説明

カーナライト様食品用塩及びそれらの生産物

【課題】 ナトリウム系の塩は、様々な食品生産物に利用されている。例えば、塩化ナトリウムは、食卓塩としてもまた知られており、通常食べ物に使用される。しかしながら、塩化ナトリウムの過度の摂取は、高血圧(高血圧症)に関連している。
【解決手段】 食品生産物に使用される次の式を有する略非吸湿性の塩が、本明細書中で提供され、MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)、式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、食品生産物で使用されるその塩が略非吸湿性であるとともに略塩化水素フリーである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2008年3月21日に出願された米国の仮特許出願第61/038,706 号及び2008年10月31日に出願された英国特許出願0820056.0の優先権の利益を主張する。先行する出願の全ての内容及び開示情報は、それを参照することにより本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
ナトリウム系の塩は、様々な食品生産物に利用されている。例えば、塩化ナトリウムは、食卓塩としてもまた知られており、通常食べ物に使用される。しかしながら、塩化ナトリウムの過度の摂取は、高血圧(高血圧症)に関連している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本明細書中で食品用塩及び食品用塩生産物が記載される。その食品用塩及び食品用塩生産物は良質な味を備え、他の種類のスパイス対して強化された味覚もまた提供する。その食品用塩及び食品用塩生産物は、また食品の保存に対する優れた特性を有する。加えて、その食品用塩及び食品用塩生産物は、塩化ナトリウムと比較して、ナトリウムがより少ない、又はほとんど無い、或いは全く存在しない上述の結果を達成する。結果として、その食品用塩生産物は、塩化ナトリウムに対する健康的な代替品である。いくつかの実施形態において、その食品用塩及び食品用塩生産物は、塩化ナトリウムの様の味がし、塩化ナトリウム様の味付けをし、及び/又は塩化ナトリウムの様に焼き及び料理する。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される食品用塩及び食品用塩生産物は、炭素系材料を有さない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
食品生産物に使用される次の式を有する略非吸湿性の塩が、本明細書中で提供され、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、食品生産物で使用されるその塩が略非吸湿性であるとともに略塩化水素フリーである。
【0005】
いくつかの実施形態において、食品生産物に使用される次の式を有する略非吸湿性の塩が、本明細書中で提供され、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
式中、x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.55から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、食品生産物で使用されるその塩が略非吸湿性であるとともに略塩化水素フリーである。
【0006】
いくつかの実施形態において、zは6である。
【0007】
食品生産物中に塩として使用に適したカーナライト塩が本明細書中に記載される。この塩は、略非吸湿性であり、塩酸及び/又はフリーの塩化アンモニウムが略無く、様々な食品生産物にナトリウム系塩の代替品として適している。
【0008】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩は、(a)(i)塩化マグネシウム、及び(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム又はそれらの組合せを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させ、(b)その水性溶媒を煮沸し、そして、(c)食品生産物中に使用される塩を利用可能とするために蒸発させることにより水性溶媒を除去することにより調製され、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yである。
【0009】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩は、(a)(i)塩化マグネシウム、及び(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せ、及び(iii)酸スカベンジャー(scavenger)を水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させ、(b)その水性溶媒を煮沸し、(c)水性溶媒から食品生産物に使用される塩を沈殿させ、(d)食品生産物に使用される沈殿した塩をフィルター濾過し、(e)任意にその濾過を再循環させることにより調製され、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yである。
【0010】
いくつかの実施形態において、食品生産物に使用される塩は、濾過プロセス、半乾性濾過プロセス(semi−dry filtration process)、噴霧乾燥プロセス、バルクプロセス又はドラム乾燥プロセスにより調製される。
【0011】
いくつかの実施形態において、食品生産物に使用される塩は、追加量の約1−10mol%の塩化アンモニウムを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させることにより調製される。いくつかの実施形態において、食品生産物に使用される塩は、追加量の約2mol%の塩化アンモニウムを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させることにより調製される。
【0012】
塩のいくつかの実施形態において、xは、約0.25であり、yは、約0.75である。
【0013】
いくつかの実施形態において、コア及び少なくとも1つの層を備える粒子が本明細書中に記載され、前記コアは本明細書中に記載される塩を含み、前記粒子の少なくとも1つの層は塩化ナトリウム、塩化カリウム、及びそれらの組合せを含む。
【0014】
(i)本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩、及び(ii)塩化ナトリウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せを含む組成物が、また本明細書中に提供される。
【0015】
いくつかの実施形態において、組成物は、(i)本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩、及び(ii)水性溶媒を備え、食品生産物に使用される前記塩は、水性溶媒に溶解されるとともに解離される。
【0016】
いくつかの実施形態において、水溶液は、本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩を飲料水中に溶解することにより調製される。いくつかの実施形態において、該水溶液は、マグネシウムカチオン、カリウムカチオン及びアンモニウムカチオンを含み、マグネシウムカチオン、カリウムカチオン及びアンモニウムカチオンのモル比は1:x:yである。いくつかの実施形態において、水溶液は、水性溶媒中にさらに塩化ナトリウム及び塩化カリウムを溶解することにより調製される。いくつかの実施形態において、水溶液は、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン及びアンモニウムカチオンを含み、ナトリウムカチオンに対するカリウムカチオンのモル比が1:0.005から1:0.5であり、ナトリウムカチオンに対するマグネシウムカチオンのモル比が1:0.005から1:0.1であり、及びナトリウムカチオンに対するアンモニウムカチオンのモル比が1:0から1:0.1である。
【0017】
栄養剤、半加工食品生産物、香味製品、加工食品生産物が本明細書中で提供され、該加工食品生産物は、それらの調製の間、本明細書中に記載される食品生産物、組成物、又は溶液に使用される塩で加工され、又は保存される。
【0018】
いくつかの実施形態において、栄養剤、半加工食品生産物、加工食品生産物は、肉、魚、野菜、スナック食品、スープ、ソース、酪農製品、及び酵母系製品から選択される。
【0019】
本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩、組成物、又は溶液を備える食品生産物中のナトリウム含有塩を少なくとも部分的に置き換えることにより食品生産物のナトリウム含有量を減らす方法もまた本明細書中で提供される。
【0020】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される塩を含む食品生産物は、略風味又は保存期限の減少を有さない。
【0021】
食品生産物に使用される次の式を有する略非吸湿性の塩を調製するための方法が、さらに本明細書中で提供され、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
該方法は、
(a)(i)塩化マグネシウム、及び、(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム又はそれらの組合せを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程と、及び、
(b)食品生産物中に使用される塩を利用可能とするために蒸発させることにより水性溶媒を除去する工程と、を備え、
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yである。
【0022】
いくつかの実施形態において、x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.5から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yである。
【0023】
いくつかの実施形態において、工程(b)は、さらに、追加量の約1−10mol%の塩化アンモニウムを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程を含む。いくつかの実施形態において、該方法はさらに、追加量の約2mol%の塩化アンモニウムを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程を含む。
【0024】
食品生産物に使用される次の式を有する略非吸湿性の塩を調製するための方法が、さらに本明細書中で提供され、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
該方法は、
(a)(i)塩化マグネシウム、及び(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せ、及び(iii)酸スカベンジャーを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程と、
(b)食品生産物中に使用される塩を利用可能とするために蒸発させることにより水性溶媒を除去する工程と、を備え、
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yである。
【0025】
前記方法の実施形態において、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.5から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が約1:x:yである。
【0026】
いくつかの実施形態において、蒸発させることにより水性溶媒を除去する工程は、水性溶媒を煮沸させる工程を含む。
【0027】
食品生産物に使用される次の式を有する略非吸湿性の塩を調製するための方法が、本明細書中で提供され、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
該方法は、
(a)(i)塩化マグネシウム、及び(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せ、及び(iii)酸スカベンジャーを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程と、
(b)水性溶媒から食品生産物に使用される塩を沈殿させる工程と、
(d)沈殿物をフィルター濾過する工程と、
(e)任意にその濾過を再循環させる工程と、を備え、
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yである。
【0028】
方法のいくつかの実施形態において、x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.5から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yである。
【0029】
いくつかの実施形態において、工程(b)は、さらに、追加量の約1−10mol%の塩化アンモニウムを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程を含む。いくつかの実施形態において、工程(b)は、さらに、追加量の約2mol%の塩化アンモニウムを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、塩は、濾過プロセス、半乾性濾過プロセス、噴霧乾燥プロセス、バルクプロセス又はドラム乾燥プロセスにより調製される。
【0031】
食品生産物に使用される次の式を有する略非吸湿性の塩が、本明細書中で提供され、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、
