説明

ガスケット

【課題】分割構成材を互いに突合せて接合し形成された金属基板を用いたガスケットにおいて、金属基板の接合強度に優れたガスケットを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の金属基板用分割構成材10a、10bを互いに突合せて接合し、接合体に形成した金属基板10を備えたガスケット1であって、上記金属基板用分割構成材の端部10aa、10ba同士を突合せて接合体とする一方の部材(10b)は、他方の部材(10a)の外周端部10abと接合する延出突部11を備えており、該延出突部は、上記接合体の外周側より上記金属基板用分割構成材の幅方向に突出して形成されるともに、上記他方の部材の外周端部11baに沿って長さ方向に延出して形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2部材間の接合面、3面合わせ部の接合面などをシールするために用いられるガスケットであって、例えば内燃機関のヒートエクスチェンジャーカバーとヒートエクスチェンジャーとの接合面間、シリンダブロックとオイルパンとの接合面間等に介装してシールする為に用いられるガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
上述のような接合面等には、接合面の形状に応じて形成されたガスケットが介装され、上記2部材間を締結することによって、金属基板を備えたガスケットを挟圧してそのシールがなされる。上記金属基板としては、金属板を環状形状、L字形状、U字形状、Y字形状などの所定の形状に打抜き加工して形成されたもの、或いは金属板を複数のガスケット構成材に打抜き加工し、これら構成材を接合して形成されたものがある。
【0003】
下記特許文献1〜3には、複数のガスケット構成材の端部を対向させて接合し環状の金属基板を備えたガスケットが開示されている。特許文献1、3にはガスケット構成材同士の突合せ部分に及んだシール体によってガスケット構成材同士が接合され形成された金属基板が記載されており、該金属基板の内周側にシール層を備えたものが開示されている。また下記特許文献2には、ガスケット構成材の端部に接着剤を塗布し、ガスケット構成材同士を接着して形成された金属基板からなるガスケットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,618,047号明細書
【特許文献2】特開平11−247995号公報
【特許文献3】特開2005−214222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように金属板を複数のガスケット構成材に打抜き加工し、これら構成材を接合して金属基板を形成すれば、ガスケットの生産効率を向上させることができるが、ガスケット構成材同士の接合部分の脆弱性が問題となっていた。すなわち、ガスケット構成材同士の接合部分の接合強度が弱いと、ガスケットを2部材間に介装し挟圧する際に金属基板の接合部分が折れてしまうのである。
上記特許文献1、2に記載のものは、ガスケット構成材の接合部分の形状が、接合部分以外の部分の幅より細い形状となっているため、接合強度を充分に確保しにくい形状であった。また上記特許文献3に記載のものは、接合部分の形状が幅方向に直状に形成されているため、同じ幅方向に屈折させるような力が加わると屈曲変形してしまう。よってこれも接合強度が充分なものとはいえなかった。
【0006】
また上記特許文献1、3のように、複数のガスケット構成材に形成された接合部分にシール体を形成するためには、弾性材を接合部分に流し込むことが必要となる。このとき、流動性のある弾性材は、ガスケット構成材の接合部分を通過してガスケット構成材の外周側へと流れ出てしまう点が問題となっていた。
そこでこの問題を解消するために、ガスケット構成材が配置され、弾性材を流し込む成型金型側に弾性材の流れ出しを防ぐ機構を設けたものがある。しかしながら、このような場合はガスケット構成材を成型金型内に配置する際に、上記機構が形成されている位置に精度よくガスケット構成材を配置する必要があった。またガスケット構成材の接合部分が配置される位置や弾性材が流れ出る場所に応じて成型金型を作製する必要が生じるため、コスト高になる懸念もあった。