説明

カードの送り出し装置用カセット及びその解体装置

【課題】カセットから不正にカードを引き抜くこと、及び引き抜いたカードをカセット内に戻すことを困難にし、当該カセットを取り外した場合自動的にカード出口が閉じられるカセットを提供する。
【解決手段】カセットはカードの落下方向にほぼ半割とした5面を囲われ、かつ一面が開放された一対の構造体の開放面を突き合わせるように構成され、一方の構造体に形成された係止部を他方の係止部に係合する箱型のカセットを構成し、一方の係止部はカセット内側から外側に向かって移動された際に他方の係止部から解除され、カセットの出口の上方においてカードを保持する規制位置と、カード出口に相対する位置に移動できるスルー位置とに選択的に位置できるカード規制手段を配置し、カセットがカード送り出し装置に装着された場合、カード規制手段がスルー位置に移動され、カード送り出し装置から取り外された場合、規制位置に移動される連動体を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの送り出し装置のカセットに関する。
特に、積み重ねたカードの出口からの不正なカードの引き抜きを可及的に防止できるカードの送り出し装置のカセットに関する。
さらには、当該カセットを容易に解体できる解体装置に関する。
なお、本明細書で使用する「カード」は、プリペイドカード、キャラクターカード、ICカード等の薄板状体の総称である。
【従来の技術】
【0002】
第1の従来技術として、セキュリティを高めるため、積み重ねた最下のカード面に回転ローラの周面を接触させて摩擦接触により当該カードを送り出すカード送り出し装置のカセットであって、当該カセットの出口を開閉するためのゲート手段と、このゲート手段の開時の逆操作を防止する手段と、前記ゲート手段の開での当該逆操作手段を解除するための手段と、前記ゲート手段の閉時に当該ゲート手段をロックするための手段とを備えるカードのカセット装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
第2の従来技術として、カード排出口からのカード盗難を防止し、かつカード排出口の開閉操作を個別に行わずともカセットのキーロック機構のキー操作に連動して開閉させるため、カセットの底部にカード排出口からのカードの抜き取りを阻止するカード抜取り阻止部材と、該カード抜取り阻止部材によるカードの抜取り阻止状態を解除するカード抜取り阻止解除部材とが配設され、前記カセット収納部には、キー操作によって、前記各カセットを対応するカセット収納部に固定または固定解除するキーロック機構に連動して、前記カード抜取り阻止解除部材を操作するようにしている。
(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3858567号 (1―5頁、図1―7)
【特許文献2】特開2004−127192(段落番号0013〜0080、図1〜図15)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1および第2の従来技術は、キーを操作することによりカードの出口を開閉するものであり、出口の開閉は確実性が高い利点を有する。
しかし、カードのカセットをカード送り出し装置に装着した後、キー操作してシャッタを移動させ、カード出口を開口させねばならない。
また、カードのカセットを送り出し装置から取り外す際にもキーを操作することによりシャッタによってカード出口を閉口した後、カードカセットを取り外さねばならず作業が煩雑である問題がある。
さらに、キーが必要なため、キーを持っている特定の人のみがカードのカセットを着脱できるので、安全性が高い利点がある。
一方、カードが詰まった場合など、キーを持っている特定人でなければ対応できず、迅速な詰まりの解消ができない問題がある。
また、キーが偽造された場合又はキー管理者が不正目的でキーを使用した場合、カセット内の所定のカードを抜き出して再び収納することが可能である。
この場合、一つのカセットから不正に抜き出される市場価値が高いカードは一枚程度であることから、不正の発見が遅れる問題がある。
【0005】
本発明の第1の目的は、カードのカセットから不正にカードを引き抜くことが困難なカード送り出し装置用のカードのカセットを提供することを目的とする。
本発明の第2の目的は、カードのカセットから不正にカードを引き抜くことが困難であり、かつ引き抜いたカードをカセット内に戻すことが困難なカード送り出し装置用のカードのカセットを提供することを目的とする。
本発明の第3の目的は、カード用カセットをカード送り出し装置に装着した場合、自動的にカード出口が開口され、当該カセットを取り外した場合自動的にカード出口が閉じられるカード用カセットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明にかかるカード送り出し装置用カセットは以下のように構成されている。
扁平のカードを積層して箱型のカセット(102)内に収納し、前記カセットをカード送り出し装置に装着した状態において当該カセットの下端部側面に開口するカード出口からカードを一枚ずつ送り出すようにしたカード送り出し装置のカセットにおいて、前記カセットは前記カードの落下方向にほぼ半割とした5面を囲われ、かつ一面が開放された一対のカセット構造体の開放面を突き合わせるよう組み合わせて構成され、一方の構造体に形成された係止部を他方の係止部に係合することにより箱型のカセットを構成し、前記一方の係止部は前記カセット内側から外側に向かって移動された際に前記他方の係止部から解除され、さらに、このカセットの下端側面に前記カード出口が形成され、前記カード出口の上方において前記カードを保持する規制位置と、前記カードが前記カード出口に相対する位置に移動できるスルー位置とに選択的に位置できるカード規制手段が配置され、前記カセットが前記カード送り出し装置に装着された場合、前記カード規制手段が前記スルー位置に移動され、かつ、前記カード送り出し装置から取り外された場合、前記規制位置に移動される連動体(156)を有することを特徴とするカード送り出し装置用カセットである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1のカード送り出し装置用カセットにおいて、前記カードの送り出し方向と平行な軸線回りに回動可能であり、かつ前記カードの積み重ね域に一端が進退可能であり、さらに前記積み重ね域に弾性的に進行される規制体、前記規制体に係合し前記規制体を前記積み重ね域から退出方向に移動させる連動体、前記カセットを前記送り出し装置に装着した場合、前記連動体に係合して前記規制体をスルー位置へ移動させる解除体()を有することを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、前記カセットは前記カードの落下方向にほぼ半割とした5面を囲われ、かつ一面が開放された一対の構造体の開放面を突き合わせるよう組み合わせて構成され、さらに、一方の構造体に形成された弾性的係止部を他方の係止部に係合することにより箱型のカセットを構成し、前記弾性的係止部の近傍に解除孔が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2又は3のカード送り出し装置用カセットにおいて、前記カセット内のカードは歩進錘手段によって押し付けられることