説明

カード発行装置及びその制御方法

【目的】 無人カード発行装置において、申込者が、申込書を、悪意または不注意によって改竄する可能性を減少させること。
【構成】 無人カード発行装置において、スキャナ部にイメージ転送機能を持たせることによって、別個にファクリミリを設ける必要がなくなるので、占有スペースが節約されるのみならず、信用確認またはカード発行申し込みのために書類を配置する位置が一ヶ所になるので、申込者が戸惑う可能性が減少する。さらに、そのスキャナ部は、申込書を成功裡にスキャンされイメージが作成されたことに応答して、完全に書類を引き込む構成となされ、これによって、申込書が、悪意または不注意によって改竄する可能性が実質的に解消される。本発明の更なる特徴によれば、開閉制御可能なシャッタが、用紙送り方向の途中に配置され、このシャッタは、免許証などの信用確認の書類がスキャナ部に配置されているときは、信用確認の書類が誤って奥に押し込まれないように、閉じられている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カードの申し込み及び発行を行うための装置及びその制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、会員カード、クレジット・カードなどのカードの発行は、先ず、申込者が所定の用紙に住所、氏名、取引銀行の口座番号、パスワードなどを記入してそれを郵便でカードの発行会社に送り、カードの発行会社では、申込書に記載された項目に従い信用調査を行い、信用が確認されると、カードを作成してそれを書留郵便で申込者に送る、という手続きがとられていた。しかし、申込書及びカードは、郵便で発送されるので、カードの発行には少なくとも1〜2週間が必要であり、申込書に記載ミスがあった場合には、さらに1〜2週間を要するなど、即時にカードを利用したいという申込者の要望には到底応えられるものではなかった。
【0003】ところが、最近になって、特開平5−233087号公報に示されるように、無人カード発行装置が使用されるようになってきた。これによれば、カードを申請する申込者が、無人カード発行装置を介して、センターと通信し、信用が確認された段階でその装置によってカードを発行することにより、即時にカードを入手することが可能である。
【0004】また、このような無人カード発行装置において、イメージ・データと、ファクシミリの組み合わせによって、クレジット・カードの発行手続きをさらに省力化且つ迅速化するための構成も提案されている。この装置は、イメージ・スキャナ部と、ファクシミリ部を備えており、先ず申込者の信用をチェックするために、装置は、申込者に、免許証、パスポートまたは健康保険証などの身元を示すものをイメージ・スキャナ部に配置するようプロンプトする。これに従い申込者が身元を示すものをイメージ・スキャナ部に配置するすると、装置は、イメージ・スキャナによってそれを読取り、通信回線を介してそのイメージ・データをセンターに送る。
【0005】センターでは、そのイメージ・データに基づき、係員が金融機関などの様々な信用調査機関に照会を行う。そして、クレジット・カードを発行するに足る信用があると係員が判断すると、係員は、申し込みのあった端末に対して、「信用あり」を示す通信を行う。
【0006】これに応答して、端末は、申込者に対して、備え付けの用紙に、必要事項を記入して、それをファクシミリで送信するようにプロンプトする。これに応答して、申込者が、その用紙に必要事項を記入して、それをファクシミリ部に配置し、送信処理を行うと、記入された申込書のイメージがセンターに到着し、センターでは係員が申込書のイメージをチェックして記入漏れがないかどうかを確認する。
【0007】そうして、記入漏れがないことが確認されると、係員によって、書式に問題がないことを示す信号が端末に送られ、これによって、端末は、契約を完了するため、センターにファクシミリで送信した申込書を、所定の投入口に投入するようにプロンプトする。
【0008】こうして契約書が投入されると、契約は完了され、カードが直ちに発行されるとともに、申込書の控え(申込書のコピー)が出力され、申込者は、記入された申込書の正本は所定の格納箇所に入れ、発行されたカードと、申込書の控えとを持ち帰ることになる。
