説明

ガスタービンエンジン

【課題】歯車構成要素の位置関係のずれを緩和するようにエンジンのケース構造体を構成する。
【解決手段】エンジン10が、ケース構造体160、中間ケース構造体162、低圧圧縮機144、第1、第2、第3の軸受システム138−1,138−2,138−3、低圧圧縮機ハブ184を備える。軸受システム138−2は内側シャフト140を支持するようにケース構造体160に取り付けられ、軸受システム138−3は外側シャフト150を支持するように中間ケース構造体162に取り付けられる。低圧圧縮機ハブ184は、軸受システム138−2,3の間で低圧圧縮機144へと延びるように内側シャフト140に取り付けられる。歯車装置148が、軸継手174を介して軸受システム138−2に取り付けられる。軸受システム138−2,3の間に低圧圧縮機ハブ184を配置することにより、歯車装置148の変形が小さくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンエンジンに関し、特に、ガスタービンエンジンのケース構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
遊星または星形歯車列を有した遊星歯車箱が、ガスタービンエンジンの小型の設計や歯車の効率的な高減速能力のためにガスタービンエンジンで用いられ得る。遊星・星形歯車列は、一般に、3つの歯車列構成要素、つまり、中心の太陽歯車と、内周側に歯を有した外周側の輪歯車と、太陽歯車および輪歯車の双方と噛み合うように太陽歯車と輪歯車との間に配置された複数の遊星歯車とを備えている。上記歯車列構成要素は、共通の長手方向中心軸を共有しており、3つの歯車列構成要素のうち少なくとも2つの構成要素が、長手方向中心軸を中心に回転する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
飛行時には、軽量の構造的ケースが、空気力学的な荷重(aero load)および操作による荷重(maneuver load)により変形し、これらの荷重は、一般にエンジンのバックボーンベンディングとして知られている大きな変形(deflection)を生じさせることがある。この変形は、歯車列構成要素の位置関係のずれ(misalignment)を生じさせることがあり、この位置関係のずれにより、効率や潜在的な寿命が減少し得る。静止構成要素および回転構成要素の変形を管理するとともに、熱負荷を最小化することにより、良好なエンジン構成物を達成することが容易となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的な特徴に従うガスタービンエンジンが、軸に沿って配置された低圧圧縮機と、軸に沿って内側シャフトを少なくとも部分的に支持する第1の軸受システムと、軸に沿って外側シャフトを少なくとも部分的に支持する第2の軸受システムと、第1の軸受システムと第2の軸受支持部との間で低圧圧縮機へと延びるように内側シャフトに取り付けられた低圧圧縮機ハブとを備えている。
【0005】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、低圧圧縮機ハブは、第1の軸受システムと第2の軸受支持部との間に延びる円錐形ウェブを備える。
【0006】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、円錐形ウェブは、第1の軸受システムの周囲に少なくとも部分的に延びる。
【0007】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、低圧圧縮機は、第1の軸受システムの半径方向外周側に配置される。付加的にまたは代替的に、低圧圧縮機ハブは、低圧圧縮機に向かって傾斜している。
【0008】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、低圧圧縮機ハブは、低圧圧縮機の第2の段のディスクに取り付けられる。付加的にまたは代替的に、低圧圧縮機は3つの段を備える。
【0009】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、内側シャフトは、歯車装置を介してファンを駆動する。
【0010】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、第1の軸受システムは、前方側中央ボディケース構造体に取り付けられ、該前方側中央ボディケース構造体は、コア空気流用のコア流路を画定する。
【0011】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、第2の軸受システムは、中間ケース構造体に取り付けられ、該中間ケース構造体は、コア流路を連続させるように前方側中央ボディケース構造体に取り付けられる。
【0012】
本発明の他の例示的な特徴に従うガスタービンエンジンが、前方側中央ボディケース構造体と、該前方側中央ボディケース構造体によって少なくとも部分的に支持された歯車構造体と、内側シャフトを回転可能に支持するように前方側中央ボディケース構造体に取り付けられた第1の軸受システムと、内側シャフトおよび歯車構造体に取り付けられる、第1の軸受システムによって少なくとも部分的に支持された軸継手とを備えている。
【0013】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、内側シャフトは、歯車装置を介してファンを駆動する。
【0014】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、外側シャフトが、内側シャフトの少なくとも一部を取り囲むとともに高圧圧縮機を駆動する。
【0015】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、第2の軸受システムが、少なくとも部分的に外側シャフトを支持する。
【0016】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、低圧圧縮機ハブが、内側シャフトに取り付けられ、第1の軸受システムと第2の軸受支持部との間で低圧圧縮機へと延びる。
【0017】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、低圧圧縮機は、3つの段を備え、低圧圧縮機ハブは、低圧圧縮機の第2の段のディスクに取り付けられる。
