説明

カートリッジ収納用袋及びカートリッジ収納体

【課題】製品出荷時にトナーカートリッジのシャッター部材の移動を抑制して、トナーの漏出を確実に抑制することが可能なトナーカートリッジ用収納袋を提供する
【解決手段】ホルダー部102の前面102aと対向してホルダー部102の前面102aを収容する収容空間を形成する第1シール部2bの長さD2を、余裕部分4を形成するカートリッジ収納用袋2の角部の一方5aを封口するように、第2シール部2cから斜線状に形成された第4シール部2fで制限して、トナーカートリッジ100の中間部100aの収納空間を形成する第2シール部2c及び第3シール部2d間の長さD1より短く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジを収納するカートリッジ収納用袋及びこのカートリッジ収納用袋内にトナーカートリッジを収納したカートリッジ収納体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、トナーを用いた電子写真方式や直接記録方式により、転写紙等の記録媒体にトナー像を形成する画像形成装置が知られている。電子写真方式とは、例えば、特許文献1に記載の画像形成装置のように、感光体等の潜像担持体に形成した静電潜像にトナーを付着させて、潜像担持体上にトナー像を形成する方式である。また、直接記録方式とは、上述の電子写真方式の画像形成装置のように、潜像担持体によらず、トナー飛翔装置から飛翔させたトナー群を記録媒体に直接付着させてトナー像を形成する方式である。
これらの方式においては、画像形成に伴ってトナーを消費していくので、画像形成装置本体に対してトナーを定期的に補充する必要がある。トナーを補充する方法としては、特許文献1に記載のトナーカートリッジを新旧交換することによって行うものが知られている。
図14は、従来の特許文献1に記載されたトナーカートリッジの概観形状を示す斜視図、図15は、図14で示すトナーカートリッジのホルダー部を示す一部切り欠いた断面図である。特許文献1に記載されたトナーカートリッジ100は、図14に示すように、トナーを収容している円筒状の樹脂製のボトル部(トナー収容器)101と、ボトル部101の開口101aを覆うホルダー部(容器保持部材)102とを備えている。ボトル部101の先端部は、図15に示すように、ボトル部101本体よりも小径な円筒形状になっており、その小径円筒の先端に開口101aが形成されている。先端部の小径円筒の外周面からは、ボトル部101の長手方向の中心軸を回転軸としてボトル部101を回転する図示しない原動ギヤと噛み合うための歯車を有するギヤ部111が突出している。小径円筒のギヤ部111よりもボトル部101の先端側には、円筒外周面から僅かに突出する引っ掛け部112が形成されている。
【0003】
一方、ホルダー部102のボトル部101の開口101aを覆うキャップ部105には、図15に示すように、ボトル部101の先端である小径円筒を受け入れるための円筒空間が形成されており、この円筒空間におけるキャップ部105の端部には、キャップ部105の円筒内周から突出する突起113が形成されている。ボトル部101の先端の小径円筒は、その引っ掛け部112がキャップ部105内の突起113を乗り越えるようにキャップ部105内に挿入されて、キャップ部105に対して回転自在に係合している。なお、図14中、符号103は、ボトル部101内のトナーをホルダー部102の方向に回転しながら搬送する螺旋状突部である。符号110は、後述するノズルを位置決めする位置決め孔である。
ホルダー部102のキャップ部105には、図15に示すように、ボトル部101の回転によって搬送されたトナーを貯留するトナー貯留部106が形成されており、トナー貯留部106から外部にトナーを供給する開口114が形成されている。この開口114の下方には、この開口を開閉するシャッター部材116がボトル部101の軸線方向(矢印方向)にスライド可能に取り付けられている。そして、トナー貯留部106内のトナーを、図示しない画像形成装置の現像装置に送給する場合には、トナー貯留部106内のトナーを吸引しながら現像装置に搬送する図示しないノズルを、ホルダー部102のノズル挿入孔109から挿入してノズルの先端でシャッター部材116を軸線方向左方(矢印A1方向)にスライドさせて開口114を開放させると共に、ノズル挿入部104内に設置させる。
