説明

カード処理装置

【課題】バックアップを任意に、かつ容易にロック出来るようにしたことにより、運搬時を含め、取扱いの容易な、操作性に優れたスタッカを有するカード処理装置を提供する。
【解決手段】多数のカードを順次取り込み、或いは払い出すカード処理装置で、装置本体にスタッカ26を取外し可能に設ける。スタッカ26は、内部に積層されるカードを載支するバックアップ28を有する。このスタッカ26には、駆動モータ27と分離可能に連結されたバックアップ昇降機構36と、バックアップ28の昇降動作をロックするロック機構48とを設ける。制御部55は、スタッカ26の取り外し指令を受けると、モータ27によりバックアップ28を所定量下降させると共に、ロック機構48によりバックアップ28を固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のカードを順次取り込み、或いは払い出す機構を備えたカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、磁気情報やICチップ情報などを内蔵したプラスチック製のカードが、個人情報媒体や経済価値媒体として多用されている。この種のカードは国際標準化されており、一般には厚さ0.76mmの塩ビカードが用いられている。このようなカードは、前述のように各種分野で用いられており、近年、同一サイズのカードにそれぞれ異なる貴金属の埋め込みを施したり絵画デザインを表記し、それら貴金属や絵画デザインの価値情報を記録して取り扱うシステムが考えられている。このようなカードを取り扱う装置では、カード情報の読取や読取結果に応じた分類収納などの多くの機能が必要となり、このような装置に関する提案もなされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この装置は直線状を成す搬送手段をZ字形に構成し、搬送途中においてカードから情報を読取り、この読取った情報に従って各カードを対応するカード集積装置内に分類収納している。この場合、カード集積装置は、カードの種類毎に設けられる。例えば、カードの種類が5種類であれば、5つのカード集積装置が、Z字形に構成された搬送手段の後端部分に1列に並設され、搬送手段により搬送されてくるカードは、順次対応するカード集積装置内に分離収納される。
【0004】
このような装置では、上述のように多数のカードを収納する集積装置(以下、スタッカとして説明する)が用いられる。このスタッカは、カードを所定枚数積層状態で収納するケースを有し、かつ、このケース内に昇降可能に構成されたバックアップを有する。このバックアップは、ケース内に積層されるカードを載支する。また、このスタッカは、装置本体に対して取外し可能に設けられ、カードが満杯に収納された場合など、スタッカごと、別の回収場所などに運ばれ、カードを回収するなどの運用を行なっている。
【0005】
例えば、1つのスタッカは、1500枚程度のカードを収納できるが、業務中にしばしば満杯になってしまう。この場合、満杯となったスタッカを交換し、収納されたカードを回収する必要がある。このため、スタッカは、装置本体側から容易に分離でき、かつ容易に取り付けられる構成であり、さらに、運搬時における取り扱いが容易であることが望まれる。
【0006】
従来のスタッカでは、多数のカードを載支するバックアップは、スプリングなどによって支持され、このスプリングをカードの自重により押圧して下降するように構成されていた。すなわち、スタッカのケース内にカードが順次取り込まれ、ケース内に設けられたバックアップ上に積層収納されていくと、バックアップは積層されたカードの自重により、これを支えるスプリングを押圧しながら下降する。また、スタッカからカードを払い出す場合は、カードがスタッカから繰り出されるに連れてバックアップがスプリングの反発力により上昇し、積層されたカードの上端位置が、常に所定の払出し高さに位置するように構成している。
【特許文献1】特開2005−339458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような構成において、スタッカ内のバックアップ上に多数積層されるカードの質量は数kgになる。このため、このバックアップを支持するスプリングもこれに見合った強い弾発力のものを用いる。このため、セット時など、オペレータがバックアップを手動で動かすとき、操作性が悪くなるばかりでなく、危険でもある。
【0008】
また、前述のようにカードを積層収納した状態でスタッカを運搬する場合、運搬時の振動によりバックアップとカードが踊ってしまい、運搬時の取扱い性が悪くなる。また、バックアップとカードが踊ってしまうことにより、カードの積層姿勢が崩れることがある。このようにカードの積層状態が崩れると、その後のカード回収や、カード払い出しなどの動作に支障を与えてしまう。
