説明

カーポートのサポート柱

【課題】 片持ち屋根をその先端で支えて該片持ち屋根の耐風圧性や耐荷重性を確保するカーポートのサポート柱の設置や装着を容易に行なうようにする。
【解決手段】 サポート柱Aの上位の中空柱材2に連結金具26を設置して、その上下一対のナットにそれぞれ調整ボルト27を螺装して、下位の中空柱材3の凹陥溝31の底壁に多数直列配置した調整孔32に該調整ボルト27のボルト先端を挿入して、該サポート柱Aの長さ調整を行なう。調整孔32は2cmピッチで20ヶ所透設してある一方、上下一対のナットの配置間隔は4cmとしてあるから、サポート柱Aは2cm毎の可及的小さな調整が可能となるとともに寸法差が生じても屋根が上下に揺動し得ることによってこれを吸収できる。調整範囲は38cmとなるから同一角度で支柱11から突出した片持ち屋根14の出幅が異なるカーポート1の機種に共通部材として使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーポートに関し、特にその片持ち屋根の先端を地表との間で支持するサポート柱に関する。
【背景技術】
【0002】
カーポート、特に片持ち屋根を有するカーポートにおいては、上位の中空柱材に下位の中空柱材をスライド自在に嵌合し、該上位の中空柱材の上位係脱金具を、前枠の長手方向中間位置又は梁の長手方向先端側位置等、片持ち屋根先端部の支持金具に、下位の中空柱材の下位係脱金具を地表の支持金具に係脱自在に係合支持することによって片持ち屋根先端部を支えるサポート柱が用いられ、該サポート柱によって片持ち屋根の耐風圧性や耐荷重性を確保するものとされ、このとき該サポート柱は、工事現場においてカーポートを設置し、また地表に支持金具を設置した後に、片持ち屋根の支持金具と直下位置の寸法を測定し、規格長さからこの寸法をマイナスした上位の中空柱材に、その両側から、例えば9mm径の貫通孔を現場透設し、この上位の中空柱材に下位の中空柱材をスライド嵌合し、サポート柱を片持ち屋根先端部と地表の支持金具間に配置して、該サポート柱の長さに合せて、上位の中空柱材の貫通孔の位置から下位の中空柱材の側面にマーキングを施し、該マーキング位置に、同じくその両側から同一径の貫通孔を現場透設するようにその加工を行うものとされ、該加工後に上下位の中空柱材をスライド嵌合したサポート柱を屋根と地表間に設置し、上位の中空柱材の一側面の貫通孔から下位の中空柱材の貫通孔を介して対向する側面にボルトを挿通して、該対向する側面側においてボルト軸の先端にナットを螺装することによって、上下1乃至2ヶ所のボルトナットの締着によってスライド嵌合した上下位の中空柱材を一体化して、サポート柱の長さを維持するものとされている。
【0003】
【特許文献1】特開平9−221929号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、寸法の測定、貫通孔透設位置の位置決め、上下位の中空柱材のスライド嵌合や下位の中空柱材の抜き取り、上下位毎の貫通孔の個別透設、上下位の中空柱材の再度のスライド嵌合といった現場加工を伴うために、カーポート設置に伴う現場作業が煩雑化する傾向を招き易い。即ち、一般にカーポート設置後に地表の支持金具を設置するが、地表の支持金具設置は現場によって位置が異なることが多く、その結果、多くの場合にサポート柱は定位置の片持ち屋根の先端部とカーポートの幅方向外方の地表との間で傾斜配置され、現場毎にその傾斜長さが変化するために、該サポート柱の長さを予め定めることができず、従って現場で上記作業を行って、サポート柱の長さに個別に対応しつつ、上下位の中空柱材の長手方向に正確な位置出しを行って貫通孔を配置する必要がある。