説明

カードホルダ型通話装置

【課題】身に付けて利用しやすく、通話時の利便性が高いカードホルダ型通話装置を提供する。
【解決手段】カードホルダ型通話装置100は、音声を取得するマイク部を形成する第2圧電素子106と、音声を利用者に伝えるレシーバ部を形成する第1圧電素子105と、第2圧電素子106及び第1圧電素子105を用いた通話を外部と通信する通信部114と、カードを保持するカード保持部としての隙間S1,S2と、隙間S1,S2に保持されているカードの少なくとも一部を外部から観察可能にする窓部102a,103aとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードを外部から観察可能に保持するカードホルダの機能と、通話装置の機能とを備えるカードホルダ型通話装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機は、ポケットやカバンに入れて持ち運びされることが多い。よって通話操作を行う際には、ポケットやカバンから携帯電話機を取り出す手間が必要になる。一方、自動車の運転中等に利用するハンズフリーのイヤホンマイクが商品化されている。
【0003】
しかし、従来のイヤホンマイクは、頭部に装着するものであり、常時イヤホンマイクを頭部に装着することは不快であり負担に感じることもある。
【0004】
また、特許文献1には、超薄型のレシーバに関する技術が開示されている。
さらに、特許文献2には、表示窓へ音声入出力する携帯電話機に関する技術が開示されている。
これら特許文献1及び特許文献2に開示されている技術によれば、装置の小型化を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−33748号公報
【特許文献2】国際公開第WO2002/021881号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1及び特許文献2に開示されている技術を用いた携帯電話機は、従来の携帯電話機と同様に、ポケットやカバンに入れて持ち運びされ、通話操作を行う際には、ポケットやカバンから携帯電話機を取り出す手間が必要である。したがって、通話時の利便性が低いという問題があった。
【0007】
本発明の課題は、身に付けて利用しやすく、通話時の利便性が高いカードホルダ型通話装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0009】
(1)本発明は、音声を取得するマイク部(106)と、音声を利用者に伝えるレシーバ部(105)と、前記マイク部及び前記レシーバ部を用いた通話を外部と通信する通信部(114)と、カードを保持するカード保持部(S1)と、前記カード保持部に保持されているカードの少なくとも一部を外部から観察可能にする窓部(102a)と、使用者の身に取り付けるために利用される取り付け対応部(130)と、を備えるカードホルダ型通話装置(100)を提案している。
【0010】
この発明によれば、マイク部は、音声を取得する。レシーバ部は、音声を利用者に伝える。通信部は、マイク部及びレシーバ部を用いた通話を外部と通信する。カード保持部は、カードを保持する。窓部は、カード保持部に保持されているカードの少なくとも一部を外部から観察可能にする。したがって、カードホルダ型通話装置は、カードホルダの機能を有するので、IDカード等を保持させて、ストラップ等を装着し利用することにより、常に身に付けることが負担とならず、通話が必要なときに利用しやすく、利便性を向上できる。
【0011】
(2)本発明は、(1)に記載のカードホルダ型通話装置において、前記マイク部(106)と前記レシーバ部(105)との少なくとも一方には、積層圧電素子を用いていること、を特徴とするカードホルダ型通話装置(100)を提案している。
【0012】
この発明によれば、マイク部と前記レシーバ部との少なくとも一方には、積層圧電素子を用いている。したがって、本発明は、カードホルダ型通話装置の部品点数の低減と、小型化、及び、軽量化を図ることができる。また、カードホルダ型通話装置は、骨伝導又は軟骨伝導を利用して、聞き取りやすさを向上できる。
【0013】
(3)本発明は、(2)に記載のカードホルダ型通話装置において、前記積層圧電素子(105,106)は、操作部材を兼ねること、を特徴とするカードホルダ型通話装置(100)を提案している。
【0014】
この発明によれば、積層圧電素子は、操作部材を兼ねる。したがって、本発明は、カードホルダ型通話装置の部品点数の低減と、小型化、及び、軽量化を図りながら、操作性と利便性とを向上できる。
【0015】
(4)本発明は、(1)から(4)までのいずれか1項に記載のカードホルダ型通話装置において、前記通信部(114)は、予め設定した携帯通信端末(500)との間で通信を行い、前記マイク(106)部及び前記レシーバ部(105)を用いた通話を前記携帯通信端末に中継させること、を特徴とするカードホルダ型通話装置(100)を提案している。
