説明

カーテン式塗布機

【課題】変動する稼働条件下で出口幅方向全体に渡って塗布媒体を高い均一性で分布させる。
【解決手段】紙もしくはボードウェブ上のカーテン式塗布機で、供給された塗布媒体の体積流量を調節するデバイスを備える少なくとも2つの供給ライン12を介して塗布媒体が供給され放出幅方向に延びる空隙7を含むホッパー1と、外部スロットを介して塗布媒体をカーテンの態様で放出するフローチャネル6を備える。このフローチャネル6は、ディフューザブロックの多数の広がりガイドチャネル6.1-6.nに分割され、ディフューザブロックは、少なくとも複数の領域で放出幅方向に複数のセクション7.1-7.nに分割された空隙7に注入口側で隣接し、前記複数のセクション7.1-7.nの各々は、供給ライン12に接続され、ディフューザブロックの複数のガイドチャネル6.1-6.nを橋渡しするピッチを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実質的に重力下で移動するカーテン又は薄膜の態様で、移動する基板、特に、紙もしくはボード上に、液体又は糊状の塗布媒体を放出するカーテン式塗布機に関する。
【背景技術】
【0002】
カーテン式塗布機がノズルチャンバを備えており、ノズルチャンバに塗布媒体が供給ラインを介して供給され、出口の開口から塗布媒体がカーテン(curtain)又は薄膜(film)の態様で放出されることは、DE10057733A1から公知である。この場合、カーテン式塗布機は、基板から離れて配置されるため非接触塗布という利点がある。
カーテンを形成するために、カーテン式塗布機(カーテン・アプリケータ)を、スロット供給型カーテンダイあるいはスライド供給型カーテンダイと共に使用することができる。単一層のカーテン式塗布機のスロット供給型カーテンダイ(スロット供給ダイ(slot-fed die))の場合には、ダイギャップの出口でカーテンが形成される。スロットダイを備えるカーテン式塗布機は、例えば、DE19716647A1とDE102005017547A1から公知である。スライドダイは、多層のウェブ(web)被覆を行う際に使われる。スライドダイの場合には、最初に、空隙からの塗料が外部スロットに流れ出る。外部スロットからの塗料は、斜面に流れ込み、そこで塗料は上層を覆い、次にノズルリップに達する。カーテンは、ノズルリップの出口端でのみ形成される。スライドダイについては、例えば、WO 01/54828 A1とWO 2005/024133A1に記載がある。
【0003】
ノズルの散布システムは、移動するウェブ上に配置され、ノズルリップとウェブの間に位置付けられる。スライドダイの問題は、散布システムとノズルのための空間がカーテンの高さによって強く制約されることである。それは通常100mm〜250mmである。
カーテン式塗布機が紙もしくはボードウェブを塗布中には、紙幅方向全体に渡ってできる限り均一に塗料を塗るように意図される。湿った膜の厚みは、ウェブの全表面においてできる限り一定となる必要がある。しかしながら、塗布幅全体に渡って均一な厚さの塗布媒体カーテンを実現することは、塗布幅が広ければ広い程難しい。ウェブの移動速度が高い場合、塗布媒体カーテンの安定性を維持するためにはさらに高い負荷がかかる。何故ならば、基板に衝突する直前の速度と移動する基板の移動速度とが異なるために、後者が基板と接触するとすぐに延びる(stretched)からである。高品質な塗布を実現するために、塗布媒体カーテンの均一性は非常に重要であり、その均一性に基づいて後者は放出ノズルの外部スロットから放出される。このことは、塗布媒体が実質的に最終的に測定された形で基板に導かれるように意図される場合に当てはまる。このことは、それが「1:1」の塗布であり、さらに、ごく小量の塗布媒体のみが基板に適用される、即ち、塗布重量が小さいであることを意味する。
【0004】
従って、湿った膜の厚みは、ウェブ表面全体に渡ってできるだけ一定である必要がある。このための基本的な前提条件は、体積流量と速度に関して、出口幅に渡り塗料を均一に散布することである。この要件は、特に、例えば、8m〜10mの大きな塗布幅と、例えば、2〜10g/m2の低い塗布重量の場合に対応することは特に難しい。色塗料の粘性と塗布量の変動幅が大きいなどの稼働条件の変動があるため、湿った薄膜を均一に塗布することを達成するための要件がさらにある。
【0005】