食品生産物に使用される塩における約5%未満のKイオンが、生理学的に許容可能なカチオンと任意に置換され、食品生産物に使用される塩における約5%未満のNHイオンが、生理学的に許容可能なカチオンと任意に置換され、食品生産物に使用される塩における約5%未満のClイオンが、生理学的に許容可能なアニオンと任意に置換され、食品生産物に使用される塩が略非吸湿性である。
【0032】
いくつかの実施形態において、生理学的に許容可能なカチオンは、カルシウム、亜鉛、セレニウム、銅、コバルト、クロム、マンガン、モリブデン、及びそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、生理学的に許容可能なアニオンは、フッ化物、ヨウ化物、リン酸塩、ケイ酸塩、セレン酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩及びそれらの組合せから選択される。
【0033】
食品生産物に使用される次の式を有する略非吸湿性の塩が、本明細書中で提供され、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
式中、x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.5から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、
食品生産物に使用される塩における約5%未満のKイオンが、生理学的に許容可能なカチオンと任意に置換され、食品生産物に使用される塩における約5%未満のNHイオンが、生理学的に許容可能なカチオンと任意に置換され、食品生産物に使用される塩における約5%未満のClイオンが、生理学的に許容可能なアニオンと任意に置換され、食品生産物に使用される塩が略非吸湿性である。
【0034】
いくつかの実施形態において、生理学的に許容可能なカチオンは、カルシウム、亜鉛、セレニウム、銅、コバルト、クロム、マンガン、モリブデン、及びそれらの組合せから選択される。いくつかの実施形態において、生理学的に許容可能なアニオンは、フッ化物、ヨウ化物、リン酸塩、ケイ酸塩、セレン酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩及びそれらの組合せから選択される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】図1は、NH4MgCl3・6H2Oのスティックパターンを基準にして、式MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2Oを有する塩生産物の粉末X線回折パターンを例示し、xが約0.25であり、yが約0.75であり、zが約6である。
【図2】図2はKMgCl3・6H2Oのスティックパターンを基準にして、式MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2Oを有する塩生産物のX線回折パターンを例示し、xが約0.25であり、yが約0.75であり、zが約6である。
【図3】図3はMgCl2のスティックパターンを基準にして、式MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2Oを有する塩生産物のX線回折パターンを例示し、xが約0.25であり、yが約0.75であり、zが約6である。
【図4】図4はNH4Clのスティックパターンを基準にして、式MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2Oを有する塩生産物のX線回折パターンを例示し、xが約0.25であり、yが約0.75であり、zが約6である。
【図5】図5はKClのスティックパターンを基準にして、式MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2Oを有する塩生産物のX線回折パターンを例示し、xが約0.25であり、yが約0.75であり、zが約6である。
【図6】図1は、NH4MgCl3・6H2Oのスティックパターンを基準にして、式MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2Oを有する塩生産物のX線回折パターンを例示し、xが約0.25であり、yが約0.75であり、zが約6である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の新規な特徴は、添付の請求項においてその特性と共に説明される。本発明の特徴及び効果のより良い理解は、本発明の原理が利用される例証的な実施例を説明する下記に記載される詳細な記載及びそれらの添付の図を参照することにより得られるであろう。
【0037】
例えば塩化ナトリウム等のナトリウム塩は、人の健康に悪影響を及ぼす。高水準のナトリウムを含む食餌は、動脈性高血圧症の病的状態及び心筋梗塞における死亡の原因となる。逆に、マグネシウム塩は血圧を下げ、アンモニウム塩は、食品材料及び食品中のバクテリアの増殖を遅らせる防腐剤として働く。また、アンモニウムは、例えばタンパク質のような窒素含有化合物の代謝における標準的な代謝産物である。過度の生理学的なアンモニウムは、二酸化炭素により捕らえられ、尿素に変換され、尿の形態で体から排出される。従って、味覚、栄養特性、及び容易な製造及び/又は容易な加工に関連する要求に直面する場合、マグネシウム塩及びアンモニウム塩は、ナトリウム調製における適切な代替品として働き得る。
【0038】
好適には、ナトリウム塩代替品は、塩化物塩である。硫酸塩、炭酸塩及び/又はリン酸塩などの他の塩は、それらの苦味及び/又は限定された溶解性のため、ナトリウム塩代替品としての実用性が限定される。アルカリ金属(例えば、カリウム)及び/又はアルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)の塩化物塩は、ナトリウム系塩の生理学的に許容可能な代替品であるが、このような塩化物塩は、過度の吸湿性により限定され、その食品用塩としての用途を限定する。さらに、塩が乾燥される場合、塩酸が製品から及び/又は他の酸性成分により放出され、嫌な味(金属性のまた苦味)又は嫌な後味の原因となる。
【0039】
カーナライトは、アルカリ金属塩化物(例えば、塩化カリウム)及びアルカリ土類金属塩化物(例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム)を含む二重の無機塩を自然に生じる。いくつかの例において、カーナライト塩は、アンモニウムカーナライトであり、例えば、塩化カリウム、塩化マグネシウム及び塩化アンモニウムを含む3重塩等である。カーナライト及びカーナライト型塩中の生理学的に許容可能な塩の存在は、それらを食品用塩代替品の良い候補にする。米国特許第3,312,607号及び3,337,432号は、アンモニウムカーナライト塩(マグネシウム電池に与えられるセルとして)の産業上の利用を記載する。しかしながら、これらに記載される調合の方法により調製された塩は、食用に適するものとして記載されていない。一般的にこのような塩は、食品生産物又は食用に使用されない。米国特許第3,323,875号、米国特許第3,536,444号、米国特許3,798,314号、米国特許出願第2008/0025908号、英国特許出願第1308084号、英国特許出願1219969号及び英国特許出願1130183号は、例えば、海水からのマグネシウム塩の回収におけるカーナライト二重塩(例えば、塩化マグネシウム及び塩化カリウム、又は塩化マグネシウム及び塩化アンモニウムを含有する塩)の産業上の利用を記載する。これら参考文献の何れもが、カーナライト塩の生理学的適合性又は食品用塩としてのカーナライト塩の適用性を記載していない。国際公開第00/44245号は、これに記載される塩の安定性、非吸湿性又は塩酸濃度を具体的には記載していない。
【0040】
従って、食品生産物中に使用される食品用塩が本明細書中に記載され、この食品用塩としては、ナトリウム系食品用塩の適切な代替品である塩化マグネシウム、塩化カルシウム及び塩化アンモニウムを含む。本明細書中に記載される塩とナトリウム系塩の置換は、ナトリウムのレベルを低下された食品生産物を提供する。いくつかの例において、本明細書中に記載の塩は、食品生産物中のナトリウム系塩を完全な又は部分的な交換品として働き、低ナトリウム生産物を提供する。さらに、特定の実施形態において、本明細書中で提供される塩生産物及び塩は、優れた保存特性、優れた物理的性質(例えば、湿潤及び高湿度条件下の条件でさえふりかけたり又は注いだりする能力)及び/又は優れた風味を備える。特定の例において、本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩は、従来のナトリウム系塩と比較して、味覚における違いを認識することのできない口当たりの良いものであり、本明細書中に記載される様々な食品生産物の使用に適している。いくつかの例において、本明細書中に記載される食品用塩は、略非吸湿性であり、塩酸及び/又はフリーの塩化アンモニウムが略無く、そして良好な味を有する。
【0041】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される記載される食品用塩は、ヒト食用に適する塩を提供する新たな方法により調製される。本明細書中に記載される調合の方法は、費用効率の高いプロセスを用いて容易な製造を可能とし、塩酸及び/又はフリーの塩化アンモニウムが無い自由流動非吸湿性塩を提供する。
【0042】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される食品用塩は、水性溶媒中に塩成分(例えば、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム)の溶解又は水性溶媒で湿潤により調製される。いくつかの例において、溶存塩化アンモニウムの存在は、溶液中のpHが5.0−5.5となる。特定の例において、塩化アンモニウムは、塩化マグネシウムを含有する濃縮溶液の存在下でアンモニウムと塩酸になる。特定の調合の従来の溶解及び冷却方法において、放出塩酸は、形成結晶格子に吸蔵され、食品用塩は、安定性が減じ(すなわち、生産物が吸湿性となる。)、シャープな味(sharp taste)を備える。
【0043】
特定の例において、本明細書中に記載されるプロセスに従って調製された水溶液は、加熱及び/又は減圧にさらされ、塩酸を排出し、HClが略無いとともに略非吸着性である食品用塩生産物を得る。いくつかの例において、記載されたプロセスに従って調製される水溶液を加熱及び/又は減圧にさらすことは、塩化アンモニウムの加水分解の原因となる(例えば、いくつかの例において、約1−10%の塩化アンモニウムが加水分解される)。いくつかの実施形態において、塩化アンモニウムの追加量(約1−10%モル過剰)が、加熱及び/又は減圧にさらされた水溶液に添加される。いくつかの例において、過度の塩化アンモニウムの添加は、本明細書中に記載される後続工程において、塩を提供し、結晶格子中に吸蔵される塩酸はなく、塩化アンモニウムの化学量論的には、塩生産物の結晶格子の外にあるフリーの塩化アンモニウムが無いことである。約1−10%モル過剰の塩化アンモニウムの水溶液への添加は、本明細書中に記載されるプロセスに従って調製された。加熱及び/又は減圧にさらされるそのプロセスは、塩酸及び塩化アンモニウムが略無いカーナライト塩を製造するこの方法が先行技術に開示されていないことから、先行技術を超える進歩を示している。本明細書中に記載される方法によって調整されたアンモニウムカーナライト塩は、臨界相対湿度を改善し、湿潤条件下(例えば、70%湿度)でさえ安定である。
【0044】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載されるカーナライト塩の調合の方法は、自然発生的なカーナライト(例えば、塩化マグネシウム、塩化カリウム、二重塩)の調合に適用可能である。本明細書中に記載されるプロセスに従って調製された塩化マグネシウム及び塩化カリウム水溶液への1−10%モル過剰の塩化アンモニウムの添加並びに該水溶液を加熱及び/又は減圧にさらすことは、本明細書中に記載される後続工程において、食用に適しており、高湿度雰囲気下での安定性が改善された塩生産物を提供する。略塩酸が無いとともに略非吸湿性である前記天然のカーナライト塩は、アンモニウムフリー食品用塩が所望される場合に価値のあるものである。
【0045】
非ナトリウム塩、低ナトリウム塩組成物及び/又は低ナトリウム食品生産物が本明細書中で提供される。特定の実施形態において、(i)マグネシウムカチオン、(ii)カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、又はそれらの組合せ及び(iii)塩化物を含有する塩が本明細書中で提供される。さらなる実施形態において、本明細書中で提供される塩は、水和物である。(i)マグネシウムカチオン、(ii)カリウムカチオン、アンモニウムカチオン、又はそれらの組合せ及び(iii)塩化物を含有する低ナトリウム又は非ナトリウム組成物及び食品生産物が、さらに本明細書中で提供される。
【0046】
食品生産物に使用される食品塩
式Iを備える食品生産物に使用される塩が、本明細書中で提供される。
MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2O 式(I)
【0047】
特定の実施形態において、項x及びyの合計は約1である。さらに又は代替的な実施形態において、項xは0よりも大きいか等しく、1未満である。さらに又は代替的な実施形態において、項yは0よりも大きく、1未満か1と同じである。さらに又は代替的な実施形態において、項zは約4から約6である。具体的な実施形態において、項zは約6である。特定の実施形態において、項yは0よりも大きい。さらに又は代替的な実施形態において、xは0よりも大きい。いくつかの実施形態において、項xは約0.05から約0.45、約0.1から約0.4、約0.1から約0.3、約0.2から約0.3、約0.25、約0.55から約0.95、約0.6から約0.9、約0.7から約0.8、又は約0.75である。特定の実施形態において、項yは、約0.05から約0.45、約0.1から約0.4、約0.1から約0.3、約0.2から約0.3、約0.25、約0.55から約0.95、約0.6から約0.9、約0.7から約0.8、又は約0.75である。具体的な実施形態において、項xは約0.25であるとともに項yは0.75である。さらなる具体的な実施例において、塩が本明細書中に記載され、その塩は、xが約0.25であり、yが約0.75であり、そして、塩のXRDパターンが、図1のサンプル1又はサンプル2で説明するピークのXRDパターンについての2θ値を備える任意の1以上のピークを含む。特定の実施形態において、項xは約0.05から約0.045であるとともに項yは約0.55から約0.95である。他の具体的な実施形態において、項xは、約0.75であるとともに項yは約0.25である。さらに他の具体的な実施形態において、項xは約0.5であるとともに項yは約0.5である。
