説明

ガイドワイヤ

【課題】先端部が撓み易く、血管等の脈管の壁への損傷を防止できると共に、先端部分が分断しても該先端部分が血管等内に取り残されることを防止できるガイドワイヤを提供する。
【解決手段】ガイドワイヤ1Aは、先端部に湾曲部70を有したコイル体7Aを備え、コアシャフト3の先端が、前記コイル体7Aの湾曲部70より基端方向に位置し、かつ、該コアシャフト3に固着された安全ワイヤ5を基準にして、該コアシャフト3が該コイル体7Aにおける湾曲部70の湾曲側とは逆側に配置されている。このため、該ガイドワイヤ1Aの先端部が湾曲した際に、該コアシャフト3に邪魔されることなく該安全ワイヤ5が適切に湾曲可能となり、該ガイドワイヤ1Aの先端部は、例えば血管等の脈管の壁に当接した場合にも柔軟に撓んで該血管等の脈管の壁の損傷を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用分野で好適に用いられるガイドワイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療現場において血管、尿管、又は器官等へのカテーテルの挿入や、血管の動脈瘤形成部への体内留置具の挿入の際にガイドとして用いられるガイドワイヤは、既によく知られている。通常、前記ガイドワイヤは、コアシャフトと、前記コアシャフトの先端部外周に巻回されたコイル体とを備え、前記コイル体の先端部と前記コアシャフトの先端部とが固着されて最先端部が形成されている。
【0003】
さらに、ガイドワイヤの先端が湾曲形状となっている構成は、既に開示されている(特許文献1参照)。また、コアシャフトと、該コアシャフトの先端よりもさらに先端方向に延長した安全ワイヤと、該コアシャフトと該安全ワイヤとを覆うコイル体とからなるガイドワイヤも、既に開示されている(特許文献2参照)。また、該特許文献2には、安全ワイヤの横断面が扁平形状である構成も開示されている。さらに、ガイドワイヤが、コアシャフトと、該コアシャフトを覆うコイル体とから構成され、さらに該コイル体の先端部が単コイルで形成され、該コイル体の基端部が多条コイル体で形成されているものも既に開示されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−76415号公報
【特許文献2】米国特許第4003369明細書
【特許文献3】特開2003−52831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のガイドワイヤは、先端部が多湾曲状に形成されているため、ガイドワイヤの先端部の可撓性の向上が図られているものの、芯材の外周に樹脂が被覆されている構成であるので、これによりガイドワイヤの先端部が硬くなる傾向がある。このため、ガイドワイヤの先端部の可撓性は必ずしも十分とはいえず、その結果、血管等の脈管の壁を傷付け易いという問題があった。また、特許文献2のガイドワイヤは、全長に沿って直線形状であるため、ガイドワイヤの先端が撓み難く、その結果、血管等の脈管の壁を傷付け易いという問題があった。さらに、特許文献3のガイドワイヤは、特許文献2の構成と同様に、ガイドワイヤの先端部分が撓み難く、その結果、血管等の脈管の壁を傷付け易いという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、ガイドワイヤの先端部が適切に撓み易く、先端部が血管等の脈管の壁に当接した際にも血管等の脈管の壁への損傷を防止でき、かつ、先端部分が分断しても該先端部分が血管等内に取り残されることを防止できるガイドワイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ガイドワイヤが、コアシャフトと、前記コアシャフトと並行して配置されている安全ワイヤと、前記コアシャフトと前記安全ワイヤとを覆うコイル体