説明

カード判定装置、プログラム及びカード判定方法

【課題】 記憶された固定データが不正であるプリペイドカードを発見することができるようにすること。
【解決手段】 プリペイドカードに記憶された演算用数値データとこの演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる演算結果値データとを取得し(ステップS4)、取得した演算用数値データを規定の数式に当てはめて演算を実行し(ステップS7)、この演算による演算結果値データとプリペイドカードから取得した演算結果値データとを比較しそれらが一致しない場合には当該プリペイドカードは不正カードであると判定する(ステップS8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード判定装置、プログラム及びカード判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、現金決済の代わりとして、プリペイドカードに記憶され現金と同等の貨幣価値を有する電子マネーによる電子的な決済が普及している。このような電子マネー決済の普及に伴い、不正プリペイドカードによる不正決済の被害も拡大し問題となっている。
【0003】
不正プリペイドカードとしては、正規なプリペイドカードをそのまま複製したいわゆるデットコピーカードがある。このようなデットコピーカードに対する対策は、以下のように行われている。例えば店舗を複数有する店舗チェーンの本部では、デットコピーカードが同時期に大量に出回り、固定データであるシリアル番号などの識別データが同じである複数のプリペイドカードが同時期に使用されることで、異常に気づいて、そのプリペイドカードは不正なカードであると判断する。そして、そのプリペイドカードの識別データを不正カードファイルに登録し、不正カードファイルを各店舗のPOS端末などの商品販売データ処理装置に配信する。プリペイドカードが使用される際には、使用されるプリペイドカードが不正カードファイルに登録されているか否かを判定するいわゆるネガチェックを実行し、登録されている場合には、不正カードとして決済を中止する。
【0004】
【特許文献1】特開2000−242839公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年では、固定データであるシリアル番号などの識別データの一部を不正カード毎に異ならせて偽造した不正カードが出回るようになってきている。このような識別データが異なる不正カードが同時期に大量に使用されても、それぞれの識別データが異なるので不正カードであることに気づきにくく、不正カードファイルに登録されにくい。よって、このような不正カードはネガチェックを潜り抜けて使用されてしまい、不正決済による被害が拡大してしまう。
【0006】
特許文献1には、電子マネーの残高を不正に増加させた不正カードの使用防止を図る技術が開示されているが、上記のような固定データである識別データが操作された不正カードに対する解決策は記載されていない。
【0007】
本発明の目的は、記憶された固定データが不正であるプリペイドカードを発見することができるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカード判定装置は、プリペイドカードに記憶された固定データである演算用数値データとこの演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる演算結果値データとを取得する第1の取得手段と、この第1の取得手段によって取得された前記演算用数値データを前記規定の数式に当てはめて演算を実行する演算手段と、この演算手段により実行された演算の演算結果値データと前記第1の取得手段により取得された前記演算結果値データとを比較し、それらが一致しない場合には当該プリペイドカードは不正カードであると判定する第1の判定手段と、を備える。
【0009】
本発明のプログラムは、コンピュータに読み取り可能であって、プリペイドカードに記憶された固定データである演算用数値データとこの演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる演算結果値データとを取得する第1の取得機能と、この第1の取得機能によって取得された前記演算用数値データを前記規定の数式に当てはめて演算を実行する演算機能と、この演算機能により実行された演算の演算結果値データと前記第1の取得機能により取得された前記演算結果値データとを比較し、それらが一致しない場合には当該プリペイドカードは不正カードであると判定する第1の判定機能と、を前記コンピュータに実行させる。
【0010】
