説明

カーボンナノチューブ粉末、その製造方法およびそれを用いた複合材料

【課題】カーボンナノチューブ粉末およびその製造方法ならびに複合材料を提供する。
【解決手段】カーボンナノチューブ粉末であって、分散剤と均一に混合されるカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ粉末を提供する。カーボンナノチューブと分散剤の重量比は30:70〜90:10である。カーボンナノチューブは、直径が10〜100nm、アスペクト比が100:1〜5000:1である。分散剤は、溶媒和セグメント(A)と炭素親和性基(B)とを重合してなる交互共重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合体である。カーボンナノチューブ粉末は、熱可塑性プラスチック材料と混合されて、複合材料を形成し、カーボンナノチューブと複合材料の重量比は0.5:100〜50:100である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料に関するものであって、特に、複合材料中にカーボンナノチューブを分散する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柔軟性があり、軽量なプラスチック製品は、家庭用品を始め、幅広く用いられている。熱可塑性プラスチック材料は絶縁体であるため、表面摩擦により電荷が表面上に蓄積する場合があり、これは、例えば、熱可塑性プラスチック材料薄膜のロールトゥロール(roll-to-roll)不良や接着性低下などを生じて処理過程を妨げたり、ゴミや汚れを引き付けることにより製造ラインの歩留まりを減少させたり、電子装置に干渉を引き起こすもしくは損傷を与えたり、また、スパークおよび破裂の原因となったりする。
【0003】
3C電子製品は軽薄短小化し、電子素子は高密度化、かつ、高周波化へと開発が進んでいる。小型で高密度の装置は、静電外乱と電磁環境両立性(EMC)問題を解決する必要がある。金属シェルは電磁波を遮蔽することにより、静電気防止効果を有する。しかしながら、金属は密度が高く、加工が困難である。よって、金属シェルは、導電性ペイントのコーティング、金属層のスパッタリング、シェル上の金属層の無電界めっき等に取って代わられているが、これらの方法には、例えば、コストが高い、プロセスが複雑、そして、環境汚染を引き起こす等の問題がある。さらに、シェル上の金属層は剥がれ易く、その効果は失われやすい。
【0004】
電子製品への適用において、熱可塑性プラスチック材料の静電気問題は、静電気防止/導電性材料を熱可塑性プラスチック材料に混合することにより解決することができる。その後、押し出しや射出成形により、静電気防止(109〜1012ohm/□)、静電放電(106〜109ohm/□)、導電率(≦106ohm/□)および電磁干渉(≦104ohm/□)機能を有する複合材料を形成する。
【0005】
熱可塑性プラスチック材料中に静電気防止材を均一に分散させるため、添加剤とキャリアを混合、融解およびペレット化して、マスターバッチを形成する。マスターバッチと熱可塑性プラスチック材料とが、キャリアの濡れ性と分散作用により良好な親和性を有するように、添加剤および熱可塑性プラスチック材料は混合、融解される。現在主流の静電気防止材は、エステル、アミンおよび有機塩であり、空気中の湿気を吸着して、製品の表面に導電性の親水性膜層を形成するものである。そのため、静電気防止効果を得るためには、製品を一定の湿度環境下に数日間保持する必要があり、また、この工程は湿気の影響を受けやすい。さらに、静電気防止材は、製品の加熱により、製品の表面に移行しやすく、製品の外観に影響を及ぼす。このほか、このような製品の静電気防止効果は、延伸により、減少または消失しやすい。
【0006】
カーボンブラックが、熱可塑性プラスチック材料に均一に分散する静電気防止/導電性材料として適用される場合、カーボンは、短距離(通常、2nm未満)で接触または分離し、導電性パスを形成する。しかし、カーボンブラックのパーコレーション閾値(percolation threshold)は高く、例えば、静電気防止材として機能するためには、複合材料の5wt%以上のカーボンブラックを添加しなければならず、また、導電性材料とするためには、カーボンブラックの含有率を複合材料の20wt%より大きくする必要がある。しかしながら、カーボンブラックの高い添加量は、複合材料の加工性および機械的特性に影響を及ぼし、また、そのような複合材料の表面が摩擦を受けると、脱炭現象が生じて製品が汚染され、これは複合材料の外観に影響を及ぼす。カーボンブラックを添加した複合材料の電気的性質も同様に、延伸加工の影響を受ける。現在、延伸によってサイズが4倍以上になった後においても、満足な静電気防止特性が維持される複合材料は存在しない。
【0007】
電気的、機械的特性に優れたカーボンナノチューブ(CNT)は、導電性充填剤または強化材料として使用するのに適している。しかし、カーボンナノチューブ表面は滑らかで、また、化学的に不活性であるので、カーボンナノチューブと熱可塑性プラスチック材料とは親和性に乏しい。一方、カーボンナノチューブのアスペクト比(長さ/直径)は高いので、カーボンナノチューブ間の強いファンデルワールス力(Van der Waals force)により、カーボンナノチューブは互いに引き付け合い、絡みやすい。そのため、カーボンナノチューブは熱可塑性プラスチック材料中に分散できない。さらに、カーボンナノチューブは本質的に軽量で、かさ高く、空中に飛散しやすいので、カーボンナノチューブの取り扱いおよび保管には注意を必要とする。よって、カーボンナノチューブを直接加工し、応用することは困難である。
【0008】
熱可塑性プラスチック材料中にカーボンナノチューブを均一に分散させるため、以下のように、カーボンナノチューブ表面を化学修飾する方法が知られている。第一の方法では、カーボンナノチューブ表面を、強酸、例えば、塩酸や硝酸により化学修飾し、カーボンナノチューブ表面上に、炭酸およびその類似体を形成する。その後、炭酸およびその類似体がさらにグラフト化または修飾される。また、カーボンナノチューブ表面が、直接、ラジカル反応により修飾またはグラフト化されてもよく、これにより、不活性なカーボンナノチューブ表面の活性が改善される。その後、化学修飾されたカーボンナノチューブが、熱可塑性プラスチック材料と混合される。化学的修飾は多くの場合、カーボンナノチューブ壁を損傷するので、カーボンナノチューブの導電率は低下する。第二の方法である現場重合(in-situ polymerization)では、モノマーとカーボンナノチューブとを溶液中で均一に混合した後、モノマーを重合し、それによって、モノマーから重合されたポリマー中に、カーボンナノチューブを分散させる。第三の方法である溶液混合方法においては、カーボンナノチューブと高分子溶液とを均一に混合した後、再沈殿によりまたは混合物の溶媒を除去することにより固体を得る。この方法は、熱可塑性プラスチック材料中にカーボンナノチューブを均一に分散させることができるが、その複雑なプロセス、高コスト性、溶媒の毒性および溶媒中のポリマーの溶解度制限などのため、大量生産には適さない。
【0009】
よって、カーボンナノチューブ表面を損傷することなく、熱可塑性プラスチック材料中にカーボンナノチューブを効率良く分散させる方法が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、カーボンナノチューブ粉末、その製造方法およびそれを用いた複合材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一実施態様は、分散剤と均一に混合されているカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ粉末に関し、前記カーボンナノチューブと前記分散剤との重量比は30:70〜90:10であり、前記カーボンナノチューブは、直径が10〜100nmおよびアスペクト比が100:1〜5000:1であり、前記分散剤は、溶媒和セグメント(A)および炭素親和性基(B)を重合してなる交互共重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合体であって、溶媒和セグメント(A)は式:
【化1】

