説明

ガスコア及びシェルを含む粒子の製造方法、並びにその方法で得られる粒子

診断撮像で許容される圧力と周波数で音響的に活性化できるように薬剤を合成することが望ましく、かつこの活性化は、完全であることが好ましく、インソネイトされたカプセルすべてから放出が起きることが、最も好ましい。本発明のもう1つの目的は、活性化、すなわち、薬剤放出の割合を、カプセルの粒径に依存しないようにすることである。本発明は、ガスコア及びシェルを含む粒子の調製方法に関し、この粒子は、造影剤として、及び治療組成物の一部としての使用、特に、薬物配送用に適する。これらの粒子は、超音波エネルギーの提供により、驚くほど高い活性化レベルを示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、造影剤として、及び治療組成物の一部としての使用、特に、薬物配送用に適する、ガスコア及びシェルを含む粒子の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波造影剤は、診断の目的に利用可能である。第一世代の造影剤は、自由に動く気泡で構成されているが、現在の造影剤は、一般的に、ガスコア及びシェルで構成され、このシェルは、脂質単分子層、ヒト血清アルブミンといったタンパク質、又は生分解性ポリマーで構成できる。ポリマーを有する薬剤は、しばしばハードシェル薬剤と呼ばれ、例えば、脂質シェル薬剤とは振る舞いが異なる。これらは、その内部からガスを放出することで超音波造影を行い、この造影は、所定の超音波照射閾値(例えば、メカニカルインデックス及び/又はパルス長)を超える場合のみに起きる。その他の薬剤は、音響的に活性になるまで、そのような閾値を示さない。このような閾値を有することは、最初に造影剤活性のない画像を撮るような特定の撮像技術に有益と考えられる。また、観測されるそれぞれの音響バーストが、単一の薬物配送イベントに対応するような薬物配送の目的にも、非常に望ましい。これにより、配送される薬物の量を定量化できる。
【0003】
ポリマーシェルの泡のサンプルにおいて、ガス充填されたポリマーカプセルは、必ずしもすべてが、超音波照射の際に、音響的に活性にはならないことが、しばしば観測される。参考までに、Applied Physics Letters, 84, 631, 2004, 図1(Bloch ら)を見ていただきたい。Bouakaz (Bouakaz, Versluis, De Jong, Ultrasound in Medicine and Biology, 31, 391, 2005)らは、診断周波数及び圧力において、特に小さな(2μm)カプセルの活性化を検出することができなかった。
【0004】
造影剤からの不完全なガス放出が、撮像感度及び治療効力における損失を導く可能性がある。結果として、不必要に高い投薬を行う可能性がある。薬物配送の場合、不完全放出とは、薬物の一部のみが高い確率で放出され、過剰な薬物が、意図する領域よりも、むしろ肝臓や脾臓に蓄積されることを意味する場合がある。
【0005】
米国特許第6,896,659号は、特定の機械特性を有する中空マイクロバブルから超音波を使用して薬剤の放出をトリガし、対象内の局所領域に治療剤を配送する方法に関する。米国特許第6,896,659号で開示される薬剤は、個別の閾値出力強度を定義する一様な肉厚直径比により特徴付けられる制御された脆弱性を有する。米国特許第6,896,659号は、具体的に、マイクロバブルの調製方法を開示し、ここでは、マイクロバブルの生成にシクロオクタンが溶媒として使用される。このシクロオクタンは、後のステップで凍結乾燥により除去される。Bouakazらは(Ultrasound in Medicine and Biology, 31, 391, 2005)、このような泡を超音波出力で破壊することは、実際には難しいことを確認している。また、彼らは、大きなカプセルは、小さなカプセルよりも低い音圧で破壊することを発見し、これらの泡の脆弱性への寸法効果がまだあることを結論付けている。通常の診断条件では、この方法で作られた粒子の少なくとも一部は、破壊しない。
【0006】
国際特許公開第98/48783号は、超音波造影剤として使用可能であり、かつ血流への薬物配送用の微粒子を開示している。この微粒子は、内層及び外層を含むシェルを有する。この粒子は、生物学的互換性のある材料の第1水分散液を形成し、そして生分解性ポリマーの第2溶液と混合するステップを含むプロセスで調製され、この第2溶液は、前述のポリマーに対して、相対的に揮発な水不混和性の溶媒及び相対的に不揮発な水不混和性の非溶媒を含む。この相対的に不揮発な水不混和性の非溶媒は、通常C6〜C20炭化水素である。この例では、シクロオクタンが使用される。米国特許第6,896,659号で説明される粒子と同様に、これらの粒子は、一般的な超音波条件では部分的にのみ破壊する可能性が高い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
診断撮像で許容される圧力と周波数で音響的に活性化できるように薬剤を合成することが望ましく、かつこの活性化は、完全であることが好ましく、インソネイトされたカプセルすべてから放出が起きることが、最も好ましい。本発明のもう1つの目的は、活性化、すなわち、薬剤放出の割合を、カプセルの粒径に依存しないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くことに、我々は、ガスコアを含むシェル粒子の安定性は、少なくとも部分的には、シェルの厚み、及びシェルを通じてコアに浸入する水がないことによって決定されることを確認した。我々は、これらの粒子の調製方法では、特定の組み合わせの溶媒を使用することが非常に望ましいことを、確認した。