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、分割構成材を互いに突合せて接合し形成された金属基板を用いたガスケットにおいて、金属基板の接合強度に優れたガスケットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明に係るガスケットは、複数の金属基板用分割構成材を互いに突合せて接合し形成された金属基板を備えたガスケットであって、上記金属基板用分割構成材の端部同士を突合せて接合体とする一方の部材は、他方の部材の外周端部と接合する延出突部を備えており、該延出突部は、上記接合体の外周側に突出して形成されるともに、上記他方の部材の外周端部に沿って長さ方向に延出して形成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明においては、請求項2の発明のように、上記他方の部材は、上記一方の部材に形成された上記延出突部の内周端部と接合する接合突部を備えており、該接合突部は上記接合体の外周側より上記金属基板用分割構成材の幅方向に突出して形成されているものとすることができる。また請求項3の発明のように、上記延出突部には、ボルト孔が形成されているものとすることもでき、請求項4の発明のように、上記延出突部は、上記金属基板の面に対して垂直方向に折曲形成されているものとすることもできる。更に請求項5の発明のように、上記一方の部材と上記他方の部材とが接合される突合せ部分は、凹凸形状とされているものとしてもよい。
【0010】
請求項6の発明のように、上記金属基板の内周側には、一体加硫成型されたゴム材からなる弾性シール層を更に備えるとともに、上記金属基板は、複数の上記金属基板用分割構成材をわずかな隙間をもって突合せて所定の形状に仮組して接合体となし、上記金属基板用分割構成材の突合せ部分に上記ゴム材を流し込み、該ゴム材を加硫硬化させて上記金属基板用分割構成材を接合することにより形成されるものとすることができる。この場合は、請求項7の発明のように、上記金属基板用分割構成材が接合される突合せ部分の少なくとも1箇所には、上記弾性材の外周側への流れ出しを規制する絞り突起部が形成されているものとすることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明に係るガスケットは、金属基板用分割構成材の端部同士を突合せて接合体とする一方の部材は、他方の部材の外周端部と接合する延出突部を備えている。よって、金属基板用分割構成材の接合部分の形状が、従来のもののように接合部分以外の部分の幅より細い形状となることがないので、接合強度に優れたものとすることができる。このように接合強度が優れた金属基板からなるガスケットによれば、2部材間において狭圧されてもその押圧力に耐え、2部材間を良好にシールすることができ、適用可能範囲の広いガスケットとすることができる。また延出突部は、接合体の外周側より金属基板用分割構成材の幅方向に突出して形成されるともに、他方の部材の外周端部に沿って長さ方向に延出して形成されている。よって、金属基板用分割構成材の突合せ部分の接合面は、金属基板用分割構成材の端部同士が突合される幅方向の面と、延出突部によって他方の部材の外周端部も接合される長さ方向の面となる。すなわち接合面が連続する2方向(金属基板用分割構成材の幅方向と長さ方向)の面となるので、突合せ部分の形状が直状のものと比べて、例えば接合部分の1方向に屈曲する力が加わっても、もう1方向の接合面によって接合が維持され、脆弱になりがちな接合部分で折れにくい構造とすることができる。更に延出突部は接合体の外周側より金属基板用分割構成材の幅方向に突出して形成されているので、ガスケットを2部材間に介装させる際の位置決め部としても機能する。
【0012】
他方の部材は、上記一方の部材に形成された上記延出突部の内周端部と接合する接合突部を備え、該接合突部は上記接合体の外周側より上記金属基板用分割構成材の幅方向に突出して形成されているものとすれば、金属基板用分割構成材の突合せ部分の接合面を大きく確保することができるので、金属基板の接合強度をより一層優れたものとすることができる。
延出突部にボルト孔が形成されたものとすれば、別途ボルト孔を形成するための部位を形成する必要がなく、また2部材間に介装されるガスケットのシール部位に影響を与えることのない箇所にボルト孔が形成されたガスケットとすることができる。
延出突部が、上記金属基板の面に対して垂直方向に折曲形成されているものとすれば、狭い場所に設けられた2部材間に介装させる場合でも、接合体の外周側より突出した部分を少なくすることができるので、延出突部が邪魔になることがなく、優れた接合強度を備えたものでありながら、適用可能範囲の広いガスケットとすることができる。またシール対象部材の外側面に折曲形成された延出突部を沿わせることができるので、2部材間にガスケットを介装させる際にガスケットを安定して配置させることができる。
【0013】
