説明

カードの送り出し装置

【課題】
本発明の目的は、カードが損傷しやすい材質により作られている場合であっても、カードに損傷を与えることがないカード送り出し装置を提供することを目的とする。
【解決手段】
カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出すようにしたカードの送り出し装置において、前記移送体は平面状の接触面を有すると共に扁平ループ移動手段により移動され、所定の進出位置において前記開口に進出してカード面に面接触した後、当該接触状態を維持しつつ直線的に所定方向へ移動した後、退出位置において前記開口から退出して後、その状態を維持しつつ前記進出位置へ移動することを特徴とするカードの送り出し装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型のカードの送り出し装置に関する。
特に、積み重ねたカードを摩擦力を利用して所定方向に送り出すようにしたカードの送り出し装置に関する。
さらには、極薄から厚手のカード並びにカード材質を問わずカードにダメージを与えずに送り出すことができるカードの送り出し装置に関する。
特にまた、カードの二枚送り出しを防止できるカードの送り出し装置に関する。
さらにまた、カードの積み重ね量を増加できるカードの送り出し装置に関する。
なお、本明細書で使用する「カード」は、プリペイドカード、キャラクターカード、ICカード等の薄板状体の総称である。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、積み重ねた最下のカード面に回転ローラの周面を接触させて摩擦接触により当該カードを送り出すカード送り出し装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
第2の従来技術として、積み重ねた最下のカードの後端に直線的に往復動される往復動体の段部を係止し、当該カードを段部によって押し出すカードの送り出し装置が知られている (例えば、特許文献2参照。)。
第3の従来技術として、積み重ねた最下のカードの下面に正逆方向に移動される平ベルトの周面を接触させて平ベルトとの間の摩擦接触により送り出すカード送り出し装置が知られている(例えば、特許文献3参照。)。
第4の従来技術として、積み上げたカードの最上のカード面に円弧運動する繰出パッドを摩擦接触させ、当該繰出パッドの円弧運動により当該カードを直線的に送り出すカード送り出し装置が知られている(例えば、特許文献4参照。)。
【0003】
【特許文献1】実公平7-26276 (3―5頁、図1―5)
【特許文献2】特開平10-293816(段落番号0009〜0115、図20〜図25)
【特許文献3】特開平9-132335(段落番号0009〜0046、図1〜図4)
【特許文献4】特開2000-76389(段落番号0012〜0044、図3〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
第1の従来技術は、ローラの周面をカードの下面に摩擦接触させ、ローラ周面とカード下面との摩擦接触によってカードを所定方向へ送り出す。
ローラを小径にした場合、カード下面とローラ周面とは巨視的にみれば線接触であるため、ローラとカード面との接触圧が大きい。
ローラのカード面に対する接触圧が大きい場合、軟質素材のカード、例えば紙製カードが送り出される場合、ローラによって擦られてカードが損傷する恐れがある。
これを解消するため、ローラの変形量を増してカードとローラとの接触面接を増加させるため軟質材料により作られたローラを用いることが考えられるが、ローラの摩耗速度が速まり、俄に採用できない。
さらに、ローラを大径としてカードとの接触面積を増大させることが考えられるが、ローラの大径化に伴って装置が大型化するため俄に採用できない。
また、ローラによって送り出されたカードは、カード送り出しのためのローラの送り出し速度よりも高速で牽引する排出ローラと排出補助ローラ間に挟まれて引き出される。
カードの積み上げ量を増加した場合、最下のカードに加わる重量が増加し、また、送り出しローラの送り出し速度が牽引速度よりも低速であることから、送り出しローラと最下カードとの接触圧力増加によって最下カードの引出抵抗が大幅に増加し、排出ローラと排出補助ローラとにより引出し出来ない恐れがある。
これを解決するため、排出ローラを大径化して接触面積を増加することが考えられるが、前述のように装置が大型化するため俄に採用できず、結果としてカードの積み上げ量に制約がある。
【0005】
第2の従来技術は、往復動体の段部によって最下のカードの後端を押動するため、当該段部によって押されるカードの端部に力が集中し、例えば紙製カードが使用される場合、カード端部が塑性変形する恐れがあり、俄に採用できない。
また、カードの積み上げ量を増加した場合、最下のカードに加わる重量が増加するため、最下のカードの移動抵抗が増加し、段部によってカード端部をより一層塑性変形させる。
これにより、第2の従来技術においてもカードの積み上げ量には制約がある。
【0006】
第3の従来技術は、正逆方向に選択的に移動される平ベルトとカード面との間の摩擦力によってカードに推進力を付与するものである。
この構造において、平ベルトが巻回されているプーリ部においては所定の接触圧で平ベルトとカード面とが接触するが、プーリが存在しない部分の平ベルトとカード面の接触圧は低下する。
このため、主にプーリ部の平ベルトとカード面との間の摩擦力によってカードに送り出し方向の力が付与されるため、第1の従来技術と同様の問題がある。
また、カードの積み上げ量を増加した場合、最下のカードに加わる重量が増加するため、第1の従来技術と同様にカードの積み上げ量には制約がある。
【0007】
第4の従来技術は、最上端のカード面にドーム形の繰出パッドを接触させた後、当該繰出パッドを送り出し方向にスイングさせ、当該カードを直線的に送り出す。
カードを送り出した後、繰出パッドをカード面から離隔した後、送り出し方向と逆方向へスイングさせて前記接触させた位置まで戻し、次の送り出しに備える。
この構造において、繰出パッドがドーム形になっているがローラでないため、限られた範囲において可及的に大きな曲率にし、カード面に対する接触圧の増加を抑制できる。
しかし、繰出パッドが扇形運動するのでカード面との間で必然的に滑りを生じ、カード面を損傷させる恐れがある。
また、カードの積み上げ量を増加した場合、最下のカードに加わる重量が増加するため、第1の従来技術と同様にカードの積み上げ量には制約がある。
【0008】
本発明の第1の目的は、カードが損傷しやすい材質により作られている場合であっても、カードに損傷を与えることがないカード送り出し装置を提供することを目的とする。
本発明の第2の目的は、前記第1の目的を装置を大型化することなく達成できるカード送り出し装置を提供することを目的とする。
本発明の第3の目的は、前記第1の目的を達成できるカード送り出し装置を安価に提供することを目的とする。
本発明の第4の目的は、カードの積み上げ量を増加した場合であっても、カードを送り出すことが出来るカード送り出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するため、本発明にかかるカード送り出し装置は以下のように構成されている。
カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出すようにしたカードの送り出し装置において、前記移送体は平面状の接触面を有すると共に扁平ループ移動手段により移動され、所定の進出位置において前記開口に進出してカード面に面接触した後、当該接触状態を維持しつつ直線的に所定方向へ移動した後、退出位置において前記開口から退出して後、その状態を維持しつつ前記進出位置へ移動することを特徴とするカードの送り出し装置である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1のカードの送り出し装置において、前記扁平ループ移動手段は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動すると共に前記送り出し方向に対し直角方向に移動する往復動体を含んでいることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明は、請求項2のカードの送り出し装置において、前記往復動体は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体とを含むことを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3のカードの送り出し装置において、前記第2往復動体はL形をなし、前記第2往復動体が第1往復動体の移動方向に対し直角方向に伸びる長孔をそれぞれ有すると共に前記第1往復動体にピボット支持され、前記長孔にクランクピンが挿入され、前記クランクピンが回転途上において前記第1往復動体と一体的に移動するカムに前記第1往復動体の最後退位置付近から最前進位置付近まで接触可能であり、前記クランクピンが前記カムと接触することにより前記第2往復動体がピボット運動されて前記移送体が前記第1往復動体から離れる方向に移動されることを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明は、請求項4のカードの送り出し装置において、前記第2往復体はカードの送り出し方向にずらして複数配置されていることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1のカードの送り出し装置において、前記クランクピンはカードの進行方向に対し直角をなすよう配置された回転軸の両端に取り付けられたクランクから突出し、前記回転軸は前記クランクの間に配置され、かつ、回転軸線が前記回転軸に直交する電気モータの出力軸にギヤ結合されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明は、請求項2のカードの送り出し装置において、さらに、前記移送体に隣接してカードの引出装置を備え、前記移送体の送り出し方向のストロークは、カードの先端が前記引出装置の近傍にある場合に最端カードに相対する範囲内であることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、請求項1のカード送り出し装置において、前記ベースは前記カードの後端に相対して前記引出手段に向かって前下がりに傾斜する押出斜面を有し、前記ベース上に載置されたカードが前記引出手段に向かって押し出されることを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、払出指令に基づいて扁平ループ運動による送り出し運動を行う扁平ループ移動手段によって前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を扁平ループ運動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、二枚だし防止手段を経由した後カードの繰出手段によって当該送り出されたカードを積極的に引き出して払い出すようにしたカードの送り出し装置において、前記カード繰出手段の下流にカード送り出し検知手段を配置し、前記カード送り出し検知手段からのカードの送出信号に基づいて前記扁平ループ移動手段及び前記カード繰出手段を停止することを特徴とするカードの送り出し装置である。
【0018】
請求項10の発明は、カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、繰り出し手段(334)により積極的に保留部から繰り出すようにしたカードの送り出し装置において、前記移送体は平面状の接触面を有すると共に扁平ループ移動手段により移動され、所定の進出位置において前記開口に進出してカード面に面接触した後、当該接触状態を維持しつつ直線的に所定方向へ移動した後、退出位置において前記開口から退出して後、その状態を維持しつつ前記進出位置へ移動し、かつ、前記繰り出し装置により引き出された場合、前記開口内に退避動することを特徴とするカードの送り出し装置である。
【0019】
請求項11の発明は、カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、繰り出し手段により積極的に保留部から繰り出すようにしたカードの送り出し装置において、前記扁平ループ移動手段はカードの送り出し方向に直線的に往復移動すると共に前記送り出し方向に対し直角方向に移動する往復動体を含み、前記往復動体は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体を含み、前記移送体は前記第2往復動体に前記ベースから離れる方向に移動可能、かつ、近づく方向に弾性的に付勢される退避手段(472)を介して取り付けられていることを特徴とするカードの送り出し装置である。
【0020】
請求項12の発明は、カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、繰り出し手段により積極的に保留部から繰り出すようにしたカードの送り出し装置において、前記扁平ループ移動手段はカードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体とを含み、前記移送体は前記カードの送り出し方向に対し離れる方向に傾斜する案内孔及び前記案内孔にスライド可能に挿入された連動シャフトよりなる連動手段によって前記第2往復動体に取り付けられ、さらに、前記カードの送り出し方向と逆方向へ付勢手段によって付勢されていることを特徴とするカードの送り出し装置である。
【0021】
請求項13の発明は、カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、繰り出し手段により積極的に保留部から繰り出すようにしたカードの送り出し装置において、前記扁平ループ移動手段はカードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する水平方向へ延びる水平レバとほぼ垂立方向へ延びるL形の第2往復動体とを含み、前記第2往復動体の水平レバから横向きに突出する連動シャフトを、
前記移送体に一体的に形成した前記カードの送り出し方向に対し離れる方向に傾斜する案内孔にスライド可能に挿入し、さらに、前記移送体を前記カードの送り出し方向と逆方向へ付勢する弾性体を設けたことを特徴とするカードの送り出し装置である。
【0022】