このように、ノズル挿入部104内にノズルを設置させることによって、トナー貯留部106内のトナーをノズル内に供給し、ノズル内のトナーを吸引しながら現像装置内に送給するようになっている。なお、図15中、符号117は、シャッター部材116とノズル挿入部104との間を密閉するためのOリングである。
【0004】
一方、この種トナーカートリッジ100は、流通時に高温、高湿環境にさらされると、カートリッジ内のトナーが凝集して画像品質を悪化させることが知られている。そのため、トナーカートリッジ100を、四角形状の2枚の樹脂シートの四辺をシールしたカートリッジ収納用袋内に密封して収納することが行なわれている。(例えば、特許文献2参照)そして、このようにしてトナーカートリッジを樹脂シートの収納用袋内に収納したトナーカートリッジ収納体を梱包し易いように、四角筒状の厚紙等からなる収納ケース内に収納して、製品出荷を行なっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されているような四角形状の2枚の樹脂シートの四辺をシールしたカートリッジ収納用袋内にトナーカートリッジを密封して収納すると、製品出荷時に、シャッター部材がスライド移動して、開口からトナーがカートリッジ収納用袋内に漏出し、トナーカートリッジをカートリッジ収納用袋から取り出した際に、漏出したトナーが周囲に飛散して周囲を汚染するという問題を招く。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、製品出荷時にトナーカートリッジのシャッター部材の移動を抑制して、トナーの漏出を確実に抑制することが可能なトナーカートリッジ用収納袋及び、カートリッジ収納用袋内にトナーカートリッジを収納したカートリッジ収納体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、トナーを収容する円筒状のトナー収容器と、当該トナー収容器に形成された開口を覆うようにあるいは塞ぐように該トナー収容器と係合しつつ、当該トナー収容器の長手方向の中心軸を回転軸として当該トナー収容器を回転自在に保持する容器保持部材とを有し、当該容器保持部材は、前記トナー収容器から送り込まれたトナーを貯留するトナー貯留部と、当該トナー貯留部内のトナーを当該容器保持部材の外部に排出する開口と、前記トナー収容器の回転軸の軸方向に移動して前記開口を開閉するシャッター部材とを有し、当該シャッター部材は、前記トナー収容器の回転軸の軸方向からの外部のシャッター開閉部材の挿入によって前記開口を開放するように移動するトナーカートリッジを収納するカートリッジ収納用袋において、前記カートリッジ収納用袋は、一辺が開放された前記トナーカートリッジを挿入する収納用開口と、当該収納用開口と対向する辺をシールする第1シール部と、前記トナーカートリッジの挿入方向に沿って延びる辺をシールする第2及び第3のシール部とを有して四角形状の2枚のシートの三辺がシールされた袋を構成し、前記収納用開口から前記トナーカートリッジの前記容器保持部材を前方として収納したときに対向する前記第1シール部の長さを、前記第2及び第3のシール部間の長さよりも短く形成していることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1記載のカートリッジ収納用袋において、前記第1のシール部の一端は、前記第2及び第3のシール部の少なくとも一方から前記第1のシール部に向かって延びる第4のシール部でシールされて前記第1のシール部の長さが前記第2及び第3のシール部間の長さよりも短く形成されていることを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2記載のカートリッジ収納用袋において、前記第1のシール部の他端は、前記第2及び第3のシール部の残りのシール部から前記第1のシール部に向かって延びる第5のシール部でシールされていることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項3記載のカートリッジ収納用袋において、前記第5のシール部は、前記四角形状のシートの幅方向の中心線に対して前記第4のシール部と対称的に形成されていることを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項2乃至4のいずれか1項記載のカートリッジ収納用袋において