説明

カーボンナノチューブの連続的な精製装置

【課題】別途の精製工程無しに、連続装置を使用して亜臨界水または超臨界水条件でカーボンナノチューブを精製する。
【解決手段】酸化剤の含まれたカーボンナノチューブ混合液を100〜370℃で加熱される予熱槽200と、予熱槽200を経た混合液が、50〜400atmで処理される亜臨界水または超臨界水状態に100〜600℃で注入される精製反応槽310と、精製反応槽310を経て精製された生成物を0〜100℃に冷却する冷却装置60を経て、1〜10atmに減圧する減圧槽600と、減圧槽600を経て生成物が回収される生成物貯蔵槽700とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブの連続的な精製装置に関し、具体的には、カーボンナノチューブを亜臨界水または超臨界水条件で連続的に精製する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(Carbon nanotube;以下、CNT)は、1991年、その構造が初めて発見されて、これに関する合成と物性、そして応用に関する研究が活発に行われている。また、CNTは、電気放電時、Fe、Ni、Coなどのような遷移金属を添加すると生成されることが確認されて、本格的な研究は、1996年レーザー蒸発法により相当量の試料を作り出し始めた時から始まった。このようなCNTは、グラファイト(Graphite)面がナノ大きさの直径で丸く巻かれた、中の空いたチューブ形態であって、この際、グラファイト面が巻かれる角度及び構造によって、電気的特性が導体または半導体などになる。また、CNTは、グラファイト壁の数によって、単層カーボンナノチューブ(Single-walled carbon nanotube; SWCNT)、二層カーボンナノチューブ(Double-walled carbon nanotube; DWCNT)、薄い多層カーボンナノチューブ(Thin multi-walled carbon nanotube)、多層カーボンナノチューブ(Multi-walled carbon nanotube;MWCNT)、束型カーボンナノチューブ(Roped carbon nanotube)に区分される。
【0003】
特に、CNTは、機械的強度及び弾性度に優れており、化学的に安定して、環境親和性を有しており、電気的に導体及び半導体性を有しているだけではなく、直径が1nm〜数十nmであり、長さが数μm〜数十μmであって、縦横比が約1,000に至る既存のいかなる物質よりも大きい。また、比表面積が非常に大きくて、向後次世代情報電子素材、高効率エネルギー素材、高機能性複合素材、新環境素材などの分野で21世紀をリードする尖端新素材として脚光を浴びている。
【0004】
しかしながら、CNTの製造過程で発生するCNT以外の炭素成分、非晶質、グラファイト(graphite)、アルファ炭素などの不純物により、CNTが有している電気的、機械的、物理的特性を活用するに困難がある。したがって、CNTの長所を生かしながら、多様な用途に活用幅を広めるためには、連続的に大量精製する方法が必要である。CNTを精製する技術としては、大韓民国特許発明第2001−0049298号における酸性ガス熱分解で精製する方法、米国特許発明第5641466号における酸化剤を利用して熱処理を通じて精製する方法、日本特許発明第1996−12310号における酸化剤高温で精製する方法がある。
【0005】
しかし、上記の技術の場合、熱処理する時間が長く、酸処理工程までの段階が複雑で、時間がたくさん消耗される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】大韓民国特許発明第2001−0049298号
【特許文献2】米国特許発明第5641466号