請求項14の発明は、請求項13のカードの送り出し装置において、前記案内孔は水平方向に延びる被動孔を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
この構成において、カードは面接触した状態で柱状に保留され、最端部のカードはカードの面に相対して開口を有するベースによって支えられ、所定位置に保持される。
払い出し信号が出力された場合、移送体は最後退位置においてベースの開口に進行し、その接触面はカードの面に対し面接触する。
当該移送体は扁平ループ移動手段によって扁平ループ運動される。
すなわち、移送体は扁平ループ移動手段によって送り出し方向に直線的に移動されるので、カードは移送体との間の摩擦接触によって移送体と共に送り出し方向へ移動される。
移送体はカード面に対し面接触するので、接触圧力は接触面に均等に分散され、カード面の一部に接触圧力が集中的に作用することはない。
移送体が前進位置に達した場合、移送体は前記開口から退出してカード面との面接触が解除され、次いで移送体はカードから離れた状態を維持しつつ前記進出位置へ移動される。
よって、移送体はカード面を擦ることが少ないので、強度が低い材質のカードであっても、カードに対し疵を与えることがない利点を有する。
【0024】
請求項2の発明において、前記扁平ループ移動手段は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動すると共に前記送り出し方向に対し直角方向に移動する往復動体を含み、移送体は扁平ループ移動手段によって扁平のループ運動を行う。
当該移送体は、扁平ループ運動の一部においてカードの面に面接触し、当該面接触を維持しつつ送り出し方向へ移動し、カードを同方向へ移動させる。
移送体は当該連動後、ベースの開口から退出してカードとの面接触を解除する。
その後移送体は前記送り出し方向に対し逆方向に移動され、前記進出位置に戻る。
よって、移送体は送り出し位置から進出位置に戻る際、カード面に対し摩擦接触しないからカードを損傷することがない。
また、移送体の扁平ループ運動をカードの送り出し方向に直線的に往復移動すると共に前記送り出し方向に対し直角方向に移動する往復動体により達成していることから、構造簡単であり、安価に製造することができる。
【0025】
請求項3の発明において、往復動体は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体、及び、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体の連動によって扁平ループ運動を達成する。
この構成において、それぞれ往復直線運動する第1往復動体と第2往復動体によって移送体の運動が得られるので、構造簡単であり、安価かつ小型に構成することができる。
【0026】
請求項4の発明において、クランクピンが回転した場合、当該クランクピンはそれぞれ第2往復動体の長孔に沿って移動し、第2往復動体にカードの送り出し方向及びその逆方向の往復運動を与える。
この第2往復動体の移動により、第2往復動体がピボット支持された第1往復動体がカードの送り出し方向及びその逆方向に直線的に往復運動される。
第1往復動体の最後退位置付近において、クランクピンが第1往復動体と一体的に移動するカムに接触し、第1移動体を後方に移動させる。
第2往復動体は第1移動体に対しピボット運動され、第1往復動体から離れる方向に移動される。
これにより、移送体がベースの開口を介してカード列最端のカードに面接触する。
更なるクランクピンの回動により、第2往復動体が送り出し方向に移動されるので、第1往復動体も送り出し方向へ一体的に移動され、最前進位置へ達する。
この過程において、第2往復動体は前記カムとクランクピンとの協働により前記移送体のカード面との摩擦接触を継続する。
よって、最端位置のカードは、移送体との面接触により送り出し方向へ移送される。
第1往復動体が最前進位置付近に在り、かつ、更なるクランクピンの回動により、クランクピンは前記カムとの接触を解除される。
これにより、第2往復動体はクランクピンの位置に相対して移動可能になる。
換言すれば、第2往復動体が第1往復動体に対し近づく方向へピボット運動可能になるので、第2往復動体はカードによる押圧力により開口から退出し、カード面との摩擦接触を解除される。
引き続くクランクピンの回動により、第2往復動体が送り出し方向と逆方向へ移動されるので、第1往復動体も連動して同方向へ移動され、最後退位置へ移動される。
【0027】
請求項4の発明は、クランクピン、第1往復動体及び第2往復動体との組み合わせにより、移送体の扁平ループ運動を達成しているので、構造簡単であり、小型化及び低コスト化に適している利点がある。
【0028】
請求項5の発明において、前記第2往復体はカードの送り出し方向にずらして複数配置されているので、簡単な装置で移送体を平行移動することができる。
よって、構造簡単であり、小型化及び低コスト化に適している利点がある。
【0029】
請求項6の発明において、前記クランクピンがカードの進行方向に対し直角に配置された回転軸の両端に取り付けられたクランクから突出し、前記回転軸は前記クランクの間に配置され、かつ、回転軸線が前記回転軸に直交する電気モータの出力軸にギヤ結合されている。
換言すれば、電気モータの軸線がカードの送り出し方向と同方向に並列配置されているので、カード送り出し装置の幅が電気モータの軸長さに影響を受けない。
よって、カード送り出し装置の幅が電気モータの大きさに制約を受けないので、カード送り出し装置を狭幅にすることができ、小型のカード送り出し装置にすることができる利点がある。
【0030】
請求項7の発明は、請求項2のカードの送り出し装置において、さらに、前記移送体に隣接してカードの引出装置を備え、前記移送体の送り出し方向のストロークは、カードの先端が前記引出装置の近傍にある場合に最端カードに相対する範囲内である。
この構成において、カードと移送体との間にスリップが生じ、移送体の1回の送り出し運動ではカード引き出し装置に引き渡すことができなかった場合、再度移送体によってカードの移送を行う。
この場合、移送体のストロークがカードの先端が前記引出装置の近傍にある場合に最端カードに相対するように定められている。
換言すれば、移送体が一度送り出したカードに再接触する場合、同一のカードにのみ面接触し、最端から二枚目のカードに接触することがない。
よって、移送体が再度同一カードに対し送り出し運動を与えても最端のカードのみに搬送力が伝達されるので、カードを二枚送り出すことがない利点を有する。
【0031】
請求項8の発明は、請求項1のカード送り出し装置において、前記ベースはカードの後端に相対して前記引出手段に向かって前下がりの押出斜面を有する。
この構成において、下部のカードはその後端が前記押出斜面によって引出手段に向かって押し出される。
最下のカードのみが二枚だし防止手段を通過可能であり、上に乗っているカードは二枚だし防止手段によって阻止される。
これにより、通常下部のカードは階段状になっている。
新たにカードを積み上げた場合、カードの後端が押出斜面により押し出されて階段状に積みあがる。
換言すれば、イニシャルセットされた場合、カードの積みあがり状態が通常の払出状態と近似した状態に自動的にセットされる。
よって、通常の払出前状態に近いカードの積み上げ状態をイニシャルセットでき、通常の払い出設定で対応できる利点がある。
【0032】
請求項9の発明は、カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、払出指令に基づいて扁平ループ運動による送り出し運動を行う扁平ループ移動手段によって前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を扁平ループ運動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、カードを積極的に引き出して払い出すようにしたカードの繰出手段によって当該送り出されたカードを積極的に引き出して払い出すようにしたカードの送り出し装置において、前記カード繰出手段の下流にカード送り出し検知手段を配置し、前記カード送り出し検知手段からのカードの送出信号に基づいて前記扁平ループ移動手段及び前記カード繰出手段を停止することを特徴とするカードの送り出し装置である。
この構成において、カード繰出手段からカードが引き出されたことをカード送り出し検知手段により検知した場合、扁平ループ移動手段及びカード繰出手段を停止する。
換言すれば、カードの送り出しが完全に停止され、カードが二枚送り出されることはない。
【0033】
請求項10の発明において、ベース上に柱状に積み上げ保留されたカードは、ベースの開口を通って進出した移送体と面接触し、移送体のカード送り出し方向への直線的運動によって送り出される。
移送体は扁平ループ運動手段によってカード送り出し方向への直線的運動を与えられ、最下のカードの下面と面接触によって生じる摩擦力によって最下カードを送り出し方向へ送り出す。
送り出された最下カードの先端が繰り出し手段によって保留部から引き出される。
移送体は、カードが繰り出し手段によって送り出し方向へ引かれた場合、開口から退出方向へ移動可能である。
換言すれば、移送体は最下のカードから離れる方向へ移動するので、移送体とカードとの摩擦力は減少し、カードの引き出し抵抗はカードが載置されているベースとの間の摩擦接触によって生じる引出抵抗に近くなる。
これにより、カードは繰り出し手段によって容易に引き出されることができる。
よって、カードの積み上げ量を増加しても装置を大型化することなく引き出すことができる。
【0034】
請求項11の発明において、第2往復動体は第1往復動体の直線的な移動によってカードの送り出し方向に移動される。
第2往復動体は第1往復動体の移動方向に対し所定のタイミングで直角方向に移動される。
移送体は第2往復動体に取り付けられているため、第1往復動体の最後退位置において第2往復動体が前記直角方向であって保留部に向かって移動した後、第1往復動体がカードの送り出し方向に移動し、第1往復動体の最前進位置において第2往復動体が前記直角方向であって保留部から遠ざかる方向に移動し、次いで第1往復動体がカードの反送り出し方向に移動することにより扁平ループ運動をすることができる。
移送体の前記保留部に向かう移動時に移送体がベースの開口を通って保留部に進行することにより最下カードの下面に移送体は面接触する。
そして、引き続く第1往復動体のカードの送り出し方向の移動によって、ベース上に柱状に積み上げ保留されたカードは、移送体のカード送り出し方向への直線的運動によって送り出される。
この送り出しによって、カードの先端が繰り出し手段によって引き出された場合、カードの移動に引きずられて移送体が同方向へ移動する。
この移動により移送体は、退避手段によって開口から退出方向へ移動される、換言すれば、移送体は退避手段によって保留部から退出する方向へ移動するので、移送体とカードとの接触圧力は減少する。
これにより、カードの引き出し抵抗はカードが載置されているベースとの間の摩擦接触によって生じる引出抵抗に近くなる。
よって、カードの積み上げ量を増加しても装置を大型化することなく引き出すことができる。
【0035】
請求項12の発明において、第2往復動体は第1往復動体の直線的な移動によってカードの送り出し方向に移動される。
第2往復動体は、第1往復動体の移動方向に対し所定のタイミングで直角方向に移動される。
移送体は第2往復動体に取り付けられているため、第1往復動体の最後退位置において第2往復動体が前記直角方向であって保留部に向かって移動した後、第1往復動体がカードの送り出し方向に移動し、第1往復動体の最前進位置において第2往復動体が前記直角方向であって保留部から遠ざかる方向に移動し、次いで第1往復動体がカードの反送り出し方向に移動することにより扁平ループ運動をすることができる。
移送体の前記保留部に向かう移動時に移送体がベースの開口を通って保留部に進行することにより最下カードの下面に移送体は面接触する。
そして、引き続く第1往復動体のカードの送り出し方向の移動によって、ベース上に柱状に積み上げ保留されたカードのうち最下のカードは、移送体のカード送り出し方向への直線的運動によって送り出される。
この送り出しによって、カードの先端が繰り出し手段によって引かれた場合、移送体はカードの移動に引きずられて勢付手段の引っ張り力に抗して同方向へ移動される。
この移動により移送体は、送り出し方向に対し離れる方向に傾斜する案内孔に案内される連動シャフトによって、開口から退出方向へ案内される。
換言すれば、移送体は案内孔と連動シャフトとによって保留部から退出する方向へ案内されるので、移送体とカードとの接触圧力は減少する。
これにより、カードの引き出し抵抗はカードが載置されているベースとの間の摩擦接触によって生じる引出抵抗に近くなる。
よって、カードの積み上げ量を増加しても装置を大型化することなく引き出すことができる。
また、案内孔と連動シャフトにより移送体の退避動を行わせるので装置を小型化でき、また、安価に構成することができる。
【0036】
請求項13の発明において、第2往復動体は第1往復動体の直線的な移動によってカードの送り出し方向に移動される。
第2往復動体は第1往復動体の移動方向に対し所定のタイミングで直角方向に移動される。
移送体は水平方向に往復移動される第1往復動体にピボット運動可能であって、かつ、水平方向へ延びる水平レバとほぼ垂立方向へ延びるL形の第2往復動体に取り付けられ、かつ、第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動するので、第1往復動体の最後退位置において第2往復動体が一方向へピボット運動されることにより保留部に向かって移動した後、第1往復動体がカードの送り出し方向に移動し、第1往復動体の最前進位置において第2往復動体が前記と逆方向にピボット運動することにより保留部から遠ざかる方向に移動し、次いで第1往復動体がカードの反送り出し方向に移動することにより扁平ループ運動をすることができる。
移送体の前記保留部に向かう移動時に移送体がベースの開口を通って保留部に進行することにより最下カードの下面に移送体は面接触する。
そして、引き続く第1往復動体のカードの送り出し方向の移動によって、ベース上に柱状に積み上げ保留されたカードのうち最下のカードは、移送体のカード送り出し方向への直線的運動によって送り出される。
この送り出しによって、カードの先端が繰り出し手段によって引かれた場合、カードの移動に引きずられて移送体が同方向へ移動する。
この移動により移送体は、送り出し方向に対し離れる方向に伸びる案内孔が連動シャフトに対し相対移動されるので、当該連動シャフトに案内されて移送体は開口から退出方向へ案内される。
