対向するように左右の保持用ランナー15がカーテンレール4に取り付けられる。この左右の保持用ランナー15は、それぞれ第2のヨークプレート36で挟持された第2のマグネット22が、互いに対向して開放端側に向くようにカーテンレール4に装着される。そして、左右の保持用ランナー15に、それぞれカーテンの開放端部40の上縁がカーテンリング39を介して取り付けられている。
【0060】
レール取付片16は、片開きカーテン1の場合と同様に、カーテンレール4の左端部、右端部、及びカーテンレール4の両端部の間の所望の1又は複数の位置に、取り付けられている。
【0061】
両開きカーテン2では、両開きカーテン2を閉じた際に、図6に示すように、左右の保持用ランナー15は、それぞれの第2のマグネット22が互いに吸着しあうことにより結合し、この結果、左右のカーテン5が互いに閉じられた状態で保持される。
【0062】
なお、両開きカーテン2においても片開きカーテン1と同様に、レール取付片として、カーテンレール4の端部に、水平な締着部48及び垂直部49から成る断面略L型の形状のレール取付片50を用いてもよい。
【実施例2】
【0063】
図7は、本発明に係るカーテン保持具3の実施例2を説明する図である。この実施例2は、実施例1と同様に、図7(a)、(b)に示すように、保持用ランナー52とレール取付片16とから成る。レール取付片16は、実施例1と同じである。保持用ランナー52は、実施例1とほぼ同じであるが、実施例1と相違する実施例の特徴的な構成を中心に、以下に説明する。
【0064】
保持用ランナー52の本体フレーム53は、保持用ランナー52の移動方向の端部(図7(b)の左端部)に、凹部54が形成されている。この凹部54は、実施例1と同様に、その前後面に長孔55が形成されており、ヨークプレート56でかしめられて挟持されたマグネット57が、ヨークプレート56の前後面に突設された突起58が長孔55内を案内され、上下動可能に装入されている。
【0065】
この実施例の凹部54は、上方だけでなく、移動方向(図7(b)では左方)に向けても側方に開口が形成されており、1つのマグネット57を、その上面と移動方向に向く左側面を吸着面として使用するものである。マグネット57をかしめて挟持するヨークプレート56の上端部59が、上方に向いた開口から突出するとともに、ヨークプレート56の左端部60が左側方の開口から突出している。
【0066】
要するに、実施例2は、実施例1の第1の凹部23内に装入された第1のヨークプレート29で挟持された第1のマグネット21と、第2の凹部24内に装入された第2のヨークプレート36で挟持された第2のマグネット22を、1つの凹部54内に装入されたヨークプレート56で挟持された1つのマグネット57で済ませる構成を特徴とするものである。この実施例2の作用は、実施例1と同じであるので、その説明は省略する。
【0067】
なお、上記実施例1及び実施例2はいずれも、第1の転動ローラー18及び第2の転動ローラー19、即ち転動ローラーによって、カーテン吊持用ランナーがカーテンレールに沿って移動する構成であるが、カーテン吊持用ランナーが摺動子を備えており、この摺動子で摺動してカーテンレールに沿って移動する構成のものでもよい。
【0068】
以上、本発明に係るカーテン保持具を実施するための最良の形態を実施例に基づいて説明したが、本発明はこのような実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内でいろいろな実施例があることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上の構成から成る本発明に係るカーテン保持具は、カーテンレールにカーテンランナーを転動させて開閉するタイプのカーテンであれば、各種のカーテンに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係るカーテン保持具を備えた片開きカーテンを示す図である。
【図2】本発明に係るカーテン保持具を備えた両開きカーテンを示す図である。
【図3】本発明の実施例2を説明する図であり、(a)は(b)のA−A断面図であり、(b)は要部を正面から見た一部破断図である。
【図4】本発明の実施例1の保持用ライナーを説明する図であり、(a)は正面図、(b)は(a)の要部Bの拡大図、(c)は(b)のA−A断面図であり、(d)は(a)の要部Dの拡大図である。
【図5】本発明の実施例1のレール取付片を説明する図であり、(a)は側面図、(b)は正面図、(c)は斜視図である。
【図6】本発明の実施例1の使用状態を説明する図である。
【図7】本発明の実施例2を説明する図であり、(a)は(b)のA−A断面図であり、(b)は要部を正面から見た一部破断図である。
【符号の説明】
【0071】
1 片開きカーテン
2 両開きカーテン
3 カーテン保持具
4 カーテンレール
5 カーテン
6 カーテンレールの前壁
7 カーテンレールの後壁
8 カーテンレールの頂壁
9 カーテンレールの上部及び下部取付片
10 化粧板
11 化粧板上面
12 化粧板の溝
13 軌道縁
14 フランジ縁
15 保持用ランナー
16 レール取付片
17 保持用ランナーの本体フレーム
18 第1の転動ローラー