【0016】
この発明によれば、通信部は、予め設定した携帯通信端末との間で通信を行い、マイク部及びレシーバ部を用いた通話を携帯通信端末に中継させる。したがって、本発明は、カードホルダ型通話装置を、より小型化、軽量化することができる。
【0017】
(5)本発明は、(1)から(5)までのいずれか1項に記載のカードホルダ型通話装置において、前記カード保持部(S1)とは別に、他のカードを保持する第2のカード保持部(S2)を有すること、を特徴とするカードホルダ型通話装置(100)を提案している。
【0018】
この発明によれば、カード保持部とは別に、他のカードを保持する第2のカード保持部を有する。したがって、カードホルダ型通話装置は、例えば、複数のカードを同時に保持させることができる。
【0019】
(6)本発明は、(1)から(6)までのいずれか1項に記載のカードホルダ型通話装置において、当該カードホルダ型通話装置(100)に保持されるカードから電話番号を読み取る読取り部(108)を備えること、を特徴とするカードホルダ型通話装置(100)を提案している。
【0020】
この発明によれば、読取り部は、カードホルダ型通話装置に保持されるカードから電話番号を読み取る。したがって、本発明のカードホルダ型通話装置は、発信する相手先の電話番号の入力を簡単に行える。また、本発明のカードホルダ型通話装置は、電話番号の入力に用いる操作部材を省略できるので、操作部材の数を低減できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、カードホルダ型通話装置は、勤務先等の場所で常に身に付けているカードホルダとして利用可能であるので、例えば、業務の通話を直ぐに開始でき、カードホルダ型通話装置を利用した通話の利便性が向上する。また、本発明のカードホルダ型通話装置は、名刺などの対応したカードを差し込むだけで、その名刺の相手に電話をかけることができるので、電話番号を入力する手間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるカードホルダ型通話装置100の裏面側を示す図である。
【図2】本発明によるカードホルダ型通話装置100の表面側を示す図である。
【図3】カードホルダ型通話装置100を図1中に矢印で示したA−A断面を示す断面図である。
【図4】カードホルダ型通話装置100の構成を示すブロック図である。
【図5】カードホルダ型通話装置100の着信時の動作を説明するフローチャートである。
【図6】発信を行うときの状態を示す図である。
【図7】電話番号読み取りの動作を説明するフローチャートである。
【図8】発信処理の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0024】
(実施形態)
図1は、本発明によるカードホルダ型通話装置100の裏面側を示す図である。
図2は、本発明によるカードホルダ型通話装置100の表面側を示す図である。
図3は、カードホルダ型通話装置100を図1中に矢印で示したA−A断面を示す断面図である。
図4は、カードホルダ型通話装置100の構成を示すブロック図である。
なお、以下の説明では、表面、裏面という文言により、カードホルダ型通話装置100の面の方向を示すが、表、裏という表現は便宜上設定したものであり、技術的な意味を持たない。したがって、表と裏とを逆に呼んでもよい。
【0025】
カードホルダ型通話装置100は、中間層101と、表面層102と、裏面層103と、構造体104と、第1圧電素子105と、第2圧電素子106と、表示部107と、読み取り部108と、カード押さえ部109a,109bと、回路部110と、ストラップ120と、孔130とを備えている。
【0026】
中間層101は、回路部110を有し、カードホルダ型通話装置100の中央に位置する層である。中間層101は、例えば、回路部110を形成する硬質基板により形成してもよいし、回路部110を一体的に含むように形成された樹脂部材等により形成してもよい。中間層101は、表面層102と裏面層103とにより挟まれた位置に配置されている。
【0027】
表面層102は、カードホルダ型通話装置100の表面側を形成する層である。表面層102と中間層101との間には、後述するカードC1が挿入される隙間S1が形成されている。表面層102には、隙間S1に挿入されたカードC1上に記載された文字等を外部から観察可能にする窓部102aが設けられている。本実施形態の窓部102aは、矩形形状に開口した孔であるが、透明な樹脂板等を設けてもよい。
【0028】
裏面層103は、カードホルダ型通話装置100の裏面側を形成する層である。裏面層103と中間層101との間には、後述するカードC2が挿入される隙間S2が形成されている。裏面層103には、隙間S2に挿入されたカードC2上に記載された文字等を外部から観察可能にする窓部103aが設けられている。本実施形態の窓部103aは、矩形形状に開口した孔であるが、透明な樹脂板等を設けてもよい。