体積流量と材料パラメータが大きく変化する場合に最も均質な散布可能性を達成するために、側供給型二空隙ダイとして知られる2つの空隙を備える散布システムが公知のものである。ステファン・エフ・キスター(Stephan F. Kistter)とペーター・エム・シュバイツァー(Peter M. Schweizer)著の「流体膜コーティング、科学的原理とその技術的意味」、チャップマン&ホール(Chapman & Hall)出版、ニューヨーク、1997年、752〜767頁を参照されたい。第1の空隙における散布後、塗料(化合物)は第1の測定スロットを通って第2の空隙に導かれる。測定スロットは高流体抵抗を生成する必要がある。
第1の空隙での高流体抵抗によって得られる圧力は、流れ方向における横方向の圧力損失よりも実質的に高い。第1の空隙(cavity)における全圧力と比較して、第1の空隙における流れ方向における圧力差は非常に小さい。測定スロットにおける圧力分布と体積流量密度の分布は、結果的には、体積流量と材料パラメータが大きく変化する場合には、ほぼ一定である。残りの偏差については第2の空隙で均一化される。高流体抵抗を生成するために、測定スロットを200μmから500μmの範囲内の小寸法にする必要がある。出口幅方向における体積流量偏差は、1〜2%の散乱範囲を超えてはならない。この目的のために、測定スロットを形成する平坦部は、平行度(parallelism)の偏差が±1μmから3μmの範囲内に入るように構成される必要がある。測定スロットの長さは通常20mm〜40mmである。その寸法の平坦部を要求された精度で作るには、特に、10メートル〜12メートルという広い塗布幅の場合、多大な努力が必要になり、相当なコストがかかる。
【0006】
DE19755625A1では、ホッパーが所望の塗布幅に相当する長さの2つの壁状部から構成されるカーテン式塗布機を開示している。その2つの部分の接合後、空隙を構成する縦溝が機械加工されて、2つの部分のうちの一方の長辺となる。塗布幅に渡り延びる出口チャネルは、空隙に接続され、そこから色塗料が出現する。例えば、粘性変動や塗装量の変動などの変動する条件下で、塗布幅にかかる問題がなく少量の色塗料を幅の広い紙もしくはボードウェブに均一に塗布することを可能にするため、供給される体積流量は空隙における流れの状態に作用する。この目的のために、少なくとも2つの供給チャネルが空隙に接続される。その各々は、供給される色塗料の体積流量を調節するデバイスを備える。体積流量調節には、チューブ・ピンチもしくはダイヤフラム弁を使用することが好ましい。従って、各供給チャネルの体積流量は個別に調節される。さらに均一化するために、その空隙と放出路の間に第2の空隙を配置する。第1の空隙と第2の空隙の間にはさらにフローチャネルがある。チューブピンチバルブとダイヤフラム弁は、塗料顔料が堆積しないように、体積流量調節のために使うことが好ましい。供給チャネルに必要な空間を最小限にするために、ガイドチャネルは空隙に接続され、側端方向に対して垂直に曲げられる。壁上での流れが分離して色塗料が分離しないように、曲がり半径の大きな供給チャネルの境界壁が使われる。
【0007】
供給チャネルの広がり(widening)は、チャネルフローの速度分布が高い対称性を示して逆流しないように意図されている。従って、広がり角は臨界値未満となる必要がある。色塗料の粘性が低ければ、広がり角は、例えば、8度から12度と比較的小さくなる。高粘性の場合は、供給チャネルでは、例えば、20度から25度の大きな広がり角が実施可能である。この解決手段の欠点は、供給チャネル間の距離と供給チャネルの寸法が大きくなるように選ぶ必要があることである。供給チャネルの接続間隔は、100mmから1500mmまでの範囲内であり、好適には500mmから800mmの間である。間隔がより狭い場合は、追加的制御要素が必要となるため、カーテン式塗布機のコストが著しく増加する。さらなる欠点は、供給チャネルが非常に広い空間を占有することであり、特に、広がり角が小さな場合は問題である。このことは、特に、スライドダイ上での実施が技術的に不可能であることを意味する。何故ならば、この目的のために利用可能な空間がカーテンの高さによって強く制限されるからである。
【0008】
WO 2005/024132では、断面と流体抵抗が変更可能な送り孔(feed holes)を備えるノズルユニットが開示されている。その結果、各孔における体積流量の規制が可能である。送り孔は、マシン幅供給チャンバと補償チャンバの間に、出口幅方向に互いに距離を置いて配置される。本設計では空間に対する要求は低いが、本目的のために、送り孔からの各部分流が再び合流するマシン幅の供給チャンバにおける最適な流れ状態を達成するには、送り孔を互いにごく近距離に配置する必要があるという欠点がある。従って、送り孔を極めて小さくする必要がある。しかしながら、閉塞が発生する危険性が非常に高く、それが製造を混乱させる可能性があるため、それは全く望まれないことである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、塗布媒体の粘性と体積流量に関して変動する稼働条件下で、出口幅方向全体に渡ってコーティング(塗布)媒体を高い均一性で分布させることを保証し、製造工程においてはコスト効率が良く生産可能なカーテン式塗布機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は請求項1の特徴によって達成される。
