説明

カード情報読み取り装置およびICカードリーダ

【課題】挿入された異物をカードとして取り扱うことのないカード情報読み取り装置を提供する。
【解決手段】挿入口1bにカード幅W2の物体が挿入されたか否かを検出するカード幅検出センサ3と、挿入口1b近傍の通路1cの磁界の変化に基づいて挿入口1bに磁性体が挿入されたか否かを検出する磁性体検出センサ4とを設ける。挿入口1bに物体が挿入されると、カード幅検出センサ3によるカード幅W2の検出と、磁性体検出センサ4による磁性体の検出がある場合に、ICカードが挿入されたと判別し、カード幅検出センサ3によるカード幅W2の検出と、磁性体検出センサ4による磁性体の検出のいずれかがない場合に、異物が挿入されたと判別する。そして、ICカードが挿入されたと判別した場合にのみ、シャッタ5を開けてICカード2を内部に取り込み、カード情報を読み取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードに記録された情報を読み取るカード情報読み取り装置に関し、特に、挿入口に挿入された物体がカードか異物かを判別するものに関する。
【背景技術】
【0002】
カードに記録された情報を読み取るカード情報読み取り装置として、カードリーダがある。カードリーダは、接触式ICカード、非接触式ICカード、または磁気カードのようなカードが挿入口から挿入されて本体内部に進入して来ると、IC接点やアンテナや磁気ヘッド等の読み取り手段によってカードに対して情報の読み取りを行う。このようなカードリーダでは、カード以外の異物が挿入口に挿入された場合に、それをカードとして取り扱うと、異物によるカード通路の詰まりや本体内部の部品の損傷等といった異常が発生してしまうため、異物をカードとして取り扱わないようにする対策が従来から必要となっている。
【0003】
上記の対策として、例えば下記の特許文献1のカードリーダでは、カード通路を開閉するシャッタと、シャッタよりも挿入口側のカード通路にカードの幅以下のピッチで配設した2つのフォトインタラプタとを設けている。そして、2つのフォトインタラプタの両方が挿入口に挿入された物体を検出している場合にのみ、シャッタを開放することで、カードよりも幅の狭い異物が挿入されても、シャッタを開放しないようにしている。また、下記の特許文献2や特許文献3のカードリーダでは、特許文献1のようにフォトインタラプタを設けずに、カードに押されてカード幅方向に移動する一対のカード検出片をカードの幅以下の間隔で設けている。そして、一対のカード検出片が挿入口から挿入された物体によって両方とも移動した場合にのみ、シャッタを開放することで、カードよりも幅の狭い異物が挿入されても、シャッタを開放しないようにしている。
【0004】
一方、磁気カード用のカードリーダには、挿入口に挿入された物体の幅が所定の幅であるか否かを検出するセンサと、挿入された物体が磁気ストライプを備えているか否かを検出する磁気ヘッドとを挿入口近傍に設けているものがある。このようなカードリーダでは、センサが所定の幅を検出し、かつ磁気ヘッドが磁気ストライプを検出した場合にのみ、挿入された物体を磁気カードと判別して、情報の読み取り処理等を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−55258号公報
【特許文献2】特開平8−55259号公報
【特許文献3】特開平11−85916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように特許文献1〜3のカードリーダは、挿入口に挿入された物体の幅が所定の幅であるか否かによって、その物体がカードか異物かを判別している。しかし、このようなカードリーダでは、不正を働こうとする第三者によって、例えばカードの幅と略同幅の異物が挿入口に挿入された場合は、それをカードであると判別して取り扱ってしまう。このため、特許文献1〜3のようにシャッタを設けたカードリーダでは、シャッタを開放してしまうので、異物がカード通路に詰まったり、異物が本体内部に進入して内部の部品を傷つけたりする。また、進入した異物に対して読み取り手段で情報の読み取り処理を行おうとすると、読み取り手段が破損する。一方、上述した磁気カード用のカードリーダでは、物体の幅の検出結果と磁気ストライプ有無の検出結果とに基づいて、挿入された物体が磁気カードか異物かを判別しているが、この方法は、接触式や非接触式のICカードを取り扱うカードリーダには適用することができない。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するものであって、その課題とするところは、挿入された異物をカードとして取り扱うことのないカード情報読み取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明では、カードが挿入される挿入口と、本体内部に設けられカードに記録された情報を読み取る読み取り手段と、挿入口から本体内部に通じるカード通路とを備えたカード情報読み取り装置において、挿入口に所定の幅の物体が挿入されたか否かを検出する幅検出手段と、磁界を発生させるとともに、挿入口近傍の当該磁界の変化に基づいて挿入口に磁性体が挿入されたか否かを検出する磁性体検出手段と、幅検出手段の検出結果と磁性体検出手段の検出結果とに基づいて所定のカードが挿入されたか否かを判別する判別手段とを設ける。なお、磁性体検出手段が検出対象とする磁性体としては、例えば鉄やニッケルなどの強磁性体、アルミニウムや白金などの常磁性体、銅や金などの反磁性体がある。
【0009】
上記のように、挿入口に挿入された物体の幅を幅検出手段で検出するのに加えて、その物体が磁性体か否かを磁性体検出手段で検出すると、正規のカードは規格等で幅が一定に決められていて、所定の位置に磁性体(例えば、接触式のICカードであればIC接点やIC、非接触式のICカードであればICやコイル、磁気カードであれば磁気ストライプ等)を備えているので、正規のカードが挿入された場合は、それをカードであると判別することができる。また、所定の幅を有しているが磁性体のない異物が挿入された場合は、それを異物であると判別することができる。このため、カードであると判別した場合にのみ、挿入された物体をカードとして取り扱うことで、異物をカードとして取り扱わなくなる。
【0010】
