説明

カーポート

【課題】簡易な構造で支柱と梁を確実に位置決めして連結できるカーポートを提供する。
【解決手段】断面中空状の支柱3の上端部に梁4を設けてなるフレーム材1、2と、フレーム材1、2の梁4に支持される屋根体5とからなり、支柱3の側面上端には凹状の切欠部20が形成され、梁4の端部は切欠部20を介して支柱3の中空内部に納められると共に、梁4の上面は支柱3の上面と略面一状とされ、支柱3内に納められる梁4の端部側面には固定部材21が固着され、固定部材21は支柱3の内側面に当接する当接部21cを有すると共に、当接部21cに対して支柱3の外側面側から締結具22が螺合されることで支柱3と梁4が連結されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面中空状の支柱の上端部に梁を設けてなるフレーム材及び梁に支持される屋根体とからなるカーポートに関し、特に支柱の上端部に設けられる切欠部に梁を挿通し固定をなすカーポートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地面に立設した支柱に梁を取付けてフレーム材を構成し、フレーム材の上部に屋根体を固定してなるカーポートが用いられている。このカーポートは、少なくとも前後にそれぞれフレーム材が立設され、湾曲状または平面状に形成された屋根体が前後のフレーム材の梁によって支持される。また屋根体は、前後枠と左右側枠とを略方形状に枠組みした枠体内に、パネル材を複数枚取付けて構成される。
【0003】
フレーム材を構成するには、支柱と梁を連結する必要がある。支柱と梁を連結する構造としては、略L字状の連結部材を別に用意し、これを支柱と梁の中空部にそれぞれ挿入し、連結するものが知られている。また、支柱の上端部に連結金具を設け、この連結金具により梁を直接支柱に連結固定する構造も知られている。連結部材を支柱と梁にそれぞれ挿入して連結する構造を有したカーポートとしては、例えば特許文献1に挙げるようなものがある。
【特許文献1】特開平8−232490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来のカーポートにおける支柱と梁の連結構造は、部品点数が多かったり、あるいは支柱と梁の位置合わせが簡単ではなく、組立の作業性に問題があると共に、コストの高いものとなっていた。
【0005】
本発明は、前記課題を解決すべくなされたものであり、簡易な構造で支柱と梁を確実に位置決めして連結できるカーポートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明に係るカーポートは、断面中空状の支柱の上端部に梁を設けてなるフレーム材と、該フレーム材の梁に支持される屋根体とからなるカーポートにおいて、
前記支柱の側面上端には凹状の切欠部が形成され、前記梁の端部は前記切欠部を介して前記支柱の中空内部に納められ、
前記支柱内に納められる前記梁の端部側面には固定部材が固着され、該固定部材は前記支柱の内側面に当接する当接部を有すると共に、該当接部に対して前記支柱の外側面側から締結具が螺合されることで前記支柱と梁が連結されてなることを特徴として構成されている。
【0007】
また、本発明に係るカーポートは、前記梁は上弦材と下弦材との間に斜材を渡してなるトラス構造体からなり、前記固定部材は前記上弦材と下弦材に渡るように設けられることを特徴として構成されている。
【0008】
さらに、本発明に係るカーポートは、前記支柱の上端面には塞ぎキャップが設けられることを特徴として構成されている。
【0009】
さらにまた、本発明に係るカーポートは、前記塞ぎキャップは前記支柱の上端面を塞ぐ塞ぎ部と、該塞ぎ部から下方に突出し前記上弦材を抱き込む形状を有した抱き込み部とを有することを特徴として構成されている。
【0010】
そして、本発明に係るカーポートは、前記固定部材は前記梁の対向する両側面にそれぞれ設けられると共に、該側面に当接する固着部を有し、該固着部は対向する反対側の固着部に対し前記梁を介して連結固定されることを特徴として構成されている。
【0011】
