説明

カード処理装置、方法およびプログラム

【課題】カードの正当な利用者がそのカードを用いた所望の処理の結果を確実に得られるカード処理装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ICカードの更新時、暗証番号による認証を行う他に、ICカードを挿入した人物の顔認識を行い、人物の入れ替わりを監視する。それにより、人物の入れ替わりが無いと見なす場合、ICカードのデータの書き換えを行った後、そのICカードを返却する。その人物の入れ替わりが有ったと見なす場合には、データの書き換えを行うことなく、カードを返却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入口から挿入されたカードに応じた処理をカード処理装置に実行させるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関等で採用されるカードは、磁気ストライプにデータを記録するタイプからICチップを搭載したタイプ(ICカード)に移行する傾向にある。これは、ICカードは、磁気ストライプにデータを記録するカードに比べて、偽造、変造がしにくい、つまりセキュリティが高いという利点があるためである。
【0003】
そのICカードでは、非接触で通信が行われる。その通信に用いる暗号化のためのデータ(例えば鍵)は、安全性を維持するために、定期的に更新する必要がある。従来、そのようなICカードの更新では、カードの発行時と同じく、係員による本人確認が行われるのが普通である。これは、カードをその利用者に確実に手渡す必要があるからである。
【0004】
係員による本人確認には、或る程度の時間がかかる。また、利用者に煩雑な手続きを行わせることになる。更新したカードを配送する場合には、利用者側ではカードを受け取る人が配送時に居なければならず、カードを発行する側では、その配送のための作業が必要となる。このようなことから、カードの更新はより短時間で完了、より具体的には更新後のカードを利用者がその場で短時間に取得できるようにすることが重要と考えられる。
【0005】
そのようなカードの更新は、利用者が操作可能なカード処理装置、例えばATM(Automatic Teller Machine)、或いは専用端末装置等のICカードを取り扱えるカード処理装置により行うことを可能とさせることで実現できる。しかし、そのようなカード処理装置を用いた更新では、更新後のカードを正当な利用者以外の者に渡る可能性が高くなる。このため、カード処理装置による更新を可能とする場合には、更新後のカードを正当な利用者が確実に取得できるようにすることも重要と考えられる。
【0006】
カード処理装置では、カードの更新の他に、カードの(新規)発行を行わせることも可能である。そのような発行時にも、正当な利用者が確実に取得できるようにすることが重要である。これは、更新や発行等以外の所望の処理を行わせる場合も同様と云える。このことから、更新や発行等の処理の内容に係わらず、所望の処理の結果を正当な利用者が確実に得られるようにすることが重要と云える。
【0007】
従来のカード処理装置のなかには、複種類の情報を用いて利用者の認証を行い、カードを発行するものがある(特許文献1)。しかし、カードの発行には、認証が終了してから或る程度の時間が必要である。このため、認証を行った後、人が入れ替わる可能性がある。つまり正当な利用者以外の者がカードを取得する可能性がある。このようなことから、更新後のカードを正当な利用者が確実に取得できるものではなかった。
【特許文献1】特開2006−309562号公報
【特許文献2】特開2001−169272号公報
【特許文献3】特開2002−171427号公報
【特許文献4】特開2007−102536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、カードの正当な利用者がそのカードを用いた所望の処理の結果を確実に得ら
れるカード処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明を適用した1システムでは、カード処理装置に設けられた挿入口に挿入されたカードの利用者の認証を行い、認証によって正当性が検証された後の利用者の入れ替わりを検出し、認証によって正当性が検証された後に前記入れ替わりが検出されなかった場合に、挿入口に挿入されたカードを対象にする処理を有効にする。
【0010】