また、本発明の実施形態では、カード通路に設けられカードが本体内部に進入することを規制するシャッタと、シャッタの開閉を制御する開閉制御手段とを設けていて、幅検出手段は、シャッタよりも挿入口側で所定の幅の物体が挿入されたか否かを検出し、磁性体検出手段は、シャッタよりも挿入口側で磁性体が挿入されたか否かを検出し、開閉制御手段は、判別手段で判別が行われるまでは、シャッタを閉じておき、判別手段でカードが挿入されたと判別された場合にのみ、シャッタを開く。このようにすると、異物が挿入口に挿入されても、カードであると判別されず、シャッタが開かれないので、異物が本体内部に進入することはなく、シャッタの近傍やこれより本体内部側のカード通路で異物が詰まったり、本体内部の部品が異物によって損傷したりするのを防止することができる。
【0011】
また、本発明の実施形態では、読み取り手段は、判別手段でカードが挿入されたと判別された場合にのみ、情報の読み取りを行う。このようにすると、異物が挿入口に挿入されても、カードであると判別されず、その異物に対して情報の読み取りが行われないので、読み取り手段が破損するのを防止することができる。
【0012】
また、本発明の実施形態では、磁性体検出手段は、カードの所定の位置に備わる磁性体がカード通路を通る位置で磁性体が挿入されたか否かを検出する。この場合、判別手段は、幅検出手段による所定の幅の物体の挿入検出があり、かつ磁性体検出手段による磁性体の挿入検出がある場合に、カードが挿入されたと判別し、幅検出手段による所定の幅の物体の挿入検出と磁性体検出手段による磁性体の挿入検出のいずれかがない場合に、異物が挿入されたと判別する。このようにすると、正規のカードが挿入された場合は、それをカードであると判別することができ、また、所定の幅を有していない異物や、所定の幅を有しているが所定の位置に磁性体がない異物が挿入された場合は、それらを異物であると判別することができる。
【0013】
次に、本発明に係るICカードリーダは、カードが挿入される挿入口と、挿入口から本体内部に通じるカード通路と、カード通路に設けられた開閉可能なシャッタと、シャッタよりも挿入口側に設けられ磁界の変化に基づいて磁性体を検出するサーチコイルと、本体内部に設けられたIC接点と、制御部とを有するICカードリーダであって、制御部は、サーチコイルによって磁性体が検出されたときに挿入口にICカードが挿入されたと判断してシャッタを開け、カード通路を介してICカードを本体内部に搬送するとともにIC接点によってICカードの情報を読み取る。
【0014】
本発明の実施形態では、上記ICカードリーダにおいて、サーチコイルをそれぞれ異なる位置に2つ設ける。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、挿入口に挿入された物体の幅を幅検出手段で検出するのに加えて、その物体が磁性体か否かを磁性体検出手段で検出するので、正規のカードが挿入された場合は、それをカードであると判別することができ、所定の幅を有しているが磁性体のない異物が挿入された場合は、それを異物であると判別することができる。このため、カードであると判別した場合にのみ、挿入された物体をカードとして取り扱うことで、異物をカードとして取り扱わないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態のICカードリーダの概略構造図である。
【図2】第1実施形態のICカードリーダの概略構造図である。
【図3】第1実施形態のICカードリーダの概略構造図である。
【図4】第1実施形態のブロック図である。
【図5】第1実施形態のICカード挿入状態を示す図である。
【図6】第1実施形態の異物挿入状態を示す図である。
【図7】第1実施形態の異物挿入状態を示す図である。
【図8】第1実施形態のフローチャートである。
【図9】第2実施形態のICカードリーダの概略構造図である。
【図10】第2実施形態のICカードリーダの概略構造図である。
【図11】第2実施形態のブロック図である。
【図12】第2実施形態のICカード挿入状態を示す図である。
【図13】第2実施形態の異物挿入状態を示す図である。
【図14】第2実施形態のフローチャートである。
【図15】第3実施形態のICカード挿入状態を示す図である。
【図16】第3実施形態の異物挿入状態を示す図である。
【図17】第3実施形態のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図8は、本発明の第1実施形態を示す図である。まず、本実施形態に係るカード情報読み取り装置の一例であるICカードリーダの概略構造を図1〜図3を参照しながら説明する。なお、図1はICカードリーダの断面図、図2は同上面図、図3は同正面図である。図1において、100はICカードリーダであって、例えば自動現金取引処理装置のような上位装置30(図4に図示)に搭載されて接続されている。1はICカードリーダ100の本体、1aは本体1の内部空間(以下、本体内部と記す)である。2はICカードであって、内部に情報を記録するIC(図示省略)が埋め込まれている。内部のICからの情報の読み取りは、ICカード2の表面の所定の位置に備わるIC接点2a(図2)を介して行われる。IC接点2aは銅パターンで構成され、この銅パターンの上にニッケルメッキおよび金メッキが施されている。カード2におけるIC接点2aの位置や、カード2の大きさは、規格等で規定された通りである。1bはカード2がF方向に挿入される挿入口、1cは挿入口1bから本体内部1aに通じるカード通路である。なお、図2に示すようにカード通路1cの幅W1は、カード2が傾くことなくF、B方向に移動できるようにカード2の幅W2より若干大きく形成されている。
【0018】
5はカード通路1cに設けられたシャッタであって、ソレノイドによって上下方向U、D(図1)に開閉する。このシャッタ5は、カード2の挿入口1bから本体内部1aへの進入または本体内部1aから挿入口1bへの排出を規制する。図1では、シャッタ5が開いた状態を実線で示し、シャッタ5が閉じた状態を破線で示している。3はフォトインタラプタから構成されるカード幅検出センサである。カード幅検出センサ3は、図2および図3に示すように挿入口1b近傍の通路1cのL方向側の側面に設置されている。このセンサ3は、シャッタ5よりも挿入口1b側で、カード幅W2と略同一の幅を有する物体が挿入されたか否かを検出する。例えば、カード2が挿入口1bから挿入されると、センサ3は、通路1cに沿ってF方向に入って行くカード2のL方向側の端部2bを検出して、OFF状態からON状態に切り替わり、その切り替わり信号を制御部11(図4に図示)に出力する。また、カード幅W2より小さな幅を有する物体が挿入口1bから挿入されると、センサ3はその物体を検出することなくOFF状態を維持する。