換言すれば、移送体は案内孔と連動シャフトとによって保留部から退出する方向へ案内されるので、移送体とカードとの接触圧力は減少する。
これにより、カードの引き出し抵抗はカードが載置されているベースとの間の摩擦接触によって生じる引出抵抗に近くなる。
よって、カードの積み上げ量を増加しても装置を大型化することなく引き出すことができる。
また、第1往復動体、第2往復動体、案内孔及び連動シャフトにより移送体の退避動を行わせるので装置を小型化でき、また、安価に構成することができる。
【0037】
請求項14の発明において、第2往復動体は第1往復動体の直線的な移動によってカードの送り出し方向に移動される。
第2往復動体は第1往復動体の移動方向に対し所定のタイミングで直角方向に移動される。
移送体は水平方向に往復移動される第1往復動体にピボット運動可能であって、かつ、水平方向へ延びる水平レバとほぼ垂立方向へ延びるL形の第2往復動体に取り付けられ、かつ、第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動するので、第1往復動体の最後退位置において第2往復動体が一方向へピボット運動されることにより連動シャフトによって案内孔の被動孔を押し上げて保留部に向かって移動した後、第1往復動体がカードの送り出し方向に移動し、第1往復動体の最前進位置において第2往復動体が前記と逆方向にピボット運動することにより連動シャフトによって案内孔を介して保留部から遠ざかる方向に移動し、次いで第1往復動体がカードの反送り出し方向に移動することにより扁平ループ運動をすることができる。
移送体は弾性体により反送り出し方向に付勢されているので、移送体がカードに引き出されない限り連動シャフトは被動孔に留められる。
移送体が前記保留部に向かって移動する際、連動シャフトは被動孔に係止して押し上げる。
これにより、連動シャフトは被動孔の縁部をほぼ直角方向から押し上げるので、積層されているカードを押し上げることができる。
移送体の前記保留部に向かう移動時に移送体がベースの開口を通って保留部に進行することにより最下カードの下面に移送体は面接触する。
そして、引き続く第1往復動体のカードの送り出し方向の移動によって、ベース上に柱状に積み上げ保留されたカードは、移送体のカード送り出し方向への直線的運動によって送り出される。
この送り出しによって、カードの先端が繰り出し手段によって引きかれた場合、カードの移動に引きずられて弾性体の引っ張り力に抗して移送体が同方向へ移動する。
この移動により移送体は、送り出し方向に対し離れる方向に伸びる案内孔が連動シャフトに対し相対移動されるので、当該連動シャフトに案内されて移送体は開口から退出方向へ案内される、換言すれば、移送体は案内孔と連動シャフトとによって保留部から退出する方向へ案内されるので、移送体とカードとの接触力は減少する。
これにより、カードの引き出し抵抗はカードが載置されているベースとの間の摩擦接触によって生じる引出抵抗に近くなる。
よって、カードの積み上げ量を増加しても装置を大型化することなく引き出すことができる。
また、第1往復動体、第2往復動体、案内孔、連動シャフト及び弾性体により移送体の退避動を行わせるので装置を小型化でき、また、安価に構成することができる。
特に、被動孔によってカードを押し上げることができるのでカードの積み上げ量を増加しても確実に押し上げることができる。
また構造的には、案内孔に連続する被動孔、連動シャフト及び弾性体により構成されるので、装置を大型化することなく安価に構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
整列させたカードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カード列を柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カードの面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出すようにしたカードの送り出し装置において、前記移送体は平面状の接触面を有すると共に扁平ループ移動手段により移動され、前記扁平ループ移動手段は所定の進出位置において前記開口に進出してカード面に面接触し、かつ、カードの送り出し方向に直線的に往復移動すると共に前記送り出し方向に対し直交方向に移動する往復動体を含み、前記往復動体はカードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体とを含み、前記第2往復動体はL形をなし、前記第2往復動体が上下方向に伸びる長孔をそれぞれ有し、前記第2往復動体が直線移動可能に案内される前記第1往復動体にピボット支持され、前記長孔にクランクピンが挿入され、前記クランクピンが回転途上において前記第1往復動体と一体的に移動するカムに前記第1往復動体の最後退位置付近から最前進位置付近まで接触可能であり、前記クランクピンが前記カムと接触することにより前記第2往復動体がピボット運動されて前記移送体が前記第1往復動体から離れる方向に移動され、前記第2往復体はカードの送り出し方向にずらして複数配置され、前記クランクピンはカードの進行方向に対し直角に配置された回転軸の両端に取り付けられたクランクから突出し、前記回転軸は前記クランクの間に配置され、かつ、回転軸線が前記回転軸に直交する電気モータの出力軸にギヤ結合されていることを特徴とするカードの送り出し装置である。
【実施例1】
【0039】
図1は、実施例1のカード送り出し装置の斜視図である。
図2は、実施例1のカード送り出し装置の平面図である。
図3は、実施例1のカード送り出し装置の左側面図である。
図4は、実施例1のカード送り出し装置の送り出し手段の分解斜視図である。
図5は、図2におけるA―A線断面図である。
図6は、図7におけるB―B線に沿った移送体駆動装置の最後退位置付近における断面図である。
図7は、実施例1のカード送り出し装置のカード保留手段を取り外した状態の平面図である。
図8は、実施例1のカード送り出し装置の左側板を取り外した状態の側面図である。
図9は、実施例1のカード送り出し装置の右側板を取り外した状態の側面図である。
図10は、実施例1のカード送り出し装置の移送体駆動装置の分解斜視図である。
図11は、実施例1のカード送り出し装置の移送体駆動装置のクランク装置の平面図、側面図である。
図12は、実施例1のカード送り出し装置の移送体駆動装置の原動装置である。
図13は、実施例1のカード送り出し装置の引出装置の分解斜視図である。
図14は、実施例1のカード送り出し装置の制御手段のブロック図である。
図15は、実施例1のカード送り出し装置の作用説明用のフローチャートである。
図16〜20は、実施例1のカード送り出し装置の作用説明図である。
【0040】
カード送り出し装置100は、面どうしを密着させて柱状に整列したカード列の最端部から一枚ずつカードを分離して送り出す機能を有する。
カード送り出し装置100は、大まかにはカード保留手段102及びカード送り出し手段104を含んでいる。
【0041】
まず、カード保留手段102を説明する。
カード保留手段102は、カードの面どうしを密着させて柱状に整列して保留する機能を有する。
本実施例において、カード保留手段102は平面視チャンネル形の保留体106の一側面の開口108を縦長矩形の着脱可能な蓋112によって閉止することにより断面矩形の縦向き保留室114を形成してある。
カード保留手段102の下面は、ベース116によって閉止されている。
図5に示すようにカードCは、ベース116上に載置され、保留筒114内において上下方向に積み重ねられ、面どうしが密着した状態で保留される。
カード保留手段102の開口108に配置した蓋112の下端とベース116との間に横長スリット状の出口118が形成されている。
出口118の高さは、カードCの厚みの約3倍である。
ベース116には、後述の移送体が進出する開口124が形成されている。
本実施例において、開口124は三つの開口124A、124B、124Cからなる。
なお、保留体106には縦長の覗き窓115、蓋112には縦長の覗き窓122が形成されている。
カード保留手段102は、保留体106の左側壁下部において側方へ水平に突出する突起126LF、126LR及び右側壁下部において側方へ水平に突出する突起128RF、128ffをカード送り出し手段104の左側壁132Lの横長の係止溝134LF、134LR、右側壁132Rの横長の係止溝136RF、136RRにそれぞれ係止し、ロック片138でロックすることにより脱落しないよう取り付けられる。
なお、カードCの後述の移送体に対する摩擦力が小さい場合、最上端のカードにウエイトを載せ、若しくは、バネ力等で不正することにより摩擦力を増加することが好ましい。
【0042】
次に、カード送り出し手段104を説明する。
カード送り出し手段104は、カード保留手段102に積み重ねられたカードの最下端のカードCを一枚ずつ所定の方向に送り出す機能を有する。
本実施例において、カード送り出し手段104は、フレーム手段142、移送体144、ループ運動手段146、引出手段148、及び、原動手段150を含んでいる。
【0043】
まずフレーム手段142を説明する。
フレーム手段142は、扁平ループ移動手段146、引出手段148、及び、原動手段150を取り付ける筐体であり、縦長矩形の底板152、左側板132L、右側板132Rによって断面チャンネル形に形成される。
詳細には、底板152と左側板132L及び右側板132Rとが締結手段154によって分解可能に締結されている。
締結手段154は、底板152の前方及び後方の左右端面に形成されたフック156、当該フック156に相対して左側板132L及び右側板132Rの下部に形成した矩形の係止孔158及び底板152の側面中央に形成された突起162と当該突起162に係止可能な弾性係止片164とにより構成されている。
フック156をそれぞれ係止孔158に挿入した後、後方(図3において右方向)にスライドさせることによりフック156により左側板132L及び右側板132Rの外面を係止し、突起162を弾性係止片164の先端で係止することにより左側板132L及び右側板132Rが逆方向へスライドできないようし、底板152と一体化している。
この場合、底板152から上向きに垂立する幅規制板166によって左側板132L及び右側板132Rの間隔を所定の間隔に設定している。
底板152は、金属製スライドベース168に固定し、一体化することができる。
【0044】
次に、移送体144を説明する。
移送体144はカード列の端部のカードCの面に面接触し、摩擦力によって当該カードに推進力を与え、送り出し方向へ送り出す機能を有する。
本実施例において移送体144は縦長であって、かつ、所定の幅を有し、高摩擦体である軟質ラバーで形成された矩形棒状体であり、並列に4本配置されている。
換言すれば、移送体144はカードの面と面接触する平面状の接触面172を上端に有する。
移送体144は、カードに対し滑りを生じた場合、カードに対し疵を付けないため、カードの材質よりも硬度が低いことが好ましい。
しかし、カードが紙製の場合、硬度が極めて低いので、紙に近い硬度の軟質ラバーを選択することが好ましい。
移送体144は、平板である保持体145の上面に接着等により並列して固定され、一体的に移動可能に構成されている。
移送体144は幅広に成形することにより1本にすることも可能であり、また逆に本数を増加することができる。
移送体144は、カード保留手段102のベース116に相対して形成された開口124を通って保留室114に進行することができる。
【0045】
次に扁平ループ移動手段146を説明する。
扁平ループ移動手段146は、移送体144に扁平ループ運動させる機能を有する。
詳細には、扁平ループ移動手段146は、移送体144を所定の進出位置において開口124に進出させてカードCの面に面接触させた後、当該接触状態を維持しつつ直線的に所定の送り出し方向へ移動した後、退出位置において開口124から退出して後、その状態を維持しつつ前記進出位置へ移動させる機能を有する。
扁平ループ移動手段146は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動すると共に前記送り出し方向に対し直交方向に移動する往復動体182を含んでいる。
往復動体182は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体184、第1往復動体184の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体186、第2往復動体の位置を保持する相対位置保持手段187及び駆動手段189を含んでいる。
【0046】
まず第1往復動体184を説明する。
第1往復動体184は、移送体144にカードの送り出し方向及び逆方向の戻り方向の運動を与える機能を有している。
換言すれば、第1往復動体184は、移送体144に扁平ループ運動の送り出し方向及び反送り出し方向の直線運動を付与する機能を有する。
第1往復動体184は、天板188、天板188の左側端から下方へ垂下する左側壁192L及び右側端から下方へ垂下する右側壁192Rにより断面が倒立U形に形成されている。
第1往復導体184は、左案内手段194L及び右案内手段194Rによってカードの送り出し方向及び逆方向に直線運動するよう案内される。
左案内手段194Lは、左側板132Lの内面に形成された水平方向に伸びる左案内溝196Lと左側壁192Lの前端部と後端部に回転自在に取付られた同一径のガイドローラ198LF、198LRとにより構成されている。
これらローラ198LF、198LRは、左案内溝196Lに挿入され、この案内溝196Lに案内されつつ直線運動できる。
右案内手段194Rは、右側板132Rの内面に形成された水平方向に伸びる右案内溝196Rと右側壁192Rの前端部と後端部に回転自在に取付られた同一径のガイドローラ198RF、198RRとにより構成されている。
これらローラ198RF、198RRは、右案内溝196Rに挿入され、この案内溝196Rに案内されつつ直線運動できる。
【0047】
次に第2往復動体186を説明する。
第2往復動体186は、移送体144に対しカードCの面に対し接触する方向及び離れる方向の運動を与える機能を有している。
換言すれば、第2往復動体186は、移送体144に扁平ループ運動におけるカードCへの接近方向及び反接近方向の直線運動を付与する機能を有する。
第2往復動体186は、ピボット軸204にピボット運動可能に取り付けられた倒立L形のレバ206である。