【0009】
本発明の目的は、バックアップを任意に、かつ容易にロック出来るようにしたことにより、運搬時を含め、取扱いが容易で、操作性に優れたスタッカを有するカード処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のカード処理装置は、多数のカードを順次取り込み、或いは払い出す機構を備えたカード処理装置であって、装置本体に取外し可能に設けられ、装置本体により取り込み、或いは払い出しされるカードを積層状態で収納するケースを有し、かつ、このケース内に昇降可能に構成され、前記ケース内に積層されるカードを載支するバックアップを有するスタッカと、このスタッカに設けられ、装置本体側に設けられた駆動モータと分離可能に連結され、この駆動モータの駆動力により前記バックアップを昇降させる昇降機構と、この昇降機構による前記バックアップの昇降動作をロックするロック機構と、前記スタッカを装置本体から取り外す指令を受けると、前記駆動モータを前記バックアップ下降方向に所定量動作させた後に前記ロック機構を動作させて前記昇降機構をロックする制御部と を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、本発明では、バックアップ下降の所定量をカ−ドの短手長さ未満としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バックアップを、ばねを用いることなく昇降可能に構成すると共に、運搬時など、必要に応じてこのバックアップを固定できるようにしたので、バックアップそのものの操作性が向上するとともに、運搬時の振動などによって積層されたカードが踊るようなことはなく、取扱い性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明によるカード処理装置の一実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
図1は本発明のカード処理装置の一実施の形態を示している。図1において、1は装置の外郭をなす筐体で、その内部には、それぞれ破線で囲まれた第1処理部2と第2処理部3とが構成されている。
【0015】
第1処理部2は、入口部4、受入れ用の第1搬送手段7、第1情報読取手段8、第1保留手段10により概略構成される。入口部4は、筐体1の前面上部に配置され、常時閉の扉4aを有する。そして、この扉4aの開放時、所定の情報を保持した複数枚のカードPを積層状態で受け入れる。受け入れられたカードPは、バックアップ板5により下方に押し付けられ、ピッカー6により、1枚ずつ後方の第1搬送手段7へ繰り出される。
【0016】
第1搬送手段7は受入れ用のもので、上下一対のローラ7aを複数対、直線上に配置しており、これら一対のローラ7aの回転により、ピッカー6によって1枚づつ繰り出されたカードPを、装置の後方に向ってほぼ水平方向に直線搬送する。また、この第1搬送手段7には第1情報読取手段(例えば、磁気カードリーダ)8が設けられており、内蔵された磁気ヘッド9により、搬送途中のカードPから保持情報を読み取る。
【0017】
第1保留手段10は、第1搬送手段7の搬送終端部(図示右端部)に設けられ、搬送されてきたカードPを積層保留する。この第1保留手段10は、積層保留されたカードを一括して次段に移送する移送手段(以下、スイーパ機構と呼ぶ)11を備えている。
【0018】
前記第1搬送手段7は、カードPの搬送方向を逆方向にする逆搬送機能を有する。また、第1保留手段10は積層保留されたカードを1枚ずつ逆搬送状態の第1搬送手段7に繰り出す返却手段12を有する。
【0019】
また、この第1搬送手段7の前方寄り(図示左方寄り)の部分には、逆方向に搬送されたカードを搬送路上から取り出すリジェクト手段13が設けられている。このリジェクト手段13により搬送路上から取り出されたカードPは、返却搬送路14を通って筐体1の前面に設けられた返却口15に送られる。
【0020】
第2処理部3は、第2保留手段16、情報読取用の第2搬送手段18、第2情報読取手段21、スイッチバック手段22、収納用の第3搬送手段24を有し、この第3搬送手段24の下方には、カードを積層状態で収納するスタッカ26が複数個設けられている。
【0021】
第2保留手段16は、前記第1保留手段10に隣接されており、この第1保留手段10から、スイーパ機構11により一括移送されてくる積層状態のカードPを受け入れ、このカードPをピッカー17により1枚ずつ繰り出す。
【0022】
第2搬送手段18は、第2保留手段16から、筐体1の前方(図示左方)に向って、所定の傾斜角度を保って形成された直線上に、上下一対のローラを複数対配置して構成される。この第2搬送手段18は、各一対のローラの回転により、第2保留手段16から繰り出されたカードPを前方に向って所定の傾斜角度で直線搬送する。