また、本発明に係るカーポートは、前記支柱内に納められる前記梁の端部上面は前記支柱の上面と略面一状とされることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るカーポートによれば、支柱内に納められる梁の端部側面には固定部材が固着され、固定部材は支柱の内側面に当接する当接部を有すると共に、当接部に対して支柱の外側面側から締結具が螺合されることで支柱と梁が連結されてなることにより、固定部材を固着した梁を支柱の中空内部に落とし込んで支柱の外側面側から締結具により固定するだけで、位置合わせ等の作業を行うことなく梁と支柱の連結を容易に行うことができる。また、連結のための部品として梁の側面に固定部材を設けるだけでよいので、部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【0013】
また、本発明に係るカーポートによれば、梁は上弦材と下弦材との間に斜材を渡してなるトラス構造体からなり、固定部材は上弦材と下弦材に渡るように設けられることにより、トラス構造体に対して簡易な構造の固定部材を取付けるだけで、容易に梁と支柱の連結を行うことができる。
【0014】
さらに、本発明に係るカーポートによれば、支柱の上端面には塞ぎキャップが設けられることにより、支柱の上面を塞いで意匠性を良好にすることができる。
【0015】
さらにまた、本発明に係るカーポートによれば、塞ぎキャップは支柱の上端面を塞ぐ塞ぎ部と、塞ぎ部から下方に突出し上弦材を抱き込む形状を有した抱き込み部とを有することにより、塞ぎキャップが上弦材を抱き込んでより強固に固定することができる。
【0016】
そして、本発明に係るカーポートによれば、固定部材は梁の対向する両側面にそれぞれ設けられると共に、梁の側面に当接する固着部を有し、固着部は対向する反対側の固着部に対し梁を介して連結固定されることにより、固定部材を梁の両面に容易に取付けることができ、また固定部材を支柱の両側から固定することができるので、支柱と梁の固定強度をより大きくすることができる。
【0017】
また、本発明に係るカーポートによれば、支柱内に納められる梁の端部上面は支柱の上面と略面一状とされることにより、梁の納まりをよくして意匠性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施形態について図面に沿って詳細に説明する。図1には本実施形態におけるカーポートの正面図を、図2にはカーポートの側面図を、それぞれ示している。これら各図に示すように、本実施形態におけるカーポートは、地面に立設される左右の支柱3、3に梁4を両支持状に設けてなる前フレーム材1と後フレーム材2とを前後方向に並設し、前フレーム材1と後フレーム材2によって屋根体5を支持してなり、屋根体5の下に自動車を1台配置することのできるものである。
【0019】
前フレーム材1及び後フレーム材2を構成する梁4は、トラス構造体からなっている。トラス構造体は、断面中空状の上弦材10と下弦材11とが平行に配置され、その間に縦材13及び斜材12が渡されて構成されている。このように梁4にトラス構造体を用いることで、梁4を軽量でかつ強度の高いものとしている。
【0020】
次に、支柱3と梁4の連結構造について説明する。図3には支柱3と梁4の連結部分の正面図を、図4には図3のA−A断面図を、図5には図3のB−B断面図を、図6には支柱3の上端部付近の斜視図を、それぞれ示している。図6に示すように本実施形態のカーポートの支柱3は、断面略方形状であって、内部が中空状に形成されており、また上端部には一側面が凹状に切り欠かれた切欠部20が形成されている。この切欠部20から梁4の端部が支柱3の中空内部に挿入され、固定されることによって支柱3と梁4が連結される。
【0021】
図3に示すように、支柱3と梁4の連結部分の上面には、屋根体5が載置固定される。図3において支柱3と梁4の連結部分に載置されるのは、屋根体5を構成する後枠30である。後枠30は、屋根体5の面部分を構成するパネル体32を支持しており、下面において支柱3に対して固定される。図5に示すように、後枠30の下面にはL字状の枠固定金具31がボルトにより固定されており、枠固定金具31は後枠30に固定される一面と直交する面が支柱3の側面にネジ止め固定される。これによって後枠30と支柱3が固定されている。なお、枠固定金具31は金具カバー33によって覆われ、直接露出しないようにされている。
【0022】
梁4を構成するトラス構造体は以下のように構成されている。図5に示すように、上弦材10と下弦材11は、断面略方形状に形成されると共に、内部が中空状とされて中空部14を構成している。上弦材10の中空部14には、下弦材11と対向する面に長手方向に沿ってフィン状に突出された斜材保持部15が形成されている。また、下弦材11の中空部14にも、上弦材10と対向する面に長手方向に沿ってフィン状に突出された斜材保持部15が形成されている。斜材保持部15は、上弦材10と下弦材11の互いに対向する面のそれぞれ中央位置に配置されている。