【0029】
ここで、カードC1,C2について説明する。
カードC1としては、例えば、社員証等の各種身分証明書を用いることができる。カードC1は、カードホルダ型通話装置100の利用者自身の身分証明書である。利用者は、通常は、カードC1を入れっぱなしの状態で、ストラップ120を利用してカードホルダ型通話装置100を首からさげる等してカードホルダ型通話装置100を利用する。
一方、カードC2は、カードホルダ型通話装置100に対応した名刺、又は、電話番号カード等である。カードC2には、読み取り部108により電話番号を読み取り可能なバーコードが、所定の位置に印刷されている。名刺は、相手先から頂くものであるが、電話番号カードは、必要に応じて利用者が印刷して作成することもできる。また、本実施形態のカードホルダ型通話装置100に対応していない従来の名刺は、例えば、電話番号を表すバーコードをラベル状の用紙等に印刷して、これを従来の名刺の一部に貼り付けられることにより、カードC2として用いることができる。
【0030】
構造体104は、表面層102と裏面層103とに挟まれる位置に設けられており、中間層101と、表面層102と、裏面層103とを接続するように配置されている。すなわち、構造体は、上述した隙間S1,S2を形成するように、カードホルダ型通話装置100の外周付近において中間層101と表面層102とを接続し、同様に、中間層101と裏面層103とを接続するように形成されている。なお、カードC1,C2を挿入するための挿入口I1,I2を一端に開口形成するために、挿入口I1,I2を設ける部分には、構造体104は存在しない。また、構造体104は、1つの部材により形成してもよいし、例えば、表面側と裏面側とに分けて形成する等、複数に分割形成してもよい。
【0031】
第1圧電素子105は、挿入口I1,I2が設けられている端部側と対向する端部側の裏面層103の内面に設けられている。第1圧電素子105は、スピーカの振動を発生させるアクチュエータとして動作してレシーバ部を形成する。また、第1圧電素子105は、通話時には、骨伝導により音声を伝えることができる。第1圧電素子105の振動は、例えば、頭蓋骨に伝わると、頭蓋骨が振動し、その振動が骨を介して聴覚器官である蝸牛に伝わり、骨伝導による音声伝達が実現される。また、第1圧電素子105の振動が弱く、頭蓋骨が振動する程の振動を生じさせない場合であっても、利用者の耳近傍の耳介等の人体を音声信号に応じて振動させることができる。この振動により外耳道内に気導音を発生させる軟骨伝導を行うことができ、利用者は、この気導音を鼓膜により感知して音として認識することができる。
【0032】
第2圧電素子106は、挿入口I1,I2が設けられている端部側の裏面層103の内面に設けられている。第2圧電素子106は、人の声の音声を振動として検出するマイクロフォンとして動作して、マイク部を形成する。
【0033】
また、第1圧電素子105及び第2圧電素子106は、その素子の特性から圧力加速度を検出できるセンサとなっている。したがって、第1圧電素子105及び第2圧電素子106は、これが設けられた部分を指等で押すことによる圧力変化を検出して、操作が行われたことを検知する操作部材としての機能も有している。第1圧電素子105及び第2圧電素子106としては、例えば、圧電素子を積層したバイモルフ型振動子を用いることができる。なお、第1圧電素子105及び第2圧電素子106は、裏面層103の内面に両面テープなどで貼り付けられているか、筐体にモールドされて、配置されている。
【0034】
表示部107は、裏面層103上に設けられている。表示部107は、着信時や発信時に電話番号等を表示したり、動作状態を表示したりして、使用者にこれらの情報を知らせる液晶表示装置等の表示パネルである。
【0035】
読み取り部108は、裏面層103の内側(中間層に対向する側)であって、挿入口I2の近くに設けられているカード押さえ部109bの先端に設けられている。読み取り部108は、挿入口I2から挿入されるカードC2上に表記されているバーコードを読み取る光学センサである。カードC2と読み取り部108を密着させることで、外光を遮断し呼光学センサの読み取り精度を向上するとともに、カードC2の挿入による光量変化を引き金に、電話番号読み取り機能115aを起動する。
【0036】
カード押さえ部109a,109bは、それぞれ、隙間S1,S2に挿入されるカードC1,C2を押さえる部材である。カード押さえ部109a,109bは、適度な弾性を有しており、カードC1,C2の脱落を防止する。
上述した中間層101と、表面層102と、裏面層103と、構造体104と、カード押さえ部109a,109bとにより、カードを保持するカード保持部としての隙間S1,S2が形成される。
【0037】
回路部110は、中間層101に一体となって内蔵されている。回路部110は、電源部111と、コネクタ部112と、記憶部113と、通信部114と、処理部115と、アンプ部116とを備えている。
