説明

ガスタービンのエアフィルター

【課題】エアフィルターを提供する。
【解決手段】本エアフィルターは、飲料用板材で作られたフレームと、複数のプリーツを有する濾材と、1以上の補強バンドとを備える。補強バンドは、プリーツの少なくとも1つとかみ合う寸法の複数の歯を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、広義にはガスタービンに関し、具体的には、高水分ガスタービン環境で使用するためのエアフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは一般に、空気圧縮機その他の部品用の吸気ダクト又はハウジングの上流で1以上のエアフィルターを使用して、作動される。エアフィルターは、内部濾材を支持するためのフィルターフレームを備える。廉価なフィルターフレームは、飲料用板材又は同様の材料から作ることができる。しかし、湿潤又は高湿度環境では、濾材及びフレームは使用中に飽和状態となるおそれがある。そのため、濾材は、飽和した材料の重量増を支持するためプラスチック又は金属フレーム内に保持するのが一般的である。或いは、フレームと濾材からなるフィルターアセンブリ全体を廃棄することもある。しかし、金属又はプラスチックフレームは一般に可燃性でなく、容易にリサイクルできるものでもない。さらに、かかる金属又はプラスチックフレームは公知の飲料用板材フレームよりも高価である。
【特許文献1】米国特許第6875250号明細書
【特許文献2】米国特許第7090713号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0177755号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、多湿及び湿潤条件に適応することができる改良ガスタービン入口エアフィルターが望まれている。好ましくは、エアフィルターは全体として設置・使用が容易であり、既存のプラスチック又は金属フィルターフレームよりも低コストで、しかも全体的又は部分的にリサイクル及び/又は再利用できるものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願では、エアフィルターについて開示する。本エアフィルターは、飲料用板材で作られたフレームと、複数のプリーツを有する濾材と、1以上の補強バンドとを備える。補強バンドは、プリーツの少なくとも1つとかみ合う寸法の複数の歯を有する。
【0005】
濾材は、ガラス繊維及び/又は紙を含んでいてもよい。飲料用板材はコート板紙とすることができる。飲料用板材及び濾材はリサイクル可能なものとし得る。補強バンドは、プラスチック又は金属でよい。エアフィルターはさらに1以上の周囲補強バンドを含んでいてもよい。周囲補強バンドはフレーム全体又は一部を囲んでいてもよい。周囲補強バンドはプラスチック又は金属で作ることができる。
【0006】
本願では、ガスタービンでエアフィルターを使用する方法についても開示する。本方法は、濾材を飲料用板材フレーム内に取り付ける段階と、内部に濾材を備える飲料用板材フレームをタービンの上流に配置する段階と、1以上の補強バンドによって濾材を飲料用板材フレーム内に支持する段階と、濾材を通してガスタービンに流れる空気から微粒子及び水分を濾過する段階とを含む。上記支持段階はさらに、1以上の周囲補強バンドによって飲料用板材フレームを支持する段階を含んでいてもよい。
【0007】
本願では、ガスタービンで使用するためのエアフィルターについても開示する。本エアフィルターは、飲料用板材で作られたフレームと、複数のプリーツを有する濾材と、1以上の補強バンドと、フレーム全体又は一部を囲む1以上の周囲補強バンドとを備える。補強バンドはプリーツとかみ合う寸法の複数の歯を有する。
【0008】
濾材はガラス繊維及び/又は紙で作ることができる。飲料用板材はコート板紙で作ることができる。飲料用板材及び濾材はリサイクル可能なものとし得る。補強バンド及び周囲補強バンドはプラスチック又は金属で作ることができる。
【0009】
本願の上記その他の特徴は、添付の図面及び特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明を参照すれば当業者には明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照するが、図面を通して同じ符合は類似の構成要素を示す。図1は、本明細書に記載のエアフィルター100を示す。ガスタービンに関してエアフィルター100の用途を説明するが、エアフィルター100は他の用途にも等しく応用できる。任意の数のエアフィルター100を使用できる。エアフィルター100は、ガスタービンの上流を流れる空気から微粒子及び水分を除去する。
