説明

ガイドブッシュ工具および切削工具

【課題】生産性を低下させずにワークの高精度な加工が可能であり、また残材の長さを短くして材料費を節約することができる刃物台切込装置、これに用いるガイドブッシュ工具、および棒材加工方法を提供する。
【解決手段】刃物台切込装置1を、旋盤の主軸中心線A回りに配置される刃物台ユニット2と、主軸中心線A周りに配置される複数のガイドブッシュ保持台HLと、刃物台ユニット2および各ガイドブッシュ保持台HLとをそれぞれ独立して主軸中心線Aに対して進出退避させる移動機構5とを有する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、旋盤加工に用いる刃物台切込装置、これに用いるガイドブッシュ工具、および棒材加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
旋盤は、加工主軸に丸棒状のワークを略同軸にして装着し、ワークを加工主軸ごと回転駆動しながらワークの外周面に切削工具の刃先を突き当てることで、ワークの切削加工を施すものである。
旋盤としては、例えば、後記の特許文献1に記載の自動旋盤が知られている。この自動旋盤では、それぞれ刃物(切削工具)が取り付けられる複数の刃物台が、加工対象(ワーク)の素材中心に向って移動するように配設されている。この自動旋盤では、素材中心に移動させる刃物台を変更することで、素材の加工に用いる刃物を変更することができる。
【0003】
ここで、加工主軸からのワークの張り出し量を、ワークの外径寸法に比べてある程度大きくした場合には、加工負荷やワークの自重によってワークにたわみが生じやすい。
このようにワークにたわみが生じると、ワークの加工精度が低下する。このため、ワークの張り出し量が大きい場合には、ワークの加工主軸から張り出している部分をガイドブッシュに挿通することによって支持して、たわみを防止した状態でワークの加工を施す。
【0004】
一般的に、ガイドブッシュは、加工主軸と刃物台との間に設けられて、ワークにおいて刃物に加工される部位(切削位置)よりも加工主軸側の部分を支持するものである。
このようなガイドブッシュとしては、例えば後記の特許文献2に記載のガイドブッシュ装置や、後記の特許文献3に記載のロータリーガイドブッシュ等が知られている。
ここで、ガイドブッシュとワークの外周面との間には常に隙間を確保する必要がある。一方で、加工中のワークのたわみを最小限にするために、ガイドブッシュの内径は、ワークの外周面との間に形成される隙間が必要最小限となるように設定することが好ましい。
このため、上記のガイドブッシュ装置およびロータリーガイドブッシュには、いずれもワークの外径寸法に応じてワークの外周面との間の隙間を調整するための機構が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭52−19388号公報
【特許文献2】特開平7−164207号公報
【特許文献3】特開平10−138007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
旋盤加工用のワークとしては、丸棒状部材に研磨処理を施してさらに形状精度を高めた研磨材と、研磨処理が施されていない引抜き材とがある。引抜き材は、研磨処理が施されていない分、研磨材に比べて安価であるので、材料コストを低減するためには、ワークとして引抜き材を用いることが好ましい。
しかし、引抜き材は、研磨材に比べて外形寸法のばらつきが大きい。また、引抜き材は、表面にうねりがあったり、軸線が湾曲している場合がある。このため、引抜き材を旋盤加工する際に、ガイドブッシュの内径を一定とした場合には、ワークにおいてガイドブッシュに支持される部位の外径や曲がり量によって、ガイドブッシュとワークの外周面との間の隙間が変わってしまい、高精度な加工が困難となる。
【0007】
特許文献2に記載のガイドブッシュ装置および特許文献3に記載のロータリーガイドブッシュは、ガイドブッシュの内径調整機構を有しており、ワークにおいてガイドブッシュに支持される部位の外径や曲がり量に合わせてガイドブッシュの内径を調整することが可能である。
しかし、ガイドブッシュの内径調整作業を毎回の加工時に行うと、サイクルタイム(CT)が長くなって生産性が低下する。また、ワークの外径の変化量が内径調整機構による調整範囲を超えている場合には対応することができない。
【0008】
また、ガイドブッシュは、本来旋盤に対して頻繁に着脱することを想定して設けられたものでないので、旋盤から取り外すことは容易ではない。また、ガイドブッシュを再度旋盤に装着する際には、その都度ガイドブッシュの振れ取り作業を行う必要がある。このため、ガイドブッシュの着脱を頻繁に繰り返すことは現実的ではない。
このため、ガイドブッシュが設けられている旋盤では、ワークにおいて加工主軸に支持される範囲だけでなく、ガイドブッシュに支持される範囲についても加工を施すことができない。すなわち、ガイドブッシュが設けられている旋盤では、ガイドブッシュが設けられていない旋盤に比べてワークの残材が長くなり、ワークを効率的に利用することができないので、部品の製造コストに占める材料費の割合が高くなる。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、生産性を低下させずにワークの高精度な加工が可能であり、また残材の長さを短くして材料費を節約することができる刃物台切込装置、これに用いるガイドブッシュ工具、および棒材加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明は、旋盤による棒材の切削加工に用いられる刃物台切込装置であって、前記旋盤の主軸中心線回りに配置される刃物台と、前記主軸中心線周りに配置される複数のガイドブッシュ保持台と、前記刃物台および前記各ガイドブッシュ保持台とをそれぞれ独立して前記主軸中心線に対して進出退避させる移動機構とを有している刃物台切込装置を提供する。
【0011】
このように構成される刃物台切込装置では、移動機構を動作させて刃物台を主軸中心線に向けて進出させることで、この刃物台に設けられた刃物による棒材の切削加工を行うことができる。
同様に、この刃物台切込装置では、移動機構を動作させることによって、各ガイドブッシュ保持台をそれぞれ独立して旋盤の主軸中心線上に出し入れすることができる。すなわち、この刃物台切込装置では、任意のガイドブッシュ保持台に保持されるガイドブッシュを主軸中心線上に位置させて、このガイドブッシュによって主軸に保持されている棒材の支持を行うことができる。
そして、複数のガイドブッシュ保持台にそれぞれ内径や長さ、材質等、ガイドブッシュとしての特性の異なるガイドブッシュを保持させておき、主軸中心線上に進出させるガイドブッシュ保持台を切り換えることで、棒材の支持に用いるガイドブッシュを容易に変更することができる。例えば、棒材の振れ取り加工段階では、それほどガイドブッシュの形状精度が要求されず、使用による摩耗等で少々形状精度が劣化しても問題がなく、形状精度の維持をそれ程要求されないので、安価である焼入れ材からなるガイドブッシュを用いてもよい。また、棒材の仕上げ加工段階では、ガイドブッシュに高い形状精度とその維持が求められるので、例えば超硬合金やコンパックスダイヤモンド等の耐摩耗性材料や低摺動抵抗の材料からなるガイドブッシュや、低摩擦抵抗コーティングが施されたガイドブッシュ等、摩耗の生じにくい材質からなるガイドブッシュを用いてもよい。