(式中、R1は水素またはメチル基、R2は水素、C1-20アルキル基、C1-20アルキルアルコール基、C1-20エーテル基、C1-20エーテルアルコール基、C1-20アミノエステル基、フェニル基、スルホン酸基、C1-20アミノ基、炭酸基またはリン酸基)
で表わされる構造を有し、
炭素親和性基(B)は式:
【化2】

(式中、R3は水素またはメチル基、R4はC1-20アルキルアルコールアミノ基、C1-20アミノ基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20エーテルアミノ基またはC1-20アミノエステル基、R5は水素またはメチル基、R6はC1-10アルキルアルコールアミノ基、C1-10アミノ基、C1-20エーテルアミノ基またはC1-10アミノエステル基)
で表わされる構造を有する。
【0012】
本発明の別の実施態様によれば、本発明は、カーボンナノチューブ粉末の形成方法を提供し、前記形成方法は、カーボンナノチューブおよび分散剤を有機溶媒に加える工程であって、カーボンナノチューブと分散剤の重量比が30:70〜90:10である工程と、有機溶媒中にカーボンナノチューブを分散させるために、有機溶媒を超音波振動および攪拌する工程と、有機溶媒中の固体をろ過、焼成および収集した後、分散剤と均一に混合されているカーボンナノチューブ粉末を得る工程とを含む。
【0013】
また、別の実施態様によれば、本発明は、上述したようなカーボンナノチューブ粉末を形成する工程と、前記カーボンナノチューブ粉末と熱可塑性プラスチック材料を混合して、複合材料を形成する工程とを含む複合材料の形成方法を提供する。ここで、カーボンナノチューブ粉末と複合材料との重量比は0.5:100〜50:100である。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、カーボンナノチューブ表面を損傷することなく、熱可塑性プラスチック材料中にカーボンナノチューブを効率よく分散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】分散剤が表面に吸着されていないカーボンナノチューブを示す図である。
【図2】本発明の好ましい例による分散剤が表面に吸着したカーボンナノチューブを示す図である。
【図3】本発明の好ましい例による熱可塑性プラスチック材料中で、分散剤が表面に吸着したカーボンナノチューブの導電ネットワークを示す図である。
【図4】本発明の好ましい例による複合材料の引き伸ばし後の、分散剤が表面に吸着したカーボンナノチューブの導電ネットワークを示す図である。
【図5】本発明の一実施態様による複合材料のSEM写真である。
【図6】本発明の一実施態様による複合材料のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明においては、アスペクト比の高いカーボンナノチューブが導電性材料として用いられ、熱可塑性プラスチック材料中に混合される。一般の静電気防止材は以下のような問題のため、その加工や応用が困難である。(1)静電気防止材は、一定の湿度がある環境下に数日間保持しないと、静電気防止効果が得られない;(2)複合材料における静電気防止効果は、複合材料の引き伸ばしによって、容易に減少、消失する;および(3)カーボンナノチューブは軽量で、飛散しやすく、かつ、凝集しやすく、分散が困難である。これらの問題を克服するため、本発明の好ましい実施態様においては、まず、分散剤がカーボンナノチューブの表面に吸着して、分散性に優れたカーボンナノチューブ粉末を得る。ここで分散剤は、カーボンナノチューブ間の接続を形成し、これにより、カーボンナノチューブの軽量で飛散しやすい特性を減少させると共に、カーボンナノチューブと熱可塑性プラスチック材料とを混合する際の流動性および分散性を改善する。また、得られた、分散性を有するカーボンナノチューブと熱可塑性プラスチック材料とを混合することにより、カーボンナノチューブ導電性のマスターバッチが作成されてもよい。マスターバッチは、さらに、種々の熱可塑性プラスチック材料と混合して、薄膜やプレートに応用される。
【0017】
Polymer, 2002, 43, 211頁では、高いアスペクト比を有する種々のカーボンナノチューブがポリカーボネート中に混合されており、そして、低いアスペクト比(L/D=10〜100)のカーボンナノチューブのパーコレーション閾値が8wt%以上である一方、高いアスペクト比をもつカーボンナノチューブ(L/D=100〜1000)のパーコレーション閾値は1wt%であることが開示されている。これは、高いアスペクト比を有するカーボンナノチューブが、熱可塑性プラスチック材料中で導電ネットワークを形成するのが容易であることを示している。In composites science and technology, 2008, 68, 1422頁では、カーボンナノチューブのアスペクト比が高くなるほど、熱可塑性プラスチック材料中におけるカーボンナノチューブの分散性が悪くなることが記載されている。導電ネットワークの形成および熱可塑性プラスチック材料へのカーボンナノチューブの分散を容易にするため、本発明のカーボンナノチューブのアスペクト比は、好ましくは100:1〜5000:1である。カーボンナノチューブのアスペクト比が低すぎると、導電ネットワークの形成が困難となり、カーボンナノチューブのアスペクト比が高すぎると、カーボンナノチューブが凝集しやすく、そして、分散しにくくなる。
【0018】
本発明により使用可能なカーボンナノチューブの直径は、10〜100nm、好ましくは、10〜50nmである。カーボンナノチューブの直径が大きすぎると、導電ネットワークの形成が困難となる。逆に、直径が小さすぎると、カーボンナノチューブは凝集しやすくなり、かつ、分散にしにくくなる。
【0019】
本発明で用いるカーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブであってもよく、また、多層カーボンナノチューブであってもよい。一実施態様によれば、カーボンナノチューブは多層カーボンナノチューブである。
【0020】
図1に示されるように、高いアスペクト比のカーボンナノチューブ1は、カーボンナノチューブ間の強いファンデルワールス力(Van der Waals force)によって、互いに凝集しやすく、したがって分散は困難である。また、軽量で飛散しやすいという特性のため、このようなカーボンナノチューブの保管、加工および応用は困難である。
【0021】
図2は本発明のカーボンナノチューブの例示的な実施態様を示す。図2に示されるように、この例示的な実施形態におけるカーボンナノチューブ1の表面には、分散剤2が吸着しており、この分散剤2によってカーボンナノチューブ1間の接続が形成されている。この接続により、カーボンナノチューブ1に関する軽量かつ飛散しやすいという問題が低減されるため、カーボンナノチューブの保管、加工および応用に関する技術的課題が解決され、産業上のメリットも大きい。さらに、この接続により、カーボンナノチューブの凝集現象が減少する。分散剤を使用しなかった場合、カーボンナノチューブの溶液をTEMで観測すると、カーボンナノチューブの凝集現象が明らかに見てとれる。すなわち、そのバンドル径は100nm以上であり、この場合に、カーボンナノチューブを一つずつ見分けることは不可能である。一方、分散剤がカーボンナノチューブの表面に吸着している本発明のカーボンナノチューブにおいては、単一のカーボンナノチューブを観測することが可能であった。このように良好に分散されたカーボンナノチューブ粉末は、熱可塑性プラスチック材料と混合されて、複合材料を形成するために使用されてもよく、この使用により、熱可塑性プラスチック材料中のカーボンナノチューブの流動性および分散性が改善される。分散剤を使用しなかった場合のカーボンナノチューブの複合材料をSEMで観測すると、カーボンナノチューブの凝集現象が明らかに見られ、そのバンドル径は100nm以上である。しかし、分散剤がカーボンナノチューブの表面に吸着している本発明のカーボンナノチューブを用いた場合には、複合材料中のカーボンナノチューブのバンドル径は500nm以下、好ましくは100nmであった。本発明による良好に分散されたカーボンナノチューブ1は、図3に示されるように、複合材料中にネットワークを容易に形成することができる。
【0022】
一実施態様によれば、本発明の分散剤2は、溶媒和セグメント(A)および炭素親和性基(B)を重合してなる交互共重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合体であり、分散剤2の重量平均分子量は、好ましくは5,000〜100,000である。重量平均分子量が大きすぎる場合、分散剤の粘性が過度に高くなり、これはカーボンナノチューブの溶液または熱可塑性プラスチック材料中での分散に不利である。一方、重量平均分子量が過度に小さい分散剤は、カーボンナノチューブに対して十分な分散性を提供することができない。
【0023】
溶媒和セグメント(A)は、溶媒および熱可塑性プラスチック材料中でのカーボンナノチューブの流動性および分散性を増加させる。本発明により使用可能な溶媒和セグメント(A)は、式1:
【化3】

