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カーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法
説明

カーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法

【課題】本発明は、着色したり、導電性を与えるために樹脂にカーボンブラックを混合したとき、その樹脂組成物の熱老化を抑制する方法を提供することを目的とする。
【解決手段】カーボンブラック含有脂組成物の熱老化抑制方法であって、前記カーボンブラックの一次粒子径が30〜300nm以上かつDBP吸収量が25〜180cm/100gであることを特徴とするカーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法。また、前記カーボンブラック含有樹脂組成物に用いる樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンブラックを含有した樹脂組成物の熱老化抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂には、その目的とする用途に応じて種々の添加物が添加されているが、このような添加物は、特に無機化合物の場合、樹脂劣化を促進することが知られている。このような樹脂劣化は、温度が高くなるほど急速に進むため、高温になる場所で用いる樹脂部品などでは、このような樹脂劣化(熱老化)の抑制が求められている。
【0003】
樹脂を黒く着色したり導電性を付与したりするために、カーボンブラックが汎用されているが、このカーボンブラックにおいても同様に熱老化の問題がある。
【0004】
特定のカーボンブラックが高温下で樹脂の劣化を抑制するということは知られている。例えば、特許文献1には、ポリプロピレンに黒色顔料を配合した耐熱老化性ポリプロピレン着色組成物において、前記黒色顔料としてアセチレンブラック又はペリレン系黒色顔料を使用することを特徴とする耐熱老化性ポリプロピレン着色組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献3】特開平6−279630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1では実施例からも明らかなように、着色剤としてカーボンブラックを用いたとき、ファーネスブラックと比較してアセチレンブラックが樹脂の熱老化を抑制する効果が高いといっているに過ぎず、一般的にどのような性質のカーボンブラックが樹脂の耐熱老化性に効果があるかは不明である。
従って、本発明は、着色したり、導電性を与えるために樹脂にカーボンブラックを混合したとき、その樹脂組成物の熱老化を抑制する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、多種多様なカーボンブラックを樹脂に混合したときの耐熱老化性を検討した結果、特定の粒子径とDBP吸収量とを有するカーボンブラックにより前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、
(1) カーボンブラック含有脂組成物の熱老化抑制方法であって、前記カーボンブラックの一次粒子径が30〜300nmかつDBP吸収量が25〜150cm/100g未満であることを特徴とするカーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法、
(2) 前記カーボンブラック含有樹脂組成物に用いる樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする(1)記載のカーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法、
(3) 前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする(1)又は(2)記載のカーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法、
である。
なお、カーボンブラックの一次粒子径は電子顕微鏡により測定し、算出した値であり、DBP(ジブチルフタレート)吸収量は、JIS K 6217−4に準じて測定した値である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、樹脂を着色したり、樹脂に導電性を与えるためカーボンブラックを混合したとき、耐熱老化性に優れた着色又は導電性樹脂組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
【0011】
本発明で用いるカーボンブラックは、一次粒子径30〜300nmかつDBP吸収量が25〜180cm/100gである。カーボンブラックの一次粒子径が30nmより小さいと、樹脂に混合したとき樹脂との接触面積が大きくなるため、カーボンブラックと樹脂の間の相互作用も大きくなり結果として樹脂の熱老化性を促進するものと考えられる。
また、カーボンブラックは一般に凝集体(アグリゲート)として存在しているが、DBP吸収量は、個々のアグリゲート間の空隙率からカーボンブラックの構造を間接的に定義するものと考えられている。従って、詳細は不明であるが、DBP吸収量が小さいとカーボンブラックは凝集状態でのカーボンブラックの空隙率が小さく、逆に大きいと空隙率も大きいと考えられ、DBP吸収量には熱老化抑制に適した範囲があるものと考えられる。
【0012】
本発明で用いる熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−α−オレフイン共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ジアリルフタレート樹脂、塩化ビニリデン樹脂、アクリル塩化ビニル共重合樹脂、AAS樹脂、ACS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、変性PPO樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ブタジエンスチレン樹脂、ポリアミノビスマレイミド樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリブチレン樹脂、から選ばれた1種又は複数の混合物が挙げられる。
【0013】
特に、各種用途に使用できるためポリオレフィン樹脂が好ましく用いられる。ポリオレフィン樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)、ポリプロピレン樹脂(PP)等が挙げられる。
【0014】
本発明では、所望により本発明の目的を損なわない範囲で、他の添加剤、例えば核剤、結晶化促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、熱安定剤、難燃剤、帯電防止剤、着色剤等の添加剤を、カーボンブラック含有脂組成物に含有させることができる。
【実施例】
【0015】
以下、本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、重量部は部と表記する。
【0016】
実験例
ポリプロピレンパウダー(品名:J3H、三井東圧化学社製)100部、ステアリン酸カルシウム0.1部、イルガノックス1010(BASF社製)0.2部、ジラウリルチオジプロピオネート0.3部、及びカーボンブラック1部からなる混合物3kgをヘンシェルミキサーにてブレンドし、そのブレンド物から射出成形により2×74×144mmのプレートを作成した。なお、プレート成形条件は、成形温度220℃、射出圧力20kg/cmである。
得られたプレートを150℃のギヤーオーブン中に置き、クラック発生までの時間を測定し、その時間が800時間以上を○(合格)、800時間未満を×(不合格)とした。
【0017】
表1に用いたカーボンブラックとその一次粒子径、DBP吸収量、熱老化性試験の評価結果を記載した。ここで用いたポリプロピレンパウダー及びカーボンブラックは実験当時の品名及びメーカー名である。
なお、ポリプロピレンパウダーのみの場合は、クラック発生までの時間は2889時間であった。
【0018】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の方法で製造されたカーボンブラック含有脂組成物は、温度が高くてもその樹脂の劣化を抑制するため、長時間高温にさらされる樹脂製品、例えば、電気釜、湯沸し器、自動車エンジン周り等の部材に用いられる。
また、樹脂をリサイクルする場合にも温度による樹脂の劣化を抑制することができるので、繰り返し使用することが可能となる。具体的には、リサイクル可能な導電性ICトレイ用樹脂、黒着色樹脂等が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンブラック含有脂組成物の熱老化抑制方法であって、前記カーボンブラックの一次粒子径が30〜300nmかつDBP吸収量が25〜150cm/100gであることを特徴とするカーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法。
【請求項2】
前記カーボンブラック含有樹脂組成物に用いる樹脂が熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載のカーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法。
【請求項3】
前記熱可塑性樹脂がポリオレフィン樹脂であることを特徴とする請求項1又は2記載のカーボンブラック含有樹脂組成物の熱老化抑制方法。

【公開番号】特開2013−82810(P2013−82810A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223533(P2011−223533)
【出願日】平成23年10月10日(2011.10.10)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】