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、現場での貫通孔透設の作業を省略して、長さを調整することによって片持ち屋根の先端部と地表との傾斜長さに適用し得るとともに該長さの調整を可及的簡易且つ確実になし得るようにしたサポート柱を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って本発明は、サポート柱の調整を上位の中空柱材に配置した上下一対のナットに上下一対の調整ボルトを締着し、下位の中空柱材側に突出したボルト軸を該下位の中空柱材の調整孔に挿入することによって行うようにするとともに下位の中空柱材の調整孔を多数直列配置することによって長さ調整の範囲を可及的に大きく確保し、また該調整孔の配置ピッチを上記上下一対のナット間隔の1/2とすることによって、長さ調整の調整ピッチを可及的に小さくして、片持ち屋根の先端部と地表の支持金具間に直ちに設置してその調整を行うことによって、現場作業を可及的に容易化する一方、地表の支持金具の設置位置と該長さ調整の範囲との間に生じることある寸法差を、片持ち屋根の先端部を突張り状又は引寄せ状とするようにその上下揺動によって弾発的に吸収するようにして、安定且つ確実に片持ち屋根の先端部を支えるようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、上位の中空柱材に下位の中空柱材をスライド自在に嵌合し、該上位の中空柱材の上位係脱金具を片持ち屋根先端部の支持金具に、下位の中空柱材の下位係脱金具を地表の支持金具に係脱自在に係合支持することによって片持ち屋根先端部を支えるカーポートにおけるサポート柱であって、上記上位の中空柱材における一側面長手方向中間位置に固定した連結金具の上下一対のナットに螺装配置した上下一対の調整ボルトと、上記下位の中空柱材における該調整ボルト側に対向する側面に長手方向所定配置ピッチで上下に直列配置した上記調整ボルトのボルト軸受入用多数の調整孔を備え且つ該調整孔の配置ピッチを上記上下一対のナット配置間隔の1/2として上記上下位の中空柱材の嵌合長さを該調整孔の配置ピッチによって調整自在とするとともに該上下位の中空柱材の嵌合長さと上記片持ち屋根先端部及び地表の支持金具間距離との寸法差を片持ち屋根先端部における上下揺動によって弾発的に吸収自在としてなることを特徴とするカーポートのサポート柱としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、下位の中空柱材に凹陥溝を配置し、該凹陥溝に上記調整孔を配置することにより、凹陥溝の溝深さに応じて調整ボルトのボルト先端の進退を許容するスペースを形成して、調整ボルトを緩めた状態で下位の中空柱材のスライドを許容し、該調整ボルトを取り外すことなくサポート柱の長さ調整をなし得るようにするとともに該調整孔の直接の表面露出を回避してサポート柱の外観を可及的に向上するように、これを、上記下位の中空柱材における調整ボルト側に対向する側面の幅方向中間に凹陥溝を配置し、上記ボルト軸受入用多数の調整孔を該凹陥溝の底壁に上下に直列配置することにより上位の中空柱材との間に該凹陥溝の溝深さに応じたボルト先端の進退許容スペースを形成してなることを特徴とする請求項1に記載のカーポートのサポート柱としたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記上下位の中空柱材の嵌合長さと上記屋根先端部と地表間距離との寸法差を1±0.5cm、即ち1.5〜0.5cmとすることにより、サポート柱の長さ調整のピッチを該1.5〜0.5cmの範囲として、可及的に小さな調整のピッチを確保するとともに寸法差の吸収を、片持ち屋根の先端部において無理なく弾発的になし得るものとするように、これを、上記上下位の中空柱材の嵌合長さと上記屋根先端部と地表間距離との寸法差を、1±0.5cmとしてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーポートのサポート柱としたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、サポート柱の長さ調整に伴うボルトの回転作業を、工具を使用することなく可及的容易になし得るものとするように、これを、上記ボルトを、蝶ボルト、ノブ付ボルト