【0009】しかし、このような装置においては、申し込みを行うために書類を配置する箇所が、スキャナ部とファクシミリ部の2ヶ所であるため、端末の操作に不慣れな者は、どちらに書類を配置してよいのか戸惑うことになる。
【0010】また、ファクシミリ部を介して申込書のイメージがセンターに送られた後、最終的に契約を完了する迄の間にも、依然として記入済の申込書は申込者の手許にあるため、この時点で、記入済の申込書は、申込者によって、悪意または不注意によって改竄される可能性がある。すると、センターの係員がチェックした申込書のイメージと、結果の申込書の内容の不一致が生じ、申込書の内容の信憑性が怪しくなる可能性がある。
【0011】さらに、ファクシミリ部とスキャナ部とが個別に設けられていると、その各々に占有領域が必要であるため装置が大型になるとともに、部品点数も多くなって、コストが嵩むという欠点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、比較的小さいスペースしか占有しない書類認証装置及びそのための操作制御方法を提供することにある。
【0013】この発明の他の目的は、カード発行装置において、申込者が、申込書を、悪意または不注意によって改竄する可能性を減少させることにある。
【0014】この発明の更に他の目的は、カード発行装置のスキャナ部において、配置される書類の大きさに応じて、スキャナ部の開口の大きさを調整する機構を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的は、イメージ転送機能をもつスキャナ部を設けるとともに、スキャナ部に、用紙引き込み機構を設けることによって達成される。
【0016】すなわち、スキャナ部にイメージ転送機能を持たせることによって、別個にファクリミリを設ける必要がなくなるので、占有スペースが節約されるのみならず、信用確認またはカード発行申し込みのために書類を配置する位置が一ヶ所になるので、申込者が戸惑う可能性が減少する。
【0017】さらに、そのスキャナ部は、申込書が成功裡にスキャンされイメージが作成されたことに応答して、完全に書類を引き込む構成となされ、これによって、申込書が、悪意または不注意によって改竄する可能性が実質的に解消される。
【0018】しかし、スキャナ部が完全に書類を引き込む構成となっていることは、信用確認の書類ではあって申込者が常に大事に保管すべきものである免許証、パスポートまたは健康保険証などの書類が誤って申込書の挿入口に引き込まれる可能性も残す。
【0019】そこで、本発明の特徴によれば、好適には電磁的に駆動されるシャッタが、用紙送り方向の途中に配置され、このシャッタは、信用確認の書類がスキャナ部に配置されているときは、信用確認の書類が誤って奥に押し込まれないように、閉じられている。
【0020】一方、申込書がスキャナ部に配置される段階では、シャッタは開かれ、申込書は、ローラなどの手段によってスキャンされながら引き込まれる。そうして、ある位置よりも奥に申込書が引き込まれたことに応答して、スキャンされた申込書のイメージは、センターに伝送される。
【0021】本発明の好適な実施例によれば、スキャナ部には、開閉可能な扉が配置され、これは、常には書類を覆って、周囲の人に書類が見られないようにするためのカバーの役目を果たすとともに、書類の搬送中に途中でカバーが開かれたときは、書類の引き込みを途中で中断するようにする。これによって、書類の記入の漏れなどに気付いたとき、申込者が扉を開いて書類を抜き出し、書類の記入漏れを訂正して再びファクシミリ兼スキャナ部に書類を配置する余地を与えるようにする。
【0022】
【実施例】
A.本発明の装置の外観図1を参照すると、本発明に係るカード発行装置1002の外観が示されている。
【0023】装置1002の前面には、操作者が、カードの申込用紙に記入したり、記入した申込用紙をスキャナに挿入したりするための水平な作業テーブル1004が設けられている。