本実施例においてはレバ206は、第1往復動体184の左側壁192L及び右側壁192Rの前端部に取り付けられたピボット軸204F、204Rにピボット運動可能に支持されたL形レバ206RF、206RR、206LF、206LRを含んでいる。
しかし、一つのレバ206、若しくは、左右一対のレバ206RF、206RRによってレバ206を構成できる。
レバ206RF、206RR、206LF、206LRのほぼ垂立する第1梃子208RF、208RR、208LF、208LRにはほぼ垂立する長孔212RF、212RR、212LF、212LRが形成されている。
レバ206RF、206RR、206LF、206LRの天板188に対してほぼ平行に伸びる第2梃子214RF、214RR(214LF、214LRは見えない)の先端部に保持体145から第1往復動体184の天板188の開口を通って下方に伸びる脚体216RF、216RR、216LF、216LRが軸218RF、218RR、218LF、218LRによってピボット運動可能に支持されている。
第2梃子214RF、214RR、214LF、214LR及び脚体216RF、216RR、216LF、216LRにより、四節平行リンク機構219を構成している。
よって、移送体144は、第1往復動体184の送り出し方向に対し直角方向に直線的に往復動される。
【0048】
次に相対位置保持手段187を説明する。
相対位置保持手段187は、第1往復動体184が直線運動している間、第2往復動体186の第1往復動体184に対する相対位置を所定の位置関係に保持する機能を有する。
本実施例において相対位置保持手段187は、第1往復動体184と一体的に形成されたカム222である。
カム222は、左側壁192L及び右側壁192Rからそれぞれ第1梃子208RF、208RR、208LF、208LRの外方においてそれに沿って下方に伸びるカム突起222RF、222RR、222LF、222LRの一側面に形成された板カム224RF、224RR、224LF、224LRである。
板カム224RF、224RR、224LF、224LRは同一構成であるので、板カム224LRを代表して説明する。
板カム224LRは、下端部に後方下向きに形成された第1カム部226及びそれに連続する上方に形成され、後方に向かって上向きに形成された第2カム部228を有している。
これら第1カム部226及び第2カム部228は後述のクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRとそれぞれ接触可能である。
具体的には、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRが第1カム部226と接触した場合、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRの回転につれてレバ206RF、206RR、206LF、206LRが第1往復動体184に対し回動されるので、移送体144は第1往復動体184に対し接近もしくは離れる方向に移動される。
クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRが第2カム部228と接触した場合、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRの位置が変化しても第2往復動体186の泰1往復動体184に対する位相が一定に保たれる。
換言すれば、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRが回動した場合であっても、移送体144の第1往復動体184に対する相対位置は変化しないよう設定される。
【0049】
上記構成により、移送体144の扁平な横方向、換言すればカードCの送り出し方向及び反送り出し方向のストロークは、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRの回転直径によって決定される。
このストロークは、最下端のカードCの先端が後述の引出手段334のローラ382、384の直ぐ側方まで到達した場合であっても、移送体144が再度、開口124に進行してカードCに接触する場合、最下のカードCにのみ接触するよう設定されている。
最下のカードCのみを送り出すためである。
【0050】
次に駆動手段189を説明する。
駆動手段189は、扁平ループ移動手段146を駆動する機能を有する。
駆動手段189は、クランク232と当該クランク232の所定半径位置に取り付けられたクランクピン230を含んでいる。
本実施例においてクランク232は、L形レバ206RF、206RR、206LF、206LRに相対してそれぞれ同一半径のクランク232RF、232RR、232LF、232LRが設けられている。
クランク232RF及び232LFは回転軸234RF及び234LFの端面に形成されたギヤ236RF及び236LFである。
回転軸234RF及び234LFの端面を噛み合い締結してクランク232RF及び232LFは一体化される。
このように構成することにより、クランク232RF及び232LFを同一の樹脂成形品にて構成することができ、安価に製造できる。
同様にクランク232RR及び232LRは回転軸234RR及び234LRの端面に形成されたギヤ236RR及び236LRであり、回転軸234RR及び234LRの端面を噛み合い締結してクランク232RF及び232LFは一体化される。
ギヤ236RF及び236LF、236RR及び236LRの各外向き端面にクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRが取り付けられる。
本実施例においてクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、ローラである。駆動力の減少及び耐久性の向上のためである。
回転軸234RF及び234LF並びに234RR及び234LRは、箱形の駆動体枠242の上端に形成された半円形の軸受溝244RF、244LF及び244RR、244LRにそれぞれ挿入され、上側から保持体246の半円形の軸受溝248RF(248LFは見えない)、248RR(248LRは見えない)を被せられ、回転自在に保持されている。
駆動体枠242は、底板152に一体に樹脂成形されている。
よって、駆動体枠242、換言すれば駆動手段189は、左右のクランク232LF、232RF及び232LR、232RRの間に配置されている。
駆動体枠242の軸受溝244RF、244LF及び244RR、244LRの間には回転軸252が回転自在に支持され、その両端に固定されたピニオンギヤ254L及び254Rがそれぞれギヤ236LFと236lR及び236RFと236RRに噛み合っている。
クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、同一位相に設定される。
よって、正転時、ギヤ236LFと236LRはピニオンギヤ254Lによって、ギヤ236RFと236RRはピニオンギヤ254Rによって同方向(図5において反時計方向)へ回転され、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、同一位相において図5において時計方向へ回転される。
クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、それぞれ対応する長孔212RF、212RR、212LF、212LRにスライド可能に挿入されている。
よって、第2往復動体186はクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRの主に図5における左右方向の移動によってカードの送り出し方向及び反送り出し方向へ移動され、ピボット軸204F、204Rを介して第1往復動体184に対しカードの送り出し方向及び反送り出し方向に往復直線運動を与える。
また、第2往復動体186は、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRの図5における上下方向の回動時の回転途上の所定タイミングにおいて第1カム部226に接触し、第1往復動体184に対する相対位置が変化しないよう回動される。
さらに、第1往復動体184の送り出し方向への移動時に第2カム部228に接触し、直角方向に離れ及び接近するよう回動される。
よって、移送体144はクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRの回転動によって保持体145を介して扁平ループ運動を付与される。
回転軸252の中間に第1ベベルギヤ256が固定されている。
この第1ベベルギヤ256に噛み合う第2ベベルギヤ258及び第2ベベルギヤ258と同一の回転軸265に固定されたギヤ264が駆動体枠242に内蔵されている。
よって回転軸265は、回転軸252と直交する軸線回りを回転する。
駆動体枠242には、回転軸265と並列に回転軸266が取り付けられ、当該回転軸266にはギヤ264と噛み合うピニオンギヤ268が固定されている。
回転軸266の端面には、噛み合いクラッチ272の一方のクラッチ片272Aが一体に設けられている。
よって、駆動手段189は、左右のクランクピン230LF、230LRと230RF、230RRとの間の所謂デッドスペースに配置されるので、装置を小型化できる利点がある。
【0051】
次に原動手段150を主に図12を参照して説明する。
図12(A)は、駆動手段150の平面図、(B)は背面図、(C)は左側面図、(D)はC−C断面図である。
原動手段150は、駆動手段189及び引出手段148を駆動する機能を有する。
原動手段150は、平面視L形のケーシング282、電動モータ284、減速機構286及び引出手段148の駆動装置288を含んでいる。
原動手段150は、ケーシング282によってユニット化され、駆動体枠242の端部から突出するフック290L、290Rによってケーシング252の係止部291に係止することにより、着脱可能に取り付けられている。
ケーシング282にスクリュウ283によって固定された電動モータ284の出力軸292に駆動ピニオンギヤ294が固定されている。
駆動ピニオンギヤ294は、直上方の回転軸296に固定されたギヤ298に噛み合い、隣接して回転軸296に固定されたギヤ302は回転軸296に対し並列配置された回転軸304に固定されたギヤ306に噛み合っている。
ギヤ306に隣接して固定されたギヤ308は、回転軸304の下方であってかつギヤ294の側方に配置された回転軸312に固定されたギヤ314に噛み合っている。
回転軸312の端面には噛み合いクラッチ272の他方のクラッチ片272Bが固定されている。
原動手段150が駆動体枠242に固定された場合、クラッチ片272A及び272Bが噛み合うため、電動モータ282の回転は、出力軸292、駆動ピニオンギヤ294ギヤ298、回転軸296、ギヤ302、306、回転軸304、ギヤ308、314、回転軸312及びクラッチ272を介してギヤ268に伝達される。
【0052】
次に駆動装置288を説明する。
駆動装置288は、扁平ループ移動手段146によって送り出されたカードCを引き出す引出手段148を駆動する機能を有する。
駆動装置288は、ギヤ機構313である。
ギヤ機構313は、回転軸304に固定されたベベルギヤ316がベベルギヤ318に噛み合っている。
ベベルギヤ318は、回転軸322に固定されている。
回転軸322のケーシング282から突出した先端にはギヤ324が固定されている。
【0053】
次に引出手段148を説明する。
引出手段148は、扁平ループ移動手段146によって送り出されたカードCの一枚を引き出す機能を有する。
本実施例において引出手段148は、二枚だし防止手段332と繰り出し手段334とを含んでいる。
【0054】
まず二枚だし防止手段332を説明する。
二枚だし防止手段332は、移送体144によってカードが重なって送り出された場合、最端の一枚のカードのみを通過可能とする機能を有する。
よって、同様の機能を有する他の装置に変更することができる。
二枚だし防止手段332は、出口122の側方に配置され、ローラ335、逆転ローラ336及び隙間調整手段338を含んでいる。
【0055】
次にローラ335を説明する。
ローラ335は、出口122の延長線であるカード通路342の下側に配置され、回転軸344に緩く嵌め合わされている。
本実施例においてローラ335は、カードの幅方向に間隔をおいて配置された二個のローラ335Lと335Rにより構成され、それらローラは樹脂により成型されている。
ローラ335は回転軸344に対し回転可能である。
回転軸344は、端部に固定したギヤ345がギヤ324から軸346に回転自在に支持された中間ギヤ348に噛み合い、回転駆動される。
【0056】
次に、逆転ローラ336を説明する。
逆転ローラ336は、カード通路342の上側に配置され、ローラ335と相対配置され、往復動体182が移送運動を行う場合、相対する周面がカードCの送り出し方向と反対側に移動するように回転される。
さらに、ローラ335と逆転ローラ336との間隔は、カードの厚みを超え、かつ、カード2枚の厚み未満に設定され、逆転ローラ336はカードが二枚重なって送り出されないようにする。
詳述すれば、カードCが二枚重なって進行してきた場合、逆転ローラ336は上側のカードの端面を押し戻すように作用し、ローラ335に接するカードのみがローラ335と逆転ローラ336との間を通過する。
逆転ローラ336は、回転軸352に固定され、耐摩耗性に優れ、かつ、所定の摩擦係数を有する軟質ゴムにより成型されている。
実施例において、逆転ローラ336はローラ335に固定されたギヤ353が軸344に固定された偽薬345に軸356に回転自在に支持されたギヤ357を介して噛み合い、回転駆動される。
【0057】
次に、隙間調整手段338を説明する。
隙間調整手段338は、ローラ335の周面上端と逆転ローラ336の周面下端との隙間をカード1枚の厚みを超え、かつ、カード2枚の厚み未満に調整する機能を有する。
本実施例において隙間調整手段338は、逆転ローラ336の回転軸352を支持する揺動体362、調整手段としてのスクリュウ364L、364R及びスクリュウ364L、364Rねじ込み用のネジ孔374L、374Rを有するネジ孔プレート366を含んでいる。
揺動体362は側面視倒立L形の門状であって、両端から側方に突出する軸368Lが左側板132Lの軸孔372Lに、軸368Rが右側板132Rの軸孔372Rに回動自在に挿入されている。
ネジ孔プレート366は、右端を左側板132Lに、左端を右側板132Rに固定し、揺動体362の上方に所定の間隔で配置されている。