【0048】
食品生産物に使用される式(I)の塩の場合、x+yは1であり、式(II)としても記載され得、その場合x、y及びzは、上記規定される通りである。
MgKx(NH4)yCl3・zH2O 式(II)
【0049】
特定の実施形態において、本明細書中に記載される食品用塩又は他の組成物のいずれかにおいて、塩素アニオンのごく一部が、例えば、生理学的に許容可能なアニオン等のもう1つ別のアニオンと置換される。特定量において、このようなアニオンとしては、フッ化物、ヨウ化物、リン酸塩、ケイ酸塩、セレン酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩、それらの組合せ等が生理学的に許容可能であるがこれらに限定されない。特定の実施形態において、塩化物アニオンの生理学的に許容可能な量、つまり5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、又は0.01%未満の塩化物アニオンが、生理学的に許容可能なアニオンと置換される。特定の実施形態において、塩生産物は、1日当たり100mg未満のセレン(例えば、セレン酸塩及び他のソース)が摂取されるように構成される。従って、特定の実施形態において、食品生産物に使用される式(III)の塩は本明細書中で提供される。
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
【0050】
特定の実施形態において、項x、y及びzは上記規定される通りである。いくつかの実施形態において、項gは約2.9から約3である。具体的な実施形態において、項gは約3である。
【0051】
同様に、特定の実施形態において、本明細書で提供されるのは塩生産物であって、カリウムカチオン及び/又はアンモニウムカチオンの一部は、他の生理学的に許容可能なカチオンで置き換えられる。特定の実施形態において、生理学的に許容可能なカチオンは、カルシウム、亜鉛、セレニウム、銅、コバルト、クロム、マンガン、モリブデン、及びそれらの組合せから選択されるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、カリウムカチオン及び/又はアンモニウムカチオンの生理学的に許容可能な量は、つまり10%未満、5%未満、3%未満、2%未満、1%未満、0.5%未満、0.1%未満、又は0.01%未満であって、該カリウムカチオン及び/又はアンモニウムカチオンが、生理学的に許容可能なカチオンと置換される。
【0052】
従って、特定の実施形態において、食品生産物に使用される式(IV)の塩は、本明細書中で提供される。
MgMfKx(NH4)yClgXh・zH2O 式(IV)
【0053】
特定の実施形態において、Mは生理学的に許容可能なカチオン及びf(Mの電荷)の合計であり、x及びyは約1である。例えば、特定の実施形態において、MはCa2+であり、このような場合、2f、x及びyの合計は約1である。特定な実施形態において、項fは0から約0.1、0から約0.05、又は約0.01から約0.05である。いくつかの実施形態において、Xは生理学的に許容可能なアニオンであり、項hは約3-gと同じである。特定の実施形態において、項hは0から約0.2、0から約0.05、又は約0.01から約0.05である。具体的な実施形態において、fは約0.01から約0.01であり、hは0である。代替的な実施形態において、hは約0.01から約0.2であり、fが0である。項x、y、g及びzは上記明細書中に記載される通りである。
【0054】
特定の実施形態において、式I−IVの塩生産物のいずれかは、1以上の次に記載されるものを含み、(i)塩化マグネシウム及び塩化カリウムの二重塩、(ii)塩化マグネシウム及び塩化アンモニウムの二重塩、及び(iii)塩化マグネシウム、塩化カリウム及び塩化アンモニウムの三重塩である。
さらなる実施形態において、式(III)−(IV)のいずれかの塩生産物は、塩化亜鉛及び塩化アンモニウムの二重塩を含有する。
【0055】
具体的な実施形態において、亜鉛はマグネシウムのカチオン置換として式(III)又は(IV)のいずれかに存在し、その量としては1日当たり15mg未満の亜鉛が個体により摂取される量である。特定の実施形態において、塩生産物は、1日当たり250μg未満又は100μgのセレン(例えば、セレンカチオン及び/又はセレン酸塩アニオンソース)が個体により摂取されるように構成される。
【0056】
さらに、特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物は、検出可能未満の量(味覚による)である3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、又は0.1重量%未満のフリーのNH4Clをふくむ。ここで、フリーのNH4Clとは、塩化マグネシウム及び塩化アンモニウムの二重塩及び/又は塩化マグネシウム、塩化カリウム及び塩化アンモニウムの三重塩から自由である(例えば、格子の外である)。さらに、特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物は、検出可能未満の量(嗅覚又は味覚による)である3重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、又は0.01重量%未満の塩酸が含まれている。
【0057】
特定の実施形態において、食品生産物に使用される式(I)−(IV)のいずれかの塩は、略非吸湿性である。ある実施形態において、前記塩生産物は、防湿剤のない条件下で貯蔵期間において1月当たり1重量%未満を吸収する。特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩は、30℃で、70%を超える、75%を超える、80%を超える、又は約75%から約80%の臨界相対湿度を備える。特定の例において、式(I)の塩生産物は、30℃で、約70%のCRH値を有する(例えば、xが0であり、yが1である)。
【0058】
本明細書中に使用されるように、正確にその数値又はおよそのその数値のいずれかが記載された任意の数値は、およそのその量及び正確なその量の開示を含むことが理解される。従って、約3%未満の開示は3%未満の開示を含み、3%未満の開示は約3%未満の開示を含む。
【0059】
特定の実施形態において、式(I)−(IV)の塩生産物のいずれかは、食品用塩、食用塩、生理学的に許容可能な食品用塩、又は同様のものである。好適な実施形態において、食品用塩は、毒性を示さない。特定の実施形態において、式(I)−(IV)の塩生産物のいずれかは、本明細書中に記載されるいずれかの食品生産物での使用に適している。
【0060】
用語「食品用塩」は、食品生産物中に又は食品生産物と共に使用するために適した塩(例えば、本明細書中に記載される任意の塩)を表す。食品用塩はヒト食用に適している。食品用塩は、塩化ナトリウム又はナトリウム系塩の量と同じ量で使用される場合、毒性を有さず、又は低減された毒性を備える。食品用塩は、塩酸が略無い自由流動非吸湿性塩である。食品用塩は、またフリーの塩化アンモニウムが無いものである。本明細書中に記載される食品生産物に使用する食品用塩又は塩は、快適な味のする口当たりの良い塩である(すなわち、本明細書中に記載される塩の味と塩化ナトリウム及び/又はナトリウム系塩の間に識別できる違いがない)とともに金属性の味又は後味を有さない。
【0061】
製造のプロセス
様々な実施形態において、本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩は、任意の方法で調製される。具体的な実施形態において、本明細書中に記載されるプロセスは、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を調製するために利用される。さらに具体的な実施形態において、本明細書中に記載されるプロセスは、式(I)−(IV)のいずれかの非吸湿性塩生産物を調製するために利用される。
【0062】
特定の実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物は、以下により調製される。
a.以下のi)及びii)を水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させ、
i)塩化マグネシウム、及び
ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム又はそれらの組合せ、
b.塩を利用可能とするために蒸発させることにより水性溶媒を除去する。
【0063】
いくつかの実施形態において、水性溶媒に溶解される塩化物のモル比は、塩化マグネシウム対塩化カリウム対塩化アンモニウムが1対x対yである。いくつかの例において、水性溶媒は、蒸発させることにより除去される(例えば、煮沸により及び/又はさもなくば加熱及び/又は減圧により除去される)。いくつかの例において、煮沸は、少ないモルパーセント(≦10%)の塩化アンモニウムの加水分解の原因となる。水性溶媒が煮沸及び/又は加熱及び/又は減圧にさらされる場合、わずかなモル過剰の塩化アンモニウムが、水性溶媒に添加される。いくつかの実施形態において、水性溶媒に加えられる塩化アンモニウムのモル過剰は、約1から10モル%である。いくつかの具体的な実施形態において、水性溶媒に加えられる塩化アンモニウムのモル過剰は、約1から5モル%である。いくつかの具体的な実施形態において、水性溶媒に加えられる塩化アンモニウムのモル過剰は、約2モル%である。いくつかの実施形態において、モル過剰の塩化アンモニウムは、水溶液を煮沸する前、例えば、水溶液を加熱する前、又は水溶液の温度が約35℃、約45℃、約55℃、約65℃、約75℃、約85℃、又は約95℃である場合に添加される。
【0064】
いくつかの実施形態において、プロセスに利用される塩化マグネシウムと塩化アンモニウムのモル比は、約1:1.01yから約1:1.1yである。特定の実施形態において、プロセスに利用される塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:>y、約1:x:y、又は約1:x:1.01yから約1:x:1.1yである。特定の実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:1.01yから約1:x:1.05yである。さらに具体的な実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:1.02yである。従って、例えば、本明細書により調製される塩がMgCl2・(KCl)0.5・(NH4Cl)0.5・zH2O(すなわち、x=y=0.5の場合、)である場合、プロセスに利用される塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:0.5:0.51である。
【0065】
特定の実施形態において、本明細書中に記載されるいずれかのプロセスの水性溶媒は、減圧及び/又は温度上昇により除去/蒸発させる。具体的な実施形態において、水性溶媒は、水性溶媒を煮沸するまで加熱することにより除去され/濃縮される(例えば、通常気圧下少なくとも約100℃まで、又は減圧下低い温度で)。さらに、特定の実施形態において、プロセスで使用される市販MgCl2は、そのMgCl2を調製するプロセス由来の残存塩酸で汚染されている。このような実施形態のいくつかにおいて、この残存塩酸は、水性溶媒を除去する/蒸発させるプロセスの間中、除去される。特定の実施形態において、水性溶媒は、水であり、又は水を含む(例えば、蒸留水)。いくつかの実施形態において、煮沸工程で追加される過剰塩化アンモニウム(例えば、yモルを超える過剰量)は、水性溶媒を除去する/蒸発させるプロセスの間、消費される。
【0066】
いくつかの実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物は、以下により調製される。
a.以下の(i)から(iii)を水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させ、
(i)塩化マグネシウム、
(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せ、及び
(iii)酸スカベンジャー、
b.塩を利用可能とするために蒸発させることにより水性溶媒を除去する。
【0067】
いくつかの実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:yである。いくつかの実施形態において、塩化マグネシウムと塩化アンモニウムのモル比は、約1:1.01yから約1:1.1yであり、塩化マグネシウムと塩化カリウムのモル比は、約1:xである。特定の実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:1.01yから約1:x:1.1yである。特定の実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:1.01yから約1:x:1.05yである。より具体的な実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:1.02yである。
【0068】
特定の実施形態において、塩化マグネシウムと両性酸スカベンジャーのモル比は、約1:0.001から約1:0.1であり、又は約1:0.01から約1:0.05である。具体的な実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムと、グリシンとのモル比は、約1:x:y:約0.02である。
【0069】
特定の実施形態において、適切ないずれかの酸スカベンジャーが利用される。いくつかの実施形態において、酸スカベンジャーはアンモニアである。特定の実施形態において、酸スカベンジャーは、緩衝作用系であり、例えばクエン酸緩衝剤系、酒石酸緩衝剤系、又はリンゴ酸緩衝剤系である。いくつかの実施形態において、酸スカベンジャーは、両性酸スカベンジャーである。さらに具体的な実施形態において、両性酸スカベンジャーは、アミノ酸である。いくつかの実施形態において、両性酸スカベンジャーは、グリシンである。特定の実施形態において、酸スカベンジャーが、適しており、水性溶媒のpHを7未満、約5.5から約7、又は約6から約6.5に維持するに適した量で使用される。