【0024】また、装置1002の前面には、内蔵されているレーザービーム・ブリンタによって印刷された申込書のブランク・フォームを送出するための開口1006と、操作者のためのメッセージを表示し、また、操作者がその所定箇所を指で接触することによって情報を入力するためのタッチ・ディスプレイ1008と、リモート・センターの係員が操作者を見るためのカメラ1010と、リモート・センターの係員からの音声を出力するためのスピーカ(図示しない)と、操作者の音声をリモート・センターの係員に伝えるためのマイク(図示しない)とが配置されている。タッチ・ディスプレイ1008には必要に応じて、リモート・センターの係員の映像が表示され、以って、タッチ・ティスプレイ1008と、カメラ1010と、マイク及びスピーカは、リモート・センターの係員と操作者の間で、画面及び音声を使用して対話するためのテレビ通信システムを構成する。
【0025】装置1002の前面にはさらに、この装置によって作成されたカードを送出するための開口1012が設けられている。
【0026】さらに、水平な作業テーブル1004の右方には、つまみ1014aで持ち上げることによって上方に開くことが可能な扉1014が設けられている。この扉1014の下には、スキャナ3010(図3参照)が設置され、以って、扉1014の下に配置された、免許証、パスポートまたは健康保険証などの身元を示すものや、申込書などの書類のイメージは、スキャナによって読み取られ、通信回線を介してリモート・センターに送られる。扉1014の付近には、扉1014の開閉状態を感知するための扉センサ2030が配置されている。扉1014及びスキャナに関するより詳細な構成については、図3を参照して後でより詳細に説明する。
【0027】B.制御装置の構成図2を参照すると、図1の装置1002の電気的な制御装置のブロック図が示されている。特に図2において、装置1002の制御装置は、参照番号2000で、リモート・センターは、参照番号2500で示されている。
【0028】制御装置2000において、CPU2002は、演算及び入出力制御を行う通常のマイクロプロセッサ、ROM2004は、イニシャル・プログラム・ローダなどを含む読取り専用メモリ、RAM2006は、CPU2002の演算用の作業領域やプログラムのロード領域を与えるランダム・アクセス・メモリ、HDD2008は、オペレーティング・システムや、本発明に係る制御を行うためのプログラムや、センターとの間の通信制御プログラムなどを格納したハードディスクである。HDD2008にはまた、待ち時間にタッチ・ディスプレイ1008に表示するための動画を納めたファイルや、必要に応じてマイクを介して出力するための合成音声を作成するための音声合成プログラムや、音声メッセージを含むファイルも格納されている。
【0029】また、CPU2002には、個別の接続用カードを備えたI/Oポート2010を介して、スピーカ2012と、マイク2014と、カメラ1010と、カード発行機2016と、タッチ・ディスプレイ制御装置2018と、レーザビーム・プリンタ2022と、スキャナ2024と、紙送り制御機構2026と、後述するシャッタ3006を開閉するためのソレノイド制御機構2028と、扉の開閉を検出する扉センサ2030と、申込書の挿入を検出する用紙センサ2032が接続されている。
【0030】さらに、装置1002の制御装置は、通信装置2030を備え、これによりISDNなどの通信回線を介して、カード発行会社内にあるリモート・センターに接続されている。
【0031】C.スキャナ、シャッタ及び紙送り機構次に、図3を参照して、装置1002のスキャナ、シャッタ及び紙送り機構について説明する。
【0032】図3に示すように、扉1014は、軸1015を中心に回動可能に取り付けられており、常にはその自重によってスキャナ3010に被さる位置にあるが、その位置にあっても、扉1014とスキャナ3010の間を書類が通過可能であるように、スキャナ3010との間にはわずかな隙間を保つかまたは、摩擦係数の小さい滑らかな材料で構成されている。扉1014にはさらに、その開放状態を検知する扉センサ2030が関連付けられている。扉センサ2030は、光センサによって構成され、CPU2002がその状態を電気的に知ることができるように、I/Oポート2010に接続されている。尚、扉センサ2030は、マイクロスイッチなどの機械的な感知手段によっても構成することができる。