本発明のカード判定方法は、プリペイドカードに記憶された固定データである演算用数値データとこの演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる演算結果値データとを取得する第1の取得ステップと、この第1の取得ステップによって取得された前記演算用数値データを前記規定の数式に当てはめて演算を実行する演算ステップと、この演算ステップにより実行された演算の演算結果値データと前記第1の取得ステップにより取得された前記演算結果値データとを比較し、それらが一致しない場合には当該プリペイドカードは不正カードであると判定する第1の判定ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、記憶された固定データが不正であるプリペイドカードを発見することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は本実施の形態のカード判定装置であるPOS端末1及びカードリーダライタ2を概略的に示す外観斜視図である。図1に示すように、POS端末1は、店舗の精算場所に配設されて商品販売データ処理を行うためのものであり、ドロワ12の上に載置されている。POS端末1の本体11の上面側にキーボード13やレシート発行口11aが設けられている。本体11の奥側には、キャッシャ用の表示器14と、客用の表示器15とが設けられている。また、POS端末1には、商品コードを光学的に読み取るためのバーコードスキャナ16及びカードリーダライタ2が接続されている。
【0014】
キーボード13には、金額や販売数量等を入力するための置数キー、締めキー、各種の決済キーなどが設けられている。決済キーとしては、プリペイドカードCに記憶された電子マネーによる決済を宣言するための電子マネーキー、現金による決済を宣言するための決済キーである現金キー、クレジットによる決済を宣言するためのクレジットキー等が設けられている。
【0015】
図2はPOS端末1の電装系を示すブロック図である。図2に示すように、POS端末1は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)、各種データを書き換え自在に記憶するRAM(Random Access Memory)等で構成されるPOS制御部17を保有している。POS制御部17には、バス19を介して通信インタフェース20が接続されている。この通信インタフェース20には、カードリーダライタ2及び図示しないホスト装置が接続されており、これによりPOS端末1とカードリーダライタ2及びホスト装置との間で通信が可能となっている。
【0016】
また、POS制御部17には、バス19及びI/O機器制御部21を介して、前述したキーボード13、表示器14,15、バーコードスキャナ16とともに、プリンタ22及び記憶部であるハードディスクドライブ装置(HDD)18が接続されている。プリンタ22は、POS端末1の本体11に内蔵されたレシート/ジャーナルプリンタであり、商品販売データ処理に伴い、取引単位でレシートをレシート発行口11aから発行するとともに、並行してジャーナル用紙への印字等を行う。
【0017】
ハードディスクドライブ装置(HDD)18には、POS制御部17のCPUを動作させるコンピュータプログラムの他、商品マスタファイルF1、POS売上ファイルF2、プリペイドネガテーブルT1等が格納されている。商品マスタファイルF1は、商品コードに対応付けて商品名や単価を記憶するものである。POS売上ファイルF2は、POS端末1における売上データを記憶するものである。
【0018】
図3はプリペイドネガテーブルT1を模式的に示す説明図である。プリペイドネガテーブルT1は、不正なプリペイドカードCである不正カードを特定するための不正カード特定データを記憶するものである。不正カード特定データとしては、プリペイドカードCの発行元を特定するためのカード発行元ID、プリペイドカードCの発行時の電子マネー金額を特定するための券種コード、プリペイドカードCの発行区分、プリペイドカードCの発行年月日、プリペイドカードCが発行された店を特定するための発行店番、プリペイドカードC毎に固有に設定された固有識別データであるカード番号(シリアル番号)などである。図4に示すように、プリペイドネガテーブルT1には、チェック番号毎に、カード発行元IDを記憶するカード発行元IDエリア23a、券種コードを記憶する券種コードエリア23b、発行区分を記憶する発行区分エリア23c、発行年月日を記憶する発行年月日エリア23d、発行店番を記憶する発行店番エリア23e、カード番号の範囲のうち始めのカード番号を記憶する開始カード番号エリア23f、カード番号の範囲のうちの終わりのカード番号を記憶する終了カード番号エリア23gが設けられている。
【0019】
ハードディスクドライブ装置(HDD)18に記憶されたコンピュータプログラムは、POS端末1の起動時に商品マスタファイルF1等とともにPOS制御部17のRAMに書き込まれ、これによってPOS制御部17による各部の駆動制御及び演算などが可能となる。