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4のカード送り出し装置用カセットにおいて、前記歩進錘手段は、錘支え体、前記錘支え体に対し所定量カード積み重ね方向に移動可能に取り付けられた錘体、前記錘支え体をカセットに対し歩進可能にする歩進手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項5のカード送り出し装置用カセットにおいて、前記歩進錘手段は移動係止突起、固定係止突起列及び錘体を含み、前記移動係止突起は前記錘支え体の垂立側面に外向きの下向き斜面と上向き水平面()により形成した三角形をなし、前記固定係止突起列は前記カセットの内面に形成し、前記外向き係止突起に係合する上向き斜面及び下向き水平面により形成された三角形の固定係止突起を垂立方向に連設した下向き鋸歯状であり、前記錘体は前記錘支え体の底壁を移動自在に貫通する所定長の連結体によって連結され、かつ前記底壁の上側と下側に配置した錘兼用ストッパにより構成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項7の発明は、前記カセットを不動に装着する治具本体、前記治具に回動自在に装着された弧状であって、かつ前記回動によって前記カセットの解除孔に進行した後、前記弾性的係止部の背面に当接し弾性変形させるよう前記解除孔に相対配置された複数の解除爪、前記複数の解除爪を連動させる連動機構を有することを特徴とするカード送り出し装置用カセットの解体装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明において、カードはカセット内に積み上げられ、最下のカードがカセットのカード出口を通ってカード送り出し装置によって送り出される。
当該カセットは五面を囲われた一対のカセット構造体の開放面を突き合わせて一体化することにより六面を囲われた箱形に構成される。
カードをカセット内に装填するには、カード構成体を二分割した状態において一方のカード構造体の凹部にカードを装填する。
その後他方のカード構造体をそれらの開放面が突き合わされる状態で一方の係止体を他方の係止体に係合させて一体化してカセットを構成する。
このとき、カード規制手段はカード出口の上方においてカセット内に突出し、積み上げたカードのカード出口への移動を阻止する規制位置に位置している。
カセットをカード送り出し装置にセットするため立設した場合であっても、カードは自重で下方へ移動し出口に近づく。
しかし、カード規制手段により落下を阻止され、カード出口に相対する位置まで実質的に移動できない。
実質的とは、カード全体がカード出口に相対しない状態、及びカードの一部がカード出口に相対するがカードをカード出口から引き出せない状態をも包含する。
結果として、カードはカード出口に実質的に相対しないので、カード出口から引き出すことができず、不正に入手することができない。
カードのカセットは一対の係止体の係合によって一体化され、一方の係止体が内方から外方に向かって移動された場合のみ、係止体どうしの係合が解除される。
当該一方の係止体は外側から移動させることができず、施錠装置を用いずとも高度のセキュリティを確保できる。
カードのカセットがカード送り出し装置の所定位置に装着された場合、連動体によってカードの移動を規制している規制手段がスルー位置に移動され、カードがカード出口に相対する位置へ移動される。
これにより、カセット内のカードは送り出し装置によってカード出口から送り出すことが可能になる。
この状態において、カード送り出し装置によってのみカードをカード出口から送り出すことができるのでカードを不正に取得できない。
カセットをカード送り出し装置から取り外した場合、連動体によって規制手段はカードの移動経路、換言すればカードの規制位置に移動される。
これにより、カードはカード出口に相対しないので、カードをカード出口から引き出すことが出来ない。
また、施錠装置を有さないので、キーの不正複製又はキー管理者の不正によってカードが不正に抜き取られることがない利点を有する。
【0014】
請求項2の発明において、規制体はカードの軸線回りに回動可能な板状体であって、弾性的に付勢されてカードの積み重ね域に進出するよう付勢されている。
これにより、通常はカードの積み重ね域に規制体の端部が位置しているので、カードはカード出口に相対する位置まで移動することができない。
これにより、カード出口からカードが不正に抜き取られることはない。
また、簡単な構成であるので、安価に構成できる利点がある。
【0015】
請求項3の発明において、カセットはカードの落下方向にほぼ半割とした5面を囲われたカセット構造体の開放面を突き合わせ、係止部同士を係合させることで一体化し、カードの保留部を構成している。
係止部はカセットの内側から外側へ向けて移動させることで解除可能であり、外側からは解除操作が極めて困難である。
これにより、特殊治具なしでカセットの解体は困難であり、不正にカセットが解体され、内部の特定カードのみが抜き取られることを防止できる。
【0016】
請求項4の発明において、カセット内のカードは歩進錘手段によって常時押し下げられ、カード送り出し装置の搬送手段に所定の圧力で圧接される。
これにより、搬送手段とカードとの摩擦力が安定するのでカードを確実に送り出すことができる。
また、歩進錘手段はカードの積み重ね量の減少に伴って下降可能であるが、上昇方向の移動量は極小に制限される。
換言すれば、カセットのカード出口からカードを抜き取った場合、戻すことができるカードは僅かである。
したがって、カード盗難が発覚しやすく、不正抜き取りの抑制力を生ずる効果がある。
【0017】
請求項5の発明において、錘体は錘支え体に対し所定量移動可能であり、錘支え体はカセットに対して歩進運動する。
換言すれば、錘体の全重量の何割かが錘支え体に作用した場合、錘支え体はワンステップ分カセットに対し下降する。
錘体は、錘支え体に対し前記ワンステップ以上の範囲でカードの積み重ね方向に移動自在である。
換言すれば、錘体が積み重ねられたカード上に載っている場合、錘支え体には錘体の重量が作用しないので錘支え体はカセットの所定位置に静止状態に保持される。
カードが消費されて錘体が下降した場合、錘支え体に錘体の重量の所定割合が作用し、その作用力が所定値を超えると錘支え体はカセットによって支えきれず、ワンステップ下降させられる。
これにより、錘体は再びカードのみによって支えられる。
保留部内のカードは前記ワンステップの範囲でのみ上昇可能であるので、その範囲でのみカードをカセット内に戻すことができる。
よって、多量のカードを抜き取った場合、カードの供給枚数と保留枚数との差が多くなり、不正抜き取りが発覚し易い。
よって、カード不正抜き取りの抑止効果を発揮する。
【0018】
請求項6の発明において、歩進錘手段は錘支え体の側面に形成した外向きの下向き斜面及び上向き水平面を有する移動係止突起を有する。
移動係止突起は、カセットの内面に形成された外向きの上向き斜面と下向き水平面を有する三角形の固定係止突起を上下方向に連接した鋸歯状ワンウエイストッパである。
これにより、錘支え体の移動係止突起の外向きの下向き斜面は固定係止突起の外向きの上向き斜面と接触し、下降方向に所定の移動抵抗を受けるので、所定の力が加わるまで所定位置に保持される。
錘支え体が上方に移動した場合、移動係止突起の上向き水平面は固定係止突起の下向き水平面に係止されてそれ以上上方へ移動できない。