等の回転操作用摘み部位を有するボルトとしてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のカーポートのサポート柱としたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、サポート柱の長さ調整の調整幅、調整ピッチ及び上記片持ち屋根の先端部による無理なく吸収し得る上記屋根先端部と地表間距離との寸法差を好ましい形態のものとするように、これを、上記調整ボルトの配置間隔を4±1cm、調整孔の配置ピッチを2±0.5cmとし且つ上下位の中空柱材の嵌合長さの調整を40cm程度としてなることを特徴とする請求項3に記載のカーポートのサポート柱としたものである。
【0011】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、サポート柱の調整を上位の中空柱材に配置した上下一対のナットに上下一対の調整ボルトを締着し、下位の中空柱材側に突出したボルト軸を該下位の中空柱材の調整孔に挿入することによって行うようにするとともに下位の中空柱材の調整孔を多数直列配置することによって長さ調整の範囲を可及的に大きく確保し、また該調整孔の配置ピッチを上記上下一対のナット間隔の1/2とすることによって、長さ調整の調整ピッチを可及的に小さくして、片持ち屋根の先端部と地表の支持金具間に直ちに設置してその調整を行うことによって現場作業を可及的に容易化する一方、地表の支持金具の設置位置と該長さ調整の範囲との間に生じることある寸法差を、片持ち屋根の先端部を突張り状又は引寄せ状とするようにその上下揺動によって弾発的に吸収するようにして、安定且つ確実に片持ち屋根の先端部を支えるようにすることによって、現場での貫通孔透設の作業を省略して、長さを調整することによって片持ち屋根の先端部と地表との傾斜長さに適用し得るとともに該長さの調整を可及的簡易且つ確実になし得るようにしたサポート柱を提供することができる。
【0013】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、下位の中空柱材に凹陥溝を配置し、該凹陥溝に上記調整孔を配置することにより、凹陥溝の溝深さに応じて調整ボルトのボルト先端の進退を許容するスペースを形成して、調整ボルトを緩めた状態で下位の中空柱材のスライドを許容し、該調整ボルトを取り外すことなくサポート柱の長さ調整をなし得るようにするとともに該調整孔の直接の表面露出を回避してサポート柱の外観を可及的に向上することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、上記上下位の中空柱材の嵌合長さと上記屋根先端部と地表間距離との寸法差を1±0.5cm、即ち1.5〜0.5cmとすることにより、サポート柱の長さ調整のピッチを該1.5〜0.5cmの範囲として、可及的に小さな調整のピッチを確保するとともに寸法差の吸収を、片持ち屋根の先端部において無理なく弾発的になし得るものとすることができる。
【0015】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、サポート柱の長さ調整に伴うボルトの回転作業を、工具を使用することなく可及的容易になし得るものとすることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、サポート柱の長さ調整の調整幅、調整ピッチ及び上記片持ち屋根の先端部による無理なく吸収し得る上記屋根先端部と地表間距離との寸法差を好ましい形態のものとすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、カーポート1のサポート柱であり、本例にあってカーポート1は、地表に起立配置した一対の支柱11と、該一対の支柱11から側方に突出した一対の梁13と、該支柱11に片持ち支持し、梁13に載置固定した片持ち屋根14とを備えたアルミ製のものとしてあり、サポート柱Aは、上位の中空柱材2に下位の中空柱材3をスライド自在に嵌合し、該上位の中空柱材2の上位係脱金具22を片持ち屋根14先端部、本例にあっては梁13の長手方向先端部位の支持金具15に、下位の中空柱材3の下位係脱金具35を地表の支持金具16に係脱自在に係合支持することによって片持ち屋根先端部を支える、同じくアルミ製のものとし、これによって片持ち屋根14の耐風圧性や耐荷重性を確保するものとしてある。