、前記第4のシール部は、前記第2及び第3のシール部の少なくとも一方から40度以上の角度で前記第1のシール部に向かって延びる斜線状のシールであることを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項2乃至5のいずれか1項記載のカートリッジ収納用袋において、前記第4のシール部でシールされた前記四角形状のシートの角部が切除されていることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6記載のカートリッジ収納用袋において、前記第4のシール部でシールされた前記四角形状のシートの角部と共に、前記第5のシール部でシールされた前記四角形状のシートの他の角部も切除されていることを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項1乃至7のいずれか1項記載のカートリッジ収納用袋において、前記シートの厚みが0.06mm以上であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項9の発明は、トナーを収容する円筒状のトナー収容器と、当該トナー収容器に形成された開口を覆うようにあるいは塞ぐように該トナー収容器と係合しつつ、当該トナー収容器の長手方向の中心軸を回転軸として当該トナー収容器を回転自在に保持する容器保持部材とを有し、当該容器保持部材は、前記トナー収容器から送り込まれたトナーを貯留するトナー貯留部と、当該トナー貯留部内のトナーを当該容器保持部材の外部に排出する開口と、前記トナー収容器の回転軸の軸方向に移動して前記開口を開閉するシャッター部材とを有し、当該シャッター部材は、前記トナー収容器の回転軸の軸方向からの外部のシャッター開閉部材の挿入によって前記開口を開放するように移動するトナーカートリッジを、一辺が開放された前記トナーカートリッジを挿入する収納用開口と、当該収納用開口と対向する辺をシールする第1シール部と、前記トナーカートリッジの挿入方向に沿って延びる辺をシールする第2及び第3のシール部とを有して四角形状の2枚のシートの三辺がシールされたカートリッジ収納用袋内に、前記容器保持部材を前方として収納して、前記収納用開口を封口したカートリッジ収納体において、前記カートリッジ収納用袋は、請求項1乃至8のいずれか1項記載のカートリッジ収納用袋であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カートリッジ収納用袋は、一辺が開放された前記トナーカートリッジを挿入する収納用開口と、当該収納用開口と対向する辺をシールする第1シール部と、前記トナーカートリッジの挿入方向に沿って延びる辺をシールする第2及び第3のシール部とを有して四角形状の2枚のシートの三辺がシールされた袋を構成し、前記収納用開口から前記トナーカートリッジの前記容器保持部材を前方として収納したときに対向する前記第1シール部の長さを前記第2及び第3のシール部間の長さよりも短く形成していることによって、製品出荷時にトナーカートリッジのシャッター部材の移動を抑制して、トナーの漏出を確実に抑制することが可能なトナーカートリッジ用収納袋及び、カートリッジ収納用袋内にトナーカートリッジを収納したカートリッジ収納体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】トナーカートリッジを四角形状の収納袋に収納する際の状態を説明するための斜視図である。
【図2】トナーカートリッジを四角形状の収納袋に収納した収納体を四角筒状の収納ケースに収納する状態を説明するための斜視図である。
【図3】トナーカートリッジを四角形状の収納袋に収納した収納体の第1シール部が変形した状態を示す斜視図である。
【図4】図3のB部の拡大断面図である。
【図5】トナーカートリッジ収納体を収納ケースに収納した際に、シャッター部材が移動する状態を示す断面図である。
【図6】本発明による一実施形態に係るカートリッジ収納用袋にトナーカートリッジに収納する状態を説明する斜視図である。
【図7】本発明による他の実施形態に係るカートリッジ収納用袋にトナーカートリッジに収納したトナーカートリッジ収納体の平面図である。
【図8】本発明による他の実施形態に係るカートリッジ収納用袋にトナーカートリッジに収納したトナーカートリッジ収納体の平面図である。
【図9】図8のA−A線上で切断した断面図である。