(式中、R1は水素またはメチル基、R2は水素、C1-20アルキル基、C1-20アルキルアルコール基、C1-20エーテル基、C1-20エーテルアルコール基、C1-20アミノエステル基、フェニル基、スルホン酸基、C1-20アミノ基、炭酸基またはリン酸基)
で表わされる構造を有する。好ましい実施態様において、R1は水素またはメチル基、R2は水素、C1-6アルキル基、C1-6アルキルアルコール基、C1-6エーテル基、C1-6エーテルアルコール基、C1-6アミノエステル基、フェニル基、スルホン酸基、C1-6アミノ基、炭酸基またはリン酸基である。
【0024】
炭素親和性基(B)は、カーボンナノチューブの表面への吸着力を有する基であるか、または、カーボンナノチューブの表面とのπ−π相互作用を提供し得る基である。本発明により使用可能な炭素親和性基(B)は、式2:
【化4】

(式中、R3は水素またはメチル基、R4はC1-20アルキルアルコールアミノ基、C1-20アミノ基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20エーテルアミノ基またはC1-20アミノエステル基)、
または、式3:
【化5】

(式中、R5は水素またはメチル基、R6はC1-10アルキルアルコールアミノ基、C1-10アミノ基、C1-20エーテルアミノ基またはC1-10アミノエステル基)
で表わされる構造を有する。好ましい実施態様において、R3は水素またはメチル基、R4はC1-6アルキルアルコールアミノ基、C1-6アミノ基、C1-10アルキルアミノ基、C1-10エーテルアミノ基またはC1-6アミノエステル基である。また、別の好ましい実施態様によれば、R5は水素またはメチル基、R6はC1-6アルキルアルコールアミノ基、C1-6アミノ基、C1-6エーテルアミノ基またはC1-6アミノエステル基である。
【0025】
本発明の分散剤は、溶媒和セグメント(A)と炭素親和性基(B)にそれぞれ対応するモノマーを、公知の方法で共重合することにより製造され得る。例えば、溶媒和セグメント(A)に対応するモノマーおよび炭素親和性基(B)に対応する別のモノマーを、同時に、共重合反応のためのボトルに入れて、ランダム共重合体を製造してもよい。また、溶媒和セグメント(A)に対応するモノマーを重合して、オリゴマーを形成し、そして、炭素親和性基(B)に対応するモノマーを重合して、別のオリゴマーを形成し、これらオリゴマー同士を、さらに共重合して、ブロック共重合体を製造してもよい。別の実施態様では、最初に、溶媒和セグメント(A)(または炭素親和性基(B))に対応するモノマーを重合して、オリゴマーを形成し、その後、炭素親和性基(B)(または、溶媒和セグメント(A))の対応するモノマーを加えることにより、オリゴマー上での重合を行い、ブロック共重合体を製造する。
【0026】
好ましい実施態様において、分散剤をカーボンナノチューブ表面に吸着させる方法は、例えば以下のように示される。カーボンナノチューブおよび分散剤を、カーボンナノチューブと分散剤との重量比30:70〜90:10で有機溶媒に加える。ここで、カーボンナノチューブの分散剤に対する比率が過度に高い(すなわち、分散剤のカーボンナノチューブに対する比率が過度に低い)場合、分散剤はカーボンナノチューブに対して十分な分散性を提供できない。逆に、カーボンナノチューブの比率が過度に低い(すなわち、分散剤の比率が過度に高い)場合には、過剰な分散剤が熱可塑性プラスチック材料中に残留することとなり、得られる製品特性に影響を及ぼす。
【0027】
本発明における、カーボンナノチューブの分散のために用いられる有機溶媒としては、例えばDMSOなどの高い極性を有する溶媒、例えばn−へキサンなどの低い極性を有する溶媒、または、例えばTHFもしくはトルエンなどの極性が中間である溶媒が使用可能である。カーボンナノチューブおよび分散剤が加えられた後、有機溶媒は、超音波振動および攪拌され、カーボンナノチューブが有機溶媒中に分散される。カーボンナノチューブの分散状態が適切な場合、超音波振動および攪拌を停止しても、カーボンナノチューブは、有機溶媒中に分散されたままである。しかしながら、分散状態が適切でない場合、すなわち、溶媒の種類、分散剤の種類、それらの組み合わせおよび/または、分散剤/カーボンナノチューブの比率が不適当である場合、超音波振動および攪拌が停止すると、カーボンナノチューブは容器底部に沈殿する。
【0028】
