説明

カーブコンベヤ

【課題】ベルト保持機構を必要としないカーブコンベヤを提供し、カーブコンベヤのコストを削減するとともに保守管理を容易にする。
【解決手段】カーブベルト13を駆動テーパローラ11と従動テーパローラ12に掛け回し扇型に張設する。カーブベルト13の内周辺P2の長さである内周長を、扇形に張設されるカーブベルト13の中心角度α、テーパローラ11、12のテーパ角度θ、ベルト内周辺P2までの半径R2、ベルト外周辺P1までの半径R1により幾何学的に規定される内周長よりも0.3%〜0.5%短くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テーパローラを用いてカーブベルトを張設するカーブコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
カーブコンベヤには、一対のテーパローラにカーブベルトを掛け回し、カーブベルトを扇形に張設するものが知られている。一般にカーブコンベヤでは、扇形の中心に向けた向心力がカーブベルトに作用するため、カーブベルトの外周部にはこの向心力に抗してベルトのずれを防止するベルト保持機構が設けられる。ベルト保持機構としては、例えばカーブベルト外周縁に設けられたビードをローラ等により把持する構成がとられるが、このような構成ではビードに応力が集中するため、ビードの早期破損を招きベルトを頻繁に交換する必要が生じる。
【0003】
このような問題に対して、一対のテーパローラの扇形中心側の回転軸を外側に開くように移動させることにより、カーブベルトに向心力とは反対向きの外向きの力を与える装置や、テーパローラの表面に、ローラ軸に沿って扇形外側に向けて変形可能な弾性体を設け、テーパローラに掛け回されたカーブベルトのベルト張力によりカーブベルトが扇形外側に向けた外向きの力を与える装置が提案されている(特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−176008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、保持機構は、コンベヤ機構を複雑にするとともに部品点数を増大させ、コストを上昇させる。更に、保持機構は、カーブベルトの着脱の手間を増大させるという問題がある。
【0005】
本発明は、ベルト保持機構を必要としないカーブコンベヤを提供し、カーブコンベヤのコストを削減し、保守管理を容易なものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るカーブコンベヤは、テーパローラを用いてカーブベルトを張設するカーブコンベヤであって、カーブベルトの内周長を、扇形に張設されるカーブベルトの中心角度、テーパローラのテーパ角度、ベルト内周までの半径、ベルト外周までの半径により幾何学的に規定される内周長よりも0.3%〜0.5%短くしたことを特徴としている。
【0007】
本発明に係るカーブコンベヤは、テーパローラを用いてカーブベルトを張設するカーブコンベヤであって、テーパローラのテーパ角度が、テーパローラの外周面を扇形中心に向けて延長したときの円錐の頂点がカーブコンベヤにおける扇形の中心に一致するように設定されたテーパローラのテーパ角度よりも小さく設定されたことを特徴としている。
【0008】
また更に本発明に係るカーブコンベヤは、テーパローラのテーパ角度が、テーパローラの外周面を扇形中心に向けて延長したときの円錐の頂点がカーブコンベヤにおける扇形の中心に一致するように設定されたテーパローラのテーパ角度よりも20%〜30%小さく設定されるとともに、カーブベルトの内周長を、扇形に張設される前記カーブベルトの中心角度、テーパローラのテーパ角度、ベルト内周までの半径、ベルト外周までの半径により幾何学的に規定される内周長よりも0.3%〜0.5%短くしたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明によれば、ベルト保持機構を必要としないカーブコンベヤを提供し、カーブコンベヤのコストを削減し、保守管理を容易なものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態であるカーブベルトを用いたベルトコンベヤの概観を模式的に示す平面図である。
【0011】
第1実施形態のカーブコンベヤ10では、駆動テーパローラ11と従動テーパローラ12が、所定の中心角度をなすように配置される。駆動テーパローラ11と従動テーパローラ12には、カーブベルト13が掛け回され、カーブベルト13は扇形に張設される。駆動テーパローラ11のシャフト11Aは、例えばベルト伝動装置14により、原動機15に連結され、回転力が与えられる。一方、従動テーパローラ12は、自由に回転できるようにコンベア本体に取り付けられる。なお、テーパローラ11、12の両方に回転トルクを与える構成であってもよい。
【0012】
テーパローラ11、12のなす中心角度は、図1に示されるようにコンベヤ設計角度(中心角度)αにより規定される。ここでコンベヤ設計角度αは、扇形に張設されたカーブベルト13の平面図において、各テーパローラ11、12の円錐外周面の外側の母線によって挟まれる角度によって定義される。
【0013】
また、テーパローラ11、12のテーパ角度(テーパローラの最も離間した母線がなす角)θは、テーパローラ11、12の外周面を扇形中心に向けて延長したときに円錐の頂点が、カーブコンベヤ10における扇形の中心に一致するように設定される。
