説明

カーテン生地の端部保持装置

【課題】カーテン生地の端部の保持位置を容易に調節可能とし、かつカーテンレールに対し容易に取付可能とするカーテン生地の端部保持装置を提供する。
【解決手段】カーテンレールにカーテン生地を吊下支持し、カーテンレールの端部に備えた保持具でカーテン生地の端部上縁を吊下支持するカーテン生地の端部保持装置において、カーテンレール1の端部に取着されるキャップ9と保持具5aに、該保持具5aをキャップ9に弾性的に保持する係合手段14,20を備え、保持具5aには該保持具5aをカーテンレール1に着脱可能に固定する固定手段18を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーテンレールに取着されて、カーテン生地の端部を保持する機能を備えた端部保持装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンは、カーテンレールに沿ってカーテン生地が引き出し及び畳み込み可能に吊下支持される。カーテンレールはたとえば金属の形材で形成され、その端縁にはキャップが嵌着されて、安全性及び美観の確保が図られている。
【0003】
通常、カーテン生地の一方の端部は保持具を介してカーテンレールの端部に固定され、カーテン生地の他方の端部を操作してカーテン生地の引き出し操作あるいは畳み込み操作が可能である。
【0004】
特許文献1には、カーテン生地の端部をカーテンレールの任意位置に保持可能とした端止具が開示されている。
特許文献2には、カーテンレールの端部に取着されるキャップに対し、カーテン生地の端部を保持するエンドフックをキャップに対し着脱可能としたエンドピースが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭57−3511号公報
【特許文献2】実公昭60−12464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された端止具は、カーテンレールのキャップとは独立した部品であるため、カーテンレールに対しキャップと端止具を別個に取着する必要があり、組み立て作業が煩雑となる。
【0007】
特許文献2に開示されたエンドピースは、キャップとエンドフックとを組み立てた状態でカーテンレールに取着することができるが、キャップとエンドフックとを分離した状態ではキャップ及びエンドフックをカーテンレールに固定することができない。従って、エンドフックの取付位置をカーテン生地の幅に合わせて適宜に調節することはできない。
【0008】
また、カーテンレールに保持された状態でのエンドフックは、そのリング片がカーテンレール内からレールスリットを経て下方へ突出されている。従って、マグネットランナーをエンドフックのリング片に吸着させるために、リング片の突出位置をカーテンレールの長手方向に入れ替えるには、エンドフックを一旦カーテンレールから取り外す必要があるので、その作業が煩雑である。
【0009】
この発明の目的は、カーテン生地の端部の保持位置を容易に調節可能とし、かつカーテンレールに対し容易に取付可能とするカーテン生地の端部保持装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1では、カーテンレールにカーテン生地を吊下支持し、前記カーテンレールの端部に備えた保持具で前記カーテン生地の端部上縁を吊下支持するカーテン生地の端部保持装置において、カーテンレールの端部に取着されるキャップと前記保持具に、該保持具を前記キャップに弾性的に保持する係合手段を備え、前記保持具には該保持具を前記カーテンレールに着脱可能に固定する固定手段を備えた。
【0011】
請求項2では、前記係合手段は、弾性を有する合成樹脂で成形された前記キャップに設けられ、前記カーテンレール内に向かって平行に延びる第一及び第二の支持辺と、
前記保持具に設けられ、前記第一及び第二の支持辺間に挿入可能とした第一の金具と、
前記第一の金具に設けられた突起と、前記第一の支持辺に設けられ、前記突起に弾性的に係合する係止孔とを備えた。
【0012】
請求項3では、前記カーテンレールの上辺に下方に向かって湾曲する湾曲部を該カーテンレールの長手方向に設け、前記キャップには前記湾曲部を嵌挿して保持する保持部を備えた。
【0013】
請求項4では、前記保持具は、前記第一の金具と、前記第一の金具との間に前記カーテンレールのレール部を挟着可能とした第二の金具と、前記第一及び第二の金具を前記レール部の挟着位置に移動させる前記固定手段とを備え、前記第二の金具には、前記挟着位置で前記カーテンレールの開口部に係合し、挟着位置から外れた位置で前記開口部との係合が解除されて前記第二の金具を水平方向に回動可能とする位置決め片とを備えた。