本発明によれば、体積流量の作用と、マシン幅の外部スロットにおける等速度プロファイルの生成は、2つの異なる機能要素で別々に起こる。ここで、空間に対する必要性は低いため、本発明の解決方法をスライドダイにも適用可能である。
【0011】
体積流量に対する調整可能な作用は、区域毎に調整可能な体積作用である。その目的のために、別個のデバイスが提供される。このデバイスは、少なくとも2つの供給チャネルを空隙に接続する。この空隙は、少なくとも幾つかの領域で、放出幅方向に複数のセクションに細分化され、中間チャンバを形成する。外部スロット(フローギャップ)における等速度プロファイルを生成するために、多くのガイドチャネルから構成されるディフューザブロックが提供される。区域毎に体積流量に作用させるために、複数のセクションに細分化された中間チャンバの分割数は、ディフューザブロックのガイドチャネルの分割数よりも少ない。
【0012】
このことから、一方では体積流量の作用のために、他方では速度プロファイルの作用のために、異なるピッチが与えられる。中間チャンバの各々のピッチは、ディフューザブロックのピッチの整数倍であることが好ましい。本発明によれば、速度プロファイルの均一化を達成するこの方法で、(内部の)測定スロットが、順に多数のガイドチャネルと置換えられる。各ガイドチャネルは、円形断面を有することが好ましい管セクションと、ガイドチャネルのディフューザとして知られる、流れ方向に後続するチャネルフローの広がり部(widening)を備えていてもよい。ガイドチャネルはほぼ等しい流体抵抗を生み出す。
さらに、以下の記載とサブクレームから、本発明を改良した態様を把握することができる。
本発明は、添付の図面で示された代表的な実施形態を使って以下で詳述される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の典型的実施形態のスライドダイのカーテン式塗布機のホッパーの断面の模式的に示す図である。
【図2】図1のA−Aによる塗布機の流れの幅方向におけるホッパーの断面を模式的に示す図である。
【図3】第2の典型的実施形態の塗布機の流れの幅方向におけるホッパーの断面を模式的に示す図である。
【図4】第3の典型的実施形態のスライドダイのカーテン式塗布機のホッパーの断面を模式的に示す図である。
【図5】第4の典型的実施形態のスロットダイのカーテン式塗布機のホッパーの断面を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、実質的に重力下で、移動するカーテンの形態で、コーティング(塗布)媒体を、移動する紙もしくは板紙上に放出するカーテン式塗布機に関する。
図1と図2に示されているように、カーテン式塗布機はホッパー(ノズル本体)1を備え、スライドダイの場合にはその上面には供給リップ2が形成される。外部スロット3から出力される塗布媒体は、塗布デバイス下で移動し塗布される紙もしくはボードウェブ(board web)の表面に達することできるように、供給リップ2上を流れる。外部スロット3は、外部スロット3を介して、流れるカーテンもしくは落下するカーテンの態様で、塗布媒体を放出するフローチャネル6の端セクションを構成する。
【0015】
ホッパー1は、放出幅方向に延びるマシン幅供給チャンバ14を備える。この供給チャンバ14は少なくとも2つの供給ライン12に供給する。供給ライン12は、放出幅方向に延びる(内部)空隙7に塗布媒体を供給する。各ケースの供給ライン12は、供給された塗布媒体の体積流量を調節するデバイスを備える。このデバイスは、それぞれ、弁10と作動シリンダ11と作動モータ13であることが好ましい。
空隙7は、体積流量に作用するデバイス8に属し、少なくとも幾つかの領域で放出幅方向に、セクション7.1、7.2、7.3に分割される。これらのセクション7.1、7.2、7.3の各々は供給ライン12に接続される。セクション数は、7.1から7.nの範囲で選択可能である。
【0016】