一方の部材と上記他方の部材とが接合される突合せ部分は、凹凸形状とされたものとすれば、例えばガスケットに屈折させるような力が加わっても、突合せ部分の形状が直状のものと比べて、突合せ部分にかかる力が分散され、脆弱になりがちな突合せ部分で折れにくい構造とすることができる。また金属基板用分割構成材の突合せ、その突合せ部分に弾性材を流し込み、硬化させて接合する場合は、この凹凸形状が弾性材の金属基板外周側への流れ出しを規制するので、良好に突合せ部分の接合を行うことができる。
【0014】
金属基板は、上述のように、複数の上記金属基板用分割構成材をわずかな隙間をもって突合せて環状形状に仮組して接合体となし、上記金属基板用分割構成材の突合せ部分にゴム材を流し込み、該ゴム材を硬化させて金属基板用分割構成材を接合することにより形成されるものとすることができる。
このように金属基板の内周側に弾性シール層を備えたものとすれば、シール性の高いガスケットとすることができる。またこれによれば、弾性シール層を形成するとともに複数の金属基板用分割構成材の突合せ部分に弾性材を流し込み、硬化させて接合することにより金属基板を形成することができるので、突合せ部分を別途レーザー溶接など行う必要がなくなり、生産効率を向上させることができる。
金属基板用分割構成材が接合される突合せ部分の少なくとも1箇所には、上記弾性材の外周側への流れ出しを規制する絞り突起部が形成されたものとすれば、弾性材が金属基板の内周側から外周側へと流れ出すことを抑え、良好に突合せ部分の接合を行うことができる。また突合せ部分に絞り突起部が形成されていることにより、上述の突合せ部分を凹凸形状とした場合と同様に、脆弱になりがちな突合せ部分で折れにくい構造とすることができる。更に絞り突起部が弾性材の流れ出しを抑えることができるので、従来のように成型金型側に弾性材の流れ出しを防ぐ機構を設ける必要がなくなり、コストアップとなる懸念がない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のガスケットの一実施形態を示す概略的平面図である。
【図2】図1におけるX−X線矢視拡大断面図である。
【図3】(a)(b)は同ガスケットにおける金属基板の変形例を示す概略的平面図である。
【図4】(a)〜(c)は同ガスケットにおける金属基板の突合せ部分の変形例を示す拡大平面図である。
【図5】(a)(b)は同ガスケットの延出突部を折曲形成する過程を示した図である。
【図6】図5に示す金属基板の一部拡大斜視図である。
【図7】(a)(b)は同ガスケットにおける金属基板の接合部分の変形例を示す拡大平面図である。
【図8】(a)〜(c)は同ガスケットにおける金属基板の変形例を示す拡大平面図である。
【図9】(a)(b)は同ガスケットにおける金属基板の変形例を示す概略的平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に示すガスケット1は、金属基板用分割構成材(以下、第1の構成材10a(他方の部材)、第2の構成材10b(一方の部材)という)を互いに突合せて接合し、環状の接合体に形成した金属基板10の内周側にシール層2を被着一体としたガスケットであって、2部材間に介装され、該2部材間の接合面をシールするものである。図中、3はガスケット1或いは金属基板10の内周側、4はその外周側を示している。
第1の構成材10aと第2の構成材10bとは、わずかな隙間をもって突合せがなされ、その突合せ部分に、シール層2を形成する弾性材を流し込み、加硫接合し接合部21を形成している。
第2の構成材10bの片端部には、第1の構成材10aの外周端部10abと接合する延出突部11が形成されており、該延出突部11は、接合体の外周側4より第2の構成材10bの幅方向に突出して形成されるともに、第1の構成材10aの外周端部10abに沿って長さ方向に延出して形成されている。一方、第2の構成材10bの他端部は、直状に形成されており、突合せて配置される第1の構成材10a側に上述の延出突部11が形成されている。
図1のA部の拡大図に示すように、第1の構成材10aの端部10aaは第2の構成材10bの端部10baと対向するように突合せがなされ、第1の構成材10aの外周端部10abは、延出突部11の内周端部11aと対向するように突合せがなされる。
【0017】
よって、構成材10a、10bの接合部分の形状が、従来のもののように接合部分以外の部分の幅より細い形状となることがないので、接合強度に優れたものとすることができる。また第1の構成材10a、第2の構成材10bの突合せ部分の接合部21は、これらの端部10aa、10ba同士が突合される幅方向の面21aと、第1の構成材10aの外周端部10abが延出突部11の内周端部11aと接合される長さ方向の面21bとなる。すなわち接合面21が連続する2方向(金属基板用分割構成材の幅方向と長さ方向)の面21a、21bとなるので、突合せ部分の形状が直状のものと比べて、例えば接合部分の1方向に屈曲する力が加わっても、もう1方向の接合面によって接合が維持され、脆弱になりがちな接合部分で折れにくい構造とすることができる。更に延出突部11は図に示すように接合体の外周側4より幅方向に突出して形成されているので、ガスケット1を2部材間に介装させる際の位置決め部としても機能する。