【0070】
様々な実施形態において、水性溶媒は、減圧下、上昇された温度にさらす、蒸発により又はそれらの組合せにより本明細書中に記載されるいずれかのプロセスで除去される。具体的な実施形態において、水性溶媒は、少なくとも50℃で、少なくとも70℃で、少なくとも90℃で、少なくとも100℃で、又は煮沸で水性溶媒を加熱することにより除去される。他の具体的な実施形態において、水性溶媒は、減圧下除去される。
【0071】
いくつかの実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物は、以下により調製される。
a.以下の(i)から(iii)を水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させ、
(i)塩化マグネシウム、
(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せ、及び
(iii)酸スカベンジャーと、
b.水性溶媒から塩を沈殿させ、
c.沈殿物をフィルター濾過し、そして
d.任意にその濾過を再循環させる。
【0072】
いくつかの実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:yである。いくつかの実施形態において、塩化マグネシウムと塩化アンモニウムのモル比は、約1:1.01yから約1:1.1yであり、塩化マグネシウムと塩化カリウムのモル比は、約1:xである。
【0073】
特定の実施形態において、適切ないずれかの酸スカベンジャーが利用される。具体的な実施形態において、酸スカベンジャーは両性酸スカベンジャーである。さらに具体的な実施形態において、両性酸スカベンジャーは、アミノ酸である。いくつかの実施形態において、両性酸スカベンジャーは、グリシンである。特定の実施形態において、酸スカベンジャーは、緩衝作用系であり、例えばクエン酸緩衝剤系、酒石酸緩衝剤系、又はリンゴ酸緩衝剤系である。特定の実施形態において、酸スカベンジャーは、アンモニア又はアンモニウム/アンモニア緩衝剤系ではない。いくつかの実施形態において、酸スカベンジャーは、アンモニアである(例えば、追加又は過剰アンモニウム、例えば約2モル%過剰等)。いくつかの実施形態において、酸スカベンジャーは、両性酸スカベンジャーである。さらに具体的な実施形態において、両性酸スカベンジャーは、アミノ酸である。いくつかの実施形態において、両性酸スカベンジャーは、グリシンである。特定の実施形態において、酸スカベンジャーが、適しており、水性溶媒のpHを7未満、約5.5から約7、又は約6から約6.5に維持するに適した量で使用される。
【0074】
いくつかの実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムのモル比は、約1:x:yである。いくつかの実施形態において、塩化マグネシウムと塩化アンモニウムのモル比は、約1:1.01yから約1:1.1yであり、塩化マグネシウムと塩化カリウムのモル比は、約1:xである。特定の実施形態において、塩化マグネシウムと両性酸スカベンジャーのモル比は、約1:0.001から約1:0.1であり、又は約1:0.01から約1:0.05である。具体的な実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムと、グリシンとのモル比は、約1:x:y:約0.02である。それらの実施形態において、酸スカベンジャーは、塩化アンモニウムであり、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムとのモル比は1:x:>yである。特定の実施形態において、酸スカベンジャーは、アンモニアであり、他の実施形態において、酸スカベンジャーは、アンモニアでない。
【0075】
本明細書中に記載されるいずれかのプロセスの特定の実施形態において、式(IV)の塩生産物を調製するプロセスは、M及びXのいずれか又は両方を含む少なくとも1つの生理学的に許容可能な塩を水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程を含む。具体的な実施形態として、生理学的に許容可能な塩は、Mである。項a及びbは、イオンの荷電に基づいて決定され、例えば、1及び2から独立的に選択される。さらに又は代替的な実施形態において、生理学的に許容可能な塩は、MCl、K、(NH、及びそれらの類似物から選択されるがこれらに限定されず、a及びbは、上記定義される。
【0076】
本明細書で使用されるように、溶解は、少なくとも部分的に溶解することを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される水性溶媒中に成分を溶解する工程は、成分を溶解するために水性溶媒を加熱する工程を含む。特定の実施形態において、水性溶媒を加熱することは、1以上の個々の成分の溶解性を水性溶媒中で増加させる要因となる。本明細書中で使用されるように、加熱は、室温を超える温度、例えば、約20℃を超え約100度までの煮沸に至るまで、又は煮沸まで、加熱することを含む。いくつかの例において、蒸発は、昇華及び/又は凍結乾燥を含む。
【0077】
特定の実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物は、水性溶媒から沈殿される場合、個々の成分は、加熱された水性溶媒中に溶解され、沈殿が冷却で生じる。いくつかの実施形態において、個々の成分が溶解されるとすぐに、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物の沈殿は、水性溶媒の量を減らすことにより達成される。特定の実施形態において、水性溶媒の量は、蒸発により減らされる。いくつかの実施形態において、蒸発は減圧下及び/又は温度上昇で達成される。いくつかの実施形態において、蒸発は水性溶媒の温度を上昇させることにより達成される。さらに具体的な実施形態において、蒸発は減圧下、水性溶媒の温度を上昇させることにより達成される。
【0078】
いくつかの実施形態において、略非吸湿性塩生産物、例えば、式(I)−(IV)のいずれかの略非吸湿性塩生産物は、吸湿性塩を塩化アンモニウムと混ぜること、すり潰すこと、及び/又は混合することにより調製される。特定の実施形態において、1モル%から約99モル%、約5モル%から約50モル%、約10モル%から約30モル%、又は約25モル%の吸湿性塩で、吸湿性塩と塩化アンモニウム量が混ぜられ、すり潰され、混合される。いくつかの実施形態において、吸湿塩は天然の塩である。特定の実施形態において、吸湿塩は天然の塩である。いくつかの実施形態において、吸湿性カーナライトは、塩化マグネシウムと塩化カリウムの二重塩であり、塩化カリウムが塩化マグネシウムの化学量論量よりも少なく存在している(すなわち、MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2Oで、yが0であり、xが1未満である)。いくつかの実施形態において、塩化カリウム及び塩化アンモニウムの量の合計が塩化マグネシウムの化学量論量と等しくなるまで(すなわち、MgCl2・xKCl・yNH4Cl・zH2Oで、y>0及びx+yは約1である)、吸湿性塩は塩化アンモニウムと混ぜられ、すり潰され、及び/又は混合される。特定の実施形態において、吸湿性塩は、上部又は表面で吸湿性である。さらなる実施形態において、混ぜる、すり潰す及び/又は混合した後、混合物は乾燥される。
【0079】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される食品生産物に使用される式(I)−(IV)のいずれかの塩、それらの塩混合物、又は粒子は、バルクプロセス、濾過プロセス、半乾性濾過プロセス(semi−dry filtration process)、噴霧乾燥プロセス、又はドラム乾燥プロセスにより調製される。
【0080】
特定の実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの食品用塩生産物は、以下により調製される。
a.以下の(i)から(iii)を水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させ、
(i)塩化マグネシウム、
(ii)塩化アンモニウム、及び
(iii)任意に酸スカベンジャーと、
b.(a)の塩化マグネシウム−塩化アンモニウム組成物(例えば、溶液)と固形塩化カリウムを接触させる。
【0081】
いくつかの実施形態において、水性溶媒の量は、固形塩化カリウムと接触させる前に、約30%、約40%又は約50%まで減少される(例えば、減圧及び/又は温度上昇下で煮沸及び/又は蒸発により)。いくつかの実施形態において、固形塩化カリウムは、結晶塩化カリウムである。いくつかの例において、水性溶媒の一部または全てが、固形塩化カリウムの添加で(a)の組成物から除去される(例えば、固形塩化カリウムにより吸収される)。いくつかの例において、乾燥塩混合物は固形塩化カリウムの添加で形成される。いくつかの例において、半乾燥塩混合物は固形塩化カリウムの添加で形成される。いくつかの例において、半乾燥塩混合物は本明細書中に記載されるいずれかのプロセスを使用して乾燥させる。
【0082】
いくつかの実施形態において、過剰モル%の塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムが利用される。このような実施形態のいくつかにおいて、過剰の塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムの使用は、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウム並びに式(I)−(IV)のいずれかの塩の「混合物」又は「塩混合物」又は「混合塩」の形成を可能にする。
【0083】
いくつかの実施形態において、食品用塩混合物は、「噴霧乾燥プロセス」により生成される。食品用塩の少なくとも1つの成分を含む溶液が、流動床での混合の少なくとももう1つの成分に噴霧器でかけられる。
【0084】
噴霧乾燥プロセスの特定の実施形態において、固形塩化カリウムが流動床中にあり、塩化マグネシウム−塩化アンモニウム組成物(例えば、溶液)が、流動床上に堆積(例えば、噴霧される)させる(例えば、塩化カリウム粒子)。いくつかの実施形態において、(a)の組成物は、固形塩化カリウム上に堆積させ(噴霧させ)るとすぐに、塩結晶の表面上に少なくとも1つの層を含む式(I)−(IV)のいずれかの混合塩生産物(利用される生産物に応じて)が、(a)の組成物及び固形塩化カリウムとの間の接触面で形成される。
【0085】
このような実施形態のいくつかにおいて、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムの過剰の使用は、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムで被覆される式(I)−(IV)のいずれかの塩を含む被覆された粒子の形成を可能にする。特定の実施形態において、塩化カリウムのコア及び式(I)−(IV)のいずれかの塩を含有する層を含む粒子が、本明細書中で提供される。いくつかの実施形態において、このような粒子(又は「混合物」)は、本明細書中に記載されるいずれかのプロセスに従って調製される。特定の実施形態において、このような粒子は、さらに塩化ナトリウムと混合される。いくつかの実施形態において、塩化カリウムのコア、式(I)−(IV)のいずれかの塩の層及び塩化ナトリウムの層を含む粒子が、本明細書中で提供される。具体的な実施形態において、このような粒子は、式(I)−(IV)のいずれかの塩の内側の層及び塩化ナトリウムの外側の層を含む。具体的な実施形態において、このような粒子は、式(I)−(IV)のいずれかの塩の内側の層及び塩化カリウムの外側の層を含む。さらなる実施形態において、このような粒子は、さらにコアと内側層の間に、内側層と外側層の間に、外側層の上部に、又はこれらの組合せに追加の塩の層を備える。
【0086】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される食品用塩は、終末乾燥(end−drying)又は「バルクプロセス」により調製される。本明細書中に記載されるいずれかのプロセスにより調製される水溶液は、乾燥状態に蒸発される。いくつかの実施形態において、乾燥状態への蒸発は、加水分解された塩化アンモニウムを除いて、水性溶媒中に溶解する全ての塩成分を塩(例えば、二重塩、三重塩等)として晶出することを可能にする。いくつかの例において、分析評価は必要ではない。特定の例において、溶液は、約100ml/molの溶質である水の量で調製される。特定の実施形態において、加水分解された塩化アンモニウムの量は、本明細書中に記載されるいずれかのプロセスにおける水性溶媒中に添加される過剰モル%の塩化アンモニウムと略同じである。
【0087】
いくつかの実施形態において、食品用塩及び/又は食品用塩混合物は、「濾過プロセス」により調製される。いくつかの例において、原料は、リアクタで重量が量られ、水がリアクタに添加される。濾過プロセスの特定の実施形態において、厚い結晶の塊が形成されるときには、本明細書中に記載される水溶液は、最初の量の約70%、約60%又は約50%に蒸発させる。いくつかの実施形態において、厚い結晶の塊が冷却され、濾過され、濾過された液体は再濾過される。いくつかの実施形態において、湿ったフィルタケーキが乾燥され、本明細書中に記載される塩混合物の調合に用いられる。
【0088】
いくつかの実施形態において、上記記載される濾過プロセスは、「半乾性濾過プロセス」に修正される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される方法により調製される水溶液は、最初の量の約50%に蒸発し、乾燥塩化カリウム又は塩化カリウムの混合物及び塩化ナトリウムが、湿った結晶の塊に添加される。特定の実施形態において、追加の乾燥塩化カリウムは、残りの水を吸収し、乾燥塩生産物が得られる。特定の実施形態において、追加の乾燥塩化カリウムは、残りの水を吸収し、「半乾性」塩生産物が得られる。いくつかの例において、半乾性塩生産物は、さらに、本明細書中に記載されるプロセスにより乾燥される。いくつかの例において、「半乾性」塩は、乾燥装置においてより処理し易い。いくつかの例において、半乾性濾過プロセスは、最終塩混合物における減少した層形成(例えば、一様でない組成物又は混合物)を有するカーナライト型塩をもたらす。
