説明

カード出口にデリベリローラを有するウェブファンネルを設けたカードにおける装置

【課題】本発明はカードに関し、ドラフト装置とコイラプレートのスライバ進入口との間でスライバが傷つくことを防ぎ、確実な移送を可能にすることを目的とする。
【解決手段】カードはカード出口にデリベリローラ21, 22を有するウェブファンネル20を設けている。デリベリローラの後ろにスライバ進入口を有するコイラプレート18が配置されており、ウェブファンネル20とコイラプレート18のスライバ進入口との間にドラフト装置16が配置されている。ドラフト装置16とコイラプレート18のスライバ進入口との間でスライバを傷つけることを避けて、確実な移送を可能にするために、ドラフト装置の入口にスライバファンネル20が設けられ、ドラフト装置16の出口とコイラプレート18のスライバファンネル20のスライバ進入口との距離は短くされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカード出口にデリベリローラを有するウェブファンネルを設けたカードにおける装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カード出口にデリベリローラを有するウェブファンネルを設けたカードにおける装置であって、前記デリベリローラの後ろにスライバ進入口を有するコイラプレートが配置されており、前記ウェブファンネルと前記コイラプレートのスライバ進入口との間にドラフト装置が配置されている形式の装置は公知である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
公知の装置では、カードのストリッピングローラとコイラ装置との間にドラフト装置が設けられている。ストリッピングローラから離れてウェブファンネルがあり、ウェブファンネル入口はウェブチャンバに付属しており、ウェブファンネル出口はドラフト装置のすぐ入口にある。したがって、ウェブファンネルは同時にカードの出口と自動調節ドラフト装置として構成されたドラフト装置の入口に配置されている。このウェブファンネルは二重機能を有している。ウェブファンネルはまずカードの出口ファンネルとしてカードウェブをスライバに変え、次にドラフト装置の入口ファンネルとしてスライバをドラフト装置に導入する。さらに、ウェブファンネルはスライバ太さの測定部材として用いられる。太さ測定信号は、制御装置を通してカードのフィードローラの回転数と、自動調節ドラフト装置のローラ対の回転数に作用する。ドラフト装置はほぼカードのストリッピングローラの高さに水平に配置されている。ウェブファンネルはほぼ水平に進行するカードウェブを把捉する。ドラフト装置はコイラ装置に付属しており、垂直方向でベースプレートとコイラ装置のコイラプレートとのほぼ半分の高さに設けられている。この装置の短所は、ウェブファンネルが水平方向にストリッピングローラから離れて配置されているので、引き裂きに敏感なウェブ三角区域が形成されることである。この装置だと、生産速度が100m/minを越えることは不可能である。さらに、ドラフト装置の出口とコイラ装置のコイラプレートのスライバ進入口との間には著しい距離があるので、準備ドラフトによって整えられたスライバは長い距離にわたり、スライバが不均整になるドラフトミスの危険にさらされる。
【0004】
本発明の課題は、上記の短所を回避して、特にドラフト装置とコイラプレートのスライバ進入口との間でスライバが傷つくことを防ぎ、確実な移送を可能にする、冒頭に記載した種類の装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、本発明により請求項1の特徴部に記載された特徴によって解決される。本発明に従い、ウェブファンネル(カードウェブが入り、スライバが出る)とスライバファンネル(スライバが入り、スライバが出る)の2つのファンネルが設けられている。ウェブファンネルがドラフト装置から独立に設けられていることによって、カードの出口でカードウェブはストリッピングローラのすぐ後でウェブファンネルに導入されるので、敏感なウェブ三角区域は除去されて、300m/min以上の生産速度が可能となる。ドラフト装置の入口にスライバファンネルがカードにおけるウェブ受け取りとは独立に設けられていることにより、ドラフト装置の出口は直接コイラプレートのスライバ進入口に付属しており、その結果、準備ドラフトによって整えられたスライバを危険にさらす距離は極めて著しく短縮され、それによってスライバのコイラプレートへの安定した移送が可能となる。公知の装置と異なり、2つのファンネルを用いることによって機能分離が実現されていることにより、カードウェブおよび準備ドラフトによって整えられたスライバに対する有害な影響が単純かつ有利な方法で確実に避けられる。本質的なのは、ドラフト装置の出口がコイラプレートのスライバ進入口の近傍に配置されていることである。ウェブファンネルがストリッピングローラの近傍に配置されていることも重要である。
【0006】