と、を備え、前記安全ワイヤの基端、及び前記コイル体の基端は、前記コアシャフトに固着されており、前記安全ワイヤの先端と前記コイル体の先端とが固着されることにより最先端部が形成されており、前記最先端部より基端方向において前記コイル体の先端部は、前記ガイドワイヤの長軸方向に対して湾曲する単一又は複数の湾曲部を有し、前記コアシャフトの先端は、前記コイル体の先端部における前記湾曲部より基端方向に配置され、かつ、前記コアシャフトは、前記安全ワイヤを基準にして、前記コイル体の先端部における湾曲部が単一の場合はその湾曲部の湾曲側とは逆側に配置され、前記コイル体の先端部における湾曲部が複数の場合は最も基端方向に配置されている前記湾曲部の湾曲側とは逆側に配置されていることを特徴とするガイドワイヤである。
【0008】
上記構成にあって、前記ガイドワイヤの先端部には湾曲部が形成されていると共に、前記コアシャフトの先端が、前記コイル体の先端部における前記湾曲部より基端方向に位置し、かつ、前記コアシャフトが、前記安全ワイヤを基準にして、前記湾曲部が単一の場合はその湾曲部の湾曲側とは逆側に配置され、前記湾曲部が複数の場合は最も基端方向に配置されている前記湾曲部の湾曲側とは逆側に配置されているため、該ガイドワイヤの先端部が湾曲した際に、コアシャフトに邪魔されることなく安全ワイヤが適切に湾曲可能となる。したがって、例えば該ガイドワイヤの先端部が血管等の脈管の壁に当接した場合にも該ガイドワイヤの先端部が柔軟に撓んで該血管等の脈管の壁の損傷を防止することができる。また、前記安全ワイヤにより、分断した先端部分が血管等内に取り残されることを確実に防止できる。
【0009】
上記の、前記コイル体の先端部に複数の湾曲部が形成されているガイドワイヤにおいては、前記ガイドワイヤの長軸方向に対して湾曲する第1の湾曲部と、前記第1の湾曲部の先端方向に配置された、前記第1の湾曲部に対して逆方向に湾曲する第2の湾曲部と、前記第2の湾曲部の先端方向に配置された、前記第2の湾曲部に対して前記第1の湾曲部と同方向に湾曲する第3の湾曲部と、前記第3の湾曲部の先端方向に配置された、先端が前記最先端部に接続されている直線形状部と、を備えている構成が好ましい。
【0010】
該ガイドワイヤの先端部は、多湾曲形状であるため、先端部の柔軟性に優れていると共に、前記最先端部に接続されている直線形状部が形成されているため、血管等の本管への選択性が十分に確保され、これにより例えば血管等の側枝への迷入が適切に防止できる。
【0011】
さらに上記の、前記コイル体の先端部に複数の湾曲部が形成されているガイドワイヤにおいて、前記第3の湾曲部と前記直線形状部との間には、前記第3の湾曲部と逆方向に湾曲する第4の湾曲部が配置されている構成が好ましい。
【0012】
該ガイドワイヤの先端部にあっては、さらに湾曲部が増えることにより、先端部の柔軟性がさらに優れたものとなる。
【0013】
また、上記の、前記コイル体の先端部に単一の湾曲部が形成されているガイドワイヤにおいて、前記安全ワイヤの少なくとも前記コイル体の先端部内に配置される部分の横断面は扁平形状とされ、前記扁平形状における長手方向が、前記ガイドワイヤの長軸方向の中心線と、前記湾曲部とが含まれる平面に対して垂直な方向である構成が提案される。
【0014】
かかる構成とすることにより、安全ワイヤ自体が、コイル体の湾曲方向に対応して一定方向に湾曲することになるため、ガイドワイヤの先端部はより一層安定して所要方向に撓むことになり、血管等の本管への選択性を確保しつつ、血管等の脈管の壁の損傷を防止できる。
【0015】
また、上記の、前記コイル体の先端部に複数の湾曲部が形成されているガイドワイヤにおいて、前記コイル体における前記湾曲部は、前記ガイドワイヤの長軸方向の中心線を含む同一平面内に形成されていると共に、前記安全ワイヤの少なくとも前記コイル体の先端部内に配置される部分の横断面は扁平形状とされ、前記扁平形状における長手方向が、前記平面に対して垂直な方向である構成が提案される。