【0019】
4はホール素子と磁石とから構成される磁性体検出センサである。磁性体検出センサ4は、図3に示すように挿入口1b近傍の通路1cのU方向側で、カード2のIC接点2aが通る位置X(図2に図示)に配置されている。このセンサ4は、シャッタ5よりも挿入口1b側で磁石により発生させている磁界の変化に基づき、挿入口1bに金属等の磁性体が挿入されたか否かを検出する。例えば、カード2が挿入口1bから挿入されると、磁性体であるIC接点2aが近づくことによって磁石の磁界が変化するので、ホール素子がこの変化を検知して所定値の電圧を制御部11に出力する。また、カード2と同様の位置に磁性体を備えていない物体が挿入口1bから挿入されると、磁石の磁界が殆ど変化しないので、ホール素子が上記のIC接点2a接近時とは異なる所定値の電圧を制御部11に出力する。
【0020】
図1に示す6a、6bはモータ15(図4に図示)によって回転する上下1対のローラであって、モータ15が正転駆動するとカード2をF方向へ搬送し、モータ15が逆転駆動するとカード2をB方向へ搬送する。なお、F方向側のローラ6bは、ICカードリーダ100のF方向側に設置される上位装置30の回収箱(図示省略)にカード2を回収したり、F、B方向に長い規格外のカードを搬送したりするためのものである。7a〜7dはフォトマイクロセンサから構成されるカード位置検出センサである。これらのセンサ7a〜7dは、カード2が本体内部1aの所定の位置に搬送されたことを検出する。なお、センサ7a〜7dはカード2を検知していないときはOFF状態であるが、カード2を検知するとON状態になる。
【0021】
8はカードリーダ100側のIC接点であって、ソレノイドによって上下方向U、Dに移動する。このIC接点8は、カード2がローラ6aによって本体内部1aに搬送されて、図1に示すように停止すると、カード2内部のICから情報を読み取るために、破線で示す位置から実線で示す位置に移動して、カード2側のIC接点2aに接触する。なお、IC接点8は、ソレノイドによって移動せずに、実線で示す位置に固定されていてもよい。9はソレノイドによって上下方向U、Dに移動するストッパである。このストッパ9は、常時実線で示す位置にあって、ローラ6aによって搬送されるカード2をIC接点8とIC接点2aとが接触可能な位置に停止させる。また、ストッパ9は、上述したように上位装置30の回収箱にカード2を回収する際等に、破線で示す位置に移動して、ローラ6a、6bによって搬送されるカード2を通過させる。
【0022】
以上において、挿入口1bは、本発明における挿入口の一実施形態を構成し、カード通路1cは、本発明におけるカード通路の一実施形態を構成する。カード幅検出センサ3は、本発明における幅検出手段の一実施形態を構成し、磁性体検出センサ4は、本発明における磁性体検出手段の一実施形態を構成し、シャッタ5は、本発明におけるシャッタの一実施形態を構成する。
【0023】
図4は、上記ICカードリーダ100の電気的構成を示すブロック図である。
図4において、11はICカードリーダ100の各部を制御する制御部であって、CPU、ROM、RAM、および後記の制御回路等から構成される。なお、ROMにはCPUの動作プログラム等が記憶されていて、RAMにはCPUが各部を制御する制御データが読み書き可能に記憶される。12はRAMや不揮発性メモリ等から構成される記憶部である。13は前述のIC接点8を介してICカード2のICと通信を行うための通信回路からなるICカード用通信部である。制御部11は、この通信部13によってIC接点8からICカード2のIC接点2aに通電し、ICカード2のICから情報を読み取る。14は前述のシャッタ5やIC接点8やストッパ9をそれぞれ移動させる複数のソレノイドである。制御部11は、各ソレノイド14の駆動を制御するための制御回路を備えていて、それぞれの回路によって各ソレノイド14を駆動し、シャッタ5を開閉させたりIC接点8やストッパ9を移動させたりする。15は前述のローラ6a、6bを回転させるモータである。制御部11は、モータ15の駆動を制御するための制御回路を備えていて、その回路によってモータ15を正転駆動または逆転駆動し、ローラ6a、6bを回転させてカード2を本体内部1aの所定の位置に所定の速度で搬送する。
【0024】
3は前述のカード幅検出センサ、4は前述の磁性体検出センサ、7a〜7dは前述のカード位置検出センサである。制御部11は、前述したカード幅検出センサ3が出力する信号と、磁性体検出センサ4が出力する電圧値に基づいて、後述するように挿入口1bにICカード2が挿入されたか異物が挿入されたかを判別する。16は上位装置30と相互に通信を行うための通信回路からなる上位装置用通信部である。制御部11は、この通信部16によってカード2から読み取った情報を上位装置30に送信する。以上の構成において、制御部11は、本発明における判別手段と、開閉制御手段の一実施形態をそれぞれ構成する。IC接点8とICカード用通信部13とは、本発明における読み取り手段の一実施形態を構成する。
【0025】
図8は、上記ICカードリーダ100の動作手順を示すフローチャートである。各処理は、制御部11(詳しくは、制御部11に備わるCPU)が実行する。
なお、本手順を説明するにあたり、ICカードリーダ100へのカード2の挿入状態を示す図5と、異物の挿入状態を示す図6および図7を適宜参照する。
【0026】
図5に示すように、ICカード2が挿入口1bに挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、カード2のL方向側の端部2bを検出して、OFF状態からON状態への切り替わり信号を制御部11に出力する。また、磁性体検出センサ4が、挿入口1b近傍の磁界の変化からカード2のIC接点2aを検出して、所定値の電圧を制御部11に出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出し(図8のステップS1:YES)、磁性体検出センサ4が磁性体を検出したので(ステップS2:YES)、ICカードが挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS5)。なお、この判断結果は、記憶部12(図4)に記録されたり、通信部16(図4)によって上位装置30に送られたりする。