本発明の好ましい実施態様では、カーボンナノチューブと有機溶媒の重量比は、0.01:100〜20:100である。カーボンナノチューブの比率が有機溶媒に対して過度に高い(すなわち、有機溶媒の比率がカーボンナノチューブに対して過度に低い)場合、カーボンナノチューブの凝集が生じやすく、その結果、溶液全体の粘性が増加するため、これはカーボンナノチューブの有機溶媒中での分散に不利である。一方、カーボンナノチューブの比率が有機溶媒に対して過度に低い(すなわち、有機溶媒の比率がカーボンナノチューブに対して過度に高い)場合、有機溶媒除去に困難が生じる。分散されたカーボンナノチューブを含む有機溶媒において、有機溶媒中の固体をろ過、焼成および収集することにより、本発明の分散剤と均一に混合されているカーボンナノチューブを含むカーボンナノチューブ粉末を得る。
【0029】
本発明の方法によって得られる、焼成されたカーボンナノチューブ粉末は、直接、有機溶媒に加えることにより別の分散体を形成することが可能であり、溶媒中に分散されているカーボンナノチューブを得るために新たな分散剤を加える付加的工程は必要ない。この再分散工程において、溶媒はカーボンナノチューブ粉末を製造するために先に使用された溶媒と同一のものをもちろん使用することができるが、異なる溶媒が使用されてもよい。したがって、本発明の方法によれば、有機溶媒中において、または、ろ過および焼成後の粉末において、カーボンナノチューブと分散剤が均一に分散されていることは明らかである。
【0030】
別の好ましい実施態様において、本発明によるカーボンナノチューブ粉末および熱可塑性プラスチック材料は、カーボンナノチューブ粉末と複合材料との重量比が0.5:100〜50:100、好ましくは、1:100〜15:100で混合され、複合材料が形成される。複合材料中のカーボンナノチューブの比率が過度に高い場合、導電ネットワークは既に飽和に達しているので、複合材料の導電率が効率よく増加することができないだけでなく、複合材料の材料特性に影響を及ぼす。複合材料中のカーボンナノチューブの比率が過度に低い場合、導電ネットワークを形成することができない。本発明で用いられる熱可塑性プラスチック材料としては、特に制限されるものではないが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合樹脂またはポリカーボネート等が挙げられる。図4に示されるように、本発明のカーボンナノチューブ1は、熱可塑性プラスチック材料3に均一に分散されて、複合材料を形成している。このため、複合材料が引き伸ばされた場合でも、アスペクト比が高いカーボンナノチューブ同士が接触し合えるため、複合材料の電気抵抗を減少させることが可能であり、その結果、延伸前と後との複合材料の電気的性質の変化が減少され得る。
【0031】
本発明の別の実施態様によると、炭素含有フィルター、酸化物フィルターまたはそれらの組み合わせが、複合材料と混合されてもよい。ここで、炭素含有フィルターは、カーボンブラック、カーボンファイバー、C60またはそれらの組み合わせを含む。酸化物フィルターは、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、インジウムスズ酸化物、酸化チタンまたはそれらの組み合わせを含む。
【0032】
本発明で得られる複合材料のシート抵抗は10-2ohm/□〜1012ohm/□である。そして、複合材料が2倍に引き伸ばされた場合でも、そのシート抵抗は、例えば、静電気防止(109〜1012ohm/□)、静電放電(106〜109ohm/□)、導電率(≦106ohm/□)および電磁干渉(≦104ohm/□)等に必要とされる電気特性を満たす。よって、本発明の複合材料は、静電気防止製品、静電放電製品、電磁気および放射線遮蔽、3C電子装置、情報技術製品、電子部品実装材料、電極、ワイヤーの導電性ゲルまたは導電性材料などに応用できる。
【0033】
本発明における好ましい実施例を以下の通り開示するが、これらは例証としておよび好ましい実施態様という観点から開示されたものであり、決して開示された実施例に限定するものではない。したがって本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲で示されるものであり、当業者にとっては、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、記載された実施態様に各種の変更や改変を行うことができることは明らかであろう。
【実施例】
【0034】
実施例1−1
アスペクト比が高い10mgのカーボンナノチューブ(Nanomaterial Storeから購入された商品番号SN5906837)、10mgの分散剤および15mLの溶媒を20mL試料瓶に入れた後、1時間、超音波振動させた。使用された分散剤は、式1に示される溶媒和セグメント(A)と式2に示される炭素親和性セグメント(B)を重合したランダム共重合体であって、R1はメチル基、R2はブチル基、R3はメチル基、R4はエタノールアミン基のランダム共重合体であった。この分散剤の、1グラム当たりのアミン価(mg KOH/g)は65であった。超音波振動の停止後、カーボンナノチューブは、溶媒中、例えば、DMSO、THF、トルエンまたはn−へキサン中に均一に分散した。