【0014】
カーブベルト13の外側の円弧に対応する外周辺P1の長さ(外周長L1)と、内側の円弧に対応する内周辺P2の長さ(内周長L2)は、コンベヤ設計角度αや、テーパ角度θ、外周辺P1、内周辺P2の扇形の中心からの距離(半径)R1、R2によって幾何学的に規定される。従来のカーブコンベヤでは、コンベヤ設計角度α、テーパ角度θ、半径R1、R2により幾何学的に規定される外周長、内周長を備えるカーブベルトが用いられている。
【0015】
しかし、本発明の第1実施形態では、ベルトの内周長L2が、上述のように幾何学的に規定される長さよりも0.3%〜0.5%短く設定される(特に好ましくは0.3%)。これにより、カーブベルト13の内周辺P2側には、大きな張力が働き、カーブベルト13には向心力と釣合う外向きの力が作用する。
【0016】
以上により、本発明の第1実施形態によれば、カーブベルトに向心力と釣合う外向きの力を与えることができるので、ベルト保持機構を設けなくともベルトの扇形中心に向けたずれを防止できる。これにより、カーブコンベヤの製造コストを削減するとともに、保守作業の効率化を図ることができる。
【0017】
次に図2を参照して本発明の第2実施形態のカーブコンベヤについて説明する。図2は、第2実施形態のカーブコンベヤ20の構成を示す模式的な平面図である。
【0018】
図2に示されるように、第2実施形態のカーブコンベヤ20では、カーブベルト23は、一対の駆動および従動テーパローラ21、22に掛け回されて扇形に張設される。なお、第1実施形態と同様にテーパローラ21、22の両方を駆動ローラとしてもよい。
【0019】
第1実施形態では、テーパローラ11、12のテーパ角度θは、従来のように、テーパローラ11、12の外周面を扇形中心に向けて延長したときの円錐の頂点が、カーブコンベヤ10における扇形の中心に一致するように設定された。しかし第2実施形態では、テーパローラ21、22のテーパ角度φはテーパ角度θよりも20%〜30%小さく設定される(特に好ましくは30%)。
【0020】
このとき、テーパローラ21、22は、各テーパローラ21、22の側面における外側の母線L1、L2の延長線が、扇形の中心Oにおいて交差するように配置される。これにより、テーパローラ21、22の内側において、ベルトとの接触面積が大きくなり、高いグリップ力が得られる。また、テーパローラ21、22の内側の直径が大きいため、内側のベルト搬送速度が、テーパ角度がθのときよりも速くなる。
【0021】
これにより、カーブベルト23には、径方向外側に向けた外向きの力が作用し、これをベルトの向心力と釣合わせることにより、カーブベルトのずれを防止でき、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、第2実施形態では、カーブベルト23として、従来のように幾何学的に規定される内周長を備えたベルトを用い、内側の張力を外側に比べて大きく設定する必要はないが、第2実施形態に更に第1実施形態を適用することも可能である。なお、本願発明は軽搬送ベルトコンベヤにおいて特に高い効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1実施形態であるカーブベルトを用いたベルトコンベヤの概観を模式的に示す平面図である。
【図2】第2実施形態のカーブコンベヤの構成を説明するための模式的な平面図である。
【符号の説明】
【0023】
10、20 カーブコンベヤ
11、21 駆動テーパローラ
12、22 従動テーパローラ
13、23 カーブベルト
14 ベルト伝動装置
15 原動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テーパローラを用いてカーブベルトを張設するカーブコンベヤであって、
前記カーブベルトの内周長を、扇形に張設される前記カーブベルトの中心角度、前記テーパローラのテーパ角度、ベルト内周までの半径、ベルト外周までの半径により幾何学的に規定される内周長よりも0.3%〜0.5%短くした
ことを特徴とするカーブコンベヤ。
【請求項2】
テーパローラを用いてカーブベルトを張設するカーブコンベヤであって、
前記テーパローラのテーパ角度が、テーパローラの外周面を扇形中心に向けて延長したときの円錐の頂点がカーブコンベヤにおける扇形の中心に一致するように設定されたテーパローラのテーパ角度よりも小さく設定される
ことを特徴とするカーブコンベヤ。
【請求項3】
前記カーブベルトの内周長を、扇形に張設される前記カーブベルトの中心角度、前記テーパローラのテーパ角度、ベルト内周までの半径、ベルト外周までの半径により幾何学的に規定される内周長よりも0.3%〜0.5%短くしたことを特徴とする請求項2に記載のカーブコンベヤ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−297155(P2007−297155A)
【公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−125032(P2006−125032)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【出願人】(000111085)ニッタ株式会社 (588)
【Fターム(参考)】