説明

ガスを精製するための方法および系

本発明は二酸化炭素を精製するための方法および系を提供する。水分、含酸素化合物、芳香族化合物およびいくつかの硫黄種を吸着により二酸化炭素から除去し、不純物の一部をYゼオライト上への吸着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、ガスを精製し分析するための方法および系を提供する。詳細には、本発明は、水分、含酸素化合物および芳香族化合物を含有する不純物から二酸化炭素ガス流を精製するための方法および系を提供する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
二酸化炭素は多くの産業上および家庭での用途に用いられており、その多くの用途において二酸化炭素は種々の不純物を含まないことが要求されている。残念ながら、ガス井、化学プロセス、発酵プロセスなどの天然源から得られる二酸化炭素、または産業界で生産される二酸化炭素、とりわけ炭化水素製品の燃焼により生産される二酸化炭素は、不純物レベルの硫黄化合物、例えば、硫化カルボニル(COS)および硫化水素(HS)、ならびにアセトアルデヒドおよびアルコールなどの含酸素化合物のほか、ベンゼンなどの芳香族化合物をしばしば含有する。二酸化炭素が、高純度の二酸化炭素であることが求められる用途、例えば、食料および飲料の炭酸飽和、医療品、および電子デバイスの製造ならびに洗浄に使用するためのものである場合、ガス流中に含有される硫黄化合物および他の炭化水素不純物を使用前に非常に低いレベルまで除去しなければならない。求められる不純物除去のレベルは二酸化炭素の用途により異なる。例えば、飲料での用途の場合、二酸化炭素(CO)中の全硫黄レベルは理想的には0.1ppm未満であるべきであり、芳香族炭化水素は0.02ppm未満である必要がある。電子機器洗浄の用途では、0.1ppm未満までの重質炭化水素の除去が必要である。
【0003】
硫黄化合物および炭化水素不純物を二酸化炭素などのガスから除去するためのさまざまな方法が公知である。例えば、Lieder et al.に発行された米国特許第4,332,781号には、ガス流を鉄、バナジウム、銅などの多価金属イオンであることができる再生可能な酸化性反応試剤の水溶液と接触させてCOS含有ガス流と硫黄および還元された反応試剤を含有する水性混合物とを生成させることにより、最初にHSを炭化水素ガス流から除去することによる、ガス流からのCOSおよびHSの除去が開示されている。続いて、ガス流を水および好適な加水分解触媒、例えば、ニッケル、白金、パラジウムなどと接触させることによりガス流中のCOSを加水分解してCOおよびHSにした後、HSおよび必要に応じてCOを除去する。この段階は、先に記載したHSの除去段階によるか又は吸収により、達成することができる。上記プロセスは、扱いにくく高価な装置および相当な注意を要する液体を基剤とした系の使用を包含し、二酸化炭素製品中への水蒸気など望ましくない化合物の導入をもたらす可能性がある。
【0004】
米国特許第5,858,068号および第6,099,619号には、食品関連での使用を予定した二酸化炭素から硫黄、酸素および他の不純物を除去するために、銀で交換したホージャサイトおよびMFI型モレキュラーシーブを使用することが記載されている。米国特許第5,674,463号には、二酸化炭素から硫化カルボニルおよび硫化水素不純物を除去するために、加水分解および酸化第二鉄などの金属酸化物との反応を使用することが記載されている。
【0005】
ガス流を金属酸化物、例えば酸化銅、酸化亜鉛またはこれらの混合物と接触させることにより、ガス流からHSのような硫黄化合物を直接除去することは知られている。最初に加水分解触媒上でCOSをHSに加水分解した後、金属酸化物との反応によりHSを除去することにより、COSのような硫黄不純物を除去することも知られている。これらの材料はHSおよびCOSを除去することができるが、発酵源から得られる二酸化炭素中に一般に存在するジメチルスルフィドのような他の硫黄不純物の除去は、従来技術の材料では容易に達成されない。他の不純物、例えば、アセトアルデヒド、アルコール、およびベンゼンなどの芳香族化合物のより効率的な除去も必要とされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