【0035】
実施例1−2
アスペクト比が高い10mgのカーボンナノチューブ(Nanomaterial Storeから購入された商品番号SN5906837)、10mgの分散剤および15mLの溶媒を20mL試料瓶に入れた後、1時間、超音波振動させた。使用された分散剤は、式1に示される溶媒和セグメント(A)と式2に示される炭素親和性セグメント(B)を重合したランダム共重合体であって、R1はメチル基、R2はブチル基、R3はメチル基、R4はN−イソプロピルピペラジニル基のランダム共重合体であった。分散剤の、1グラム当たりのアミン価(mg KOH/g)は76であった。超音波振動の停止後、カーボンナノチューブは、溶媒中、例えば、DMSOに均一に分散した。
【0036】
実施例1−3
アスペクト比が高い10mgのカーボンナノチューブ(Nanomaterial Storeから購入された商品番号SN5906837)、10mgの分散剤および15mLの溶媒を20mL試料瓶に入れた後、1時間、超音波振動させた。使用された分散剤は、式1に示される溶媒和セグメント(A)と式2に示される炭素親和性セグメント(B)を重合したランダム共重合体で、R1はメチル基、R2はブチル基、R3はメチル基、R4は4−モルホリン−4−イル−2−エチルピペラジニル基のランダム共重合体であった。この分散剤の、1グラム当たりのアミン価(mg KOH/g)は36であった。超音波振動の停止後、カーボンナノチューブは、溶媒中、例えば、THFに均一に分散した。
【0037】
実施例1−4
アスペクト比が高い10mgのカーボンナノチューブ(Nanomaterial Storeから購入された商品番号SN5906837)、10mgの分散剤および15mLの溶媒を20mL試料瓶に入れた後、1時間、超音波振動させた。使用された分散剤は、式1に示される溶媒和セグメント(A)と式2に示される炭素親和性セグメント(B)を重合したブロック共重合体であって、R1はメチル基、R2はブチル基、R3はメチル基、R4はアミノエステルアクリレート基である。この分散剤の、1グラム当たりのアミン価(mg KOH/g)は48であった。超音波振動の停止後、カーボンナノチューブは、溶媒中、例えば、DMSO、THFまたはトルエンに均一に分散した。
【0038】
実施例1−5
アスペクト比が高い10mgのカーボンナノチューブ(Nanomaterial Storeから購入された商品番号SN5906837)、10mgの分散剤および15mLの溶媒を20mL試料瓶に入れた後、1時間、超音速振動させた。使用された分散剤は、式1に示される溶媒和セグメント(A)と式3に示される炭素親和性セグメント(B)を重合したAおよびBが異なるセグメントであるブロック共重合体であって、R1はメチル基、R2はブチル基、R5はメチル基、R6はアミノエステルアクリレート基のブロック共重合体であった。分散剤の、1グラム当たりのアミン価(mg KOH/g)は14であった。超音波振動の停止後、カーボンナノチューブは、溶媒中、例えば、DMSO、THF、トルエンまたはn−へキサンに均一に分散した。
【0039】
実施例1−6
アスペクト比が高い10mgのカーボンナノチューブ(Nanomaterial Storeから購入された商品番号SN5906837)、10mgの分散剤および15mLの溶媒を20mL試料瓶に入れた後、1時間、超音波振動させた。使用された分散剤は、式1に示される溶媒和セグメント(A)と式2に示される炭素親和性セグメント(B)を重合したブロック共重合体であって、R1はメチル基、R2はブチル基、R3はメチル基、R4はN−イソプロピルピペラジニル基のブロック共重合体であった。分散剤の、1グラム当たりのアミン価(mg KOH/g)は44であった。超音波振動の停止後、カーボンナノチューブは、溶媒中、例えば、DMSO、THF、トルエンまたはn−へキサンに均一に分散した。
【0040】
実施例2
表1に示される量の、実施例1−5で作製された分散剤、カーボンナノチューブおよび溶媒をビーカーに入れ、超音速振動、攪拌した後、カーボンナノチューブ懸濁液を得た。得られた懸濁液をろ過して、固体を収集し、収集された固体をオーブンで焼成して、カーボンナノチューブ粉末を得た。使用された分散剤およびカーボンナノチューブの量、溶媒の種類ならびに製品中のカーボンナノチューブ/分散剤の重量比が表1に示されている。
【0041】
表1から明らかなように、カーボンナノチューブ粉末中のカーボンナノチューブの含有比率は、カーボンナノチューブと分散剤の初期量を変化させることにより調整される。
【0042】
【表1】