そのようにして、人物の入れ替わりが無いことを、処理を有効とする条件とすることにより、その処理の結果は、カードの正当性が検証された利用者のみが得られるようになる。更新後のカードを第三者が取得するといったことを確実に回避できるようになる。この結果、カードの正当な利用者がそのカードを用いた所望の処理の結果を確実に得られることとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明を適用した場合には、カードの正当な利用者がそのカードを用いた所望の処理の結果を確実に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態によるカード処理装置の外観図である。このカード処理装置10は、カードの発行が可能な利用者操作型の端末装置であるICカード発行機である。図1に示すように、上面には利用者を撮影するためのカメラ11、表示装置12、表示装置12の画面を覆うように設置されたタッチパネル13、及び生体認証用の静脈センサ14が配置され、正面にはカードを挿入するための挿入口15が配置されている。
【0013】
図1に示すICカード発行機10は、新規のカードの他に、更新後のカードを発行可能となっている。ICカード以外のカードも取り扱い可能であるが、ここでは説明上、便宜的に、カードとしては定期的に更新が必要なICカードのみを想定する。
【0014】
図2は、上記ICカード発行機10の回路構成図である。図2に示すようにICカード発行機10は、発行機10全体の制御を行う主制御部101と、ホストコンピュータ20との通信を行うためのホスト回線制御部102と、監視センタ30(に設置のサーバ)との通信を行うための監視回線制御部103と、稼動中に行った通信やカード発行等の情報であるジャーナルを記録するジャーナル記録部104と、ICカードの発行に係わる操作を行うICカード発行部105と、主制御部101が実行するプログラムや各種データ等を保存したハードディスク装置106と、上記カメラ11と、カメラ11を制御するカメラ制御部107と、カメラ制御部107が出力する撮影画像(データ)中に存在する人物(の顔)を認識し、その人物を表す特徴データを出力する人物認識回路108と、人物認識回路108が出力する特徴データを用いて、撮影画像中に存在する人物を判断する人物判断回路109と、上記静脈センサ14と、静脈センサ14が出力する静脈を示す静脈データを一時的に記憶させる静脈データ一時記憶部110と、上記表示装置12と、上記タッチパネル13と、各部102〜110、12〜14を相互に接続するバス130と、を備えた構成となっている。
【0015】
上記主制御部101は、例えばCPUである。ジャーナル記録部104は、例えばフラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリである。人物認識回路108及び人物判断回路109は共に、例えば必要な機能を予め搭載したLSIである。
【0016】
人物認識回路108は、周知の技術を用いて、人物の顔の範囲を抽出し、その範囲内に存在する顔の特徴を抽出し、その特徴を示す特徴データを出力する。その特徴データとは、例えば顔の特徴をよく表す点(顔特徴点)を抽出し、これらの特徴点を結ぶことで得られるグラフ(顔グラフ)である。人物判断回路109は、人物認識回路108が出力する特徴データを監視することにより、カメラ11が撮影している人物の変化、つまり人物の入れ替わりを認識する。
【0017】
ICカード発行機10に何らかのトラブルが発生した場合、主制御部101はそれを検知し、ジャーナル記録部104に記録すると共に、監視回線制御103を介して監視センサ30に通知する。そのようにして、発生したトラブルに対応する。
【0018】
ホストコンピュータ20は、認証のための照合や、カードを用いたサービスを提供するための処理を行う。主制御部101は、カードの発行時、ホスト回線制御部102を介して必要な処理の依頼や問い合わせを行う。
【0019】
上記ICカード発行部105は、ユニット制御部121、カード繰り出しユニット122、IC接点部123、磁気リード/ライト部124、イメージセンサ部125、カード回収部126、光学センサ部127、及びカード搬送部128を備えた構成となっている。バス130には、例えばユニット制御部121のみが接続され、他の各部122〜128はユニット制御部121と接続されている。
【0020】