【0016】
かかる構成とすることにより、安全ワイヤ自体が、コイル体の湾曲方向に対応して一定方向に湾曲することになるため、ガイドワイヤの先端部はより一層安定して所要方向に撓むことになり、血管等の本管への選択性を確保しつつ、血管等の脈管の壁の損傷をより確実に防止できる。
【0017】
さらに、上記のガイドワイヤにおいて、少なくとも前記コアシャフトの先端から基端方向に位置している前記コイル体の部分は、多条コイル体で構成されていてもよい。
【0018】
かかる構成にあって、多条コイル体は剛性が高いため、これによりガイドワイヤの手元側の操作が該ガイドワイヤの先端側に伝達され易くなり、該ガイドワイヤの先端部の向きを容易に変更することが可能となる。また、該ガイドワイヤの手元側の剛性が向上するため、いわゆる該ガイドワイヤの押し込みを行った際に該ガイドワイヤの先端部が血管等の側枝に侵入している場合であっても、該ガイドワイヤの先端部が撓み、そして適切に跳ね、これにより該ガイドワイヤの先端を血管等の本管へ導くことが可能となる。したがって、かかる構成とすることにより、血管等の本管への選択性がさらに向上することとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のガイドワイヤは、先端部が適切に撓み易いため血管壁への損傷を防止できると共に、先端部分が分断しても該先端部分が血管等内に取り残されることを防止できる優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例1のガイドワイヤを示す説明図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】実施例2のガイドワイヤを示す説明図
【図4】実施例3のガイドワイヤを示す説明図
【図5】実施例4のガイドワイヤを示す説明図
【図6】実施例5のガイドワイヤを示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0021】
(実施例1)
図1,2に従って、実施例1のガイドワイヤ1Aを説明するが、便宜上、図1においてガイドワイヤ1Aの長軸方向をx軸方向とし、ガイドワイヤ1Aの左右方向(図1において紙面に直交する方向)をy軸方向とし、ガイドワイヤ1Aの上下方向(図1において紙面に沿った上下方向)をz軸方向とする。
【0022】
図1に示すように、医療用のガイドワイヤ1Aは、先端側が細径で基端側が太径とされている先細り丸棒形状のコアシャフト3を備えている。
【0023】
また、前記ガイドワイヤ1Aは、前記コアシャフト3の下部に配置された、該コアシャフト3に並行する安全ワイヤ5を備えている。具体的には、該安全ワイヤ5の基端が、第1固着部11を介して該コアシャフト3に固着され、該コアシャフト3よりもさらに先端方向へ差し出されている。さらに、図2に示すように、該安全ワイヤ5の横断面形状は、扁平形状となっており、該扁平形状における長手方向(幅方向)は、該ガイドワイヤ1Aの左右方向(すなわち、y軸方向)に一致している。なお、該扁平形状は、図2に示す形状に限定されず、適宜設計変更は可能である。
【0024】
また、図1に示すように、前記ガイドワイヤ1Aは、前記コアシャフト3と前記安全ワイヤ5とを覆うコイル体7Aを備えている。具体的には、該コイル体7Aは、前記第1固着部11と、該第1固着部11より基端方向に配置された第2固着部13とを介してコアシャフト3に固着されている。また、該コイル体7Aの先端は、該安全ワイヤ5の先端と固着されることにより略半球体形の最先端部9が形成されている。このように、ガイドワイヤ1Aの先端部は、安全ワイヤ5とコイル体7Aとからなる構成であるため、可撓性に優れている。また、前記最先端部9と前記コアシャフト3とが安全ワイヤ5によって連繋されていると、例えば該最先端部9が該ガイドワイヤ1Aから脱離して血管等内に取り残されてしまうことがない。