ネジ孔プレート366の左右端部に上下方向に伸びるネジ孔374L、374Rが形成され、スクリュウ364L、364Rがそれぞれねじ込まれている。
スクリュウ364L、364Rの先端は、揺動体362の上端面に突き当てられている。
揺動体362は、ネジ孔プレート366との間に引っ掛けられたスプリング376によって逆転ローラ336がローラ335から離れる方向に付勢される。
スクリュウ364L、364Rをねじ込むことにより、揺動体362を微量ずつ回動させ、逆転ローラ336をローラ335に微量ずつ近づけることができる。
したがって、スクリュウ364L、364Rをねじ込み、若しくは、緩めることにより、逆転ローラ336の周面下端とローラ335の周面上端との距離をカード一枚の厚みを超え、二枚の厚み未満に調整することができる。
これにより、カードCはローラ335と逆転ローラ336との隙間を一枚のみ通過することができる。
【0058】
次に繰り出し手段334を説明する。
繰り出し手段334は、二枚だし防止手段332を通過したカードを送り出し方向へ更に進行させる機能を有する。
よって、繰り出し手段334は、同様の機能を有する他の手段に変更することができる。
本実施例において繰り出し手段334は、上下に配置された一対のローラ382、384で構成されている。
ローラ382はカード通路342の下側に配置され、回転軸386に固定されている。
ローラ384は、カード通路342の上側においてローラ382に相対して配置され、回転軸388に固定されている。
ローラ382、384は軟質ゴムにより成型され、通常はローラ382及び384の周面が軽く接触するよう設定されている。
回転軸386の端部に固定されたギヤ392は中間ギヤ348に噛み合っている。
ギヤ392は、軸388の端部に固定されたギヤ394に噛み合っている。
よってローラ382はギヤ348によってカードの送り出し方向である正転方向に回転される。
ローラ384は、ギヤ392からギヤ394、軸388を介してカードの送り出し方向である正転方向に回転される。
カードが送り込まれた場合、ローラ382、384が弾性変形してカードを上下から挟持し、カードを送り出す。
本実施例において、ローラ384は所定の間隔で配置されたローラ384Lと384Rとによって構成されている。
【0059】
軸346、ローラ335の回転軸344及びローラ382の軸386は一つの箱形の第1軸受体396に取り付けられてユニット化され、組み立ての容易化及びローラ交換の容易化を図ることが好ましい。
本実施例において、フレーム手段142の左側板132L及び右側板132Rの向かい合う内面に前面側端部から水平に伸びる下側ガイド縁388L、388R及び上側ガイド縁392L、392Rが形成され、それらは垂立する停止縁394によって接続されている。
第1軸受体396の左右端部の底面及び上面をそれぞれ下側ガイド縁388l、388R及び上側ガイド縁392L、392Rにあてがって押し込み、停止縁394に押し当てる。
この状態において、左側板132L及び右側板132Rに一体的に片持ち状態に形成されたストッパ396L、396Rが相対するので、第1軸受体396の側面の突起398に引っ掛けることにより、第1軸受体396をフレーム手段142に固定する。
ローラ382、384の周速度は同一に設定され、移送体144の送り出し方向の移動速度よりも2倍から6倍の速度に設定されている。
【0060】
ローラ384の回転軸388は箱形の第2軸受体402に取り付けられている。
第2軸受体402の長さは、左側板132L及び右側板132R間に密に挿入できる長さに設定されている。
また、左側板132L及び右側板132Rの向き合う内面には第2軸受体402の下面をガイドする下側案内条404及び上面をガイドする上側案内条406が形成されている。
第2軸受体402はそれら下側案内条404及び上側案内条406間に挿入し、スライドさせて第2軸受体402の端部の縦長溝408の底が左側板132L及び右側板132Rの端面に突き当たるまで挿入することにより所定の位置に位置決めされる。
このとき、第2軸受体402に一体的に取り付けられたストッパ409の左右端面に形成された突起410L、410Rがそれぞれ左側板132L及び右側板132Rの係止孔412L、412Rの端部に係止し、固定される。
ストッパ409は、樹脂製の矩形リング状であり、前面側部分のみが第2軸受402に固定されている。
よって、側枠414L、414Rは弾性変形可能である。
これら側枠414L、414Rは、連結体416によって連接されている。
連結体416は、指先を引っかけ易いように湾曲させることが好ましい。
第2軸受体402をフレーム手段142から取り外す場合、親指を第2軸受体402の前端面にあてがい、人差し指等を連結体416に引っ掛けて前端面側に引き寄せることにより、側枠414L、414Rが弾性変形して内方に移動し、突起408L、408Rが係止孔412L、412Rから外れる。
この外れた状態において、第2軸受体402を引き出すことによりフレーム手段142から取り外すことができる。
【0061】
次に制御手段422を説明する。
制御手段422は、保留カード検知手段424、カード送り出し検知手段426、最後退位置検知手段432、マイクロコンピュータ等の演算処理手段434及び電気モータ284を含んでいる。
【0062】
まず、保留カード検知手段424を説明する。
保留カード検知手段424は、カード保留手段102内のカードの有無を検知する機能を有する。
よって、保留カード検知手段424は同様の機能を有する他の装置に変更できる。
本実施例において、保留カード検知手段424は、第1往復動体184に取り付けられた第1検知体436、付勢手段としてのスプリング438、第1検知体436に連動する第1被検知体442を含んでいる。
第1検知体436は、第1往復動体184の軸444に回動可能に取り付けられ、その上端部は移送体144の側方に位置し、スプリング438によって移送体144よりも上方に位置するよう回動力を付与されている。
第1検知体436に連なるレバ446の先端に軸448によって第1被検知体442がピボット運動可能に取り付けられている。
レバ446及び第1被検知体442は四節平行リンク機構444の一部を構成している。
よって、第1被検知体442は第1検知体436の揺動に伴って第1往復動体184に対し平行状態で接近及び離隔される。
この第1被検知体442は、保持体246に固定された保留センサ450によって、第1検知体436が移送体144よりも上方に突出している場合、保留センサ450によって検知される。
この検知により保留センサ450は、カード無し信号を出力する。
換言すれば、第1被検知体442が保留センサ450に検知されない場合、保留信号FSを出力する。
【0063】
次にカード送り出し検知手段426を説明する。
カード送り出し検知手段426は、引出手段148におけるカードの存在を検知する機能を有する。
よって、カード送り出し検知手段426は同様の機能を有する他の装置に変更できる。
カード送り出し検知手段426は、第2検知体452、及び、送り出しセンサ454を含んでいる。
第2検知体452は、その上端部が第1軸受体396におけるローラ382Lと382Rの間においてカード通路342に突出するよう付勢されている。
送り出しセンサ454は、第1軸受体396内に内蔵され、第2検知体452がカードにより第1軸受体396に押し込められた場合、カードの送出信号DSを出力する。
【0064】
次に最後退位置検知手段432を説明する。
最後退位置検知手段432は、移送体144の最後退位置を検知する機能を有する。
よって、最後退位置検知手段432は同様の機能を有する他の装置に変更できる。
最後退位置検知手段432は、第1往復動体184から下方へ突出する第2被検知体456及び、最後退位置センサ432を含んでいる。
第2被検知片456は、第1往復動体184が最後退位置付近に位置する場合、保持体246に固定された最後退位置センサ432によって検知される。
このとき最後退位置センサ432は、最後退位置信号RSを出力する。
【0065】
次に演算処理手段434を説明する。
演算処理手段434は、例えばマイクロコンピュータであって、ROMに記憶されたプログラムに基づいて、保留センサ450、送り出しセンサ454及び最後退位置センサ432から検知信号を受け、所定の処理を行って電気モータ284をオン・オフし、及び外部処理装置に表示信号等の所定の信号を出力する。
【0066】
なお、第2軸受体402にカード押さえ462を装着することが好ましい。
カード押さえ462は、繰り出し手段334によって送り出されたカードCを送り出し手段104に保持する機能を有する。
よって、カードCをカード送り出し手段104から落下させる場合、カード押さえ462は装着されない。
カード押さえ462は、弾性体よりなる突片であり、一端が第2軸受体402に固定され、先端は第1軸受体396に所定の力で接している。
本実施例において、カード押さえ462は第2検知体452を左右から挟むように配置され、カード検出の確実化をも図っている。
【0067】
次に図15のフローチャートも参照して本実施例のカード送り出し装置の作用を説明する。
まずカード送り出し装置100の稼働に先立ち、カード保留手段102をカード送り出し手段104から取り外し、保留体106の保留室114にカードCを積み上げる。
詳述すれば、ロック片138の先端を下方に押し下げることにより、突起126LR、126RRの係止が外れるので、カード保留手段102を後方(図3において右方)にずらし、突起126RF、126RR、126LF、126RFを対応する係止溝134RF、134RR、134LF、134LRから抜き出す。
これにより、カード保留手段102はカード送り出し手段104から取り外すことができる。
次いで蓋112を開放し、開口108から保留室114にカードCを積み上げる。
詳述すれば、最下のカードはベース116に支えられ、その上にカードCの面どうしが密接した状態で柱状に積み上げられる。
次いで蓋112によって開口108を閉止した後、前述と逆に突起126LF、126LR、126RF、126RRを左側板132L、右側板132Rの上端に載せ、横方向にスライドさせることにより係止溝134RF、134RR、134LF、134LRに挿入する。
突起1126LF、126LR、126RF、126RRが係止溝134RF、134RR、134LF、134LRの奥壁に突き当たったところでロック片138L、138Rが上方に弾性で復帰し、突起126LR、126RRの後端を係止し、カード保留手段102をカード送り出し手段104に固定する。
【0068】
通常、移送体144は、最後退位置付近(図16に示す位置)において停止される。
よって、第2被検知体446は最後退位置センサ432に検知される位置にある。
カード保留手段102がセットされた場合、第1検知体436はベース116の開口124Bを通って保留室114に進出するため、最下端のカードCの面に押し下げられて移送体144の接触面172よりも僅かに上側に位置する。
これにより、図6において第1検知体436が反時計方向へ回動されるので第1被検知体442が上方へ引き上げられ、保留センサ450によって検知されず、保留センサ450は保留信号FSを出力する。
【0069】
まず、ステップS1において、最後退位置信号RSが最後退位置センサ432から出力されているか判別する。
換言すれば、第2被検知体456が最後退位置センサ432によって検知され、最後退信号RSを出力していない場合、ステップS2に進む。
最後退位置センサ432が最後退信号RSを出力している場合、ステップS7に進む。
【0070】
ステップS2において、電気モータ284を低速度若しくは寸動で逆転し、クランクピン230LF、230LR、230RF、230RRに逆転動を与え、移送体144をイニシャルポジション(図16の位置)に移動させ、ステップS3に進む。
これにより、移送体144は、ベース116の開口から保留室114内に突出した状態で後方へ移動され、かつ、第2被検知体456が最後退位置センサ432によって検知され、最後退位置センサ432は最後退位置信号RSを出力する。
この時、移送体144はカードCの面を擦るが、低速度であるのでカードCを損傷することはない。
【0071】
ステップS3において最後退位置信号RSを判別した場合、ステップS4に進み、判別しない場合、ステップS5に進む。
【0072】
ステップS4において、電気モータ284を停止し、移送体144のイニシャルポジション処理を終了し、ステップS7に進む。
イニシャルポジション処理により移送体144は大凡図16に示す位置に停止される。
よって、移送体144はクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRがクランク232RF、232RR、232LF、232LRの最後退(図16において最右側)付近に位置している。
これにより、第1往復移動体184はクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRによってレバ206RF、206RR、206LF、206LRを介して大凡最後退位置に移動されている。
また、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRがカム222と接触しない位置に回動されている。
よって、第2往復移動体186は、第1往復移動体184に近接した位置に保持されている。
換言すれば、移送体144がカードCの重量によって押し下げられ、ベース116の開口124から退出して保留室114の外に位置している。
【0073】
なお、イニシャルポジション処理は、電気モータ284を正転させて行うことができる。
この場合、最下のカードCが送り出される場合があるが、送り出されたカードCはカード保留室114に戻せばよい。
【0074】
ステップS3において、最後退位置信号RSを判別しない場合、ステップS5に進む。
ステップS5において、所定時間経過したか判別し、所定時間経過しない場合はステップS3に戻り、所定時間経過した場合、ステップS6に進む。
【0075】
ステップS6において、電気モータ284が回転しても移送体144が移動されない異常が発生したとみなし、外部処理装置へエラー信号を出力して表示装置にエラー表示をした後、処理を終了する。
【0076】
ステップS7において、保留センサ450からのカードCの保留信号FSの有無を判別する。
保留信号FSを判別した場合、ステップS8に進み、判別しない場合、ステップS9へ進む。
【0077】
ステップS9において、外部処理装置へカード無し信号を出力し、カードの補給を促す表示等を行って後、処理を終了する。