ユニット制御部121は、主制御部101の指示に従って、各部122〜128を制御する。カード繰り出しユニット122は、新規発行用のカードが収納された収納ボックスからカードを一枚ずつ、繰り出すユニットである。IC接点部123は、挿入口15から挿入されたカードのICチップとの通信を行うためのものである。磁気リード/ライト部124は、挿入口15から挿入されたカードの磁気ストライプに記憶されているデータの読み出し/書き込みを行うためのものである。イメージセンサ部125は、挿入口15から挿入されたカードを画像の形で読み取るためのものである。カード回収部126は、挿入口15から挿入されたカードのなかで不要、或いは回収すべきカードを回収ボックスに搬送するためのものである。光学センサ部127は、挿入口15に挿入されたカードの検出用の光学センサ、搬送中のカードを検出する光学センサといった複数の光学センサや、各光学センサの検出結果を主制御部101に通知する回路等を備えたものである。カード搬送部128は、カードの搬送、具体的にはカード繰り出しユニット122から繰り出されたカードの挿入口15への搬送、挿入口15に挿入されたカードを内部に取り込むための搬送等を行うためのものである。
【0021】
挿入口15に挿入されたカードは、光学センサ部127の対応する光学センサによって検出され、その検出結果はユニット制御部121を介して主制御部101に通知される。その通知によって、主制御部101はユニット制御部121にカードの内部への取り込みを指示する。その取り込みは、例えばユニット制御部121がカード搬送部128を制御することで行われる。内部に取り込んだカードの挿入口15からの排出も同様に、例えばユニット制御部121がカード搬送部128を制御することで行われる。
【0022】
主制御部101は、可能な取引の名称を配置した不図示のメニュー画面を表示装置12に表示させ、タッチパネル13への操作により所望の取引を利用者に選択させる。その取引の一つとして、カードの更新が存在する。そのカードの更新を利用者が選択した場合、主制御部101は、利用者に認証用のデータ入力を促すメッセージを表示装置12に表示させる。また、カメラ制御部107によりカメラ11の撮影を開始させる。その撮影により、動画、或いは人の動きを確認可能な間隔での静止画を取得する。ここでは動画を想定する。
【0023】
得られた動画は、認証により正当性が検証された利用者の確認に用いる。それにより、正当性が検証された利用者が別な人と入れ替わったか否かの監視(検出)を行う。その監視は、人物判断回路109が認識している人物を参照することにより行う。それにより、人物判断回路109が認識している人物が居なくなった、或いは人物が変わった場合、利用者が入れ替わったと見なすようにしている。
【0024】
図4は、撮影された動画による利用者の入れ替わりの検出方法を説明する図である。図4(a)には利用者が入れ替わっていないと見なす場合、図4(b)には利用者が入れ替わったと見なす場合の動画例をそれぞれ示している。
【0025】
上述したように、特徴データは人物の顔に着目したものである。その人物が図4(a)に示すように撮影(画像)範囲内に存在し続けていた場合、同一人物と云える特徴データが人物認識回路108から常に出力されることになる。それにより、人物判断回路109が出力する人物の判断結果は変化しない。その結果、人物の入れ替わりは無いと見なされる。
【0026】
一方、図4(b)に示すように画像範囲から顔が或る程度、撮影されない場合、人物認識回路108から特徴データが出力されなくなるか、或いは出力される特徴データが大きく変化する。それにより、人物判断回路109が出力する人物の判断結果も変化する。このことから、人物が入れ替わったと見なされる。
【0027】
主制御部101は、人物の入れ替わりを検出しなかった場合、カードの更新を行った後、挿入口15からカードを排出させる。一方、人物の入れ替わりを検出した場合には、カードの更新を行わず、カードを挿入口15から排出させる。それにより、更新後のカードを第三者が取得するのを確実に回避させる。
【0028】
図3は、カード更新処理のフローチャートである。この更新処理は、メニュー画面上でカードの更新を利用者が選択した場合に、主制御部101が実行する処理である。ハードディスク装置106に格納されているプログラムを実行することにより実現される。次に図3を参照して、この更新処理について詳細に説明する。
【0029】
先ず、ステップS1では、カメラ制御部107に指示して、カメラ11を用いた撮影、及び撮影によって得られた動画を対象にした人物の顔認識をそれぞれ開始させる。続くステップS2では、ICカードの挿入を促すメッセージを表示装置12に表示させ、利用者が挿入口15にカードを挿入するのを待って、内部に取り込む。その後はステップS3に移行して、ICカードの読み取りを行う。
【0030】
挿入口15へのカードの挿入は、光学センサ部127により検出され、ユニット制御部121を介して主制御部101に通知される。挿入されたカードの内部への取り込みは、ユニット制御部121によるカード搬送部128の駆動制御により行われる。ICカードの読み取りは、磁気リード/ライト部124、IC接点部123により行われる。磁気リード/ライト部124は、磁気ストライプに記録されている口座に係わる口座情報等を読み取る。
【0031】