【0023】
この第2搬送手段18は、前述のように情報読取用のものであり、搬送中間部には、磁気カードリーダなどによる第2情報読取手段21が設けられている。そして、内蔵された磁気ヘッドにより、搬送途中のカードPから保持情報を読み取る。さらに、この第2搬送手段18は、カードの搬送方向を逆方向にする逆搬送機能を有し、かつ、逆方向に搬送されたカードPを搬送路上から取り出すリジェクト手段19を有する。このリジェクト手段19でリジェクトされたカードPはリジェクト箱20内に貯留される。
【0024】
スイッチバック手段22は、第2搬送手段18の搬送終端部に設けられた回動アーム23を有し、第2搬送手段18によって搬送されてきたカードPの上面を叩き、このカードPを第3搬送手段24上に載置させる。第3搬送手段24は、筐体1内の前面側(図示左方)から後方(図示右方)に向うほぼ水平な直線上に、上下一対のローラを複数対配置したもので、スイッチバック機構22の回動アーム23により載置され、搬送方向が変向されたカードPを、後方に向ってほぼ水平に搬送する。
【0025】
スタッカ26は、第3搬送手段24に沿って複数個(図の例では5個)設けられ、この第3搬送手段24により搬送されてくるカードPを、第2の情報読取手段21による読取結果に基づいて搬送路から取り出し、積層集積する。
【0026】
第3搬送手段24の搬送路上からカードPを取り出す手段として、各スタッカ26の搬送方向前方(図示左方)の位置には、ゲート機構をそれぞれ設けている。すなわち、スタッカ26の搬送方向前方に、楔状のゲート板25を、その先細状先端が搬送方向と対向するように設置する。このゲート板25の基端部は、図示しないロータリアクチュエータの駆動軸と連結しており、作動時、ゲート板25が搬送路上に起き上がるように、図示右回りに回動駆動される。
【0027】
次に、スタッカ26の詳細構成を、図2を参照して説明する。スタッカ26は、図1で説明したカード処理装置に設置され、この装置により取り扱われるカードPを集積するもので、縦長のカセット状ケース31を有し、カ−ド処理装置に対して取り外し可能に装着される。このケース31は、所定形状のカードPを、傾斜状態で集積するもので、このカードPを所定枚数集積可能な内容積を有する。このケース31の正面(図示左面)には、蓋32がヒンジにより開閉可能に取り付けられている、この蓋32には図示しないが錠機構が設けられており、この錠機構を開錠して蓋32を開くことにより、内部に集積されたカードPを取り出すことができる。
【0028】
また、このケース31の背面上部には、上下一対のローラ34が設けられている。この上下一対のローラ34は、このケース31内と、図1で説明したカード処理装置の第3の搬送手段24との間に位置する。そして、このローラ34の回転軸を、図1で示したカード処理装置側の図示しない駆動機構と分離可能に連結することにより、回転駆動される。この上下一対のローラ34の回転により、前記ゲート板25により第3の搬送手段24から分岐されたカードPを捕らえて1枚ずつ傾斜方向に搬送し、ケース31内に搬入させる。
【0029】
ケース31内には、バックアップ28が昇降機構36により昇降可能に設けられている。このバックアップ28は傾斜した上面を有するブロック状のもので、上下一対のローラ34によりケース31内に搬入されたカードPは、その先端がケ−ス31内壁に接し、バックアップ28の上部傾斜面によって図示のように傾斜状態で載支され、積層される。
【0030】
昇降機構36は、バックアッププレート28をケース31内においてカードPの集積枚数に応じて昇降させる。この昇降機構36は、図3で示すように、縦長のブラケット37内に縦方向に設置されたガイドロッド38(図2に図示)と、同じくブラケット37の上下に配置されたプーリ39a,39bとを有する。バックアップ28は、これらプーリ39a,39b間に掛け渡されたタイミングベルト41に連結し、かつ、ガイドロッド38により、上下動可能に案内支持されている。
【0031】
ここで、下部のプーリ39bは、連結機構42により、図1で示したカード処理装置側に設けられたモータ27と分離可能に連結され、このモータ27により回転駆動される。したがって、バックアップ28は、モータ27の回転に伴い、タイミングベルト41により上下方向に駆動され、ガイドロッド38に案内されて上下動する。
【0032】
ケース31内の、カードが搬入される部分には、図示しないが光学センサが設けられており、カードPがケース31内に搬入されたことを検出すると、モータ(例えば、パルスモータ)27を所定量回転させ、プーリ39a,39b及びタイミングベルト41を駆動して、バックアップ28を所定高さ降下させる。この動作により、ケース31内に搬入されたカードPは、バックアップ板28上に順次積み重ねられ、集積される。
【0033】