【0018】
このときサポート柱Aは、上記上位の中空柱材2における一側面長手方向中間位置に固定した連結金具26の上下一対のナット(図示省略)に螺装配置した上下一対の調整ボルト27と、上記下位の中空柱材3における該調整ボルト27側に対向する側面に長手方向所定配置ピッチで上下に直列配置した上記調整ボルト27のボルト軸受入用多数の調整孔32を備え且つ該調整孔32の配置ピッチを上記上下一対のナット配置間隔の1/2として上記上下位の中空柱材2、3の嵌合長さを該調整孔32の配置ピッチによって調整自在とするとともに該上下位の中空柱材2、3の嵌合長さと上記片持ち屋根先端部及び地表の支持金具15、16間距離との寸法差を片持ち屋根先端部における上下揺動によって弾発的に吸収自在としたものとしてある。
【0019】
本例にあって上下位の中空柱材2、3は、いずれも基本形状を断面矩形乃至方形にして相互にスライド嵌合するように、下位の中空柱材3の断面積を上位の中空柱材2より幾分小さくした、それぞれアルミ押出材に所定の加工を施したものとしてあり、このとき本例の上位の中空柱材2は、サポート柱Aの裏面側に凹陥した後述のフック受け入れ用の、例えば凹陥深さを数mm程度とした浅溝21を、下位の中空柱材3は、サポート柱Aの正面側、即ち該下位の中空柱材3における調整ボルト27側に対向する側面の幅方向中間に同じく後述のボルト先端の進退許容スペース34用の、例えば凹陥深さを1cm程度とした凹陥溝31をそれぞれ長手方向一連に形成したものとしてある。
【0020】
このとき上位の中空柱材2はその上端に、片持ち屋根先端部、本例にあっては梁13に固定した支持金具15に合せて、これに係脱自在に係合してサポート柱Aにおける上位の中空柱材2を該屋根先端部に吊り支持する上位係脱金具22を上方に突出配置するとともに該上位の中空柱材2の上端とその小口を被覆する上端キャップ23を嵌着固定してあり、該上端キャップ23は、その嵌着によって上記浅溝21上端の裏面側を部分的に閉塞し、該浅溝21を下向き開口の上位のフック受25としてあり、また該上位の中空柱材2の下端には同じくその下端とその小口を被覆する下端キャップ24を嵌着固定してあり、同じく該下端キャップ24は、その嵌着によって上記浅溝21下端の裏面側下端を部分的に閉塞し、本例にあって該下端キャップ24の裏面側下端に配置した浅溝21の溝幅に応じた透孔によって、該浅溝21を下向き開口の下位のフック受25としてある。
【0021】
従って本例のサポート柱Aは、該上位の中空柱材2の浅溝21と上下端のキャップ23、24によって形成したフック受25に、例えばカーポート1の支柱11に該上位の中空柱材2のフック受25間隔に応じて設置した収納金具12の上下の上向きフック121に対して、該サポート柱Aを落し込み状にすることによって、不使用時に片持ち屋根先端部と地表から取り外したサポート柱Aを支柱11に添設状に収納することができ、また使用時には該サポート柱Aを持上げ状にして支柱11から取り出して片持ち屋根先端部と地表間に再装着することができるようにしてある。また該サポート柱Aの収納と再装着に際しては、サポート柱Aの長さ調整を伴うところ、上位の中空柱材2の下端小口は、手に触れ易い箇所となるが、上記上下端キャップ、特に下端キャップ24が、該上位の中空柱材2における下端小口に手が触れるのを防止し、手を保護することによって怪我を防止して安全性を確保したものとしてある。
【0022】