【0009】
したがって、第1の観点における本発明は、ガスコア及びシェルを含む粒子の製造方法に関し、この方法は、
(a)シェル組成物と、第1溶媒(1)と、第2非溶媒(2)とを含む混合物を提供するステップと、
(b)ステップ(a)の前記混合物を水分組成物と組み合わせることにより、水相においてステップ(a)の前記混合物の乳剤を形成するステップと、
(c)溶媒(1)を揮発させる条件を適用するステップと、
(d)水を除去する条件を適用するステップと、
(e)非溶媒(2)を除去する条件を適用するステップとを含み、
前記非溶媒(2)は、ステップ(d)の前記条件で、蒸気圧が水よりも大幅に低い有機組成物を含むグループから選択される。
【0010】
別の観点において、本発明は、この方法により得られる粒子、並びにそれら粒子を造影剤及び治療剤に含有させることに関し、かつ超音波診断撮像に通常な範囲の強度を有する超音波出力により大部分の粒子が活性化可能となる造影剤又は治療組成物に関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明では、以下の定義を使用する。
【0012】
本発明は、特定の実施例について所定の図面を参照して説明されるが、本発明は、これらに限定されることはなく、請求項によってのみ限定されるものである。請求項にあるすべての参照符号は、その範囲を限定するものとして解釈されないものとする。説明される図面は、単に線図であり、限定的なものではない。図面において、いくつかの要素の寸法は、図説を目的とするため、強調され、かつ縮尺通りに描かれていない場合がある。本明細書及び請求項において使用される用語「含む」は、その他の要素又はステップを除外するものではない。単数名詞を参照するときに不定冠詞又は定冠詞、例えば「a」又は「an」、「the」、を使用する場合、特に明言される場合を除き、これには、その名詞の複数形が含まれる。
【0013】
本発明は、造影剤として、又は薬剤組成物での薬物配送媒体として使用するのに適した粒子の製造方法に関する。
【0014】
本発明による方法において、ステップ(a)は、シェル組成物と、第1溶媒(1)と、第2非溶媒(2)とを含む混合物の提供を含む。
【0015】
この混合物は、室温付近で作られることが好ましく、温度が4〜30℃の間であることが、より好ましい。
【0016】
本発明では、溶媒(1)は、シェル組成物に対する良溶媒であることが、好ましい。溶媒1は、シェルを形成するポリマーに対して良溶媒であり、かつ非溶媒2は、シェルを形成するポリマーに対して貧溶媒であることが、好ましい。
【0017】
溶媒(1)は、少なくともある程度まで水に溶解することが、好ましい。溶媒(1)は、相対的に揮発組成物であることが、好ましい。
【0018】
また、溶媒(1)は、ステップ(c)の前記条件で、蒸気圧が水よりも高い溶媒であることが好ましく、ジクロロメタン、ジクロロエタン、酢酸イソプロピル、又はこれらの組み合わせを含むグループから選択されることが、より好ましい。
【0019】
非溶媒(2)は、固体粒子の代わりに、ガスコア及びシェル(カプセル)を含む粒子を作るためのもの、と考えられる。したがって、溶媒(2)に適切な組成物は、相対的に不揮発な組成物であり、選択したシェル組成物は、溶解しないか、又は非常に低い程度のみ溶解することが、望ましい。非溶媒(2)については、溶媒1とは対照的に、水での溶解度は非常に低いか、又はゼロであることが、非常に好ましい。
【0020】
非溶媒(2)は、ステップ(d)の前記条件で、蒸気圧が水よりも大幅に低い有機組成物を含むグループから選択される。非溶媒(2)の蒸気圧は、ステップ(d)の条件で、水の蒸気圧よりも少なくとも5倍は低いことが、より好ましい。非溶媒(2)は、その蒸気圧が依然として大幅に高くて凍結乾燥条件で除去可能となるように選択され、オプションとして、周知の標準的な装置を使用して、好ましくは容易に到達される適切な減圧と組み合わせてもよいことが、理解されるであろう。
【0021】
この低蒸気圧により、溶媒(2)が、形成されるカプセル内に実際に留まり、最終的に中空のガス空間を有するカプセルを形成することが確実になろう。このカプセルは、少なくとも1つの中空空間を含むことが、好ましい。さらに、このカプセルは、主要な中空空間を1つと、オプションとしてその他複数の小さな中空空間とを含むことが、最も好ましい。非溶媒(2)が、溶媒1の除去完了前にカプセルから消失する場合、カプセルに過度な縮小が現れ、このため、ステップ(c)での肉厚を増してしまう。
【0022】
好ましい実施例では、非溶媒(2)は、炭素原子10〜20個の炭素鎖長を有する炭化水素を含むグループから選択される。前記非溶媒(2)をシクロデカン、デカン、又はそれらの組み合わせから選択すると有益であることが確認された。最も好ましい実施例では、非溶媒(2)は、シクロデカンを含み、前記非溶媒(2)が、基本的にシクロデカンで構成されることが、より一層好ましい。本発明において、「基本的に構成される」とは、非溶媒(2)の少なくとも80重量%、好ましくは、90〜100重量%が、シクロデカンであることを意味する。
【0023】
オプションとして、ステップ(a)では、溶媒(1)及び(2)、並びにシェル組成物及び溶媒(1)による予混合が用いられる。
【0024】
さらなるステップ(b)は、ステップ(a)の前記混合物を水分組成物と組み合わせることにより、水相においてステップ(a)の前記混合物の乳剤を形成することを含む。
【0025】