ドラフト装置の出口がスライバ進入口の上方に配置されていることが好都合である。ドラフト装置の出口が前記スライバ進入口の高さに配置されていることが得策である。ドラフト装置が水平に配置されていることが有利である。ドラフト装置が垂直に配置されていることが好ましい。ドラフト装置がある角度に配置されていることが好都合である。ドラフト装置が鋭角に配置されていることが得策である。ドラフト装置が鈍角に配置されていることが有利である。ドラフト装置の出口とスライバ進入口との間にガイドローラが設けられていることが得策である。ドラフト装置の出口からスライバが短い距離でスライバ進入口に進入することが好都合である。ドラフト装置がコイラ装置のコイラプレート台の上方に配置されていることが好都合である。ドラフト装置がコイラプレート台の外側境界とコイラプレートのスライバ進入口との間に配置されていることが有利である。ドラフト装置がデリベリローラを有するウェブファンネルに対してある距離に配置されていることが得策である。
【0007】
本発明は、スライバ太さの測定装置と、電子制御装置と、調節装置とを有する制御装置が設けられ、測定装置がドラフト装置の入口にあるスライバファンネルである別の有利な装置を含む。調節装置が、ドラフト装置の(少なくとも)1つのローラ対の駆動に対する制御モータであることが好都合である。調節装置が、カードのフィードローラの駆動に対する制御モータであることが好ましい。カードのフィードローラに対する制御可能な前記駆動モータと、ドラフト装置の少なくとも1つのローラ対の駆動に対する駆動モータが電子制御装置に接続されていることが有利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1に、フィードローラ1、ディッシュプレート2、テーカイン3a、3b、3c、シリンダ4、ドッファ5、ストリッピングローラ6、クラッシュローラ7、8、カードウェブ案内部材9、ウェブファンネル10、デリベリローラ11、12、回転式フラット13およびコイラ装置14とケンス15を具備するカード、たとえばトゥリュッチュラー社製EXACTACARD DK803を示す。コイラ装置14の上方には、ドラフト装置16が配置されている。
【0009】
図2に従い、カード出口にはデリベリローラ11、12を有するウェブファンネル10が設けられており、その後ろにはチューブホイール19を備えたコイラプレート18が配置されている。コイラプレート18はコイラプレート台14a内にある。チューブホイール19の入口には、スライバ進入口20aとして、スライバファンネル20とこれに付属する2つのデリベリローラ21、22がある。ウェブファンネル10とコイラプレート18のスライバファンネル20のスライバ進入口20a(図3)との間には、ドラフト装置16が配置されている。ドラフト装置16の入口にはスライバファンネル23が設けられており、ドラフト装置16の出口とコイラプレート18のスライバ進入口20aとの距離aは短い。ドラフト装置16の出口は、スライバ進入口20aの上方で距離bの位置にある。ドラフト装置16は水平、かつコイラプレート台14aに対して平行に配置されている。
【0010】
ドラフト装置16の出口とスライバ進入口20との間には、スライバ17用のガイドローラ24が設けられている。ドラフト装置16はコイラプレート台14aの上方で、コイラプレート台14aの外側境界とコイラプレート18のスライバ進入口20aとの間に配置されている。スライバファンネル23の前には、スライバ17用のガイドローラ25が設けられている。ドラフト装置は2つのトップローラ26a、27aと、これに付属する2つのボトムローラ26b、27bを有している。ドラフト装置16は、デリベリローラ11、12を有するウェブファンネル10に対して水平方向では距離d、垂直方向では距離eの位置に配置されている。
【0011】
運転中は、カードウェブ(図示せず)がウェブファンネル10に進入し、ウェブファンネル10からデリベリローラ11、12からスライバ17として、たとえば200m/minの速度で抜き取られる。スライバ17は方向Aで上方に進み、ガイドローラ25を経てウェブファンネル23を通りドラフト装置16に入り、ローラ26a、26b;27a、27bによって実質的に水平方向に引き伸ばされ、ドラフトされたスライバ17としてドラフト装置16から出て、ガイドローラ24を通り垂直方向で下方のスライバファンネル20に導入される。スライバ17はスライバファンネル20からデリベリローラ21、22によって抜き取られ、回転するチューブホイール19と垂直軸心の回りを回転するコイラプレート18を通って、コイラプレート18の下端部のスライバ排出口からケンス15(図1)に入り、そこに収納される。
【0012】
図4に従い、ドラフト装置16の進行方向Bは、コイラプレート台14aを基準にして鋭角αに配置されている。図5によれば、ドラフト装置16の進行方向Cは、コイラプレート台14aを基準にして鈍角βに配置されている。図6に、ドラフト装置16の進行方向Dがコイラプレート台14aを基準にして垂直方向(直角)に配置された実施形態を示す。
【0013】