【0020】
図1に示すように、カードリーダライタ2の筐体31には、各種キーが集合して構成されるキーボード32、各種情報を表示する表示器33、筐体31に内蔵された後述するリーダライタ部34へのプリペイドカードCの挿脱を可能とするカード挿入口35が設けられている。
【0021】
図4はカードリーダライタ2の電装系を示すブロック図である。図4に示すように、カードリーダライタ2は、各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)、コンピュータプログラム等の固定的データを予め記憶するROM(Read Only Memory)、各種データを書き換え自在に記憶するRAM(Random Access Memory)等で構成されるリーダライタ制御部41を保有している。リーダライタ制御部41には、POS端末1との通信を司る通信インタフェース42がバス43を介して接続されている。また、リーダライタ制御部41には、バス43及びI/O機器制御部44を介して、前述したキーボード32、表示器33とともに、リーダライタ部34が接続されている。このリーダライタ部34は、磁気カードであるプリペイドカードCに記憶された電子マネーや各種データの読み取り及び書き込みを行うものである。
【0022】
ここで、このようなカードリーダライタ2によってデータを読み書きされるプリペイドカードCについて説明する。プリペイドカードCは、磁気カードであり、図示しない磁気記憶部にカードデータを記憶している。このカードデータには、データ可変な可変データとデータが固定な固定データとがある。可変データとしては、電子マネーが挙げられる。電子マネーは、貨幣と同等の価値を有した金額データであり、使用するとその分減算され残高が減る。固定データとしては、前述したカード発行元ID、券種コード、発行区分、発行年月日、発行店番、カード番号などであり、これらの固定データは、数値データである。また、これらのカード発行元ID、券種コード、発行区分、発行年月日、発行店番、カード番号は、プリペイドカードCを識別するための識別データである。
【0023】
さらに、プリペイドカードCには、固定データである演算結果値データが記憶されている。この演算結果値データについて説明する。まず、前述したプリペイドカードCの固定データ(カード発行元ID、券種コード、発行区分、発行年月日、発行店番、カード番号)のうちの1又は複数の固定データが演算用数値データとして予め設定されている。なお、演算用数値データは、複数であることが望ましい。そして、この演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる結果が演算結果値データであり、この演算結果値データも固定データである。演算用数値データは、そのまま使用されてもよいし、その一部が使用されてもよい。一部とは、例えば、特定の桁の数値を使用する場合などである。規定の数式としては、演算結果値データを使用して数値結果を得られるものであれば何でも良い。例えば、規定の数式の一例としては、ハッシュ関数を用いたものを例示することができる。なお、プリペイドカードCとしては、磁気カードに限られるものではなく、例えばICプリペイドカードであってもよい。この場合には、カードリーダライタ2をICプリペイドカードに対する読み書きが可能なもの適用すればよい。
【0024】
図5はPOS端末1のPOS制御部17がコンピュータプログラムに従って実行する商品販売データ処理の流れを示すフローチャートである。
【0025】
商品販売データ処理では、まず、売上商品についてのバーコードスキャナ16による商品コードの読み取りやキーボード13の置数キーによる商品コードの入力、及びキーボード13の置数キーによる販売個数の入力に待機する(ステップS1)。
【0026】
バーコードスキャナ16による商品情報である商品コードの読み取り入力、及びキーボード13のキー入力による販売個数の入力等があったと判断すると(ステップS1のY)、売上処理を実行する(ステップS2)。この売上処理では、入力された商品コードに基づいて商品マスタファイルF1を検索することにより得られた商品名や単価等に基づく売上データをPOS制御部17のRAMに記憶し、その単価等の取引情報を表示器14,15に表示させる。加えて、ここまでの売上データに基づく売上合計金額を算出し、POS制御部17のRAMに記憶して表示器14,15に表示させる。
【0027】
ステップS1〜S2の処理は、決済方法が選択されるまで、具体的には、キーボード13の電子マネーキーが操作されて電子マネーによる決済が宣言されたと判断するまで(ステップS3のY)、又は、現金キーやクレジットキーなどの電子マネーキー以外の決済キーが操作されて現金など電子マネー以外での決済が宣言されたと判断するまで(ステップS15のY)、繰り返される。