【0012】
このように、本発明に係る刃物台切込装置では、棒材の外径寸法や形状精度、加工条件等に応じて、棒材の支持を行うガイドブッシュを容易に変更することができるので、サイクルタイムを最小限に抑えながら、棒材に高精度な加工を施すことができる。
さらに、複数のガイドブッシュ保持台を同時に主軸中心線に向けて進出させて、これらガイドブッシュ保持台に保持されるガイドブッシュによって棒材の軸線方向の複数箇所を支持することで、棒材の支持をより良好に行うことができ、棒材の加工精度が向上する。
【0013】
また、全てのガイドブッシュ保持台を主軸中心から退避させることで、ガイドブッシュによる支持を行わない状態で、棒材に切削加工を施すことができる。この状態では、棒材において主軸から突出された領域全体が露出されていて、この領域についても刃物による切削加工が可能となるので、棒材において残材となる部分をより短くすることができ、材料費を節約することができる。
【0014】
ここで、各ガイドブッシュ保持台には、ガイドブッシュが取り外し不能にして設けられていてもよく、着脱を可能にして設けられていてもよい。同様に、刃物台には、刃物(切削工具)が固定的に設けられていてもよく、着脱を可能にして設けられていてもよい。
また、各ガイドブッシュは、ガイドブッシュ保持台に対して軸線回りの回転を規制して設けられた固定ガイドブッシュとされていてもよく、また、ガイドブッシュ保持台によって軸線回りの回転を可能にして支持されたロータリーガイドブッシュとされていてもよい。
また、刃物台および各ガイドブッシュ保持台は、主軸中心を中心とする放射状に配置することが好ましい。この場合には、刃物台やガイドブッシュ保持台の移動装置による位置制御が、一軸制御で済むので、装置構成を簡略化することができる。
なお、刃物台およびガイドブッシュ保持台の設置数は任意である。
【0015】
また、前記刃物台が、刃物を着脱可能にして保持する刃物保持装置を有し、前記ガイドブッシュ保持台が、ガイドブッシュを着脱可能にして保持するガイドブッシュ保持装置を有し、該ガイドブッシュ保持装置による前記ガイドブッシュの保持構造が、前記刃物保持装置による前記刃物の保持構造と同一構成とされていてもよい。
【0016】
この場合には、ガイドブッシュ保持台のガイドブッシュ保持装置に刃物を保持させることで、このガイドブッシュ保持台をガイドとして利用することができる。また、ガイドの刃物保持装置にガイドブッシュを保持させることで、このガイドをガイドブッシュ保持台として利用することができる。
すなわち、この刃物台切込装置では、必要に応じて、刃物台とガイドブッシュ保持台の数を変更することができる。
【0017】
ここで、ガイドブッシュの保持構造と刃物の保持構造が同一構成である、という表現の趣旨は、ガイドブッシュの保持構造と刃物の保持構造とのどちらによってもガイドブッシュの保持が可能であるということであって、これらの保持構造が細部にいたるまで全く同じ構成である、ということではない。すなわち、ガイドブッシュの保持構造と刃物の保持構造は、ガイドブッシュの保持を可能にするための基本的な構成が同一であれば、それぞれの本来の保持対象の保持に最適化された構成を有していてもよい。
【0018】
本発明は、刃物が着脱可能な複数の刃物台を有する刃物台切込装置に用いられるガイドブッシュ工具であって、ガイドブッシュ本体と、該ガイドブッシュ本体が設けられる工具本体とを有し、該工具本体には、前記刃物の前記刃物台への取付部と同一形状をなす取付部が設けられているガイドブッシュ工具を提供する。
【0019】
このように構成されるガイドブッシュ工具は、刃物台切込装置の刃物台に装着される刃物と取付部が同一形状とされているので、刃物台に対して装着することができる。
このガイドブッシュ工具を刃物台に装着することで、この刃物台をガイドブッシュ保持台として利用することができる。すなわち、このガイドブッシュ工具を用いることで、従来の刃物台切込装置を、本発明の刃物台切込装置として使用することができる。
ここで、ガイドブッシュ工具の工具本体の取付部と刃物の取付部とが同一形状である、という表現の趣旨は、ガイドブッシュ工具の工具本体が刃物と同様にして刃物台に装着可能であるということであって、ガイドブッシュ工具の取付部と刃物の取付部とが細部にいたるまで全く同じ形状である、という意味ではない。すなわち、ガイドブッシュ工具の取付部と刃物の取付部は、刃物台による保持を可能にするための基本的な形状が同一であれば、他の部分についてはそれぞれの本来の用途に最適化された形状とされていてもよい。
【0020】
ここで、前記工具本体は、前記ガイドブッシュ本体を保持するブッシュ保持部と前記取付部との間に、前記ガイドブッシュ本体の軸線方向に向けて屈曲する屈曲部が設けられていてもよい。
この場合には、ブッシュ保持部と取付部とは、ガイドブッシュ本体の軸線方向の位置がずれることになる。
すなわち、このガイドブッシュ工具を装着した刃物台を主軸中心線上に進出させた場合には、このガイドブッシュ工具のガイドブッシュ本体の位置は、この刃物台に刃物を装着した場合に刃先が位置する地点よりも、主軸中心線方向にずれることとなる。
このため、ガイドブッシュ工具が装着される刃物台切込装置が、各刃物台に装着される刃物を主軸中心線方向の同一位置に向けて進出させる構成であっても、ガイドブッシュ工具によって棒材を支持した際に、ガイドブッシュ本体が刃物と干渉せず、棒材の支持を良好に行うことができる。
【0021】
本発明は、旋盤の主軸に一部を突出させた状態にして支持された棒材の加工方法であって、前記旋盤の主軸中心線回りに、ガイドブッシュ保持台を、前記主軸中心線に対して進出退避可能にして配置し、該ガイドブッシュ保持台に、前記棒材の加工工程のうちのいずれか一工程に適した種類のガイドブッシュを保持させて、前記棒材の加工工程のうち、前記ガイドブッシュによる支持が必要な加工工程でのみ、前記ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させて前記ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工する棒材加工方法を提供する。
【0022】
この棒材加工方法では、ガイドブッシュ保持台を旋盤の主軸中心線上に進出させることで、このガイドブッシュ保持台に保持されるガイドブッシュを主軸中心線上に位置させて、このガイドブッシュによって主軸に保持されている棒材の支持を行う。
そして、この棒材加工方法では、棒材の加工段階に応じてガイドブッシュ保持台を主軸中心線上に出し入れすることで、ガイドブッシュによる支持を行った状態での棒材の加工と、ガイドブッシュによる支持を行わない状態での棒材の加工とを切り換えて、常に適切な加工条件下で棒材の加工を行うことができる。
また、ガイドブッシュ保持台を主軸中心から退避させた状態では、棒材において主軸から突出された領域全体が露出されていて、この領域についても刃物による切削加工が可能となるので、棒材において従来のガイドブッシュを用いた加工では残材となってしまう部分をより短くすることができ、材料費を節約することができる。
【0023】