【0018】
尚、ここに示すガスケット1は、突合せ部分に弾性材を流し込み、該弾性材を硬化させて第1の構成材10aと第2の構成材10bとを接合することにより形成されたものを示しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1の構成材10aと第2の構成材10bとを接着剤により接合されるものであってもよい。この場合も接合強度に優れ接合部分が折れにくい構造になり、接着剤が金属基板の外周側へ流れ出すことを規制することができる。もちろん、レーザー溶接により接合されるものとしてもよい。またここでは金属基板10の内周側3にシール層2が被着一体にされたものを示しているが、シール層2を備えていないメタルガスケットに適用できる点はいうまでもない。
【0019】
図2は図1におけるX−X線矢視拡大断面図に示すように、シール層2は2部材間に介装された際に圧縮弾性変形するビード部20を備えており、ビード部20はシール層2の厚み方向両側に形成されている。
金属基板10の内周側3の表面には凹部10cが金属基板10の表裏両面に形成されており、凹部10cにもシール層2を形成することにより、シール層2の接着性を高めている。また金属基板10の内周側3端面に、接着剤を塗布した上で加硫成型を行い、シール層2との接着性を一層向上させるものとすることもできる。
【0020】
金属基板10は、冷間圧延鋼板或いはステンレス鋼板からなり、弾性シール層2を構成する弾性材としてゴム材が用いられる場合には、NBR、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム(IR)、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、フッ素ゴム(FKM)、シリコーンゴム(VMQ)、クロロスルフォン化ポリエチレンCSM)、エチレン酢酸ビニルゴム(EVA)、塩化ポリエチレン(CPE)、塩化ブチルゴム(CIR)、エピクロルヒドリンゴム(ECO)、ニトリルイソプレンゴム(NIR)、天然ゴム(NR)等が挙げられる。また上記弾性材としては、ガラス繊維やセラミックス繊維などの圧縮性繊維を混合した弾性コンパウンド材或いは合成樹脂材などとすることもできる。
【0021】
ガスケット1の製造要領について説明する。尚、ここでは弾性材としてゴム材が用いられた場合について説明する。
まず原板としての鋼板(金属板)の打抜きによって、所定の形状の構成材を多数作製する。このとき、同じ形状の構成材10a、10bを原板としての鋼板から、互いに近接配列した状態で打抜きを行えば、接合体を直接打ち抜きする場合に比べて抜きかす部分が少なく、その歩留まりを向上させることができる。
そして、2枚の構成材10a、10bを成型金型(不図示)内に配置する。このとき、いずれか一方を第1の構成材10a、もう一方を第2の構成材10bとしこれらの突合せ部分は、わずかな隙間をもって仮組して接合体となす。
次いで、シール層2が加硫成型されるキャビティ内に未加硫のゴムを注入していく。すると突合せ部分のわずかな隙間にもこのゴム材が流れこむ。このとき、ゴム材は第1の構成材10aの端部10aaと第2の構成材10bの端部10baの間を通過した後、第1の構成材10aの外周端部10abと延出突部11の内周端部11aの間に流れ込む。
【0022】
このように突合せ部分が幅方向から長さ方向に至る接合面を形成しているので、流し込んだゴム材が突合せ部分を通過し、金属基板10の内周側3から外周側4へと流れ出してしまわないよう堰止め効果を発揮し、ゴム材の流れ出しを規制する。
ゴム材がシール層2の形成部位と突合せ部分に行渡ったら、所定時間加熱・加圧を行って、シール層2を金属基板10に一体加硫成型すると共に、突合せ部分を加硫接合し、脱型してガスケット1を得る。
【0023】
このように金属基板10の内周側3にシール層2を形成すると同時に第1の構成材10aと第2の構成材10bの突合せ部分にゴム材を流し込み、加硫接合させて接合部21を形成することができるので、生産効率を向上させることができる。また上述のように突合せ部分がゴム材の外周側4への流れ出しを規制するよう形成されているので、ゴム材が突合せ部分を通過して金属基板10の内周側3から外周側4へと流れ出すことなく、良好に突合せ部分の加硫接合を行うことができ、加硫に必要な内部圧力も保持することができる。そして延出突部11が形成されているので、ゴム材の流れ出しを抑えることができるので、従来のように成型金型側に弾性材の流れ出しを防ぐ機構を設ける必要がなくなり、コストアップとなる懸念がない。