【0033】また、扉1014下方のテーブル1004の内部には、スキャナ3010が配置されている。このスキャナ3010は、扉1014の下方のテーブル1004上に配置された対象物に対して光ビームを走査し、その反射光を検出することによって画像イメージを作成する通常の構成のものである。このため、スキャナ3010の上面は、テーブル1004の表面と同一平面上にある透明ガラスで構成されている。扉1014よりも図3における左方の装置1002の内部には、ソレノイド3002によって上下方向に駆動されるシャッタ3006が配置されている。好適には、シャッタ3006から図3における右側(手前側)のスキャナ走査面の面積は、ほぼパスポートを開いた程度の広さであり、これによって、シャッタ3006が閉じられた状態では、シャッタ3006は、スキャナ3010上に配置する免許証、パスポートなどの身元を証明する書類を位置決めするためのガイド部材として働く。
【0034】さらに、シャッタ3006よりも紙送り方向後方には、モータによって駆動され、書類Sの上面に摩擦を以って接触し、書類Sを図3の左方に送るためのローラ3004が設置されている。シャッタ3006は、下位置にあるときはスキャナ3010の表面と密接し、以って、書類をローラ3004の側へ移動させないようにブロックする働きを行う。また、ローラ3004付近には、書類の存在を検出する用紙センサ2032が設けられ、これは、書類がシャッタ3006よりも左位置(図3)に配置されたことを検出するために使用される。用紙センサ2032は、光センサで構成され、申込書が挿入されて用紙センサ2032上に被さると、常には用紙センサ2032に到達する光が遮られるようになっている。ローラ3004よりも用紙送り方向の上流には、物理的に堅牢で通常はロックされている収納箱(図示しない)が設置され、ローラ3004によって送られた申込書は、カードの申込者がアクセスできないようにこの収納箱に納められる。そして、収納された申込書は、定期的に巡回するセンターの係員によって回収され、最終的には、センターの金庫に保管されることになる。
【0035】D.カード発行処理次に、図4及び図5のフローチャートを参照して、図1の装置1002を利用したカード発行処理について説明する。ここでいうカードとは、ある団体(例えばメンバーズ・クラブ)に所属し、あるいはある会社(例えば、金融機関)を利用する許可を有することを示すために、ある一定の資格または条件を満たす個人に対して発行されるものである。
【0036】尚、図4及び図5のフローチャートにおいて、二重線で囲ったブロックは、コンピュータではなく、センターの係員または、装置1002の操作者(すなわち、カード発行の申込者)によって行われる人的な処理をあらわしている。
【0037】図4に示す処理は、例えば操作者が、タッチ・ディスプレイ1008に表示されている「操作開始」(図示しない)というボタンを指で触ることによって開始される。すると、先ずステップ4002では、CPU2002が、ソレノイド制御機構2028を制御することによって、シャッタ3006を下位置へと移動させる。
【0038】続いて、ステップ4004では、CPU2002がタッチ・ディスプレイ制御回路2018を制御することによって、タッチ・ディスプレイ1008上に、免許証、パスポート、健康保険証などの身元を確認するための書類を、スキャナ、すなわち扉1004の下に配置するようにメッセージを表示する。このメッセージの元となるデータは、例えば、HDD2008に格納されており、必要に応じてCPU2002から呼び出される。
【0039】このメッセージに応答して、操作者は、つまみ1014aをもって扉1014を引き上げ、自分が持っている免許証、パスポート、健康保険証などの身元証明用の書類を、スキャナ3010(図3)の透明ガラス上に置く。このとき、シャッタ3006は閉じた状態にあるので、シャッタ3006に、免許証、パスポート、健康保険証の一辺を当てることにより、シャッタ3006を位置決め用のガイドとして利用することができる。また、シャッタ3006は、スキャナ3010上に置かれた身元証明用の書類が誤ってローラ3004の方へ入り込んでしまい回収できなくなることを防止するガード手段としても働く。