なお、このバックアップ28の動作は、カードPがケース31内に搬入される度に行なわれるが、もちろん数枚のカードPが搬入される度に行なうようにしてもよい。すなわち、光学センサによりバックアップ28上に集積された最上位のカードPの傾斜上端面の高さが所定レベルに達したことを検出し、バックアップ28を所定高さ(カード数枚分)下降するように設定すれば、カード数枚毎の下降動作を行うことができる。
【0034】
ここで、1つのスタッカ26では1500枚程度のカードを収納できるが、業務中にしばしば満杯になってしまう。この場合、満杯となったスタッカを交換しなければならず、このスタッカ26をカード処理装置本体側から分離し取り外す。この取り外し状態において、スタッカ26内に集積されたカードPの取り出しは、セキュリティ上、特定の人が鍵を用いて蓋32を開いて行なう。
【0035】
また、スタッカ26をカード取扱装置から取り外して運搬する際、バックアップ28の昇降をロックして固定するロック機構48を設ける。すなわち、バックアップ28の上下駆動機構36は、図3で示した連結機構42により、カード処理装置側に設けられたモータ27と分離可能に連結しているが、スタッカ26がカード取扱装置から取り外され、連結が解除されると、バックアップ28に対する拘束力がなくなる。この状態で運搬すると、運搬時に振動などが生じると、集積されたカードの重量により、バックアップ28が正規の位置よりずれ、集積されたカードPがばらばらになるおそれがある。
【0036】
そこで、バックアップ28の昇降動作をロックするために、図4で示すようにロック機構48を設ける。このロック機構48は、連結機構42と組み合わされている。すなわち、タイミングベルト41を駆動するプーリ39bには、カード処理装置側に設けられたモータ27と分離可能に連結する連結歯車49が直結している。この連結歯車49の外周に形成された凹部49aに対して、フック50を係合可能に設け、このフック50をソレノイド51による作動力及びこの作動力に抗する図示しないスプリングの力により、作動体52を介して駆動するように構成する。すなわち、スタッカ26が図1で示したカード処理装置に装着されているときは、ソレノイド51に通電され、ロックが解除される。これに対し、ロックを行う場合は、ソレノイド51に対する通電をオフすることにより、図示しないスプリングの力によってロックするように構成している。
【0037】
図1で示したカード処理装置には、上記ロック機構48や、バックアップ28の駆動用モータ27を制御する制御部55を設ける。この制御部55は、オペレータの操作などにより、スタッカ26をカード処理装置から取外すスタッカ取外し指令が入力されると、上述したロック機構48を動作させ、バックアップ28の昇降動作をロックする。すなわち、ソレノイド51への通電をオフにして、図示しないスプリングの力により作動体52を介してフック50を連結歯車49の凹部49aに係合させ、昇降機構36をロックする。この動作により、バックアップ28は現状状態に固定され、スタッカ26の運搬時の振動などにより、バックアップ28に積層されたカードの重量が加わっても従来のようにバックアップ28が移動することはなく、安定した状態を維持する。
【0038】
ここで、制御部55は、上記スタッカ取外し指令によりバックアップ28を固定する際、バックアップ28を現状位置から所定高さ下げるようにモータ27を制御することが望ましい。すなわち、制御部55は、スタッカ26を装置本体から取り外す指令を受けると、駆動モータ27をバックアップ28の下降方向に所定量動作させる。そして、この駆動モータ28によりバックアップ下降方向の動作完了に伴い、ロック機構48を動作させて昇降機構36をロックすることが望ましい。
【0039】
上記動作は、積層されたカードPをスタッカ26から取出す際の操作を容易にするためである。すなわち、スタッカ26内に積層されたカードPの最上位面は、図2で示したように、ケース31内の上端近くに位置するようにバックアップ28により高さ制御されている。この状態でバックアップ28を固定すると、上述のように、運搬時における振動など対してもカードPの積層状態を安定に保つことができる。しかし、運搬後において、蓋32を開き、積層された多数のカードを取り出す際、ケース32の開口部との間に殆ど隙間がなく、しかもバックアップ28が固定されているため、カードPの取出し作業の作業性が非常に悪くなる。
【0040】