一方、下位の中空柱材3は、その下端に、本例にあっては地表から突出しないように埋込設置した地表の支持金具16に合せて、同じくこれに係脱自在に係合してサポート柱Aにおける下位の中空柱材3を地表に固定支持する下位係脱金具35を下方に突出配置したものとしてあり、上記上位の中空柱材2にスライド嵌合したサポート柱Aの下端にあって、該サポート柱Aを地表に固定支持するものとしてある。
【0023】
このとき上位の中空柱材2には、例えばその表面に上記上下一対のナットを有する連結金具26を設置してあり、該連結金具26は、例えば鋼製プレートに一体又は別体のナットを配置して、例えば表面に該連結金具26が露出するように、リベット、ネジ等の固定具によって該上位の中空柱材2に固定してあり、このとき該上位の中空柱材2のナット対応位置には、該ナットの雌ネジ径より幾分径大の上下の透孔を透設してある。従って、該連結金具26には、その上下一対のナットに螺装することによって、例えば、蝶ボルト、ノブ付ボルト等の回転操作用摘み部位を有する、本例にあって蝶ボルトによる上下一対の調整ボルト27を、該上位の中空柱材2の、本例にあって正面側から、該上位の中空柱材2にスライド嵌合した下位の中空柱材3に向けて突没自在に配置して、サポート柱Aの長さ調整を行うことができるようにしてある。上記連結金具26のナットは、別体のナットを溶着固定することができるが、本例にあっては、上記連結金具26にバーリング加工等のナット形成加工を施すことによって、これに一体に形成してその配置を行ったものとしてある。
【0024】
一方、下位の中空柱材3には、上記サポート柱Aの正面、即ち、上記調整ボルト27側に対向する側面の幅方向中間に形成した上記凹陥溝31の底壁に上記調整孔32を上下に直列配置し、該直列配置多数の調整孔32を上記調整ボルト27のボルト軸の受入用として、上位の中空柱材2にスライド嵌合した下位の中空柱材3の突出長さを該調整ボルト27によって定めることによって、サポート柱Aの長さ調整を行うようにしてあり、該調整孔32は、同じく上記ナットの雌ネジ径より幾分径大にして、上記調整ボルト27のボルト軸を挿通自在としてある。このとき調整孔32を凹陥溝31の底壁に配置したことによって、上位の中空柱材2との間に該凹陥溝31の溝深さに応じた、上記例えば1cm程度のボルト先端の進退許容スペース34を形成してあり、従ってサポート柱Aの長さ調整に際して、該調整ボルト27を緩めれば、該調整ボルト27の先端は、該進退許容スペース34に退いて、その調整孔32から脱出する結果、下位の中空柱材3のスライドが許容されるに至る。このため、長さ調整を行なうために、調整ボルト27を取り外し、長さを定めて再度螺装するといった煩雑な作業がなくなるとともに取り外した調整ボルト27が紛失するといったトラブルも解消できる。
【0025】
調整孔32は、該凹陥溝31の底壁に配置ピッチを等しくして多数直列配置してあり、このとき該調整孔32のピッチは、これを、上記調整ボルト27を螺装するナットの配置間隔の1/2としてあり、本例にあって、上記調整ボルト27の配置間隔は、これを4±1cmとし、該調整孔32の配置ピッチは、これを、その1/2の2±0.5cmとしてある。これによって本例のサポート柱Aは、1±0.5cmの可及的に小さなピッチ毎に伸縮するようにその長さ調整を行うことができ、従って該サポート柱Aにおける、上記上下位の中空柱材2、3の嵌合長さと上記片持ち屋根先端部と地表間距離との寸法差を、同じく1±0.5cmとする好ましい形態のものとすることができる。
【0026】
即ち、上記上下一対のナットの配置間隔と、該調整孔32の関係によって、該一対のナットに螺装する調整ボルト27は、直列配置の一つ置きの一対の調整孔32に対して挿入されるものとなるから、調整孔32を一つずらすことによって該調整孔32の配置ピッチ分の長さ調整が可能となるところ、配置ピッチ、即ち調整孔32のピッチが拡大すると、その分上記寸法差が拡大し、例えば該寸法差が2.5cmを上回ると、片持ち屋根先端部の揺動による該寸法差を吸収するためのサポート柱Aの装着に過大な力を必要とするとともにサポート柱Aの取り外しやそのための調整ボルト27の回転によって強い反力を受ける可能性があり、特に片持ち屋根14の支柱11からの出幅が小さい場合には、この傾向が強まることになり、また1.5cmを下回ると、該寸法差の吸収に弾発性を得難いことになり易く、特に片持ち屋根14の支柱11からの出幅が大きいと、サポート柱Aの装着状態でガタツキが生じる可能性が残るといった傾向を招き易くなる。