【0078】
ステップS8において、外部制御装置よりカードの払い出し信号PSがあるか判別する。
払い出し信号PSを判別した場合、ステップS10に進み、判別しない場合ステップS7に戻る。
【0079】
ステップS10において、電気モータ284を正転駆動し、ステップS11へ進む。
電気モータ284が正転された場合、減速機構286を介してクラッチ片272Bが回転され、これに噛み合っているクラッチ片272Aが回転される。
これにより、回転軸266、ギヤ268、264、回転軸265、ベベルギヤ258、256、回転軸252を介してピニオンギヤ254L、254Rが図11において時計方向へ回動される。
ピニオンギヤ254L、254Rの回転によってギヤ236RF、236RR、236LF、236LRが図10において反時計方向へ回転されるので、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは円弧軌跡をたどってほぼ上方へ移動する。
これにより、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRはそれぞれ第1カム226に接触するので、レバ206RF、206RR、206LF、206LRは第1往復動体184に対し図17において時計方向へ所定角度回動される。
よって、第2往復動体186は四節平行リンク219によって平行に押し上げられ、第1往復動体184から所定量離れる。
第2往復動体186のこの移動によって、移送体144は保持体145を介してベース116の開口124を通って保留室114内へ進行し、カード列を僅かに押し上げる。
換言すれば、最下のカードCは移送体144の接触面172と面接触し、ベース116から離隔される。
【0080】
さらに、クランク232RF、232RR、232LF、232LRが反時計方向へ回動され、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは円弧軌跡を描きつつ横方向(図18において左方)へ移動する。
これにより、第1往復動体184は図において左方へ移動される。
第1往復動体184は、ローラ198RF、198RR、198LF、198LRが右案内溝196R及び左案内溝196Lによってそれぞれ案内されるので、図18において左方へ直線移動する。
よって、第2往復移動体186は、レバ206RF、206RR、206LF、206LRを介して第1往復移動体184の移動と共に横方向(図において左方)へ移動される。
換言すれば、移送体144が送り出し方向へ移動される。
第2往復動体186の送り出し方向への移動に連動してクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、第2カム部228に接触する。
第2カム228によって、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LR位置が変動してもレバ206RF、206RR、206LF、206LRの第1往復動体184に対する位置関係が変化しないように移動される。
よって、移送体144は、接触面172がカードの面と面接触した状態を継続して図18の左方へ向かって直線的に移動され、最前進位置に達する(図19)。
これにより、最下のカードCは、移送体144の接触面172との摩擦力により送り出し方向へ移送される。
移送体144のストロークは、カードCの先端が繰り出し手段334に達するに十分なストロークである。
【0081】
更なるクランク232RF、232RR、232LF、232LRの回転によって、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRが左端部に達した場合、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは円弧を描きつつ大凡下方へ移動する(図20)。
よって、第1往復動体184は最前進位置を継続する。
一方、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、第1カム部226に接触するため、レバ206RF、206RR、206LF、206LRは第1往復動体184に対し反時計方向へ回動する。
第2往復動体186は平行リンク機構219によって下方へ平行移動され、第1往復動体184に接近される。
これにより、移送体144はカードCの重量によって押し下げられてベース116の開口124から退出するので、最下のカードCはベース116に支えられ、移送体144との面接触は解除される。
【0082】
更なるクランク232RF、232RR、232LF、232LRの回転によって、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは円弧を描きつつ図20において右方へ移動する。
よって、第1往復動体184はレバ206RF、206RR、206LF、206LRを介して反送り出し方向へ直線的に移動される。
クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、この途上において他の規制を受けないから、レバ206RF、206RR、206LF、206LRと第1往復動体184との相対的位置関係は変動しない。
よって、第2往復動体186は開口124の下方の位置を継続しつつ図20において右方へ移動し、最後退位置近傍に達する(図16)。
最後退位置近傍において、第2被検知体456は、最後退位置センサ432によって検知され、最後退位置信号RSを出力する。
【0083】
一方、電動モータ282の回転によって駆動装置288を介してギヤ324が図8において時計方向へ回転される。
これにより、ギヤ348、345、353、357及び軸352を介して逆転ローラ336が図5において反時計方向へ回転される。
換言すれば、逆転ローラ336の下面はカードCの送り出し方向と逆方向へ進行する。
さらに、ギヤ392、394を介してローラ382、384が送り出し方向に同一周速度で回転される。
最下のカードCが移送体144の送り出し方向への直線運動により送り出し方向へ送られた場合、カード保留手段102の出口118を通ってカード通路342へ送り出される。
そしてローラ335と逆転ローラ336との間に送り込まれる。
カードCが一枚の場合、ローラ335と逆転ローラ336の間隔がカードCの一枚の厚みを超え、かつ、カード2枚の厚み未満であるから、カードCは進行抵抗を受けずに通過する。
通過したカードCは、ローラ382、384の間に挟まれ、送り出される。
送り出されたカードCの後端は、カード押さえ462によって第1軸受体396に押し付けられて保持される。
カードCがローラ382、384の間に挟まれた場合、カードはカード保留手段102から強制的に引き出される。
カードがローラ382、384の間に挟まれた場合、第1検知片452はカードによって図4において反時計方向へ回動される。
この回動によって、第1検知片452は送り出しセンサ454によって検知され、送り出しセンサ454は送り出し信号DSを出力する。
【0084】
ステップS11において、最後退位置信号RSを判別した場合、ステップS12へ進み、判別されない場合ステップS14へ進む。
【0085】
ステップS12において、カード送り出し検知手段426からの送り出し信号DSを判別した場合、ステップS13に進み、送り出し信号DSが判別されない場合、ステップS16へ進む。
【0086】
ステップS13において、電気モータ284への給電を停止した後払い出し処理を終了し、移送体144をイニシャルポジション(図16)に保持する。
【0087】
ステップS11において、最後退位置信号RSが判別されない場合、ステップS14は進み、所定時間経過したか判別し、経過しない場合ステップS11へ戻り、払い出し処理を継続する。
ステップS14において、所定時間の経過を判別した場合、ステップS15へ進み、エラー信号を外部処理装置へ出力した後、払い出し処理を中止する。
換言すれば、所定時間カードの送り出し作業を行っても移送体144が扁平ループ運動しなかったと判別し、送り出し装置100の送り出し処理を停止する。
【0088】
ステップS12において、カードの送り出し信号DSが判別されない場合、ステップS16へ進む。
ステップS16において、最後退位置信号の回数が2であるか判別し、2でない場合、ステップS11へ戻り、払い出し処理を継続する。
換言すれば、移送体144が再度扁平ループ運動を行い、カードCの送り出しのリトライをする。
この場合、移送体144は、最悪最下のカードCに対し、送り出し運動を与える。
すなわち、移送体144の送り出し方向のストロークは、最下端のカードの先端が引出手段334のローラ382、384の直ぐ側まで到達した場合であっても、移送体144が再度、開口124に進行してカードCに接触する場合、最下のカードにのみ接触するよう、移送体144のストロークが設定されている。
なお、移送体144のストロークは、クランク232RF、232RR、232LF、232LRの半径によって決定される。
前記回数は、移送体144による扁平ループ運動のリトライ回数を定めるものであり、回数は適宜に設定できる。
【0089】
ステップS16において、最後退位置信号が2であることを判別した場合、ステップS17に進む。
ステップS17において、エラー信号を外部処理装置へ出力し、エラー表示等を行った後、ステップS13に進む。
ステップS13において、電気モータ284を停止し、イニシャルポジションにおいて停止する。
【0090】
本発明において、カード送り出し手段104は積み上げたカード列の最上端のカードに面して配置することができる。
この場合、カードが最上端位置に位置するよう、弾性体若しくはウエイト等の付勢手段により押し上げる必要がある。
さらに、本発明はカード列を横に倒した状態で送り出すことができる。
この場合もカード送り出し手段104側のカードが所定位置に位置されるよう付勢手段により横方向へ付勢する必要がある。
さらにまた、ベース116を保留体106と別体に設け、カード送り出し手段104側に配置することができる。
なお、イニシャルポジションは、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRが第1カム226と接触し、移送体144がカードCを押し上げた状態にすることもできる。
【実施例2】
【0091】
図21は実施例2において、図5と同位置の断面図である。
図22は実施例2の作用説明図である。
図23は実施例1における懸念の説明図である。
【0092】
本実施例2は、実施例1におけるイニシャルセット後の最初のカードCの払出時にカードCが二枚払い出されることを簡単な構造によって防止したものである。
まず実施例1のカード送り出し装置における懸念が図23を参照して説明される。
本カード送り出し装置において、イニシャルセット時、最下のカードCは保留室114内に位置している(図23(A)参照)。
最下のカードCが送り出し手段104の送り出し運動によって引出手段148側へ送られた場合、最下のカードCはローラ335と逆転ローラ336の間を通過して繰出手段334側へ進行するが、その上に載っているカードC2は摩擦接触により友連れされるも二枚だし防止手段332を構成する逆転ローラ336によって進行を阻止され、繰出手段334側へ移動することはない(図23(B)参照)。
カードC2の上に載り、かつ、出口開口122を通過できるカードC3も同様に逆転ローラ336によって進行を阻止され、階段状に積み重なったランニング状態を呈する((図23(B)参照))。
移送体144のストロークはカードCが前記イニシャルセットの位置にあり、かつ、一定の滑りが発生した場合であっても、カードCの先端が繰出手段334に到達するよう設定しなければならない。
しかし、イニシャルセット状態からのカードCの送り出し回数よりもランニング状態からのカードCの送り出しの回数が圧倒的に多いため、ランニング状態においてカードCの二枚送り出しが行われないよう移送体144のストロークが設定される。
換言すれば、移送体144のストロークは、イニシャルセット状態からの送り出しにおけるスリップに対する余裕代が少なく設定される。
このため、イニシャルセット時の送り出しにおいて、移送体144の1回のストロークではカードCの先端が繰出手段334の直前までしか到達しない場合がある((図23(B)参照))。
この場合、実施例1におけるステップS16を経て移送体144は二回目の送り出し運動を行う。
これにより、最下のカードCは移送体144の送り出し運動開始後直ぐさま繰出手段334によって繰出され、その上のカードC2が移送体144によって二枚だし防止手段332を通過して繰出手段334側へ送られる(図23(C)参照)。
このカードC2は、その先端が逆転ローラ336に阻止されていたため、繰出手段334との距離が比較的近く、上記二回目の送り出し運動によって繰出手段334へ到達し、払い出されてしまう恐れがある。
本実施例2は、このような過払出しを防止することができる。
【0093】
実施例2が図21を参照して説明されるが、実施例1と同一部分には同一符合を付し異なる部分のみが説明される。
カード保留手段102を構成する保留体106のベース116の後端に押出斜面462が形成される。
押出斜面462は、約45°の角度で前下がりに傾斜している。
換言すれば、押出斜面462は引出手段148に向かって前下がりに傾斜し、その下端は出口122に約5ミリ近づいている。
この構成により、保留室114内に積み上げられたカードCの下部の数枚は、その後端(出口122の反対側の端部)は押出斜面462に接する。
そして、上に載っているカードCの重量により後端を押出斜面462に押し付けられたカードCは、相対的に出口122側へ押し出される。
これにより、保留室114内に保留されたイニシャルセット状態において、下部のカードCは出口122において階段状に積み上がる。
【0094】
次に本実施例2の作用を図22をも参照して説明する。
カードCを新たに装填した保留体106をフレーム手段142に装着した場合、図21に示すように最下部のカードCが出口122において押出斜面462によって階段状に引出手段148側へ押し出され、イニシャルセットされる。
このイニシャルセット状態は最下のカードCの先端が二枚だし防止手段332の逆転ローラ336に接触していない位置ではあるが、近接した位置に存在する。
二枚目以降のカードC2・・の払出しは、前記ランニング状態から行われる。
前記イニシャルセット状態とランニング状態とを比較すると、階段状に積み上がる形態において同様であり、積み上がる位置が引出手段148から僅かに遠い点が異なる。