人物判断回路109が出力する判断結果の監視は、サブルーチン処理である人物の顔認識処理により行われる。ここで、その顔認識処理について詳細に説明する。
この顔認識処理では、ステップS21において、人物判断回路109が出力する判断結果から、人物の認識が中断、つまり認識している人物が居なくなった、或いは変わったか否かを判定する。認識している人物が居なくなった、或いは、変わった場合、判定はYesとなってステップS22に移行し、人物の入れ替わりがあったとの認識結果を保存した
後、この顔認識処理を終了する。そのような人物の入れ替わりがなかったと見なせる場合には、判定はNoとなり、再度ステップS21の判定処理を実行する。そのようにして、人物の入れ替わりを常に監視する。
【0032】
カード更新処理の説明に戻る。
ICカードの読み取り後はステップS4に移行して、暗証番号の入力を促すメッセージを配置した暗証番号入力画面を表示装置12に表示させ、利用者に暗証番号を入力させる。利用者が暗証番号を入力すると、ステップS5に移行して、読みとった口座情報を暗証番号と共にホストコンピュータ20にホスト回線制御部102を介して送信する。
【0033】
この送信は、認証、及び処理内容の通知のために行われる。ホストコンピュータ20は、口座情報と暗証番号の組み合わせを照合して、その組み合わせが正しいか否か判定することにより、その組み合わせが正しい場合に、つまりICカードの利用者の正当性が検証された場合に、カードの更新を許可する旨をICカード発行機10に通知する。利用者の正当性が検証できなかった場合には、カードの更新を不許可とする旨をICカード発行機10に通知する。
【0034】
ステップS6では、更新が許可されたか否か判定する。ホストコンピュータ20が更新を許可した場合、判定はYesとなってステップS7に移行する。更新を許可しなかった場合には、判定はNoとなってステップS10に移行する。そのステップS10では、更新は行えない旨のメッセージを配置したカード返却画面を表示装置12に表示させる。その後は、ステップS11に移行する。
【0035】
ステップS7では、人物の顔認識処理を終了させ、その実行結果を取得する。続くステップS8では、その実行結果が人物の入れ替わりを示しているか否か判定する。人物の顔認識処理により、人物の入れ替わりを認識した場合、判定はYesとなってステップS10に移行する。人物の入れ替わりを認識していなかった場合には、判定はNoとなってステップS9に移行して、ICカードのデータ(例えば暗号化用の鍵)を書き換える更新を行う。その更新は、IC接点部123を用いたICカードとの通信により行われる。主制御部101は、書き換えるデータを、例えばハードディスク装置106、或いはホストコンピュータから取得する。更新を行った後はステップS11に移行する。
【0036】
ステップS11では、カードを挿入口15から排出させる。続くステップS12では、カードが抜き取られるのを待つ。カードが抜き取られるのを待って、このカード更新処理を終了する。挿入口15からのカードの排出は、ユニット制御部121によるカード搬送部128の駆動制御を介して実現される。
【0037】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、画像(動画)から人物の入れ替わりを検出するようにしている。第2の実施形態は、認証用のデータを再入力させることにより、人物の入れ替わりを検出するようにしたものである。
【0038】
認証用のデータを再入力を必要とさせる場合、認証の後、一時的にその場を離れていても、利用者はその場に戻ってデータを再入力しなければならない。このため、認証後の入れ替わりを防止することができる。
【0039】
第2の実施形態におけるICカード発行機10の構成は、基本的に第1の実施形態と同じである。動作も同じ部分が多い。このことから、第1の実施形態で付した符号を用いて、第1の実施形態から異なる部分のみ説明する。
【0040】
図5は、第2の実施形態におけるカード更新処理のフローチャートである。第2の実施形態では、人物の入れ替わりの検出方法が第1の実施形態から異なっている。それにより、この更新処理が第1の実施形態から異なっている。このことから、図5を参照して、第2の実施形態における更新処理について詳細に説明する。
【0041】
この図5では、第1の実施形態と同じ、或いは基本的に同じ処理には同一の符号を付している。それにより、第1の実施形態から異なる部分にのみ着目する形で説明する。
第2の実施形態では、暗証番号、及び生体情報の2つのデータを用いて認証を行うようにしている。生体情報(生体情報画像)としては、静脈データを採用している。生体情報は、他に指静脈、指紋、手のひら静脈、掌紋、筆跡、網膜、及び虹彩等を採用することができる。画像として取得されないものも採用することができる(特許文献1)。