【0089】
いくつかの実施形態において、濾過プロセスからの湿ったフィルタケーキが、乾燥塩化カリウム又は塩化カリウムの混合物及び塩化ナトリウムで処理され、水分を吸収し、半乾性塩混合物を利用可能にする。
【0090】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される食品生産物に使用される塩及び混合塩は、「ドラム乾燥」プロセスにより調製される。いくつかの実施形態において、ドラム乾燥プロセスは、(a)本明細書中に記載される食品用塩及び/又は混合食品用塩の成分を、水又は水蒸気(すなわち、湿潤させ)で任意に湿らせ、又は処理する工程と、(b)長時間(例えば、約8時間、約12時間、約16時間又は約24時間より多い)、ドラム乾燥器中で食品用塩及び/又は混合食品用塩の成分を回転させる工程と、及び(c)本明細書中に記載されるいずれかの方法を使用して結果物の塩又は塩混合物を乾燥させる工程とを含む。
【0091】
いくつかの例において、工程(a)は除かれ、食品用塩の成分が、1以上の成分塩に存在する水により湿気を与え又は湿らせる(例えば、1以上の成分塩が含水塩である場合)。いくつかの例において、ドラム乾燥プロセスは、結晶の間及び/又は塩成分の間のイオン交換を達成する。いくつかの例において、ドラム乾燥プロセスから得られる食品用塩は、低CRH値を備える。いくつかの例において、ドラム乾燥プロセスにより調製される塩は、食品用塩溶液を調製するために使用される塩混合物を調製するために使用される。溶液として使用される食品用塩は、消費前に煮沸され又は加熱処理される食品生産物(例えば、流動食品生産物(例えば、スープ、ソース))に添加される。
【0092】
本明細書中に記載されるいずれかのプロセスのいくつかの実施形態において、プロセスで利用される成分塩は、塩粒子である。本明細書中に記載されるいずれかのプロセスのいくつかの実施形態において、成分塩(例えば、塩化マグネシウム、塩化カリウム又は塩化アンモニウム)は、同じ粒子サイズである。本明細書中に記載されるいずれかのプロセスのいくつかの実施形態において、成分塩(例えば、塩化マグネシウム、塩化カリウム又は塩化アンモニウム)は、異なる粒子サイズである。
【0093】
本明細書中に記載される食品用塩又は食品用塩の混合物の調製のいずれかの方法の特定の実施形態において、いずれかの適切な酸スカベンジャーが利用される。いくつかの実施形態において、酸スカベンジャーは、アンモニアである。いくつかの実施形態において、アンモニアは、pHを約7に維持する量で添加される。それらの実施形態において、酸スカベンジャーはアンモニアである場合、過剰塩化アンモニウムが水性溶媒に任意に添加されない。特定の実施形態において、酸スカベンジャーは、緩衝作用系であり、例えばクエン酸緩衝剤系、酒石酸緩衝剤系、又はリンゴ酸緩衝剤系である。いくつかの実施形態において、酸スカベンジャーは、両性酸スカベンジャーである。いくつかの実施形態において、両性酸スカベンジャーは、アミノ酸である。いくつかの実施形態において、両性酸スカベンジャーは、グリシンである。いくつかの実施形態において、酸スカベンジャーは、塩基性塩である(例えば、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等)。特定の実施形態において、酸スカベンジャーが、水性溶媒のpHを7未満、約5.5から約7、又は約6から約6.5に維持するに適した量で使用される。特定の実施形態において、塩化マグネシウムと両性酸スカベンジャーのモル比は、約1:0.001から約1:0.1であり、又は約1:0.01から約1:0.05である。具体的な実施形態において、塩化マグネシウムと、塩化カリウムと、塩化アンモニウムと、酸スカベンジャーとのモル比は、約1:x:y:約0.02である。
【0094】
様々な実施形態において、本明細書中に記載される2以上のいずれかの成分塩(例えば、塩化マグネシウム及び塩化カリウム)は、二重塩、三重塩等、例えば天然カーナライト、改良カーナライト、吸湿性カーナライト、質の悪い風味のカーナライト等の形態で本明細書中に記載されるプロセスのいずれかにおいて利用される。具体的な実施形態において、塩化マグネシウム及び塩化カリウムは、カーナライト塩の形態で提供され、本明細書中に記載されるいずれかのプロセスに基づいて、塩化アンモニウムで処理される。
【0095】
塩成分
特定の実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む組成物が本明細書中で提供される。いくつかの実施形態において、組成物は、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物と少なくとも1つの追加塩を含む。具体的な実施形態において、少なくとも1つのその追加塩は、塩化カリウム、塩化ナトリウム及びそれらの組合せから選択される。特定の実施形態において、組成物は、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物及び塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムを含む。具体的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、約0%から約99%、約1%から約99%、約50%から約99%、約50%から約90%、又は約50%から約75%の塩化ナトリウムを含む。さらに又は代替的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、0%から約99%、約1%から約99%、0%から約50%、0%より大きく約25%まで、約1%から約25%、又は約5%から約25%の塩化カリウムを含む。さらに又は代替的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、約1%から約99%、約5%から約50%、又は約25%の式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む。さらなる実施形態において、組成物は、1以上の追加塩を含む。具体的な実施形態において、本明細書中で提供される混合物は、表1又は表2で示される塩の組合せ(w/w%)を含む。
【0096】
【表1】

【0097】
いくつかの実施形態において、(i)式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物、及び(ii)塩化カリウム、塩化ナトリウム、又はそれらの組合せを含む粒子が、本明細書中で提供される。特定の実施形態において、粒子は、コア及び少なくとも1つの層を備える。いくつかの実施形態において、そのコアは、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む。さらなる実施形態において、少なくとも1つの層が塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムを含む。特定の実施形態において、塩コアを少なくとも1つの層で被覆することは、被覆していない塩粒子と比較して改善された風味を提供する。いくつかの実施形態において、このような粒子は、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムを有する式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む粒子を混合することにより調製される。具体的な実施形態において、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムは、粉末又は微粒子の形態である。いくつかの実施形態において、塩生産物の微粒子は、少なくとも1時間、少なくとも4時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも16時間、又は少なくとも24時間、塩化カリウム及び/又は塩化ナトリウムと混合される。
【0098】
特定の実施形態において、塩生産物は、本明細書中に記載される追加の塩と混合され(例えば、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウム)、混合物は、30℃で、約70%を超える、約75%を超える、約80%を超える、約85%を超える、約90%を超える、又は約95%を超える臨界相対湿度(CRH)を備える。具体的な実施形態において、追加の塩(例えば、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウム)で混合された塩生産物は、塩生産物のみのCRH値を超えるCRH値を有する。
【0099】
いくつかの実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む組成物は、結合形態で、解離形態で、又は部分的解離形態で式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む。それ故、特定の実施形態において、水性溶媒中に溶解される式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む組成物は、本明細書中で提供される。具体的な実施形態において、水性溶媒は、飲料水であるか又は飲料水を含む。特定の実施形態において、溶解されるとは、例えば、完全に溶解される又は部分的に溶解される、を含み、少なくとも99%溶解する、少なくとも95%溶解する、又は少なくとも50%溶解することを含む。いくつかの実施形態において、水性組成物は、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物で飽和される。特定の実施形態において、水性組成物は、塩成分を含み、その塩組成物は、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物、及び1以上の塩化ナトリウム及び塩化カリウムを含む。具体的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、約0%から約99%、約1%から約99%、約50%から約99%、約50%から約90%、又は約50%から約75%の塩化ナトリウムを含む。さらに又は代替的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、0%から約99%、約1%から約99%、0%から約50%、0%より大きく約25%まで、約1%から約25%、又は約5%から約25%の塩化カリウムを含む。さらに又は代替的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、約1%から約99%、約5%から約50%、又は約25%の式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む。特定の実施形態において、水性組成物は、塩成分で飽和される。いくつかの実施形態において、水性組成物の約40%(w/w)まで、又は約30%(w/w)までが塩成分である。
【0100】
特定の実施形態において、成分塩を水性溶媒に溶解することにより調製される水性組成物が本明細書中で提供される。具体的な実施形態において、水性溶媒は飲料水であり又は飲料水を含む。特定の実施形態において、水性組成物は、水性溶媒中に、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を溶解することにより調製される。さらなる実施形態において、水性組成物は、水性溶媒中に、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物並びに1以上の塩化ナトリウム及び塩化カリウムを溶解することにより調製される。具体的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、約0%から約99%、約1%から約99%、約50%から約99%、約50%から約90%、又は約50%から約75%の塩化ナトリウムを含む。さらに又は代替的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、0%から約99%、約1%から約99%、0%から約50%、0%より大きく約25%まで、約1%から約25%、又は約5%から約25%の塩化カリウムを含む。さらに又は代替的な実施形態において、塩成分は、重量当たり、約1%から約99%、約5%から約50%、又は約25%の式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む。いくつかの実施形態において、水性組成物の約40%(w/w)まで、又は約30%(w/w)までが塩成分である。様々な実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムが、同時に又は個々に溶解される。さらなる実施形態において、1以上の添加塩が、また水性溶媒中に添加される。
【0101】
いくつかの実施形態において、マグネシウムカチオン、カリウムカチオン及びアンモニウムカチオンを含む水溶液が、本明細書中で提供される。特定の実施形態において、マグネシウムカチオン対カリウムカチオン対アンモニウムカチオンのモル比は、約1:x:yであり、この場合、項x及びyの合計は約1であり、yは0より大きく約1までであり、xは0から約1である。さらに又は代替的な実施形態において、その水溶液は、さらに塩化物アニオンを含む。特定の実施形態において、マグネシウムカチオンに対する塩化物アニオンのモル比は、約1:2から約1:3、約1:2.9から約1:3、又は約1:2.95から約1:3である。特定の実施形態において、ナトリウムカチオンに対する塩化物アニオンのモル比は、1:3.00である。
【0102】
さらに又は代替的な実施形態において、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、及びアンモニウムカチオンを含む水溶液が、本明細書中で提供される。具体的な実施形態において、ナトリウムカチオンに対するカリウムカチオンのモル比は、約1:0.05から約1:0.5である。さらに又は代替的な実施形態において、ナトリウムカチオンに対するマグネシウムカチオンのモル比は、約1:0.05から約1:0.1である。さらに又は代替的な実施形態において、ナトリウムカチオンに対するアンモニウムカチオンのモル比は、約1:0から約1:0.1、又は約1:0.001から約1:0.1である。他の実施形態において、ナトリウムカチオンに対するカリウムカチオンのモル比は、約1:0.005から約1:0.5であり、ナトリウムカチオンに対するマグネシウムカチオンのモル比は、約1:0.005から約1:0.1であり、この場合において、ナトリウムカチオンに対するアンモニウムカチオンのモル比は、約1:0から約1:0.1である。さらに又は代替的な実施形態において、水溶液は、さらに塩化物アニオンを含む。