【0027】
ICカードが挿入されたと判断すると、制御部11は、そのカード2を取り扱うために、シャッタ5(図1)を開けて(ステップS6)、モータ15の正転駆動を開始する(ステップS7)。これにより、カード2は、シャッタ5の下を通って、ローラ6aによって本体内部1aへF方向に搬送されて行く。そして、カード位置検出センサ7a(図1)がカード2を検知しなくなってOFF状態となり、カード位置検出センサ7b、7c(図1)がカード2を検知してON状態となると、制御部11は、カード2を所定の位置で検出したと判断して(ステップS8)、所定時間経過後にモータ15の駆動を停止する(ステップS9)。これにより、カード2は、図1に示したようにIC接点2aにカードリーダ100側のIC接点8が接触可能な位置に停止する。モータ15の駆動を停止すると、制御部11は、IC接点8をカード2側のIC接点2aに接触させて、通信部13(図4)によってカード2のICと通信を行い、ICから情報を読み取る(ステップS10)。そして、制御部11は、読み取った情報を通信部16によって上位装置30に送り、その後、上位装置30から読み取った情報に対する処理が完了したことを示す通知を受けると、IC接点8をIC接点2aから離して、モータ15の逆転駆動を開始する(ステップS11)。これにより、カード2はローラ6aによってB方向に搬送されて、挿入口1bに排出される。このとき、カード幅検出センサ3がカード2の端部2bを検出してON状態となる。そして、カード2が挿入口1bから抜き取られると、カード幅検出センサ3がOFF状態になるので、制御部11はシャッタ5を閉じて(ステップS12)、モータ15の駆動を停止し(ステップS13)、処理を終了する。
【0028】
一方、図6に示すように、カード2と同じ幅W2を有しているがカード2と同様の位置にIC接点2aのような磁性体のない合成樹脂製の板状の異物50が挿入口1bに挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、異物50のL方向側の端部50aを検出して、OFF状態からON状態への切り替わり信号を制御部11に出力する。また、磁性体検出センサ4が、挿入口1b近傍の磁界が殆ど変化しないため磁性体を検出せず、IC接点2aのような磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を制御部11に出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出し(図8のステップS1:YES)、磁性体検出センサ4が磁性体を検出していないので(ステップS2:NO)、異物が挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS4)。なお、この判断結果は、記憶部12に記録されたり、通信部16によって上位装置30に送られて、上位装置30でディスプレイやLEDにより表示されたりする。異物が挿入されたと判断すると、制御部11は、その異物をカードとして取り扱うことなく、処理を終了する。
【0029】
また、図7に示すように、カード幅W2より小さな幅W3を有するスクリュードライバのような金属製の磁性体からなる棒状の異物51が挿入口1bに挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、異物51を検出せずにOFF信号を制御部11に出力する。また、磁性体検出センサ4が、挿入口1b近傍の磁界の変化から磁性体である金属製の異物51を検出して、ICカード2挿入時と同様の所定値の電圧を制御部11に出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出せず(図8のステップS1:NO)、磁性体検出センサ4が磁性体を検出したので(ステップS3:YES)、異物が挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS4)。このように判断すると、制御部11は、その異物をカードとして取り扱うことなく、処理を終了する。
【0030】
またさらに、図7の異物51が挿入口1bからカード幅検出センサ3と磁性体検出センサ4の間や、磁性体検出センサ4のR方向側に挿入された場合は、カード幅検出センサ3が異物51を検出せずにOFF信号を出力し、磁性体検出センサ4が異物51を検出せずに磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を出力する。
これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出せず(ステップS1:NO)、磁性体検出センサ4が磁性体を検出していないので(ステップS3:NO)、挿入口1bには何も挿入されていないと判断する。そして、制御部11は、ステップS1に移行し、カード幅検出センサ3または磁性体検出センサ4から新たな出力があるのを待つ。
【0031】
上述したように第1実施形態では、挿入口1bに挿入された物体の幅をカード幅検出センサ3で検出するのに加えて、その物体が所定の位置に磁性体を備えているか否かを磁性体検出センサ4で検出する。このため、カード幅W2を有し、所定の位置にIC接点2aを備えた正規のICカード2が挿入された場合は、それをICカードであると判別することができる。また、カード幅W2を有しているがX位置(図2)を通るように磁性体を備えていない異物50や、カード幅W2を有していない異物51が挿入された場合は、それらを異物であると判別することができる。そして、ICカードであると判別した場合にのみ、挿入された物体(ICカード2)をカードとして取り扱うので、異物50、51をカードとして取り扱わなくなる。
【0032】