ここで、本発明の棒材加工方法において、前記旋盤の主軸中心線回りに、複数の前記ガイドブッシュ保持台を、前記主軸中心線に対してそれぞれ独立して進出退避可能にして配置し、前記各ガイドブッシュ保持台に、それぞれ前記棒材の加工工程のうちのいずれか一工程における前記棒材の支持に適した種類のガイドブッシュを保持させて、前記棒材の各加工工程で、該加工工程での前記棒材の支持に適した前記ガイドブッシュを保持している前記ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させて、該ガイドブッシュ保持台が保持している前記ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工してもよい。
【0024】
この場合には、異なるガイドブッシュ保持台をそれぞれ独立して旋盤の主軸中心線上に出し入れすることで、任意のガイドブッシュ保持台に保持されるガイドブッシュを主軸中心線上に位置させて、このガイドブッシュによって主軸に保持されている棒材の支持を行う。
そして、複数のガイドブッシュ保持台にそれぞれ内径や長さ、材質等、ガイドブッシュとしての特性の異なるガイドブッシュを保持させておき、現在の加工工程における棒材の支持に適したガイドブッシュによって棒材の支持を行うことで、常に適切な加工条件下で棒材の加工を行うことができる。
例えば、棒材の振れ取り加工段階では、それほどガイドブッシュの形状精度が要求されず、使用による摩耗等で少々形状精度が劣化しても問題がなく、形状精度の維持をそれ程要求されないので、安価である焼入れ材からなるガイドブッシュを用いる。また、棒材の仕上げ加工段階では、ガイドブッシュに高い形状精度とその維持が求められるので、例えば超硬合金やコンパックスダイヤモンド等の耐摩耗性材料や低摺動抵抗の材料からなるガイドブッシュや、低摩擦抵抗コーティングが施されたガイドブッシュ等、摩耗の生じにくい材質からなるガイドブッシュを用いる。
【0025】
また、前記棒材の同一の加工工程において複数の前記ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させてこれらガイドブッシュ保持台が保持する前記ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工するようにしてもよい。
このようにこれらガイドブッシュ保持台に保持されるガイドブッシュによって棒材の軸線方向の複数箇所を支持することで、棒材の支持をより良好に行うことができ、棒材の加工精度が向上する。
【0026】
ここで、前記ガイドブッシュ保持台として、振れ取り用ガイドブッシュ保持台と仕上げ用ガイドブッシュ保持台とを設け、前記振れ取り用ガイドブッシュ保持台には前記棒材との間のクリアランスの大きい振れ取り用ガイドブッシュを保持させ、前記仕上げ用ガイドブッシュ保持台には前記棒材との間のクリアランスの小さい仕上げ用ガイドブッシュを保持させ、前記振れ取り用ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させて前記振れ取り用ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工する振れ取り工程と、前記仕上げ用ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させて前記仕上げ用ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工する仕上げ工程とを行ってもよい。
【0027】
この棒材加工方法では、まず、棒材との間のクリアランスの大きい振れ取り用ガイドブッシュを用いて棒材を支持した状態で棒材の切削加工を行い、棒材の振れ取りを行う(振れ取り工程)。
次に、振れ取り工程を経て形状精度が高められた棒材を、棒材との間のクリアランスの小さい仕上げ用ガイドブッシュを用いて支持した状態で切削加工する(仕上げ工程)。
【0028】
このように、この棒材加工方法では、振れ取り工程と仕上げ工程とでそれぞれ適切な内径のガイドブッシュを用いて棒材の支持を行うので、棒材の加工精度が高い。
また、この棒材加工方法では、主軸中心線上に進出させるガイドブッシュ保持台を切り換えることで、棒材の支持に用いるガイドブッシュを容易に変更することができるので、サイクルタイムを最小限に抑えることができる。
この棒材加工方法で使用する第一および仕上げ用ガイドブッシュ保持台は、それぞれ一台のみに限定されるものではなく、それぞれ必要に応じた台数使用することができる。
【0029】
ここで、前記仕上げ加工が、前記棒材の外径を最終製品の最大外径と同一にする第一仕上げ工程と、前記棒材の中間位置に対して前記最大外径よりも小径の第一小径部を形成する第二仕上げ工程と、前記第一小径部に該第一小径部よりも小径の第二小径部を形成する第三仕上げ工程とを有しており、前記第三仕上げ工程では、前記棒材の前記第一小径部の両側に位置する部位をそれぞれ前記仕上げ用ガイドブッシュによって支持してもよい。
【0030】
第二仕上げ加工によって第一小径部を棒材の中間位置に形成した場合には、この第一小径部、および第三仕上げ加工によって形成される第二小径部には、それぞれ棒材の他の部分、特に第一小径部よりも突出端側に位置する部分のモーメントが作用する。
第一および第二小径部は、径が小さい分、棒材の他の部位(最大外径部)に比べて強度が低いので、たわみが生じやすい。そこで、上記のように、第三仕上げ工程では、棒材の第一小径部の両側に位置する部位を、それぞれ棒材との間のクリアランスの小さい仕上げ用ガイドブッシュによって支持した状態で、第二小径部の形成を行う(第三仕上げ加工)。これにより、第一および第二小径部に加わるモーメントが低減されて、第一および第二小径部に生じるたわみが最小限になるので、第二小径部の加工精度が向上する。
【0031】
ここで、前記ガイドブッシュ保持台として、第一ガイドブッシュ保持台と第二ガイドブッシュ保持台とを設け、前記第一ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて進出させて、該第一ガイドブッシュ保持台に保持されたガイドブッシュによって前記棒材の前記主軸側の部分を支持し、この状態で前記棒材の突出端側を切削加工する突出端側加工工程と、前記第一ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線から離間させた状態で前記第二ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて進出させて、該第二ガイドブッシュ保持台に保持されたガイドブッシュによって前記棒材の突出端側を支持し、この状態で該棒材の前記主軸側の部分を切削加工する主軸側加工工程とを有していてもよい。
【0032】
この場合には、第一および第二ガイドブッシュ保持台を、それぞれ独立して旋盤の主軸中心線上に出し入れすることで、任意のガイドブッシュ保持台に保持されるガイドブッシュを主軸中心線上に位置させて、このガイドブッシュによって主軸に保持されている棒材の支持を行う。
この棒材加工方法では、まず、第一ガイドブッシュ保持台に保持されたガイドブッシュによって、棒材の主軸側の部分を支持し、この状態で、棒材の突出端側を切削加工する(突出端側加工工程)。
【0033】
次に、第一ガイドブッシュ保持台を主軸中心線から離間させた状態で第二ガイドブッシュ保持台を主軸中心線に向けて進出させて、第二ガイドブッシュ保持台に保持されたガイドブッシュによって棒材の突出端側を支持し、この状態で棒材の主軸側部分を切削加工する。