これにより、抜き取ったカードをカセット内に戻そうとしても歩進錘手段によりカードの移動量は規制されるので所定量以のカードを戻すことが出来ない。
よって、カードの抜き取りを顕在化できるので、不正抜き取りを抑制できる利点がある。
歩進錘手段は、錘支え体に形成した移動係止突起とカセット構造体に形成した固定係止突起及び錘体により構成されるので、簡単な構成により安価に製造できる利点がある。
【0019】
請求項7の発明において、請求項1に係るカセットを治具本体の所定位置に装着した後、複数の解除爪を同期させて解除孔に突入させる。
解除爪は弧状であり、かつ軸を支点に回動するので、解除孔に進行した後、係止爪の裏面に側に回り込んで当該係止部を内側から外側に向かって押す。
これにより、一方の係止部は弾性変形した他方の係止部との係合が解除される。
係止体は同期して移動されるので、全ての係止体の係合が一斉に外れる。
この状態で上側のカセット構造体を引き上げることにより下側のカセット構造体から分離することができる。
分離後、下側カセット構造体内にカードを装填した後、上側カセット構造体を下側カセット構造体にその開放端を突き合わせ状態にして係止体同士を係合することにより再び一体化し、カセットを構成できる。
この解体装置を用いることにより、極めて簡単にカセットを解体できるので容易に所定数のカードをカセットに装填できる利点がある。
さらに、この解体装置をカードの装填工場に配置し、当該工場においてカードをカセットに装填した後各ゲーム場に警備会社等により配送すると共にカード送り出し装置に装着し、カードを払い出し尽くした後当該カセットを回収して装填工場において同様に再装填することにより、カードの搬送途上での盗難を防止できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
扁平のカードを積層して箱型のカセット内に収納し、前記カセットをカード送り出し装置に装着した状態において当該カセットの下端部側面に開口する出口からカードを一枚ずつ送り出すようにしたカード送り出し装置のカセットにおいて、
前記カセットはカードの落下方向にほぼ半割とした5面を囲われ、かつ一面が開放された一対の構造体の開放面を突き合わせるよう組み合わせて構成され、一方の構造体に形成された係止部を他方の係止部に係合することにより箱型のカセットを構成し、前記一方の係止部は前記カセット内側から外側に向かって移動された際に前記他方の係止部から解除され、前記カセットの出口の上方においてカードを保持する規制位置と、カードが前記出口に相対する位置に移動できるスルー位置に選択的に位置できるカード規制手段を配置し、このカード規制手段はカードの送り出し方向と平行な軸線回りに回動可能であり、かつカードの積み重ね域に一端が進退可能であり、さらに前記積み重ね域に弾性的に進行される規制体を含み、前記カセット内のカードは歩進錘手段によって押し付けられ、前記歩進錘手段は移動係止突起、固定係止突起列及び錘体を含み、前記移動係止突起は錘支え体の垂立側面において外向きの下向き斜面と上向き水平面により形成した三角形をなし、前記固定係止突起列は前記カセットの内面に形成し、前記外向き係止突起に係合する上向き斜面及び下向き水平面により形成された三角形の固定係止突起を垂立方向に連設した下向き鋸歯状であり、前記錘体は前記錘支え体の底壁を移動自在に貫通する所定長の連結体によって連結され、かつ前記底壁の上側と下側に配置した錘兼用ストッパにより構成され、前記カセットが前記カード送り出し装置に装着された場合、前記カード規制手段がスルー位置に移動させ、かつ、前記カード送り出し装置から取り外された場合、規制位置に移動させる連動体を有し、この連動体は前記規制体に係合し前記規制体を前記積み重ね域から退出方向に移動させる連動体、前記カセットを前記送り出し装置に装着した場合、前記連動体に係合して前記規制体をスルー位置へ移動させる解除体を有することを特徴とするカード送り出し装置用カセットである。
【実施例】
【0021】
図1は、実施例のカード送り出し装置用カセットを装着したカード送り出し装置の右後上方からの斜視図である。
図2は、実施例のカード送り出し装置用カセットの右前上方からの斜視図である。
図3は、実施例のカード送り出し装置用カセットの分解斜視図である。
図4は、実施例の図2におけるP1面断面図である。
図5は、図2におけるP2面拡大断面図である。
図6は、実施例の歩進錘装置の分解斜視図である。
図7は、実施例の歩進錘装置の断面図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
図8(A)は、実施例のカード送り出し装置用カセットの作用を説明するためのカセットの右側面図及び(B)は(A)におけるB―B断面図ある。
図9は、実施例のカード送り出し装置用カセットを送り出し装置に取り付けるための連動装置の正面図である。
図10(A)は、実施例のカード送り出し装置用カセットの規制手段及び連動体の作用説明用右側面図及び(B)は(A)におけるB−B断面図である(非装着時)。
図11は、実施例のカード送り出し装置用カセットの規制手段及び連動体の作用説明用右側面図及びB−B線断面図である(装着時)。
図12は、実施例のカード送り出し装置の構造概要図である。
図13は、実施例のカード送り出し装置用カセットを分解治具に装着した状態の斜視図である。
図14は、図13におけるC部の拡大図である。
図15は、実施例のカード送り出し装置用カセットを分解治具に装着した状態の平面図である。
図16は、図13におけるC部の説明用拡大図である。
図17は、図15におけるD―D線断面図及び図17(A)におけるF部拡大図である。
図18は、図17(B)に相当する作用説明図である。
【0022】
カード送り出し装置100は、扁平薄板状のカードC(図4参照)を柱状に積みあげたカードの最下部から一枚ずつカードを分離して送り出す機能を有する。
カード送り出し装置100は、大まかにはカード保留するためのカード用カセット102及び送り出し装置104を含んでいる。
【0023】
まず、カセット102を説明する。
カセット102は、カードCを柱状に積みあげて保管する機能を有する。
本発明では特にカセット102は、送り出し装置104に装着されない場合、カードCを実質的に施錠状態に保管し、送り出し装置104に装着した場合カードCが一枚ずつカード出口から送り出されるように保管する機能を有する。
換言すれば、カセット102は送り出し装置104に装着されない場合、カードCを抜き取りできないように保管する機能を有する。
本実施例においてカセット102は、さらにカードCをカセット102内に戻すことができないように保管する機能を有する。
【0024】
本実施例においてカセット102は第1カセット構造体106A及び第2カセット構造体106B及びカード規制手段112(図2、3参照)を含んでいる。
第1カセット構造体106Aは、5面が壁面に囲われ、かつ一面が開放された箱形に樹脂により一体成形されている。
第1カセット構造体106Aは、右側壁114A、前側壁116A、後側壁118A、上側壁122A及び第1底壁124Aにより構成され、右側壁114Aに相対する部位は全面が開口126A(図4(A)参照)に形成されている。
換言すれば、第1カセット構造体106Aは5面を囲われ、一面が開口された箱形をしている。
第1カセット構造体106Aの前側壁116A及び後側壁118Aの開口126A側端面から矩形の第1係止部128A及び第2係止部132Aが横方向に突出して所定間隔で複数形成されている。