【特許文献3】日本特許発明第1996−12310号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような問題点を解決するために、本発明の目的は、別途の精製工程無しに、連続装置を使用して亜臨界水または超臨界水条件でカーボンナノチューブを精製するカーボンナノチューブの連続的な精製装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カーボンナノチューブが水の含まれた溶媒と循環ポンプにより混合されてカーボンナノチューブ混合液が形成される前処理槽と、前記前処理されたカーボンナノチューブ混合液が50〜400atmの圧力で注入される過程で酸化剤と接触しカーボンナノチューブ混合液と混合されて、前記注入された混合液が100〜370℃で加熱される予熱槽と、前記予熱槽を経た混合液が、50〜400atmで処理される亜臨界水または超臨界水状態に100〜600℃温度で注入される第1精製反応槽と、前記第1精製反応槽を経て第1精製された生成物を0〜100℃に冷却する冷却装置を経て、1〜10atmに減圧する減圧槽と、前記減圧槽を経て生成物が回収される生成物貯蔵槽と、を含むカーボンナノチューブの連続的な精製装置を提供する。
【0009】
また本発明は、酸化剤を含むカーボンナノチューブ混合液を、50〜400atmの圧力と100〜600℃の温度の亜臨界水または超臨界水条件で精製反応槽に注入し、第1精製生成物を得る第1精製段階と、前記第1精製段階後に、前記第1精製生成物を酸溶液と反応させて無機物成分を除去し、第2精製生成物を得る第2精製段階と、を備えた方法によって精製されたカーボンナノチューブを提供する。
【0010】
以下、添付の図面を参照し、本発明の好ましい一実施例を詳細に説明する。図面において、同一な構成要素または部品には、同一な符号を付する。本発明の説明において、係わる公知機能あるいは構成に対する具体的な説明は、本発明の要旨を曖昧にすることを避けるために省く。
【0011】
本明細書で使用される、程度を示す用語‘約’、‘実質的に’などは、言及された意味に固有な製造及び物質許容誤差が提示される時、その数値でまたはその数値に近接した意味で使用されて、本発明の理解を助けるために正確なあるいは絶対的な数値が言及された開示内容を、非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために使用される。
【0012】
図1は、本発明の好ましい一実施例によるカーボンナノチューブの連続的な精製工程図である。図1を参照すると、本発明のカーボンナノチューブの精製は、カーボンナノチューブ溶液の製造段階S100、カーボンナノチューブ溶液の注入段階S200、酸化剤の注入段階S300、予熱段階S400、第1精製段階S500、冷却段階S800に進行されて、前記第1精製段階S500以後、酸溶液の注入段階S600、第2精製段階S700がさらに進行でき、前記冷却段階S800以後、ろ過段階S911、生成物回収段階S913及び減圧段階S915に進行されるか、減圧段階S931及び生成物回収段階S933に進行され得る。
【0013】
図2は、本発明の好ましい一実施例によるろ過装置が含まれたカーボンナノチューブの連続的な精製装置工程図である。図2を参照すると、本発明のカーボンナノチューブの連続的な精製装置は、前処理槽100、予熱槽200、第1精製反応槽310、第1ろ過槽410、第2ろ過槽430及びろ過液貯蔵槽500が含まれて、第1精製反応槽310の次に第2精製反応槽330をさらに含むことができる。
【0014】
図3は、本発明の好ましい一実施例によるカーボンナノチューブの連続的な精製装置工程図である。図3を参照すると、本発明のまた他の例である減圧槽が含まれたカーボンナノチューブの連続的な精製装置は、前処理槽100、予熱槽200、第1精製反応槽310、減圧槽600及び生成物貯蔵槽700が含まれて、第1精製反応槽310の次に第2精製反応槽330をさらに含むことができる。
【0015】
本発明は、図2または図3の連続的な精製装置を利用し、酸化剤の含まれたカーボンナノチューブ混合液を50〜400atmの圧力と100〜600℃温度で亜臨界水または超臨界水条件の精製反応槽に注入して精製生成物が得られる第1精製段階を経て進行されて、前記第1精製された生成物が酸溶液と反応して無機物成分が除去される第2精製段階をさらに含むことができる。
【0016】
前記酸化剤が含まれたカーボンナノチューブ混合液は、カーボンナノチューブ及び溶媒の含まれたカーボンナノチューブ溶液が第1精製反応槽310の前端の予熱槽200に注入される途中に酸化剤が注入され、前記カーボンナノチューブ溶液と接触してなるカーボンナノチューブ混合液であって、予熱槽200に注入されて200〜370℃で予熱段階S400を経たものであることを特徴とするカーボンナノチューブの連続的な精製方法を提供する。
【0017】