【0038】
電源部111は、充電可能な二次電池である。電源部111への充電は、コネクタ部112に不図示のACアダプタ等の充電ケーブルを接続して行われる。また、電源部111には、充電回路も含まれている。
【0039】
コネクタ部112は、電源部111への充電を行うときに、不図示の充電ケーブルを接続する部分である。
【0040】
記憶部113は、電話番号を記憶し保持するメモリである。記憶部113が記憶する電話番号の件数は、最低1件でもよい。
【0041】
通信部114は、通話のための伝送路を確立する。通信部114は、予め登録された携帯電話端末500(図6参照)からの通話を、例えば、Bluetooth(登録商標)等の近接無線により通信して、通話を携帯電話端末500に中継させる。通信部114は、通話を携帯電話端末500に中継させることにより、近接無線のみ行えばよいので、回路部110をより小型化、軽量化することができる。なお、通信部114による通信は、近接無線の代わりに有線で携帯電話端末500に接続してもよいし、電話機能を持たない他の携帯通信端末に接続してもよいし、携帯電話端末500等を介さずに直接基地局等と通信を行ってもよく、通話の伝送路が確立できればよい。
【0042】
処理部115は、カードホルダ型通話装置100の各種機能が機能するように制御し、処理を行うコンピュータである。処理部115は、電話番号読み取り機能115aと、電話番号記憶機能115bと、無線通信処理機能115cと、操作判断機能115dとを備えている。
【0043】
電話番号読み取り機能115aは、読み取り部108を制御してカードC2上に表記されたバーコードから電話番号の読み取りを行う。
【0044】
電話番号記憶機能115bは、着信時に電話番号が無線通信処理機能115cから通知されていればその電話番号を、記憶部113に記憶させる。また、電話番号記憶機能115bは、電話番号読み取り機能115aにより読み取った電話番号を、記憶部113に記憶させる。
【0045】
無線通信処理機能115cは、通信部114を制御することにより通話を行う。無線通信処理機能115cは、記憶部113から受け取った電話番号で通信部を制御し発信を行う。また、無線通信処理機能115cは、通信部114から受け取った着信も同様に処理する。さらに、無線通信処理機能115cは、携帯電話端末500とのBluetooth(登録商標)のペアリングなどの接続制御も行う。
【0046】
操作判断機能115dは、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力加速度を検知し、使用者が操作したことを判断する。その判断結果を用いて処理部115は、その時に見合った制御を行う。
【0047】
アンプ部116は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106を駆動させるための増幅器である。また、アンプ部116は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106で検出した信号を増幅し処理部115へ受け渡す。また、アンプ部116は、通話時に通信部114から受け渡される受話音を増幅し、レシーバとして動作する第1圧電素子105へ受け渡し、マイクとして動作する第2圧電素子106が集音した音を、増幅して通信部114へ受け渡す。
【0048】
ストラップ120は、孔130に取り付けられており、使用者の首等にかけることができる。ストラップ120は、利用者の好みにより適宜交換してもよい。
孔130は、表面層102から裏面層103までを貫通して形成されている。この孔130は、カードホルダ型通話装置100を使用者の身に付けるために利用される取り付け対応部である。
【0049】
次に、カードホルダ型通話装置100の動作を説明する。
図5は、カードホルダ型通話装置100の着信時の動作を説明するフローチャートである。
着信を開始すると、ステップ(以下、Sとする)101では、処理部115は、着信した着呼信号に発呼者の電話番号情報が含まれているか否かを判断する。着呼信号に電話番号情報が含まれている場合には、S102へ進み、着呼信号に電話番号情報が含まれていない場合には、S103へ進む。
【0050】
S102では、処理部115は、電話番号を記憶部113に記憶する。
【0051】
S103では、処理部115は、着信通知を実施する。すなわち、処理部115は、第1圧電素子105を振動させて、着信音の発音を行う。また、処理部115は、表示部107に発呼者の電話番号を表示したり、「呼び出し中」等の表示を行ったりして、着信表示を行う。
【0052】
S104では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化の監視を開始する。ここでは、第1圧電素子105及び第2圧電素子106を操作部として機能させており、使用者が着信に応答するために、第1圧電素子105又は第2圧電素子106を押す操作を監視する。