フローチャネル6は、注入口側で、空隙7に隣接するディフューザブロックの多数の広がりガイドチャネル6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9に分割される。断面7.1、7.2、7.3を備える空隙7は中間チャンバを構成する。中間チャンバは、区画毎に体積流量を作用させるデバイス8によって供給された部分流を個々のガイドチャネル6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.7、6.8、6.9に送る。空隙7の分割数がフローチャネル6の分割数と異なるという段落ち(graduation)がある。空隙7の分割数はフローチャネル6の分割数よりも少ない。これから、空隙7の断面7.1、7.2、7.3の各々が、ディフューザブロックの複数のガイドチャネル6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9の橋渡し(span)を行うピッチを備えていることになる。図2によって、セクション7.1、7.2、7.3はそれぞれ、3個のガイドチャネル6.1、6.2、6.3と、6.4、6.5、6.6と、6.7、6.8、6.9の橋渡しをしている。図3によれば、セクション7.1は、10個のガイドチャネル6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、6.10の橋渡しを行う。
【0017】
従って、区画毎に調整可能な体積流量の作用を可能にするために、流れの横方向に複数のセクション7.1-7.nに細分化された一つのデバイス8が提供される。外部スロット3で等速度プロファイルを生成するため、フローチャネル6は、多数のガイドチャネル6.1-6.nを備えるディフューザ(diffuser)ブロックとして構築される。
セクション7.1-7.nのピッチはガイドチャネル6.1のピッチよりもかなり大きいことが好ましく、特に、ガイドチャネル6.1-6.nのピッチの整数倍であることが好ましい。結果として、先行技術よりも制御要素の数を減らし、それに伴って投資額を低く抑えるために、ガイドチャネル6.1-6.n(区画幅)間の距離を長くするように選択することが可能である。各ケースにおけるガイドチャネル6.1-6.nのうちの2個の接続間隔は、15mmから300mmの範囲から選択可能であり、20mmから50mmの範囲内の値であることが好ましい。
【0018】
セクション7.1-7.nとガイドチャネル6.1-6.nのピッチは、2:10から3:5までの比から選択可能である。マシン幅方向に空隙7を区分化して実施することが好ましい。
セクション7.1-7.nの各々は、好ましくは一つの弁10を介して供給ライン12に接続され、その結果、供給チャンバ14に接続される。必要とされる空間を最小限にするために、弁10は作動シリンダ11を備えることが好ましい。この作動シリンダ11は、それ自体の軸の回りを回転可能であり、90度に流れをそらすL形フローチャネルを備える。作動シリンダ11は作動モータ13によって調節される。
供給チャンバ14には塗布媒体が少なくとも1ライン(不図示)を介して供給される。図1に示されているように、供給される塗布媒体の流れ方向は供給チャンバ14から始まる。さらに、ホッパーは、外部スロット3を介してカーテンの態様で塗布媒体を放出する外部空隙4を備えることが好ましい。
【0019】
図2と図3に示されているように、ガイドチャネル6.1-6.nは次のように設計されている。即ち、注入口側で放出幅方向に、ガイドチャネル6.1-6.nが、互いに間隔をあけて配置された管セクションによって、空隙7のセクション7.1-7.nに接続される。管セクションの長さと開口幅は、放出幅方向の流体抵抗を均一化するために、選択可能である。流れ方向Sにおいて、各管セクションは、ガイドチャネル6.1-6.nからの部分流を出口側で連結するディフューザに合流する。ガイドチャネル6.1-6.nの各々からの部分流を外部空隙4へ入る前に再び合流させるために、外部空隙4とガイドチャネル6.1-6.nのディフューザの出口側端の間に、フローチャネルの高さの残りの部分をマシン幅の測定スロット5の形に形成してもよい。間隔をあけて配置されて広がるガイドチャネル6.1-6.nを、ホッパー1の本体に配置することが好ましい。
【0020】
ガイドチャネル6.1-6.nは、区分化した空隙7から、塗布機の流れの幅方向に対して垂直方向に延び、即ち、移動する紙もしくはボードウェブのマシン幅方向(CD)に対して垂直方向に延びることが好ましい。この端に対してガイドチャネル6.1-6.nを一列に配置することが好ましい。