【0028】
電子マネーキーが押下されず(ステップS3のN)、現金キーやクレジットキー等の電子マネーキー以外の決済キーが押下された場合には(ステップS15のY)、押下された決済キーに応じて現金決済処理やクレジット決済処理等の電子マネー決済以外の決済処理を実行する(ステップS16)。
【0029】
一方、電子マネーキーが押下された場合には(ステップS3のY)、カードリーダライタ2を用いてプリペイドカードCからカードデータを取得する(ステップS4:第1及び第2の取得手段、第1及び第2の取得機能、第1及び第2の取得ステップ)。詳しくは、カードリーダライタ2にカードデータ要求電文を送信する。このカードデータ要求電文を受信したカードリーダライタ2では、カード挿入口35からのプリペイドカードCの挿入を許容し、プリペイドカードCの挿入まで待機する。そして、キャッシャによりプリペイドカードCがカード挿入口35から挿入されたならば、そのプリペイドカードCに記憶されたカードデータをリーダライタ部34の動作によって読み取り、読み取ったカードデータをPOS端末1へ送信する。カードリーダライタ2からカードデータを受信したPOS端末は、そのカードデータをPOS制御部17のRAMに記憶させる。
【0030】
次に、POS制御部17は、カードリーダライタ2が読み取りを行ったプリペイドカードCの真偽を判定する処理として、まず、ネガチェックを実行する(ステップS5:第2の判定手段、第2の判定機能、第2の判定ステップ)。ネガチェックは、POS制御部17のRAMに記憶されたプリペイドカードCのカードデータのうち識別データを用いて以下の3つのチェックによってなされる。
(1)プリペイドカードCの識別データのうち、カード発行元ID、券種コード、発行区分を一組のチェックデータとして扱い、このチェックデータがプリペイドネガテーブルT1に登録されているか否かを調べる。即ち、プリペイドネガテーブルT1において、当該プリペイドカードCとカード発行元ID、券種コード、発行区分が全て同じものが登録されているチェック番号があるか否かを調べる。同じチェックデータがプリペイドネガテーブルT1に登録されている場合には、当該プリペイドカードCは不正カードであると判定する。
(2)プリペイドカードCの識別データのうち、カード発行元ID、券種コード、発行区分、発行年月日、発行店番を一組のチェックデータとして扱い、このチェックデータがプリペイドネガテーブルT1に登録されているか否かを調べる。即ち、プリペイドネガテーブルT1において、当該プリペイドカードCとカード発行元ID、券種コード、発行区分、発行年月日、発行店番が全て同じものが登録されているチェック番号があるか否かを調べる。チェックデータがプリペイドネガテーブルT1に登録されている場合には、当該プリペイドカードCは不正カードであると判定する。
(3)プリペイドカードCに記憶された識別データのうちカード番号がプリペイドネガテーブルT1に登録されているか否かを調べる。チェックデータがプリペイドネガテーブルT1に登録されている場合には、当該プリペイドカードCは不正カードであると判定する。
【0031】
そして、上記の3つのチェックにおいて不正カードであると判定された場合には(ステップS6のY)、ステップS12に進みエラー処理を実行する。このエラー処理については、後で説明する。
【0032】
一方、ステップS5において、不正カードであると判定されなかった場合には(ステップS6のN)、プリペイドカードCの真偽を判定するさらなる処理として、プリペイドカードCに記憶された演算用数値データを用いた演算チェックを実行する。まず、POS制御部17のRAMに記憶させたプリペイドカードCのカードデータのうち前述した演算用数値データを規定の数式に当てはめて演算を実行して演算結果値データを得る(ステップS7:演算手段、演算機能、演算ステップ)。このようにして得た演算結果値データと、POS制御部17のRAMに記憶されたプリペイドカードCのカードデータに含まれる演算結果値データとを比較して、当該プリペイドカードCが不正カードであるか否かを判定する(ステップS8:第1の判定手段、第1の判定機能、第1の判定ステップ)。プリペイドカードCに記憶された固定データ(演算用数値データ、演算結果値データ)が改ざん等の操作がされておらず正規なものであれば、それらの演算結果値データは一致する。よって、それらの演算結果値データが一致した場合には、不正カードであると判定しない。そして、この場合には、ネガチェック及び演算チェックにおいて、不正カードであると判定されなかったので、当該プリペイドカードCは正規なカードであると判定する。一方、それらの演算結果値データが一致しない場合は、プリペイドカードCに記憶された固定データ(演算用数値データ、演算結果値データ)が改ざん等の操作がされて不正であるということを意味する。よって、それらの演算結果数値が一致しない場合には、当該プリペイドカードCは不正カードであると判定する。