これをさらに具体的に説明すると、前記酸化剤の含まれたカーボンナノチューブ混合液は、カーボンナノチューブ及び溶媒の含まれたカーボンナノチューブ溶液が前処理槽100で循環ポンプ10により循環してカーボンナノチューブ混合液が製造されるカーボンナノチューブ溶液の製造段階S100で製造されたカーボンナノチューブ溶液が、第1精製反応槽の前端の予熱槽200にカーボンナノチューブ溶液注入段階S200でCNT溶液高圧注入ポンプ20によりカーボンナノチューブ溶液が50〜400atmの圧力で注入される途中に、酸化剤が酸化剤高圧注入ポンプ30により50〜400atmの圧力で注入され、酸化剤注入段階S300を経て前記カーボンナノチューブ溶液と接触して形成されたカーボンナノチューブ溶液と酸化剤の混合液が予熱槽200に注入されて、200〜370℃に予熱段階S400を経たものであることを特徴とするカーボンナノチューブの連続的な精製方法を提供する。
【0018】
前記カーボンナノチューブ溶液の製造段階S100において、カーボンナノチューブ及び溶媒の含まれたカーボンナノチューブ(CNT)溶液は、前記酸化剤とカーボンナノチューブの混合液が製造される前に、CNTと溶媒が前処理槽100に投入され、循環ポンプ10によりCNT溶液が製造できる。前記CNT溶液に含まれる前記溶媒は、水を必ず含み、(C1−C20)の脂肪族アルコール、二酸化炭素及びこれらの混合物からなる群から選択できる。
【0019】
前記CNTは、単一壁(Single-walled)、二重壁(Double-walled)、薄い多重壁(Thin multi-walled)、多重壁(Multi-walled)、束型(Roped)及びこれらの混合物からなる群から選択されて使用されることが好ましい。
【0020】
また、前記CNTは、前記溶媒100重量部当たり、0.0001以上が含まれて製造でき、0.001乃至10重量部で含まれることがさらに好ましい。前記CNTが0.0001重量部未満である場合、CNTの回収量がごく少なくなる。
【0021】
前記製造されたCNT溶液がCNT溶液高圧注入ポンプ20を通じて50〜400atmの圧力で予熱槽200に投入される過程において、酸化剤高圧注入ポンプ30を通じて50〜400atmの圧力で投入される酸化剤と接触し、熱交換器40の前端で前記CNT溶液と酸化剤が混合されて予熱槽200に投入されて、これらの混合液が100乃至370℃に予熱される。
【0022】
前記高圧注入ポンプを通じてCNT溶液及び酸化剤の注入時、圧力が50atm未満である場合、CNT溶液及び酸化剤が予熱槽200及び第1精製反応槽に注入され難く、400atmを超過すると、圧力が高すぎてエネルギーの損失が招来される。
【0023】
前記カーボンナノチューブ溶液は、化学式1のニトロ化合物がさらに含まれることを特徴とするカーボンナノチューブの連続的な精製方法を提供する。
[化学式1]
R−(NO)
式中、Rは、C1〜C7のアルキル基、またはC6〜C20のアリール基であって、x及びyは、互いに独立して、1〜3の整数である。前記ニトロ化合物は、ニトロメタン、ニトロエタン、またはニトロプロパンがさらに好ましい。
【0024】
前記ニトロ化合物は、0.00001乃至3モル濃度で含まれて、前記ニトロ化合物が0.00001モル比未満である場合、カーボンナノチューブの精製効果が大きくなく、3モル濃度を超過すると、無機物質及び非晶質炭素の除去だけではなく、カーボンナノチューブにまで損傷を与え、所望の収率を確保することができない。
【0025】
前記予熱槽200は、前記混合液を、後述する亜臨界水または超臨界水条件で処理する前に混合液を予め予熱して、第1または第2精製反応槽310、330の温度を一定に維持するためのものである。
【0026】
したがって、前記予熱器200の前端に熱交換器40を設けて、前記CNT溶液と酸化剤の混合液を予熱させる役割をして、この熱交換器40は、後述する亜臨界水または超臨界水条件で精製された生成物を最終的に冷却する前に、1次的に温度を下げて、以後の冷却時に消費されるエネルギー損失を防止する役割をする。前記温度が100℃未満である場合、以後の臨界条件で温度をさらに高くし、エネルギー損失防止の効果がなく、370℃を超過すると、予熱の効果以上の温度を上げるにかかるエネルギーの損失が増加し、熱交換器設置の効果が無くなるようになる。
【0027】
一方、前記酸化剤は、酸素、空気、オゾン、過酸化水素、ニトロ化合物と硝酸形成酸化剤及びこれらの混合物から選択できて、前記酸化剤は、カーボンナノチューブ混合液中のCNTの炭素当量に比例して、0.001当量乃至10当量が含まれる。