【0042】
第2の実施形態では、人物の入れ替わりに画像を用いないことから、ステップS1は実行しない。ステップS3でICカードを読みとった後は、ステップS31に移行して、静脈データの読み取りを行う。静脈データの読み取りは、静脈センサ14を用いて行われ、表示装置12には、そのためのメッセージを表示させる。ステップ3では、ICカードに記録されている静脈データの読み出しが行われる。
【0043】
ステップS31で読みとった静脈データは、続くステップS32で静脈データ一時記憶部110に記憶する。その次のステップS33では、ICカードから読み取った静脈データを静脈データ一時記憶部110に記憶した静脈データと対比することによる認証を行う。その認証により利用者の正当性が検証できた場合、判定はYesとなってステップS4に移行する。その正当性が検証できなかった場合には、判定はNoとなってステップS10に移行する。
【0044】
ステップS4に移行した場合、第1の実施形態と同様に、次にステップS5の処理を実行し、ステップS6に移行する。第2の実施形態では、そのステップS6の判定がYesとなった場合、ステップS34に移行して、再度、静脈データの読み取りを行う。その読み取り後はステップS35に移行して、再度、読みとった静脈データと一時記憶部110に記録した静脈データとの比較により認証を行う。その認証により、人物の入れ替わりを検出する。
【0045】
再度の静脈認証により、正当性が検証できた場合、ステップS35の判定はYesとなってステップS36に移行し、例えば再度の読み取りで静脈データ一時記憶部110に記憶されている静脈データをICカードに書き込むと共に、他のデータの書き換えを行う。その後、ステップS11に移行する。一方、正当性が検証できなかった場合には、ステップS35の判定はNoとなってステップS10に移行する。
【0046】
なお、第2の実施形態では、再入力させる認証データは静脈データとしているが、他種類の認証データとしても良い。再入力を求めるタイミング、回数は、任意に変更しても良い。
【0047】
<第3の実施形態>
上記第1の実施形態では、画像(動画)から人物の入れ替わりを検出するようにしている。第2の実施形態は、認証用のデータを再入力させることにより、人物の入れ替わりを検出するようにしている。第3の実施形態は、画像、及び認証用のデータの再入力により、人物の入れ替わりを検出するようにしたものである。
【0048】
第3の実施形態におけるICカード発行機10の構成は、基本的に第1の実施形態と同じである。動作は、第1或いは第2の実施形態と同じ部分が多い。このことから、第1或
いは第2の実施形態で付した符号を用いて、第1或いは第2の実施形態から異なる部分のみ説明する。
【0049】
図6は、第3の実施形態におけるカード更新処理のフローチャートである。第3の実施形態では、画像、及び認証用のデータの再入力により、人物の入れ替わりを検出することから、カード更新処理は第1或いは第2の実施形態で実行される処理を組み合わせた形となっている。つまり、第3の実施形態でのみ実行されるステップの処理は存在しない形となっている。このことから、第1或いは第2の実施形態で実行されるステップの処理には同じ符号を付し、その流れについてのみ説明することとする。
【0050】
第3の実施形態では、ステップS1〜S3の処理を実行した後、ステップS31〜S33の処理を実行する。ステップS33の判定がYesとなった場合、ステップS4に移行し、その判定がNoとなった場合には、ステップS10に移行する。ステップS4に移行した場合には、第1の実施形態と同様に、以降ステップS5〜S8の処理を実行する。
【0051】
ステップS8の判定がYesとなった場合、ステップS10に移行し、その判定がNoとなった場合には、ステップS34に移行する。ステップS34以降は、第2の実施形態と同様に、ステップS35に移行し、ステップS36、或いはS10の処理を実行する。ステップS36或いはS10の処理の実行後はステップS11に移行する。
【0052】
なお、本実施形態(第1〜第3の実施形態)は、カード処理装置の1種であるICカード発行機に本発明を適用したものであるが、適用可能なカード処理装置は、ICカード発行機に限定されるものではない。また、カードを用いた処理もカードの更新にのみ限定されるものではない。例えばATM等において、カードを用いた出金、或いは送金等を正当な利用者は確実に行えるようにするために、人物の入れ替わりを検出するようにしても良い。このようなこともあり、幅広い種類のカード処理装置に、幅広い処理を対象にする形で本発明を適用することができる。利用者が所望する処理は、カードの更新や発行以外の処理、たとえば回収でも良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】第1の実施形態によるカード処理装置(ICカード発行機)の外観図である。