【0103】
特定の実施形態において、本明細書に記載される、ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン、及びアンモニウムカチオンを含む水溶液は、1以上のわずかな量の硫酸イオン、金イオン、銀イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、リン酸イオン、及び/又は硫化物イオンをさらに含む。具体的な実施形態において、イオンのわずかな量は、これに限定されないが、約100ppm未満、約50ppm未満、約25ppm未満、又は約5ppm未満である。特定の実施形態において、金カチオン、銀カチオン、及び/又はセレンカチオンのわずかな量は、約25ppm未満、約5ppm未満、約1ppm未満、又は約0.1ppm未満の量である。さらに又は代替的な実施形態において、本明細書中に記載される水溶液は、生理学的に重要なイオンを含み、この生理学的に重要なイオンとしては、例えば、硫酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、亜硝酸塩、セレン酸塩、ヨウ化物、銅カチオン、コバルトカチオン、マグネシウムカチオン、モリブデンカチオン、及びこれらの組合せが挙げられる。
【0104】
特定の実施形態において、本明細書中に記載される水性組成物/水溶液のいずれかのpHは、約6から約7であるか、又は約6から約6.8である。
【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される水溶液は、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物並びに1以上の塩化ナトリウム及び塩化カリウムを水性溶媒に溶解又は水性溶媒で湿潤させることにより調製される。
【0106】
表2は本明細書中に記載される組成物の実例を提供する。
【0107】
【表2】

【0108】
特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩は、水性溶媒に溶解される。特定の実施形態において、組成物A、B及び/又はCは、水性溶媒に溶解される。表3は、表1の組成物A、B及び/又はC並びにこのような組成物の水溶液が飽和状態に達する濃度(%W/W)で利用される式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物の様々な形態を例示している。飽和濃度は、1回に0.5グラムの塩組成物を添加しながら、マグネットスターラを使用して飽和溶液に達するまで、約16.7℃の50mlの水に溶解することにより決定される。
【0109】
【表3】

【0110】
具体的な実施形態において、本明細書中で提供される水溶液のいずれかは、飲用に適したものである。
【0111】
特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物は、ポリヒドロキシ化合物と混ぜ合される。いくつかの実施形態において、ポリヒドロキシ化合物は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、本明細書中で開示される塩生産物とポロヒドロキシ化合物(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)を混ぜ合わせることは、湿潤条件下での塩生産物の安定性を改善する。いくつかの実施形態において、ポリヒドロキシ化合物(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)と本明細書中で開示される塩生産物を混ぜ合わせることは、水分子が塩生産物と結合する能力を阻害する(部分的又は全体的のいずれか)。いくつかの実施形態において、約1−5グラムのポロヒドロキシ化合物(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)が、約1モルの塩生産物と混ぜ合わされる。いくつかの実施形態において、約2−4グラムのポリヒドロキシ化合物(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)は、約1モルの塩生産物と混ぜ合わされる。いくつかの実施形態において、約3グラムのポリヒドロキシ化合物(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)は、約1モルの塩生産物と混ぜ合わされる。
【0112】
特定の実施形態において、本明細書中で開示される塩水溶液は、ポリヒドロキシ化合物と混ぜ合わされる。いくつかの実施形態において、ポリヒドロキシ化合物は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール又はそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、約1−5グラムのポロヒドロキシ化合物(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)が、約1モルの塩生産物と混ぜ合わされる。いくつかの実施形態において、約2−4グラムのポリヒドロキシ化合物(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)は、約1モルの塩生産物と混ぜ合わされる。いくつかの実施形態において、約3グラムのポリヒドロキシ化合物(例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール)は、約1モルの塩生産物と混ぜ合わされる。
【0113】
使用
特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物は、調味料として利用される。さらに又は代替的な実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物は、ナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)の代替品である。特定の実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物及び塩化ナトリウムを含む組成物が、本明細書中で提供される(例えば、ナトリウム塩の部分が式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物で置き換えられる)。
【0114】
いくつかの実施形態において、本明細書中で提供される塩生産物又は組成物は、食品生産物に使用される。特定の実施形態において、本明細書中で提供される塩生産物は、ナトリウム塩の塩代替品として使用される。さらなる又は代替的な実施形態において、本明細書中で提供される塩生産物は、香味剤及び/又は保存料として利用され、並びに任意に食品生産物として利用される。特定の実施形態において、本明細書中に記載される生産物又は組成物は、食品又は栄養品における香味剤又は保存料の代替品として利用される。さらなる又は代替的な実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物又は組成物は、食品生産物を調製するプロセスで利用され、本明細書中に記載されるその塩生産物又は組成物は、少なくとも部分的にナトリウム塩(例えば、塩化ナトリウム)を置き換える又は置換する。
【0115】
具体的な実施形態において、本明細書に記載される式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物又は組成物は、食品生産物の香味剤及び/又は保存料として利用される。その食品生産物としては、肉(例えば、調理肉製品、ひき肉製品、ソーセージ及びホットドッグ)、スナック食品(例えば、乾燥スナック、ベイクドチーズスナック、ポテトチップ、スイートクラッカー、スナックバー、グラノーラバー、キャンディーバー、朝食バー、及び塩味のクラッカー)、酪農食品(例えば、伝統的なチーズ、チーズスプレッド、チーズ)、乾燥又は乾燥食品(例えば、乾燥スープ及び粉末ミルク)、缶詰食品(例えば、缶詰ソース、及び缶詰スープ)、インスタント食品(冷凍及び非冷凍)、冷凍食品(例えば、冷凍ピザ、冷凍テレビ食)、魚、野菜、酵母に基づく製品(例えば、一般的なパン、パン及びペストリー)、スパイス(例えば、カレー又はガラムマサラ)、調味料(例えば、ケチャップ、マヨネーズ、パスタソース、サラダドレッシング、醤油、及びバーベキューソース)、大豆製品、飲料(スポーツドリンク、ソーダ水)等が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書に記載される式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物又は組成物は、調味料生産物、スパイス生産物又は食品用塩生産物として又は中で利用される。
【0116】
従って、本明細書中に記載されるいずれかの塩又は塩組成物で、その調合の間、処理され、風味づけされ、又は、保存された食品生産物、栄養剤、半加工食品生産物及び加工食品生産物が本明細書中の特定の実施形態で提供される。
【0117】
特定の実施形態において、食品生産物には、食品用酸、酸性調整剤、凝固阻止剤、消泡剤、抗酸化剤、充填剤、食品着色剤、色保持剤、乳化剤、香味剤、調味料、粉末処理剤、保湿剤、トレーサーガス、保存料、安定剤、甘味料、増粘剤などを含む。いくつかの実施形態において、食品用酸は、風味を「よりシャープ」にさせるために添加され、保存料及び抗酸化剤としても働く。一般的な食品用酸は、ビネガー、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸及び乳酸が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、酸性調整剤は、食品の酸性度及びアルカリ度を変化させる又はさもなくば制御するために使用される。いくつかの実施形態において、凝固阻止剤は、粉ミルクのような粉末を凝固、又は固着することから避ける。特定の実施形態において、消泡剤は、食品中の泡立ちを減少又は抑制する。いくつかの実施形態において、例えばビタミンCのような抗酸化剤は、食品での酸素の影響を抑制することにより保存料として働き、健康に有益となり得る。特定の実施形態において、スターチのような充填剤は、栄養的価値に影響を及ぼすことなく食品の容量を増やす添加剤である。いくつかの実施形態において、食品着色材は、調製中になくした色を元に戻すとともに食品の審美眼を改善するために、食品に添加される。いくつかの実施形態において、色保持剤は、食品の既存色を保つために使用される。特定の実施形態において、乳化剤は、水と油を、例えばマヨネーズ、アイスクリーム及び均質化乳のようなエマルションで、ともに混ざった状態で維持することを可能にする。いくつかの実施形態において、香味剤は、特定の味や香りを食品に与える添加剤であり、天然成分に由来し、又は人工的に作られる。いくつかの実施形態において、粉末処理剤は、粉末に加えられ、ベーキングにおけるその色又はその使用を改善する。特定の実施形態において、保湿剤は、食品を乾燥させることを防ぐ。いくつかの実施形態において、トレーサーガスは、食品を大気に晒すことを防ぐためのパッケージの整合性テスト(Package Integrity Testing)を可能にし、従って保存期間を保証可能にする。いくつかの実施形態において、保存料は、真菌類、バクテリア及び他の微生物に起因する食品の損傷を防止し、又は抑制する。特定の実施形態において、寒天やペクチンのような(例えば、ジャムに使用される)安定剤、増粘剤及びゲル化剤は、固めの触感を与える。いくつかの場合において、安定化剤は乳化剤ではないが、エマルションを安定化するのに役立つ。いくつかの実施形態において、甘味料は、風味付けのために食品に添加される。特定の例において、砂糖以外の甘味料は、食品エネルギー(カロリー)を低く保つために、又はそれらが糖尿病及び虫歯及び下痢に有益な効果を有することから添加される。いくつかの実施形態において、増粘剤は、混合物に加えられた場合に、混合物の他の特性を略変化させることなくその粘度を増加させる物質である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物又は組成物は、本明細書中で使用されるスパイス、食品用酸、酸性調整剤、凝固阻止剤、消泡剤、抗酸化剤、充填剤、食品着色剤、色保持剤、乳化剤、香味剤、調味料、粉末処理剤、保湿剤、トレーサーガス、保存料、安定剤、甘味料、増粘剤などの量を減らし、又はそれらの1以上を置き換えるために、食品生産物を調製する際に与えられ、又は利用される。
【0118】
特定の例において、冷凍食品は、スパイス(例えば、ブラックペッパー、チリ、ホワイトペッパー、オレガノ、パプリカ、ガーリック等)、香味剤(例えば、ポーク風味、ビーフ風味、ステーキ風味、チキン風味、オニオン風味等)、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、ブドウ糖、リン酸ナトリウム、ブドウ糖果糖液糖固体、ステアロイル乳酸ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、アスコルビン酸、BHA、BHT、クエン酸、及びそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物又は組成物は、本明細書中で使用されるスパイス、香味剤、亜硝酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、ブドウ糖、リン酸ナトリウム、ブドウ糖果糖液糖固体、ステアロイル乳酸ナトリウム、リン酸アルミニウムナトリウム、アスコルビン酸、BHA、BHT、及び/又はクエン酸の量を減らし、又はそれらの1以上を置き換えるために、冷凍食品を調製する際に与えられ、又は利用される。
【0119】