このことが、セクションチャネル9が体積流量に作用するデバイス8に属することと同様に好ましい。尚、区分化した空隙7はセクションチャネル9を介して供給ライン12に接続される。各セクション7.1-7.nは、供給ライン12を介して塗布媒体が供給されるセクションチャネル9に接続されることが好ましく、供給される体積流量(volume flow)は各弁10によって調整可能である。従って、セクション7.1-7.nに対応する数のセクションチャネル9と供給ライン12も提供される。
【0021】
ガイドチャネル6.1-6.nの放出幅方向の流体抵抗は、実質的に等しく、少なくとも、1mwc(9.81kPa)である。ガイドチャネル6.1-6.nの管セクションは円形断面を備えることが好ましい。放出幅もしくは出口幅の1メートル当たりのガイドチャネル6.1-6.nの数は任意である。ガイドチャネル数は3から66までの範囲内の値であることが好ましい。エッジフローを和らげるために、出口幅方向におけるガイドチャネル間の距離の設定を可変的にすることは有利である。流体力学の観点から、ガイドチャネル6.1-6.nを次のように形成することは有利である。即ち、流れ方向Sで見られるそれらの端部で望まれない渦流分離が発生しないように、ガイドチャネル6.1-6.nが0.3mm未満の頂部幅の平滑端、あるいは丸端を備えることである。
【0022】
ディフューザ・フローの速度分布が高い対称性を示して逆流が起きないように、ガイドチャネル6.1-6.nを広げることは好ましい。塗料の粘性が高く、また、比較的低速であるため、これは発散ジェフリー-ハメル(Jeffery-Hamel)流である。広がり角は25度未満であることが好ましく、特に、ディフューザの軸と壁の間(二等分線)であればよい。
流れに触れるカーテン式塗布機の部分には、機械的化学的にストレスがかかる。従って、各モジュール内にガイドチャネル6.1-6.nを形成することは有利である。例えば、各モジュール内に2個から10個、特に、3個から5個のガイドチャネル6.1-6.nを備える。その結果、例えば、変更された操作ウィンドウに適応するためにモジュールを簡単に交換することができる。
【0023】
圧力損失は、区画毎に容積に作用するデバイス8とガイドチャネル6.1-6.nで発生する。デバイス8の弁10による圧力損失は、ガイドチャネル6.1-6.nのうちの1つによる流体抵抗よりも大きいことが好ましい。尚、ガイドチャネル6.1-6.nの注入口側の管セクションには同様に絞り弁が形成される。圧力損失の分布は、デバイス8の絞り点に割り当てられる2つの流体抵抗の合計の少なくとも50%であって75%以下であることが好ましい。従って、体積流量が区画毎に作用を受ける領域の圧力損失は、流れの速度プロファイルが等しい領域の圧力損失よりも大きいことが好ましい。各ケースにおけるバルブ10によって、ピッチに対応するチャンバ幅まで広がる部分流内で圧力損失が発生する。
【0024】
図1に示されているように、供給チャンバ14は、流れの幅方向の散布機として使用可能である。また、図4で示されているように、半径方向に配置される外向きコネクタ20と中央送り部(central feed)16を備える直立する放射状散布機(radial distributor)15を備えていてもよい。放射状散布機15は、空気パッド17を備える振動ダンパー(pulsation damper)と、多孔板(perforated plate)19を備える隔壁(diaphragm)18を既知の方法で備えることができる。放射状散布機15は、外向きコネクタ20上の柔軟な供給ライン12を介してセクションチャネル9に接続される。
図5はスロットダイとして設計されたホッパー1を示す。発明に基づいて記載されたホッパー(ノズル本体)1は、スライド型の方法あるいはスロット型の方法に基づくカーテン式塗布に使用可能であるので、上述の説明はここでの対応する方法に当てはまる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に重力下で移動するカーテンの形態で、移動する紙又はボードウェブ上に、塗布媒体を放出するカーテン式塗布機であって、
供給された塗布媒体の体積流量を調節するデバイスを備える少なくとも2つの供給ライン(12)を介して塗布媒体が供給され放出幅に沿って延びる空隙(7)を含むホッパー(1)と、
外部スロットを介して塗布媒体をカーテンの態様で放出するフローチャネル(6)とを備え、
前記フローチャネル(6)は、ディフューザブロックの多数の個別広がりガイドチャネル(6.1-6.n)に分割され、
前記ディフューザブロックは、少なくとも複数の領域で放出幅方向に複数のセクション(7.1-7.n)に分割された空隙(7)に注入口側で隣接し、