図7に従い、マイクロコンピュータによる制御調節装置28が設けられ、これにドラフト装置16に対する調節装置およびカードのフィードローラ1に対する調節装置が接続されている。ドラフト装置16の入口におけるスライバファンネル23は、たとえば機械的走査機構を備えたスライバ17の太さの測定装置として構成されている。スライバファンネル23は制御装置29を通してローラ27bに対する回転数制御可能な駆動モータ30、たとえばdcモータと連結している。さらに、スライバファンネル23は、たとえば測定変換器(図示せず)と測定増幅器31を通して電子制御調節装置28に接続されている。フィードローラ1には、フィードローラ1とディッシュプレート2との間に引き入れられた供給ウェブの太さに対する測定素子32が付属している。測定素子32は調節装置33を通してフィードローラ1に対する回転数制御された駆動モータ34、たとえばdcモータと連結している。調節装置33は電子制御調節装置28と電気的に連結している。
【0014】
ローラ対26a、26bに対する駆動モータ(回転数が一定のメインモータ)は35で示されている。図8に従い、ドラフト装置16は、4オーバ3ドラフト装置として設計されている。つまり、このドラフト装置はボトムローラI、II、III(Iボトムフロントローラ、IIボトムセカンドローラ、IIIボトムバックローラ)と4つのトップローラ36、37、38、39からなる。ドラフト装置16では、スライバ17のドラフトが行われる。ドラフトは準備ドラフトと主要ドラフトからなる。ローラ対39/IIIと38/IIが準備ドラフト区域を形成し、ローラ対38/IIと36/37/Iが主要ドラフト区域を形成する。ボトムフロントローラIは制御モータ(図示せず)によって駆動される。ボトムバックローラIIIもしくはボトムセカンドローラIIは、メインモータ(図示せず)によって駆動される。ローラI、II、III、36、37、38、39の回転方向は、湾曲した矢印で示されている。スライバ17はドラフト装置内をE方向に進む。出口16bとスライバ進入口20aとの間には、スライバ案内部材40が配置されている。ローラ対39/III、38/IIおよび36/37/Iのローラはそれぞれ反対方向に回転する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、コイラ装置を有するカードと本発明に従う装置の側面図である。
【図2】図2は、コイラ装置のコイラプレートの上方に実質的に水平に配置されたドラフト装置を示す図である。
【図3】図3は、スライバファンネルの単品図である。
【図4】図4は、コイラプレートに対して鋭角に配置されたドラフト装置を示す図である。
【図5】図5は、コイラプレートに対して鈍角に配置されたドラフト装置を示す図である。
【図6】図6は、コイラプレートの上方に実質的に垂直に配置されたドラフト装置を示す図である。
【図7】図7は、少なくとも1つのドラフト装置の制御モータ、スライバ測定ファンネルおよびフィードローラに対する制御モータが接続された電子制御調節装置のブロック線図である。
【図8】図8は別実施例を示す図である。
【符号の説明】
【0016】
1 フィードローラ
2 ディッシュプレート
4 シリンダ
5 ドッファ
6 ストリッピングローラ
9 カードウェブ案内部材
10 ウェブファンネル
11, 12 デリベリローラ
13 回転式フラット
14 コイラ装置
15 ケンス
16 ドラフト装置
18 コイラプレート
19 チューブホイール
20 スライバファンネル
21, 22 デリベリローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード出口にデリベリローラを有するウェブファンネルを設けたカードにおける装置であって、前記デリベリローラの後ろにスライバ進入口を有するコイラプレートが配置されており、前記ウェブファンネルと前記コイラプレートのスライバ進入口との間にドラフト装置が配置されている形式のものにおいて、
ドラフト装置(16)の入口(16a)にウェブファンネル(23)が設けられており、前記ドラフト装置(16)の出口(16b)と前記スライバファンネル(20)のスライバ進入口(20a)との間の距離が短いことを特徴とする、カード出口にデリベリローラを有するウェブファンネルを設けたカードにおける装置。
【請求項2】
前記ドラフト装置(16)の出口(16b)が前記スライバ進入口(20a)の上方に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ドラフト装置(16)の出口(16b)が前記スライバ進入口(20a)の高さに配置されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ドラフト装置(16)が水平に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記ドラフト装置(16)が垂直に配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記ドラフト装置(16)がある角度(α、β)に配置されている、請