説明

カードホルダ

【課題】
カード類をホルダ本体から取り出すことなくカードリーダに接触させ、カードホルダの使い勝手を良好にする。ホルダに収納されたカード類の保持力を強くする。
【解決手段】
カード類を収納するホルダ本体1が板状の表側面11,裏側面12で構成されている。ホルダ本体1の表側面11が収納されているカード類の一部を露出させるようにカットされ、ホルダ本体1の裏側面12の前記カットに対応する部分がヒンジ2で外側へ傾倒可能に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IDカード,ネームプレート等のカード類を収納するカードホルダに係る技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
最近は様々なシーンでカードが使われているが、近似特に安全管理の必要から前記カード類の提示が求められ、従ってカード類を透明なカードホルダに収納して衣服ポケットあるいは頸部に吊下げるなどして携行することが日常的になってきている。これらカード類としては、ICチップ,磁気ストライプ等で必要な情報が電子的に記憶され必要に応じて読出すことがきるようになっているものがある。そして、カード類に電子的に記憶されている情報を読出すカードリーダとしては、情報管理の安全面等からいわゆる接触式のものが普及している。
【0003】
このため、カードホルダには、収納されているカード類を接触式のカードリーダに容易に接触させることのできる構造を備えることが要求されている。
【0004】
従来、接触式のカードリーダへの対応を指向したカードホルダとしては、例えば、以下に記載のものが知られている。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3037883号公報 特許文献1には、カード類を収納するホルダ本体をヒンジで開閉可能に可能に連結した板状の表側面,裏側面で構成したカードホルダが記載されている。
【0006】
【特許文献2】実開平5−70972号公報 特許文献2には、カード類を収納するホルダ本体を圧着ファスナで着脱可能に構成したシート状の表側面と板状の裏側面とで構成したカードホルダが記載されている。
【0007】
【特許文献3】実用新案登録第3047030号公報 特許文献3には、カード類を収納するホルダ本体を圧着ファスナで着脱可能にしたシート状の表側面,裏側面で構成したカードホルダが記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1,2に係るカードホルダでは、ホルダ本体の表側面,裏側面を開放可能にしてカード類を取出しやすくしているが、カード類をホルダ本体から完全に取出さないと接触式のカードリーダに接触させることができず、カード類を接触式のカードリーダに接触させた後に再度ホルダ本体に収納しなければならないため、使い勝手が悪いという問題点がある。また、特許文献3に係るカードホルダでは、ホルダ本体の表側面,裏側面を開放可能にしてカード類の一部をホルダ本体から突出させ、カード類をホルダ本体から取出すことなく接触式のカードリーダに接触させることができるようにして使い勝手が改良されているが、開放された表側面,裏側面の下部先端がカードリーダーに接触してカード類の接触を阻害し、またホルダ本体が変形しやすいシート状の表側面,裏側面で構成されているため収納されるカード類の保持力が弱いという問題点がある。
【0009】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、使い勝手が良好で収納されたカード類の保持力が強いカードホルダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明に係るカードホルダは、特許請求の範囲の各請求項に記載の手段を採用する。
【0011】
即ち、請求項1では、カード類を収納するホルダ本体が板状の表側面,裏側面で構成されたカードホルダにおいて、ホルダ本体の表側面,裏側面の一の面が収納されているカード類の一部を露出させるようにカットされ、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面が一の面のカットに対応する部分をヒンジで外側へ傾倒可能に形成されてなることを特徴とする。
【0012】
この手段では、カード類を収納するホルダ本体の表側面,裏側面を板状とすることで、ホルダ本体を変形しにくくする。また、ホルダ本体の表側面,裏側面の一の面をカットし他の面を傾倒可能にすることで、収納されているカード類の一部をホルダ本体から突出させてホルダ本体から取出すことなく接触式のカードリーダに接触させることができるようにしている。
【0013】
また、請求項2では、請求項1のカードホルダにおいて、ホルダ本体は薄肉構造のヒンジとともに合成樹脂材で一体成形されてなることを特徴とする。
【0014】
この手段では、ホルダ本体,ヒンジが合成樹脂材の一体成形で製造される。
【0015】
また、請求項3では、請求項1または2のカードホルダにおいて、ヒンジは回動支点の位置が異なる第1ヒンジ,第2ヒンジを備えてなることを特徴とする。