また、ICカードが挿入されたと判別された場合にのみ、シャッタ5を開くことで、異物50、51が挿入口1bに挿入されても、ICカードであると判別されず、シャッタ5が開かれないので、異物50、51が本体内部1aに進入することはなく、シャッタ5の近傍やこれより本体内部1a側の通路1cで異物50、51が詰まったり、本体内部1aのローラ6a、6bやIC接点8等のような部品が異物50、51によって損傷したりするのを防止することができる。さらに、金属製の異物51に対して情報を読み取ろうとしてIC接点8を接触させて通電すると、IC接点8が短絡して、IC接点8や回路からなる通信部13が電気的に破損してしまう。然るに、上述したようにICカードが挿入されたと判別された場合にのみ、情報の読み取り処理を行うことで、異物51が挿入口1bに挿入されても、ICカードであると判別されず、その異物51に対して情報の読み取り処理が行われないので、IC接点8や通信部13が電気的に破損するのを防止することができる。
【0033】
図9〜図14は、本発明の第2実施形態を示す図である。なお、図9〜図13では、前述の図1〜図7と同一部分には同一符号を付してあり、図14では、図8と同一処理については同一符号を付してある。
【0034】
本実施形態に係るICカードリーダ101には、図11のブロック図に示すように第1磁性体検出センサ41と第2磁性体検出センサ42とが設けられている。これらは、前述した磁性体検出センサ4(例えば、図4)と同様にホール素子と磁石とからそれぞれ構成されている。第1磁性体検出センサ41は、図10に示すように挿入口1b近傍の通路1cのU方向側で、カード2のIC接点2aが通る位置X(図9に図示)に配置されている。第2磁性体検出センサ42は、図10に示すように挿入口1b近傍の通路1cのU方向側で、カード2のIC接点2aが通る位置Xとは異なる位置Y、つまりIC接点2aが通らない位置Yに配置されている。これらのセンサ41、42は、シャッタ5よりも挿入口1b側で磁石によって発生させている磁界の変化に基づき、挿入口1bに金属等の磁性体が挿入されたか否かをそれぞれ検出する。例えば、IC接点2aのような金属の磁性体が近づくと、磁石の磁界が変化するので、ホール素子がこの変化を検知して所定値の電圧を制御部11に出力する。また、磁性体が近づかなければ、磁石の磁界が殆ど変化しないので、ホール素子が上記の磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を制御部11に出力する。なお、第1磁性体検出センサ41は、カード2のIC接点2aを検出するために、IC接点2aと対向する通路1cのU方向側に設けるのが好ましいが、第2磁性体検出センサ42は、通路1cのU方向側ではなく、例えば通路1cのD方向側に設けてもよい。上記の第1磁性体検出センサ41は、本発明における第1の磁性体検出手段の一実施形態を構成し、上記の第2磁性体検出センサ42は、本発明における第2の磁性体検出手段の一実施形態を構成する。
【0035】
図14は、上記ICカードリーダ101の動作手順を示すフローチャートである。なお、本手順を説明するにあたり、図12および図13と、前述の図6および図7を適宜参照する。図12に示すように、ICカード2が挿入口1bに挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、カード2のL方向側の端部2bを検出して、OFF状態からON状態への切り替わり信号を制御部11に出力する。また、第1磁性体検出センサ41が、挿入口1b近傍の磁界の変化からカード2のIC接点2aを検出して、所定値の電圧を制御部11に出力する。さらに、第2磁性体検出センサ42が、挿入口1b近傍の磁界が殆ど変化しないため磁性体を検出せず、磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を制御部11に出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出し(図14のステップS1:YES)、第1磁性体検出センサ41が磁性体を検出し(ステップS2a:YES)、第2磁性体検出センサ42が磁性体を検出していないので(ステップS2b:NO)、ICカードが挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS5)。このように判断すると、制御部11は、挿入されたICカード2を取り扱うために、図8で説明したのと同様にステップS6〜ステップS13の処理を実行し、実行後にICカード2に対する処理を終了する。
【0036】
一方、図13に示すように、カード2と略同じ幅W2’を有する金属製の磁性体からなるヘラのような板状の異物52が挿入口1bに挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、異物52のL方向側の端部52aを検出して、OFF状態からON状態への切り替わり信号を制御部11に出力する。また、第1磁性体検出センサ41と第2磁性体検出センサ42とが、挿入口1b近傍の磁界の変化から磁性体である金属製の異物52を検出して、所定値の電圧を制御部11にそれぞれ出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出し(図14のステップS1:YES)、第1磁性体検出センサ41が磁性体を検出し(ステップS2a:YES)、第2磁性体検出センサ42も磁性体を検出したので(ステップS2b:YES)、異物が挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS4)。そしてこのように判断すると、制御部11は、挿入された異物52をカードとして取り扱うことなく、処理を終了する。
【0037】
また、図6に示したように、カード2と同じ幅W2を有しているがIC接点2aのような磁性体のない合成樹脂製の板状の異物50が挿入口1bに挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、異物50のL方向側の端部50aを検出して、OFF状態からON状態への切り替わり信号を制御部11に出力する。また、第1磁性体検出センサ41と第2磁性体検出センサ42とが、挿入口1b近傍の磁界が殆ど変化しないため異物50を検出せず、磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を制御部11にそれぞれ出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出し(図14のステップS1:YES)、第1磁性体検出センサ41が磁性体を検出していないので(ステップS2a:NO)、異物が挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS4)。そしてこのように判断すると、制御部11は、挿入された異物50をカードとして取り扱うことなく、処理を終了する。
