説明

ガスタービンエンジンおよびガスタービンエンジン用の一体型ケース/ステータセグメント

【課題】ガスタービンエンジン(10)の効率を高める。
【解決手段】ガスタービンエンジン(10)は、圧縮機(14,16)、燃焼部(18)、およびタービン(20,22)を含む。タービン(20,22)は、セラミック基複合材料で構成された一体型ケース/ステータセグメント(31)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ガスタービンエンジンに関し、特に、ガスタービンエンジンの低圧タービンの一体型ケース/ステータベーン構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、典型的な例では、エンジンの中心線を中心として実質的に軸方向の直列流路を形成するようにエンジンケース内に配置された高圧スプール、燃焼システム、および低圧スプールを含む。高圧スプールは、高圧タービンと、高圧タービンから軸方向前方に延在する高圧シャフトと、高圧シャフトの前方端に連結された高圧圧縮機と、を含む。低圧スプールは、高圧タービンの下流に配置された低圧タービンと、一般に高圧シャフトを通って同軸状に延在する低圧シャフトと、高圧圧縮機の前方で、低圧シャフトの前方端に連結された低圧圧縮機と、を含む。燃焼システムは、高圧圧縮機と高圧タービンとの間に配置され、圧縮機からの圧縮空気と燃料噴射システムによって供給される燃料を受け入れる。燃焼システム内では、燃焼プロセスが実行され、この燃焼プロセスによって、推力を発生させるとともに燃焼プロセスを持続させるために圧縮機を駆動する高圧タービンおよび低圧タービンを回転させる高エネルギガスが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
圧縮機およびタービンは、エンジンケースの軸方向流路内でエンジンの中心軸を中心に径方向に配列されたブレードおよびベーンの交互の段から構成される。例えば、低圧タービンでは、ブレードはエンジン中心線を中心に回転するように低圧シャフトに連結されており、ベーンはブレードの間で静止状態に保たれるようにエンジンケースによって支持される。典型的な例では、単独でもしくは小さいクラスタ単位でベーンを取り付けるためにフックが使用される。このようなフックは、複雑な機械加工特徴部に起因する熱機械疲労や低サイクル疲労による割れ領域を生じさせるだけでなく、ベーンまたはベーンクラスタの間の間隙によって、エンジンの効率を低下させてエンジンケースに高温箇所を生じさせるおそれがある漏れ通路が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、ガスタービンエンジンは、圧縮機、燃焼部、およびタービンを備える。タービンは、セラミック基複合材料で構成された一体型ケース/ステータセグメントを有する。
【0005】
他の実施例では、ガスタービンエンジンの一体型ケース/ステータセグメントは、ケース部、ボックス構造部、およびベーンエアフォイル部を備える。ケース部は、軸を中心とした円筒形である。ボックス構造部は、ケース部から径方向内向きに延在するとともに、2つの径方向支持体と径方向支持体の間に延在する外側リングとを有する。ベーンエアフォイル部は、外側リングから径方向内向きに延在する。ケース部、ボックス構造部、およびベーンエアフォイル部は、単一の一体型構成要素を成す。
【0006】
他の実施例では、ガスタービンエンジンの一体型ケース/ステータアセンブリは、第1の一体型ケース/ステータセグメントと、第2の一体型ケース/ステータセグメントと、を有する。第1および第2の一体型ケース/ステータセグメントは、セラミック複合材料で構成されるとともに単一の一体型構成要素を成す。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】ガスタービンエンジンの概略的な側断面図である。
【図2】一体型ケース/ステータベーン構成要素を含む低圧タービンの側断面図である。
【図3A】一体型ケース/ステータベーン構成要素の図2の3−3線に沿った前方断面図である。
【図3B】他の実施例の一体型ケース/ステータベーン構成要素の図2の3−3線に沿った前方断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、一体型ケース/ステータベーン構成要素が使用されたガスタービンエンジン10の断面を示している。図1は、典型的に航空機の推進に使用されるガスタービンエンジンを示しているが、本発明はガスタービン発電機やロータを支持するシャフト駆動のタービンを有する他の類似システムにも容易に適用可能である。図1には、ガスタービンエンジン10、ファン12、低圧圧縮機(LPC)14、高圧圧縮機(HPC)16、燃焼部18、高圧タービン(HPT)20、低圧タービン(LPT)22、ファンケース24、LPCケース26、HPCケース28、前方ストラット29、HPTケース30、一体型ケース/ステータアセンブリ31、一体型ケース/ステータセグメント32A,32B、シャフト34、シャフト36、出口ガイドベーン38、噴射器40、ブレード42、支持ロータ44、ベーンエアフォイル部46、ケース部36、吸気A、一次空気Ap、(バイパス空気とも呼ばれる)二次空気As、およびエンジン長手方向中心軸CLが示されている。