二酸化炭素の最終使用者の多くは、使用する二酸化炭素が実質的に硫黄化合物、炭化水素および他の不純物を含んでいないことを要求し、そして、天然源から入手した二酸化炭素および工業的に製造された二酸化炭素は硫黄および炭化水素化合物を含有することが多いので、二酸化炭素中に他の不純物を導入することなく、二酸化炭素ガス流からの硫黄および炭化水素化合物の実質的に完全に除去するための経済的で効率的な方法が、絶えず求められている。本発明は、これらの目的を達成するための簡単で効率的な方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の一態様は、ガス流から不純物を除去するための方法であって、ガス流を、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床に通すことを含む方法を提供する。
【0008】
本発明の別の態様は、ガス流を精製するための方法であって、ガス流を、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床に通すことを含む方法を提供する。
【0009】
本発明の別の態様は、二酸化炭素ガス流から不純物を除去するための方法であって、ガス流を、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床に通すことを含む方法を提供する。
【0010】
本発明のさらに別の態様は、ガス流から不純物を除去するための系であって、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床を含む系を提供する。
【0011】
本発明のさらに別の態様は、ガス流を精製するための系であって、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床を含む系を提供する。
【0012】
本発明のさらに別の態様は、二酸化炭素ガス流から不純物を除去するための系であって、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床を含む系を提供する。
【0013】
ゼオライトはNaY形にあってよい。イオン交換形のゼオライトは、KYまたはKNaYであってよい。
該床には、水を除去するための乾燥剤が追加的に入っていてもよい。Yゼオライトを含有する床は、ジメチルスルフィドのような硫黄化合物および含酸素化合物を除去することができる。該床には、芳香族化合物および硫黄化合物を除去するための含浸活性炭および/またはDAYゼオライトが追加的に入っている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
発明の詳細な説明
本明細書の末尾には、出願人らが自らの発明とみなす主題を明瞭に示す特許請求の範囲が存在するが、本発明は、添付の図面を考慮すると一層良く理解されるであろう。
【0015】
典型的には工業プロセスの実施のために生産される二酸化炭素は、その中に多くの不純物が存在している。これら不純物は、しばしは二酸化炭素の使用に関し問題となるが、炭酸飲料などヒトが摂取することを予定した製品の生産および電子機器製造において、二酸化炭素の純度は最も重要であり、完成品の味、品質および法令適合性に影響を及ぼす可能性がある。
【0016】
あらゆる利用可能な二酸化炭素源から得ることができる不純な二酸化炭素は、典型的には不純物として、硫黄化合物、例えば、硫化カルボニル、硫化水素、ジメチルスルフィド、二酸化硫黄およびメルカプタン、炭化水素不純物、例えば、アルデヒド、アルコール、芳香族化合物、プロパン、エチレン、ならびに他の不純物、例えば水を含有する。硫化カルボニルおよび硫化水素は従来技術の材料により除去することができるが、ジメチルスルフィドを除去するためのより効率的な材料が必要とされている。含酸素化合物を除去するためのより効率的な材料も必要とされている。
【0017】
本発明は、具体的には、水分、炭化水素不純物、例えば、アセトアルデヒド、アルコール、アセテートおよび芳香族化合物、ならびに硫黄不純物、例えば、二酸化硫黄、ジメチルスルフィド、およびメルカプタンの除去に対処する。硫化水素および硫化カルボニルの大部分が本発明の床より前で既に除去されていると仮定すると、これらの微量の不純物を除去することができる。
【0018】
周囲温度付近にある流れを、水および他の不純物の除去のための吸着剤床に送る。用いる吸着剤は供給物中の不純物に依存する。典型的には、活性アルミナ(AA);ゼオライト、例えば、4A、5A、13XもしくはNaY;またはシリカゲルなどの吸着剤を、水分除去のために用いる。これに加えて、本発明の目的にしたがい、吸着剤床には、アルデヒド;メタノールおよびエタノールなどのアルコール;酢酸メチルおよび酢酸エチルなどのアセテート;ならびにジメチルスルフィドなどいくつかの微量硫黄化合物を除去するために、NaYなどのゼオライトまたはそのイオン交換形、例えばKYもしくはKNaYが入っている。これらの不純物に関しては、Yゼオライトが他のゼオライトおよび非ゼオライト材料に比べ著しく高い能力を有する。ベンゼンおよびトルエンなどの芳香族化合物の場合、他の吸着剤、例えば活性炭または脱アルミニウム処理したY(DAY)ゼオライトを用いる。