【0040】次に操作者は、扉1014を閉じて、タッチ・ディスプレイ1008上に表示されている「確認」のボタン(図示しない)を触る。すると、CPU2002が、スキャナ制御装置2024を介してスキャナ3010を駆動させ、以って、透明ガラス上に置かれた身元確認用書類のイメージが読み取られ、一旦、そのイメージ・データがRAM2006に格納される。この後、タッチ・ディスプレイ1008上に、身元確認用書類を、扉1014の下から取り出してもよい旨の表示がなされる。
【0041】ステップ4008では、CPU2002がタッチ・ディスプレイ制御回路2018を制御することによって、タッチ・ディスプレイ1008上に、氏名、年齢、性別、自宅電話番号、勤務先電話番号、生年月日などのさまざまな質問を順次表示し、これに応答して、操作者は、場合によっては複数の選択肢から1つの項目を選び、場合によっては、タッチ・ディスプレイ1008上に表示された擬似的なキーボードに触れることによって文字を入力する。
【0042】こうして、所定の質問事項に答えると、タッチ・ディスプレイ1008上には、入力済の内容を表示して確認を求める画面があらわれる。これに応答して、操作者がタッチ・ディスプレイ1008上に表示されている「確認」のボタン(図示しない)を触ると、先程スキャンされた身元確認用書類のイメージと、質問の回答の内容とが、通信回線を介してセンターに送信される。
【0043】ステップ4012では、ステップ4010で送信されてきた身元確認用書類のイメージ・データ及び回答事項に基づき、センター2500で、係員によって信用調査が行われる。尚、信用調査には少し時間がかかるので、好適にはCPU2002は、HDD2008から読み出した動画を、タッチ・ディスプレイ1010に表示するおくことによって、操作者の待ち時間の退屈を軽減するようにしてもよい。この間、センター2500の係員は、カメラ1010で操作者を眺めることによって、身元確認用書類のイメージ・データの本人の写真と操作者とを照合することもできる。
【0044】ステップ4012での信用調査の結果、ステップ4014では、センターの係員が、信用の可否を示す応答を、通信回線を介して装置1002に返す。
【0045】その結果が「不可」であるなら、処理が終了され、好適には、タッチ・ディスプレイ1008に、手続きを継続できない旨のメッセージが表される。
【0046】ステップ4014で装置1002に返された応答が「信用可」を示すものであるなら、処理は、図5に示すステップへと向かう。
【0047】図5の処理まで進んだということは、操作者に関して、カードを発行するに十分な信用が確認されたことを意味する。そこで、ステップ5002で、CPU2002は、HDD2008に格納されている所定の様式ファイルを呼び出して、レーザ・プリンタ2002に印刷させる。これによって印刷された申込書は、図1の開口1006から排出される。また、ステップ5004では、CPU2002が、ソレノイド制御機構2028を制御することによって、シャッタ3006を上位置へと移動させる。尚、図示しないが、ステップ5004では、タッチ・ディスプレイ1008上に、印刷された申込書に必要事項を記入することをプロンプトするメッセージが表示され、より好適には、申込書への記入方法も例示する画面が併せて示される。
【0048】ステップ5006では、テーブル1004上で、操作者が申込書に対して必要事項を記入する。この必要事項には、申込者の署名、及び住所氏名などが含まれる。
【0049】申込書に必要事項記入を記入すると、操作者は、扉1004を持ち上げ、記入済の申込書(図3では、記号Sで示されている)を、図3に示すように、開放状態のシャッタ3006の下を潜って、ローラ3004を過ぎ、用紙センサ2032の位置まで達するように、スキャナ3010上に配置する。すると、扉1004の扉センサ2030によって扉1004が一旦開かれたことが検出され、また、用紙センサ2032によって申込書がスキャナ3010上の所定の位置にセットされたことが検出されるので、ステップ5008での処理が肯定的になり、ステップ5010での判断に進む。
【0050】ステップ5010での判断が肯定的であると、すなわち、申込書がスキャナ3010にセットされた後で扉1004が閉じられたことが扉センサ2030によって検出されると、ステップ5012ではCPU2002の処理によって、スキャンが開始される。このとき、スキャンは、申込書を移動させるのではなく、申込書に照射される光ビームを申込書の表面に沿って移動させることにより行われるに留意されたい。これによって、申込書Sのイメージを読み取ってそのデータをRAM2006に格納する処理が行われる。