第1係止部128A及び第2係止部132Aは本実施例ではそれぞれ4個であり、全て同一形状に形成され、樹脂の薄板であるため、所定の弾性を有している。
第1係止部128A及び第2係止部132Aの周囲三面は、図5に示すように上面角部が面取り134され、開先加工されている。
また、第1係止部128A及び第2係止部132Aの所定位置には第1係止孔136A、第2係止孔138Aが形成されている。
【0025】
図3に示すように第2カセット構造体106Bは、左側壁114B、前側壁116B、後側壁118B、上側壁122B及び第2底壁124Bにより構成され、左側壁114Bに相対する部位は開口126B(図4参照)に形成されている。
第2カセット構造体106Bの前側壁116B及び後側壁118Bの所定位置に前記第1係止部128A、第2係止部132Aがそれぞれ密に嵌り込むように凹形のフレーム128B、132Bが形成されている。
換言すれば、マイナスドライバ等の鋭利な器具がそれらの間に差し込めない構造にしてある。
フレーム128B、132Bの第1係止部128A、第2係止部132Aの側縁に隣接する壁面は前側壁118A、後側壁118Bに対し垂立するよう形成されている。
また、フレーム128B、136Bに囲まれた所定位置に第1係止孔136A、第2係止孔138Aに係合する第1係止突起136B、第2係止突起138Bが設けてある。
換言すれば、第2カセット構造体106Bは5面を囲われ、一面が開口された箱形であって、開口126A、126Bを突き合せた状態で一体化することにより第1カセット構造体106Aと共に立方体のカセット102を構成する。
カセット102内には縦長立方体形のカード保留室130が形成される。
開口126A、126Bが付き合わされた状態において、第1係止部128Aは第1フレーム128Bに密に嵌り込み、第1係止突起136Bが第1係止孔136Aに係合し、第2係止突起138Bが第2係止孔138Bに係合して一体化される。
この状態において、第1係止部128A及び第2係止部132Aの周縁は開先加工され、かつ、フレーム128B、132Bに実質的に密接しているので、例えば鋭利なナイフの刃先等をフレーム128B、132Bと係止部128A、132A間に無理に挿入しようとしても、第1係止部128A及び第2係止部132Aを変形させて第1係止孔136A、第2係止孔138Aに対する第1係止突起136B、第2係止突起138Bの係止を解除することは困難である。
換言すれば、第1カセット構造体106Aと第2カセット構造体106Bは実質施錠状態に保たれる。
【0026】
第2カセット構造体106Bの前側壁116B、後側壁118Bのフレーム128B、132Bの側方にはそれぞれカセット102解体のための解除体挿入用のスリット形の第1解除侵入孔142A、第2解除進行孔144Aが形成されている。
また、第1カセット構造体106Bの前側壁116B及び後側壁118Bの第1フレーム128B、第2フレーム132Bよって囲われた第1係止突起136B、第2係止突起138Bに隣接した位置に第1解除進入孔142B、第2解除進行孔144Bが形成されている。
換言すれば、第1解除侵入孔142A、第2解除侵入孔144Aからそれぞれ進入させた器具を第1解除進行孔142B、第2解除進行孔144Bから外側へ向けて突出させることにより、第1係止部128A及び第2係止部132Aをそれぞれ外向きに変形させる。
これにより、第1係止突起136B、第2係止突起138Bの第1係止孔136A、第2係止孔138Aとの係合を解除する。
【0027】
次にカード出口146を図2、3を参照して説明する。
前側壁116A、116Bの下端部と第1底壁124A、第2底壁124Bとの間には横長のスリット状のカード出口146が形成されている。
換言すれば、カセット102の下端部側面に横長スリット状のカード出口146が設けられている。
カードCは、第1底壁124A、第2底壁124B上に積み上げられ、カード保留室130の下部側方に位置するカード出口146からカードCは送り出される。
【0028】
次にカード規制手段112を図4・8を参照して説明する。
カード規制手段112は、カード保留室130内に積み上げられたカードCをカード出口146と実質的に相対しない位置に保持する機能及び当該保持機能を解除する機能を有する。
本実施例においてカード規制手段112は第1カセット構造体106Aに付設された第1規制体148A及び第2カセット構造体106Bに付設された第2規制体148Bとにより構成されている。
第1規制体148Aと第2規制体148Bとは同一構造であり、対称に装着されているので第1規制体148Aを代表して説明する。
【0029】
図8に示すように、第1規制体148Aは横長矩形の板状体であって、右側壁114Aの下端部から横方向に所定の間隔で突出する軸受152A、152Bにその中間から前後の横方向に突出する軸155が水平状態に回転自在に支持されている。
第1規制体148Aは、右側壁114Aの下端部の矩形開口154Aに相対配置され、その下端部は矩形開口154Aを介してカード出口146側方の保留空間130に進退自在である。
第1規制体148Aの上端部から外側に向かって突出する被動片156Aと右側壁114Aから突出する突起157との間に介装したスプリング(図示せず)によって第1規制体148Aは図8(B)において時計方向に回動力を付加される。
これにより、第1規制体148Aはその下端部が保留空間130に進行するよう常時付勢され、後述の第1ストッパ150Aに係止されることにより、所定量突出した規制位置CPにおいて停止される。
これにより第1規制体148A及び第2規制体148Bの下端部は、カード出口146の側方に位置している。
第1規制体148A及び第2規制体148Bの下端部が規制位置CPに位置した場合、右側壁114Aと左側壁114Bとの内面間隔よりも僅かに小幅に形成されているカードCは図8(B)に示すようにそれら第1規制体148A及び第2規制体148Bに左右の端部を支えられる。
換言すれば、カードCはカード出口146に相対する位置まで落下することができず、カードCを払い出すこと、抜き出すことはできない。
図11に示すように、第1規制体148A及び第2規制体148Bがそれぞれ回動され、右側壁114A及び左側壁114Bの内面と面一になったスルー位置TPに移動した場合、積み上げられたカードCはそれらの間を通って落下可能となり、第1底壁124A、第2底壁124B上に保持される。
【0030】
次に連動手段156を図8、9を参照して説明する。
連動手段156は、カセット102が送り出し装置104に装着されない場合、第1規制体148A及び第2規制体148Bを規制位置CPに保持し、かつカセット102が送り出し装置104の所定位置に装着された場合、第1規制体148A及び第2規制体148Bをスルー位置TPに移動可能にする機能を有する。
連動手段156は、連動体166を含んでいる。
連動体166は、第1規制体148A及び第2規制体148Bに対応して設けられた第1連動体168A、第2連動体168Bを含んでいる。
これら第1連動体168A及び第2連動体168Bは同一構造なので第1連動体168Aを代表して説明する。
第1連動体168Aは支持部170A、板バネ部170B及び係止部170CによってY字を横倒しした形状とし、ほぼ水平の支持部170Aの先端部が軸受152Aの直上の右側壁114Aから横方向に突出する支軸172Aに回転自在に支持されている。