【図2】第1の実施形態によるカード処理装置(ICカード発行機)の回路構成図である。
【図3】ICカード更新処理、及び人物の顔認識処理のフローチャートである。
【図4】撮影された動画による利用者の入れ替わりの検出方法を説明する図である。
【図5】ICカード更新処理のフローチャートである(第2の実施形態)。
【図6】ICカード更新処理、及び人物の顔認識処理のフローチャートである(第3の実施形態)。
【符号の説明】
【0054】
10 ICカード発行機(データ処理装置)
11 カメラ
12 表示装置
13 タッチパネル
14 静脈センサ
15 挿入口
101 主制御部
102 ホスト回線制御部
105 ICカード発行部
121 ユニット制御部
122 カード繰り出しユニット
123 IC接点部
124 磁気リード/ライト部
125 イメージセンサ部
126 カード回収部
127 光学センサ部
128 カード搬送部
106 ハードディスク装置
107 カメラ制御部
108 人物認識回路
109 人物判断回路
110 静脈センサ一時記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを挿入する挿入口を備え、該挿入口に挿入されたカードに応じた処理を実行可能なカード処理装置において、
前記挿入口に挿入されたカードの利用者の認証を行う認証手段と、
前記認証手段による認証によって利用者の正当性が検証されたカードを対象に処理を実行する処理手段と、
前記認証手段による認証によって正当性が検証された利用者の入れ替わりを検出する入れ替わり検出手段と、
前記入れ替わり検出手段が利用者の入れ替わりを検出した場合に、前記処理手段による処理を無効とさせ、前記カードを前記挿入口から排出させる制御手段と、
を具備することを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記カードがICチップを搭載したICカードであった場合、前記処理手段が実行する処理として、該ICチップに記録されているデータを書き換える更新を含み、
前記制御手段は、前記入れ替わり検出手段が利用者の入れ替わりを検出した場合に、前記処理手段による前記更新を中止させる、
ことを特徴とする請求項1記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記入れ替わり検出手段は、第1の撮像装置により撮影した利用者の連続した画像、及び前記認証手段により前記入れ替わりを検出する、
ことを特徴とする請求項1、または2記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記入れ替わり検出手段は、第2の撮像装置により撮影した利用者の生体情報画像、及び前記認証手段が認証に用いる情報の再入力により、前記入れ替わりを検出する、
ことを特徴とする請求項1、または2記載のカード処理装置。
【請求項5】
カードに応じた処理をカード処理装置に実行させるための方法であって、
前記カード処理装置に設けられた挿入口に挿入されたカードの利用者の認証を行い、
前記認証によって正当性が検証された後の利用者の入れ替わりを検出し、
前記認証によって正当性が検証された後に前記入れ替わりが検出されなかった場合に、前記挿入口にされたカードを対象にする前記処理を有効にする、
ことを特徴とするカード処理方法。
【請求項6】
カードを挿入する挿入口を備え、該挿入口に挿入されたカードに応じた処理を実行可能なカード処理装置として用いられるコンピュータに、
前記挿入口に挿入されたカードの利用者の認証を行う認証機能と、
前記認証機能による認証によって利用者の正当性が検証されたカードを対象に処理を実行する処理機能と、
前記認証機能による認証によって正当性が検証された利用者の入れ替わりを検出する入れ替わり検出機能と、
前記入れ替わり検出機能によりが利用者の入れ替わりを検出した場合に、前記処理機能による処理を無効とさせ、前記カードを前記挿入口から排出させる制御機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−129012(P2010−129012A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305793(P2008−305793)
【出願日】平成20年11月30日(2008.11.30)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】