【0009】
図示の実施例では、ガスタービンエンジン10は、本発明の利点が特に良好に示されるデュアルスプール・ターボファンエンジンである。動作原理が当該技術でよく知られているガスタービンエンジン10は、エンジン長手方向中心軸CLを中心に同心状に配置されたファン12、低圧圧縮機(LPC)14、高圧圧縮機(HPC)16、燃焼部18、高圧タービン(HPT)20、および低圧タービン(LPT)22を備える。ファン12は、外径においてファンケース24に囲まれている。同様に、他のエンジン構成要素も外径において、LPCケース26、HPCケース28、HPTケース30、および一体型ケース/ステータアセンブリ31を含む種々の対応するエンジンケースに囲まれている。より具体的には、一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bのケース部48は、特定のエンジン構成要素を囲む。ファン12およびLPC14は、シャフト34を介してLPT22に連結されており、ファン12、LPC14、LPT22、およびシャフト34は、合わせて低圧スプールを構成する。HPC16は、シャフト36を介してHPT20に連結されており、HPC16、HPT20、およびシャフト36は、合わせて高圧スプールを構成する。
【0010】
吸気Aは、エンジン10に流入し、ファン12を通過後に一次空気Apの流れと二次空気Asの流れに分かれる。ファン12は、(図示のように直接もしくは図示されていないギアボックスを介して)シャフト34を介して低圧タービン22によって回転し、出口ガイドベーン38を介して(バイパス空気とも呼ばれる)二次空気Asを加速させてエンジン10の推力出力の大部分を発生させる。(ガス通路空気とも呼ばれる)一次空気Apは、最初に低圧圧縮機14に導かれ、続いて高圧圧縮機16に導かれる。LPC14とHPC16は、協働して一次空気Apの圧力を徐々に上昇させる。HPC16は、シャフト34を介してHPT20によって回転し、燃焼部18に圧縮空気を供給する。圧縮空気は、燃焼プロセスを実行して高圧タービン20と低圧タービン22を回転させるために必要な高エネルギガスを発生させるように、噴射器40からの燃料とともに燃焼器18に供給される。低圧タービン22は、一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bのブレード42およびベーンエアフォイル部46によって構成される。一次空気Apは、引き続きガスタービンエンジン10を通り、排気ノズルを通過してさらに推力を発生させる。
【0011】
一次空気Apは、LPC14およびHPC16において圧縮されるとともに、圧力およびエネルギを増加させるために燃焼器18(図1参照)における燃焼プロセスに寄与した後、ブレード42によって一次空気Apの流れからエネルギが抽出されるようにHPT20およびLPT22を通って流れる。一次空気Apは、ブレード42に衝突して支持ロータ44およびシャフト34の回転を引き起こす。燃焼プロセスの効率を維持するためには、一次空気Apが流れる通路の封止が必要である。ベーンエアフォイル部46およびブレード42の端部をケース部48および支持ロータからそれぞれ延在する箇所で封止することが特に有利である。例えば、エンジン10の機械的な効率を維持するためには、一次空気Apに与えられたエネルギが確実に回転シャフト34の有用な仕事に変換される必要がある。ブレード42およびベーンエアフォイル部46の端部における間隙を通ってLPT22から漏れる空気は、エンジンの効率を低下させる。
【0012】
図1には、本発明の一実施例が示されており、代替的な実施例もある。例えば、エンジン10は、スリースプールエンジンとすることもできる。このような実施例では、エンジン10は、LPC14とHPC16の間に中間圧縮機を有するとともに、HPT20とLPT22との間に中間タービンを有し、中間圧縮機は追加のシャフトによって中間タービンに連結される。
【0013】