【0024】
ガスケット1における金属基板10の構成は、図1の例に限定されるものではなく、延出突部11の形成位置、突合せ部分の形状などは様々なバリエーションが考えられる。以下に、その例を示す。尚、図3〜図7には、説明のため、シール層2を図示していないが内周側に備えたものである点は上述の例と同様である。
【0025】
図3(a)(b)は同ガスケット1の金属基板10の変形例を示す概略的平面図である。
図3(a)に示す金属基板10は、延出突部11が第1の構成材10aの両端部に形成されている例である。このような形状であっても、上述の例と同様の効果を奏するものとすることができる。
図3(b)に示す金属基板10は、接合部分を環状方形の接合体の角部に形成した例である。延出突部11は、第1の構成材10a、第2の構成材10bの夫々の片側端部に形成されている。
これによっても上述の例と同様の効果を奏するものとすることができるとともに、角部に接合部分が形成されているので、各構成材10a、10bの曲がり部を少なくできるので、互いを近接させた状態で打抜き加工がしやすく、より一層生産効率を向上させることができる。
【0026】
図4(a)〜(c)は同ガスケット1における金属基板10の突合せ部分の変形例を示す拡大平面図である。
図4(a)〜(c)に示すように第1の構成材10aと第2の構成材10bとが接合される突合せ部分は、凹凸形状とされているものとすることができる。
【0027】
図4(a)は突合せ部分が波状に形成されているものを示している。第1の構成材10aの端部10aaと第2の構成材10bの端部10ba、第1の構成材10aの外周端部10abと延出突部11の内周端部11aとが噛み合って突合せできるように互いに凹凸形状とされている。
図4(b)は第1の構成材10aの端部10aaと第2の構成材10bの端部10baとの突合せ部分は互いに直状とされており、第1の構成材10aの外周端部10abと延出突部11の内周端部11aとが噛み合って突合せできるように互いに凹凸形状とされている。
図4(c)は第1の構成材10aの端部10aaと第2の構成材10bの端部10baとの突合せ部分は互いに直状とされており、第1の構成材10aの外周端部10abは切欠形状、延出突部11の内周端部11aは該切欠形状に対応した突出形状とされている。
【0028】
このように、突合せ部分が凹凸形状とされたものとすれば、例えばガスケットに屈折させるような力が加わっても、突合せ部分の形状が直状のものと比べて、突合せ部分にかかる力が分散され、脆弱になりがちな突合せ部分で折れにくい構造とすることができる。またここでは弾性材で接合した状態を示していないが、第1、第2の構成材10a、10bの突合せ部分に弾性材を流し込み、硬化させて接合する場合は、弾性材が突合せ部分の間を蛇行するように流れるので、金属基板10の外周側4へと一気に流れ出てしまうことがなく、良好に突合せ部分の接合を行うことができる。
【0029】
図5(a)(b)は同ガスケット1の延出突部11を折曲形成する過程を示した図、図6は金属基板10の一部拡大斜視図である。
図5(a)は延出突部11を折曲形成する前の状態を示しており、図中2点鎖線は折曲位置を示している。図5(b)は図5(a)の2点鎖線の位置で延出突部11を折曲形成した状態示す平面図である。
延出突部11は図に示すように接合体の外周側4より幅方向に突出して形成されているので、延出突部11を金属基板10の面に対して垂直方向に折曲形成されているものとすることができる。
これによれば、狭い場所に設けられた2部材間に介装させる場合でも、環状の接合体の外周側より突出した部分を少なくすることができるので、延出突部11が邪魔になることがなく、優れた接合強度を備えたものでありながら、適用可能範囲の広いガスケット1とすることができる。またシール対象部材の外側面に折曲形成された延出突部11を沿わせることができるので、2部材間にガスケット1を介装させる際にガスケット1を安定して配置させることができる。
【0030】
図7(a)(b)は同ガスケット1における金属基板10の接合部分の変形例を示す拡大平面図である。
図7(a)に示す例は、延出突部11にボルト孔12が形成されたものである。
延出突部11にボルト孔12が形成されたものとすれば、別途ボルト孔を形成するための部位を形成する必要がなく、また2部材間に介装されるガスケット1のシール部位に影響を与えることのない箇所にボルト孔12が形成されたガスケット1とすることができる。