【0051】ステップ5014では、このようにして読み取られ、RAM2006に格納されたイメージの内容が、通信回線を介してセンター2500に送られる。
【0052】これに応答して、センターの係員は、ステップ5016で、送られてきた申込書のイメージから、記入漏れがあるかどうかをチェックし、ステップ5014で記入内容がこれでよいかどうかの判断を行う。そして、ステップ5014で記入漏れがないことが確認されると、処理は、ステップ5024へと進む。これは、実質的には、通信回線を介して、センター2500から、申込書記載事項のチェックがOKであることを示す信号を、装置1002側に送ることによって行われる。
【0053】すると、ステップ5024では、ステップ5012のスキャンの間に、途中で扉1014が開けられたかどうかの判断が、装置1002のシステム2000によってなされる。それは、例えば、スキャンの間に扉センサ2030の状態を監視し、もしその状態の変化が検出されるとRAM2006の所定のアドレス位置にフラグを立てることによって行われる。
【0054】もし装置1002のシステムによって、ステップ5012のスキャンの間に、途中で扉1014が開けられたと判断されると、処理は、ステップ5008に強制的に戻され、先程センター2500に送られた申込書のイメージは無効となる。このようにする理由は、スキャンの間に途中で扉1014が開けられたという事実は、スキャンされつつある申込書に、操作者が悪意で変更を加え得る可能性につながるからである。しかし、操作者は、悪意でなく、スキャン途中で申込書に対する書き間違いに気付いたときに、処理をステップ5008に戻して書き間違いを訂正するためにスキャン途中で扉1004を開くこともあり得る。
【0055】そのような場合、ステップ5008に戻ると、操作者は、一旦扉1014を開いて申込書を引き出す。すると、センサ2032が「用紙なし」を検出するので、ステップ5008での判断は肯定的にならず、処理はステップ5008に留まる。
【0056】次に操作者が再び扉1014を開いて申込書をセットすると、ステップ5008が肯定的になり、続いて扉1014を閉じるとステップ5010が肯定的となって、再びステップ5012でのスキャンが始まる。
【0057】ステップ5020で、スキャンの間に、途中で扉1014が開けられなかったことを装置1002のシステム2000が決定すると、装置1002は、通信回線を介してセンターに、そのことを伝える信号を伝送する。
【0058】センターの係員は、これに応答して、「申込書の取り込み」を指示する操作を行い、これによって、所定の信号が通信回線を介して装置1002のシステム2000に伝送される。すると、システム2000は、図3のローラ3004を時計方向(図3)に回転駆動する制御を行い、以って申込書はローラ3004により送り込まれて、物理的に堅牢な格納箱に収納される。
【0059】ステップ5024では、申込書の控え印刷が行われる。これは、実質的には、RAM2006に格納されている申込書のスキャン・イメージを、レーザー・ビーム・プリンタ2022によって印刷し、開口1006から排出する処理である。
【0060】ステップ5026では、カードが、開口1012から送出される。この実施例では、カード発行機2016は、それぞれ固有の番号を刻印された複数のカードを保持しておき、1枚ずつカードを開口1012から送出するだけである。このため、センター2500のホスト・コンピュータ(図示しない)には、発行されたカードと、ステップ4008で入力された個人データまたはステップ5012で読み取った申込書イメージから取得したデータとが対応付けて入力される。この後、操作者は、発行されたカードと、印刷出力された申込書の控え(コピー)を持ち帰ることになる。
【0061】一方、ステップ5018で、センターの係員が申込書の記入事項に不備があると判断すると、そのことを示す信号が装置1002のシステム2000に送られ、タッチ・ディスプレイ1008には、「記入不備」を通知するメッセージが表示される。