このイニシャルセット状態において、移送体144が最初の送り出し運動を行った場合、最下のカードCは二枚だし防止手段332を通過して繰出手段334に到達し、払い出される。
本実施例2において、最下のカードCは押出斜面462によって繰出手段334に近づけられている。
よって、移送体144とカードCとの間のスリップが想定よりも多い場合であっても、前記近い分、繰出手段334へ到達させることができる。
換言すれば、ランニング状態におけるカードCの送り出しに適した移送体144等の設定であっても、イニシャルセット時のカードCの送り出しの余裕代が多くなり、送り出しミスを生じることがない。
ランニング状態における最下のカードCの先端は、逆転ローラ336に接触若しくは実質的に接触する位置にあるため、イニシャルセット位置よりも繰出手段334に近い位置にある。
よって、移送体144の一回の送り出し運動によって最下のカードCを繰出手段334に受け渡すことができ、払出ミスを生じることがない。
【実施例3】
【0095】
図24は、実施例3のカード保留手段102を取り外した状態のカード送り出し手段104の平面図である。
図25は、図24におけるC−C線断面図である。
図26は、実施例3における保持体の裏面斜視図である。
図27は、実施例3において移送体がカード保留手段内のカードを送り出す直前の状態における図24におけるC−C線断面図及び作用説明図である。
図28は、実施例3においてカードが繰り出し手段によって引出を開始された状態の図24におけるC−C線断面図及び作用説明図である。
【0096】
実施例3は、カードが繰り出し手段によってカード送り出し手段よりも高速度で引き出されることからカードの積み上げ量を増加した場合であっても、繰り出し手段による引出が困難になることを防止し、結果として、カードの積み上げ量を増加できるようにした実施例である。
具体的には、実施例1及び2のカード送り出し装置において、送り出されたカードが繰り出し手段によって繰り出される状態において、所定時間の間、移送体は最下のカードの下面に接触する。
最下のカードには積み上げられているカードのほぼ全重量が加わっている。
移送体は、カードとの滑りを可及的に生じさせないよう高摩擦係数の材料によって形成されている。
これにより、カードの積み上げ量を増加した場合、移送体とカードの下面との間の圧接力が高まり、結果として、繰り出し手段によるカードの引出抵抗が大幅に増加し、繰り出し手段によるカード引出が困難になる。
これを解決するため、繰り出し手段の改良、例えば、ローラの直径を増加して接触面積を増加させることができる。
しかし、ローラ直径を増加させた場合、増加分に比例して装置が大型化するため好ましくない。
そこで、装置を大型化することなく、カードの積み上げ量を増加することができるよう改良したのが実施例3である。
【0097】
以下、図24〜図28を参照して本発明の実施例3を説明する。
実施例3の説明において、実施例1又は2と同一部分には同一符号を付し、異なる構成を説明する。
本実施例3において、第2移送体186と移送体144との間に退避手段472が介設されている(図25参照)。
退避手段472は、移送体144が繰り出し手段334によって引き出されるカードCによって引出力を受けた場合、移送体144がカード保留手段102の開口124から退出する方向へ移動可能にする機能を有する。
【0098】
本実施例3において、退避手段472は、案内孔474と連動シャフト476とを含んでいる。
まず案内孔474が図26を参照して説明される。
本実施例3において、案内孔474は移送体144が固定されている保持体145から保留室114の反対側である下方に突出するカム板478に形成されている。
カム板478はレバ206RF、206RR、206LF、206LRに相対して形成されているので、図26に示すように保持体145の下面の前後左右からそれぞれ下向きに突出するカム板478RF、478RR、478LF、478LRにより構成される。
案内孔474はカム板478RF、478RR、478LF、478LRにそれぞれ形成された同一形状の案内孔474RF、474RR、474LF、474LRにより構成される。
案内孔474RF、474RR、474LF、474LRは全て同一形状に形成されているので、案内孔474RFを代表して説明する。
【0099】
案内孔474RFは、傾斜孔482RF及び被動孔484RFを含んでいる。
傾斜孔482RFは、カードCの送り出し方向に向かって前下がりに傾斜し、傾斜角度は積み上げられたカードCに対して大凡45度であることが好ましい。
被動孔484RFは、傾斜孔482RFのカードCの進行方向前方側に連続形成されている。
被動孔484RFは、積み上げられたカードCに対し大凡平行に形成され、その長さは連動シャフト476Fの直径にほぼ等しい。
被動孔484RF、484LF、484RR及び484LRは、後述の第1連動シャフト476F若しくは第2連動シャフト476Rからほぼ直角に力を受けるように配置されていればよい。
この構成により、案内孔474RFに対する第1連動シャフト476Fの移動防止手段を設けることなく保持体145を押し上げることができ、構造簡単であるため小型かつ安価に構成することができる。
なお、案内孔474 RFの傾斜角度を積み上げられたカードCに対し30〜45度、好ましくは30〜35度にすることにより、被動孔484RFを設けずとも移送体144を押し上げることができる。
案内孔474 RFの傾斜角度が所定角度よりも大きい場合、積み上げたカードC等の重量により押し上げることができず、また、傾斜角度が所定角度よりも小さい場合、移送体144がカードCによって引かれたときにカードCと共に移動できないからである。
【0100】
次に連動シャフト476を説明する。
連動シャフト476は、保持体145、したがって、移送体144を案内孔474に沿って移動させる機能を有する。
連動シャフト476は、対応する前側のレバ206RFと206LFの水平部の先端の挿入孔に左右端部が挿入された第1連動シャフト476F及び後側のレバ206RRと206LRの水平部の先端の挿入孔に左右端部が挿入された第2連動シャフト476Rを含んでいる。
第1連動シャフト476Fは、レバ206RF、206LFが一体的に揺動するよう連結し、第2連動シャフト476Rはレバ206RR、206LRが一体的に揺動するよう連結している。
第1連動シャフト476Fは、案内孔474RF及び474LFを貫通している。
第2連動シャフト476Rは、案内孔474RR及び474LRを貫通している。
換言すれば、第1連動シャフト476Fは実施例1及び2における軸218RF及び218LFに対応し、第2連動シャフト476Rは軸218RR、218LRに対応して設けられた丸棒状のシャフトである。
なお、移送体144を片側のレバ206RF、206LFと第1連動シャフト476F、第2連動シャフト476Rとで押し上げることができれば、実施例3のように左右対で設けずともよい。
しかし、実施例3のように左右対で設けた場合、カードCの積載量が増加された場合であっても移送体144が傾ぐことなく押し上げることができるので好ましい。
【0101】
次に付勢手段486を説明する。
付勢手段486は、保持体145、ひいては移送体144を第1往復動体184に対しカードCの反送り出し方向へ弾性的に付勢する機能を有する。
換言すれば、保持体145を図25において右方へ付勢することにより第1連動シャフト476Fを被動孔484RF、484LFに、第2連動シャフト476Rを被動孔484RR、484LRに位置させる機能を有する。
付勢手段486は第1付勢手段486L及び第2付勢手段486Rを含んでいる(図24参照)。
第1付勢手段486Lは、保持体145の下面から下向きに突出する第1掛止片488Lと第1往復動体184に形成した第1掛止孔492Lとの間に引っ掛けられた第1スプリング494Lである。
第2付勢手段486Rは、保持体145の下面から下向きに突出する第2掛止片488Rと第1往復動体184に形成した第2掛止孔492Rとの間に引っ掛けられた第2スプリング494Rである。
第1スプリング494Lと第2スプリング494Rは、ゴム紐等他の弾性的付勢手段に交換することができ、また、上記機能を達成できればどちらか一つでもよい。
しかし、第1スプリング494Lと第2スプリング494Rを用いることにより、所定の幅を有する保持体145を傾けることなく平行移動できるので好ましい。
この構成により、通常、保持体145は第1スプリング494L及び第2スプリング494Rによって図27(B)において左方向へ引かれ、第1連動シャフト486Fが被動孔484RF、484LFの端部に係止され、第2連動シャフト476Rが被動孔484RR、484LRの端部に係止されるようになっている。
【0102】
これにより、レバ206RF、206LF、206RR、206LRが図25において時計方向へ回動された場合、第1連動シャフト476Fが被動孔484RF、484LFの上縁に、及び、第2連動シャフト476Rが被動孔484RR、484LRの上縁に対しほぼ直角方向に押し上げることから、他の保持手段を設けることなく、移送体144、結果として積み上げたカードCを押し上げることができる。
また、この状態で移送体144が図27(B)において左方向へ移動された場合、第1連結シャフト476F及び第2連結シャフト476Rは保持体145に対し静止状態にある。
よって、保持体145は第1往復動体184に対し図27(B)において左方向へ移動し、第1連結シャフト476F及び第2連結シャフト476Rは相対移動して被動孔484LF、484RF、484LR、484RRから傾斜孔482RF、482LF、482RR、482LRへ移動する。
これにより、保持体145は傾斜孔482RF、482LF、482RR、482LRに案内されて第1往復動体184に対し下方かつ前方に斜めに移動する。
換言すれば、移送体144は保留体106の開口124A、124B、124Cから退出する方向へ移動する。
さらに換言すれば、移送体144は保留室114から退出方向へ移動する。
【0103】
次に実施例3の作用を図27及び図28をも参照して説明する。
払い出し信号により、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは円弧軌跡をたどってほぼ上方へ移動する。
これにより、図25のイニシャル状態からクランク232RF、232RR、232LF、232LRが反時計方向へ回動した場合、実施例1と同様にクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRはそれぞれ第1カム226に接触するので、レバ206RF、206RR、206LF、206LRは第1往復動体184に対し時計方向へ所定角度回動され図27の状態になる。
レバ206RF、206RR、206LF、206LRの回動に伴って第1連動シャフト476F及び第2連動シャフト476Rがピボット軸204F、204Rを中心に同方向へ回動する。
これにより、第1連動シャフト476Fが被動孔484RF、484LFの上縁に、及び、第2連動シャフト476Rが被動孔484RR、484LRの上縁に対しほぼ直角方向に押し上げる。
よって、第2往復動体186は平行に押し上げられ、第1往復動体184から所定量離れる。
第2往復動体186のこの移動によって、移送体144は保持体145を介してベース116の開口124を通って保留室114内へ進行し、カード列を僅かに押し上げる。
換言すれば、最下のカードCは移送体144の接触面172と面接触し、ベース116から離隔される(図27(A)(B)参照)。
【0104】
さらに、クランク232RF、232RR、232LF、232LRが反時計方向へ回動され、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは円弧軌跡を描きつつ横方向(図27(A)において左方)へ移動する。
これにより、第1往復動体184は図27(A)において左方へ移動される。
第1往復動体184は、ローラ198RF、198RR、198LF、198LRが右案内溝196R及び左案内溝196Lによってそれぞれ案内されつつ左方へ直線移動する。
よって、第2往復移動体186はレバ206RF、206RR、206LF、206LRを介して第1往復移動体184の移動と共に横方向(図27において左方)へ移動される。
このとき、第1連動シャフト476F、第2連動シャフト476Rが被動孔484RF、484LF、484RR、484LRの前縁を押動することにより保持体145、結果として移送体144がカードCの送り出し方向へ移動される。
よって、案内孔474LF、474RF、474LR、474RRが長孔であっても、移送体144をカードCの送り出し方向へ移動することができる。
第2往復動体186の送り出し方向への移動に連動してクランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、第2カム部228に接触する。
第2カム228によって、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LR位置が変動してもレバ206RF、206RR、206LF、206LRの第1往復動体184に対する位置関係が変化しないように移動される。
よって、移送体144は、接触面172がカードCの下面と面接触した状態を継続しつつ図25の位置から左方へ向かって直線的に移動され、最前進位置に達する(図28(A))。
これにより、最下のカードCは、移送体144の接触面172との摩擦力により送り出し方向へ移送される。
移送体144のストロークは、カードCの先端が繰り出し手段334に達するに十分なストロークである。
【0105】
カードCの先端がローラ384Rと382Rとの間に挟まれた場合、カードCはローラ382R 、384Rの周速度によって牽引される。
換言すれば、カードCは移送体144の送り出し速度よりも2〜6倍の速度で牽引される。
これにより、カードCは移送体144と積み重ねられたカードCとの間から引き抜かれるようになる。
移送体144は高摩擦体で形成されているため、カードCの移動と共にカード送り出し方向へ引かれた場合、第1往復動体184に対し第2往復動体186としての保持体145が相対的にカードCの送り出し方向へ移動される。
これにより、第1連動シャフト476F及び第2連動シャフト476Rは被動孔484LF、484RF、484LR、484RRから傾斜孔482LF、482RF、482LR、482RRへ相対移動し、結果として保持体145、したがって移送体144は保留室114から退出する方向へ移動する(図28(B)鎖線示)。
カードCはベース116に支えられるようになり、結果として移送体144とカードCの下面との間の接触圧力は大幅に減少する。