【0038】
また、図7に示したように、カード幅W2より小さな幅W3を有する金属製の棒状の異物51が挿入口1bから第1磁性体検出センサ41の下方に挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、異物51を検出せずにOFF信号を制御部11に出力する。また、第1磁性体検出センサ41が、挿入口1b近傍の磁界の変化から磁性体である金属製の異物51を検出して、所定値の電圧を制御部11に出力する。さらに、第2磁性体検出センサ42が、挿入口1b近傍の磁界が殆ど変化しないため異物51を検出せず、磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を制御部11に出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出せず(図14のステップS1:NO)、第1磁性体検出センサ41が磁性体を検出したので(ステップS2c:YES)、異物が挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS4)。そしてこのように判断すると、制御部11は、挿入された異物51をカードとして取り扱うことなく、処理を終了する。
【0039】
また、図7の異物51が挿入口1bから第2磁性体検出センサ42の下方に挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、異物51を検出せずにOFF信号を制御部11に出力する。また、第1磁性体検出センサ41が、挿入口1b近傍の磁界が殆ど変化しないため異物51を検出せず、磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を制御部11に出力する。さらに、第2磁性体検出センサ42が、挿入口1b近傍の磁界の変化から異物51を検出して、所定値の電圧を制御部11に出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出せず(図14のステップS1:NO)、第1磁性体検出センサ41が磁性体を検出せず(ステップS2c:NO)、第2磁性体検出センサ42が磁性体を検出したので(ステップS2d:YES)、異物が挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS4)。そしてこのように判断すると、制御部11は、挿入された異物51をカードとして取り扱うことなく、処理を終了する。
【0040】
またさらに、図7の異物51が挿入口1bからカード幅検出センサ3と第2磁性体検出センサ42の間や、第2磁性体検出センサ42と第1磁性体検出センサ41の間や、第1磁性体検出センサ41のR方向側に挿入された場合は、カード幅検出センサ3が異物51を検出せずにOFF信号を出力する。また、第1磁性体検出センサ41と第2磁性体検出センサ42とが異物51を検出せずに磁性体接近時とは異なる所定値の電圧をそれぞれ出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出せず(ステップS1:NO)、第1磁性体検出センサ41が磁性体を検出せず(ステップS2c:NO)、第2磁性体検出センサ42も磁性体を検出していないので(ステップS2d:NO)、挿入口1bには何も挿入されていないと判断する。そして、制御部11は、ステップS1に移行し、上記3つのセンサ3、41、42から新たな出力があるのを待つ。
【0041】
上述したように第2実施形態では、挿入口1bに挿入された物体の幅をカード幅検出センサ3で検出するのに加えて、その物体が所定の位置に磁性体を備えているか否かを第1磁性体検出センサ41で検出し、さらに、その物体が所定の位置とは異なる位置に磁性体を備えているか否かを第2磁性体検出センサ42で検出する。このため、カード幅W2を有し、所定の位置にIC接点2aを備え、Y位置(図9)を通るように磁性体を備えていない正規のICカード2が挿入された場合は、それをICカードであると判別することができる。また、カード2と略同幅W2’を有しているがY位置を通るように磁性体を備えている異物52や、カード幅W2を有しているがX位置(図9)を通るように磁性体を備えていない異物50や、カード幅W2を有していない異物51が挿入された場合は、それらを異物であると判別することができる。そして、ICカードであると判別した場合にのみ、挿入された物体(ICカード2)をカードとして取り扱うので、異物50、51、52をカードとして取り扱わなくなる。
【0042】
図15〜図17は、本発明の第3実施形態を示す図である。なお、図15および図16では、前述の図5〜図7および図12、図13と同一部分には同一符号を付してあり、図17では、図8および図14と同一処理については同一符号を付してある。
【0043】
本実施形態に係るICカードリーダ102には、図15および図16に示すように、第2実施形態で説明した第2磁性体検出センサ42のみが設けられていて、第1磁性体検出センサ41は設けられていない。このため、第2磁性体検出センサ42が、シャッタ5よりも挿入口1b側で磁石によって発生させている磁界の変化に基づき、挿入口1bに金属等の磁性体が挿入されたか否かを検出する。
このような第2磁性体検出センサ42は、本発明における磁性体検出手段の一実施形態を構成する。
【0044】