そこで、バックアップ28の昇降動作をロックする際、駆動モータ27を、バックアップ28の下降方向に所定量動作させ、バックアップ28を現状位置から所定量下降させる。この下降量は、スタッカ26の運搬によるカードPの位置ずれを防止し、かつ、取出しの際の容易性から、好ましくは図5に示すようにカードPの短手長さL未満とする。即ち、バックアップを下降させて集積されたカードの上にできた空間でカードが踊って表裏が逆になったり、立った状態になることを防ぐには大きくとも下降量が、カードPの短手長さLより少ない必要がある。このように、バックアップ28を現状位置から所定量下降させた後バックアップ28を固定すると、スタッカを運搬後において、蓋32を開き、積層された多数のカードを取り出す際、ケース32の開口部との間に取出し操作のための隙間が生じる。このため、バックアップ28が固定されていても、積層状態のカードPを容易に取出すことができ、作業性が向上する。なお、バックアップ28を、上述のように現状位置から多少下げても、運搬時における影響は殆どなく、カードPの積層状態を安定に保つことができる。
【0041】
このように上下駆動機構36をロックすることにより、スタッカ26をカード処理装置から分離して運搬する際、集積されたカードの重量によりバックアップ28が正規の位置よりずれて集積されたカードPがばらばらになることを確実に防止でき、運搬時における取り扱い性が格段に向上する。
【0042】
また、スタッカ26の使い方によっては、カード取扱装置から分離した状態で内部にカードを装填する場合がある。この場合、スタッカ26はカード処理装置から取り外した状態であるため、上記ロック機構48が作動しており、このままではバックアップ28が動かず、カードを装填することができない。
【0043】
そこで、このロック機構48を任意に解除できるように、図4で示すように解除機構53を設けた。この解除機構53は、ソレノイド51とフック50とを連結する作動体52に一体に設けられた手動開放レバーにより構成される。すなわち、この手動開放レバー53を手動操作して、フック50と連結歯車49の凹部49aとの噛み合いを解除することにより、バックアップ28に対するロック状態が解除され、カードPの装填が可能となる。
【0044】
次に、全体的な動作を説明する。複数種類のカード、例えば、A,B,C,D,Eの5種類のカードが有る場合、これらカードをランダムに多数有する使用者は、この多数のカードPを、入口部4に投入する。例えば、この入口部4は、積層状態のカードPを50枚一括受け入れできるものとする。
【0045】
使用者は、筐体前面の図示しない操作部を操作して入口部4の扉4aを開け、積層状態のカードPを一括投入する。一括投入後、バックアップ板5が下降し、積層されたカードPの上面を押圧する。
【0046】
この状態でピッカー6が作動し、積層状態のカードを1枚づつ第1搬送手段7に繰り出す。第1搬送手段7は、図示しないパルスモータによって上下一対のローラ7aを回転駆動するもので、入口部4から繰り出されたカードPを、装置後方に向って伸延した水平搬送路により搬送する。
【0047】
このようにして入口部4に投入されたカードPを順次繰り出し、入口部4にカードがなくなると、図示しない残留検知センサが残留無しを検知し、ピッカー6による繰り出しを停止する。
【0048】
上記第1搬送手段7による第1保留部10へのカード集積が終了すると、集積されたカードについて、カードリーダ8が読み取った情報の内容、すなわち、読み取った各種別の枚数などを、筐体1前面の図示しない表示部に表示し、利用者の確認を得る。この結果、利用者が意図した数量と読み取られた数量とが異なる場合など、利用者は「確認NO」のボタンを押下する。
【0049】
「確認NO」のボタンが押下されると、第1保留部10に集積されたすべてのカードPを返却口15に返却する。すなわち、第1搬送手段7を逆搬送状態にし、リジェクト手段13を動作状態にする。そして、返却手段12により、積層上部からカードPを1枚づつ、逆搬送状態の第1搬送手段7に繰り出す。このため、カードPはリジェクト手段13により搬送路から取り出され、返却搬送路14を通って返却口15に返却される。
【0050】
これに対し、利用者が「確認OK」のボタンを押下するとスイーパ機構11が動作し、第1保留部10に集積されたカードPを一括して図示右方に押し出し、隣接した第2保留部16内に一括して移送する。
【0051】
第2処理部3の第2保留部16内に約15度傾斜した状態で集積されたカードは、ピッカー17により1枚づつ第2搬送手段18に繰り出され、第2搬送手段18により前方に向って斜め下方に搬送される。また、搬送途中においてカードリーダ21により、保持された情報が読み出される。読み出された情報が適正であれば、そのまま順方向に搬送される。
【0052】
順方向に搬送された適正なカードは、スイッチバック手段22により第3搬送手段24にスイッチバックされる。
【0053】
第3搬送手段24に対しては、その搬送方向に沿って複数のスタッカ26が設けられており、これらスタッカ26には、それぞれゲート板25が設けられているので、各スタッカ26には、カードリーダ21による読み取り結果により、該当する種類のカードPが選別されて収納される。すなわち、搬送されてくるカードは、対応するゲート板25により搬送路上から図示斜め右下方に取り出され、該当するスタッカ26の上部に設けられた上下一対のローラ34に捕らえられ、ケース31内に搬入され、バックアップ28上に集積される。