【0028】
前記酸化剤によりCNTが酸化される前に、CNT溶液に含まれていたナノ炭素、非晶質炭素、アルファ炭素などの不純物が先に酸化が進行されて除去される。その理由は、ナノ炭素、非晶質炭素、アルファ炭素は、CNTに比べ反応性が大きくて、酸化剤との反応速度がさらに速いからである。このような粒子形態による酸化反応速度の差により不純物が除去される。
【0029】
したがって、前記酸化剤がCNT炭素を基準として0.001当量未満で注入されると、CNTが酸化剤と均一に酸化されず、除去されない不純物が存在し、精製程度が低くて、10当量を超過すると、超過された量だけの精製効果がない。
【0030】
前記予熱段階S400を経て予熱されたカーボンナノチューブ混合液は、連続的な第1精製反応槽310に移送されて、50〜400atmの亜臨界水または超臨界水条件でカーボンナノチューブの第1精製段階S500が進行される。この際、前記亜臨界水または超臨界水条件は、温度が100〜600℃であることが好ましい。
【0031】
前記亜臨界水条件の圧力は、500〜260atmであることが好ましく、60〜260atmであることがさらに好ましい。また、温度は、100〜380℃であることが好ましく、200〜350℃であることがさらに好ましい。この際の処理時間は、1〜30分間進行することが好ましく、5〜15分間進行することがさらに好ましい。
【0032】
一方、上記の超臨界水条件は、150〜400atmであることが好ましく、210〜300atmであることがさらに好ましい。また、温度は、350〜600℃であることが好ましく、370〜500℃であることがさらに好ましい。この際の処理時間は、1〜30分間進行することが好ましく、5〜15分間進行することがさらに好ましい。
【0033】
このような亜臨界水または超臨界水条件により前記酸化剤がナノ炭素、非晶質炭素、アルファ炭素などの不純物と速く反応し、短時間内に酸化を通じて除去できる。したがって、前記亜臨界または超臨界状態で前記酸化剤と不純物との反応性差により精製効果の差が現れる。
【0034】
前記亜臨界水または超臨界水条件における選択は、精製程度を調節する条件で、水が上記示した温度または圧力条件を意味する。
【0035】
本発明は、前記第1精製された生成物が酸溶液と反応して無機物成分が除去される第2精製段階S700をさらに含むことができる。本発明の第2精製段階を追加して、前記無機物成分だけではなく、カーボンナノチューブ内の不純物をもう一回精製することで、精製効果の向上により、高純度のCNTを必要とするFED、LCDバックライト(LCD back light)、高集積メモリー素子、燃料電池などに適用が可能な高品質の原料を得ることができる。
【0036】
また、前記第1精製段階S500を経て第1精製された生成物が第2精製反応槽330に注入された後、酸溶液が酸溶液高圧注入装置50を通じて50〜400atmの圧力と100〜600℃温度で第2精製反応槽330に注入される酸溶液注入段階S600を通じて、金属または触媒の無機物が除去できる。前記酸溶液が注入される圧力が50atm未満である場合、酸溶液が第2精製反応槽330に注入され難く、400atmを超過すると、あまりにも高い圧力によりエネルギー損失が招来されて、精製速度がそれ以上向上しない。
【0037】
ここで、本発明の前記酸溶液の注入は、亜臨界水または超臨界水状態で酸溶液が第2精製反応槽の入り口部分に注入されることを特徴とするカーボンナノチューブの連続的な精製方法を提供する。
【0038】
前記酸溶液は、カーボンナノチューブの合成時に使用される触媒に含まれた金属無機物と酸が反応して塩を形成することにより、水溶液に溶解されて前記金属などの無機物を除去するようになる。
【0039】
したがって、前記酸溶液に含まれる酸として、硝酸、塩酸、リン酸、硫酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されたいずれか一つの酸を有した水溶液であることを特徴とし、硝酸または硫酸が好ましい。
【0040】
前記酸溶液は、0.00001乃至3.0Mで注入されて、好ましくは、0.005乃至1.0Mで注入されるカーボンナノチューブの連続的な精製方法を提供する。前記酸溶液が0.0005M未満で注入される場合、酸溶液による無機物などの不純物の除去が十分ではなく、1.0Mを超過すると、超過した分だけの除去上昇効果が得られなく、原料の無駄遣いを招来する。