【0043】
例えば、0.34gの分散剤、0.56gのカーボンナノチューブおよびトルエンを混合して、超音波振動、攪拌した後、カーボンナノチューブ懸濁液を得た場合の、カーボンナノチューブ溶液中のカーボンナノチューブ濃度は約2.6wt%であった。カーボンナノチューブ懸濁液をろ過して、固体を収集した後、収集された固体をオーブンで焼成して、カーボンナノチューブ粉末を得た。カーボンナノチューブ粉末中のカーボンナノチューブ含有比率は約23%であった。同じ体積下における、分散剤が表面に吸着したカーボンナノチューブの重量は、分散剤が表面に吸着していないカーボンナノチューブの重量の5.7倍(分散剤含有量を差し引くと、4.4倍)となっており、かつ、この分散剤が表面に吸着したカーボンナノチューブは、軽量で飛散しやすいというカーボンナノチューブ本来の特性を有さなかった。さらに、乾燥後のカーボンナノチューブ粉末をトルエンに添加したところ、追加の分散剤を添加することなく、カーボンナノチューブがトルエン溶媒中に均一に再分散した。この結果は、本発明により製造されたカーボンナノチューブ粉末が分散性を有していることを示している。また、カーボンナノチューブ粉末を得るために使用したトルエンの代わりに極性溶媒、例えば、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどを用いた場合においても、カーボンナノチューブの均一な分散液が得られた。さらに、この分散液をろ過して、固体を収集し、収集された固体を焼成して得られたカーボンナノチューブ粉末も同様に良好な再分散性を示し、極性溶媒を使用しても分散性を有するカーボンナノチューブ粉末が得られることがわかった。
【0044】
実施例3(複合材料の製造)
前述の実施例で得られた(分散剤が吸着した)カーボンナノチューブ粉末およびポリエチレンを混合し、2軸押出機により混練して、カーボンナノチューブマスターバッチを製造した。カーボンナノチューブマスターバッチとポリエチレンを溶融混練して、種々のカーボンナノチューブ含有比率(1wt%〜10wt%)を有するカーボンナノチューブ/ポリエチレンの複合材料を製造した。複合材料をタブレットプレス機械によりプレスして、薄膜を形成した。それぞれの薄膜のシート抵抗を測定した。結果を表2に示す。図5は、10wt%のカーボンナノチューブを有するマスターバッチのSEM写真である。この結果が明らかに示すように、マスターバッチにおいて本願発明のカーボンナノチューブはポリエチレン中に均一に分散している。また、表2に記載の2wt%のカーボンナノチューブを含む複合材料を加熱、融解して、4倍に引き伸ばしところ、延伸フィルムは、1×1011ohm/□のシート抵抗を有し、静電気防止効果を有していた。
【0045】
【表2】