【0062】これに応答して、操作者は、ステップ5030で申込書を扉1014の下から抜き出し、ステップ5032で、申込書に対して必要な記載事項の変更または追加を行う。そして、ステップ5008から処理をやり直す。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれば、カード発行機において、スキャナ部にイメージ・ファイル転送機能を設けることによって別個のファクシミリを使用する必要をなくしたので、占有スペースが節約されるのみならず、信用確認またはカード発行申し込みのために書類を配置する位置が一ヶ所になるので、申込者が戸惑う可能性が減少する。
【0064】また、スキャナ部は、申込書をスキャンして伝送するために、完全に書類を引き込む構成となされ、これによって、申込書の正本が、悪意または不注意によって改竄する可能性が実質的に解消される。
【0065】さらに、開閉可能なシャッタをスキャナ部の引き込み経路に関連して配置することにより、免許証、パスポートまたは健康保険証などの身元を確認するための書類をスキャンするときはシャッタを閉じ、以って身元を確認するための書類の位置決めをやりやすくするとともに、スキャナ部で誤って身元を確認するための書類を引き込んでしまう可能性を減少させ、これによって、端末装置の使い勝手、及び安全性の大いなる向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るクレジット・カード発行装置の外観斜視図である。
【図2】 制御部のブロック図である。
【図3】 スキャナとシャッタの構成を示す図である。
【図4】 クレジット・カード発行処理のフローチャートを示す図である。
【図5】 クレジット・カード発行処理のフローチャートを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】(a) 書類を走査してそのイメージ・データを作成するためのスキャナ手段と、(b) 上記スキャナ手段を通過して格納位置まで書類を搬送する手段と、(c) 上記スキャナ手段と上記格納位置の間に配置され、上記スキャナ手段からの上記書類の搬送をブロックする第1の位置と、上記スキャナ手段からの上記格納位置への上記書類の搬送を許容する第2の位置との間で移動制御可能なシャッタ手段と、(d) 通信回線を介してリモート・センターへのデータ伝送を可能ならしめる手段と、(e) 上記シャッタ手段を上記第1の位置に移動させた状態で上記スキャナ手段を駆動し、上記スキャナ手段によって読み取られたイメージ・データを信用確認データとして上記通信回線を介して上記リモート・センターに伝送する手段と、(f) 上記リモート・センターから、上記信用確認データに基づき信用ありと判断された旨の通知が上記通信回線を介して伝送されたことに応答して、上記シャッタ手段を上記第2の位置に移動させた状態で上記スキャナ手段を駆動し、上記スキャナ手段によって読み取られたイメージ・データをカード申込みデータとして上記リモート・センターに伝送する手段と、(g) 上記リモート・センターから、上記カード申込みデータの内容が妥当であると判断された旨の通知が上記通信回線を介して伝送されたことに応答して、上記書類を搬送する手段によって上記スキャナ上に配置された書類を上記格納位置まで搬送するとともに、カード発行処理を行う手段とを具備する、カード発行装置。
【請求項2】上記スキャナ手段の少なくとも一部を覆う開閉可能な扉部材と、上記扉の開閉状態を検出するためのセンサ手段と、上記スキャナ手段のスキャン動作の間に上記扉部材が開放されたことが上記センサ手段によって感知されたこと応答して、上記手段(g)による書類の搬送制御、及び上記カード発行処理を禁止する手段をさらに有する、請求項1に記載のカード発行装置。
【請求項3】上記手段(e)によって上記スキャナ手段が駆動されるときに上記スキャナ手段にセットされている書類が、免許証、パスポートまたは健康保険証であり、上記手段(f)によって上記スキャナ手段が駆動されるときに上記スキャナ手段にセットされている書類が、カード申込書である、請求項1または請求項2に記載のカード発行装置。
【請求項4】プリンタと、該プリンタによって印刷すべきデータを記憶する手段とをさらに有し、上記申込書は、該プリンタによって印刷出力される、請求項3に記載のカード発行装置。