【0041】
本発明は、前記第1または第2精製された生成物を0乃至100℃に冷却する冷却段階S800と、 前記冷却後、ろ過するろ過段階S911と、前記ろ過された生成物の回収段階S913と、前記生成物の回収後、1〜10atmに減圧する減圧段階915と、を含むことを特徴とする、カーボンナノチューブの連続的な精製方法を提供する。
【0042】
前記酸溶液注入段階S600において、前記酸溶液は、前記第1精製反応槽310の後端に位置した第2精製反応槽330に注入されて、200乃至300℃の温度で前記第1精製された生成物の金属無機物を精製するために注入されるが、これは、酸溶液高圧注入ポンプ50により注入される。以後、前記予熱器200の前端に設けられてCNT溶液の予熱に使用されていた熱交換器40の熱源は、前記第2精製反応槽330から排出されて、第1、第2精製された生成物を100〜200℃になるように1次冷却するに再使用されて、エネルギー損失を防止することができる。
【0043】
前記第1または第2精製された生成物は、前記熱交換器40により1次冷却された後、冷却装置60を通じて0乃至100℃に冷却される段階が進行される。前記冷却温度は、20乃至50℃に調節することがさらに好ましい。
【0044】
前記第1または第2精製されて冷却された生成物をろ過させるために、0.001乃至10μm空隙を有する高圧フィルターが並列に連結されてスイッチング方式で運転されるろ過槽410、430を経て、ろ過段階S911が進行される。前記ろ過段階S911を経ると、固形粉の精製されたCNTを回収することができる。
【0045】
前記ろ過槽410、430を通じて、ろ過液411、431と精製されたCNTろ過生成物413、433とに分離排出されて、前記ろ過液411、431は、ろ過圧力調節装置70を通じて常圧状態に減圧されて、ろ過液貯蔵槽500に移送されて処理される。前記ろ過槽410、430は、必要容量によって一つ以上を並列に設置可能である。
【0046】
具体的に、前記並列に連結されたろ過槽410、430により、精製されたCNTろ過生成物とろ過液とに分離される時、前記ろ過槽410に圧力がかかると、バルブを閉めてろ過槽430を開け、前記精製されて冷却された生成物をろ過させて、これと同時にろ過槽410内の精製されたCNTろ過生成物413を回収して、ろ過液411は、ろ過液貯蔵槽500に移送して処理する。
【0047】
上記と同様な方法により、ろ過槽430に圧力がかかると、バルブを閉めてろ過槽410を開け、連続的に精製されて冷却された生成物をろ過し、ろ過槽430内の精製されたCNTろ過生成物433を回収して、ろ過液431は、ろ過液貯蔵槽500に移送して処理する過程を繰り返し、交互にスイッチ方式でろ過することにより、連続的に精製を進行する。前記ろ過段階S911を経て固形粉のろ過生成物を回収する生成物回収段階S913後、最終的に1乃至10atmに減圧する減圧段階S915を通じて反応を終結する。
【0048】
また他の方法として、前記第1または第2精製された生成物を0〜100℃に冷却する冷却段階S800と、前記冷却後、1〜10atmに減圧する減圧段階S931と、前記減圧された生成物を回収する生成物回収段階S933とを含むことを特徴とするカーボンナノチューブの連続的な精製方法を提供する。前記方法は、溶液状の精製されたカーボンナノチューブを得ることができる。
【0049】
さらに具体的に、前記冷却段階S800を経て冷却された生成物を減圧槽600に移送して、1乃至10atmに減圧する減圧段階S931が進行されるが、前記減圧は、上記の冷却された状態を維持したまま、まず減圧槽600でキャピラリー減圧装置で10乃至100atmに減圧して、圧力調節装置80で1乃至10atmに最終減圧する。
【0050】
前記減圧を経た生成物が最終的に生成物貯蔵槽700で生成物として回収される段階S933を通じて、精製されたカーボンナノチューブ溶液が回収されることにより、本発明の連続的なカーボンナノチューブの精製方法が提供される。
【0051】