図7(b)に示す例は、第1の構成材10aは、第2の構成材10bに形成された延出突部11の内周端部11aと接合する接合突部13を備え、該接合突部13は金属基板10の接合体の外周側4より幅方向に突出して形成されているものである。また図7(b)に示すものは、接合突部13、延出突部11の夫々にボルト孔12が形成された例を示している。
これによれば、第1、第2の構成材10a、10bの突合せ部分の接合面を大きく確保することができるので、金属基板10の接合強度をより一層優れたものとすることができる。また上述の図7(a)の例と同様に、突出した部分(11、13)にボルト孔12が形成されているので、図7(a)と同様の効果を奏するものとすることができる。
【0031】
図8(a)〜(c)は同ガスケット1における金属基板10の変形例を示す拡大平面図であり、いずれも絞り突起部14を備えた例を示している。
ここに示す図は、第1の構成材10aと第2の構成材10bとは、わずかな隙間をもって突合せがなされ、その突合せ部分には、シール層2を形成する弾性材が流れ込み加硫接合され、接合部21が形成された状態を示している。
図8(a)の例は、第1の構成材10aと第2の構成材10bの突合せ部分には、弾性材の外周側4への流れ出しを規制する絞り突起部14が第1の構成材10a、第2の構成材10bの夫々に1つずつ形成されているものである。詳しくは、絞り突起部14が第1の構成材10aの外周端部10abに1つ、第2の構成材10bの端部10baに1つ形成されている。
図8(b)の例は、絞り突起部14が第2の構成材10bの端部10ba及び延出突部11の内周端部11aの夫々に、1つずつ計2箇所形成されているものである。
図8(c)の例は、第1の構成材10aにおける端部の外周側角部そのものが外周側4に突出して絞り突起部14となっており、また第2の構成材10bの延出突部11の内周端部11a側の角部も接合部21が一部狭くなるようが突出して形成され、そこが絞り突起部14となっている例である。
【0032】
図8(a)及び(b)に示す例のように、ガスケット1の外周側4或いは内周側3に向かって突出する絞り突起部14と、一方の構成材の端部(図例では第1の構成材10aの端部10aa)に向かって突出する絞り突起部14とを備えていれば、絞り突起部14の突出方向が互いに直交しているので、接合部21に浸入してきた弾性材が突合せ部分を通過し金属基板10の外周側4へ流れて出てしまうことがなく、効果的にその流れ出しを規制することができる。
また絞り突起部14の形状は図例のものに限定されるものではなく、また必ずしも直交して設けられる必要はなく、図8(c)のように、絞り突起部14が横方向に互いに突出されたものとしても同様の効果を奏するものとすることができる。
絞り突起部14が第1、第2の構成材10a、10bの夫々の端部に計2箇所設けられる例について説明したが、これに限定されるものではなく、弾性材の流れを必要以上に規制するものでなければ、絞り突起部14は3箇所以上設けられるものとすることもできる。
【0033】
図9(a)(b)は同ガスケット1における金属基板10の変形例を示す拡大平面図であり、第1の構成材10aと第2の構成材10bとの突合せ部分の形状は図1に示す例と同じ形状とした例を示している。
図1〜図8に示すガスケットはいずれも環状の金属基板10からなる環状ガスケットの例を示しているが、ガスケットの形状は環状に限定されず、図9(a)及び(b)に示すようなU字状のガスケットにも適用可能である。
【0034】
図9(a)に示すガスケット1は、第1の構成材10aと第2の構成材10bとを互いに突合せて接合して形成されたU字状の金属基板10の内周側にシール層2を被着一体としたガスケット1である。第2の構成材10bと対向して配置される第1の構成材10aの片端部には、延出突部11が形成されている。延出突部11は、図1の例と同様に、接合体の外周側より第1の構成材10aの幅方向に突出して形成されるとともに、第2の構成材10bの外周端部10bbに沿って長さ方向に延出して形成されている。第2の構成材10bは両端部を直状とし、平面視してL字状に形成されており、第1の構成材10aと突合せて配置される際には、逆L字状に配置され、U字形状の金属基板10を構成している。
これによっても、上述の例と同様に第1の構成材10aと第2の構成材10bとの接合強度に優れたものを実現でき、延出突部11によって弾性シール層2を形成する際には、弾性材の流れ出しを規制することができる。
【0035】
図9(b)に示すガスケット1は、U字形状に接合され、且つ3つの分割構成材を互いに突合せて構成した金属基板10を備えた例を示している。上述の例はいずれも2つの分割構成材からなる金属基板10を示しているが、これに限定されるものではなく、本発明は図9(b)に示すように複数の分割構成材からなるものに適用可能である。