【0014】
請求項5では、前記第二の金具の一端には、マグネットランナーを吸着可能とした吊下げ片を備えた。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、カーテン生地の端部の保持位置を容易に調節可能とし、かつカーテンレールに対し容易に取付可能とするカーテン生地の端部保持装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】カーテンを示す正面図である。
【図2】端部保持装置を示す正面図である。
【図3】端部保持装置を示す側面図である。
【図4】端部保持装置を示す断面図である。
【図5】端部保持装置を示す分解斜視図である。
【図6】端部保持装置の作用を示す正面図である。
【図7】端部保持装置の作用を示す正面図である。
【図8】端部保持装置の作用を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を具体化したカーテン生地の端部保持装置の一実施形態を図面に従って説明する。図1に示すカーテンは、カーテン生地を左から右に向かって引き出し、右から左に向かって畳み込む片開き型のカーテンを示す。
【0018】
カーテンレール1に多数のランナーが移動可能に支持され、各ランナーに取着されている吊下リング3にカーテン生地4の上縁部が等間隔に吊下支持されている。
前記カーテン生地4の上縁一端部はカーテンレール1の一端部に取着される保持具5aに吊下支持されている。また、前記カーテン生地4の上縁他端部はカーテンレール1に移動可能に支持されているマグネットランナー6に吊下支持されている。
【0019】
前記カーテンレール1の他端部にはマグネットランナー6を吸着可能とした保持具5bが取着されている。そして、カーテン生地4をカーテンレール1の右端まで移動させて、マグネットランナー6を保持具5bに吸着させると、カーテン生地4が引き出された状態に保持される。
【0020】
前記保持具5aの具体的構成を図2〜図5に従って説明する。前記カーテンレール1は金属板をほぼ断面四角筒状に成形した形材であり、下面中央部にはカーテンレール1の長手方向に開口部7が形成されている。そして、開口部7の両側のレール部1a上を前記ランナーが転動するようになっている。また、カーテンレール1の上面中央部には、下方に向かって湾曲して凹む湾曲部8がカーテンレール1の長手方向に設けられている。
【0021】
前記カーテンレール1の両端部には合成樹脂で成形されたキャップ9が取着されている。前記キャップ9は、前記カーテンレール1の端部の外周面を覆うような蓋状に形成され、その内側面からカーテンレール1内に挿入可能とした挿入部10が形成されている。
【0022】
前記挿入部10の上面には、前記カーテンレール1の湾曲部8の下面に沿うように凹む保持面11が形成されている。前記保持面11の上方には、断面T字型の保持片12が形成され、その保持片12の下端は保持面11の近傍まで延設されている。保持片12の下端と保持面11との間の間隔は、前記カーテンレール1の板厚と同等である。
【0023】
そして、図3に示すように、カーテンレール1の湾曲部8をキャップ9の保持面11と保持片12との間に挿入すると、キャップ9がカーテンレール1の端部に取着される。
前記キャップ9には、前記挿入部10の下方において挿入部10とともにカーテンレール1内に挿入可能とした第一の支持辺13が水平方向に延設されている。また、前記第一の支持辺13の中央部には孔14が形成されている。
【0024】
前記第一の支持辺13の下方には、第一の支持辺13より幅狭な水平辺の第二の支持辺15が第一の支持辺13と平行に延設されている。
図5に示すように、前記保持具5aは、第一の金具16と、第二の金具17と、ネジ18とで構成される。第一の金具16は、金属板の両端部が下方に向かって直角に屈曲されて側片19が形成され、その側片19間に前記第二の支持辺15を挿通可能となっている。
【0025】
また、前記第一の金具16の板厚は、前記第一の支持辺13と第二の支持辺15との間隔より僅かに薄く形成されて、側片19間に第二の支持辺15を挿通しながら、第一の金具16を第一の支持辺13と第二の支持辺16との間に挿入可能となっている。
【0026】
前記第一の金具16の基端側上面には、上方へ円形に突出する突起20が形成されている。そして、第一の金具16を第一の支持辺13と第二の支持辺16との間に挿入すると、突起20が第一の支持辺13の下面に当接して第一の支持辺13を上方へ撓ませながら進入し、図4に示すように、やがて突起20が前記孔14に係合する。すると、第一の金具16は第一の支持辺13と第二の支持辺15との間に弾性的に保持される。