いくつかの例において、スナック食品(例えば、乾燥スナック及び/又はベイクドチーズスナック)は、TBHQ、マルトデキストリン、自然風味(例えば、チーズ)、イノシン酸2ナトリウム、グアニン酸2ナトリウム、カゼイン酸ナトリウム、スパイス(例えば、ブラックペッパー、チリ、ホワイトペッパー、オレガノ、パプリカ、ガーリック、ケージャンペッパー等)、及びそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物又は組成物は、本明細書中で使用されるTBHQ、マルトデキストリン、自然風味、イノシン酸2ナトリウム、グアニン酸2ナトリウム、カゼイン酸ナトリウム、及び/又はスパイスの量を減らし、又はそれらの1以上を置き換えるために、スナック食品(例えば、乾燥スナック及び/又はベイクドチーズスナック)を調製する際に与えられ、又は利用される。
【0120】
いくつかの例において、酪農食品は、安定剤(例えば、イナゴマメガム、キサンタンガム及び/又はガアーガム)、ソルビン酸カリウム、2酢酸ナトリウム、保存料(例えば、ソルビン酸)、及びそれらの組合せを含む。特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物又は組成物は、本明細書中で使用される安定剤、ソルビン酸カリウム、2酢酸ナトリウム、及び/又は保存料の量を減らし、又はそれらの1以上を置き換えるために、酪農食品生産物を調製する際に与えられ、又は利用される。
【0121】
特定の実施形態において、本明細書中に記載される組成物は、本明細書中に記載されるいずれかの用途で利用される。特定の実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む水性組成物、及び、約40%(w/w)まで、又は約30%(w/w)まで、約20%(w/w)まで、約15%(w/w)まで、約10%(w/w)まで、又は約5%(w/w)までの塩濃度を有する1以上の塩化ナトリウム及び塩化カリウムが、利用される。特定の実施形態において、組成物はさらに追加の添加物を含む。具体的な実施形態において、追加の添加物は、塩の香味及び/又は保存特性を強化するに適した添加物を含む。さらなる又は代替的な実施形態において、追加添加物には、任意の調味料及び/又は食品添加物が含まられる。
【0122】
特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩は、マウスフラッシュ(mouth flush)混合物、消毒薬(例えば、ペースト及び軟膏)及び動脈瘤の形成を減らすペーストにもまた利用されるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される塩は、タンパク質加水分解物、フラボノイド、ステロイドなどに利用される。従って、特定の実施形態において、このような生産物は本明細書に提供される。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される塩生産物又は組成物は、低マグネシウム血症(hypomagnesia)を処置するために個別に塩代替品として利用される。特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩及び/又は塩混合物の水溶液は、例えば、コレラ、胃腸障害、サルモネラ又は大腸菌の感染等に起因する旅行者の下痢、脱水等の処置における電解質補充混合物として使用される。
【0123】
いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される塩は、香味剤増強剤として利用される。従って、特定の実施形態において、本明細書中に記載される塩(又は塩混合物)及び香味剤を含む組成物(香味生産物)が、本明細書中で提供される。具体的な実施形態において、このような組成物は、食品添加物である。いくつかの実施形態において、本明細書中に記載される塩又は塩混合物の効果的な量と香味剤とを組み合わせることにより食品中(又は、口に入れられる他のアイテム、例えば、マウスフラッシュ混合物、消毒薬など)の所望の風味を達成するために必要な香味剤の量を減少する方法が本明細書中で提供される。
【0124】
香味剤は、スパイス(例えば、ペッパー、カレー、ハーブ デ プロビンス、5香粉、ガラムマサラ、ブラックペッパー、チリ、チリペッパー、ホワイトペッパー、オレガノ、パプリカ、ガーリック等)、塩(例えば、塩化ナトリウム)、他の香味剤(ポーク風味、ビーフ風味、ステーキ風味、チキン風味、オニオン風味、ハイセンジャン、オイスターソース)等との組み合わせに適している。具体的な実施形態において、式(I)−(IV)のいずれかの塩生産物を含む減ナトリウム醤油が、本明細書中で提供される。
【実施例】
【0125】
以下に記載される実施例は、本明細書中に記載される生産物及びプロセスを例示するものであるが、これらに限定されない。
【0126】
実施例1
実施例は、25モル%の塩化カリウム及び75モル%の塩化アンモニウムを含む混合カーナライトを濾過法により生産する方法を記載する。2モル%の過剰塩化アンモニウムが、その方法中に含まれた。
【0127】
1.0モル(203.3g)の塩化マグネシウム6水和物、0.25モル(18.64g)の塩化カリウム及び0.765モル(40.93g)の塩化アンモニウムが、125mlの水に溶解された。混合物は、その混合物の残存水が50mlとなるまで、煮沸により濃縮された。混合物は冷却され、吸引濾過され、そして結晶の塊は、50℃の温度で回転ドラムにおいて乾燥された。
【0128】
収率:好ましい味の白い結晶生産物の236g(90%)。生産物は、実質的に非吸湿性である。
【0129】
実施例2
実施例は、2モル%の過剰塩化アンモニウムを含む総蒸発乾固を用いてアンモニウカーナライトを製造するための方法を記載する。
【0130】
1.02モル(54.6g)の塩化アンモニウム及び1.0モル(203.3g)の塩化マグネシウム6水和物は、120mlの水に添加された。混合物は、水の大部分を蒸発させるために撹拌しながら煮沸に至るまで加熱された。形成された大きい結晶の塊は、ヘラで混ぜられ、乾燥生産物が形成するまで優しく加熱された。
【0131】
収率:好ましく、微弱酸味を有する白い塩の256g(理論上)。生産物は、実質的に非吸湿性である。
【0132】
実施例3
実施例は、グリシン(1モル%)及び塩化アンモニウム(2モル%)の存在下の水の総蒸発によりカリウムカーナライトを製造するための方法を記載する。
【0133】
1.0モル(203.3g)の塩化マグネシウム6水和物及び1.0モル(74.55g)の塩化カリウムは、125mlの水に添加された。グリシン(0.75g)及び塩化アンモニウム(1.07g)が添加され、混合物は実施例2に記載されるように処理された。2つの緩衝剤が、乾燥の最終段階で主に排出された。
【0134】
収率:海水の印をつけられた白い塩の278g(理論上)。生産物は、70%RHを超える湿度において微弱吸湿性であるが、アルカリ塩化物と混ぜ合わせた場合安定化する。
【0135】
実施例4
実施例は、25モル%の塩化アンモニウム及び75モル%の塩化カリウムを含む混合カーナライトを、濾過法により生産する方法を記載する。2モル%の過剰塩化アンモニウムが、その混合物中に含まれる。
【0136】
1.0モル(203.3g)の塩化マグネシウム6水和物、0.75モル(55.91g)の塩化カリウム及び0.255モル(13.65g)の塩化アンモニウムが、125mlの水に添加された。過剰量の水は、混合物中の残存水が40mlとなる点まで、煮沸により蒸発された。混合物は冷却され、吸引濾過され、そして結晶の塊は、回転ドラムで乾燥された(50℃)。
【0137】
収率:白く、小さい結晶サイズの実質的に非吸湿性物質の231g(85%)。味は好ましい。
【0138】
実施例5
実施例は、総蒸発乾固により50モル%の塩化カリウム及び50モル%の塩化アンモニウムを含む混合カーナライトを製造するための方法を記載する。過剰の塩化アンモニウム(2モル%)がその混合物中に与えられる。
【0139】
1.0モル(203.3g)の塩化マグネシウム、0.5モル(37.28g)の塩化カリウム及び0.51モル(27.29g)の塩化アンモニウムが、125mlの水に溶解された。混合物は実施例2に記載されるように処理され、自由な流動塩を製造した。
【0140】
収率:白く、小さい結晶サイズであり、好ましく塩の効いた味を有する実質的に非吸湿性物質の224g(84%)。
【0141】
異なる量のカリウムおよびアンモニウムを含む塩生産物が、水に溶解されたモル%の塩化アンモニウムと水に溶解されたモル%の塩化カリウムを調整することにより同じ方法で調製される。
【0142】
実施例6
用途に応じて、アンモニウムに対するカリウムの異なる比率は、本明細書中に記載される塩生産物及び組成物に利用される。本明細書中に記載される塩生産物及び組成物は(例えば、表1−3の塩生産物及び組成物を含む)、量を徐々に増やして食品生産物に蓄積される(例えば、1グラムの食品生産物当たり0.01mgの塩生産物から)。食品生産物は、健康な被験者のサンプリングにより味が調べられ、食味は、1−10段階で評価された。それから、食品生産物は、保存され、塩生産物又は組成物の保存特性が10段階で評価される。
【0143】
特定の例において、本明細書中に記載される塩生産物又は組成物が保存料として利用される場合に、本明細書中に記載される最もよい塩生産物又は組成物は、最もよい味及び最もよい保存特性を生じるカリウムとアンモニウムの比率に基づいて決定される。特定の例として、本明細書中に記載される塩生産物又は組成物が香味剤としてのみ利用される場合、塩の味のみが考慮される必要がある。
【0144】
実施例7
市場の新鮮なサーモンから10gの2切れがカットされ、両方は、銀色に色づく皮膚の顕著な領域を備える。両方は塩漬けされ、第1は0.5gの食卓塩で、他方は0.5gの実施例3の塩生産物で塩漬けされた。両方のサンプルが、冷蔵庫内に12℃の温度で保存され、サーモンの皮膚の化学輝度が時々目視で観察された。食卓塩で塩漬けされたサンプルの輝度は、48時間の貯蔵の後、消失した。塩漬けされたサンプルの輝度は、変色する前さらに55時間続けられた。従って、実施例2の塩生産物は、魚の肉の劣化におけるギ酸の形成を抑制する能力があることを例示している。同様の効果が、ハム及び他の肉生産物において確認された。
【0145】
実施例8
本明細書中に記載される塩生産物及び組成物は(例えば、表1−3の塩生産物及び組成物を含む)、重量%量を徐々に増やして香味剤(例えば、塩又はスパイス)と組み合わせて調合される。それから、夫々の組合せは、量を増加させて(例えば、1mgの組合せから)、健康な被験者のサンプリングにより味が調べられた。それから、その組み合わせは、健康な被験者のサンプリングにより味が調べられ、食味は、1−10段階で評価された。
【0146】
加えて、又は代替的に、夫々の組合せは、量を増加させて(例えば、1グラムの食品生産物当たり0.01gの塩生産物から)食品生産物に置かれる。それから、食品生産物は、健康な被験者のサンプリングにより味が調べられ、食味は、1−10段階で評価された。
【0147】
実施例9
実施例は、25モル%の塩化カリウム及び75モル%の塩化アンモニウムを含む混合カーナライトを、濾過法により生産する方法を記載する。2モル%の過剰塩化アンモニウムが、その方法中に含まれる。
【0148】
1.0モル(203.3g)の塩化マグネシウム6水和物、0.25モル(18.64g)の塩化カリウム及び0.765モル(40.93g)の塩化アンモニウムが、125mlの水に溶解される。混合物は、その混合物の残存水が50mlとなるまで、煮沸により濃縮される。混合物は、水の大部分を蒸発させるために撹拌しながら煮沸に至るまで加熱される。形成された大きい結晶の塊は、攪拌され、乾燥生産物が形成するまで優しく加熱される。
【0149】
実施例10
実施例は、25モル%の塩化カリウム及び75モル%の塩化アンモニウムを含む混合カーナライトを濾過法により生産する方法を記載する。2モル%の過剰塩化アンモニウムが、その方法中に含まれる。
【0150】
1.0モル(203.3g)の塩化マグネシウム6水和物、0.25モル(18.64g)の塩化カリウム及び0.765モル(40.93g)の塩化アンモニウムが、125mlの水に溶解される。混合物は、その混合物の残存水が50mlとなるまで、煮沸により濃縮される。混合物は冷却され、吸引濾過され、そして結晶の塊は、50℃の温度で回転ドラムにおいて乾燥された。
【0151】
実施例11
X線回折(XRD)パターンは、本明細書中に記載される塩のために取得された。
図1は、サンプル1のXRDパターンを例示し、このサンプル1は、回転蒸発及び濾過(85%収率)での濃縮により調製されるMgCl2xNH4Cl・6H2Oのサンプルである。サンプル2のXRDパターンは、溶媒の総蒸発(およそ100収率)によるMgCl2x0.75NH4Clx0.25KCl・6H2Oのサンプルである。NH4MgCl3のスティックパターンを基準にする。
同様に、式(I)に従う本明細書中に記載される塩生産物のXRDパターンは、xが約0.25、yが約0.75、zが約6、及びgが約3の場合、KMgCl3・6H2O(図2)、MgCl2(図3)、NHCl4(図4)、KCl(図5)及びNH4MgCl3・6H2O(図6)と比較され、そして異なることが確認された。
いくつかの実施形態において、本明細書中で提供されるサンプルが、
(1)図1−5のいずれかのMgCl2x0.75NH4Clx0.25KCl・6H2Oのパターンの2θ値と略等しい2θ値を備える1以上のピーク、
(2)KMgCl3・6H2O、MgCl2、NHCl4、KCl、NH4MgCl3・6H2O又はこれらの組合せのいずれかのスティック図(図1−6のいずれかの)に見出される2θ値と略等しい2θ値を有する1以上のピークが略無いこと、
(3)同様のまたは同一の2θ値(例えば、図1−6のいずれかのスティック図に説明されるように)を備える1組のピークを有するKMgCl3・6H2O、MgCl2、NHCl4、KCl、NH4MgCl3・6H2Oのいずれかの1以上のピーク強度割合と異なる、第1の2θを備える第1のピークに対する第2の2θを備える第2のピークのピーク強度割合(例えば、図1−6のいずれかのスティック図で示されるように)、又はそれらの組合せ、を含む。
いくつかの実施形態において、本明細書中で提供される塩と、1以上のKMgCl3・6H2O、MgCl2、NHCl4、KCl、NH4MgCl3・6H2Oとを比較した場合、1以上のピークの相対的な強度が異なる。
【0152】