【0025】
また、前記コイル体7Aにあっては、図1に示すように、前記最先端部9より基端方向において、前記ガイドワイヤ1Aの長軸方向に対してz軸の正の方向に湾曲する単一の湾曲部70を有している。
【0026】
すなわち、上記したガイドワイヤ1Aは、先端部に湾曲部70を有し、かつ前記コアシャフト3の先端が、該湾曲部70より基端方向に位置し、かつ、該コアシャフト3が、前記安全ワイヤ5を基準にして、該コイル体7Aの湾曲部70の湾曲側とは逆側(すなわち、z軸の負の方向側)に配置されている。このため、該ガイドワイヤ1Aの先端部が湾曲した際に、該コアシャフト3に邪魔されることなく該安全ワイヤ5が適切に湾曲可能となる。したがって、該ガイドワイヤ1Aの先端部は、上記したように安全ワイヤ5とコイル体7Aとからなる構成であって、さらに湾曲部70を有するため、相乗効果により、一層撓み易く、該ガイドワイヤ1Aの先端部が例えば血管等の脈管の壁に当接した場合にも該ガイドワイヤ1Aの先端部が柔軟に撓んで該血管等の脈管の壁の損傷を防止する。また、安全ワイヤ5の横断面形状は扁平形状であり、その扁平形状における長手方向(幅方向)が、前記ガイドワイヤ1Aの長軸方向の中心線Lと、前記湾曲部70とが含まれる平面(すなわち、xz平面)に対して垂直な方向(すなわち、y軸方向)となるようにしたため、ガイドワイヤ1Aの先端部はコイル体7Aの湾曲方向に対応して一定方向に撓むことになる。このため、操作性が向上し、血管等の本管への選択性を確保しつつ、血管等の脈管の壁の損傷をより確実に防止することが可能となる。
【0027】
(実施例2)
以下、実施例2にかかるガイドワイヤ1Bを図3に従って説明するが、実施例1と共通する部分については説明を省略し、図中では同じ符号を付すこととする。
【0028】
図3に示すように、前記ガイドワイヤ1Bのコイル体7Bの先端部は、多湾曲形状となっている。具体的には、該コイル体7Bは、該ガイドワイヤ1Bの長軸方向に対してz軸の正の方向に湾曲する第1湾曲部(第1の湾曲部)71を有している。また、該第1湾曲部71の先端方向には、該第1湾曲部71に対してz軸の負の方向(すなわち、第1湾曲部71に対して逆方向)に湾曲する第2湾曲部(第2の湾曲部)72が配置されている。さらに、該第2湾曲部72の先端方向には、該第2湾曲部72に対してz軸の正の方向(すなわち、第1湾曲部71と同じ方向)に湾曲する第3湾曲部73が配置されている。さらに、該第3湾曲部73の先端方向には、該第3湾曲部73に対してz軸の負の方向(すなわち、第2湾曲部72と同じ方向)に湾曲する第4湾曲部74が配置されている。そして、該第4湾曲部74の先端方向には、ガイドワイヤ1Bの長軸方向に沿って差し出され、前記最先端部9に接続する直線形状部75が配置されている。
【0029】
さらに、図3に示すように、前記第1湾曲部71と、前記第2湾曲部72と、前記第3湾曲部73と、前記第4湾曲部74と、前記直線形状部75とは、前記ガイドワイヤ1Bの長軸方向の中心線Lを含む同一平面(すなわち、xz平面)内に形成されている。
【0030】
また、安全ワイヤ5の横断面形状は扁平形状であり、その扁平形状における長手方向(幅方向)が、前記第1湾曲部71と、前記第2湾曲部72と、前記第3湾曲部73と、前記第4湾曲部74と、前記直線形状部75とが形成されるxz平面に対して垂直な方向(すなわち、y軸方向)となるようにしている。
【0031】