【0027】
前記第一の金具16の先端側中央部には前記ネジ18を螺入可能としたネジ孔21が貫通されている。
前記第二の金具17は、金属板を折り曲げて形成され、その水平辺22の中央に前記ネジ18を挿通可能とした透孔23が形成されている。前記水平辺22の一側縁には上方に向かって直角に屈曲された位置決め片24が形成されている。この位置決め片24は、図3に示すように、前記カーテンレール1の開口部7の幅より狭い幅で形成され、開口部7内に挿入可能となっている。
【0028】
前記水平辺22の他側縁には、下方へ向かって直角に屈曲された吊下げ片25が形成されている。そして、吊下げ片25の中央部には、図3に示すように、半円状の取付孔26が形成され、取付孔26の下方部分は前記水平辺22の中央部側に向かって湾曲して凹部27が形成されている。そして、取付孔26には、図3及び図4に示すように、前記カーテン生地4の端部を吊下支持する吊下げリング28が取着されている。
【0029】
このように構成された保持具5aをキャップ9とアッセンブルするには、カーテンレール1の端部に取着するには、ネジ18を第二の金具17の下方から透孔23に挿通するとともに、ネジ18の先端を第一の金具16のネジ孔21に螺入して、第一の金具16と第二の金具17を仮止めする。
【0030】
次いで、第一の金具16の突起20をキャップ9の第一の支持辺13の孔14に係合させて、保持具5aをキャップ9に取着する。そして、カーテンレール1の設置場所でキャップ9を保持具5aとアッセンブリー状態でカーテンレール1の端縁に嵌着し、この状態でネジ18をネジ孔21にさらに螺入する。すると、図3に示すように、第一の金具16の側片19と第二の金具17の水平辺22との間にカーテンレール1のレール部1aが挟まれるので、ネジ18を絞め込むことにより、保持具5aがカーテンレール1に固定される。
【0031】
ネジ18を締め込むとき、第二の金具17の位置決め片24がカーテンレール1の開口部7内に位置しているので、第二の金具17の回転が阻止される。
カーテンレール1の他端部にはキャップ9が取着され、そのキャップ9に保持具5bが取着されてカーテンレール1に固定されている。
【0032】
次に、上記のように構成された保持具5a,5b及びキャップ9の作用を説明する。上記のように、ネジ18に対し第二の金具17の吊下げ片25がキャップ9側に位置する状態で保持具5aをカーテンレール1の左端に取着すると、図1に示すように、キャップ9の近傍でカーテン生地4の端部が保持具5aの吊下げリング28に吊下支持可能となる。
【0033】
また、保持具5aをキャップ9から離れた位置でカーテンレール1に固定することも可能である。すなわち、ネジ18を緩めて保持具5aをカーテンレール1に対し移動可能とした状態で、保持具5aとキャップ9との係合を解除し、図6に示すように、キャップ9から離れた位置でカーテンレール1に固定する。
【0034】
このような作業により、保持具5aをカーテン生地4の幅に合わせて任意位置に移動可能となる。
また、保持具5aは第二の金具17の吊下げ片25をカーテンレール1の中央部側に向けた状態で取着することも可能である。例えば図4に示す状態から、ネジ18を緩めて第二の金具17を下降させる。そして、第二の金具17の位置決め片24をカーテンレール1に対し回転させうる位置まで下降させて、ネジ18を支点として180度回転させると、図7に示すように、吊下げ片25がネジ18に対しカーテンレール1の中央部側に位置する。
【0035】
この状態でネジ18を締め込むと、保持具5aは吊下げ片25がネジ18に対しカーテンレール1の中央部側に位置する状態でカーテンレール1に固定される。この状態では、吊下げ片25でマグネットランナー6を吸着保持可能である。
【0036】
カーテンレール1の右端に取着される保持具5bは、図8に示すように、上記のような作業により吊下げ片25がカーテンレール1の中央部側に位置するように固定されている。そして、吊下げ片25でマグネットランナー6を吸着保持可能である。
【0037】
上記のように構成された端部保持装置では、次に示す効果を得ることができる。
(1)キャップ9と保持具5aを一体とした状態で、キャップ9をカーテンレール1の端部に取着することができる。そして、ネジ18を締め込むことにより、保持具5aをカーテンレール1に固定することができる。