すなわち、この棒材加工方法では、棒材の主軸側の部分を支持した状態で棒材の突出端側の切削加工を行い、棒材の突出端側のみを支持した状態で、棒材の主軸側部分を切削加工する。
【0034】
このように、この棒材加工方法では、棒材の加工部位に応じてガイドブッシュによる棒材の支持位置を加工に支障のない位置に変更することにより、棒材の支持を常に良好に行いながら、棒材の主軸からの突出部全体を切削加工することができ、残材を短くすることができる。
また、この棒材加工方法では、主軸中心線上に進出させるガイドブッシュ保持台を切り換えることで、棒材の支持に用いるガイドブッシュを容易に変更することができるので、サイクルタイムを最小限に抑えることができる。
ここで、この棒材加工方法で使用する第一および仕上げ用ガイドブッシュ保持台は、それぞれ一台のみに限定されるものではなく、それぞれ必要に応じた台数使用することができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明に係る刃物台切込装置、ブッシュ工具、および棒材加工方法によれば、生産性を低下させずにワークの高精度な加工が可能であり、また残材の長さを短くして材料費を節約することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施形態に係る四つの刃物台ユニットを備える刃物台切込装置を示す正面図である。
【図2】図1の刃物台切込装置に用いられる刃物台ユニットの待機状態を示す正面図である。
【図3】図2の刃物台ユニットを刃物の移動方向からみた側面図である。
【図4】図1の刃物台ユニットの一方の刃物が主軸中心線に向かって推進された状態を示す正面図である。
【図5】図1の刃物台ユニットの他方の刃物が主軸中心線に向かって推進された状態を示す正面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るガイドブッシュ工具の形状を示す正面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るガイドブッシュ工具の形状を示す平面図である。
【図8】本発明の一実施形態に係るガイドブッシュ工具におけるガイドブッシュ本体の保持構造の一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係るガイドブッシュ工具におけるガイドブッシュ本体の保持構造の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第一の棒材加工方法における刃物およびガイドブッシュ工具の配置を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第一の棒材加工方法のうち、振れ取り加工工程を示す図である。
【図12】振れ取り加工工程を経た棒材の形状を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第一の棒材加工方法のうち、第一仕上げ工程を示す図である。
【図14】図13に示す第一仕上げ工程を経た棒材の形状を示す図である。
【図15】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第一の棒材加工方法のうち、第二仕上げ工程を示す図である。
【図16】図15に示す第二仕上げ工程を経た棒材の形状を示す図である。
【図17】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第一の棒材加工方法のうち、第三仕上げ工程を示す図である。
【図18】図17に示す第三仕上げ工程を経た棒材の形状を示す図である。
【図19】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第二の棒材加工方法における刃物およびガイドブッシュ工具の配置を示す図である。
【図20】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第二の棒材加工方法のうち、第一仕上げ工程を示す図である。
【図21】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第二の棒材加工方法のうち、第二仕上げ工程を示す図である。
【図22】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置を用いた第二の棒材加工方法のうち、第三仕上げ工程を示す図である。
【図23】図2の刃物台ユニットの変形例を示す刃物の移動方向からみた側面図である。
【図24】図23の刃物台ユニットのブラケットの支持構造を示す正面図である。
【図25】図2の刃物台ユニットの他の変形例を示す刃物の移動方向からみた側面図である。
【図26】ボールネジの変形例を示す図であり、(a)連結部の側面図、(b)連結部の断面図である。
【図27】本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置の他の形態例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態に係る刃物台切込装置について、図1〜図5を参照して説明する。
本実施形態に係る刃物台切込装置1は、図1に示されるように、主軸中心線Aを中心として、周方向に配列された3つの刃物台ユニット2を備えている。
【0038】
各刃物台ユニット2は、図2および図3に示されるように、2個一対の刃物3A,3Bと、該刃物3A,3Bをそれぞれ搭載する一対のスライダ4A,4Bと、主軸中心線Aに直交しかつ相互に交差する2つの軸線B,Cに沿って前記スライダ4A,4Bをそれぞれ進退させる移動機構5とを備えている。
【0039】
各刃物3A,3Bは、略四角柱形状をなす工具本体と、この工具本体の先端に固定的または着脱可能にして設けられた刃部とを有している。
各スライダ4A,4Bは、ベース6に固定された2つのリニアガイド7によってそれぞれの直線移動動作を案内されている。また、図2に示すように、各スライダ4A,4Bには、刃物3A,3Bを着脱可能にして保持するための刃物保持装置CLが設けられている。この刃物保持装置CLとしては、一般的な刃物台切込装置に用いられる刃物保持装置、例えば刃物の工具本体(被保持部)を挟み込んで固定するクランプ装置等が用いられている。
【0040】
図3に示すように、リニアガイド7は、ベース6に固定されたガイドレール7aに比較的大きなスパンをあけて配置された2つのガイドブロック7bが移動可能に支持されており、これらガイドブロック7bに固定されたスライダ4A,4Bは、刃物3A,3Bの先端に加わる加工時の力によって生ずる比較的大きなモーメントを安定して支持することができるようになっている。リニアガイド7は、例えば、30°の間隔をあけて配列された2つの軸線B,Cに沿って配置されている。
【0041】
図2および図3に示すように、前記移動機構5は、ベース6に、前記2つの軸線B,Cの中心線に沿って形成された溝8内に固定された断面略U字状のガイドハウジング9内に、該ガイドハウジング9の長手方向に沿って移動可能に支持された2個のボールネジナット(スライダ部)10A,10Bと、これらのボールネジナット10A,10Bを推進するボールネジ11と、該ボールネジ11を回転駆動するサーボモータ12とを備えている。図中符号13は、サーボモータ12の動力をボールネジ11に伝達する伝達機構である。