好ましくは、ステップ(a)の混合物を含むシェル組成物が、水分組成物に加えられる。乳剤を作り出すため、攪拌若しくは別の形態でのかき混ぜ又はせん断力を適用することが、好ましい。
【0026】
オプションとして、さらなる乳化処理には、望ましい粒径分布、好ましくは、単分散の粒径分布を有する乳剤を形成することが、含まれる。
【0027】
このような乳化処理を得るために適切な装置は、例えば、コロイドミル、ホモジナイザ、ソニケータから選択される。
【0028】
オプションとして、このような処理の前又は後の何れかで、この乳剤をガラスフィルタに圧注する。望ましい場合、このような処理は、複数回繰り返してもよい。
【0029】
望ましい粒径を狭分散で作り出すためのもう1つの実施例は、インクジェット技術のような単分散乳剤の製造方法と、マイクロチャネル又は微多孔を使用する乳化とを使用している。微多孔膜の場合、クロスフローを適用すると、粒径分散が改善する可能性がある。インクジェット技術を使用して粒子を作り出す方法は、例えば、同時係属出願IB2005/052098で開示される。
【0030】
次のステップ(c)において、溶媒(1)を除去するための条件が、適用される。この適用については、「溶媒(1)を揮発させる」とも言う。溶媒(1)を除去するため、任意の適切な手法が適用できる。
【0031】
この条件は、水と、特に、非溶媒(2)が除去されないように制御されることが、非常に好ましい。ステップ(c)の条件では、非溶媒(2)の大部分が除去されないことが好ましく、基本的に非溶媒(2)が全く除去されないことが、より好ましい。そのため、このステップでは、真空を適用するといった、混合物周囲を減圧する対策を取らないことが、好ましい。
【0032】
溶媒(1)を除去する適切な方法は、温度を、例えば、25〜35℃まで、上昇させるか、又は単純に混合物を所定時間攪拌することである。
【0033】
望ましくは一切の論理に制限されることなく、溶剤(1)が揮発すると同時に、乳剤内相におけるシェル組成物の濃度が、溶解度閾値を超えて上昇し、この時点で、シェル組成物が沈殿し始めると考えられる。
【0034】
そして、この沈殿は、乳剤内相の表面においてポリマーのシェルの形成を導く(エマルジョン滴)。一旦、溶媒(1)の大部分又はすべてが揮発すると、非溶媒(2)、水、及びプロセスの初期段階で加えられていたその他オプションの含有物を含むコアを覆って、シェル組成物が生じると考えられる。
【0035】
さらなるステップ(d)において、コアから水を除去するための条件が、適用される。この直後に、ステップ(e)において非溶媒(2)が、除去される。
【0036】
水及び非溶媒(2)の除去は、2つの異なるステップに分けることが、非常に好ましい。実際には、これらのステップに、いくらかオーバーラップが生じることを避けられない可能性もあるが、好ましくは、このオーバーラップを避けるべきである。一般的に、水の除去は、例えば、凍結乾燥法により得られる。非溶媒(2)の除去は、さらなる減圧を必要とする可能性がある。
【0037】
ステップ(e)の後、乾燥粒子を含む組成物が生じる。再懸濁に続き、これらの粒子を含む、造影剤又は治療剤といった薬剤が、適切な用量で投与される。
【0038】
オプションとして、ステップ(a)又は(b)には、安定化組成物が、含まれる。このような安定化組成物は、好ましくは、例えば、ポリビニルアルコールを含む界面活性剤及びポリマーのグループから選択されるか、又は少なくとも2つの界面活性剤及び/又はポリマーの組み合わせである。このような安定剤がプロセスに含まれる場合、このプロセスには、溶媒(1)の除去後に、洗浄ステップを含めて、安定剤を除去することが、好ましい。
【0039】
シェル材料には、生分解性ポリマー及びそれらを組み合わせたものが、非常に好ましい。複数のポリマーを組み合わせて使用する場合、これらのポリマーの1つは、脂肪族ブロック又は側基といった疎水基を少なくとも1つ有することが好ましく、又はフッ素基であることが、より好ましい。望ましくは一切の論理に制限されることなく、調製プロセスにおいて、これらのグループは、カプセルのコア側に向いて、疎水性内部を提供すると考えられる。こうして、カプセル内に水が入らないようにする。ポリマーのもう一方の部分が、カプセルに充分な機械的安定性を提供して、再分散を含む合成手順を可能にし、かつ生体内での充分な安定性を与える。ポリ乳酸といった生分解性ポリマーは、これに非常に適しており、その他の生分解性ポリマーには、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、及びこれらの共重合体を含む。
【0040】
好ましい実施例では、前記ポリマー組成物は、少なくとも1つの疎水基で変性されたポリマーであり、前記疎水基は、好ましくは、フッ化物、炭素原子6〜24個を含むアルキル鎖、又はこれらの組み合わせを含むグループから選択される。
【0041】
最も好ましいポリマーは、ペルフルオロ部分のあるポリ乳酸、ポリ乳酸-ポリグリコール酸の共重合体、ポリカプロラクトン、又はこれらの組み合わせを含むグループから選択される。
【0042】
一般的に、低分子量ポリマーは、シェルでの絡み合いが少なく、かつ、このため、超音波を適用した際にシェル破裂を引き起こしやすい。機械的安定性が充分であれば、分子量10,000未満が、好ましい。また、分子量が2,000〜10,000であることが、最も好ましい。
【0043】
オプションとして、疎水基を含むポリマーは、その他のポリマーと混合して、PEG化ポリマーといった所望の特性を確立してもよく、又はターゲティングを可能にするビオチン化ポリマーを使用するといったターゲティングのオプションを確立してもよい。カプセルを配位子で飾る後変性は、ターゲティング部分が確実にカプセルの外面に位置するため、魅力的である。