本発明でカーボンナノチューブを精製するために使用される連続的な精製装置は、カーボンナノチューブが水の含まれた溶媒と循環ポンプにより混合されてカーボンナノチューブ混合液が形成される前処理槽100と、前記前処理されたカーボンナノチューブ混合液が50〜400atmの圧力で注入される過程で酸化剤と接触しカーボンナノチューブ混合液と混合されて、注入された混合液が100〜370℃で加熱される予熱槽200と、前記予熱槽を経た混合液が、50〜400atmで処理される亜臨界水または超臨界水状態に100〜600℃温度で注入される第1精製反応槽310と、前記精製反応槽を経て精製された生成物を0〜100℃に冷却する冷却装置60を経て、1〜10atmに減圧する減圧槽600と、前記減圧槽を経て生成物が回収される生成物貯蔵槽700と、を含むカーボンナノチューブの連続的な精製装置を提供する。
【0052】
また、本発明は、前記第1精製反応槽を経て第1精製された生成物が酸溶液と反応し無機物成分が精製される第2精製反応槽330をさらに含むことができる。
【0053】
また、本発明は、前記予熱槽200の前端に熱交換器40が備えられて、前記熱交換器40は、前記予熱される前のカーボンナノチューブ混合液と前記精製された生成物が熱交換される。
【0054】
前記減圧槽600において、減圧装置は、キャピラリー減圧装置が使用されるカーボンナノチューブの連続的な精製装置を提供する。
【0055】
前記第1または第2精製反応槽330を経て精製された生成物を、0.001乃至10μm空隙を有する高圧フィルターが並列に連結されて、スイッチング方式で運転されるろ過槽410、430がさらに含まれるカーボンナノチューブの連続的な精製装置を提供する。前記高圧フィルターの空隙が0.01μm未満である場合、本発明の精製されたカーボンナノチューブがフィルターを塞いでエネルギー負荷がかかる虞があり、10μmを超過すると、ろ過効果が無くなり、カーボンナノチューブ粉末粒子の粒度が均一に回収できない虞がある。
【0056】
本発明は、上記による連続的な方法によって精製されたカーボンナノチューブを提供する。
【発明の効果】
【0057】
上述のように、本発明のカーボンナノチューブの連続的な精製方法は、亜臨界水または超臨界水条件で有害ではなく、取り扱い及び廃水処理が容易な酸化剤を使用して、連続的な装置を通じてカーボンナノチューブが精製され、製造工程の短縮効果がある。
【0058】
また、カーボンナノチューブ溶液に含まれたナノ炭素、非晶質炭素、アルファ炭素などの炭素不純物の除去のために酸化剤を投入し、連続的な亜臨界水または超臨界水工程を経て不純物の除去効果を増進させて、 亜臨界水または超臨界水中に酸溶液を注入することにより、無機物に酸溶液の酸が容易に導入され、精製速度が上昇される効果がある。
【0059】
また、本発明の精製されたカーボンナノチューブは、用途によって溶液状または固形粉状として、連続的な装置を通じて得られる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の好ましい一実施例によるカーボンナノチューブの連続的な精製工程図である。
【図2】本発明の好ましい一実施例によるカーボンナノチューブの連続的な精製装置工程図である。
【図3】本発明の好ましい一実施例によるカーボンナノチューブのろ過装置が含まれた連続的な精製装置工程図である。
【図4】図4(a)及び4(b)は、比較例1による精製されなかったカーボンナノチューブの走査電子顕微鏡(SEM)の倍率別写真((a)10万倍、(b)5万倍)である。
【図5】図5(a)及び5(b)は、実施例2による精製されたカーボンナノチューブの走査電子顕微鏡(SEM)の倍率別写真((a)10万倍、(b)5万倍)である。
【図6】図6(a)及び6(b)は、実施例1による精製されたカーボンナノチューブの走査電子顕微鏡(SEM)の倍率別写真((a)10万倍、(b)5万倍)である。
【図7】図7(a)及び7(b)は、比較例1による精製されなかったカーボンナノチューブの透過電子顕微鏡(TEM)の倍率別写真((a)1万倍、(b)5万倍)である。
【図8】図8(a)及び8(b)は、実施例2による精製されたカーボンナノチューブの透過電子顕微鏡(TEM)の倍率別写真((a)1万倍、(b)5万倍)である。
【図9】図9(a)及び9(b)は、実施例1による精製されたカーボンナノチューブの透過電子顕微鏡(TEM)の倍率別写真((a)1万倍、(b)5万倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0061】
下記の実施例を通じてさらに詳細に説明する。
【0062】
<実施例1>