【0033】
そして、プリペイドカードCが正規のカードであると判定した場合には(ステップS8のN)、当該プリペイドカードCの電子マネーによる決済対象金額である売上合計金額に対する決済を受け付けて、以下の決済処理を実行する。まず、POS制御部17のRAMに記憶させたプリペイドカードCの電子マネーの残高が売上合計金額以上であるか否かを判断する(ステップS9)。電子マネーの残額が売上合計金額以上であると判断した場合には(ステップS9のY)、POS制御部17のRAMに記憶されたプリペイドカードCの電子マネーの残額から売上合計金額を減算して更新残額を算出し、この更新残高をカードリーダライタ2を用いてプリペイドカードCに電子マネーの残額として書き込む(ステップS10)。詳しくは、更新残高を有する残高更新電文をカードリーダライタ2に送信する。残高更新電文を受信したカードリーダライタ2では、プリペイドカードCの電子マネーの残高を受信した更新残高に更新する。
【0034】
そして、締め処理を実行する(ステップS11)。締め処理では、POS制御部17のRAMに記憶された売上データをPOS売上ファイルF2に記憶し、当該売上データのうちの所定内容をプリンタ22によって印字させたレシートをレシート発行口11aから発行する。また、売上合計金額等により構成されるジャーナルデータをPOS制御部17のRAMに記憶し、一取引に係るジャーナルデータを作成する。こうして一取引が終了すると、POS制御部17のRAMに記憶させたジャーナルデータをプリンタ22を用いてジャーナル用紙に記録する。なお、締め処理の実行のタイミングとしては、ステップS10とステップS11との間で締めキーが押下されるまで待機し、締めキーが押下されたと判断したときでもよい。
【0035】
また、ステップS9において、プリペイドカードCの電子マネーの残額が売上合計金額以上でないと判断した場合には(ステップS9のN)、売上合計金額からPOS制御部17のRAMに記憶されたプリペイドカードCの残額を減算して不足額を算出し、この不足額をPOS制御部17のRAMに書き込み、カードリーダライタ2を用いてプリペイドカードCに残額0円を電子マネーの残額として書き込む(ステップS13)。この書き込み方法は、ステップS10と同様であるので説明を省略する。そして、表示器14,15に不足額を表示させる(ステップS14)。その後、ステップS3に戻り、再び、決済キーが操作され決済方法が選択されるまで(ステップS3のY、ステップS15のY)、待機する。そして、不足額が満たされるまでステップS3以降の処理を繰り返す。ここに、ステップS9,S10,S13により、決済手段、決済機能、決済ステップが実行される。
【0036】
ステップS5やステップS8において、当該プリペイドカードCが不正カードであると判定した場合には(ステップS6のYやステップS8のY)、当該プリペイドカードCの電子マネーによる売上合計金額に対する決済を許可しない。即ち、ステップS9には進まない。そして、ステップS12に進みエラー処理を実行する。これにより、ステップS9以降のプリペイドカードCによる決済処理は行われないことになる。ステップS12では、以下の処理を行う。まず、カードリーダライタ2を用いて当該プリペイドカードCの電子マネーの残高を「0」に書き換えて当該プリペイドカードCの使用を不能とする(不能処理手段、不能処理機能、不能処理ステップ)。詳しくは、プリペイドカードCの残高を「0」円に書き換える旨の書き換え電文をカードリーダライタ2に送信する。この書き換え電文を受信したカードリーダライタ2では、プリペイドカードCの電子マネーの残高を「0」円に書き換えた後、プリペイドカードCをカード挿入口35から排出する。また、POS制御部17は、表示器14に、当該プリペイドカードCは不正カードである旨を表示器14に表示し、当該プリペイドカードCのカード番号とこのカード番号を有するプリペイドカードCは不正カードである旨とをプリンタ22を用いてジャーナル用紙に記録する。また、通信インタフェース20を用いてホスト装置に対して、当該プリペイドカードCのカード番号とこのカード番号を有するプリペイドカードCは不正カードである旨との電文を送信する。そして、ステップS3に戻り、再び決済方法が選択されるまで待機する。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態では、プリペイドカードCに記憶された演算用数値データとこの演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる演算結果値データとをプリペイドカードCから取得し、取得した演算用数値データを規定の数式に当てはめて演算を実行し、この演算による演算結果値データとプリペイドカードCから取得した演算結果値データとを比較し、それらが一致しない場合には当該プリペイドカードは不正カードであると判定する。これにより、プリペイドカードCに記憶された固定データである演算用数値データや演算結果値データが操作されて不正なデータとされ、演算して得られた演算結果値データとプリペイドカードCに記憶された演算結果値データとが一致しなくなった場合には、当該プリペイドカードCが不正カードであると判定されるので、記憶された固定データである演算用数値データや演算結果値データが不正である不正プリペイドカードを発見することができる。