【0044】
好ましい実施例では、粒子には、抗体又は抗体フラグメントといったターゲティング部分が提供されて、ヒト又は動物の体内の特定部位をターゲティング可能にする。
【0045】
治療組成物が、オプションとして、コア内、シェル内、又はシェル上に組み込まれる。最も好ましくは、疎水性治療組成物が、コア内に含まれる。ヘキサデカン又はパラフィン油を使用して、治療組成物をコア内で可溶化してもよい。粒子コアに含まれる可能性がある薬物には、疎水性の高い、デオキシルビシン及びパクリタキセルといった抗癌剤を含む。驚くことに、我々は、ヘキサデカンは、疎水性治療組成物又は疎水性造影剤に非常に適したキャリア液体であることを確認した。我々は、このような組成物は、ヘキサデカンにおいて溶解又は微細分散を保ちやすく、かつこれらの組成物は、このため、油相のままでカプセルのコア内側に組み込まれることを確認している。したがって、溶解した組成物は、超音波での活性化後にのみ粒子から放出される。したがって、好ましい実施例において、本発明の特許請求の範囲は、さらに、治療組成物及び/又は造影剤のためのキャリア液体を少なくとも1つ含む粒子に関する。最も好ましいキャリア液体は、ヘキサデカンである。別の観点において、本発明は、ステップ(c)の前で、前記組成物に、治療剤及び/又は造影剤を含む組成物が補充され、これらの薬剤は、好ましくはヘキサデカンを含む、少なくとも1つのキャリア液体に溶解される、本発明による方法に関する。
【0046】
さらなる観点において、本発明による方法は、好ましくはステップ(a)又は(b)における治療組成物の含有を含む。
【0047】
より一層好ましくは、この治療組成物が、油相、好ましくはヘキサデカン又はパラフィンと組み合わせて加えられる。
【0048】
粒子のコアは、何らかのガスを含んでもよい。好ましくは、このガスは、空気又は窒素といった生体適合性ガスである。あるいは、低溶解性ガス、例えば、ペルフルオロカーボンを使用してもよい。より高い溶解性のガスが望ましい場合、二酸化炭素を含有するのが適当な場合がある。
【0049】
粒子が超音波出力により容易に破壊されるようにするため、前記粒子は、平均半径1〜5μmに対して平均厚み1〜50nmのシェルを有することが、好ましい。また、最も薄いシェルの厚みが、最大でも平均粒径の3%であることが、最も好ましい。
【0050】
さらなる観点において、本発明は、本発明によるプロセスによって得られ、かつ上に詳述される、ガスコア及びシェルを含む粒子に関する。
【0051】
さらなる観点において、本発明は、少なくとも本発明による粒子を含む超音波造影剤に関する。一般的に、このような造影剤は、このような粒子を多数含む。前記粒子の大部分、より好ましくは、前記粒子の80〜100%が、上述の方法により得られる粒子であることが、非常に好ましい。
【0052】
好ましい観点では、本発明は、前記粒子が、直径0.1〜5μmを有し、かつシェルの厚みが、1〜80nmを有する、ガスコア及びポリマーシェルを含む粒子組成物に関する。このような粒子は、超音波の適用により、メカニカルインデックスが最大でも3、より好ましくは最大でも1.6、より一層好ましくは最大でも1.2、さらに好ましくは最大でも1.0、またさらに好ましくは最大でも0.8で音響的に活性化できる。
【0053】
この活性化は、メカニカルインデックスが0.2を超えて、より好ましくは0.2〜0.8の間で、より一層好ましくは下限0.2〜0.6の間で開始することが、好ましい。
【0054】
多くの超音波撮像及び超音波媒介の薬物放出用途の場合、薬剤(造影剤)は、ガスコア及びポリマーシェルを含む粒子を含む粒子組成物を含み、この粒子は、直径が0.1〜5μmで、かつシェルの平均厚みが、粒径の最大でも5%、より好ましくは最大でも4%であり、好ましくはシェルの厚みが1〜80nmであり、この粒子は、閾値範囲を超える超音波の適用により音響的に活性化でき、ここで、閾値範囲はメカニカルインデックスが0.2で始まり、この粒子は、メカニカルインデックスが1.2未満で顕著なガス放出を示すことが、望ましい。
【0055】
好ましくは、この超音波造影剤は、本発明によるポリマーシェルの粒子を含み、この粒子の少なくとも80%、好ましくは80〜100%が、最大でもメカニカルインデックスが0.8の超音波の適用で音響的に活性化する。
【0056】
別の観点において、本発明は、本発明による粒子を少なくとも1つ含む治療組成物に関する。好ましくは、これらの粒子は、少なくとも1つの薬物組成物を含む。最も好ましくは、この治療組成物には、上述の粒子を含み、この粒子の少なくとも80%、好ましくは80〜100%が、最大でもメカニカルインデックスが3、より好ましくは最大でも1.6、より一層好ましくは最大でも1.2、さらに好ましくは最大でも1.0、またさらに好ましくは最大でも0.8の超音波の適用で音響的に活性化する。
【0057】
一般的に、これは、粒子の少なくとも80%が、超音波の適用でコアから、ガス及びオプションのさらなる含有物を放出することを意味する。この放出は、短いタイムフレーム内かつ小さなメカニカルインデックス範囲内で起きることが、非常に望ましい。
【0058】
この音響活性化は、実施例で説明されるイベントカウントのセットアップにより監視できる。このセットアップでは、受信した散乱信号(活性化した微粒子から)の振幅が、検出システムの雑音レベルの2倍を超える場合に条件付けて、活性化イベントをカウントする。
【0059】