【0019】
通常、本発明のプロセスは二酸化炭素生産プラントで用いられる。これらの流量は、500〜15000std m/hrの範囲であってよい。二酸化炭素は典型的には約12bara〜約21.5baraの範囲の圧力にあり、約16〜約19baraが典型的である。吸着装置床への温度は5〜50℃の範囲であってよい。
【0020】
本発明の幅広い態様において、不純物を含有する二酸化炭素ガス流を、二酸化炭素流から不純物を優先的に吸着する吸着剤床に通す。吸着プロセスは、TSA(温度スイング吸着)サイクルで操作する。本発明の本態様は、図1に例示する装置で実施することができる。図1に例示する吸着系は、2つの平行に配置された床を含むものとして描かれている;しかしながら、本発明は二床系に限定されない。単一床の吸着系を用いてもよく、または、系は2個を上回る平行に配置された吸着床を含んでいてもよい。系中の吸着床の数は本発明の操作にとって重要ではない。二床系では、一方の床が吸着モードにあり、他方の床は再生モードにある。
【0021】
吸着装置AおよびBは同一であり、種々の不純物を吸着する吸着剤床がそれぞれ充填されている。複数の不純物に対しては、床中の吸着剤は層状である必要がある。底部からの供給物のための典型的な床配置では、底部に水除去用の吸着剤があり(層20または30)、これに続いて中央部に含酸素化合物、DMSおよびSOを除去するためのYゼオライト(層22および32)ならびに上部に芳香族化合物および微量の硫黄類を除去するための活性炭/DAY吸着剤(層24および34)がある。含浸活性炭(ナトリウムもしくはカリウムの水酸化物および炭酸塩、または銅の酸化物もしくは塩化物を含浸させたもの)を最終層として用いる場合、芳香族不純物に加えさまざまな残存硫黄類がこれにより除去されることになる。非含浸活性炭を用いる場合、芳香族不純物のほか、メルカプタンおよびいくつかの含酸素化合物がこれにより除去されることになる。層20および30中の吸着剤は典型的には活性アルミナ、シリカゲルまたはゼオライト(ゼオライトYを含む)であり、層22および32中の吸着剤はNaYゼオライトまたはそのイオン交換形である。通常、層24および34中の吸着剤は、活性炭またはDAYゼオライトのどちらか一方である。しかしながら、COSおよびHSのような微量硫黄類の除去が必要な場合、銅の酸化物/塩化物またはナトリウムおよびカリウムの水酸化物/炭酸塩を含有する含浸活性炭を、芳香族化合物および硫黄類の両方を除去するために用いることができる。
【0022】
図1に例示する吸着系において、弁10および12は、床AおよびBへの供給ガスの流れをそれぞれ制御し;弁6および8は、吸着装置AおよびBからのパージガスおよび脱着されたガスの流れをそれぞれ制御し;弁44および46は、吸着装置AおよびBへのパージガスの流れをそれぞれ制御し;そして、弁50および52は、吸着装置AおよびBからの精製された二酸化炭素生成物の流れをそれぞれ制御する。
【0023】
吸着系の操作を、最初に吸着モードにある床Aと再生モードにある床Bで説明する。サイクルのこの半分において、弁8、10、46および50は開いており、弁6、12、44および52は閉じている。供給ガスをライン2に通して吸着系に入れ、弁10に通して吸着装置Aに入れる。ガスが吸着装置Aを通ると、該ガスから不純物が優先的に吸着される。精製された二酸化炭素流を弁50に通し、ライン54によって吸着系から出す。図1に例示した態様では、精製された二酸化炭素を、下流プロセスを表すユニット56に送る。
【0024】
高純度の二酸化炭素を吸着装置Aで生産する間に、吸着装置B中の吸着剤床を再生する。再生中、温かいパージガスをライン48および開放弁46に通して吸着装置Bに導入する。高純度の二酸化炭素をパージガスとして用いて、吸着床の汚染を回避することが好ましい。好ましい再生方向は、吸着方向に対し向流である。ライン54に通して系から出た生成物の一部を、再生用パージガスとして用いることができる。温かいパージガスを床Bに通し、これにより該ガスから不純物を脱着し、掃引する。脱着された不純物を開放弁8およびライン4に通して系から除去し、排出する。
【0025】
吸着段階の進行中、吸着装置A中の吸着されたガスの最前部はこのユニットの出口末端に向かって進む。最前部が床中の予め決定した点に達した時、または予め決定した時間の後、サイクルの前半を終了させ、後半を開始する。
【0026】