【0042】
前記ボールネジ11は、その長手方向のほぼ中央位置においてネジのリード方向が逆転する2つの逆リード部11a,11bを備えている。各ボールネジナット10A,10Bは、このボールネジ11の別個の逆リード部11a,11bに係合している。これにより、ボールネジ11がその長手軸線回りに一方向に回転すると、ボールネジナット10A,10Bがボールネジ11に沿って相互に離れる方向に推進され、他方向に回転すると相互に近接する方向に推進されるようになっている。
【0043】
また、移動機構5は前記ボールネジナット10A,10Bに固定されたブラケット14A,14Bと、該ブラケット14A,14Bと前記スライダ4A,4Bとの間に配置されたリニアガイド(直線案内機構)15とを備えている。リニアガイド15のガイドレール15aはブラケット14A,14Bに固定され、ガイドブロック15bはスライダ4A,4Bに固定されている。ガイドレール15aは、前記スライダ4A,4Bを移動可能に支持するリニアガイド7のガイドレール7aに対して直交する方向に配置されている。
【0044】
このように構成された本実施形態に係る刃物台ユニット2は、サーボモータ12の作動により、2つのスライダ4A,4Bを直線移動させて、図2に示されるように、2つの刃物3A,3Bの先端位置が、主軸中心線Aからほぼ同一の距離に配置される待機状態と、一方の刃物3Bを主軸中心線Aに向けて突出させる図4の状態と、他方の刃物3Aを主軸中心線Aに向けて突出させる図5の状態の状態とを達成するようになっている。
【0045】
待機状態に配されているときに、2つの刃物3A,3Bは、主軸中心線Aに沿って配置された被加工物(図示略)に対して半径方向外方に若干隙間をあけて配置され、スライダ4A,4Bを微小移動させるだけで、被加工物の加工を開始することができるようになっている。
また、図4および図5に示すように、いずれか一方の刃物3A(3B)を主軸中心線Aに向けて突出させるときには、他方の刃物3B(3A)は後退させられるようになっている。
【0046】
また、本実施形態に係る刃物台切込装置1は、主軸中心線A回りに、3つの刃物台ユニット2を60°ずつ角度を変えて隣接配置している。そして、図1に示されるように、一の刃物台ユニット2の刃物3A,3Bを待機状態に配置すると、該刃物台ユニット2の両側に隣接する他の刃物台ユニット2のいずれの刃物3A,3Bを進退させても、一の刃物台ユニット2の刃物3A,3Bに干渉しないようになっている。
【0047】
ここで、図1に示すように、この刃物台切込装置1では、刃物台ユニット2には、刃物3A,3Bの代わりに、ガイドブッシュ工具21を装着可能とされている。すなわち、この刃物台切込装置1では、刃物台ユニット2のうち、ガイドブッシュ工具21が装着された刃物台ユニット2が、ガイドブッシュ保持台HLとして機能する。
これにより、この刃物台切込装置1では、移動機構5を動作させることによって、各ガイドブッシュ保持台HLをそれぞれ独立して主軸中心線A上に出し入れすることができる。すなわち、この刃物台切込装置1では、任意のガイドブッシュ保持台HLに保持されるガイドブッシュ工具21を主軸中心線A上に位置させて、このガイドブッシュ工具21によって主軸に保持されている棒材の支持を行うことができる。
ここで、ガイドブッシュ保持台HLによるガイドブッシュ工具21の位置決めは、刃物台ユニット2による刃物3A,3Bの位置決めと同様にして行われるので、高精度な位置決めを容易に行うことができ、主軸中心線A上へのガイドブッシュ工具21の出し入れを迅速に行うことができる。
また、この刃物台切込装置1では、ガイドブッシュ工具21が装着される刃物台ユニット2の数を変更することで、刃物台ユニット2とガイドブッシュ保持台HLの数を変更することができる。
【0048】
図6に示すように、ガイドブッシュ工具21は、ガイドブッシュ本体22と、ガイドブッシュ本体22が設けられる工具本体23とを有している。
工具本体23には、刃物3A,3Bの刃物台ユニット2への取付部(工具本体)と同一形状をなす被保持部23a(取付部)が設けられている。これにより、工具本体23は、刃物台ユニット2の刃物保持装置CLによって保持することが可能である。
本実施形態では、工具本体23は、刃物3A,3Bの工具本体と同様の四角柱形状とされており、その一端側が、刃物保持装置CLに保持される被保持部23aとされており、他端側が、ガイドブッシュ本体22が装着されるブッシュ保持部23bとされている。
【0049】
また、図7に示すように、工具本体23は、ブッシュ保持部23bと被保持部23aとの間に、ガイドブッシュ本体22の軸線方向に向けて屈曲する屈曲部23cが設けられている。
これにより、ブッシュ保持部23bと被保持部23aとは、ガイドブッシュ本体22の軸線方向の位置がずれることになる。
すなわち、このガイドブッシュ工具21を装着した刃物台ユニット2を主軸中心線A上に進出させた場合には、このガイドブッシュ工具21のガイドブッシュ本体22の位置は、他の刃物台ユニット2に刃物を装着した場合に刃先3A,3Bが位置する地点よりも、主軸中心線A方向にずれることとなる。
このため、ガイドブッシュ工具21によって棒材を支持した際に、ガイドブッシュ本体22が刃物3A,3Bと干渉せず、棒材の支持を良好に行うことができる。
【0050】
ここで、ガイドブッシュ本体22は、工具本体23に対して軸線回りの回転を規制して設けられた固定ガイドブッシュとされていてもよく、また、工具本体23によって軸線回りの回転を可能にして支持されたロータリーガイドブッシュとされていてもよい。
固定ガイドブッシュは、ロータリーガイドブッシュよりも構造が単純であるので、メンテナンスが容易である。また、固定ガイドブッシュは、ロータリーガイドブッシュよりも小型であるので、刃物台切込装置1の他の構成部材との干渉の問題が生じにくい。このため、ガイドブッシュ本体22として固定ガイドブッシュを用いた場合には、刃物台切込装置1の設計が容易となる。本実施形態では、ガイドブッシュ本体22として、固定ガイドブッシュを用いている。
【0051】
また、工具本体23に対するガイドブッシュ本体22の装着方法は任意である。例えば、図8に示すように、工具本体23のブッシュ保持部23b先端を、スリットSと、このスリットSの底部にスリットSと平行な貫通孔Hと、スリットSの間隔を調整する間隔調整装置SC(図8に示す例では工具本体23のスリットSによって分断された先端部を同士を締め付けるクランプネジ)とを有する構成としてもよい。この場合には、ガイドブッシュ本体22を貫通孔Hに挿入した状態で間隔調整装置SCによってスリットSの間隔を狭めることで、貫通孔Hの内周面によってガイドブッシュ本体22を締め付けて保持することができる。
【0052】
また、図9に示すように、工具本体23に対してネジクランプ構造によってガイドブッシュ本体22を固定してもよい。具体的には、工具本体23のブッシュ保持部23bに、貫通孔Hと、工具本体23の表面から貫通孔Hの内周面まで通じるネジ孔SHを形成し、貫通孔Hにガイドブッシュ本体22を挿入した状態でネジ孔SHにネジBTをねじ込んでゆき、ネジBTの先端によってガイドブッシュ本体22を貫通孔Hの内周面に押し付けることによって固定してもよい。