【0046】
比較例1−1
アスペクト比が高い10mgのカーボンナノチューブ(Nanomaterial Storeから購入された商品番号SN5906837)および15mLの溶媒を、20mL試料瓶に入れた後、1時間、超音波振動させた。超音波振動の停止後、カーボンナノチューブは、溶媒、例えば、DMSO、THF、トルエンまたはn−へキサン中において沈殿し、均一に分散しなかった。
【0047】
比較例1−2
アスペクト比が高い10mgのカーボンナノチューブ(Nanomaterial Store から購入された商品番号SN5906837)、10mgの分散剤および15mLの溶媒を20mL試料瓶に入れた後、1時間、超音波振動させた。使用された分散剤は、式1に示される溶媒和セグメント(A)を重合したホモポリマーであって、R1がメチル基、R2がブチル基のホモポリマーであった。この分散剤の、1グラム当たりのアミン価(mg KOH/g)は0である。超音波振動の停止後、カーボンナノチューブは沈殿し、溶媒、例えば、DMSO、THF、トルエンまたはn−へキサン中に均一に分散しなかった。
【0048】
比較例2
分散剤が表面に吸着していないカーボンナノチューブを、直接、ポリエチレンと混合した以外は実施例3と同様に、種々のカーボンナノチューブ含有比率(1wt%〜10wt%)を有するカーボンナノチューブ/ポリエチレンの複合材料を製造した。複合材料をタブレットプレス機械によりプレスして、薄膜を形成した。図6は得られた複合材料のSEM写真を示しているが、分散剤が表面に吸着していないカーボンナノチューブは、ポリエチレン中で分散しにくく、カーボンナノチューブが、点線部分6に示されるように、明らかな凝集現象を有している。また、このようにして得られたそれぞれの薄膜のシート抵抗は表3に示されるように高いものとなった。表3に記載の2wt%のカーボンナノチューブを含む複合材料を、実施例3と同様に、加熱、融解して、4倍に引き伸ばした。得られた延伸フィルムはシート抵抗が高すぎ、静電気防止効果が無かった。
【0049】
【表3】