吸着サイクルの後半の期間中は、吸着装置Bに吸着処理をさせて、吸着装置A中の床を再生する。サイクルのこの半分の期間中、弁6、12、44および52は開いており、弁8、10、46および50は閉じている。今度は、供給ガスをライン2に通して吸着系に入れ、弁12および52ならびにライン54に通して吸着装置Bに通す。その間、吸着装置A中の床は再生されている。吸着装置A中の床の再生中、温かいパージガスをライン48、弁44、弁6およびライン4によって吸着装置Aに通す。吸着装置B中の床中の吸着最前部がこの床の予め決定した点に達した時、または予め決定した時間の後、サイクルの後半を終了させ、該サイクルを繰り返す。典型的なサイクルの順序を表1に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
本発明を用いた二酸化炭素生産プラントでの二酸化炭素の精製を図2に示す。供給源100からの二酸化炭素を圧縮機110に送ってその圧力を16〜21baraに上昇させ、圧縮された流れに酸素(図示していない)を必要に応じて添加する。最終圧縮段階から出てきた流れは70°〜95℃の温度にあり、これをオプションの硫黄除去ユニット125に送り、ここで、硫黄不純物、例えば、硫化水素、硫化カルボニルおよびメルカプタンを、金属の酸化物、水酸化物もしくは炭酸塩、または銅で交換したゼオライトとの反応により除去する。
【0029】
オプションの硫黄除去ユニット125から出てきた流れをオプションの熱交換器130およびオプションのヒーター135でさらに加熱し、オプションの触媒反応器140に入れる。触媒反応器には、担持貴金属触媒、例えば、ペレット化した形またはモノリス形でのパラジウムまたは白金が入っている。触媒反応器は、供給流中の不純物に応じて150〜450℃の温度で操作する。炭化水素不純物をこの反応器で水と二酸化炭素に酸化する。反応器140から出てきた流れを熱交換器130で冷却し、水冷式後段冷却器145で周囲温度付近の温度までさらに冷却する。
【0030】
後段冷却器145から出てきた流れを、水分および他の不純物を除去するための吸着系150に送る。この吸着系の詳細および床に入っている吸着剤は、図1の考察の中で説明した。吸着床のサイズは、供給流100中の不純物および反応器140を使用するか否かに依存する。先に考察したように、吸着系150中の吸着床は、水分除去のための吸着剤、含酸素化合物、例えばアルデヒド、アルコール、アセテートおよびDMSの除去のための吸着剤、残存硫黄不純物および芳香族化合物、例えばトルエンおよびベンゼンのための吸着剤を有する。吸着系150から出てきた精製二酸化炭素を液化し、必要に応じてユニット160で蒸留し、ライン170に通して生成物貯蔵部に送る。非凝縮性不純物はライン180によって除去する。
【実施例】
【0031】
実施例1
14.6baraの圧力および25℃の温度において二酸化炭素中に145ppmのメタノールを含有する供給物を、0.295kgのサイズ3mmのNaYゼオライトが入っている床に19.8stdリットル/minの流量で通した。170時間にわたりメタノールの漏出は見られず(生成物中に1ppm未満のメタノール)、16.4重量%の平衡メタノール能力が得られた。
【0032】
同じ供給物を、COからメタノールを除去するために慣用の吸着剤であるサイズ3mmの活性アルミナが0.345kg入っている床に通した。漏出時間は63時間未満に短くなり、5.8重量%のメタノールに関する平衡能力が得られた。
【0033】
本発明の教示のとおりメタノール除去にNaYゼオライトを用いると、メタノール除去能力には180%を超える増大がもたらされる。
実施例2
14.6baraの圧力および25℃の温度において二酸化炭素中に50ppmのアセトアルデヒドを含有する供給物を、それぞれ0.054kgのAlcoa Selexsorb CD、Alcoa Selexsorb CDXおよびNaYゼオライトが入っている異なる床に19.8stdリットル/分の流量で通した。すべての場合において吸着剤のサイズは約3mmであった。Selexsorb CDおよびSelexsorb CDXは、二酸化炭素からアセトアルデヒドを除去するための一般に用いられる吸着剤である。Selexsorb CD、Selexsorb CDXおよびNaYゼオライトに関する平衡アセトアルデヒド能力は、それぞれ1.8、4.0および9重量%であった。本発明の教示に従ってNaYゼオライトを使用すると、アセトアルデヒドの除去性能が著しく改善される。
【0034】
実施例3
本発明の教示に従って多層床を組み立てた。該床には、0.133kgのサイズ3mmのUOP NaYゼオライトの第1層、酸化銅を含浸させた0.123kgの活性炭の第2層、および0.112kgのNorit RB4活性炭の第3層が含まれていた。容器の内径は0.075メートルであった。