【図10】本発明による他の実施形態に係るカートリッジ収納用袋にトナーカートリッジに収納した状態を示す平面図である。
【図11】図8に示すトナーカートリッジ収納体の第3及び第4シール部の傾斜角θが30度の場合のトナーカートリッジ収納体の平面図である。
【図12】図8に示すトナーカートリッジ収納体の第3及び第4シール部の傾斜角θが45度の場合のトナーカートリッジ収納体の平面図である。
【図13】図8に示すトナーカートリッジ収納体の第3及び第4シール部の傾斜角θが60度の場合のトナーカートリッジ収納体の平面図である。
【図14】従来のトナーカートリッジを示す斜視図である。
【図15】図14で示すトナーカートリッジのホルダー部を示す一部を切り欠いた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明者らは、製品出荷時の収納袋内へのトナー漏出について検討を行なった。この検討の結果、製品出荷時の収納袋内へのトナー漏出が、以下述べるように、思いもかけないことによって発生することを究明した。この検討結果について、図1〜図4に基づいて説明する。
図1は、トナーカートリッジを四角形状の収納袋に収納する際の状態を説明するための斜視図である。図2は、トナーカートリッジを四角形状の収納袋に収納した収納体を四角筒状の収納ケースに収納する状態を説明するための斜視図である。図3は、トナーカートリッジを四角形状の収納袋に収納した収納体の第1シール部が変形した状態を示す斜視図である。図4は、図3のB部の拡大断面図である。図5は、トナーカートリッジ収納体を収納ケースに収納した際に、シャッター部材が移動する状態を示す断面図である。
トナーカートリッジ100は、前述のように、図1に示すように、トナーを収容している円筒状の樹脂製のボトル部(トナー収容器)101と、ボトル部101の開口101aを覆うホルダー部(容器保持部材)102とを備えている。そして、ホルダー部102には、トナー貯留部106と、開口114及びシャッター部材116を有している。
【0012】
このようなトナーカートリッジ100を、図1に示すように、一辺が開放されて前記トナーカートリッジを挿入する収納用開口2aと、収納用開口2aと対向する辺をシールする第1シール部2bと、トナーカートリッジ100の挿入方向(矢印C)に沿って延びる辺をシールする第2及び第3のシール部2c、2dとを有して四角形状の2枚のシートの三辺がシールされたカートリッジ収納袋2内に収納する。この際、トナーカートリッジ100は、カートリッジ収納袋2内に、そのホルダー部102を前方とし、ホルダー部102の前面102aが第1シール部2bと対向するように収納される。
このようにしてカートリッジ収納袋2内にトナーカートリッジ100を収納した後、図2に示すように、収納用開口2aをシール(2e)し、密封してトナーカートリッジ収納体120を形成する。このようにして収納用開口2aを2eでシールして密封されたトナーカートリッジ収納体120は、トナーカートリッジ100への温度伝達速度や水分侵入速度を遅らせて、温湿度変化に伴うトナーカートリッジ100内のトナーの凝集を抑制するようになっている。
【0013】
上記のようにして形成されたトナーカートリッジ収納体120は、トナーカートリッジ100の周囲に幅方向で余裕をもって収納袋2内に収納されており、図2に示すように横幅が広い状態で形成されている。そのために、厚紙等で形成された四角筒状の収納ケース3内にトナーカートリッジ収納体120を収納する場合には、トナーカートリッジ収納体120の余裕部分4を折り畳んで収納ケース3内に収納される。この余裕部分4の折り畳み作業の際に、上下2枚のシートをシールすることによって比較的に硬質となっている第1シール部2bが、図3に示すように、中央部分が内方に折り曲がって変形した状態になる場合がある。そして、この変形した突出変形部分2b1が、図4に示すように、トナーカートリッジ100のノズル挿入孔109に対向した位置に形成される場合がある。
このように、変形した突出変形部分2b1が、トナーカートリッジ100のノズル挿入孔109に対向した位置に形成された状態で、図2に示すような四角筒の収納ケース3内にトナーカートリッジ収納体120を収納すると、図5に示すように、変形した突出変形部分2b1の周囲が収納ケース3の底壁3aに当接して、矢印Eの力を受けて突出変形部分2b1をノズル挿入孔109内に進入させてシャッター部材116に当接する。突出変形部分2b1のノズル挿入孔109内への更なる侵入によって、シャッター部材116がA1方向にスライドし、開口114を一部開放させ、この開口114からの収納袋2内へのトナー漏出する場合があることを究明した。