また、単純に、工具本体23に設けられた貫通孔にガイドブッシュ本体22を締まり嵌めによって固定してもよい。
【0053】
このように構成された本実施形態に係る刃物台ユニット2および刃物台切込装置1の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る刃物台切込装置1を用いて被加工物の加工を行うには、いずれかの刃物台ユニット2のサーボモータ12を作動させる。サーボモータ12の作動により、ボールネジ11が回転させられ、該ボールネジ11に係合しているボールネジナット10A,10Bが推進される。
【0054】
このとき、各ボールネジナット10A,10Bは、ボールネジ11に備えられた逆リード部11a,11bに係合しているので、ボールネジ11を一方向に回転させると、一方のボールネジナット10A(10B)が主軸中心線Aに向かって推進される一方、他方のボールネジナット10B(10A)は逆方向に推進される。したがって、一方の刃物3A(3B)が主軸中心線Aに向かって推進されて被加工物を加工する。そして、他方の刃物3B(3A)による加工に切り替えるときには、ボールネジ11を逆転させるだけで済み、制御が簡単である。
【0055】
この場合において、他方の刃物3B(3A)が逆方向に推進されるので、両刃物3A,3Bが干渉することはない。特に、両刃物3A,3Bはボールネジ11に係合するボールネジナット10A,10Bによって機械的にその動作が規定されているので、いかなる動作によっても両刃物3A,3Bが干渉することはなく、干渉を回避するための複雑な制御や特別な機構が不要である。
同様に、この刃物台切込装置1では、刃物台ユニット2に対して刃物3A,3Bのどちらか、もしくは両方の代わりにガイドブッシュ工具21を装着した場合においても、刃物とガイドブッシュ工具21との干渉が生じない。
【0056】
また、本実施形態に係る刃物台ユニット2によれば、単一のサーボモータ12で2つの刃物3A,3B(または刃物とガイドブッシュ工具21)を切り替えるように制御することができ、サーボモータ12の数を半減させることができる。また、サーボモータ12数が低減するので、制御コントローラやアンプ等の制御機器も不要となる。したがって、刃物3A,3Bに対してそれぞれサーボモータ12を配置する従来のNC旋盤と比較すると、コストを大幅に低減することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る刃物台ユニット2によれば、相互に交差する軸線B,Cに沿って移動可能に支持されたスライダ4A,4Bを、それらの中央線に沿って配置された移動機構により駆動するので、スライダ4A,4Bの変位量に応じてボールネジナット10A,10Bとスライダ4A,4Bとの距離が変化することとなるが、本実施形態によれば、ボールネジナット10A,10Bとスライダ4A,4Bとがリニアガイド15により接続されているので、リニアガイド15の作動により距離の変化が吸収され、高精度な切込動作を行うことができる。特に、リニアガイド15に予圧をかけてラジアル方向のバックラッシュをなくすことで、より高精度な切り込みを行うことができる。
【0058】
また、本実施形態に係る刃物台切込装置1によれば、図1に示されるように、隣接する刃物台ユニット2のうちの一方の刃物台ユニット2を待機状態に配置すると、待機状態にある刃物台ユニット2の両側の刃物台ユニット2のいずれの刃物3A,3B(またはガイドブッシュ工具21)を主軸中心線Aに向けて移動させても待機状態にある刃物台ユニット2の刃物3A,3B(またはガイドブッシュ工具21)に干渉しないようにすることができる。したがって、待機状態にある刃物台ユニット2の両側の刃物台ユニット2の刃物3A,3Bのいずれか(またはガイドブッシュ工具21)を同時に主軸中心線Aに向けて移動させて、被加工物を同時に加工(または保持)することも可能となる。
【0059】
また、本実施形態に係る刃物台切込装置1によれば、刃物台ユニット2が2つの刃物3A,3Bを駆動するユニット化されているので、組立が容易であり、ユニットの増減による刃物3A,3Bの数、およびガイドブッシュ工具21の数の増減を容易に行うことができるという利点もある。
【0060】
以下、この刃物台切込装置1による棒材Wの具体的な加工方法について具体的に説明する。
まず、棒材Wから、小径部が二段階に形成された部品(すなわち小径部にさらに小径部が形成された部品)を製造する場合の棒材の加工方法について説明する。
この場合には、棒材Wの加工を行うにあたって、まず、各刃物台ユニット2のうち、三つの刃物台ユニット2に対して、刃物3A,3Bのうちのいずれか一方の代わりに、ガイドブッシュ工具21を装着する。これにより、これら三つの刃物台ユニット2を、それぞれ振れ取り用ガイドブッシュ保持台、第一仕上げ用ガイドブッシュ保持台、第二仕上げ用ガイドブッシュ保持台として利用する。
振れ取り用ガイドブッシュ保持台には、第一ガイドブッシュ工具21aを装着する。第一仕上げ用ガイドブッシュ保持台には、第二ガイドブッシュ工具21bを装着する。また、第二仕上げ用ガイドブッシュ保持台には、第三ガイドブッシュ工具21cを装着する。
【0061】
第一ガイドブッシュ工具21aは、ガイドブッシュ本体22として、棒材Wとの間のクリアランスの大きい振れ取り用ガイドブッシュ22aが設けられたものである。振れ取り用ガイドブッシュ22aの内径は、棒材Wの外径寸法のばらつき、棒材Wの表面のうねり、および棒材Wの曲がりを考慮した上で、棒材Wが自在に挿通可能な最小限の内径とされる。
第二ガイドブッシュ工具21bは、ガイドブッシュ本体22として、棒材Wとの間のクリアランスの小さい第一仕上げ用ガイドブッシュ22bが設けられたものである。第一仕上げ用ガイドブッシュ22bの内径は、振れ取り加工を行った棒材Wの外径寸法のばらつきを考慮した上で、棒材Wが自在に挿通可能な最小限の内径とされる。
第三ガイドブッシュ工具21cは、ガイドブッシュ本体22として、第一仕上げ用ガイドブッシュ22bよりもさらに小径の第二仕上げ用ガイドブッシュ22cが設けられたものである。
【0062】
この状態での主軸中心線A周りにおける刃物3A,3Bおよび第一〜第三ガイドブッシュ工具21a〜21cの配置を、図10に示す。このように、加工開始前の状態では、刃物3A,3Bおよび第一〜第三ガイドブッシュ工具21a〜21cは、それぞれ主軸中心線Aから所定距離離間した待機位置に保持される。
この状態から、図11に示すように、振れ取り用ガイドブッシュ保持台のみを主軸中心線Aに向けて前進させて、主軸SPに保持された棒材Wを、振れ取り用ガイドブッシュ22aによって支持した状態する。この状態で、いずれかの刃物台ユニット2に設けられた刃物によって棒材Wの切削加工を行う(振れ取り工程)。
この振れ取り工程では、棒材Wの表面を薄く削り取ることによって、図12に示すように、棒材Wに、主軸中心線Aとほぼ同軸となる略円筒面F1を形成する。また、この振れ取り工程では、振れ取り用ガイドブッシュ22aには、棒材Wにおいて刃物による加工部位よりも主軸SP側の部位を支持させる。
振れ取り工程が終了したら、振れ取り用ガイドブッシュ22aから棒材Wを引き抜いたのちに、振れ取り用ガイドブッシュ保持台を後退させる。
【0063】