上記したガイドワイヤ1Bは、先端部に複数の湾曲部71〜74を有し、かつ前記コアシャフト3の先端が、前記コイル体7Bの第1湾曲部71より基端方向に位置し、かつ、該コアシャフト3が、前記安全ワイヤ5を基準にして、該コイル体7Bの最も基端方向に配置される第1湾曲部71の湾曲側とは逆側(すなわち、z軸の負の方向側)に配置されているため、該コアシャフト3に邪魔されることなく該安全ワイヤ5が適切に湾曲可能であり、これにより該ガイドワイヤ1Bの先端部が撓み易く、該ガイドワイヤ1Bの先端部が例えば血管等の脈管の壁に当接した場合にも該ガイドワイヤ1Bの先端部が柔軟に撓んで該血管等の脈管の壁の損傷を防止する。また、該ガイドワイヤ1Bの先端部においては直線形状部75が形成されているため、例えば血管等の本管への選択性が十分に確保されており、これにより例えば血管等の側枝への迷入が適切に防止できる。また、安全ワイヤ5の横断面形状において、扁平形状における長手方向(幅方向)が、前記第1湾曲部71と、前記第2湾曲部72と、前記第3湾曲部73と、前記第4湾曲部74と、前記直線形状部75とが形成されるxz平面に対して垂直な方向(すなわち、y軸方向)となるようにしたため、ガイドワイヤ1Bの先端部はコイル体7Bの湾曲方向に対応して一定方向に撓むことになる。このため、操作性が向上し、例えば血管等の本管への選択性を確保しつつ、血管等の脈管の壁の損傷をより確実に防止することが可能となる。
【0032】
なお、図3に示すガイドワイヤ1Bは第4湾曲部74を備えているが、これに代えて、該第4湾曲部74を備えていない構成、すなわち第1湾曲部71と、第2湾曲部72と、第3湾曲部73と、該第3湾曲部73と連続する直線形状部75とを備える構成であってもよい。このような構成とした場合でも、ガイドワイヤ1Bと同様の効果が得られる。
【0033】
(実施例3)
以下、実施例3にかかるガイドワイヤ1Cを図4に従って説明するが、実施例1,2と共通する部分については説明を省略し、図中では同じ符号を付すこととする。
【0034】
図4に示すように、ガイドワイヤ1Cのコイル体7Cは、二つのコイル体7D,7Eを組み合わせて構成されている。具体的には、前記第1固着部11を基準にしてガイドワイヤ1Cの先端方向に配置された単コイル体7Dと、前記第1固着部11を基準にしてガイドワイヤ1Cの基端方向に配置された剛性の高い多条コイル体7Eとからなり、少なくとも前記コアシャフト3の先端から基端方向に位置しているコイル体7Cの部分が、多条コイル体7Eによって構成されるようにしたものである。
【0035】
かかる構成とすることにより、ガイドワイヤ1Cの手元側の操作が該ガイドワイヤ1Cの先端側に伝達され易くなり、該ガイドワイヤ1Cの先端部の向きを容易に変更することが可能となる。また、該ガイドワイヤ1Cの手元側の剛性が向上するため、いわゆる該ガイドワイヤ1Cの押し込みを行った際に該ガイドワイヤ1Cの先端部が血管等の側枝に侵入している場合であっても、該ガイドワイヤ1Cの先端部が撓み、そして適切に跳ね、これにより該ガイドワイヤ1Cの先端を血管等の本管へ導くことが可能となる。このため、血管等の本管への選択性がさらに向上する。
【0036】
(実施例4)
以下、実施例4にかかるガイドワイヤ1Dを図5に従って説明するが、実施例1〜3と共通する部分については説明を省略し、図中では同じ符号を付すこととする。
【0037】
図5に示すように、ガイドワイヤ1Dにあっては、コイル体7Fの先端部において、コイル素線の素線径が先端に向かうに従い小さくなる構成となっている。かかる構成とすることにより、コイル体7Fにおける最先端部9近傍の柔軟性が向上するため、より一層ガイドワイヤ1Dの先端部は、撓み易くなる。
【0038】
(実施例5)
以下、実施例5にかかるガイドワイヤ1Eを図6に従って説明するが、実施例1〜4と共通する部分については説明を省略し、図中では同じ符号を付すこととする。
【0039】
ガイドワイヤ1Eは、図6に示すように、横断面が非扁平形状の安全ワイヤ51を備えている。かかる安全ワイヤ51を備えたガイドワイヤ1Eも本発明に含まれる。
【0040】