図2は、一体型ケース/ステータセグメント32Aを含むLPT22の断面図である。図2には、LPT22、一体型ケース/ステータセグメント32A、ブレード42、支持ロータ44、ベーンエアフォイル部46、ケース部48、ボックス構造部50、第1の段52,第2の段54、第1の径方向支持体56、第2の径方向支持体58、外側リング60、内側リング61、ベーン62、取付フランジ63A,63B、周方向取付孔64、軸方向取付孔66、摩耗体68、およびナイフエッジシール70が示されている。一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bは、必ずしも同一ではないが、ここでは一体型ケース/ステータセグメント32Aは一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bを代表して示す。
【0014】
典型的な例では、一体型ケース/ステータセグメント32Aは、ケース部48から延在するボックス構造部50および取付フランジ63A,63Bと、ボックス構造部50から延在するベーンエアフォイル部46と、を含む。より具体的には、ケース部48は、エンジン長手方向中心軸CL(図1参照)を中心とする円筒形であり、実質的に半球体を画成する。取付フランジ63A,63Bが、ケース部48の端部から径方向外向きに延在する。一体型ケース/ステータセグメント32Aの軸方向に方向づけられた部分に沿って、取付フランジ63Aは、(エンジンの水線とも呼ばれる)中心線に沿って複数の周方向取付孔64を有する。一体型ケース/ステータセグメント32Aの周方向に方向づけられた部分に沿って、取付フランジ63Bは複数の軸方向取付孔66を有する。
【0015】
ボックス構造部50は、ケース部48から径方向内向きに延在する。図示の実施例では、ボックス構造部50が、第1の段52と第2の段54との2段で、ケース部48に沿って周方向に配置されている。第1の段52は、第2の段54から軸方向に離間されている。各々のボックス構造部50は、第1の径方向支持体56、第2の径方向支持体58、および外側リング60を含む。第1の径方向支持体56と第2の径方向支持体58とは、ケース部48から径方向内向きに延在するとともに互いから軸方向に離間されている。外側リング60は、第1の径方向支持体56と第2の径方向支持体58との間で軸方向に延在し、ケース部48から径方向に離間されている。図示の実施例では、外側リング60は、ケース部48の形状を実質的に追従する。
【0016】
ベーンエアフォイル部46は、ボックス構造部60の外側リング60から径方向内向きに延在する。より具体的には、ベーン62は、外側リング60から径方向内向きに延在し、内側リング61で終端となる。外側リング60と内側リング61の構成については、図3A,図3Bを参照して以下でより詳細に説明する。
【0017】
ベーンエアフォイル部46、ボックス構造部50、ケース部48および取付フランジ63A,63Bは、併せて単一の一体型ケース/ステータセグメント32Aを成す。一体型ケース/ステータセグメント32Aは、セラミック基複合(CMC)材料で構成されている。CMC材料は、セラミック母材に埋設されたセラミック繊維を有し、セラミック繊維は、母材の投入前に積層される。これにより、一体構造を構成するように接着されるCMC織物材料で一体型ケース/ステータセグメント32Aの複雑な形状を作製することができる。一体型ケース/ステータセグメント32Aは、炭化ケイ素繊維強化炭化ケイ素(SiC/SiC)およびS200炭化ケイ素セラミック基複合材料を含むがこれらに限定されない種々の特定のCMC材料で構成可能である。さらに、一体型ケース/ステータセグメント32AをCMC材料で初期形成した後で一体型ケース/ステータセグメント32Aの特徴部を最終形状に機械加工するとともに/または一体型ケース/ステータセグメント32Aにコーティングを追加することができる。
【0018】
ケース部48およびベーンエアフォイル部46の両方から、摩耗体68が径方向内向きに延在する。摩耗体68は、LPT22において封止を向上させるためにブレード42およびベーンエアフォイル部46の端部に設けられたナイフエッジシールと相互作用する犠牲材料である。
【0019】
ブレード42は、LPT22の動作時に回転するように、支持ロータ44を介してシャフト34(図1参照)に接続されている。一体型ケース/ステータセグメント32Aは、LPT22の動作時に静止状態に保たれる。よって、ベーンエアフォイル部46は、LPT22の動作時に静止状態に保たれる。一次空気Ap(図1参照)がベーンエアフォイル部46を通過するときに膨張してブレード42から跳ね返ると、ベーンエアフォイル部46に力が加わる。この力は、ボックス構造部50を介して伝達され、一体型ケース/ステータセグメント32A内で分散される。
【0020】