【0053】
S105では、処理部115は、呼切断されたか否かの判断を行う。呼切断された場合には、S112へ進み、呼切断されていない場合には、S106へ進む。
【0054】
S106では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化があるか否かを判断する。第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がある場合には、S107へ進み、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がない場合には、S104へ戻る。
【0055】
S107では、処理部115は、着信通話の実行を開始する。また、処理部115は、表示部107に通話中である旨の表示を行う。
【0056】
S108では、処理部115は、S107における着信通話の実行開始と同時に、第1圧電素子105を骨伝導スピーカとして動作させ、第2圧電素子106をマイクとして動作させる。なお、このステップにおける着信通話や、後述する発信通話時には、骨伝導スピーカとして動作せずに、気導音を発生するスピーカのアクチュエータとして第1圧電素子105を動作させてもよい。
【0057】
S109では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化の監視を開始する。ここでは、第1圧電素子105及び第2圧電素子106を操作部として機能させており、使用者が通話を終了するために、第1圧電素子105又は第2圧電素子106を押す操作を監視する。
【0058】
S110では、処理部115は、呼切断されたか否かの判断を行う。呼切断された場合には、S112へ進み、呼切断されていない場合には、S111へ進む。
【0059】
S111では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化があるか否かを判断する。第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がある場合には、S112へ進み、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がない場合には、S109へ戻る。
【0060】
S112では、処理部115は、終話処理を行い、着信通話を終了する。
【0061】
図6は、発信を行うときの状態を示す図である。
カードホルダ型通話装置100は、発信を行うときには、発信先の電話番号をカードC2から読み取る。この読み取りは、挿入口I2へバーコードC2aが印刷されているカードC2を挿入すると同時に行われる。
先ず、この電話番号読み取りの動作について説明する。
【0062】
図7は、電話番号読み取りの動作を説明するフローチャートである。
カードC2が挿入口I2へ挿入されると、S201では、処理部115は、バーコードC2aの読み取りを実行する。なお、読み取りの開始は、読み取り部108によりカードC2の挿入の有無を検出することにより行ってもよいし、第1圧電素子105及び第2圧電素子106を一定時間以上押すこと等により行ってもよい。処理部115は、読み込んだバーコードから電話番号を一義的に求める。
【0063】
S202では、処理部115は、バーコードの読み取りが成功したか否かの判断を行う。具体的には、先のステップS201で、電話番号が一義的に求まったか否かにより、成功か否かの判断を行う。バーコードの読み取りが成功した場合には、S203へ進み、バーコードの読み取りが失敗である場合には、S201へ戻る。
【0064】
S203では、処理部115は、読み取った電話番号を記憶部113に記憶する。また、処理部115は、表示部107に、読み取った電話番号を表示し、電話番号の読み取り動作を終了する。
【0065】
次に、発信処理の動作について説明する。
図8は、発信処理の動作を説明するフローチャートである。
【0066】
S301では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化の監視を開始する。ここでは、第1圧電素子105及び第2圧電素子106を操作部として機能させており、使用者が発信を行うために、第1圧電素子105又は第2圧電素子106を押す操作を監視する。
【0067】
S302では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化があるか否かを判断する。第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がある場合には、S303へ進み、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がない場合には、S301へ戻る。
【0068】
S303では、処理部115は、記憶部113から電話番号を読み込む。また、読み込んだ電話番号を表示部107に表示する。