図2の装置を使用し、前処理槽100にカーボンナノチューブ10gと蒸留水990gを入れた後、攪拌しながら、循環ポンプ10で循環させてCNT溶液を製造した。前記CNT溶液が、CNT溶液高圧注入ポンプ20を通じて13g/minの流速で熱交換器40を経て予熱槽200に投入された後、220乃至260℃の温度に予熱される。その後、245乃至252atmに圧縮された気体状態の酸素が予熱槽200の前端で0.7g/minの流速で前記CNT溶液と混合される。前記CNT混合液が280乃至310℃の温度及び230乃至250atmの亜臨界水状態の第1精製反応槽310に注入されて、前記CNT混合液中のナノ炭素、非晶質炭素及びアルファ炭素と酸素とが反応して、非晶質炭素などが除去され、CNTが第1精製される。その後、酸溶液高圧注入ポンプ50を通じて硝酸2.2Mを13g/minの流速で第2精製反応槽330に注入して、第1精製反応槽310で第1精製されたCNT混合液と反応させることにより、カーボンナノチューブ内に存在する金属などの無機物が除去されて、CNTが第2精製される。精製されたCNTは、走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)を利用して確認した。
【0063】
<比較例1>
CNTを実施例1の第1精製過程と同様に処理して、第1精製段階のみを進行して精製生成物を得た。前記精製されたCNTは、走査電子顕微鏡(SEM)及び透過電子顕微鏡(TEM)を利用して確認した。
【0064】
<実施例2>
第1精製反応槽の温度が340乃至360℃の温度であることを除いては、実施例1と同様な方法により第1精製を行った後、酸溶液高圧注入ポンプ50を通じてニトロメタン2.2Mを第2精製反応槽330に13g/minの流速で注入し、下記[反応式1]によってニトロメタンが酸化されて瞬間的に発生する硝酸により、第1精製されたCNT溶液中、カーボンナノチューブ内に存在する金属などの無機物を除去することにより、CNTを第2精製した。
[反応式1]
NOCH+2O→HNO+CO+H
【0065】
*試験方法
1.走査電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)
Hitachi社のS4800モデルであって、CNTを水に分散して、ガラス上に滴下してから完全に乾燥し、白金メッキした後測定した。
【0066】
図4(a)及び4(b)は、比較例1による精製されなかったカーボンナノチューブの走査電子顕微鏡(SEM)写真であって、図4(a)は、10万倍拡大された写真であり、図4(b)は、5万倍拡大された写真である。
【0067】
図5(a)及び5(b)は、実施例2による第1精製及び第2精製されたカーボンナノチューブの走査電子顕微鏡(SEM)写真であって、図5(a)は、10万倍拡大された写真であり、図5(b)は、5万倍拡大された写真である。
【0068】
図6(a)及び6(b) は、実施例1による第1及び第2精製されたカーボンナノチューブの走査電子顕微鏡(SEM)写真であって、図6(a)は、10万倍拡大された写真であり、図6(b)は、5万倍拡大された写真である。
【0069】
図4(a), 4(b)〜図6(a),6(b)の結果から分かるように、図4(a)、4(b)に比べ、図5(a)、5(b)は、非晶質炭素及び無機物成分が除去されたことが分かり、図6(a)、6(b)は、非晶質炭素及び無機物成分が除去されたことが分かる。
【0070】
2.透過電子顕微鏡(Transmission Electron Microscope;TEM)
JEOL社のJEM−2100F(HR)モデルであって、CNTを水に分散して、ホリックタイプのグリッド上に滴下した後、完全乾燥して測定した。
【0071】
図7(a)及び7(b)は、比較例1による精製されなかったカーボンナノチューブの透過電子顕微鏡(TEM)写真であって、図7(a)は、1万倍拡大された写真であり、図7(b)は、5万倍拡大された写真である。
【0072】
図8(a)及び8(b)は、実施例2による第1精製及び第2精製されたカーボンナノチューブの透過電子顕微鏡(TEM)写真であって、図8(a)は、1万倍拡大された写真であり、図8(b)は、5万倍拡大された写真である。
【0073】
図9(a)及び9(b) は、実施例1による第1及び第2精製されたカーボンナノチューブの透過電子顕微鏡(TEM)写真であって、図9(a)は、1万倍拡大された写真であり、図9(b)は、5万倍拡大された写真である。