一体型ケース/ステータアセンブリ31(図1参照)は、一体型ケース/ステータセグメント32Aの取付フランジ63Aによって示されるように水線に沿って半部に分割される。従って、一体型ケース/ステータセグメント32Aをガスタービンエンジン10に設置するには、シャフト34(図1参照)と(図1に示すエンジン長手方向中心軸CLに沿って)同軸となるようにシャフト34を中心に一体型ケース/ステータセグメント32Aを径方向に配置する。次いで、一体型ケース/ステータセグメント32B(図1参照)も、一体型ケース/ステータセグメント32Aの反対側でシャフト34を中心に径方向に配置する。一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bは、周方向取付孔64に締結具を周方向に挿入することにより互いに固定され、一体型ケース/ステータアセンブリ31を成す。これは、シャフト34の一部を取り囲む。続いて、一体型ケース/ステータアセンブリ31は、HPTケース30または前方ストラット29(共に図1参照)などのガスタービンエンジン10の他の部分に取り付けられる。このような取付けは、軸方向取付孔66に締結具を軸方向に挿入することによりなされる。
【0021】
図2に示すLPT22の構成要素、配置および組立てにより、一体型ケース/ステータセグメント32を一体成形のCMC材料で構成することが可能となる。これにより、CMC材料の耐熱特性のために断熱材が不要となり、ケース部48に摩耗体68を直接取り付けることができる。さらに、ボックス構造部50によって、ベーンエアフォイル部46に加わる力がケース部48の広い範囲に分散され、ベーンエアフォイル部46が一次空気Ap(図1参照)によって破壊されることがない。ボックス構造部50は、径方向で比較的短くすることもでき、これにより、ケース部48と外側リング60との距離が最小になる。さらに、取付フランジ63Aによって、一体型ケース/ステータ32A,32Bを互いに周方向に取り付けることが可能となり、取付フランジ63Bによって、一体型ケース/ステータ32A,32Bをガスタービンエンジン10の他の構成要素(図1参照)に軸方向に取り付けることが可能になる。
【0022】
図2には、本発明の一実施例が示されており、代替的な実施例もある。例えば、一体型ケース/ステータセグメント32Aは、CMC材料以外の材料で形成されたインサートを含みうる。例えば、CMC材料は、一体型ケース/ステータセグメント32Aの特徴部の補強のためにニッケル合金製ブレースの周りに形成することができる。
【0023】
図3Aは、図2の3−3線に沿った一体型ケース/ステータセグメント32Aの前方断面図である。図3Aには、一体型ケース/ステータセグメント32A、ベーンエアフォイル部46、ケース部48、ボックス構造部50、第1の径方向支持体56、外側リング60、内側リング61、およびベーン62が示されている。上述したように、一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bは必ずしも同一ではないが、ここでは一体型ケース/ステータセグメント32Aは一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bを代表して示す。
【0024】
上述したように、ボックス構造部50は、ケース部48から径方向内向きに延在し、第1の径方向支持体56、第2の径方向支持体58(図2参照)、および外側リング60によって構成される。図示の実施例では、第1の径方向支持体56および第2の径方向支持体58は、ケース部48から離れるに従って周方向で幅が狭くなっている。従って、径方向支持体56,58は、実質的に台形である。さらに、対となった径方向支持体56,58は、ベーン62が外側リング60から延在する箇所の径方向外側に配置されている。
【0025】
外側リング60は、対となった径方向支持体56,58の間で周方向に延在する。これにより、外側リング60は、実質的に半球体を画成する。同様に、内側リング61も、ベーン62の間で周方向に延在し、実質的に半球体を画成する。 図3Aに示されている一体型ケース/ステータセグメント32Aの構成要素および配置により、LPT22(図2参照)を通って一次空気Ap(図1参照)がより滑らかに流れることが可能になる。これは、外側リング60と内側リング61とが、ボックス構造50やナイフエッジシール70(図2参照)などの複雑な特徴部から離れるように一次空気Apを導くためである。さらに、ガスタービンエンジン10(図1参照)が組み立てられると、一体型ケース/ステータセグメント32Aでは、エンジンの水線に2つの径方向シールのみが存在する。これにより、エンジン効率を低下させるおそれがある漏れが最小になる。
【0026】
図3Bは、一体型ケース/ステータセグメント32Aの他の実施例の図2の3−3線に沿った前方断面図である。図3Bには、一体型ケース/ステータセグメント32A、ベーンエアフォイル部46、ケース部48、ボックス構造部50、第1の径方向支持体56、外側リング60、および内側リング61が示されている。上述したように、一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bは必ずしも同一ではないが、ここでは一体型ケース/ステータセグメント32Aは一体型ケース/ステータセグメント32A,32Bを代表して示す。