(2)第一の金具16をキャップ9の第一の支持辺13と第二の支持辺15との間に挿入して突起20を第一の支持辺13の孔14に弾性的に係合させることにより、保持具5aをキャップ9に容易に取着することができる。
(3)カーテンレール1の湾曲部8をキャップ9の保持面11と保持片12との間に嵌挿することにより、キャップ9をカーテンレール1に容易に取着することができる。
(4)保持具5aの第二の金具17を、第一の金具16及びカーテンレールから取り外すことなく、ネジ18を緩めるだけで取付方向を180度転換することができる。従って、第二の金具17の吊下げ片25をカーテンレール1の端部側に向けるか、中央部側に向けるかを容易に転換することができる。
(5)カーテンレール1の端部を吊下支持する保持具と、マグネットランナー6を吸着する保持具とを共通化することができる。
(6)第二の金具17の位置決め片24により、ネジの締め込み操作時の第二の金具17の回転を防止することができる。
(7)保持具5a,5bのカーテンレール1に対する取付位置を任意位置に変更可能である。
【0038】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・第一の金具16に凹部を設け、第一の支持辺13若しくは第二の支持辺15に設けた突部を前記凹部に弾性的に係合させてもよい。
(付記1)
第一の金具と、
前記第一の金具との間に前記カーテンレールのレール部を挟着可能とした第二の金具と、
前記第一及び第二の金具を前記レール部の挟着位置に移動させる前記固定手段と
を備え、
前記第二の金具には、
前記挟着位置で前記カーテンレールの開口部に係合し、挟着位置から外れた位置で前記開口部との係合が解除されて前記第二の金具を水平方向に回動可能とする位置決め片と
を備えたことを特徴とするカーテン生地の端部保持装置。
【符号の説明】
【0039】
1…カーテンレール、4…カーテン生地、5a,5b…保持具、6…マグネットランナー、7…開口部、8…湾曲部、9…キャップ、11…保持部(保持面)、12…保持部(保持片)、13…第一の支持辺、14…係合手段(係止孔、孔)、15…第二の支持辺、16…第一の金具、17…第二の金具、18…固定手段(ネジ)、20…係合手段(突起)、24…位置決め片、25…吊下げ片。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンレールにカーテン生地を吊下支持し、前記カーテンレールの端部に備えた保持具で前記カーテン生地の端部上縁を吊下支持するカーテン生地の端部保持装置において、
カーテンレールの端部に取着されるキャップと前記保持具に、該保持具を前記キャップに弾性的に保持する係合手段を備え、前記保持具には該保持具を前記カーテンレールに着脱可能に固定する固定手段を備えたことを特徴とするカーテン生地の端部保持装置。
【請求項2】
前記係合手段は、
弾性を有する合成樹脂で成形された前記キャップに設けられ、前記カーテンレール内に向かって平行に延びる第一及び第二の支持辺と、
前記保持具に設けられ、前記第一及び第二の支持辺間に挿入可能とした第一の金具と、
前記第一の金具に設けられた突起と、
前記第一の支持辺に設けられ、前記突起に弾性的に係合する係止孔と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のカーテン生地の端部保持装置。
【請求項3】
前記カーテンレールの上辺に下方に向かって湾曲する湾曲部を該カーテンレールの長手方向に設け、前記キャップには前記湾曲部を嵌挿して保持する保持部を備えたことを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のカーテン生地の端部保持装置。
【請求項4】
前記保持具は、
前記第一の金具と、
前記第一の金具との間に前記カーテンレールのレール部を挟着可能とした第二の金具と、
前記第一及び第二の金具を前記レール部の挟着位置に移動させる前記固定手段と
を備え、
前記第二の金具には、
前記挟着位置で前記カーテンレールの開口部に係合し、挟着位置から外れた位置で前記開口部との係合が解除されて前記第二の金具を水平方向に回動可能とする位置決め片と
を備えたことを特徴とする請求項2記載のカーテン生地の端部保持装置。
【請求項5】
前記第二の金具の一端には、マグネットランナーを吸着可能とした吊下げ片を備えたことを特徴とする請求項4記載のカーテン生地の端部保持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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