【0018】
本発明の他の例示的な特徴に従うガスタービンエンジンが、コア流路を画定するようにエンジン軸に沿って配置された前方側中央ボディケース構造体と、コア流路に沿って配置された低圧圧縮機と、エンジン軸に沿って前方側中央ボディケース構造体の後方に取り付けられた中間ケース構造体と、エンジン軸を中心に回転する内側シャフトを少なくとも部分的に支持するように、前方側中央ボディケース構造体に取り付けられた第1の軸受システムと、エンジン軸を中心に回転する外側シャフトを少なくとも部分的に支持するように、中間ケース構造体に取り付けられた第2の軸受システムと、第1の軸受システムと第2の軸受支持部との間で低圧圧縮機へと延びるように内側シャフトに取り付けられた低圧圧縮機ハブとを備えている。
【0019】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、前方側中央ボディケース構造体が、ファンの下流側に配置される。
【0020】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、内側シャフトは、歯車装置を介してファンを駆動する。
【0021】
上記ガスタービンエンジンの実施例のいずれかのうち、これに限定されない他の実施例においては、歯車装置は、前方側中央ボディケース構造体によって少なくとも部分的に支持される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ガスタービンエンジンの前方部分を示した概略的な断面図である。
【図2】第1の円錐ころ軸受、第2の円錐ころ軸受およびベロースプリングを有した軸受コンパートメントの断面斜視図である。
【図3】図2のベロースプリングの拡大断面図である。
【図4】ガスタービンエンジンの概略的な断面図である。
【図5】前方側中央ボディケース構造体を示すガスタービンエンジンの部分の概略的な拡大断面図である。
【図6】本発明の構成体を有したガスタービンエンジンの概略的なブロック図である。
【図7】構成体を有した従来技術のガスタービンエンジンの概略的なブロック図である。
【図8】前方側中央ボディケース構造体内の荷重経路を示す、ガスタービンエンジンの図5の部分の概略的な拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1には、ガスタービンエンジン10のエンジン中心線CLの上方におけるガスタービンエンジン10の前方部分が示されている。ガスタービンエンジン10は、軸受コンパートメント12、第1の円錐ころ軸受14A、第2の円錐ころ軸受14B、ファンシャフト16、軸受システム18、ベロースプリング20、ファンハブ22、ナット23、ファンブレード24、ファンノーズ部26、エンジンシャフト28、ファン駆動歯車システム30、圧縮機セクション32、ガイドベーン34およびエンジンケース36を備えている。
【0024】
軸受コンパートメント12は、ファンシャフト16に隣接して配置されており、また、内部に第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bを備えている。ファンシャフト16は、エンジン中心軸CLと整列した軸を中心に回転し、第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14B上に支持されている。軸受コンパートメント12は、ファンシャフト16と、第1の円錐ころ軸受14Aと第2の円錐ころ軸受14Bとを互いに接続する軸受システム18とによって境界が形成されている。軸受システム18は、非回転フレーム、例えば、ガスタービンエンジン10のエンジンケースに接続されるように延びる。ベロースプリング20は、軸受コンパートメント12内において、第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bに隣接して配置されている。ベロースプリング20は、第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bの双方に予荷重を与える。ナット23は、ファンハブ22に隣接して配置されており、また、第1の円錐ころ軸受14Aの半径方向内周側レース部および第2の円錐ころ軸受14Bの内周側レース部にクランプ力を与える。
【0025】
ファンハブ22は、ファンシャフト16に接続されており、ファンシャフト16は、該ファンハブ22を介してファンブレード24を回転させる。また、ファンハブ22は、ファンノーズ部26にも接続されている。ファンシャフト16は、ファン駆動歯車システム30を介してエンジンシャフト28に接続されている。圧縮機セクション32は、エンジン中心線CLの半径方向外側に配置されるとともに、エンジンシャフト28に接続されている。ガイドベーン34は、エンジンケース36に対し回転可能となるように圧縮機セクション32の半径方向外周側に配置されている。
【0026】
ガスタービンエンジン10の動作原理は、本技術分野で周知であるため、非常に詳細には説明されない。図1に示したように、ガスタービンエンジン10は、高バイパス比の歯車駆動式ターボファンエンジンを備えている。他の実施例においては、ガスタービンエンジン10は、航空機推進や発電に用いられる他の形式のガスタービンエンジンを備えることができる。同様に、軸受コンパートメント12は、エンジン10の任意の軸受コンパートメントを備えることができる。
【0027】
ファンシャフト16および圧縮機セクション32は、エンジンシャフト28を介してタービンセクション(図示せず)に接続されている。入口空気Aがエンジン10へ流入し、ファンブレード24を通流した後に、一次空気APの流れと二次空気ASの流れとに分割される。ファンブレード24は、エンジンシャフト28を介してエンジン10のタービンセクション(図示せず)によって回転し、そして、出口ガイドベーン34を通して(バイパス空気としても知られている)二次空気ASを加速させ、これにより、エンジン10の推力(thrust output)の大部分を生じさせる。また、(ガス通路空気としても知られている)一次空気APは、圧縮機セクション32へと案内される。圧縮機セクション32は、一次空気APの圧力および温度を段階的に上昇させるように機能する。