これにより、ローラ384Rと382RとによってカードCを引き出す際の引出抵抗は、大凡ベース116とカードCとの間の摩擦係数と積み上げられているカードCの重量によって決定される。
よって、高摩擦体である移送体144のカードCの引出に対する影響が可及的に減少させられるので、カードCの積み上げ量を大幅に増加(例えば、倍増)した場合であっても、ローラ384Rと382Rの直径を変えずともカードCを引き出すことが可能である。
【0106】
更なるクランク232RF、232RR、232LF、232LRの回転によって、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRが左端部に達した場合、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは円弧を描きつつ大凡下方へ移動する(図20参照)。
よって、第1往復動体184は最前進位置を継続する。
一方、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、第1カム部226に接触するため、レバ206RF、206RR、206LF、206LRは第1往復動体184に対し反時計方向へ回動する。
第2往復動体186はレバ206RF、206RR、206LF、206LRの図28(A)における反時計方向の回動によって第1連動シャフト476F、第2連動シャフト476Rが下方へ移動するのでカードC等の重量によって下方へ平行移動され、第1往復動体184に接近される。
これにより、移送体144はベース116の開口124から退出するので、最下のカードCはベース116に支えられ、移送体144との面接触は解除される。
移送体144とカードC下面との摩擦接触力が第1スプリング494L、第2スプリング494Rの付勢力を下回った場合、移送体144はそれらスプリングの付勢力に引かれて第1連動シャフト476F、第2連動シャフト476Rが被動孔484LF、484RF、484LR、484RRの先端部に係止されるまで引き戻される。
【0107】
更なるクランク232RF、232RR、232LF、232LRの回転によって、クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは円弧を描きつつ右方へ移動する(図21参照)。
よって、第1往復動体184はレバ206RF、206RR、206LF、206LRを介して反送り出し方向へ直線的に移動される。
クランクピン230RF、230RR、230LF、230LRは、この途上において他の規制を受けないから、レバ206RF、206RR、206LF、206LRと第1往復動体184との相対的位置関係は変動しない。
よって、第2往復動体186は開口124の下方の位置を継続しつつ右方へ移動し、最後退位置近傍に達する(図25参照)。
最後退位置近傍において、第2被検知体456は、最後退位置センサ432によって検知され、その状態で停止され、次の送り出しに備える。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】図1は、実施例1のカード送り出し装置の斜視図である。
【図2】図2は、実施例1のカード送り出し装置の平面図である。
【図3】図3は、実施例1のカード送り出し装置の左側面図である。
【図4】図4は、実施例1のカード送り出し装置の送り出し手段の分解斜視図である。
【図5】図5は、図2におけるA―A線断面図である。
【図6】図6は、図7におけるB―B線に沿った移送体駆動装置の最後退位置付近における断面図である。
【図7】図7は、実施例1のカード送り出し装置のカードカセットを取り外した状態の平面図である。
【図8】図8は、実施例1のカード送り出し装置の左側板を取り外した状態の側面図である。
【図9】図9は、実施例1のカード送り出し装置の右側板を取り外した状態の側面図である。
【図10】図10は、実施例1のカード送り出し装置の移送体駆動装置の分解斜視図である。
【図11】図11は、実施例1のカード送り出し装置の移送体駆動装置のクランク装置の平面図、側面図である。
【図12】図12は、実施例1のカード送り出し装置の移送体駆動装置の原動装置である。
【図13】図13は、実施例1のカード送り出し装置の引出装置の分解斜視図である。
【図14】図14は、実施例1のカード送り出し装置の制御装置のブロック図である。
【図15】図15は、実施例1のカード送り出し装置の作用説明用のフローチャートである。
【図16】図16は、実施例1のカード送り出し装置の作用説明図である。
【図17】図17は、実施例1のカード送り出し装置の作用説明図である。
【図18】図18は、実施例1のカード送り出し装置の作用説明図である。
【図19】図19は、実施例1のカード送り出し装置の作用説明図である。
【図20】図20は、実施例1のカード送り出し装置の作用説明図である。
【図21】図21は実施例2において、図5と同位置の断面図である。
【図22】図22は実施例2の作用説明図である。
【図23】図23は実施例1における懸念の説明図である。
【図24】図24は、実施例3のカード保留手段102を取り外した状態のカード送り出し手段104の平面図である。
【図25】図25は、図24におけるC−C線断面図である。
【図26】図26は、実施例3においける保持体の裏面斜視図である。
【図27】図27は、実施例3において移送体がカード保留手段内のカードを送り出し直前の状態における図24におけるC−C線断面図及び作用説明図である。
【図28】図28は、実施例3においてカードが繰り出し手段によって引出を開始された状態の図24におけるC−C線断面図及び作用説明図である。
【符号の説明】
【0109】
C カード
DS 送出信号
116 ベース
124 開口
144 移送体
146 扁平ループ移動手段
148 引出装置
172 接触面
184 第1往復動体
186 第2往復動体
212RF,212RR,212LF,212LR 長孔
222 カム
230RF,230RR,230LF,230LR クランクピン
232RF,232RR,232LF,232LR クランク
234RF,234LF,234RR,234LR 回転軸
284 電気モータ
332 二枚だし防止手段
334 繰出手段
426 カード送り出し検知手段
472 退避手段
474
案内孔
475
連動シャフト
484RF、484LF、484RR、484LR 被動孔
486 付勢手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード(C)の面を固定状態に配置されたベース(116)に押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口(124)を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出すようにしたカードの送り出し装置において、
前記移送体は平面状の接触面(172)を有すると共に扁平ループ移動手段(146)により移動され、所定の進出位置において前記開口に進出してカード面に面接触した後、当該接触状態を維持しつつ直線的に所定方向へ移動した後、退出位置において前記開口から退出して後、その状態を維持しつつ前記進出位置へ移動することを特徴とするカードの送り出し装置。
【請求項2】
請求項1のカードの送り出し装置において、前記扁平ループ移動手段はカードの送り出し方向に直線的に往復移動すると共に前記送り出し方向に対し直角方向に移動する往復動体(182)を含んでいることを特徴とする。
【請求項3】
請求項2のカードの送り出し装置において、前記往復動体は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体(184)と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体(186)とを含むことを特徴とする。
【請求項4】
請求項3のカードの送り出し装置において、前記第2往復動体はL形をなし、前記第2往復動体が前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に伸びる長孔(212RF,212RR,212LF,212LR)をそれぞれ有すると共に前記第1往復動体にピボット支持され、前記長孔にクランクピン(230RF,230RR,230LF,230LR)が挿入され、前記クランクピンが回転途上において前記第1往復動体と一体的に移動するカム(222)に前記第1往復動体の最後退位置付近から最前進位置付近まで接触可能であり、前記クランクピンが前記カムと接触することにより前記第2往復動体がピボット運動されて前記移送体が前記第1往復動体から離れる方向に移動されることを特徴とする。
【請求項5】
請求項4のカードの送り出し装置において、前記第2往復体はカードの送り出し方向にずらして複数配置されていることを特徴とする。
【請求項6】
請求項1のカードの送り出し装置において、前記クランクピンはカードの進行方向に対し直角をなすよう配置された回転軸(234RF,234LF,234RR,234LR)の両端に取り付けられたクランク(232RF,232RR,232LF,232LR)から突出し、前記回転軸は前記クランクの間に配置され、かつ、回転軸線が前記回転軸に直交する電気モータ(284)の出力軸(292)にギヤ結合されていることを特徴とする。
【請求項7】
請求項2のカードの送り出し装置において、さらに、前記移送体に隣接してカードの引出手段(148)を備え、前記移送体の送り出し方向のストロークは、カードの先端が前記引出手段の近傍にある場合に最端カードに相対する範囲内であることを特徴とする。
【請求項8】
請求項1のカード送り出し装置において、前記ベースは前記カードの後端に相対して前記引出手段に向かって前下がりに傾斜する押出斜面(42)を有し、前記ベース上に載置されたカードが前記引出手段に向かって押し出されることを特徴とする。
【請求項9】
カード(C)の面を固定状態に配置されたベース(116)に押し付けて前記カードを柱状に保留し、払出指令に基づいて扁平ループ運動による送り出し運動を行う扁平ループ移動手段(146)によって前記ベースの開口(124)を介して前記カード面に接触する移送体(144)を扁平ループ運動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、二枚だし防止手段(332)を経由した後カードの繰出手段(334)によって当該送り出されたカードを積極的に引き出して払い出すようにしたカードの送り出し装置において、
前記カード繰出手段の下流にカード送り出し検知手段(426)を配置し、前記カード送り出し検知手段からのカードの送出信号(DS)に基づいて前記扁平ループ移動手段及び前記カード繰出手段を停止することを特徴とするカードの送り出し装置。
【請求項10】
カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、繰り出し手段により積極的に保留部から繰り出すようにしたカードの送り出し装置において、
前記移送体は平面状の接触面を有すると共に扁平ループ移動手段により移動され、所定の進出位置において前記開口に進出してカード面に面接触した後、当該接触状態を維持しつつ直線的に所定方向へ移動した後、退出位置において前記開口から退出して後、その状態を維持しつつ前記進出位置へ移動し、かつ、前記繰り出し装置によりカードが引かれた場合、前記開口内に退避動することを特徴とするカードの送り出し装置。
【請求項11】
カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、繰り出し手段により積極的に保留部から繰り出すようにしたカードの送り出し装置において、
前記扁平ループ移動手段はカードの送り出し方向に直線的に往復移動すると共に前記送り出し方向に対し直角方向に移動する往復動体を含み、
前記往復動体は、カードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体とを含み、
前記移送体は前記第2往復動体に前記ベースから離れる方向に移動可能、かつ、近づく方向に弾性的に付勢される退避手段(474)を介して取り付けられていることを特徴とするカードの送り出し装置。
【請求項12】
カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、繰り出し手段(334)により積極的に保留部から繰り出すようにしたカードの送り出し装置において、
前記扁平ループ移動手段はカードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する第2往復動体とを含み、
前記移送体は前記カードの送り出し方向に対し離れる方向に傾斜する案内孔(474)及び前記案内孔にスライド可能に挿入された連動シャフト(476)よりなる連動手段によって前記第2往復動体に取り付けられ、さらに、前記カードの送り出し方向と逆方向へ付勢手段(486)によって付勢されていることを特徴とするカードの送り出し装置。
【請求項13】
カードの面を固定状態に配置されたベースに押し付けて前記カードを柱状に保留し、前記ベースの開口を介して前記カード面に接触する移送体を所定方向へ移動させることにより、カードを一枚ずつ所定方向へ送り出した後、繰り出し手段により積極的に保留部から繰り出すようにしたカードの送り出し装置において、
前記扁平ループ移動手段はカードの送り出し方向に直線的に往復移動する第1往復動体と、前記第1往復動体の移動方向に対し直角方向に往復移動する水平方向へ延びる水平レバとほぼ垂立方向へ延びるL形の第2往復動体とを含み、
前記第2往復動体の水平レバから横向きに突出する連動シャフトを、
前記移送体に一体的に形成した前記カードの送り出し方向に対し離れる方向に傾斜する案内孔にスライド可能に挿入し、
さらに、前記移送体を前記カードの送り出し方向と逆方向へ付勢する弾性体(494L、494R)を設けたことを特徴とするカードの送り出し装置。
【請求項14】
請求項13のカードの送り出し装置において、前記案内孔は水平方向に延びる被動孔(484RF、484LF、484RR、484LR)を有することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−254923(P2008−254923A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131113(P2007−131113)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】