【0014】
このような、思いがけない事故の発生原因の究明に基づき、この解決策について検討を行なった。その結果、図6に示すように、ホルダー部102の前面102aと対向してホルダー部102の前面102aを収容する収容空間を形成する第1シール部2bの長さD2を、余裕部分4を形成するカートリッジ収納用袋2の角部の一方5aを封口するように、第2シール部2cから斜線状に形成された第4シール部2fで制限して、トナーカートリッジ100の中間部100aの収納空間を形成する第2シール部2c及び第3シール部2d間の長さD1より短く形成すればよいことに気がつき、本発明を完成するに至った。
即ち、ホルダー部102の前面102aを収容する収容空間を形成する第1シール部2bの長さD2を、第2シール部2cから斜線状に形成された第4シール部2fで制限して、トナーカートリッジ100の中間部100aの収納空間を形成する第2シール部2c及び第3シール部2d間の長さD1より短く形成すれば、余裕部分4を折り畳んで四角筒状の収納ケース3内に収納しても、第1シール部2bに前述の突出変形部分2b1の形成が抑制されることが判明した。
【0015】
この場合、図7に示すように、第4シール部2fでシールされたカートリッジ収納用袋2の角部5aを切除すると、余裕部分4を折り畳んだ場合に、第1シール部2bに突出変形部分2b1の発生がより抑制されるので好適である。さらに、図7に示すように、カートリッジ収納用袋2の幅方向の中心線Lに対して第4シール部2fと対称的に第3シール部2dから第1シール部2bに向かって延びる斜線状の第5シール部2gを形成した場合には、第1シール部2bの長さD2の長さがより短くなるので、第1シール部2bに突出変形部分2b1の発生がより抑制されることになり好ましい。この場合に、第5シール部2gも、図8に示すように、角部5bを切除すれば、より好適である。
上記実施形態においては、第3及び第4シール部2f、2gは、斜線状の直線状に形成しているが、曲線状のシール形状であっても良い。しかしながら、斜線状のシール形状は、形成が容易となるだけでなく、密封性も良好であり、好適である。このようなシール部は、四角形状のシートとして樹脂シートを使用し、シートの周辺部分を加熱、溶融させてシールするヒートシールが好適であるが、接着剤等で2枚のシートの周辺部分を固着してシールするものであっても良い。
【0016】
このような、カートリッジ収納用袋は、図9に示すように、シール層としてポリエチレン樹脂層上に他の材質の樹脂層、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)層、ポリプロピレン層を積層した四角形状の2枚のシート2A、2Bを、その左右側辺でヒートシールにより溶融させて第2シール部2c、第3シール部2dを形成して袋状体とすることによって好適に使用することができる。この場合、上記のような樹脂シートを2枚使用するのではなく、図10に示すように、1枚のシートを中央部で折畳んで左右側辺で第2シール部2c、第3シール部2dを形成して袋状体とすることもできる。なお、シート材質としては、上記記載の材質に限らず、他の材質のものも使用することができる。
このような樹脂シートの厚みは、トナーカートリッジ100の収納時の破損防止等の観点から0.06mm以上とすることが推奨される。この樹脂シートの厚みが厚くなるにつれ、カートリッジ収納用袋自身の剛性が高くなり、余剰部分4の剛性も高くなるめに、このような場合には、前述のように、角部5a、5bの切除が第1シール部2bに突出変形部分2b1の発生を抑制するために好適である。
また、前記第1シール部2bの長さD2が短く成るほど、第1シール部2bに突出変形部分2b1の発生が抑制されるが、カートリッジ収納用袋2内へのトナーカートリッジ100の挿入、収納作業が難しくなる。このような第1シール部2bの長さD2は、第3シール部2f及び第4シール部2gを形成する傾斜角と関係する。この傾斜角θを種々変化させた場合におけるカートリッジの挿入性、突出変形部分の形成状態、収納ケース内にトナーカートリッジ収納体を収納した際の第1シール部の接触の有無を試験した。なお、この場合の傾斜角θとしては、図11〜図13に示すように、傾斜角θが30度、45度、60度について示す。また、樹脂シートとしては、0.1mmのポリエチレン−PET−ポリプロピレンの3層構造のものを使用した。