従って連結金具26のナット配置間隔と調整孔32の配置ピッチの関係は、これを上記の範囲内とするのが、サポート柱Aの装着やガタツキの発生を防止する上で好ましい。本例にあって上記ナットの配置間隔は、これを4cm、調整孔32の配置ピッチを2cmとしたから、サポート柱Aを2cm毎に伸縮することができ、サポート柱Aの装着が可及的に容易化するとともにサポート柱Aの装着をガタツキなく確実になし得るものとすることができる。
【0027】
このように本例にあって調整孔32の配置ピッチを2cmとした下位の中空柱材2は、該調整孔32を合計20ヶ所直列配置してあり、従って、本例のサポート柱Aは40cm程度の範囲、より正確にいえば38cmの範囲で、その長さ調整をなし得るものとしてあり、これによって、例えば片持ち屋根14の支柱11からの同一角度で突出する異なる突出幅による片持ち屋根先端部の地表からの高さの相違、地表の支持金具16設置位置の相違等に対して、該サポート柱Aは幅広く対応することが可能となる。即ち、該サポート柱Aは、上記突出幅を、例えば1.8m、2.4m、3mとする機種の相違に共通部材とすることができるとともに、必要に応じて、上記片持ち屋根先端部の支持金具16を梁設置用のものに加えて前枠141に設置する前枠設置用のものとし又は該前枠設置用のものを追加使用することによって、カーポート1の具体的構成を異にする種類の相違を超えて同じく共通部材とすることができ、更には既存のカーポートに後付用に設置して、既存のカーポートの耐風圧性や耐荷重性を確保する後付部材とすることが可能となる。サポート柱Aの長さ調整の範囲は、更に機種毎の専用部材とするように地表の支持金具16設置位置の相違に対応するものとするように、これを縮小することができる。該長さ調整の範囲を、上記40cm程度とすれば、上記共通部材として使用する上で概ね足りるが、必要に応じて、これを更に拡大することもできる。
【0028】
このように構成したサポート柱Aにあっては、工事現場でカーポート1を設置し、片持ち屋根14の、本例にあっては梁13長手方向先端部位と、地表の適宜箇所にそれぞれ支持金具15、16を配置し、梁13の支持金具15と地表の支持金具16間に、上位係脱金具22と下位係脱金具35を着脱自在に係合支持して、屋根と地表間に装着する一方、一対の調整ボルト27を緩めて下位の中空柱材3をスライド調整した後、該調整後に該調整ボルト27を締着することによって、そのボルト先端を下位の中空柱材3の対応する一対の調整孔32に挿入するようにして、その長さ調整を行なうことができ、従って該サポート柱Aの長さ調整に伴う煩雑な作業を解消することができる。
【0029】
またサポート柱Aの不要時期には、調整ボルト27を緩めてサポート柱Aを短縮して、梁13と地表の支持金具15、16からサポート柱Aを取外し、上記支柱11に固定した収納金具12のフック121に、短縮したサポート柱Aの、上記上位の中空柱材2の浅溝21と上下端キャップ23、24によって形成したフック受25を落し込むようにして、該フック受25を引掛係合することによって、支柱11の側面にコンパクトに添設状に収納し得る一方、サポート柱Aの必要時期には、該支柱11から外して、上記工事現場におけると同様に、屋根と地表間に装着するようにすればよい。
【0030】
図中33は、出荷時や上記支柱11への収納時にサポート柱Aを短縮するときに調整ボルト27のボルト先端を挿入するために下位の中空柱材3の上記凹陥溝31の底壁に透設したボルト挿通孔、36は、地表の支持金具16に下位係脱金具35を係合した際に、その抜止め固定を行なうように同じく下位の中空柱材3の下端に上下動自在に配置した落し棒である。
【0031】