【0023】
上弦材10と下弦材11の斜材保持部15が形成される面には、斜材保持部15を挟んで両側に2つの第2フィン部16、16が形成されている。これにより第2フィン部16は所定間隔を有して対向配置される。
【0024】
斜材12の上下端部には、それぞれ斜材保持部15をスライド自在に保持する溝部17が形成されている。斜材12は上弦材10と下弦材11の間において斜材保持部15を保持することによって取付けられている。また、斜材12の両端部はそれぞれ第2フィン部16に対して両側面が当接しており、外部に直接露出しないようにされている。
【0025】
図4及び図5に示すように、梁4の端部は切欠部20を介して支柱3の中空内部に納められている。また、梁4を構成する上弦材10の上面は、支柱3の上面と面一状とされる。すなわち切欠部20は、梁4を構成する上弦材10及び下弦材11と同等の幅を有すると共に、梁4の上下方向幅と同等の深さを有するように形成されている。
【0026】
図4に示すように、支柱3の中空内部に納められる梁4の端部には、両側面に固定部材21が固着されている。固定部材21は、梁4の側面に当接して固着される固着部21aと、固着部21aから凸状に突出し支柱3の内側面に当接する当接部21cとを有して構成されている。また、固定部材21の両側部には、固着部21aと直交する方向に伸びる側面部21dが形成されており、側面部21dは支柱3の内側面であって当接部21cが当接する面と直交する面に当接する。
【0027】
梁4の両側面に設けられる固定部材21は、固着部21aが互いに対向するように配置されており、これらの間を渡すようにボルトとナットからなる連結具21bが設けられ、この連結具21bによって2つの固定部材21が梁4に対して固着される。
【0028】
また、固定部材21は図5に示すように、梁4を構成する上弦材10から下弦材11に渡る上下方向幅を有している。そして、上弦材10と下弦材11のそれぞれに対して固着部21aが当接しており、連結具21bにより固着されている。
【0029】
図4に示すように、支柱3の内側面に当接する当接部21cは、支柱3の外側面側から締結具22が挿入され固定される。図5に示すように、締結具22は各固定部材21に対して上下2箇所に設けられて、固定部材21を固定する。これによって、梁4は支柱3に対して固定され両者が連結される。
【0030】
支柱3と梁4が面一状とされた上面には、塞ぎキャップ23が取付けられる。図7には、塞ぎキャップ23の正面図(図7(a))及び平面図(図7(b))を示している。図7(a)に示すように、塞ぎキャップ23は上面を構成し支柱3の上面を塞ぐ塞ぎ部23aと、塞ぎ部23aの下面から下方に向かって突出し、略L字状に形成されて互いに向かい合う一組の抱き込み部23bとを有している。また、塞ぎ部23aの下面には、支柱3の端面から中空内部に挿入され塞ぎキャップ23を固定する挿入部23cが形成されている。
【0031】
図7(b)に示すように、塞ぎ部23aは平面視において略コ字状をなすように形成されており、梁4の上弦材10が配置される領域は空間とされている。これにより、塞ぎキャップ23が支柱3の上面に取付けられることにより、塞ぎ部23aの上面と梁4の上弦材10とが面一状とされる。
【0032】
抱き込み部23bは上弦材10の外形状に沿うように形成されており、上弦材10を抱き込む形状となっている。また、抱き込み部23bは、固定部材21が取付けられた状態で当接部21cと対向する位置に配置される。このため、抱き込み部23bの幅は固定部材21の当接部21cと略同幅に形成される。
【0033】
支柱3と梁4を連結するにあたっては、予め梁4に対して塞ぎキャップ23を取付けると共に、固定部材21を固着しておく。塞ぎキャップ23を梁4に取付けるには、梁4に対して固定部材21を取付ける前の状態において、固定部材21が取付けられた際に当接部21cが配置される位置まで抱き込み部23bを上弦材10の端面からスライドさせる。その後に固定部材21を梁4の両側面に対して固着する。
【0034】
梁4の端部に固定部材21及び塞ぎキャップ23を取付けたら、梁4の端部を支柱3の上面から中空内部に挿入する。この際、前述のように梁4を切欠部20に納めるようにすることで、固定部材21が固着された梁4の端部は切欠部20を介して支柱3の中空内部に納められる。梁4の端部を支柱3の中空内部に挿入したら、固定部材21の当接部21cは支柱3の内側面に当接するので、この状態において当接部21cに対して支柱3の外側面側から締結具22を挿入、螺合させて固定部材21を固定する。また、梁4を支柱3内に納めることで、梁4に予め取付けられていた塞ぎキャップ23は、挿入部23cが支柱3の上端面から挿入され、支柱3の上面を塞いだ状態となる。