【0017】
表1はその結果を示す。

表1の結果から、シールする角度θが30度の場合には、カートリッジ収納用袋2の先端までトナーカートリッジ100を挿入することが可能となり、カートリッジの挿入性は良いがカートリッジ収納用袋2の先端の第1シール部2bの近傍に突出変形部分が発生し、箱梱包時に突出変形部分がシャッタに接触する事故が発生した。また、角度θが60度の場合には、カートリッジ収納用袋2の先端が細くなり、トナーカートリッジ100の先端を挿入することが困難となる。これに対して角度θが45度の場合には、トナーカートリッジ100のカートリッジ収納用袋2への挿入性も良く、突出変形部分の発生はほとんどなく、また箱梱包時の突出変形部分の接触がないとこが確認できた。この結果から、シールする角度θとしては、40度以上にすれば、収納ケースへの梱包時の余剰部分の接触を抑制することが可能となり、50度以下にすれば、カートリッジ100の挿入性が良好となるので、40度から50度の範囲が好適である。
【0018】
次に、シール角度θを45度にして角部5a、5bを切除したカートリッジ収納用袋(実施例)及び第3、第4シール部2f、2gを形成していない従来のカートリッジ収納用袋(従来例)を使用して形成したトナーカートリッジ収納体の7個について、収納ケース3へのトナーカートリッジ収納体を梱包した際のシャッター部材の移動の有無及びトナー漏れの有無を測定した。結果を表2に示す。

表2の結果から、従来例のものでは、梱包時にシャッター部材が移動し、トナーもれが発生する場合があるのに対して、本発明による実施例のものでは、梱包時のシャッター部材の移動が全くなく、トナー漏れも全く発生していない。
【0019】
さらに、本発明による上記実施例で示す6個のカートリッジ収納用袋について、次の条件で、(1)落下試験、(2)振動試験及び(3)減圧試験を行なった。その結果を表3に示す。
(1)落下試験:トナーカートリッジのホルダー部を下にして80cm高さから落下させてシャッター部材の移動の有無及びトナー漏れの有無を測定した。
(2)振動試験:加速度1G、5〜50Hz、23.3分/サイクル×3回で収納ケース内に梱包したトナーカートリッジ収納体に振動を負荷してシャッター部材の移動の有無及びトナー漏れの有無を測定した。
(3)減圧試験:700hPaで24時間放置後に、シャッター部材の移動の有無及びトナー漏れの有無を測定した。
[表3]

表3の結果から明らかなように、本発明による実施例のものは、(1)落下試験、(2)振動試験及び(3)減圧試験を行なっても、シャッター部材の移動は、全く確認されず、また、トナー漏れの発生もなかった。これにより輸送時においてもカートリッジ収納用袋がシャッター部材を加圧することがないことが確認できた。
【符号の説明】
【0020】
2 カートリッジ収納用袋、2a 収納用開口、2b 第1シール部、2c 第2シール部、2d 第3シール部、2f 第4シール部、2g 第5シール部、3 収納ケース、4 余裕部分、5a、5b 角部、100 トナーカートリッジ、101 ボトル部、102 ホルダー部、104 ノズル挿入部、105 キャップ部、106 トナー貯留部、109 ノズル挿入孔、116 シャッター部材、120 トナーカートリッジ収納体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】特開2006−58698公報
【特許文献2】特許第2651759号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーを収容する円筒状のトナー収容器と、当該トナー収容器に形成された開口を覆うようにあるいは塞ぐように該トナー収容器と係合しつつ、当該トナー収容器の長手方向の中心軸を回転軸として当該トナー収容器を回転自在に保持する容器保持部材とを有し、当該容器保持部材は、前記トナー収容器から送り込まれたトナーを貯留するトナー貯留部と、当該トナー貯留部内のトナーを当該容器保持部材の外部に排出する開口と、前記トナー収容器の回転軸の軸方向に移動して前記開口を開閉するシャッター部材とを有し、当該シャッター部材は、前記トナー収容器の回転軸の軸方向からの外部のシャッター開閉部材の挿入によって前記開口を開放するように移動するトナーカートリッジを収納するカートリッジ収納用袋において、