次に、仕上げ用ガイドブッシュ保持台のみを主軸中心線Aに向けて前進させて、図13に示すように、棒材Wの略円筒面F1を第一仕上げ用ガイドブッシュ22bによって支持する。この状態で、いずれかの刃物台ユニット2に設けられた刃物によって棒材Wの切削加工を行うことで、図14に示すように、棒材Wの略円筒面F1が形成された部位に、より高精度な円筒面F2を形成する(第一仕上げ工程)。また、この第一仕上げ工程では、第一仕上げ用ガイドブッシュ22bには、棒材Wにおいて刃物による加工部位よりも主軸SP側の部位を支持させる。
【0064】
続いて、第一仕上げ用ガイドブッシュ保持台の第一仕上げ用ガイドブッシュ22bによる棒材Wの支持を継続した状態で、いずれかの刃物台ユニット2に設けられた刃物によって棒材Wの切削加工を行うことで、図16に示すように、円筒面F2が形成された部位に、円筒面F2よりも小径の第一小径部R1を形成する(第二仕上げ工程)。
【0065】
最後に、第一仕上げ用ガイドブッシュ保持台の第一仕上げ用ガイドブッシュ22bによる棒材Wの支持を継続した状態で、第三ガイドブッシュ保持台を主軸中心線Aに向けて前進させて、図17に示すように、主軸SPに保持された棒材Wの突出端側の円筒面F2を、第二仕上げ用ガイドブッシュ22cによって支持する。この状態で、いずれかの刃物台ユニット2に設けられた刃物によって棒材Wの切削加工を行うことで、図18に示すように、第一小径部R1に、第一小径部R1よりも小径の第二小径部R2を形成する(第三仕上げ工程)。
【0066】
このように、この棒材加工方法では、振れ取り工程と各仕上げ工程とでそれぞれ適切な内径のガイドブッシュを用いて棒材Wの支持を行うので、棒材Wの加工精度が高い。
また、この棒材加工方法では、主軸中心線A上に進出させるガイドブッシュ保持台を切り換えることで、棒材Wの支持に用いるガイドブッシュを容易かつ迅速に変更することができるので、サイクルタイムを最小限に抑えることができる。
【0067】
ここで、第一および第二小径部R1,R2は、径が小さい分、棒材Wの他の部位に比べて強度が低いので、たわみが生じやすい。そこで、上記棒材加工方法では、第三仕上げ工程において、棒材Wの第一小径部R1の両側に位置する部位を、それぞれ棒材Wとの間のクリアランスの小さい第一および第二仕上げ用ガイドブッシュ22b,22cによって支持した状態で、第二小径部R2の形成を行う。これにより、第一および第二小径部R1,R2に加わるモーメントが低減されて、第一および第二小径部R1,R2に生じるたわみが最小限になるので、第二小径部R2の加工精度が向上する。
【0068】
次に、棒材Wに振れが生じやすい加工条件下で、棒材Wにおいて主軸SPから突出した領域全体を加工する際の棒材Wの加工方法ついて説明する。なお、以下では、すでに振れ取り工程を完了した棒材Wか、もしくは形状精度の高い棒材Wの加工を行う場合について説明する。
この場合には、各刃物台ユニット2のうち、二つの刃物台ユニット2に対して、刃物3A,3Bのうちのいずれか一方の代わりに、ガイドブッシュ工具21を装着する。これにより、これら二つの刃物台ユニット2を、それぞれ第一仕上げ用ガイドブッシュ保持台、第二仕上げ用ガイドブッシュ保持台として利用する。
第一仕上げ用ガイドブッシュ保持台には、第二ガイドブッシュ工具21bを装着する。また、第二仕上げ用ガイドブッシュ保持台には、第三ガイドブッシュ工具21cを装着する。
【0069】
まず、第一仕上げ用ガイドブッシュ保持台のみを主軸中心線Aに向けて前進させて、図19に示すように、主軸SPに保持された棒材Wを、第一仕上げ用ガイドブッシュ22bによって支持する。この状態で、いずれかの刃物台ユニット2に設けられた刃物によって棒材Wの突出端側の部位について切削加工を行う(第一仕上げ工程)。
第一仕上げ工程が終了したら、第一仕上げ用ガイドブッシュ22bから棒材Wを引き抜いたのちに第一仕上げ用ガイドブッシュ保持台を後退させる。
これにより、図21に示すように、棒材Wにおいて主軸SPから突出した部分全体が露出される。
この状態で、いずれかの刃物台ユニット2に設けられた刃物によって棒材Wの切削加工を行うことで、棒材Wの主軸SP側の部位について切削加工を行う(第二仕上げ工程)。
【0070】
最後に、第二仕上げ用ガイドブッシュ保持台のみを主軸中心線Aに向けて前進させて、図22に示すように、主軸SPに保持された棒材Wの略円筒面F1を、第一仕上げ用ガイドブッシュ22bによって支持する。この状態で、いずれかの刃物台ユニット2に設けられた突き切り用刃物によって、棒材Wの主軸SP近傍に突き切り加工を行うことで、棒材Wから部品を切り出す。
【0071】
このように、この棒材加工方法では、棒材Wの加工部位に応じて、ガイドブッシュによる棒材Wの支持位置を、加工に支障のない位置に変更するので、棒材Wの支持を常に良好に行いながら、棒材Wの主軸SPからの突出部全体を切削加工することができ、残材を短くすることができる。
【0072】
なお、本実施形態に係る刃物台ユニット2は、ガイドハウジング9内においてボールネジ11により駆動されるボールネジナット10A,10Bを有するものを例示したが、これに限定されるものではなく、例えば、図23および図24に示されるように、ブラケット14A′,14B′を支持するリニアガイド16A,16Bと、逆ネジを有するボールネジ11′とを組み合わせた構造のものを採用してもよい。
【0073】
この場合に、図24に示されるように、各ボールネジナット10A′,10B′を取り付けるブラケット14A′,14B′は、リニアガイド16A,16Bにそれぞれ2個ずつ間隔をあけて支持されたガイドブロック17によって支持されていることが好ましい。このようにすることで、切削時に、スライダ4A,4Bが後退させられる方向に刃物3A.3Bの先端にかかる切削時の反力によりブラケット14A′,14B′に発生するモーメントが2つのガイドブロック17によって支持されるので、ボールネジナット10A′,10B′にモーメントがかからないようにすることができる。
また、図25に示されるように、2つのブラケット14A′,14B′を支持するリニアガイドとして共通のリニアガイド16を採用することとしてもよい。
【0074】
また、上記各実施形態においては、逆ネジ部11a,11b(11a′,11b′)を有するボールネジ11(11′)を一体的に構成したものを例示したが、これに代えて、図26に示されるように、逆ネジ部11a,11bを分離可能に設け、それらを着脱可能に連結する連結部18を設けることとしてもよい。連結部18は、例えば、図26(a),(b)に示されるように、一方の逆ネジ部11b先端に設けたすり割り18aを有する嵌合孔18bと、他方の逆ネジ部11a先端に設けられ嵌合孔18bに嵌合する突起18cと、該突起18cが嵌合孔18bに嵌合された状態で、すり割り18aの幅を縮めるように締結されるボルト18dおよびネジ孔18eとを備えている。
【0075】
このように構成することで、逆方向のリードを有する2つのボールネジナット10A,10Bをそれぞれ独立して位置調整することができ、組立作業を容易にすることができるという利点がある。
【0076】