本発明の好適な実施形態が、本明細書中に示されるとともに記載されるが、このような実施形態がほんの一例として提供されることは、当該分野の当業者にとって、明らかである。多くの変更、変化及び置換は、本発明から逸脱することなく当該分野の当業者に思い浮かぶだろう。本明細書中に記載される本発明の実施形態の様々な代替が、本発明を実施するのに使用され得ることは当然に理解される。添付される特許請求の範囲は、本発明の範囲を規定するとともに、これら特許請求の範囲及びそれらにより変換される等価物内でのその方法及び構成を規定することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品生産物に使用される略非吸湿性の塩であって、
該塩が次の式を有し、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、そして、
食品生産物で使用される前記塩が略非吸湿性であるとともに略塩化水素フリーであることを特徴とする塩。
【請求項2】
食品生産物に使用される略非吸湿性の塩であって、
該塩が次の式を有し、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
式中、x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.55から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、そして、
食品生産物で使用される前記塩が略非吸湿性であるとともに略塩化水素フリーであることを特徴とする食品生産物に使用される塩。
【請求項3】
zが6であることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品生産物に使用される塩。
【請求項4】
前記食品生産物に使用される塩は、
(a)(i)塩化マグネシウム、及び(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム又はそれらの組合せを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させ、
(b)前記水性溶媒を煮沸し、そして、
(c)食品生産物中に使用される塩を利用可能とするために蒸発させることにより前記水性溶媒を除去することにより調製され、
塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yであることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品生産物に使用される塩。
【請求項5】
前記食品生産物に使用される塩は、
(a)(i)塩化マグネシウム、(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せ、及び(iii)酸スカベンジャーを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させ、
(b)前記水性溶媒を煮沸し、
(c)前記水性溶媒から食品生産物に使用される塩を沈殿させ、
(d)食品生産物に使用される沈殿した塩をフィルター濾過し、そして
(e)任意に前記濾過を再循環させることにより調製され、
塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yであることを特徴とする請求項1又は2に記載の食品生産物に使用される塩。
【請求項6】
前記食品生産物に使用される塩が、濾過プロセス、半乾性濾過プロセス、噴霧乾燥プロセス、バルクプロセス又はドラム乾燥プロセスにより調製されることを特徴とする請求項5に記載の食品生産物に使用される塩。
【請求項7】
前記(b)が、追加量の約1−10mol%の塩化アンモニウムを水溶媒中に溶解させることをさらに含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の食品生産物に使用される塩。
【請求項8】
前記(b)が、追加量の約2mol%の塩化アンモニウムを水溶媒中に溶解させることをさらに含むことを特徴とする請求項4又は5に記載の食品生産物に使用される塩。
【請求項9】
xが約0.25であり、yが約0.75であることを特徴とする請求項1乃至9いずれかに記載の食品生産物に使用される塩。
【請求項10】
コア及び少なくとも1つの層を備える粒子であって、
前記コアは請求項1乃至9いずれかに記載の塩を含み、
前記粒子の少なくとも1つの前記層が塩化ナトリウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする粒子。
【請求項11】
(i)請求項1乃至9いずれかに記載される食品生産物に使用される塩、及び(ii)塩化ナトリウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せを含むことを特徴とする組成物。
【請求項12】
(i)請求項1乃至9いずれかに記載される食品生産物に使用される塩、及び(ii)水性溶媒と、を備え、
前記塩が水性溶媒に溶解されるとともに解離されることを特徴とする組成物。
【請求項13】
請求項1乃至9いずれかに記載される食品生産物に使用される塩を飲料水中に溶解することにより調製されることを特徴とする水溶液。
【請求項14】
マグネシウムカチオン、カリウムカチオン及びアンモニウムカチオンのモル比が1:x:yであることを特徴とする請求項13記載の水溶液。
【請求項15】
前記水溶液が、水性溶媒中に塩化ナトリウム及び塩化カリウムをさらに溶解することにより調製されることを特徴とする請求項14記載の水溶液。
【請求項16】
ナトリウムカチオン、カリウムカチオン、マグネシウムカチオン及びアンモニウムカチオンを含み、
ナトリウムカチオンに対するカリウムカチオンのモル比が1:0.005から1:0.5であり、ナトリウムカチオンに対するマグネシウムカチオンのモル比が1:0.005から1:0.1であり、及び、
ナトリウムカチオンに対するアンモニウムカチオンのモル比が1:0から1:0.1であることを特徴とする請求項15記載の水溶液。
【請求項17】
栄養剤、半仕加工食品生産物、香味生産物、加工食品生産物の調製の間、栄養剤、半仕加工食品生産物、香味生産物、加工食品生産物は、請求項1乃至9いずれかに記載の食品生産物に使用される塩、請求項11又は12に記載の組成物、又は請求項13乃至16いずれかに記載の溶液で加工され、又は保存されることを特徴とする栄養剤、半仕加工食品生産物、香味生産物、加工食品生産物。
【請求項18】
前記加工食品生産物は、肉、魚、野菜、スナック食品、スープ、ソース、酪農製品、及び酵母系製品から選択されることを特徴とする請求項17に記載の栄養剤、半加工食品生産物、香味生産物、加工食品生産物。
【請求項19】
請求項1乃至9いずれかに記載の食品生産物に使用される塩、請求項11又は12に記載の組成物、又は請求項13乃至16いずれかに記載の溶液に使用される塩と、食品生産物中のナトリウム含有塩を少なくとも部分的に置き換えることにより食品生産物のナトリウム含有量を減らすことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記食品生産物は、略風味又は保存期限を減少させないことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
食品生産物に使用される略非吸湿性の塩を調製するための方法であって、
該塩は次の式を有し、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
該方法は、
(a)(i)塩化マグネシウム、及び、(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム又はそれらの組合せを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程と、及び、
(b)食品生産物中に使用される塩を利用可能とするために蒸発により前記水性溶媒を除去する工程と、を備え、
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yであることを特徴とする方法。
【請求項22】
x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.5から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、そして、
塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yであることを特徴とする請求項21記載の方法。
【請求項23】
追加の約1−10mol%の塩化アンモニウムを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項21又は22記載の方法。
【請求項24】
追加の約2mol%の塩化アンモニウムを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程をさらに含むことを特徴とする請求項21又は22記載の方法。
【請求項25】
食品生産物に使用される略非吸湿性の塩を調製するための方法であって、
該塩は次の式を有し、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
該方法は、
(a)(i)塩化マグネシウム、(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せ、及び(iii)酸スカベンジャーを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程と、
(b)食品生産物中に使用される塩を利用可能とするために蒸発により前記水性溶媒を除去する工程と、を備え、
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、そして、
塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yであることを特徴とする方法。
【請求項26】
x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.5から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、そして、
塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が約1:x:yであることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
蒸発により前記水性溶媒を除去する工程が、前記水性溶媒を煮沸する工程を含むことを特徴とする請求項21乃至26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
食品生産物に使用される塩を調製するための方法であって、
該塩は次の式を有し、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
該方法は、
(a)(i)塩化マグネシウム、(ii)塩化アンモニウム、塩化カリウム、又はそれらの組合せ、及び(iii)酸スカベンジャーを水性溶媒中に溶解又は水性溶媒で湿潤させる工程と、
(b)前記水性溶媒から食品生産物に使用される塩を沈殿させる工程と、
(c)沈殿物をフィルター濾過する工程と、及び
(d)任意に前記濾過を再循環させる工程と、を備え、
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、そして、
塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yであることを特徴とする方法。
【請求項29】
x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.5から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であり、そして、
塩化マグネシウム:塩化カリウム:塩化アンモニウムのモル比が1:x:yであることを特徴とする請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記塩は、濾過プロセス、半乾性濾過プロセス、噴霧乾燥プロセス、バルクプロセス又はドラム乾燥プロセスにより調製されることを特徴とする請求項28又は29記載の方法。
【請求項31】
食品生産物に使用される略非吸湿性の塩であって、
該塩は次の式を有し、
MgKx(NH4)yClg・zH2O 式(III)
式中、x及びyの合計が約1であり、0≦x<1であり、0<y≦1であり、gが約3であり、zが約4−6であり、
食品生産物に使用される塩における約5%未満のKイオンが、生理学的に許容可能なカチオンと任意に置換され、
食品生産物に使用される塩における約5%未満のNHイオンが、生理学的に許容可能なカチオンと任意に置換され、
食品生産物に使用される塩における約5%未満のClイオンが、生理学的に許容可能なアニオンと任意に置換され、そして、
食品生産物に使用される塩が略非吸湿性であることを特徴とする塩。
【請求項32】
x及びyの合計が約1であり、xが約0.05から約0.45であり、yが約0.5から約0.95であり、gが約3であり、zが約4−6であることを特徴とする請求項31に記載の塩。
【請求項33】
生理学的に許容可能なカチオンは、カルシウム、亜鉛、セレニウム、銅、コバルト、クロム、マンガン、モリブデン、及びそれらの組合せから選択されることを特徴とする請求項31又は32に記載の食品生産物で使用される塩。
【請求項34】
生理学的に許容可能なアニオンは、フッ化物、ヨウ化物、リン酸塩、ケイ酸塩、セレン酸塩、硫酸塩、亜硝酸塩及びそれらの組合せから選択されることを特徴とする請求項31又は32に記載の食品生産物で使用される塩。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−528893(P2011−528893A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−500997(P2011−500997)
【出願日】平成21年3月20日(2009.3.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/037877
【国際公開番号】WO2009/117702
【国際公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【出願人】(510251590)スマート ソルト, インク. (1)
【Fターム(参考)】