下側の係止部170Cの一部のストッパ部174Aは第1規制体148Aの上端部176Aと開口154Aとの間に進入可能である(図10参照)。
ストッパ部174Aが上端部176Aと開口154Aとの間に位置した場合、第1規制体148Aは規制位置CPに保持される。
換言すれば、カードCはカード出口146よりも上方のカード保留室130に留められる。
ストッパ部174Aが上端部176Aと開口154Aとの間に位置しない場合、第1規制体148Aは図8の位置から反時計方向に回動して開口154A内のスルー位置TPに退避でき、この場合カードCは第1底壁124A、第2底壁124B上に自重で落下できる(図11参照)。
第1連動体168Aは、右側壁144Aに固定された箱形の第1カバ178Aによって覆われている。
板バネ部170Bの先端はカバ178Aの壁に当接して図8(A)において常時時計方向に付勢されている。
換言すれば、ストッパ部174Aは開口154Aと上端部176Aとの間に進行するよう付勢されている。
なお、開口154A、154Bは一端をその側方の袋状係止部180A、180Bに挿入し、他端を後側壁118A、118Bにビス止めしたアングル形のカバ181A、181Bによって覆われている。
したがって、外部から第1連動体168Aを強制的に移動させることは困難である。
【0031】
次に歩進錘手段182を図4を参照して説明する。
歩進錘手段182は、カード保留室130内に積み上げられたカードCに対し所定の重量を付加し、かつ、保留されているカードCの上方への移動を実質的に許容しない機能を有する。
カードCに対し移送体224(図12参照)との圧接力を増してカードCの送り出しを安定させると共に、カードCを不正に抜き出して所定種類のカードのみ窃取し、他のカードCをカード保留室130内に戻すことにより不正窃取の発覚を抑制することを防止するためである。
歩進錘手段182は、錘支え体184、錘支え体184に対し所定量、カード積み重ね方向に移動可能に取り付けられた錘体186、及び錘支え体184をカセット102に対し歩進可能にする歩進手段188を含んでいる。
【0032】
まず錘支え体184を図4及び図6を参照して説明する。
錘支え体184は樹脂にて成形され、矩形の底壁184Sの4辺から垂立する前壁184A、後壁184B、右壁184C及び左壁184Dによって立方体形の鍋型をしている。
右壁184C、左壁184Dの中央には、スリ割り192を形成することにより第1弾性部194A、第2弾性部194Bを形成する。
第1弾性部194A及び第2弾性部194Bは同一構成であるので第1弾性部194Aを代表して説明する。
第1弾性部194Aは下端部、すなわち底壁184S側端部を基点に上端部が撓むこと、換言すれば右壁184Cに対し面一ないし後退した位置に移動できる。
第1弾性部194Aの上端部側面には、外向きの下向き斜面196Aとその上縁に連なる水平のストッパ面198Aが形成され、それらで側面視直角三角形の第1移動係止突起202Aを構成している。
錘支え体184の底壁184Sには所定の幅で長手方向に平行に伸びる透孔204A、204Bが形成されている。
【0033】
次に錘体186を説明する。
錘体186はカード保留室130に積み上げられたカードCを上方から押し付ける機能を有する。
錘体186は、第1錘体186A、第2錘体186B、スペーサ206A、206B、206C及び206D及びスクリュウ207A〜207Dを含んでいる。
第1錘体186A及び第2錘体186Bは、底壁184Sよりも一回り小型に、例えばステンレス鋼により形成される。
第1錘体186Aは、底壁184Sの下側に配置され、第2錘体186Bは底壁184Sの上側に配置される。
スペーサ206A、206B、206C及び206Dは同一長さの円筒形であって、第1錘体186Aと第2錘体186Bの間に配置され、かつ第1透孔204A、第2透孔204Bを上下方向にスライド可能に貫通している。
スクリュウ207A〜207Dを第1錘体186A及びスペーサ206A、206B、206C及び206Dを貫通させて第2錘体186Bにねじ止めすることによりそれらを一体化し、錘体186を構成する。
スペーサ206A、206B、206C及び206Dは連結体である。
換言すれば、錘体186は錘支え体184に対し、スペーサ206A、206B、206C及び206Dの長さの範囲で上下に移動可能である。
【0034】
次に歩進手段188を説明する。
歩進手段188は、移動係止突起202と共同して錘支え体184を歩進降下させる機能を有する。
歩進手段188は、第1カセット構造体106Aの内面に形成した上下方向に伸びる第1固定係止突起208A列、及び第1固定係止突起208A列に対面して第2カセット構造体106Bの内面に形成した第2固定係止突起208B列を有する。
第1固定係止突起208A列と第2固定係止突起208Bは同一構成であるので、第1固定係止突起208A列を代表して説明する。
第1固定係止突起208A列は上向き斜面212Aとそれに続いてほぼ水平に形成した水平部214Aとで大凡三角形状の第1固定係止突起208Aを形成し、その突起208Aを上下方向に連接したものである。
錘支え体184の下向き斜面196Aと上向き斜面212Aとはほぼ同角度で傾斜している。
第1固定係止突起208A列の突起ピッチは、錘体186の錘支え体184に対する上下方向の移動量よりも小さく設定されている。
換言すれば、スペーサ206A〜206Dの長さよりも、突起208Aのピッチは小さい。
【0035】
錘支え体184がカセット102のカセット保留空間130内に装着された場合、移動突起202A、202Bの下向き斜面196A、196Bは、カセット構造体106A、106Bの上向き斜面212A、212Bに第1弾性体194A及び第2弾性体194Bによって発生する弾発力によりほぼ面接触する。
錘体186の約8割の重量が錘支え体184に作用した場合、上向き斜面212Aの反力により第1弾性部194A、第2弾性部194Bが内向きに変形され、固定係止突起208Aを通過できる。
これにより、錘支え体184はワンピッチ落下するので、錘体186の重量はカードCによって支えられ、錘支え体184に作用する重量はその約8割以下となり、錘支え体184の下向き斜面196A、196Bは一つ下の上向き斜面212A、212Bによって支えられる。
そして、前述のように錘体186の重量の約8割が作用するまでその位置に保持される。
錘支え体184が第1錘体186Aを介して上方に押し上げられた場合、ストッパ面198Aが固定突起208Aの下向き水平部214Aに移動を阻止され、それ以上上方へ移動できない。
換言すれば、固定係止突起208Aの1ピッチを超えて錘支え体184がカード保留量の増加方向に移動することができない。
さらに換言すれば、カセット102内に固定係止突起208Aの1ピッチを超えてカードCを戻すことができない。
【0036】
本実施例の錘支え体184を用いた場合、錘体186の重量の約8割を超える重量が錘支え体184に作用する場合、第1弾性体194A及び第2弾性体194Bが錘支え体184の内方に撓んで第1固定係止突起208A及び第2固定係止突起208Bを通過し、それらは一体となって下降する。
第1錘体186AがカードCに支えられ、カードCによって錘体186の重量の錘支え体184に作用する重量が約8割以下になった場合、錘支え体184の下方動は停止される。