【0035】
100ppmのメタノール、1ppmの硫化カルボニル、1ppmの硫化水素、2ppmのアセトアルデヒド、および0.2ppmのベンゼンを含有する供給物を、20stdリットル/分の流量、7baraの圧力、および25℃の温度でこの床に通した。試験は18日間実施した。試験中、ベンゼンおよび硫化水素の漏出は見られなかった。メタノール、アセトアルデヒドおよび硫化カルボニルは数日後に漏出したが、これらの不純物のそれぞれについて高い能力が得られた。メタノールおよびアセトアルデヒドの能力は、実施例1および2の場合と同様であった。
【0036】
実施例4
14.6baraの圧力および20℃の温度において二酸化炭素中に2ppmのベンゼンを含有する供給物を、Degussaから入手した6×8メッシュのDAYゼオライトが0.23kg入っている床に200stdリットル/分の流量で通した。0.1重量%のベンゼン吸着能力が得られた。同じ条件の場合、Norit活性炭が入っている床でのベンゼン吸着能力は約0.5重量%であった。二酸化炭素を再生に利用することができる場合、活性炭をベンゼン除去に利用する。しかしながら、空気を再生に用いる場合は、安全上の理由のため活性炭を用いることができず、この場合はDAYゼオライトを用いることができる。
【0037】
実施例5
18baraの圧力および25℃の温度において二酸化炭素中に3ppmのジメチルスルフィドを含有する供給物を、それぞれ0.023kgのAlcoa Selexsorb CDXおよびUOPからのNaYゼオライトが入っている異なる床に20stdリットル/分の流量で通した。すべての場合において吸着剤のサイズは約3mmであった。Selexsorb CDXおよびNaYゼオライトに関する平衡ジメチルスルフィド能力は、それぞれ0.3および1.2重量%であった。本発明の教示に従ってNaYゼオライトを使用すると、ジメチルスルフィドの除去性能が著しく改善される。
【0038】
本発明をいくつかの態様および実施例に関連して記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者が考えつくような多くの変更、追加および省略を加えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】二酸化炭素を精製し分析するための全体的プロセスの概略図である。
【図2】二酸化炭素生産プラントにおける二酸化炭素の精製の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス流から不純物を除去するための方法であって、ガス流を、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床に通すことを含む前記方法。
【請求項2】
ガス流が二酸化炭素ガス流である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゼオライトがNaY、KYおよびKNaY形からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
吸着剤床に水分を除去するための乾燥剤が追加的に入っている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
さらに、吸着剤床に芳香族化合物および硫黄類を除去するための活性炭またはDAYゼオライトが入っている、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
不純物が硫黄化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
硫黄化合物がジメチルスルフィドを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
不純物が含酸素化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ガス流を精製するための方法であって、ガス流を、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床に通すことを含む前記方法。
【請求項10】
ガス流が二酸化炭素ガス流である、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ゼオライトがNaY、KYおよびKNaYからなる群より選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