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記ドラフト装置(16)が鋭角(α)に配置されている、請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記ドラフト装置(16)が鈍角(β)に配置されている、請求項1から7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記ドラフト装置(16)の出口(16b)と前記スライバ進入口(20a)との間にガイドーラ(24)が設けられている、請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記ドラフト装置(16)の出口(16b)からスライバ(17)が短い距離(a、b、c)でスライバ進入口(20a)に進入する、請求項1から9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ドラフト装置(16)がコイラ装置(14)のコイラプレート台(14a)の上方に配置されている、請求項1から10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記ドラフト装置(16)が前記コイラプレート台(14a)の外側境界と前記コイラプレート(18)のスライバ進入口(2c)との間に配置されている、請求項1から11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記ドラフト装置(16)がデリベリローラ(11、12)を有するウェブファンネル(10)に対してある距離(d、e)に配置されている、請求項1から12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
スライバ太さの測定装置と、電子制御装置と、調節装置とを有する制御装置が設けられた、請求項1から13のいずれか1項に記載の装置において、前記測定装置が前記ドラフト装置(16)の入口(16a)にあるスライバファネル(23)であることを特徴とする装置。
【請求項15】
前記調節装置が、前記ドラフト装置(16)の(少なくとも)1つのローラ対(26a、26b)の駆動に対する制御モータ(30)である、請求項1から14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記調節装置が、カードのフィードローラ(1)の駆動に対する制御モータ(34)である、請求項1から15のいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
カードのフィードローラ(1)に対する制御可能な前記駆動モータ(34)と、ドラフト装置の少なくとも1つのローラ対(26a、26b)の駆動に対する前記駆動モータ(30)が電子制御装置(28)に接続されている、請求項1から16のいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記ドラフト装置(16)の出口(16b)と前記スライバファンネル(20)のスライバ進入口(20a)との間の距離が約5cmないし30cmである、請求項1から17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記ドラフト装置(16)の出口(16b)と前記コイラプレート(18)のスライバ進入口との間の距離が短い、請求項1から18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項20】
前記ドラフト装置16として、4オーバ3ドラフト装置(I、II、III、36、37、38、39)が用いられる、請求項1から19のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
ボトムフロントローラ(I)が回転数制御可能なモータ(30)によって駆動される、請求項1から20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
ボトムバックローラ(III)およびボトムセカンドローラ(II)がメインモータ(35)によって駆動される、請求項1から21のいずれか1項に記載の装置。
【請求項23】
前記ドラフト装置16として、3オーバ3ドラフト装置(I、II、III、37、38、39)が用いられる、請求項1から22のいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−202211(P2008−202211A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103808(P2008−103808)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【分割の表示】特願平9−173488の分割
【原出願日】平成9年6月30日(1997.6.30)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】