なお、これまでに述べた本発明は、上述の実施例1〜5に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更することは勿論可能である。
【符号の説明】
【0041】
1A〜1E ガイドワイヤ
3 コアシャフト
5,51 安全ワイヤ
7A〜7F コイル体
9 最先端部
70 湾曲部
71 第1湾曲部(第1の湾曲部)
72 第2湾曲部(第2の湾曲部)
73 第3湾曲部(第3の湾曲部)
74 第4湾曲部(第4の湾曲部)
75 直線形状部
L 中心線


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドワイヤが、
コアシャフトと、
前記コアシャフトと並行して配置されている安全ワイヤと、
前記コアシャフトと前記安全ワイヤとを覆うコイル体と、
を備え、
前記安全ワイヤの基端、及び前記コイル体の基端は、前記コアシャフトに固着されており、
前記安全ワイヤの先端と前記コイル体の先端とが固着されることにより最先端部が形成されており、
前記最先端部より基端方向において前記コイル体の先端部は、前記ガイドワイヤの長軸方向に対して湾曲する単一又は複数の湾曲部を有し、
前記コアシャフトの先端は、前記コイル体の先端部における前記湾曲部より基端方向に配置され、かつ、
前記コアシャフトは、前記安全ワイヤを基準にして、前記コイル体の先端部における湾曲部が単一の場合はその湾曲部の湾曲側とは逆側に配置され、前記コイル体の先端部における湾曲部が複数の場合は最も基端方向に配置されている前記湾曲部の湾曲側とは逆側に配置されている
ことを特徴とするガイドワイヤ。
【請求項2】
請求項1に記載の、前記コイル体の先端部に複数の湾曲部が形成されているガイドワイヤにおいて、
前記ガイドワイヤの長軸方向に対して湾曲する第1の湾曲部と、
前記第1の湾曲部の先端方向に配置された、前記第1の湾曲部に対して逆方向に湾曲する第2の湾曲部と、
前記第2の湾曲部の先端方向に配置された、前記第2の湾曲部に対して前記第1の湾曲部と同方向に湾曲する第3の湾曲部と、
前記第3の湾曲部の先端方向に配置された、先端が前記最先端部に接続されている直線形状部と、
を備えているガイドワイヤ。
【請求項3】
請求項2に記載の、前記コイル体の先端部に複数の湾曲部が形成されているガイドワイヤにおいて、
前記第3の湾曲部と前記直線形状部との間には、前記第3の湾曲部と逆方向に湾曲する第4の湾曲部が配置されているガイドワイヤ。
【請求項4】
請求項1に記載の、前記コイル体の先端部に単一の湾曲部が形成されているガイドワイヤにおいて、
前記安全ワイヤの少なくとも前記コイル体の先端部内に配置される部分の横断面は扁平形状とされ、前記扁平形状における長手方向が、前記ガイドワイヤの長軸方向の中心線と、前記湾曲部とが含まれる平面に対して垂直な方向である
ガイドワイヤ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の、前記コイル体の先端部に複数の湾曲部が形成されているガイドワイヤにおいて、
前記コイル体における前記湾曲部は、前記ガイドワイヤの長軸方向の中心線を含む同一平面内に形成されていると共に、
前記安全ワイヤの少なくとも前記コイル体の先端部内に配置される部分の横断面は扁平形状とされ、前記扁平形状における長手方向が、前記平面に対して垂直な方向である
ガイドワイヤ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のガイドワイヤにおいて、
少なくとも前記コアシャフトの先端から基端方向に位置している前記コイル体の部分は、多条コイル体で構成されている
ガイドワイヤ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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