図中、10aは第1の構成材、10bは第2の構成材、10cは第3の構成材である。第1の構成材10aと第3の構成材10の他の端部と突合せされる端部には、延出突部11が形成されている。第2の構成材10bはI字形状に形成され、両端部10baが直状に形成されている。そして第2の構成材10bの両端部10baが第1の構成材10aと第3の構成材10cに形成された延出突部11の内周端部11aとシール層2を形成する弾性材で接合されている。
このように接合部分をU字形状の角部に形成した場合でも図3(b)の例と同様に、より一層の生産効率の向上を図ることができる。
【0036】
図9(a)(b)に示す例においても、突合せ部分の形状は、図例に限定されず、図4(a)〜(c)、図8(a)〜(c)の形状とすることができ、図5のように延出突部11を折曲形成したり、図7(a)(b)のようにボルト孔を形成したものとすることができる。また金属基板10全体の形状は、U字形状に限定されず、接合面のシール部位の形状に応じて、V字形状、Y字形状などとすることができる。
【0037】
尚、ガスケット1の全体形状は、図例のものに限らずその他の形状が採用可能であり、絞り突起部14の形状や突合せ部分(接合部21)の形状も図例のもので限定されるものではない。
【符号の説明】
【0038】
1 ガスケット
2 弾性シール層
3 内周側
4 外周側
10 金属基板
10a 第1の構成材(金属基板用分割構成材)
10b 第2の構成材(金属基板用分割構成材)
10aa、10ba 端部
10ab 外周端部
11 延出突部
11a 内周端部
12 ボルト孔
13 接合突部
14 絞り突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の金属基板用分割構成材を互いに突合せて接合し形成された金属基板を備えたガスケットであって、
上記金属基板用分割構成材の端部同士を突合せて接合体とする一方の部材は、他方の部材の外周端部と接合する延出突部を備えており、該延出突部は、上記接合体の外周側に突出して形成されるともに、上記他方の部材の外周端部に沿って長さ方向に延出して形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項2】
請求項1に記載のガスケットにおいて、
上記他方の部材は、上記一方の部材に形成された上記延出突部の内周端部と接合する接合突部を備えており、該接合突部は上記接合体の外周側より上記金属基板用分割構成材の幅方向に突出して形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のガスケットにおいて、
上記延出突部には、ボルト孔が形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のガスケットにおいて、
上記延出突部は、上記金属基板の面に対して垂直方向に折曲形成されていることを特徴とするガスケット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のガスケットにおいて、
上記一方の部材と上記他方の部材とが接合される突合せ部分は、凹凸形状とされていることを特徴とするガスケット。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のガスケットにおいて、
上記金属基板の内周側には、一体加硫成型されたゴム材からなる弾性シール層を更に備えるとともに、上記金属基板は、複数の上記金属基板用分割構成材をわずかな隙間をもって突合せて所定の形状に仮組して接合体となし、上記金属基板用分割構成材の突合せ部分に上記ゴム材を流し込み、該ゴム材を加硫硬化させて上記金属基板用分割構成材を接合することにより形成されることを特徴とするガスケット。
【請求項7】
請求項6項に記載のガスケットにおいて、
上記金属基板用分割構成材が接合される突合せ部分の少なくとも1箇所には、上記弾性材の外周側への流れ出しを規制する絞り突起部が形成されていることを特徴とするガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−225435(P2012−225435A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94404(P2011−94404)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000225359)内山工業株式会社 (204)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】