【0027】
図示の実施例では、第1の径方向支持体56および第2の径方向支持体58(図2参照)は、径方向長さに沿って実質的に幅が同じなので、径方向支持体56,58は実質的に矩形である。さらに、径方向支持体56,58は、複数のベーン62の径方向外側に配置されている。
【0028】
図3Bに示されている一体型ケース/ステータセグメント32Aの他の実施例の構成要素および配置により、一体型ケース/ステータセグメント32Aをベーン62が互いに近接して配置された比較的小型のエンジンで使用することができる。
【0029】
本発明は、種々の利益や利点を提供することが認識されるであろう。例えば、一体型ケース/セグメント32AにCMC材料を使用することにより、機械加工などの伝統的な製造方法では製造が困難な複雑な特徴部の形成が可能になる。他の例として、一つには一体型ケース/ステータセグメント32Aの特徴部が締結具によって連結されるのではなく一体に設けられるため、一体型ケース/ステータセグメント32Aの一体構造によって重量が減少する。さらに、他の例として、漏れが最小になる。これは、一つには外側リング60と内側リング61とが、ガス流れがケース部48に到達するのを実質的に防止するためである。また、ベーンエアフォイル部46の径方向に分離した多数のセグメントがないことによる。
【0030】
例示的な実施例を参照して本発明を説明したが、当業者であれば分かるように、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更が可能であるとともに要素を同等物に置き換えることができる。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに、特定の状況や材料を本発明の教示に適合させるように多くの改良が可能である。よって、本発明は、開示した特定の実施例に限定されるものではなく、添付の請求の範囲内の全ての実施例を含むものである。
【符号の説明】
【0031】
10…ガスタービンエンジン
14…低圧圧縮機
16…高圧圧縮機
18…燃焼部
20…高圧タービン
22…低圧タービン
31…一体型ケース/ステータセグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と、
燃焼部と、
タービンと、を備え、前記タービンは、セラミック基複合材料で構成された第1の一体型ケース/ステータセグメントを有することを特徴とするガスタービンエンジン。
【請求項2】
第1の一体型ケース/ステータセグメントは、一体構造を有することを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項3】
第1の一体型ケース/ステータセグメントは、
ガスタービンエンジンの軸を中心として実質的に円筒形である第1のケース部と、
第1のケース部から径方向内向きに延在する第1のボックス構造部と、を有し、
第1のボックス構造部は、
径方向内向きに延在するとともに互いから軸方向に離間された第1の径方向支持体および第2の径方向支持体と、
第1および第2の径方向支持体の間に延在するとともに、第1のケース部から離間された外側リングと、を含み、
さらに、前記外側リングから径方向内向きに延在する第1のベーンエアフォイル部を有し、
第1のケース部、第1のボックス構造部、および第1のベーンエアフォイル部は、単一の一体型構成要素を成すことを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項4】
第1のベーンエアフォイル部は、
前記外側リングから径方向内向きに延在する第1のベーンおよび第2のベーンと、
第1および第2のベーンの間に延在するとともに、前記外側リングから径方向に離間された内側リングと、を有することを特徴とする請求項3記載のガスタービンエンジン。
【請求項5】
第1の一体型ケース/ステータセグメントは、セラミック基複合材料に加えて金属製補強材を含むことを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項6】
第1の一体型ケース/ステータセグメントは、エンジンケースに軸方向で固定されていることを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項7】
第1の一体型ケース/ステータセグメントは、半球体を画成することを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項8】
第2の一体型ケース/ステータセグメントをさらに備え、この第2の一体型ケース/ステータセグメントは、半球体を画成するとともに、一体型のケース/ステータアセンブリを成すように第1の一体型ケース/ステータセグメントに周方向で固定されていることを特徴とする請求項7記載のガスタービンエンジン。