【0011】
エアフィルター100は濾材110を含む。濾材110は一般にガラス繊維、紙(合成物又はブレンド)、これらの混合物及び同種のフィルター材料でよい。本発明では、あらゆる適当なタイプの材料を使用できる。濾材110はあらゆる所望の寸法又は形状のものでよい。この例では、濾材110は、その中に形成された複数のプリーツ120を有する。プリーツ120は、比較的大きな濾過面積を形成して、圧力降下を下げ、適切な空気流量を与える。
【0012】
エアフィルター100はさらにフレーム130を備える。フレーム130は、濾材110を囲んで支持する。フレーム130は、飲料用板材から作ることができる。「飲料用板材」という用語は、飲料業界で瓶又は缶に代えて常用されるコート厚紙又はコート板紙を意味する。飲料用板材は耐吸水性をもつようにコーティングされている。「飲料用板材」という用語は、段ボール紙などの比較的軽量で薄いが、実質的に剛性の材料も包含する。フレーム130の材料は飲料用板材の連続シートから打ち抜き、折り曲げて様々な折り返し及びパネルを作り、接着剤などで折り返し及びパネルを接合することによって構成することができる。様々なタイプのカートン製造装置が当技術分野で公知であり、本発明で使用できる。フレーム130はあらゆる所望の寸法又は形状のものでよい。
【0013】
エアフィルター100は1以上の補強バンド140も備える。補強バンド140は、フレーム130の開口面の片面又は両面に延在し得る。補強バンド140は、従来のプラスチック又は金属などの材料で作ることができる。補強バンド140はほとんど周囲条件で用いられるので、バンド140は極端な高温に耐える必要はない。補強バンド140は複数の歯150を有する。図2は、濾材110のプリーツ120に補強バンド140を挿入するところを示す。歯150は、濾材のプリーツ120に嵌合する寸法及び形状のものでよい。本発明では、任意の数の歯150を使用できる。補強バンド140は、エアフィルター100全体を強化する働きをする。補強バンド140は、空気が流れるように有孔のもの又は多孔質のものとすることもできる。
【0014】
使用中に、エアフィルター100は、ガスタービンの吸気口又はハウジング160などに配置することができる。エアフィルター100は、空気ハウジング160に従来と同様に取付ければよい。具体的には、フレーム130を、図3に示すように保持クリップ170などの接続手段によって空気ハウジングに取付けることができる。エアフィルター100は、従来と同様水分及び微粒子物質を捕捉する。さらに大きな物体を捕捉するためエアフィルター100の前面にスクリーン180を取付けてもよい。濾材110が湿潤及び/又は飽和すると、フレーム130と補強バンド140の組合せが濾材110を支持して、濾材110を適所に動作可能に保持する。同様に、補強バンド140の歯150は、プリーツ120同士を離隔して保持し、エアフィルター100が全体として機能するように保つ。コート板紙を用いて飲料用板材を構成する場合、水分は一般にフレーム130から滴下する。
【0015】
濾材110が飽和又は交換時期になると、濾材110をフレーム130から取り外すことができる。濾材110は廃棄してもよいし、従来法でリサイクルしてもよい。フレーム130に新しい濾材110を取り付けてもよい。フレーム130も空気ハウジング160から取り外してもよいし、或いは濾材110を交換する場合にはフレーム130を所定の位置に残しておいてもよい。フレーム130は、ある時点で交換が必要となろう。ただし、フレーム130の材料は再利用可能である。フレーム130は、飲料用板材などの材料の使用によって、プラスチック及び金属フレームに比べて格段に低コストである。従って、本明細書に開示したエアフィルター100は、エアフィルターの選択及び交換に際してユーザーに多大な柔軟性を与える。
【0016】