代表的な実施例では、本発明は、前記粒子の少なくとも80%が、超音波エネルギーにより、メカニカルインデックス範囲0.01〜3、より好ましくは0.1〜2、より一層好ましくは0.4〜1.6の範囲内においてメカニカルインデックス枠が0.5ユニット、好ましくは枠が0.4ユニット、より好ましくは0.3ユニットで活性化される、ガスコア及びポリマーシェルを含む粒子を含む造影剤又は治療組成物に関する。
【0060】
好ましくは、この活性化は、この実施例で指定される条件において、イベントカウントが少なくとも50まで上昇することにより裏付けられる。
【0061】
このイベントカウントでの上昇は、上述のメカニカルインデックス枠及び範囲内においてエコー強度が初期値の少なくとも1000倍まで上昇するのと対応することが、好ましい。
【0062】
光学観測を行って、粒子の活性化及びコアからのガス放出を観察してもよい。Bouakazらにより説明される光学セットアップ、及び現在の実施例における光学セットアップが、使用できる。粒子が活性化した場合、例えば、MIが約0.9での顕著なガス放出が、泡の形成で明らかに観察される。そして、すべての粒子が完全に活性化した証拠を得るには、MIが0〜1.2の超音波をまず適用される。この活性化に続き、より高いMI、例えば、約1.6で一連のパルスがさらに与えられる。この第2の一連のパルスは、すべての粒子がすでに活性化されている場合、観察されているガス形成を高めることはない。
【0063】
ステップ(e)後に生じる粒子は、通常、使用前に適切な液体において再懸濁される。薬剤が、動物又はヒトに対する造影剤又は治療剤として使用される場合、粒子が水性の生理的食塩水に再懸濁されることが、好ましい。
【0064】
標準的な超音波トランスデューサを使用して、超音波エネルギーを供給してもよい。この音波エネルギーは、パルスでもよいが、薬物放出を最大限にトリガするため、この超音波エネルギーは、連続波で提供されることが、好ましい。粒子を含むガスは、患者の安全性のため臨床的に受け入れられる診断出力レベルでの音波パルス複数を使用して撮像可能である。
【0065】
本発明が、以下に、非限定的な実施例により説明される。
【0066】
音響的活性化
図1に示すように、音響的測定用のセットアップは、送信ブロック、受信ブロック、時間変調器ブロックの3つの部分から構成される。3つすべてのブロックは、パーソナルコンピュータにより、LabView (登録商標)を介して制御される。集束音場は、32サイクルのパルス長で使用する1.0MHzキャビテーショントランスデューサ(パナメトリクス社V392)を用いて確立される。活性化されるマイクロカプセルの挙動は、パッシブ音響検出器を使用して検査される。このパッシブ検出器は、中心周波数が5MHzのブロードバンド集束トランスデューサ(直径3.8cmかつ焦点距離5.1cm)(パナメトリクス社V307)及びブロードバンド低雑音信号増幅器(20dB)で構成される。3.0MHz高域通過フィルタ(TTE HB5-3M-65B)及び10.7MHz低域通過フィルタ(MiniCircuits BLP-10.7)を用いて、直接送信されて回折を生じる1.0MHz音響信号をキャビテーショントランスデューサから除去する。デジタルオシロスコープ(モデルLT374L、レクロイ社、チェストナットリッジ、ニューヨーク州)を使用して、増幅された散乱信号をサンプリング周波数20MHzでデジタル化する。
【0067】
時間変調器(4チャンネルデジタル遅延/パルス発生器、スタンフォードリサーチシステムズ社DG535)を使用して、音響検出器を活性化超音波パルスとPRF(パルス繰り返し周波数)2.0Hzで同期する。活性化トランスデューサは、長方形の試験室(20.2×20.2×9.6cm3)の側壁に水平に取り付けられると共に、音響検出器は、垂直に配置され、かつキャビテーショントランスデューサと直角で共焦点に整列される。送信及び受信の両方のトランスデューサは、集束トランスデューサであるため、この検出器は、これら2つのトランスデューサの小さな共焦点範囲のマイクロカプセルにのみ非常に敏感である。このパッシブ手法により、マイクロカプセルの活性化閾値及び活性化後の振動(又は活性化誘発性の破壊)は、受信される音響信号の波形の特性化、並びに高調波発生及び雑音発生の信号スペクトルを介した分析により、調べられる。トーンバースト1.0MHzのインソネイト100回ごとのマイクロカプセルの活性化イベントカウント(又は相対活性化率)を、LabViewを使用して、受信した散乱信号を自動カウントすることにより測定した。
【0068】
レクロイ社デジタルオシロスコープからデジタル化した散乱信号が、さらなる処理のためPCに送信される。実験システムの検出感度(信号対雑音比)は、通過帯域が2.5〜6.5MHzの10次デジタルバターワース帯域通過フィルタを使用して、さらに増加される。したがって、第1調波(送信周波数1.0MHzで)及び第2調波は、散乱信号から完全に除去される。長さが50μ秒(すなわち、1000データポイント)ある各フィルタ済み信号(第3、第4、第5、第6調波を含む)は、検出感度(信号対雑音比)をさらに増強するため、加算され、かつ平均化される。受信した散乱信号(活性化した微粒子から)の振幅が、検出システムの雑音レベル(すなわち、0.0015mVすなわち1.5μV)の2倍を超える場合に条件付けて、活性化イベントをカウントする。
【0069】
各サンプルバイアルは、そのバイアル内の総粒子数に応じて、所定量の脱イオン水で再構成及び希釈される。そして、再懸濁されたマイクロカプセルのサンプルの既定少量を、精密ピペット(Eppendorf 200)を使用して、長方形の試験室に注入する。脱イオン水4リットルを、長方形の試験室における運搬及び伝搬媒質として使用し、かつ室温にてマグネチックスターラで循環を維持する。