【0069】
S304では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化の監視を開始する。ここでは、第1圧電素子105及び第2圧電素子106を操作部として機能させており、使用者が先のS303で表示されている電話番号に発信を行うために、第1圧電素子105又は第2圧電素子106を押す操作を監視する。
【0070】
S305では、処理部115は、着信割込があるか否かを判断する。着信割込がある場合には、図5に示した着信処理を行い、着信割込がない場合には、S306へ進む。
【0071】
S306では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化があるか否かを判断する。第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がある場合には、S307へ進み、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がない場合には、S304へ戻る。
【0072】
S307では、処理部115は、発信通話の実行を開始する。また、処理部115は、表示部107に発信中である旨の表示を行う。
【0073】
S308では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化の監視を開始する。ここでは、第1圧電素子105及び第2圧電素子106を操作部として機能させており、使用者が発信相手の呼び出し中に呼び出しを取り消すために、第1圧電素子105又は第2圧電素子106を押す操作を監視する。
【0074】
S309では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化があるか否かを、また、呼切断されたか否かを判断する。第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がある場合、又は、呼切断された場合には、S315へ進み、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がない場合、又は、呼切断されていない場合には、S310へ戻る。
【0075】
S310では、処理部115は、発信相手先が応答したか否かを判断する。発信相手先が応答した場合には、S311へ進み、発信相手先が応答しない場合には、S308へ戻る。
【0076】
S311では、処理部115は、第1圧電素子105を骨伝導スピーカとして動作させ、第2圧電素子106をマイクとして動作させる。
【0077】
S312では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化の監視を開始する。ここでは、第1圧電素子105及び第2圧電素子106を操作部として機能させており、使用者が通話を終了するために、第1圧電素子105又は第2圧電素子106を押す操作を監視する。
【0078】
S313では、処理部115は、呼切断されたか否かの判断を行う。呼切断された場合には、S315へ進み、呼切断されていない場合には、S314へ進む。
【0079】
S314では、処理部115は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化があるか否かを判断する。第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がある場合には、S315へ進み、第1圧電素子105及び第2圧電素子106の圧力変化がない場合には、S312へ戻る。
【0080】
S315では、処理部115は、終話処理を行い、発信通話を終了する。
【0081】
以上説明したように、本実施形態によれば、カードホルダ型通話装置100は、身分証明書などを提示できるカードホルダ型の筐体であり、ストラップにより首からさげて着用できる。したがって、簡単かつ迅速に利用可能であり、通話時の利便性が高い。
また、第1圧電素子105及び第2圧電素子106は、圧電素子を利用しているので、薄くて小型であり、カードホルダ型通話装置100を薄く構成できる。
さらに、カードホルダ型通話装置100は、読み取り部により電話番号を読み取るので、発信操作を簡単にできる。また、カードホルダ型通話装置100は、わずかな操作部材だけであっても、カードC2さえ用意すれば、多くの相手に発信を簡単に行える。
さらにまた、カードホルダ型通話装置100は、第1圧電素子105及び第2圧電素子106をスピーカと、マイクと、操作部材として利用するので、部品点数の少ない簡単な構成によりカードホルダ型通話装置100を実現できる。
【0082】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0083】
(変形形態)