【0035】
このように、梁4の端部に支柱3の中空内部に適合する固定部材21を設け、支柱3の切欠部20を介して梁4の端部を支柱3の中空内部に配置することにより、梁4を支柱3の中空内部に落とし込んで支柱3の外側面側から締結具22により固定するだけで、位置合わせ等の作業をほとんど行うことなく梁4と支柱3の連結を容易に行うことができる。また、連結のための部品として梁4の側面に簡易な構成からなる固定部材21を設けるだけでよいので、部品点数を少なくしてコストダウンを図ることができる。
【0036】
また、塞ぎキャップ23の態様については、以下のように構成することもできる。図8には、別の態様の塞ぎキャップ23の正面図を示している。この態様の塞ぎキャップ23は、塞ぎ部23aを有する点は図7のものと同様であり、一方で抱き込み部23bは有していない。図8に示した塞ぎキャップ23によれば、梁4に固定部材21を固着する前に塞ぎキャップ23を予め取付けておく必要はなく、支柱3と梁4を連結した後に支柱3の上端面に対して挿入部23cを挿入し固定することができるので、作業性をより向上させることができる。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の適用はこれら実施形態には限られず、その技術的思想の範囲内において様々に適用されうるものである。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本実施形態におけるカーポートの正面図である。
【図2】カーポートの側面図である。
【図3】支柱と梁の連結部分の正面図である。
【図4】図3のA−A断面図である。
【図5】図3のB−B断面図である。
【図6】支柱の上端部付近の斜視図である。
【図7】塞ぎキャップの正面図及び平面図である。
【図8】別の態様の塞ぎキャップの正面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 前フレーム材
2 後フレーム材
3 支柱
4 梁
5 屋根体
10 上弦材
11 下弦材
12 斜材
13 縦材
20 切欠部
21 固定部材
21a 固着部
21b 連結具
21c 当接部
21d 側面部
22 締結具
23 塞ぎキャップ
23a 塞ぎ部
23b 抱き込み部
23c 挿入部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面中空状の支柱の上端部に梁を設けてなるフレーム材と、該フレーム材の梁に支持される屋根体とからなるカーポートにおいて、
前記支柱の側面上端には凹状の切欠部が形成され、前記梁の端部は前記切欠部を介して前記支柱の中空内部に納められ、
前記支柱内に納められる前記梁の端部側面には固定部材が固着され、該固定部材は前記支柱の内側面に当接する当接部を有すると共に、該当接部に対して前記支柱の外側面側から締結具が螺合されることで前記支柱と梁が連結されてなることを特徴とするカーポート。
【請求項2】
前記梁は上弦材と下弦材との間に斜材を渡してなるトラス構造体からなり、前記固定部材は前記上弦材と下弦材に渡るように設けられることを特徴とする請求項1記載のカーポート。
【請求項3】
前記支柱の上端面には塞ぎキャップが設けられることを特徴とする請求項2記載のカーポート。
【請求項4】
前記塞ぎキャップは前記支柱の上端面を塞ぐ塞ぎ部と、該塞ぎ部から下方に突出し前記上弦材を抱き込む形状を有した抱き込み部とを有することを特徴とする請求項3記載のカーポート。
【請求項5】
前記固定部材は前記梁の対向する両側面にそれぞれ設けられると共に、該側面に当接する固着部を有し、該固着部は対向する反対側の固着部に対し前記梁を介して連結固定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーポート。
【請求項6】
前記支柱内に納められる前記梁の端部上面は前記支柱の上面と略面一状とされることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーポート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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