換言すれば、第1弾性体194A及び第2弾性体194Bの弾発力が下向き斜面196Aが上向き斜面212Aから受ける変形力に対し大きい場合、下向き斜面196Aは上向き斜面212Aによって係止される。
このとき、第2錘体186Bは錘支え体184の底壁184Sから離れ、又は底壁184Sと所定の圧力以下で接触している状態であると解される。
カードCが一枚送り出された場合、カードCの1枚の厚みに相当する分、カードCの積み上げ高さは減少する。
これにより、第1錘体186A及び第2錘体186Bも下降し、かつ第2錘体186Bから錘支え体184に作用する錘体186の重量が増加するが、錘体186の重量の約8割を超えるまでは第1固定係止突起208A、第2固定係止突起208Bを通過出来ないので、錘体186のみが錘支え体184に対しカードC一枚に相当する量下降する。
この動作がカードCが一枚送り出される毎に繰り返され、錘体186の重量の約8割が錘支え体184に作用した場合、前述のように錘支え体184が第1固定係止突起208A、第2固定係止突起208Bの間を1ピッチ分落下する。
【0037】
次に、送り出し装置104を図1及び図12を参照して説明する。
送り出し装置104は、カセット102に積み重ねられたカードCのうち最下のカードCを一枚ずつカード出口146を通って送り出す機能を有する。
本実施例において、送り出し装置104は、フレーム222、移送体224、二枚だし防止手段226、及び引出手段228を含んでいる。
【0038】
まずフレーム222を説明する。
フレーム222は、カセット102、移送体224、二枚だし防止手段226、及び、引出手段228を取り付ける筐体であり、全体として箱形に形成される。
カセット102はフレーム222の上端部に取り付け手段232により取り付けられる。
移送体224、二枚だし防止手段226、及び、引出手段228はフレーム222に内蔵される。
【0039】
まず取り付け手段232を図9を参照して説明する。
取り付け手段232は、カセット102をフレーム222に固定状態に取り付ける機能を有する。
取り付け手段232はフレーム222の左右に配置された第1取り付け手段232R及び第2取り付け手段232Lを含み、それらは同一構成を有しているので第1取り付け手段232Rを代表して説明する。
【0040】
第1取り付け手段232Rは、フレーム222に水平に固定した載置プレート234R、載置プレート234Rの上縁に所定の間隔で形成した第1フック236A及び第2フック236B、及び載置プレート234R、234Lに固定した弾性を有するホルダ238Rを含んでいる。
第1フック236A及び第2フック236Bは、先端が後方に向かって水平に伸びる倒立L形であり、横向きスリット状の第1保持溝240A、第2保持溝240Bを形成している
カセット102の右壁114Aの下部側方から第1フック236A及び第2フック236Bに相対して第1載置突起242A及び第2載置突起242Bが横方向に突出している。
ホルダ238Rは、弾性を有する樹脂により成形され、スクリュウ239Rによって載置プレート234Rの側面に一端を固定されている。
換言すれば、ホルダ238Rはスクリュウ239Rを支点に上下方向に弾性変形可能である。
【0041】
カセット102の送り出し装置104への取り付け方法を説明する。
カセット102の下端部を載置プレート234R、234Lの間に挿入し、第1載置突起242A、及び第2載置突起242Bをそれら載置プレート234R、234Lの上端縁に載置する。
このとき、第2載置突起242Bはホルダ238R、238Lを押し下げて変形させるので、載置突起242Bの移動に対しては障害にならない。
次いで図9において左方へスライドさせる。
これにより、第1載置突起242A及び第2載置突起242Bは第1保持溝240A、第2保持溝240Bに進行し、前方及び上下の移動を実施的固定状態に制限される。
また、ホルダ238Rは第2載置突起242Bがその上方から外れた位置に移動するので自己弾発力により復帰し、係止段部243Aによって第2載置突起242Bの後退動を実質的に阻止する。
これにより第1載置突起242A及び第2載置突起242Bが第1フック236A、第2フック236B及びホルダ238Rによってそれぞれ上下及び前後動を規制されるので、カセット102はフレーム222に固定状態に取り付けられる。
【0042】
次にカセット102を送り出し装置104に取り付ける際のカード規制手段112の作用を図10及び図11を参照して説明する。
まず、カセット102を送り出し装置104に取り付ける以前において、カード規制手段112は図10に示す状態にある。
左右のカード規制手段112は同一構造であるので、右側の第1規制手段112Aを代表して説明する。
板バネ部170Bがカバー178Aによって移動がされることによる弾発力によって図10(A)に示すように、支軸172Aを支点に時計方向に回動され、ストッパ部174Aが第1規制体148Aの上端部176Aと矩形開口154Aとの間に位置している。
これにより、第1規制体148Aは図10(B)に示すように軸155を支点に時計方向に回動され、規制位置CPに位置している。
カード保留室130の幅はカード出口146の上方において、第1規制体148A及び第2規制体148BによってカードCの幅よりも狭められている。
これにより、カード保留室130内のカードCは第1規制体148A及び第2規制体148Bによってその下方動を制限され、カード出口146の側方の直上において保留されている。
【0043】
第1載置突起242A及び第2載置突起242Bが載置プレート234R、234Lの上端縁を前記のようにスライドされた場合、係止部170Cの傾斜部245Aが第2フック236Bの先端に係合し、上方へ移動される。
ストッパ174Aは第1規制体148Aと矩形開口154Aとの間から退出する。
これにより図10(B)の状態から第1規制体148Aは反時計方向に、及び第2規制体148Bは時計方向に回動可能になる。
これと連動して規制体148A、148Bの上端から横方向にのびる被動片244Aの傾斜下面245Aが第1フック236Aの先端に押され、図11(B)に示すようにスルー位置TPへ回動される。
これによりカード保留室130内のカードCは自由落下により第1底壁124A、第2底壁124B上に載置される。
歩進錘手段182は、錘体186がカードCによって支えられ、錘体186の錘支え体184に作用する重量が約8割以下になる位置まで下降する。
これにより、カードCの送り出しのための準備が終了する。
【0044】
次に、移送体224を図12を参照して説明する。
移送体224は積み上げられたカードCの最下のカードCの下面に面接触し、摩擦力によって当該カードCに推進力を与え、カード出口146へ向かって送り出す機能を有する。
本実施例において移送体224は縦長であって、かつ、所定の幅を有し、高摩擦体である軟質ラバーで形成された矩形棒状体を横方向(図12において紙面に対し垂直方向)に複数並設してあり、扁平ループ運動により第1底壁124A、第2底壁124B間の空間225に進行してカードCの下面に面接触して僅かに押し上げた後、カード出口146側へ向かって水平に直線移動し、もって最下のカードCをカード出口146を経てカセット102外へ送り出す。
その後移送体224は空間225から下方へ退出した後、カード出口146から遠ざかる方向に移動した後停止される。
移送体224に扁平ループ運動を与える手段としては、本出願人の出願に係る特願2007-131131を採用することが好ましい。