図17は、上記ICカードリーダ102の動作手順を示すフローチャートである。なお、本手順を説明するにあたり、図15および図16と、前述の図7を適宜参照する。図15に示すように、ICカード2が挿入口1bに挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、カード2のL方向側の端部2bを検出して、OFF状態からON状態への切り替わり信号を制御部11に出力する。また、第2磁性体検出センサ42が、挿入口1b近傍の磁界が殆ど変化しないため磁性体を検出せず、磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を制御部11に出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出し(図17のステップS1:YES)、第2磁性体検出センサ42が磁性体を検出していないので(ステップS3a:NO)、ICカードが挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS5)。このように判断すると、制御部11は、挿入されたICカード2を取り扱うために、図8で説明したのと同様にステップS6〜ステップS13の処理を実行し、実行後にICカード2に対する処理を終了する。
【0045】
一方、図16に示すように、カード2と略同じ幅W2’を有する金属製のヘラのような板状の異物52が挿入口1bに挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、異物52のL方向側の端部52aを検出して、OFF状態からON状態への切り替わり信号を制御部11に出力する。また、第2磁性体検出センサ42が、挿入口1b近傍の磁界の変化から磁性体である金属製の異物52を検出して、所定値の電圧を制御部11にそれぞれ出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出し(図17のステップS1:YES)、第2磁性体検出センサ42が磁性体を検出したので(ステップS3a:YES)、異物が挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS4)。そしてこのように判断すると、制御部11は、挿入された異物52をカードとして取り扱うことなく、処理を終了する。
【0046】
また、図7に示した、カード幅W2より小さな幅W3を有する金属製の棒状の異物51が挿入口1bから第2磁性体検出センサ42の下方に挿入された場合は、カード幅検出センサ3が、異物51を検出せずにOFF信号を制御部11に出力する。また、第2磁性体検出センサ42が、挿入口1b近傍の磁界の変化から磁性体である金属製の異物51を検出して、所定値の電圧を制御部11にそれぞれ出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出せず(図17のステップS1:NO)、第2磁性体検出センサ42が磁性体を検出したので(ステップS3b:YES)、異物が挿入口1bに挿入されたと判断する(ステップS4)。そしてこのように判断すると、制御部11は、挿入された異物51をカードとして取り扱うことなく、処理を終了する。
【0047】
またさらに、図7の異物51が挿入口1bからカード幅検出センサ3と第2磁性体検出センサ42の間や、第2磁性体検出センサ42のR方向側に挿入された場合は、カード幅検出センサ3が異物51を検出せずにOFF信号を出力する。
また、第2磁性体検出センサ42が異物51を検出せずに磁性体接近時とは異なる所定値の電圧を出力する。これらにより、制御部11は、カード幅検出センサ3がカード幅W2の物体を検出せず(ステップS1:NO)、第2磁性体検出センサ42が磁性体を検出していないので(ステップS3b:NO)、挿入口1bには何も挿入されていないと判断する。そして、制御部11は、ステップS1に移行し、上記2つのセンサ3、42から新たな出力があるのを待つ。
【0048】
上述したように第3実施形態では、挿入口1bに挿入された物体の幅をカード幅検出センサ3で検出するのに加えて、その物体が所定の位置とは異なる位置に磁性体を備えているか否かを第2磁性体検出センサ42で検出する。このため、カード幅W2を有し、Y位置(図9)を通るように磁性体を備えていない正規のICカード2が挿入された場合は、それをICカードであると判別することができる。また、カード2と略同じ幅W2’を有しているがY位置を通るように磁性体を備えている異物52や、カード幅W2を有していない異物51がY位置を通るように挿入された場合は、それらを異物であると判別することができる。そして、ICカードであると判別した場合にのみ、挿入された物体(ICカード2)をカードとして取り扱うので、異物51、52をカードとして取り扱わなくなる。
【0049】
以上述べた実施形態においては、ICカード2のIC接点2aを磁性体として検出する位置Xに、磁性体検出センサ4または第1磁性体検出センサ41を設け、IC接点2aを磁性体として検出しない位置Yに、第2磁性体検出センサ42を設けた場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。
これ以外に、例えば、ICカード2のICを磁性体として検出する位置に、磁性体検出センサ4または第1磁性体検出センサ41を設け、ICを磁性体として検出しない位置に、第2磁性体検出センサ42を設けるようにしてもよい。(ICは、銅パターンやアルミパターン等の磁性体を含んで構成されている。)また、シャッタ5より挿入口1b側の通路1c全体にわたって金属等の磁性体を検出できるように、磁性体検出センサを設けるようにしてもよい。
【0050】
また、以上の実施形態では、本発明における幅検出手段として、1つのフォトインタラプタから構成されるカード幅検出センサ3を用いた場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、カード幅検出センサとして、例えば2つ(3つ以上でもよい)のフォトインタラプタを用いて、通路1cのL方向側とR方向側の両側面に配置するようにしてもよい。また、フォトインタラプタに代えて、マイクロスイッチ等を用いてもよい。つまり、本発明の幅検出手段は、挿入口1bに挿入された物体がカード幅W2のような所定の幅を有しているか否かを検出することができるものであればよい。
【0051】
また、以上の実施形態では、本発明における磁性体検出手段として、ホール素子と磁石とから構成される磁性体検出センサ4、41、42を用いた場合を例に挙げているが、本発明はこれのみに限定するものではない。これ以外に、磁性体検出センサとして、例えば、磁気抵抗素子と磁石や、サーチコイル、磁気インダクタンス素子、磁気インピーダンス素子等を用いてもよい。また、磁石として電磁石を用いていもよい。つまり、本発明の磁性体検出手段は、挿入口1b近傍の磁界の変化を電圧値や抵抗値等として出力することができるものであればよい。