【0054】
このようにしてスタッカ26内にカードPが集積され、スタッカ26が満杯になると、オペレータはこの集積されたカードPを回収すべく、スタッカ26の取外し指令を入力する。制御部55は、このスタッカ26の取外し指令を受けると、カードPを載支するバックアップ28を固定するために、ロック機構48に対しロック指令を与える。このロック指令により、図4で示したロック機構48がロック動作し、バックアップ28の昇降機構36をロックし、バックアップ28を固定する。
【0055】
スタッカ26は図1で示したカード処理装置本体から取外された後、別のカード回収場所などに運搬されるが、上記のように、このロック機構48によりバックアップ28を固定しているため、集積されたカードの重量によりバックアップ28が正規の位置よりずれて集積されたカードがばらばらになることを防止でき、運搬時における取り扱いが容易となる。
【0056】
また、制御部55は、ロック機構48により昇降機構36をロックさせる場合、バックアップ28を現状位置から所定量下降させると、集積されたカードPの上端面とスタッカ26の開口部との間に隙間が生じるので、スタッカ26から積層されたカードPを取出す際の作業性が、従来に比べ格段に向上する。
【0057】
さらに、このロック機構48は、解除機構53によりロック状態を任意に解除できるので、スタッカ26をカード処理装置から分離した状態で内部にカードを装填することも可能になる。このように、カードを別の場所で装填し、再びロック状態にした後、スタッカ26を、図1で示したカード処理装置まで運搬して、この装置本体に装着し、ロック機構48によるロックを電気的に解除すれば、カード処理装置を、カード払出し装置として運用することができる。すなわち、各部の回転方向および搬送方向を逆向きにすることにより、スタッカ26内に集積されたカードPを1枚ずつ繰り出すことができる。この場合、スタッカ26内に集積されたカードのうち、最上部のカードを上下一対のローラ34に向って繰り出すためにはピッカーを用いればよい。すなわち、スタッカ26の上面カバーにスリットを設け、ここにピッカーの作動子を挿入し、スタッカ26内に集積された最上部のカードPを1枚ずつ繰り出すように構成すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明によるカード処理装置の一実施の形態を示す構成図である。
【図2】同上一実施の形態におけるスタッカの内部構成を示す側面開放図である。
【図3】同上一実施の形態におけるバックアップ昇降機構を示す斜視図である。
【図4】同上一実施の形態におけるロック昇降機構を示す斜視図である。
【図5】同上一実施の形態におけるカ−ドを示す斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
26 スタッカ
27 駆動用のモータ
28 バックアップ
31 ケース
36 昇降機構
48 ロック機構
55 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のカードを順次取り込み、或いは払い出す機構を備えたカード処理装置であって、
装置本体に取外し可能に設けられ、装置本体により取り込み、或いは払い出しされるカードを積層状態で収納するケースを有し、かつ、このケース内に昇降可能に構成され、前記ケース内に積層されるカードを載支するバックアップを有するスタッカと、
このスタッカに設けられ、装置本体側に設けられた駆動モータと分離可能に連結され、この駆動モータの駆動力により前記バックアップを昇降させる昇降機構と、
この昇降機構による前記バックアップの昇降動作をロックするロック機構と、
前記スタッカを装置本体から取り外す指令を受けると、前記駆動モータを前記バックアップ下降方向に所定量動作させた後に前記ロック機構を動作させて前記昇降機構をロックする制御部と、
を備えたことを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記バックアップ下降の所定量をカ−ドの短手長さ未満とすることを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−241421(P2007−241421A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−59637(P2006−59637)
【出願日】平成18年3月6日(2006.3.6)
【出願人】(503039820)株式会社プリモテック (14)
【出願人】(502407749)東芝ソシオシステムズ株式会社 (41)
【Fターム(参考)】