【0070】
こうして、試験室内の粒子数を判断する。
【0071】
生体内撮像
この薬剤は、リン酸緩衝食塩水4mlで再構成され、そしてネズミの尾静脈に注入された。30秒で0.2mlが、与えられた。この薬剤は、帯域幅7MHzの15MHzトランスデューサを使用して高調波モードにおいてメカニカルインデックス0.15で撮像された。左心室の明確なコントラスト増強が観測され、かつ心筋灌流が検出された。薬剤は、少なくとも5分間循環した。
【実施例1】
【0072】
ポリマー合成
末端にペルフルオロ部分を有するポリ乳酸(PLA)は、ニューヨーク州立大学が譲受人である米国特許6,329,470を参照して与えられる手順により、1H,1H-ペルフルオロオクタン-1-olをイニシエータとして使用して合成された。このポリマーは、略記してPLA-PFOとする。比較用として、約6000の分子量が、公知のポリスチレン寸法標準を使用してゲル透過クロマトグラフィにより得られた。
【0073】
PLA-PFOカプセル
PLA-PFOは、ジクロロメタンに溶解され、5%(w/w)溶液(溶液A)を得た。シクロデカンは、ジクロロメタンに混合され、10%(w/w)混合物(溶液B)を得た。溶液Aの量0.25gを1gの溶液Bと混合した。(ステップa)この混合物は、10gの0.3%PVA溶液に加えられ、そしてこの混合物をガラスフィルタに圧注して乳化した。これを10回繰り返し(ステップb)、この後、乳剤を1時間攪拌して、ジクロロメタンを蒸発させ、そしてカプセル形成を完了した(ステップc)。この乳剤を4回洗浄して、過剰なPVAを除去した。遠心分離を使用して、この液体からカプセルを分離した。すべての洗浄ステップにおいて、カプセルは泡層を形成しており、水よりもカプセルの密度が低いことを示していた。3%ポリエチレングリコールが、加えられ、そしてこのサンプルは、1ミリバールの圧力で凍結乾燥されて(ステップd)、その後、圧力を0.03ミリバールにして(ステップe)シクロデカンを除去し、そして使用前に再分散された。
【0074】
シェルの厚みは、初期濃度に基づいて、半径の5%、すなわち、直径2μmのカプセルに対して50nmと推定される。
【0075】
音響測定
約20,000個(量的に1〜30μmを測定するコールターカウンタを使用して判断)のカプセルを含む薬剤のサンプルが、4リットルの水に希釈された。音響イベント数が、上述及び図1のセットアップによりカウントされ、そしてメカニカルインデックスの関数として図2にプロットされた。明確な閾値が、音響イベントの起きる前に観測されている。この閾値は、メカニカルインデックスが約0.7と一致し、かつメカニカルインデックスが1.1になるまでに、イベント数が50まで上昇している。音響強度の急激な増加も観測された(図3を参照)。
【0076】
光学観測が、Bouakazら(UMB2005)によって説明されるセットアップを使用して実施された。薄壁のサンプルが、再分散され、かつ200μmファイバに注入された。このファイバは、2.25MHzで動作する単素子トランスデューサの焦点に配置された。0〜1.4までの一連のメカニカルインデックスに対して高速カメラ観測を行い、各設定で10サイクル使用した。約10個の粒子が視野内にあった。MIが0.9で、すべての粒子が、顕著なガスの放出を示し、続いて、MIが1.2の超音波バーストでは、活性化が検出されず、すべての粒子が、カプセル内のガスを完全に失っていることを示した。
【実施例2】
【0077】
PLA-PFO及びPLA-PEOのカプセル
PLA-PFOは、ジクロロメタンに溶解され、5%(w/w)溶液(溶液A)を得た。PLA-PEOは、ジクロロメタンに溶解され、5%溶液(溶液B)を得た。シクロデカンは、ジクロロメタンに混合され、10%(w/w)混合物(溶液B)を得た。溶液Aの量0.25g及び溶液Bが0.25gを、1gの溶液Bと混合した(ステップa)。この混合物は、10gの0.3%PVA溶液に加えられ、そしてこの混合物をガラスフィルタに圧注して乳化した。これを10回繰り返し(ステップb)、この後、乳剤を1時間攪拌して、ジクロロメタンを蒸発させ、そしてカプセル形成を完了した(ステップc)。この乳剤を4回洗浄して、過剰なPVAを除去した。遠心分離を使用して、この液体からカプセルを分離した。すべての洗浄ステップにおいて、カプセルは泡層を形成しており、水よりもカプセルの密度が低いことを示していた。3%ポリエチレングリコールが、加えられ、そしてこのサンプルは、1ミリバールの圧力で凍結乾燥されて(ステップd)、その後、圧力を0.03ミリバールにして(ステップe)シクロデカンを除去し、そして使用前に再分散された。
【0078】
約20,000個(量的に1〜30μmを測定するコールターカウンタを使用して判断)のカプセルを含む薬剤のサンプルが、4リットルの水に希釈された。音響イベント数が、説明されたセットアップによりカウントされ、そしてメカニカルインデックスの関数として図4にプロットされた。明確な閾値が、音響イベントの起きる前に観測されている。この閾値は、メカニカルインデックスが約0.7と一致し、かつメカニカルインデックスが1.2になるまでに、イベント数が45まで上昇している。
【実施例3】
【0079】
ターゲットの造影剤