図4〜図6は、エアフィルター200の本発明の別の実施形態を示す。エアフィルター200は、上述のエアフィルター100と同一であるが、1以上の周囲補強バンド210をさらに有する。周囲補強バンド210は、上述の補強バンド140と同じ材料で作ることができる。図5に示すように、周囲補強バンド210は、フレーム130の幾つかの側面に配置してもよいし、或いは図6に示すように、フレーム130の全側面に配置してもよい。周囲補強バンド210は、フレーム130の外周部その他の位置に配置できる。周囲補強バンド210は、フレーム130の形状保持及び濾材110を内側に支持するのにも役立つ。
【0017】
以上の説明は本発明の好ましい実施形態に関するものであり、当業者であれば、特許請求の範囲に規定する本発明の技術的思想全体及び技術的範囲及びその均等の範囲内で様々な変更及び修正をなすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のエアフィルターの斜視図。
【図2】図1のエアフィルターのフレームの歯の平面図。
【図3】ガスタービン入口ハウジングに配置された図1のエアフィルターの斜視図。
【図4】本発明のエアフィルターのフレームの別の実施形態を示す図。
【図5】図4のエアフィルターのフレームの別の実施形態を示す図。
【図6】図4のエアフィルターのフレームの別の実施形態を示す図。
【符号の説明】
【0019】
100 エアフィルター
110 濾材
120 プリーツ
130 フレーム
140 補強バンド
150 歯
160 ハウジング
170 保持クリップ
180 スクリーン
200 エアフィルター
210 周囲補強バンド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料用板材を含むフレームと、
複数のプリーツを有する濾材と、
上記複数のプリーツの少なくとも1つとかみ合う寸法の複数の歯を有する1以上の補強バンドと、
を備えるエアフィルター。
【請求項2】
前記濾材がガラス繊維及び/又は紙を含む、請求項1記載のエアフィルター。
【請求項3】
前記飲料用板材がコート板紙を含む、請求項1記載のエアフィルター。
【請求項4】
前記飲料用板材が再利用可能な材料を含む、請求項1記載のエアフィルター。
【請求項5】
前記濾材がリサイクル可能な材料を含む、請求項1記載のエアフィルター。
【請求項6】
前記1以上の補強バンドがプラスチック又は金属を含む、請求項1記載のエアフィルター。
【請求項7】
さらに1以上の周囲補強バンドをさらに含む、請求項1記載のエアフィルター。
【請求項8】
前記1以上の周囲補強バンドがフレーム全体又は一部を囲む、請求項7記載のエアフィルター。
【請求項9】
前記1以上の周囲補強バンドがプラスチック又は金属を含む、請求項7記載のエアフィルター。
【請求項10】
ガスタービンでエアフィルターを使用する方法であって、
濾材を飲料用板材フレーム内に取り付ける段階と、
内部に濾材を備える飲料用板材フレームをタービンの上流に配置する段階と、
1以上の補強バンドによって濾材を飲料用板材フレーム内に支持する段階と、
濾材を通してガスタービンに流れる空気から微粒子及び水分を濾過する段階と、
を含む方法。
【請求項11】
前記支持段階が、1以上の周囲補強バンドによって飲料用板材フレームを支持する段階をさらに含む、請求項10記載の方法。
【請求項12】
ガスタービンで使用するためのエアフィルターであって、
飲料用板材を含むフレームと、
複数のプリーツを有する濾材と、
複数のプリーツの少なくとも1つとかみ合う寸法の複数の歯を有する1以上の補強バンドと、
フレーム全体又は一部を囲む1以上の周囲補強バンドと、
を備えるエアフィルター。
【請求項13】
前記濾材がガラス繊維及び/又は紙を含む、請求項12記載のエアフィルター。
【請求項14】
前記飲料用板材がコート板紙を含む、請求項12記載のエアフィルター。
【請求項15】
前記飲料用板材が再利用可能な材料を含む、請求項12記載のエアフィルター。
【請求項16】
前記濾材がリサイクル可能な材料を含む、請求項12記載のエアフィルター
【請求項17】
前記1以上の補強バンドがプラスチック又は金属を含む、請求項12記載のエアフィルター。
【請求項18】
前記1以上の周囲補強バンドがプラスチック又は金属を含む、請求項12記載のエアフィルター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−114222(P2008−114222A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−282822(P2007−282822)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】