19 第2の転動ローラー
20 カーテン吊持用ランナー
21 第1のマグネット
22 第2のマグネット
23 第1の凹部
24 第2の凹部
25 第1の凹部の前側面部
26 第1の凹部の後側面部
28 第1の凹部の長孔
29 第1のヨークプレート
30 第1のヨークプレートの上端部
31 第1の突起
32 第1の突起のテーパ面
33 第2の凹部の前側面部
34 第2の凹部の後側面部
35 丸孔
36 第2のヨークプレート
37 第2の突起
38 吊持部
39 カーテンリング
40 カーテンの開放端部
41 締着部
42 垂直中間部
43 吸着部
44 締着部の水平部
45 締着部の前後端の垂直部
46 固定用ネジ
47 エンドキャップ
48 水平な締着部
49 垂直部
50 レール取付片
51 吸着部
52 保持用ランナー
53 本体フレーム
54 凹部
55 長孔
56 ヨークプレート
57 マグネット
58 突起
59 ヨークプレートの上端部
60 ヨークプレートの左端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンレールに取り付けられ、保持用ランナーとレール取付片とから成るカーテン保持具であって、
前記保持用ランナーは、上方に開口した凹部を備えており、カーテンの上縁を吊持しカーテンレールに移動可能に取り付けられており、
前記凹部内には、マグネットが該凹部から抜けでない状態で上下動可能に装入されており、
前記レール取付片は、カーテンレールに対して摺動可能な締着部と前記マグネットに吸着可能な吸着部とを備えており、
前記締着部は、前記レール取付片を前記保持用ランナーより上方において該カーテンレールに移動可能とし、また該カーテンレールの所望の位置に選択的に固定可能とし、
前記保持用ランナーは、前記レール取付片がカーテンレールに固定された位置で、前記マグネットが上昇して該レール取付片の吸着部を吸着して停止し、該位置にカーテンを保持し開閉位置を維持することを特徴とするカーテン保持具。
【請求項2】
前壁と、後壁と、頂壁と、前壁及び後壁の下部に互いに対向するように形成された軌道縁と、前壁及び後壁の中間部に互いに対向するように形成されたフランジ縁とを備えたカーテンレールに取り付けられ、保持用ランナーとレール取付片とから成るカーテン保持具であって、
前記保持用ランナーは、上方に開口した凹部を備えており、カーテンの上縁を吊持しカーテンレールに移動可能に取り付けられており、
前記凹部内には、マグネットが該凹部から抜けでない状態で上下動可能に装入されており、
前記レール取付片は、前記フランジ縁に対して、摺動可能でありまた締着可能でもある締着部と、前記マグネットに吸着可能な吸着部とを備えており、
前記締着部は、前記レール取付片を、前記保持用ランナーより上方において前記カーテンレールに移動可能とし、また該カーテンレールの所望の位置に選択的に固定可能とし、
前記保持用ランナーは、前記レール取付片がカーテンレールに固定された位置で、前記マグネットが上昇して該レール取付片の吸着部を吸着して停止し、該位置にカーテンを保持し開閉位置を維持することを特徴とするカーテン保持具。
【請求項3】
前記レール取付片の締着部は、前記フランジ縁の上に水平面内で回転できないように載置されており、上下方向にネジが螺着されており、該ネジを回転することにより、前記フランジ縁に対して締め付けられて締着され、又は緩められて前記フランジ縁上を摺動可能となることを特徴とする請求項2記載のカーテン保持具。
【請求項4】
前記マグネットはヨークで挟持されており、該ヨークは、マグネットとともに前記凹部内に上下動可能に装入されており、該ヨークの上端は前記レール取付片の吸着部に対向可能な位置にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーテン保持具。
【請求項5】
前記保持用ランナーの凹部の側面には長孔が形成されており、前記ヨークの側面には水平方向に突起が突設されており、該突起は、前記長孔に摺動可能に嵌合されていることを特徴とする請求項4記載のカーテン保持具。
【請求項6】
前記保持用ランナーは、カーテンレールに沿った移動方向における端部に、前記マグネットとは別の端部マグネットを備えており、該端部マグネットは、該移動方向に向けた吸着面を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカーテン保持具。
【請求項7】
前記保持用ランナーの凹部は、カーテンレールに沿った移動方向における端部に形成されており、該移動方向に向けた開口が形成され、マグネットは該移動方向に向けた吸着面を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカーテン保持具。
【請求項8】
前記保持用ランナーの凹部は、カーテンレールに沿った移動方向における端部に形成されており、該移動方向に向けた開口が形成され、前記ヨークの一部は、前記移動方向に向けた開口から突出していることを特徴とする請求項4又は5記載のカーテン保持具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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