【0038】
また、本実施の形態においては、プリペイドカードCに記憶された電子マネーによって決済対象金額に対する決済を実行するが、プリペイドカードCが不正カードである場合には、決済手段による決済を許可しないことにより、不正なプリペイドカードCによる被害を防止することができる。
【0039】
また、本実施の形態においては、プリペイドカードCが不正カードである場合には、プリペイドカードCの電子マネーの残高を「0」円にして、プリペイドカードCの使用を不能とさせることにより、不正カードによる被害が他店などで発生するのを防止することができる。
【0040】
また、本実施の形態においては、プリペイドカードCに記憶された固定データでありプリペイドカードCを識別するための識別データを取得し、取得した識別データと記憶部であるハードディスクドライブ装置(HDD)18のプリペイドネガテーブルT1に記憶された不正カードを特定するための不正カード特定データとに基づいて当該プリペイドカードが不正カードであるかを判定することにより、予め登録された不正カードを発見することができ、不正なプリペイドカードCによる被害をさらに防止することができる。
【0041】
また、本実施の形態においては、規定の数式に当てはめられる演算用数値データは、複数個であることにより、規定の数式に当てはめられる演算用数値データが一つの場合に比べて、プリペイドカードCの固定データのうちチェック対象となる固定データが増えるので、固定データが不正なプリペイドカードCをより確実に発見することができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、各種プログラムをハードディスクドライブ装置(HDD)18に格納するようにしたが、これに限るものではなく、フレキシブルディスク、磁気テープ等のような磁気的な記憶媒体、MOのような光磁気的な記憶媒体、CD、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW等のような光学的な記憶媒体、半導体メモリ等の各種方式のメディアを記憶媒体として用いるようにしても良い。なお、CD−ROMやDVD−ROMなどの各種の光学的な記憶媒体、各種の光磁気的な記憶媒体、フレキシブルディスクなどの各種の磁気的な記憶媒体等は、POS端末1に固定的に設けられておらず、単体で取り扱える交換自在な記憶媒体としての形態を備え、各メディアに適応した各種プログラム読取装置(CD−ROMドライブ等)を用いてプログラムを読み出すことで各種処理が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態のPOS端末とカードリーダライタとを概略的に示す外観斜視図である。
【図2】POS端末の電装系を示すブロック図である。
【図3】プリペイドネガテーブルを模式的に示す説明図である。
【図4】カードリーダライタの電装系を示すブロック図である。
【図5】商品販売データ処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1…カード判定装置、18…記憶部、C…プリペイドカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリペイドカードに記憶された固定データである演算用数値データとこの演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる演算結果値データとを取得する第1の取得手段と、
この第1の取得手段によって取得された前記演算用数値データを前記規定の数式に当てはめて演算を実行する演算手段と、
この演算手段により実行された演算の演算結果値データと前記第1の取得手段により取得された前記演算結果値データとを比較し、それらが一致しない場合には当該プリペイドカードは不正カードであると判定する第1の判定手段と、
を備えるカード判定装置。
【請求項2】
前記プリペイドカードに記憶された電子マネーによって決済対象金額に対する決済を実行する決済手段を備え、
前記プリペイドカードが不正カードである場合には、前記決済手段による決済を許可しない請求項1記載のカード判定装置。