ビオチン化薬剤が、ポリラクチド類の混合物から調製された。このポリラクチド類は、フッ素化末端基を有するポリラクチド(PLA-PFO)、PEG化ポリラクチド(PLA-PEO)及びビオチン化PEG化ポリラクチド(PLA-PEOビオチン)であり、このビオチンは、PEG化基に共有結合し、ポリラクチド類すべての平均分子量は、7,000未満であった。このポリマーは、PLA-PFO:PLA-PEO:PLA-PEOビオチンの比が5:4:1で使用された。ジクロロメタンでのこのポリマーの5%溶液0.25gを、ジクロロメタンでの10%シクロデカン1gと混合した。この混合物は、10gの0.3%PVA溶液に加えられ、そしてこの混合物を1μmガラスフィルタに圧注して乳化した。これを10回繰り返し、この後、乳剤を1時間攪拌して、ジクロロメタンを蒸発させ、そしてシクロデカン充填されたカプセルを作った。この乳剤を4回洗浄して、過剰なPVAを除去した。遠心分離を使用して、この液体からカプセルを分離した。すべての洗浄ステップにおいて、カプセルは泡層を形成しており、水よりもカプセルの密度が低いことを示していた。3%ポリエチレングリコールが、加えられ、そしてこのサンプルは、凍結乾燥されてシクロデカンを除去し、そして使用前に再分散された。
【0080】
フローセルにおいて、カプセルが、ストレプトアビジン前処理したポリスチレン面に付着しているのを確認した。超音波パルスが、パナメトリクス社V302トランスデューサを10サイクルバースト、パルス繰り返し周波数10kHz(デューティサイクル1%)で使用して配送された。通常の視野内に200〜400個の空気充填されたカプセルが、蓄積した。ピークピーク値400mVの設定で超音波照射した後、残ったカプセルは観察されず、すべての付着カプセルの音響的活性化を示した。
【実施例4】
【0081】
部分的に油充填されたカプセル
カプセルは、ジクロロメタンでのPLA-PFOの5%溶液0.25g、ジクロロメタンでの10%シクロデカン0.5g及びジクロロメタンでの10%ヘキサデカン0.5gから調製された。この乳剤を4回洗浄して、過剰なPVAを除去した。遠心分離を使用して、この液体からカプセルを分離した。すべての洗浄ステップにおいて、カプセルは泡層を形成しており、水よりもカプセルの密度が低いことを示していた。3%ポリエチレングリコールが、加えられ、そしてこのサンプルは、凍結乾燥されてシクロデカンを除去し、そして使用前に再分散された。
【0082】
イベントカウント測定は、ヘキサデカンなして調製されたカプセルよりも、やや高い閾値を示したが、活性化率では、ヘキサデカンなしで調製されたカプセルと差が認められなかった。
【実施例5】
【0083】
PLA-PFOは、ジクロロメタンに溶解され、5%(w/w)溶液(溶液A)を得た。
【0084】
パクリタキセルは、ジクロロメタン10mg/mlに溶解された。ポリマー溶液0.5g、パクリタキセル溶液1g、ヘキサデカン100mg及びシクロデカン100mg及びジクロロメタン0.5gが混合された。この混合物は、10gの0.3%PVA溶液に加えられ、そしてこの混合物をガラスフィルタに圧注して乳化した。これを10回繰り返し、この後、乳剤を1時間攪拌して、ジクロロメタンを蒸発させ、そしてカプセル形成を完了した。この乳剤を4回洗浄して、過剰なPVAを除去した。遠心分離を使用して、この液体からカプセルを分離した。すべての洗浄ステップにおいて、カプセルは泡層を形成しており、水よりもカプセルの密度が低いことを示していた。3%ポリエチレングリコールが、加えられ、そしてこのサンプルは、凍結乾燥されてシクロデカンを除去し、そして使用前に再分散された。
【0085】
この薬剤は、薬剤ml当たり10mgのパクリタキセルを与えて、リン酸緩衝食塩水(0.5ml)に再分散された。この薬剤25μlが、2つの小さなMC38(ネズミ結腸腺癌)腫瘍を左右の後肢部に対称的に負う各ネズミに2回注入された。
【0086】
1つの単素子集束トランスデューサが、治療超音波の配送に使用された(1MHz、パルス長300μs及びPRF 50Hz)。先端部が腫瘍を指す特製のゲルコーンが、トランスデューサと腫瘍との間の音響結合材として使用された。
【0087】
超音波スキャナ(フィリップス社HDI5000)に接続された高周波プローブCL15-7において低MI高調波モード(選択:HGenの組織指定プリセット:血管手術/腫瘍)を、注入及び1MH超音波照射のモニタリングに使用した。撮像にあたり、泡の破壊を最低限とするため、低MIの0.15を使用した。撮像深度は、1.9cmであり、かつ焦点は、1.5cmまでであった。
【0088】
第1の注入後、腫瘍血管系での薬剤の到達が、低MI高調波撮像モードで観測でき、次に、治療超音波が、10秒間配送され、結果的に、破裂した薬剤は、もはや検出できなかった。およそ10秒後、未使用の薬剤の流入が、腫瘍内で再び観測され、次に、破壊パルスが、10秒ほど続いた。こうして、超音波照射が、断続的に5分間適用された。上記の手順は、第2の注入が起きた後も繰り返された。
【0089】
超音波処置された腫瘍における腫瘍成長は、図5に示すように、未処置の腫瘍のものから大幅に遅延され、この図では、腫瘍寸法の変化が、治療超音波適用の有無について示される。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】イベントカウント及びエコー強度測定に使用するセットアップの線図的な概要である。
【図2】実施例1で説明されるように調製かつ測定されたPLA-PFOカプセルのイベントカウントである。
【図3】実施例1で説明されるように調製かつ測定されたPLA-PFOカプセルの平均エコー強度である。
【図4】実施例2で説明されるように測定されたPLA-PEOと混合されたPLA-PFOのイベントカウントである。