図示した例は以上のとおりとしたが、サポート柱の上位係脱金具を係合支持する屋根先端部の支持金具を、片持ち屋根の前枠長手方向中間位置に設置して、該サポート柱を片持ち屋根の前枠と地表の支持金具間に設置するようにすること、連結金具を上位の中空柱材の中空部の背面側に設置することを含めて、本発明の実施に当って、カーポート、サポート柱、上下位の中空柱材、支持金具、上下位係脱金具、連結金具、ナット、調整ボルト、調整孔、その配置ピッチ、必要に応じて用いる凹陥溝によるボルト先端の進退許容スペース、蝶ボルト、ノブ付ボルト等の回転操作用摘み部位を有するボルト等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】カーポートの斜視図である。
【図2】片持ち屋根の支持金具とサポート柱上端の関係を示す縦断面図である。
【図3】地表の支持金具とサポート柱下端の関係を示す縦断面図である。
【図4】サポート柱の支柱収納状態を示す一部切欠き側面図である。
【図5】サポート柱の装着状態の部分正面図である。
【符号の説明】
【0033】
A サポート柱
1 カーポート
11 支柱
12 収納金具
121 フック
13 梁
14 片持ち屋根
141 前枠
15 梁の支持金具
16 地表の支持金具
2 上位の中空柱材
21 浅溝
22 上位係脱金具
23 上端キャップ
24 下端キャップ
25 フック受
26 連結金具
27 調整ボルト
3 下位の中空柱材
31 凹陥溝
32 調整孔
33 ボルト挿通孔
34 ボルト先端進退スペース
35 下位係脱金具
36 落し棒


【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位の中空柱材に下位の中空柱材をスライド自在に嵌合し、該上位の中空柱材の上位係脱金具を片持ち屋根先端部の支持金具に、下位の中空柱材の下位係脱金具を地表の支持金具に係脱自在に係合支持することによって片持ち屋根先端部を支えるカーポートにおけるサポート柱であって、上記上位の中空柱材における一側面長手方向中間位置に固定した連結金具の上下一対のナットに螺装配置した上下一対の調整ボルトと、上記下位の中空柱材における該調整ボルト側に対向する側面に長手方向所定配置ピッチで上下に直列配置した上記調整ボルトのボルト軸受入用多数の調整孔を備え且つ該調整孔の配置ピッチを上記上下一対のナット配置間隔の1/2として上記上下位の中空柱材の嵌合長さを該調整孔の配置ピッチによって調整自在とするとともに該上下位の中空柱材の嵌合長さと上記片持ち屋根先端部及び地表の支持金具間距離との寸法差を片持ち屋根先端部における上下揺動によって弾発的に吸収自在としてなることを特徴とするカーポートのサポート柱。
【請求項2】
上記下位の中空柱材における調整ボルト側に対向する側面の幅方向中間に凹陥溝を配置し、上記ボルト軸受入用多数の調整孔を該凹陥溝の底壁に上下に直列配置することにより上位の中空柱材との間に該凹陥溝の溝深さに応じたボルト先端の進退許容スペースを形成してなることを特徴とする請求項1に記載のカーポートのサポート柱。
【請求項3】
上記上下位の中空柱材の嵌合長さと上記屋根先端部と地表間距離との寸法差を、1±0.5cmとしてなることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーポートのサポート柱。
【請求項4】
上記ボルトを、蝶ボルト、ノブ付ボルト等の回転操作用摘み部位を有するボルトとしてなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のカーポートのサポート柱。
【請求項5】
上記調整ボルトの配置間隔を4±1cm、調整孔の配置ピッチを2±0.5cmとし且つ上下位の中空柱材の嵌合長さの調整を40cm程度としてなることを特徴とする請求項3に記載のカーポートのサポート柱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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