この磁界の変化には、周波数の変化、位相の変化、振幅の変化がある。また、各磁性体検出センサ4、41、42を1つだけでなく、2つ以上設けるようにしてもよい。このようにすると、挿入口1bに挿入された磁性体を一層精度よく検出することができる。
【0052】
また、以上の実施形態では、カード2の進入を規制するシャッタ5と、カード2を搬送する搬送手段としてのモータ15およびローラ6aを設けたICカードリーダ100〜102に、本発明を適用した場合を例に挙げているが、本発明はこれ以外にも、シャッタや搬送手段を設けていないカード情報読み取り装置に適用することができる。
【0053】
さらに、以上の実施形態では、所定の位置にIC接点2aを備えた接触式のICカード2に対して情報の読み取りを行うICカードリーダ100〜102に、本発明を適用した場合を例に挙げているが、本発明はこれ以外にも、所定の位置に磁気ストライプを備えた磁気カードに対して情報の読み取りを行う磁気カードリーダや、所定の位置にICやコイルを備えた非接触式のICカードに対して情報の読み取りを行うICカードリーダに適用することができる。これらの場合、磁気ストライプや、ICまたはコイルを磁性体として検出する位置に磁性体検出センサ4または第1磁性体検出センサ41を設け、それらを磁性体として検出しない位置に第2磁性体検出センサ42を設けるようにすればよい。また、本発明は、IC接点、磁気ストライプ、非接触通信用のコイルのうち、いずれか2つ以上を組み合わせて備えるハイブリッドカードに対して情報の読み取りを行うハイブリッドカード用のカードリーダにも適用することができる。つまり、本発明は、各種のカードに対して情報の読み取りを行うカード情報読み取り装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0054】
1a 本体内部
1b 挿入口
1c カード通路
2 ICカード
2a カード側IC接点
3 カード幅検出センサ
4 磁性体検出センサ
5 シャッタ
8 カードリーダ側IC接点
11 制御部
13 ICカード用通信部
41 第1磁性体検出センサ
42 第2磁性体検出センサ
100 ICカードリーダ
101 ICカードリーダ
102 ICカードリーダ
W2 カード幅
X カード側IC接点がカード通路を通る位置
Y カード側IC接点がカード通路を通る位置とは異なる位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入される挿入口と、本体内部に設けられカードに記録された情報を読み取る読み取り手段と、前記挿入口から本体内部に通じるカード通路とを備えたカード情報読み取り装置において、
前記挿入口に所定の幅の物体が挿入されたか否かを検出する幅検出手段と、
磁界を発生させるとともに、前記挿入口近傍の当該磁界の変化に基づいて前記挿入口に磁性体が挿入されたか否かを検出する磁性体検出手段と、
前記幅検出手段の検出結果と前記磁性体検出手段の検出結果とに基づいて所定のカードが挿入されたか否かを判別する判別手段と、
を備えたことを特徴とするカード情報読み取り装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード情報読み取り装置において、
前記カード通路に設けられカードが本体内部に進入することを規制するシャッタと、
前記シャッタの開閉を制御する開閉制御手段と、を備え、
前記幅検出手段は、前記シャッタよりも挿入口側で所定の幅の物体が挿入されたか否かを検出し、
前記磁性体検出手段は、前記シャッタよりも挿入口側で磁性体が挿入されたか否かを検出し、
前記開閉制御手段は、前記判別手段で前記判別が行われるまでは、前記シャッタを閉じておき、前記判別手段でカードが挿入されたと判別された場合にのみ、前記シャッタを開くことを特徴とするカード情報読み取り装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のカード情報読み取り装置において、
前記読み取り手段は、前記判別手段でカードが挿入されたと判別された場合にのみ、情報の読み取りを行うことを特徴とするカード情報読み取り装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のカード情報読み取り装置において、
前記磁性体検出手段は、カードの所定の位置に備わる磁性体が前記カード通路を通る位置で磁性体が挿入されたか否かを検出し、
前記判別手段は、前記幅検出手段による所定の幅の物体の挿入検出があり、かつ前記磁性体検出手段による磁性体の挿入検出がある場合に、カードが挿入されたと判別し、前記幅検出手段による所定の幅の物体の挿入検出と前記磁性体検出手段による磁性体の挿入検出のいずれかがない場合に、異物が挿入されたと判別することを特徴とするカード情報読み取り装置。
【請求項5】
カードが挿入される挿入口と、前記挿入口から本体内部に通じるカード通路と、前記カード通路に設けられた開閉可能なシャッタと、前記シャッタよりも前記挿入口側に設けられ磁界の変化に基づいて磁性体を検出するサーチコイルと、前記本体内部に設けられたIC接点と、制御部とを有するICカードリーダであって、
前記制御部は、前記サーチコイルによって磁性体が検出されたときに前記挿入口にICカードが挿入されたと判断して前記シャッタを開け、前記カード通路を介して前記ICカードを前記本体内部に搬送するとともに前記IC接点によって前記ICカードの情報を読み取ることを特徴とするICカードリーダ。
【請求項6】
請求項5に記載のICカードリーダにおいて、
前記サーチコイルをそれぞれ異なる位置に2つ設けたことを特徴とするICカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−9617(P2010−9617A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229487(P2009−229487)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【分割の表示】特願2003−207227(P2003−207227)の分割
【原出願日】平成15年8月11日(2003.8.11)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】