【図5】実施例5で判断された腫瘍寸法である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスコア及びシェルを含む粒子の製造方法であって、
(a)シェル組成物と、第1溶媒と、第2非溶媒とを含む混合物を提供するステップと、
(b)ステップ(a)の前記混合物を水分組成物と組み合わせることにより、水相においてステップ(a)の前記混合物の乳剤を形成するステップと、
(c)第1溶媒を揮発させる条件を適用するステップと、
(d)水を除去する条件を適用するステップと、
(e)非溶媒を除去する条件を適用するステップとを含む、
製造方法において、
非溶媒が、ステップ(d)の前記条件で、蒸気圧が水よりも大幅に低い有機組成物を含むグループから選択される、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
非溶媒の蒸気圧が、水の蒸気圧よりも少なくとも5倍低い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
非溶媒が、炭素原子10〜20個の炭素鎖長を有する炭化水素を含むグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記非溶媒が、シクロデカン、デカン、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記非溶媒が、基本的にシクロデカンから構成される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記シェル組成物が、ポリマーであり、好ましくは、疎水性ポリマーを含むグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ポリマー組成物が、少なくとも1つの疎水基で変性されたポリマーを含み、前記疎水基が、好ましくは、フッ化物、炭素原子6〜24個を含むアルキル鎖、又はこれらの組み合わせを含むグループから選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーが、ペルフルオロ部分のあるポリ乳酸、ポリ乳酸-ポリグリコール酸の共重合体、ポリカプロラクトン、イプシロン-カプロラクトン又はこれらの組み合わせを含むグループから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(a)又は(b)において、安定化組成物が、含まれる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第1溶媒が、ステップ(c)の前記条件で、蒸気圧が水よりも高い溶媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
ステップ(c)の前で、前記組成物に、治療剤及び/又は造影剤を含む組成物が補充され、
これらの薬剤は、少なくとも1つのキャリア液体に溶解される、
請求項1から請求項10の何れかに記載の方法。
【請求項12】
前記キャリア液体が、ヘキサデカンを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
治療組成物の含有を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記粒子は、平均半径1〜5μmに対して平均厚み1〜50nmのシェルを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から請求項14の何れかに記載の方法により得られるガスコア及びシェルを含む、粒子。
【請求項16】
請求項15に記載の粒子を少なくとも1つ含む、超音波診断撮像造影剤。
【請求項17】
請求項15に記載の粒子を少なくとも1つ含む、治療組成物。
【請求項18】
前記粒子の大部分、より好ましくは、前記粒子の80〜100%が、請求項1に記載の方法により得られる粒子である、請求項16に記載の超音波造影剤、又は請求項17に記載の治療剤。
【請求項19】
前記粒子が、直径0.1〜5μmを有し、かつシェルの厚みが、1〜80nmを有し、
前記粒子が、超音波の適用により、メカニカルインデックスが最大でも3で音響的に活性化できる、ガスコア及びポリマーシェルを含む粒子組成物。
【請求項20】
前記粒子の少なくとも80%、好ましくは80〜100%が、超音波エネルギーにより、メカニカルインデックス0.01〜3の範囲内においてメカニカルインデックス枠が0.5ユニットで活性化される、請求項19に記載のポリマーシェルを含む粒子を有する、超音波造影剤。
【請求項21】
粒子が、さらに少なくとも1つの薬物組成物を含む、請求項19に記載の粒子を含む治療組成物。
【請求項22】
前記粒子の少なくとも80%、好ましくは80〜100%が、超音波エネルギーにより、メカニカルインデックス0.01〜3の範囲内においてメカニカルインデックス枠が0.5ユニットで活性化される、請求項21に記載の治療組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−524602(P2009−524602A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550896(P2008−550896)
【出願日】平成19年1月19日(2007.1.19)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050186
【国際公開番号】WO2007/085990
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】