【請求項3】
前記プリペイドカードが不正カードである場合には、前記プリペイドカードの使用を不能とさせる不能処理手段を備える請求項1又は2記載のカード判定装置。
【請求項4】
前記プリペイドカードに記憶された固定データであり前記プリペイドカードを識別するための識別データを取得する第2の取得手段と、
この第2の取得手段により取得された前記識別データと記憶部に記憶された不正カードを特定するための不正カード特定データとに基づいて当該プリペイドカードが不正カードであるかを判定する第2の判定手段と、
を備える請求項1ないし3の何れか一記載のカード判定装置。
【請求項5】
前記規定の数式に当てはめられる前記演算用数値データは、複数個である請求項1ないし4の何れか一記載のカード判定装置。
【請求項6】
コンピュータに読み取り可能なプログラムであって、
プリペイドカードに記憶された固定データである演算用数値データとこの演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる演算結果値データとを取得する第1の取得機能と、
この第1の取得機能によって取得された前記演算用数値データを前記規定の数式に当てはめて演算を実行する演算機能と、
この演算機能により実行された演算の演算結果値データと前記第1の取得機能により取得された前記演算結果値データとを比較し、それらが一致しない場合には当該プリペイドカードは不正カードであると判定する第1の判定機能と、
を前記コンピュータに実行させるプログラム。
【請求項7】
前記プリペイドカードに記憶された電子マネーによって決済対象金額に対する決済を実行する決済機能を前記コンピュータに実行させ、
前記プリペイドカードが不正カードである場合には、前記決済機能による決済を許可しない請求項6記載のプログラム。
【請求項8】
前記プリペイドカードが不正カードである場合には、前記プリペイドカードの使用を不能とさせる不能処理機能を前記コンピュータに実行させる請求項6又は7記載のプログラム。
【請求項9】
前記プリペイドカードに記憶された固定データであり前記プリペイドカードを識別するための識別データを取得する第2の取得機能と、
この第2の取得機能により取得された前記識別データと記憶部に記憶された不正カードを特定するための不正カード特定データとに基づいて当該プリペイドカードが不正カードであるかを判定する第2の判定機能と、
を前記コンピュータに実行させる請求項6ないし8の何れか一記載のプログラム。
【請求項10】
前記規定の数式に当てはめられる前記演算用数値データは、複数個である請求項6ないし9の何れか一記載のプログラム。
【請求項11】
プリペイドカードに記憶された固定データである演算用数値データとこの演算用数値データを規定の数式に当てはめた演算により求められる演算結果値データとを取得する第1の取得ステップと、
この第1の取得ステップによって取得された前記演算用数値データを前記規定の数式に当てはめて演算を実行する演算ステップと、
この演算ステップにより実行された演算の演算結果値データと前記第1の取得ステップにより取得された前記演算結果値データとを比較し、それらが一致しない場合には当該プリペイドカードは不正カードであると判定する第1の判定ステップと、
を含むカード判定方法。
【請求項12】
前記プリペイドカードに記憶された電子マネーによって決済対象金額に対する決済を実行する決済ステップを含み、
前記プリペイドカードが不正カードである場合には、前記決済ステップによる決済を許可しない請求項11記載のカード判定方法。
【請求項13】
前記プリペイドカードが不正カードである場合には、前記プリペイドカードの使用を不能とさせる不能処理ステップを含む請求項11又は12記載のカード判定方法。
【請求項14】
前記プリペイドカードに記憶された固定データであり前記プリペイドカードを識別するための識別データを取得する第2の取得ステップと、
この第2の取得ステップにより取得された前記識別データと記憶部に記憶された不正カードを特定するための不正カード特定データとに基づいて当該プリペイドカードが不正カードであるかを判定する第2の判定ステップと、
を含む請求項11ないし13の何れか一記載のカード判定方法。
【請求項15】
前記規定の数式に当てはめられる前記演算用数値データは、複数個である請求項11ないし14の何れか一記載のカード判定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−48135(P2006−48135A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−224179(P2004−224179)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】