前記カートリッジ収納用袋は、一辺が開放された前記トナーカートリッジを挿入する収納用開口と、当該収納用開口と対向する辺をシールする第1シール部と、前記トナーカートリッジの挿入方向に沿って延びる辺をシールする第2及び第3のシール部とを有して四角形状の2枚のシートの三辺がシールされた袋を構成し、前記収納用開口から前記トナーカートリッジの前記容器保持部材を前方として収納したときに対向する前記第1シール部の長さを、前記第2及び第3のシール部間の長さよりも短く形成していることを特徴とするカートリッジ収納用袋。
【請求項2】
請求項1記載のカートリッジ収納用袋において、
前記第1のシール部の一端は、前記第2及び第3のシール部の少なくとも一方から前記第1のシール部に向かって延びる第4のシール部でシールされて前記第1のシール部の長さが前記第2及び第3のシール部間の長さよりも短く形成されていることを特徴とするカートリッジ収納用袋。
【請求項3】
請求項2記載のカートリッジ収納用袋において、
前記第1のシール部の他端は、前記第2及び第3のシール部の残りのシール部から前記第1のシール部に向かって延びる第5のシール部でシールされていることを特徴とするカートリッジ収納用袋。
【請求項4】
請求項3記載のカートリッジ収納用袋において、
前記第5のシール部は、前記四角形状のシートの幅方向の中心線に対して前記第4のシール部と対称的に形成されていることを特徴とするカートリッジ収納用袋。
【請求項5】
請求項2乃至4のいずれか1項記載のカートリッジ収納用袋において、
前記第4のシール部は、前記第2及び第3のシール部の少なくとも一方から40度以上の角度で前記第1のシール部に向かって延びる斜線状のシールであることを特徴とするカートリッジ収納用袋。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれか1項記載のカートリッジ収納用袋において、
前記第4のシール部でシールされた前記四角形状のシートの角部が切除されていることを特徴とするカートリッジ収納用袋。
【請求項7】
請求項6記載のカートリッジ収納用袋において、
前記第4のシール部でシールされた前記四角形状のシートの角部と共に、前記第5のシール部でシールされた前記四角形状のシートの他の角部も切除されていることを特徴とするカートリッジ収納用袋。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項記載のカートリッジ収納用袋において、
前記シートの厚みが0.06mm以上であることを特徴とするカートリッジ収納用袋。
【請求項9】
トナーを収容する円筒状のトナー収容器と、当該トナー収容器に形成された開口を覆うようにあるいは塞ぐように該トナー収容器と係合しつつ、当該トナー収容器の長手方向の中心軸を回転軸として当該トナー収容器を回転自在に保持する容器保持部材とを有し、当該容器保持部材は、前記トナー収容器から送り込まれたトナーを貯留するトナー貯留部と、当該トナー貯留部内のトナーを当該容器保持部材の外部に排出する開口と、前記トナー収容器の回転軸の軸方向に移動して前記開口を開閉するシャッター部材とを有し、当該シャッター部材は、前記トナー収容器の回転軸の軸方向からの外部のシャッター開閉部材の挿入によって前記開口を開放するように移動するトナーカートリッジを、一辺が開放された前記トナーカートリッジを挿入する収納用開口と、当該収納用開口と対向する辺をシールする第1シール部と、前記トナーカートリッジの挿入方向に沿って延びる辺をシールする第2及び第3のシール部とを有して四角形状の2枚のシートの三辺がシールされたカートリッジ収納用袋内に、前記容器保持部材を前方として収納して、前記収納用開口を封口したカートリッジ収納体において、
前記カートリッジ収納用袋は、請求項1乃至8のいずれか1項記載のカートリッジ収納用袋であることを特徴とするカートリッジ収納体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−13571(P2011−13571A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159153(P2009−159153)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】