【0045】
次に二枚だし防止手段226を説明する。
二枚だし防止手段226は、移送体224によってカードCが重なって送り出された場合、最下の一枚のカードCのみが通過可能とする機能を有し、同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
二枚だし防止手段226は、カード出口146の側方に配置され、ローラ244、及び逆転ローラ246を含んでいる。
【0046】
次にローラ244を説明する。
ローラ244は、カード出口146の直ぐ下流に配置され、固定軸に対し自由回転できるよう支持されている。
【0047】
次に逆転ローラ246を説明する。
逆転ローラ246は、カードが二枚重なって送り出されないようにする機能を有する。
逆転ローラ246とローラ244との間隔は、カードCの厚みを超え、かつ、カード2枚の厚み未満に設定される。
詳述すれば、カードCが二枚重なって進行してきた場合、逆転ローラ246は上側のカードCの端面をカード出口146側に押し戻すように作用し、ローラ244に接するカードのみがローラ244と逆転ローラ246との間を通過する。
逆転ローラ246は、次に説明するローラ248によって所定の速度でローラ248とは逆方向に回転される。
【0048】
次に引出手段228を説明する。
引出手段228は、移送体224によって送り出されたカードCの一枚をカセット102から引き出す機能を有する。
引出手段228は、上下に配置された一対のローラ248、252で構成されている。
ローラ248、252は軟質ゴムにより成型され、通常はローラの周面が軽く接触するよう設定されている。
ローラ248はカードCの送り出し方向である正転方向に回転される。
ローラ252は、ローラ244からカードCの送り出し方向である正転方向に回転される。
カードCが送り込まれた場合、ローラ248、252が弾性変形してカードCを上下から挟持して送り出す。
【0049】
次にカッセト102の解体装置260を図13から図18を参照して説明する。
解体装置260は、一体化されたカセット102を第1カセット構造体106A及び第2カセット構造体106Bに分離する機能を有する。
解体装置260は、カセット102を装着する治具本体262、治具本体262に回動自在に装着された弧状であって、かつ回動によって第1解除侵入孔142A、144Aに進行した後、第2解除進行孔142B、144Bから外方に進行して第1係止部128A、128Bの背面に当接し弾性変形させる複数の解除爪264、当該解除爪264を連動させる連動機構266を含んでいる。
【0050】
まず治具本体262を説明ずる。
治具本体262はカセット102を所定位置に実質的に不動状態に保持する機能を有する。
本実施例では治具本体262は、底部262B、底部262Bの両端部から所定の高さで上方に突出する右側部262R及び左側部262Lにより中央に保持溝264を形成した断面チャンネル形に形成される。
保持溝264は、カセット102の第2カセット構造体106Bが密に挿入できるように右側部262R、左側部262Lの間隔を設定してある。
また、底部262Bには側壁から突出するカバ178Aが進入できる凹部が形成される(図示せず)。
カードCが挿入されていない空のカセット102は、第2カセット構造体114Bが保持溝264に嵌め込まれる状態で治具本体262にセットされる。
第1規制体148A及び第2規制体148Bは、スプリングにより規制位置CPに移動され、連動手段156のストッパ部174Aは板バネ170Bの弾発力により上端部176Aと矩形開口154Aとの間に位置しているので規制位置CPに保持されている。
図4に示すように、右側部262R及び左側部262Lの上面266R、266Lは第1解除進入孔142A、144Aの下縁268Rとほぼ面一になる位置に設定される。
【0051】
次に解除爪264を説明する。
解除爪264は、第1解除侵入孔142A、144Aにそれぞれ相対して第1解除爪264R、第2解除爪264Lが設けられている。
第1解除爪264R、第2解除爪264Lはそれぞれ、各第1解除侵入孔142A、第2解除侵入孔144Aに進退可能に右側部262R、左側部262Lから上向きに突出する支軸268R、268Lに回動可能に支持される。
第1解除爪264R、第2解除爪264Lは支軸268R、268Lを中心とする弧状に形成されている。
第1解除爪264R、第2解除爪264Lは支軸268R、268Lを中心に回動した場合、第1解除侵入孔142A、第2解除侵入孔144Aからカード保留室130に進行した後、Uターンして第1解除進出孔144A、第2解除進出孔144Bから外側へ向けて移動可能である。
第1解除爪264R、第2解除爪264Lが第1解除進出孔142B、第2解除進出孔144Bから外方へ進行した場合、第1係止体128A、第2係止体128Bは外向きに変形され、第1係止孔136A、第2係止孔138Aは第1係止突起136B、第2係止突起138Bから外される。
この状態において、第1カセット構造体106Aを引き上げれば第2カセット構造体106Bから分離できる。
【0052】
次に連動機構266を説明する。
連動機構266は複数の第1解除爪264R、第2解除爪264Lをそれぞれ連動して支軸268R、268L回りに回動するよう連動させる機能を有する。
連動機構266は棒状の第1リンク272A、第2リンク272Bとそれらリンク272A、272Bを第1解除爪264R、第2解除爪264Lに連結する第1連結ピン274R、第2連結ピン274Lである。
すなわち、第1リンク272R、第2リンク272Lを図15において上方に移動させた場合、全ての第1解除爪264Rは第1連結ピン274Rを介して反時計方向に回動する(図16参照)。
一方、第2解除爪264Lは第2連結ピン274Lを介して時計方向に回動する。
図17に示すように第1係止突起136Bに係止している第1係止体128Aを、図18(B)に示すように第1解除爪264Rは外方へ撓ませる。
これにより、複数の第1係止体128A及び第2係止体128Bは第1係止突起136B、第2係止突起138Bから一斉に外れるので、第1カセット構造体106Aを第2カセット構造体から分離できる。
この後、第1リンク272R、272Lを図15に示す位置まで下方に移動させることにより第1解除爪264R、第2解除爪264Lを第1解除侵入孔142A、第2解除侵入孔144Aからそれぞれ抜き出す。
【0053】
この後、歩進錘手段182をカード保留室130から取り出した後、所定量のカードCをカード保留室130に挿入した後、再び歩進錘手段182をカード保留室130に挿入した後、第1カセット構造体106Aを第2カセット構造体106Bに被せることにより、第1カセット構造体106A及び第2カセット構造体106Bを一体化してカセット102を構成する。
【0054】
カセット102を治具本体262から取り外した後に立てた場合、歩進錘手段182が自重により降下して、錘支え体184に作用する錘体186の重量の約8割未満になったとき、錘支え体184の下降は停止する。
一方、最下のカードCは規制位置CPに位置する第1規制体148A、第2規制体148Bにより落下を阻止され、カード出口146に相対する位置まで落下しない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、実施例のカード送り出し装置用カセットを装着したカード送り出し装置の右後上方からの斜視図である。