【請求項9】
低圧シャフトに連結された複数のロータブレードと、
第1の一体型ケース/ステータセグメントに取り付けられるとともに、第1のケース部から径方向内向きに延在する摩耗材料と、をさらに備えることを特徴とする請求項1記載のガスタービンエンジン。
【請求項10】
ガスタービンエンジン用の一体型ケース/ステータセグメントであって、この一体型ケース/ステータセグメントは、
軸を中心に湾曲した円筒形の第1のケース部と、
第1のケース部から径方向内向きに延在する第1のボックス構造部と、を備え、
第1のボックス構造部は、
径方向内向きに延在するとともに、互いから軸方向に離間された第1の径方向支持体および第2の径方向支持体と、
第1および第2の径方向支持体の間に延在するとともに、第1のケース部から離間された外側リングと、を有し、
第1のボックス構造部の外側リングから径方向内向きに延在する第1のベーンエアフォイル部をさらに備え、第1のケース部、第1のボックス構造部、および第1のベーンエアフォイル部は、単一の一体型構成要素を成すことを特徴とする一体型ケース/ステータセグメント。
【請求項11】
第1のベーンエアフォイル部は、
前記外側リングから径方向内向きに延在する第1のベーンおよび第2のベーンと、
第1および第2のベーンの間に延在するとともに、前記外側リングから径方向に離間された内側リングと、を有することを特徴とする請求項10記載の一体型ケース/ステータセグメント。
【請求項12】
第1のケース部から径方向内向きに延在するとともに、第1のボックス構造体から軸方向に離間された第2のボックス構造体と、
第2のボックス構造体から径方向内向きに延在する第2のベーンエアフォイル部と、をさらに備えることを特徴とする請求項10記載の一体型ケース/ステータセグメント。
【請求項13】
一体型ケース/ステータセグメントは、セラミック基複合材料で構成されることを特徴とする請求項10記載の一体型ケース/ステータセグメント。
【請求項14】
一体型ケース/ステータセグメントは、セラミック基複合材料に加えて金属製補強材を含むことを特徴とする請求項13記載の一体型ケース/ステータセグメント。
【請求項15】
第1のケース部は、半球体を画成することを特徴とする請求項10記載の一体型ケース/ステータセグメント。
【請求項16】
一体型ケース/ステータセグメントに取り付けられるとともに、第1のケース部から径方向内向きに延在する摩耗材料をさらに備えることを特徴とする請求項10記載の一体型ケース/ステータセグメント。
【請求項17】
ガスタービンエンジン用の一体型ケース/ステータアセンブリであって、
セラミック基複合材料で構成された第1の一体型ケース/ステータセグメントと、
セラミック基複合材料で構成された第2の一体型ケース/ステータセグメントと、を備え、第2の一体型ケース/ステータセグメントが第1の一体型ケース/ステータセグメントに取り付けられていることを特徴とする一体型ケース/ステータアセンブリ。
【請求項18】
第1および第2の一体型ケース/ステータセグメントは、それぞれ実質的に半球体を画成することを特徴とする請求項17記載の一体型ケース/ステータアセンブリ。
【請求項19】
第1および第2の一体型ケース/ステータセグメントは、互いに周方向に取り付けられていることを特徴とする請求項17記載の一体型ケース/ステータアセンブリ。
【請求項20】
第1の一体型ケース/ステータセグメントは、
ガスタービンエンジンの軸を中心に湾曲した円筒形の第1のケース部と、
第1のケース部から径方向内向きに延在する第1のボックス構造部と、を備え、
第1のボックス構造部は、
径方向内向きに延在するとともに、互いから軸方向に離間された第1の径方向支持体および第2の径方向支持体と、
第1および第2の径方向支持体の間に延在するとともに、第1のケース部から離間された外側リングと、を有し、
前記外側リングから径方向内向きに延在する第1のベーンエアフォイル部をさらに備え、第1のケース部、第1のボックス構造部、および第1のベーンエアフォイル部が、単一の一体型構成要素を成すことを特徴とする請求項17記載の一体型ケース/ステータアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【公開番号】特開2013−11279(P2013−11279A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−146232(P2012−146232)
【出願日】平成24年6月29日(2012.6.29)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION
【Fターム(参考)】