吸着剤床に水分を除去するための乾燥剤が追加的に入っている、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
さらに、吸着剤床に芳香族化合物および硫黄類を除去するための活性炭またはDAYゼオライトが入っている、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
吸着剤床が単一容器に入っている、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
不純物が硫黄化合物を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
硫黄化合物がジメチルスルフィドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
不純物が含酸素化合物を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
二酸化炭素ガス流から不純物を除去するための方法であって、ガス流を、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床に通すことを含む前記方法。
【請求項19】
ゼオライトがNaY、KYおよびKNaYからなる群より選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
吸着剤床に水分を除去するための乾燥剤が追加的に入っている、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
さらに、吸着剤床に芳香族化合物および硫黄類を除去するための活性炭またはDAYゼオライトが入っている、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
不純物が硫黄化合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
不純物が含酸素化合物を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
ガス流から不純物を除去するための系であって、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床を含む前記系。
【請求項25】
ガス流が二酸化炭素ガス流である、請求項24に記載の系。
【請求項26】
ゼオライトがNaY、KYおよびKNaYからなる群より選択される、請求項24に記載の系。
【請求項27】
吸着剤床に水分を除去するための乾燥剤が追加的に入っている、請求項24に記載の系。
【請求項28】
さらに、吸着床に芳香族化合物および硫黄類を除去するための活性炭またはDAYゼオライトが入っている、請求項24に記載の系。
【請求項29】
ガス流を精製するための系であって、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床を含む前記系。
【請求項30】
ガス流が二酸化炭素ガス流である、請求項29に記載の系。
【請求項31】
ゼオライトがNaY、KYおよびKNaYからなる群より選択される、請求項29に記載の系。
【請求項32】
吸着剤床に水分を除去するための乾燥剤が追加的に入っている、請求項29に記載の系。
【請求項33】
さらに、吸着剤床に芳香族化合物および硫黄類を除去するための活性炭またはDAYゼオライトが入っている、請求項29に記載の系。
【請求項34】
吸着剤床が単一容器に入っている、請求項29に記載の系。
【請求項35】
二酸化炭素ガス流から不純物を除去するための系であって、Yゼオライトまたはそのイオン交換形からなる群より選択される少なくとも1つの吸着剤床を含む前記系。
【請求項36】
吸着剤床が単一容器に入っている、請求項35に記載の系。
【請求項37】
ゼオライトがNaYである、請求項35に記載の系。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−506967(P2009−506967A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526127(P2008−526127)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2006/030860
【国際公開番号】WO2007/019490
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(508040968)リンデ・インコーポレーテッド (10)
【Fターム(参考)】