【請求項5】上記プリンタが、レーザー・ビーム・プリンタである、請求項4に記載のカード発行装置。
【請求項6】用紙が上記シャッタ手段からさらに上記格納位置の方へ挿入されたことを検出するためのセンサ手段をさらに有し、上記手段(f)は、該センサ手段が用紙が上記格納位置の方へ挿入されたことを検出し、且つ上記扉が閉じられていることが検出されたことに応答して処理を開始する、請求項2に記載のカード発行装置。
【請求項7】タッチ・ディスプレイと、該タッチ・ディスプレイに必要な指示及び質問事項を表示するための手段と、該タッチ・ディスプレイを介して入力されたデータを上記通信回線を介して送信する手段をさらに有する、請求項1に記載のカード発行装置。
【請求項8】上記カード発行装置の操作者を監視するためのカメラと、該カメラによって映された映像を、上記通信回線を介して送信する手段をさらに有する、請求項7に記載のカード発行装置。
【請求項9】上記カード発行装置の操作者からの音声を聞き取るためのマイクと、該マイクによって取得された音声信号を上記通信回線を介して送信する手段をさらに有する、請求項8に記載のカード発行装置。
【請求項10】書類を走査してそのイメージ・データを作成するためのスキャナ手段と、上記スキャナ手段を通過して格納位置まで書類を搬送する手段と、上記スキャナ手段と上記格納位置の間に配置され、上記スキャナ手段からの上記書類の搬送をブロックする第1の位置と、上記スキャナ手段から上記格納位置への上記書類の搬送を許容する第2の位置との間で移動制御可能なシャッタ手段と、データを通信回線を介してリモート・センターに送るための手段とを具備するカード発行装置をコンピュータ処理に基づき制御する方法であって、(a) 上記シャッタ手段を上記第1の位置に移動させた状態で上記スキャナ手段を駆動し、上記スキャナ手段によって読み取られたイメージ・データを信用確認データとして上記通信回線を介して上記リモート・センターに伝送する段階と、(b) 上記リモート・センターから、上記信用確認データに基づき信用ありと判断された旨の通知が通信回線を介して伝送されたことに応答して、上記シャッタ手段を上記第2の位置に移動させた状態で上記スキャナ手段を駆動し、上記スキャナ手段によって読み取られたイメージ・データをカード申込みデータとして上記リモート・センターに伝送する段階と、(c) 上記リモート・センターから、上記カード申込みデータの内容が妥当であると判断された旨の通知が通信回線を介して伝送されたことに応答して、上記書類を搬送する手段によって上記スキャナ上に配置された書類を上記格納位置まで搬送するとともに、カード発行処理を行う段階を有する、カード発行装置の制御方法。
【請求項11】上記カード発行装置は、上記スキャナ手段の少なくとも一部を覆う開閉可能な扉部材を有し、上記スキャナ手段のスキャン動作の間に上記扉部材が開放されたことを検出する段階と、該検出に応答して、上記段階(c)における書類の搬送制御、及び上記カード発行処理を禁止する段階をさらに有する、請求項10に記載のカード発行装置の制御方法。
【請求項12】上記段階(a)によって上記スキャナ手段が駆動されるときに上記スキャナ手段にセットされている書類が、免許証、パスポートまたは健康保険証であり、上記段階(b)によって上記スキャナ手段が駆動されるときに上記スキャナ手段にセットされている書類が、カード申込書である、請求項10または請求項11に記載のカード発行装置の制御方法。
【請求項13】上記申込書を、プリンタによって印刷出力する段階をさらに有する、請求項12に記載のカード発行装置の制御方法。
【請求項14】上記プリンタは、レーザー・ビーム・プリンタである、請求項13に記載のカード発行装置の制御方法。

【図1】
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【図3】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開平8−123914
【公開日】平成8年(1996)5月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−255310
【出願日】平成6年(1994)10月20日
【出願人】(592073101)日本アイ・ビー・エム株式会社 (42)