(1)本実施形態において、カードホルダ型通話装置100は、カードC2上のバーコードを読み込むことにより電話番号を入力する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、カードホルダ型通話装置は、RFID(Radio Frequency IDentification)を利用してカードから電話番号を読み込むようにしてもよい。また、カードホルダ型通話装置は、読み込み部を設けずに、近距離無線通信を利用して予め複数の電話番号を記憶部に記憶させておき、発信相手をその中から選択するようにしてもよい。
【0084】
(2)本実施形態において、カードホルダ型通話装置100は、カードC1とカードC2とを同時に挿入して保持可能である例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、カードホルダ型通話装置は、カードを挿入可能な隙間を1つとして、差し替えて利用したり、追加で挿入したりして発信を行うようにしてもよい。
【0085】
(3)本実施形態において、カードホルダ型通話装置100は、隙間S1,S2にカードを挿入口I1,I2から挿入する例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、カードホルダ型通話装置は、中間層と表面層とを開く構造として、カードを挟み込むような形態でもよい。
【0086】
(4)本実施形態において、カードホルダ型通話装置100を使用者の身に取り付けるために利用される取り付け対応部として、孔130を設けた例を挙げて説明した。これに限らず、例えば、カードホルダ型通話装置は、孔を設けずストラップが取り付け対応部としてカードホルダ型通話装置に直接取り付けられていてもよいし、クリップやゴムバンド等、他の形態の取り付け対応部であってもよい。
【0087】
なお、実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0088】
100 カードホルダ型通話装置
101 中間層
102 表面層
102a,103a 窓部
103 裏面層
104 構造体
105 第1圧電素子
106 第2圧電素子
107 表示部
108 読み取り部
109a,109b カード押さえ部
110 回路部
111 電源部
112 コネクタ部
113 記憶部
114 通信部
115 処理部
115a 電話番号読み取り機能
115b 電話番号記憶機能
115c 無線通信処理機能
115d 操作判断機能
116 アンプ部
120 ストラップ
130 孔(取り付け対応部)
500 携帯電話端末
C1,C2 カード
C2a バーコード
I1,I2 挿入口
S1,S2 隙間(カード保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声を取得するマイク部と、
音声を利用者に伝えるレシーバ部と、
前記マイク部及び前記レシーバ部を用いた通話を外部と通信する通信部と、
カードを保持するカード保持部と、
前記カード保持部に保持されているカードの少なくとも一部を外部から観察可能にする窓部と、
使用者の身に取り付けるために利用される取り付け対応部と、
を備えるカードホルダ型通話装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカードホルダ型通話装置において、
前記マイク部と前記レシーバ部との少なくとも一方には、積層圧電素子を用いていること、
を特徴とするカードホルダ型通話装置。
【請求項3】
請求項2に記載のカードホルダ型通話装置において、
前記積層圧電素子は、操作部材を兼ねること、
を特徴とするカードホルダ型通話装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のカードホルダ型通話装置において、
前記通信部は、予め設定した携帯通信端末との間で通信を行い、前記マイク部及び前記レシーバ部を用いた通話を前記携帯通信端末に中継させること、
を特徴とするカードホルダ型通話装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載のカードホルダ型通話装置において、
前記カード保持部とは別に、他のカードを保持する第2のカード保持部を有すること、
を特徴とするカードホルダ型通話装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載のカードホルダ型通話装置において、
当該カードホルダ型通話装置に保持されるカードから電話番号を読み取る読取り部を備えること、
を特徴とするカードホルダ型通話装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−42438(P2013−42438A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179336(P2011−179336)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】