【0016】
この手段では、2つのヒンジの回動支点位置を異ならせることで、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面の起立,傾倒の限界が規制される。
【0017】
また、請求項4では、請求項1〜3のいずれかのカードホルダにおいて、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面の傾倒可能とされた部分に切欠部が形成され、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面の傾倒可能とされた以外の部分から切欠部に突出片が延長されていることを特徴とする。
【0018】
この手段では、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面の傾倒に際して突出片に傾倒操作力に対する反力を加えることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るカードホルダは、カード類を収納するホルダ本体の表側面,裏側面を板状とすることで、ホルダ本体を変形しにくくしているため、カード類の保持力が強くなる効果がある。また、ホルダ本体の表側面,裏側面の一の面をカットし他の面を傾倒可能にすることで、収納されているカード類の一部(磁気ストライプ部など)をホルダ本体から突出させ、ホルダ本体からカード類を取出すことなく接触式のカードリーダに接触させることができるようにしているため、使い勝手が良好になる効果がある。
【0020】
さらに、請求項2として、ホルダ本体,ヒンジが合成樹脂材の一体成形で製造されるため、安価,容易に製造することができる効果がある。
【0021】
さらに、請求項3として、2つのヒンジの回動支点の位置を異ならせることで、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面の起立,傾倒の限界が規制されるため、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面の起立状態,傾倒状態を保持することができる効果がある。
【0022】
さらに、請求項4として、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面の傾倒に際して突出片に傾倒操作力に対する反力を加えることができるため、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面の傾倒操作性が良好になる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るカードホルダを実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
この形態では、吊下げ携行するのに好適なものを示してある。
【0025】
この形態は、図1,図2に示すように、合成樹脂材で一体成形されたホルダ本体1,ヒンジ2,吊下用片3の各部で構成されている。
【0026】
ホルダ本体1は、板状の表側面11,裏側面12が横側面13によってカード類Cを収納可能な空間を形成して対面されている。表側面11は、収納されたカード類Cのほぼ全面を露出させることができるように、下縁、左右縁を残してぼぼ全面がカットされ略凹字形に形成されている。表側面11の内面には、表側面11を補強し収納されたカード類Cの密着を避けて収納,取出しをスムースにするためのリブ14が縦方向に延設されている。裏側面12は、ヒンジ2を介して連結された下半部121,上半部122からなる。下半部121は、表側面11に固定的に対面されている。下半部122の上部中程には、長方形の突出片15が上半部122側に延びている。上半部122は、表側面11の後ろ上方にあって可動的に配置されている。上半部122の下部には、長方形の切欠部16が突出片15に対応して切込まれている。上半部122の内面には、収納されたカード類Cの裏面の上部を受ける門形の受リブ17が設けられ、この受リブ17上縁中央には収納されたカード類Cの上端が係止される庇形の係止片18が突設されている。上半部122の外面には、上半部122を補強する補強リブ19が設けられている。横側面13は、表側面11と裏側面12の下半部121とを固定している。
【0027】
ヒンジ2は、ホルダ本体1の裏側面12の外方へ突出してく字形に形成された第1ヒンジ21,第2ヒンジ22からなる。第1ヒンジ21は、く字形のヒンジプレート211がホルダ本体1の裏側面12の下半部121,上半部122に薄肉構造のヒンジ構造212,213でそれぞれ連結されている。第2ヒンジ22は、ホルダ本体1の裏側面12の下半部121,上半部122からそれぞれ傾斜して延長されたヒンジプレート221,222が薄肉構造のヒンジ構造223でく字形に連結され、下側のヒンジプレート221の側端に補強と収納されるカード類Cの案内とのためのリブ224が形成されている。なお、第1ヒンジ31は、ホルダ本体1の突出片15,切欠部16を介して1対配置されている。第2ヒンジは、各第1ヒンジ31の両側にそれぞれ1個ずつ配置されている。