【符号の説明】
【0050】
1 カーボンナノチューブ
2 分散剤
3 熱可塑性プラスチック材料
6 点線部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ粉末であって、
分散剤と均一に混合されているカーボンナノチューブを含み、前記カーボンナノチューブと前記分散剤との重量比は30:70〜90:10であり、
前記カーボンナノチューブは、直径が10〜100nmおよびアスペクト比が100:1〜5000:1であり、
前記分散剤は、溶媒和セグメント(A)および炭素親和性基(B)を重合してなる交互共重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合体であって、
前記溶媒和セグメント(A)は式:
【化1】

(式中、R1は水素またはメチル基、R2は水素、C1-20アルキル基、C1-20アルキルアルコール基、C1-20エーテル基、C1-20エーテルアルコール基、C1-20アミノエステル基、フェニル基、スルホン酸基、C1-20アミノ基、炭酸基またはリン酸基)
で表わされる構造を有し、
前記炭素親和性基(B)は式:
【化2】

(式中、R3は水素またはメチル基、R4はC1-20アルキルアルコールアミノ基、C1-20アミノ基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20エーテルアミノ基またはC1-20アミノエステル基)、
または、式:
【化3】

(式中、R5は水素またはメチル基、R6はC1-10アルキルアルコールアミノ基、C1-10アミノ基、C1-20エーテルアミノ基またはC1-10アミノエステル基)
で表わされる構造を有することを特徴とするカーボンナノチューブ粉末。
【請求項2】
カーボンナノチューブおよび分散剤を、有機溶媒に加える工程であって、前記カーボンナノチューブと前記分散剤の重量比が30:70〜90:10である工程と、
前記有機溶媒を超音波振動および攪拌して、前記カーボンナノチューブを前記有機溶媒中に分散させる工程と、
前記有機溶媒中の固体をろ過、焼成および収集して、カーボンナノチューブ粉末を得る工程と、
を含み、
前記カーボンナノチューブは、前記分散剤と均一に混合されることを特徴とするカーボンナノチューブ粉末の形成方法であって、
前記分散剤が、溶媒和セグメント(A)と炭素親和性基(B)を重合してなる交互共重合体、ブロック共重合体またはランダム共重合体であって、
前記溶媒和セグメント(A)は式:
【化4】

(式中、R1は水素またはメチル基、R2は水素、C1-20アルキル基、C1-20アルキルアルコール基、C1-20エーテル基、C1-20エーテルアルコール基、C1-20アミノエステル基、フェニル基、スルホン酸基、C1-20アミノ基、炭酸基またはリン酸基)
で表わされる構造を有し、
前記炭素親和性基(B)は式:
【化5】

(式中、R3は水素またはメチル基、R4はC1-20アルキルアルコールアミノ基、C1-20アミノ基、C1-20アルキルアミノ基、C1-20エーテルアミノ基またはC1-20アミノエステル基)、
または、式:
【化6】

(式中、R5は水素またはメチル基、R6はC1-10アルキルアルコールアミノ基、C1-10アミノ基、C1-20エーテルアミノ基またはC1-10アミノエステル基)
で表わされる構造を有することを特徴とする方法。
【請求項3】
複合材料の形成方法であって、
請求項2記載の前記カーボンナノチューブ粉末を形成する工程、および
前記カーボンナノチューブ粉末と熱可塑性プラスチック材料を混合して、複合材料を形成する工程、
を含み、
前記カーボンナノチューブ粉末と前記複合材料の重量比が0.5:100〜50:100であることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−60362(P2013−60362A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−201370(P2012−201370)
【出願日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【出願人】(390023582)財團法人工業技術研究院 (524)
【住所又は居所原語表記】195 Chung Hsing Rd.,Sec.4,Chutung,Hsin−Chu,Taiwan R.O.C
【Fターム(参考)】