また、上記実施形態におけるリニアガイド7,15およびスライダ部10は、図示した転がりガイドに限定されるものではなく、他の転がりガイドやアリ溝案内、静圧案内等の滑りガイドであってもよい。また、ボールネジ11,11′に代えて、精密滑りネジや静圧ネジを採用してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、各刃物台ユニット2が、同一の移動機構5によって移動させられる一対のスライダ4A,4Bを有している例を示したが、これに限られることなく、図27に示すように、各刃物台ユニット2を、一つのスライダ4のみが設けられた構成としてもよい。
また、移動機構5は、リニアモータ機構によって構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 刃物台切込装置
2 刃物台ユニット
3A,3B 刃物
5 移動機構
21 ガイドブッシュ工具
21a〜21c 第一〜第三ガイドブッシュ工具
22a 振れ取り用ガイドブッシュ(ガイドブッシュ本体)
22b 第一仕上げ用ガイドブッシュ(ガイドブッシュ本体)
22c 第二仕上げ用ガイドブッシュ(ガイドブッシュ本体)
23 工具本体
23a 被保持部(取付部)
23b ブッシュ保持部
23c 屈曲部
A 主軸中心線
CL 刃物保持装置(ガイドブッシュ保持装置)
HL ガイドブッシュ保持台
W 棒材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋盤による棒材の切削加工に用いられる刃物台切込装置であって、
前記旋盤の主軸中心線回りに配置される刃物台と、
前記主軸中心線周りに配置される複数のガイドブッシュ保持台と、
前記刃物台および前記各ガイドブッシュ保持台とをそれぞれ独立して前記主軸中心線に対して進出退避させる移動機構とを有している刃物台切込装置。
【請求項2】
前記刃物台が、刃物を着脱可能にして保持する刃物保持装置を有し、
前記ガイドブッシュ保持台が、ガイドブッシュを着脱可能にして保持するガイドブッシュ保持装置を有し、
該ガイドブッシュ保持装置による前記ガイドブッシュの保持構造が、前記刃物保持装置による前記刃物の保持構造と同一構成とされている請求項1記載の刃物台切込装置。
【請求項3】
刃物が着脱可能な複数の刃物台を有する刃物台切込装置に用いられるガイドブッシュ工具であって、
ガイドブッシュ本体と、
該ガイドブッシュ本体が設けられる工具本体とを有し、
該工具本体には、前記刃物の前記刃物台への取付部と同一形状をなす取付部が設けられているガイドブッシュ工具。
【請求項4】
前記工具本体は、前記ガイドブッシュ本体を保持するブッシュ保持部と前記取付部との間に、前記ガイドブッシュ本体の軸線方向に向けて屈曲する屈曲部が設けられている請求項3記載のガイドブッシュ工具。
【請求項5】
旋盤の主軸に一部を突出させた状態にして支持された棒材の加工方法であって、
前記旋盤の主軸中心線回りに、ガイドブッシュ保持台を、前記主軸中心線に対して進出退避可能にして配置し、
該ガイドブッシュ保持台に、前記棒材の加工工程のうちのいずれか一工程に適した種類のガイドブッシュを保持させて、前記棒材の加工工程のうち、前記ガイドブッシュによる支持が必要な加工工程でのみ、前記ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させて前記ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工する棒材加工方法。
【請求項6】
前記旋盤の主軸中心線回りに、複数の前記ガイドブッシュ保持台を、前記主軸中心線に対してそれぞれ独立して進出退避可能にして配置し、
前記各ガイドブッシュ保持台に、それぞれ前記棒材の加工工程のうちのいずれか一工程における前記棒材の支持に適した種類のガイドブッシュを保持させて、前記棒材の各加工工程で、該加工工程での前記棒材の支持に適した前記ガイドブッシュを保持している前記ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させて、該ガイドブッシュ保持台が保持している前記ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工する請求項5記載の棒材加工方法。
【請求項7】
前記棒材の同一の加工工程において複数の前記ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させてこれらガイドブッシュ保持台が保持する前記ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工する請求項6記載の棒材加工方法。
【請求項8】
前記ガイドブッシュ保持台として、振れ取り用ガイドブッシュ保持台と仕上げ用ガイドブッシュ保持台とを設け、
前記振れ取り用ガイドブッシュ保持台には前記棒材との間のクリアランスの大きい振れ取り用ガイドブッシュを保持させ、
前記仕上げ用ガイドブッシュ保持台には前記棒材との間のクリアランスの小さい仕上げ用ガイドブッシュを保持させ、
前記振れ取り用ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させて前記振れ取り用ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工する振れ取り工程と、
前記仕上げ用ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて前進させて前記仕上げ用ガイドブッシュによって前記棒材を支持した状態で該棒材を切削加工する仕上げ工程とを行う請求項6記載の棒材加工方法。
【請求項9】
前記仕上げ加工が、前記棒材の外径を最終製品の最大外径と同一にする第一仕上げ工程と、
前記棒材の中間位置に対して前記最大外径よりも小径の第一小径部を形成する第二仕上げ工程と、
前記第一小径部に該第一小径部よりも小径の第二小径部を形成する第三仕上げ工程とを有しており、
前記第三仕上げ工程では、前記棒材の前記第一小径部の両側に位置する部位をそれぞれ前記仕上げ用ガイドブッシュによって支持する請求項8記載の棒材加工方法。
【請求項10】
前記ガイドブッシュ保持台として、第一ガイドブッシュ保持台と第二ガイドブッシュ保持台とを設け、
前記第一ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて進出させて、該第一ガイドブッシュ保持台に保持されたガイドブッシュによって前記棒材の前記主軸側の部分を支持し、この状態で前記棒材の突出端側を切削加工する突出端側加工工程と、
前記第一ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線から離間させた状態で前記第二ガイドブッシュ保持台を前記主軸中心線に向けて進出させて、該第二ガイドブッシュ保持台に保持されたガイドブッシュによって前記棒材の突出端側を支持し、この状態で該棒材の前記主軸側の部分を切削加工する主軸側加工工程とを有している請求項6記載の棒材加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−98438(P2011−98438A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−34772(P2011−34772)
【出願日】平成23年2月21日(2011.2.21)
【分割の表示】特願2006−34973(P2006−34973)の分割
【原出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】