【0074】
図7(a)、7(b)〜図9(a)、9(b)の結果から分かるように、図7(a)、7(b)に比べ、図8(a)、8(b)は、非晶質炭素及び無機物成分が除去されたことが分かり、図9(a)、9(b)は、非晶質炭素及び無機物成分が除去されたことが分かる。
【0075】
以上説明した本発明は、上述の実施例及び添付の図面に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱することなく様々な置換、変形及び変更が可能であることは、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者にとって明らかである。
【符号の説明】
【0076】
10 循環ポンプ
20 CNT溶液高圧注入ポンプ
30 酸化剤高圧注入ポンプ
40 熱交換器
50 酸溶液高圧注入ポンプ
60 冷却装置
70 ろ過圧力調節装置
80 圧力調節装置
100 前処理槽
200 予熱槽
310 第1精製反応槽
330 第2精製反応槽
410 第1ろ過槽
430 第2ろ過槽
500 ろ過液貯蔵槽
600 減圧槽
700 生成物貯蔵槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブが水の含まれた溶媒と循環ポンプにより混合されてカーボンナノチューブ溶液が形成される前処理槽と、
前記前処理されたカーボンナノチューブ溶液が50〜400atmの圧力で注入される過程で酸化剤と接触しカーボンナノチューブ溶液と混合されて、注入された混合液が100〜370℃で加熱される予熱槽と、
前記予熱槽を経た混合液が、50〜400atmで処理される亜臨界水または超臨界水状態に100〜600℃で注入される第1精製反応槽と、
前記精製反応槽を経て精製された生成物を0〜100℃に冷却する冷却装置を経て、1〜10atmに減圧する減圧槽と、
前記減圧槽を経て生成物が回収される生成物貯蔵槽と、
を含むカーボンナノチューブの連続的な精製装置。
【請求項2】
前記第1精製された生成物が酸溶液と反応し、無機物成分が精製される第2精製反応槽をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブの連続的な精製装置。
【請求項3】
前記予熱槽の前端に熱交換器が備えられて、前記熱交換器では、前記予熱される前のカーボンナノチューブ混合液と前記精製された生成物が熱交換されることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブの連続的な精製装置。
【請求項4】
前記減圧槽内の減圧装置は、キャピラリー減圧装置を含んでいることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブの連続的な精製装置。
【請求項5】
前記第1または第2精製反応槽を経て精製された生成物をろ過するための、0.001乃至10μmの空隙を有する高圧フィルターが並列に連結されて、スイッチング方式で運転されるろ過槽がさらに含まれることを特徴とする、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブの連続的な精製装置。
【請求項6】
酸化剤を含むカーボンナノチューブ混合液を、50〜400atmの圧力と100〜600℃の温度の亜臨界水または超臨界水条件で精製反応槽に注入し、第1精製生成物を得る第1精製段階と、前記第1精製段階後に、前記第1精製生成物を酸溶液と反応させて無機物成分を除去し、第2精製生成物を得る第2精製段階と、を備えた方法によって精製されたカーボンナノチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−14514(P2013−14514A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−206911(P2012−206911)
【出願日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【分割の表示】特願2009−222358(P2009−222358)の分割
【原出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(595137310)ハンファ ケミカル コーポレーション (31)
【Fターム(参考)】