【0028】
吊下用片3は、ホルダ本体1の裏側面12の上半部122の上端中央部に設けられた吊紐,クリップ等が接続される孔付きの円弧片からなる。
【0029】
この形態によると、図3(A)に示すように、カード類Cがホルダ本体1の表側面11,裏側面12の間に収納されることになるが、表側面11,裏側面12が板状で変形しにくいためカード類Cの保持力が強くなる。また、ヒンジ2の第1ヒンジ21,第2ヒンジ22の回動支点の位置が異なっているため、ホルダ本体1の裏側面12上半部122の起立状態が保持され不測に傾倒することはない。従って、携行中に他人等との接触の衝撃でホルダ本体1が変形してカード類Cを不測に脱落させてしまうようなことは起こらない。
【0030】
また、図3(B)に示すように、ホルダ本体1の裏側面12の上半部122を傾倒させると、カード類Cの上半部分をホルダ本体1から突出させることができる。従って、カード類Cをホルダ本体1から取出すことなく接触式のカードリーダに接触させることができて使い勝手が良好になる。なお、ホルダ本体1の裏側面12の上半部122を傾倒させる際に、親指等を突出片15に当て人差指で上半部122の上端付近を引くことで片手で簡単に操作することができる。即ち、図3(A)に示すように、ホルダ本体1の裏側面12の傾倒操作力Paに対して突出片15に反力Pbを掛けることができて、良好な傾倒操作性が得られる。また、ホルダ本体1の裏側面12の上半部122を傾倒状態についても、ヒンジ2の第1ヒンジ21,第2ヒンジ22の回動支点の位置が異なっていることから、傾倒状態が保持され不測に起立することはない。
【0031】
さらに、図4に示すように、カード類Cの収納,取出しをホルダ本体1の裏側面12の上半部122を傾倒させて行うと、カード類Cを抜差し動作で収納,取出しすることができて便利である。
【0032】
さらに、図5に示すように、ホルダ本体1の裏側面12の上半部122を傾倒させた状態で卓T上に載せることで、会議用の名札、商品案内などを収納することができ、カードホルダ以外にカード立てとしての用途にも供することができる。この場合裏側面12の上半部122の傾倒を解除すればホルダ本体1は平面的になり、保管スペースを取らない。
【0033】
以上、図示した各例の外に、カード類CのICチップ,磁気ストライプ等の位置に対応して、ホルダ本体1の表側面11のカット部分の面積,位置や裏側面12の傾倒される上半部122の面積,位置を調整することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0034】
上述の発明は、IDカード,ネームプレート等のカード類を収納するカードホルダ、或るはカード立てとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係るカードホルダを実施するための、最良の形態の斜視図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の側面図であり、(A),(B)に異なる動作状態が示されている。
【図4】図3(B)におけるカード類の収納,取出し操作を示す図である。
【図5】図3(B)における他の使用例を示す図である。
【符号の説明】
【0036】
1 ホルダ本体
11 表側面
12 裏側面
2 ヒンジ
21 第1ヒンジ
22 第2ヒンジ
C カード類

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード類を収納するホルダ本体が板状の表側面,裏側面で構成されたカードホルダにおいて、ホルダ本体の表側面,裏側面の一の面が収納されているカード類の一部を露出させるようにカットされ、ホルダ本体の表側面,裏側面の他の面が一の面のカットに対応する部分をヒンジで外側へ傾倒可能に形成されてなることを特徴とするカードホルダ。
【請求項2】
請求項1のカードホルダにおいて、ホルダ本体は薄肉構造のヒンジとともに合成樹脂材で一体成形されていることを特徴とするカードホルダ。
【請求項3】
請求項1または2のカードホルダにおいて、ヒンジは回動支点の位置が異なる第1ヒンジ,第2ヒンジを備えていることを特徴とするカードホルダ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかのカードホルダにおいて、ホルダ本体の表側面,裏側面の他面の傾倒可能とされた部分に切欠部が形成され、ホルダ本体の表側面,裏側面の他面の傾倒可能とされた以外の部分から切欠部に突出片が延長されていることを特徴とするカードホルダ

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−302200(P2006−302200A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−126635(P2005−126635)
【出願日】平成17年4月25日(2005.4.25)
【出願人】(599163458)アスクル株式会社 (10)
【Fターム(参考)】