前記複数のセクション(7.1-7.n)の各々は、供給ライン(12)に接続され、前記ディフューザブロックの複数のガイドチャネル(6.1-6.n)を橋渡しするピッチを備える
ことを特徴とするカーテン式塗布機。
【請求項2】
前記ディフューザブロックの前記複数のガイドチャネル(6.1-6.n)は、区分化された空隙(7)に対して直角に配置される
ことを特徴とする請求項1に記載のカーテン式塗布機。
【請求項3】
前記空隙のセクション(7.nから7.1)のピッチと、前記ガイドチャネル(6.1-6.n)のピッチとの比は、2:10から3:5の範囲内にある
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のカーテン式塗布機。
【請求項4】
前記空隙(7)の前記複数のセクション(7.1-7.n)の各々は、注入口側に、圧力損失を生成する部分流を形成するセクションチャネル(9)を備え、
前記セクションチャネルは、部分流を前記ピッチに対応するチャンバ幅まで広げる
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカーテン式塗布機。
【請求項5】
前記弁(10)の圧力損失は、前記ガイドチャネル(6.1-6.n)の圧力損失より大きい
ことを特徴とする請求項4に記載のカーテン式塗布機。
【請求項6】
前記ガイドチャネル(6.1-6.n)は、注入口側で互いに間隔をあけて配置される複数の個別パイプセクションを備え、前記パイプセクションの各々は、ガイドチャネル(6.1-6.n)からの部分流を出口側で連結させる広がりセクションに合流する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のカーテン式塗布機。
【請求項7】
放出幅方向の流体抵抗を均一化するために、前記ガイドチャネル(6.1-6.n)の管セクションの長さと開口幅は選択可能である
ことを特徴とする請求項6に記載のカーテン式塗布機。
【請求項8】
外部スロット(3)を介して塗布媒体をカーテンの態様で放出する外部空隙(4)を備え、
前記フローチャネル(6)は、空隙(7)と外部空隙(4)の間に配置される
ことを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項に記載のカーテン式塗布機。
【請求項9】
放出幅に沿った前記ガイドチャネル(6.1-6.n)の流体抵抗は、実質的に等しく、少なくとも1mWCである
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載のカーテン式塗布機。
【請求項10】
前記ガイドチャネル(6.1-6.n)は、一列に配置される
ことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載のカーテン式塗布機。
【請求項11】
流れを制限する前記ガイドチャネル(6.1-6.n)の各々の壁の広がり角は、対応する塗布媒体の体積流量と、動的粘性と、密度との関数として選択される
ことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載のカーテン式塗布機。
【請求項12】
前記ガイドチャネル(6.1-6.n)は、複数のガイドチャネルを備える代替可能なモジュールとして形成される
ことを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載のカーテン式塗布機。
【請求項13】
マシン幅供給チャンバ(14)を、流れの幅方向の散布機として使う
ことを特徴とする請求項1ないし12のいずれか1項に記載のカーテン式塗布機。
【請求項14】
半径方向に配置される外向きコネクタ(20)を備える放射状散布機(15)が、前記供給ライン(12)に接続される
ことを特徴とする請求項1から請求項12のいずれか1つのカーテン式塗布機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−78961(P2011−78961A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179781(P2010−179781)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(507392808)アンドリッツ キスタース ゲーエムベーハー (8)
【氏名又は名称原語表記】Andritz Kuesters GmbH
【住所又は居所原語表記】Eduard−Kuesters−Str.1,47805 Krefeld,Germany
【Fターム(参考)】