【図2】図2は、実施例のカード送り出し装置用カセットの右前上方からの斜視図である。
【図3】図3は、実施例のカード送り出し装置用カセットの分解斜視図である。
【図4】図4は、実施例の図2におけるP1面断面図である。
【図5】図5は、図2におけるP2面拡大断面図である。
【図6】図6は、実施例の歩進錘装置の分解斜視図である。
【図7】図7は、実施例の歩進錘装置の断面図であり、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
【図8】図8(A)は、実施例のカード送り出し装置用カセットの作用を説明するためのカセットの右側面図及び(B)は(A)におけるB―B断面図ある。
【図9】図9は、実施例のカード送り出し装置用カセットを送り出し装置に取り付けるための連動装置の正面図である。
【図10】図10(A)は、実施例のカード送り出し装置用カセットの規制手段及び連動体の作用説明用右側面図及び(B)は(A)におけるB−B断面図である(非装着時)。
【図11】図11は、実施例のカード送り出し装置用カセットの規制手段及び連動体の作用説明用右側面図及びB−B線断面図である(装着時)。
【図12】図12は、実施例のカード送り出し装置の構造概要図である。
【図13】図13は、実施例のカード送り出し装置用カセットを分解治具に装着した状態の斜視図である。
【図14】図14は、図13におけるC部の拡大図である。
【図15】図15は、実施例のカード送り出し装置用カセットを分解治具に装着した状態の平面図である。
【図16】図16は、図13におけるC部の説明用拡大図である。
【図17】図17は、図15におけるD―D線断面図及び図17(A)におけるF部拡大図である。
【図18】図18は、図17(B)に相当する作用説明図である。
【符号の説明】
【0056】
C カード
CP 規制位置
TP スルー位置
102 カセット
104 カード送り出し装置
106A、106B カセット構造体
112 カード規制手段
128A、132A 係止部(弾性的係止部)
136B、138B 係止部(係止突起)
136B、138B 係止部
142A、142B 解除孔
146 カード出口
148A、148B 規制体
156 連動手段
168A、168B 連動体
182 歩進錘手段
184 錘支え体
186 錘体
186A、186B ストッパ
188 歩進手段
196A 下向き斜面
198A 上向き水平面
202A 移動係止突起
208A 固定係止突起
212A 上向き斜面
214A下向き水平面
206A〜206D 連結体
236A フック
262 治具本体
266 連動機構
272R、272L 解除爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平のカード(C)を積層して箱型のカセット(102)内に収納し、前記カセットをカード送り出し装置(104)に装着した状態において当該カセットの下端部側面に開口するカード出口(146)からカードを一枚ずつ送り出すようにしたカード送り出し装置のカセットにおいて、
前記カセットは前記カードの落下方向にほぼ半割とした5面を囲われ、かつ一面が開放された一対のカセット構造体(106A、106B)の開放面を突き合わせるよう組み合わせて構成され、一方の構造体に形成された係止部(128A、132A)を他方の係止部(136B、138B)に係合することにより箱型のカセットを構成し、前記一方の係止部は前記カセット内側から外側に向かって移動された際に前記他方の係止部から解除され、さらに、このカセットの下端側面に前記カード出口が形成され、
前記カード出口の上方において前記カードを保持する規制位置(CP)と、前記カードが前記カード出口に相対する位置に移動できるスルー位置(TP)とに選択的に位置できるカード規制手段(112)が配置され、
前記カセットが前記カード送り出し装置に装着された場合、前記カード規制手段が前記スルー位置に移動され、かつ、前記カード送り出し装置から取り外された場合、前記規制位置に移動される連動体(156)を有することを特徴とするカード送り出し装置用カセット。
【請求項2】
請求項1のカード送り出し装置用カセットにおいて、
前記カードの送り出し方向と平行な軸線回りに回動可能であり、かつ前記カードの積み重ね域に一端が進退可能であり、さらに前記積み重ね域に弾性的に進行される規制体(148A、148B)、
前記規制体に係合し前記規制体を前記積み重ね域から退出方向に移動させる連動体(168A、168B)、
前記カセットを前記送り出し装置に装着した場合、前記連動体に連動して前記規制体をスルー位置へ移動させるフック(236A)を有することを特徴とする。
【請求項3】
請求項1のカード送り出し装置用カセットにおいて、
前記カセットは前記カードの落下方向にほぼ半割とした5面を囲われ、かつ一面が開放された一対の構造体の開放面を突き合わせるよう組み合わせて構成され、
さらに、一方の構造体に形成された弾性的係止部(128A、132A)を他方の係止部(136B、138B)に係合することにより箱型のカセットを構成し、
前記弾性的係止部の近傍に解除孔(142A、142B)が形成されていることを特徴とする。
【請求項4】
請求項2又は3のカード送り出し装置用カセットにおいて、
前記カセット内のカードは歩進錘手段(182)によって押し付けられることを特徴とする。
【請求項5】
請求項4のカード送り出し装置用カセットにおいて、
前記歩進錘手段は、錘支え体(184)、前記錘支え体に対し所定量カード積み重ね方向に移動可能に取り付けられた錘体(186)、前記錘支え体をカセットに対し歩進可能にする歩進手段(188)を有することを特徴とする。
【請求項6】
請求項5のカード送り出し装置用カセットにおいて、前記歩進錘手段は移動係止突起(202A)、固定係止突起(208A)列及び前記錘体を含み、
前記移動係止突起は前記錘支え体の垂立側面に外向きの下向き斜面(196A)と上向き水平面(198A)により形成した三角形をなし、
前記固定係止突起列は前記カセットの内面に形成し、前記外向き係止突起に係合する上向き斜面(212A)及び下向き水平面(214A)により形成された三角形の固定係止突起(208A)を垂立方向に連設した下向き鋸歯状であり、
前記錘体は前記錘支え体の底壁(184S)を移動自在に貫通する所定長の連結体(206A〜206D)によって連結され、かつ前記底壁の上側と下側に配置した錘兼用ストッパ(186A、186B)により構成されていることを特徴とする。
【請求項7】
前記カセットを不動に装着する治具本体(262)、
前記治具に回動自在に装着された弧状であって、かつ前記回動によって前記カセットの解除孔に進行した後、前記弾性的係止部の背面に当接し弾性変形させるよう前記解除孔に相対配置された複数の解除爪(264R、264L)、
前記複数の解除爪を連動させる連動の構(266)を有することを特徴とするカード送り出し装置用カセットの解体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2009−274851(P2009−274851A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−129470(P2008−129470)
【出願日】平成20年5月16日(2008.5.16)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】