【0028】
図2には、軸受コンパートメント12の断面斜視図が示されており、軸受コンパートメント12は、第1の円錐ころ軸受14A、第2の円錐ころ軸受14Bおよびベロースプリング20を備えている。さらに、軸受コンパートメント12は、シールプレート38、軸受スペーサ40、ギア(gear)42、二次スリーブ44およびスクイズフィルムダンパ(squeeze film damper)システム46を備えている。第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bは、内周側レース48A,48B、ローラ構成要素50A,50Bおよび外周側レース52A,52Bをそれぞれ備えている。また、図2には、軸受システム18の肩部54およびくさび(shim)56も示されている。
【0029】
軸受コンパートメント12内において、シールプレート38は、第1の円錐ころ軸受14Aの(ガスタービンエンジン10内の一次空気APの流れ方向によって画定される)前方部分に当接する。シールプレート38は、炭素シールシステムの一部を備えており、また、内周側レース48Aに隣接して配置されている。軸受スペーサ40は、第1の円錐ころ軸受14Aと第2の円錐ころ軸受14Bとの間に必要な空間を提供するように内周側レース48A,48Bの双方に当接する。ギア42は、第2の円錐ころ軸受14Bの内周側レース48Bと接触し、また、ファンシャフト16の肩部に接続される。図2に示した実施例においては、二次スリーブ44は、第1の円錐ころ軸受14Aの外周側レース52Aと軸受システム18との間に配置されている。第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bを、1つまたは複数の第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bと軸受システム18との間に配置されたスクイズフィルムダンパシステム46(シールのみを図示)によって支持することもできる。本明細書で開示したようなスクイズフィルムダンパシステムは、周知であり、また、限界速度を変更する、および/またはロータ軸受システムの動安定を向上させるように用いられる。
【0030】
特に、第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bは、内周側レース48A,48Bを備えており、内周側レース48A,48Bは、ファンシャフト16にクランプされるか、または固定されている。内周側レース48A,48Bは、半径方向外周側面(レース通路)を備えており、この半径方向外周側面は、ローラ構成要素50A,50Bとそれぞれ接触する。外周側レース52A,52Bは、ローラ構成要素50A,50Bとそれぞれ接触し、また、軸受システム18に取り付けられている。図2に示した実施例においては、第1の円錐ころ軸受14Aの外周側レース52Aは、半径方向および接線方向に拘束されているが、二次スリーブ44と、軸受システム18と、スクイズフィルムダンパシステム46の部分とに対し軸方向に移動することができる。これにより、ローラ構成要素50Aは、外周側レース52Aの内周側レース通路と接触したままとなる。第2の円錐ころ軸受14Bの外周側レース52Bは、軸受システム18に固定されている。第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bは、軸受システム18によって保持されており、軸受システム18は、エンジンケース36に荷重を作用させる。
【0031】
一実施例においては、ベロースプリング20の前方側端部が外周側レース52Aに締まりばめされており、ベロースプリング20の後方側端部が軸受システム18の肩部54に締まりばめされている。したがって、ベロースプリング20は、一般に、第1の円錐ころ軸受14Aと第2の円錐ころ軸受14Bとの間に位置決めされている。また、少なくとも1つのくさび56を、ベロースプリング20の後方側端部と肩部54との間に位置決めすることができる。くさび56は、ベロースプリング20、軸受システム18または他の構成要素の製造公差を制限することなく、スプリングの予荷重を望ましいレベルに正確に設定することを許容する。
【0032】
ナット23(図1)は、ファンシャフト16上において、第1の円錐ころ軸受14Aの内周側レース48A、軸受スペーサ40および第2の円錐ころ軸受14Bの内周側レース48Bを介してギア42に対しクランプ力を与える。ベロースプリング20は、第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bの双方に予荷重を与える。特に、ベロースプリング20は、外周側レース52Aに予荷重を与え、また、ベロースプリング20は、軸受システム18に予荷重を与え、軸受システム18は、この予荷重を第2の円錐ころ軸受14Bの外周側レース52Bに伝達する。
【0033】
図3には、ベロースプリング20の一実施例の拡大断面図が示されている。図3に示した実施例においては、ベロースプリング20は、単一の部品からなる波形環状リングとして形状づけられた弾性部材である。ベロースプリング20は、焼き入れしたステンレス鋼から構成されている。ベロースプリング20は、図示した波形状を生じさせるように旋削される。図3に示したように、ベロースプリング20は、エンジン中心線CLに沿って軸方向に延びる(図1)ときに可変の断面厚さを備えることができる。
【0034】
ベロースプリング20が軸受コンパートメント12内の構成要素の異なる公差にさらに適応することができるように、(軸受コンパートメント12の大きさおよび製造上の実用性によって制限される)ベロースプリング20の折り返し(回旋(convolute))の数を最大化すべきである。ベロースプリング20の外径(折り返しの数、断面厚さ等)および性能を最適化するために、ベロースプリング20にかかる応力をシュミレートするように解析ツール、例えば、商業的に利用可能な有限要素解析ソフトウェアを用いることができる。一実施例においては、ベロースプリング20の折り返しは、オメガ(omega)を修正した形状を備えており、つまり、ベロースプリング20の回旋部58の各々が、隣接した部分60の前方および後方に延びる(即ち、ベロースプリング20は、隣接した相互接続部60に対し前方または後方に曲がる部分58を備えている)。また、他の実施例においては、ベロースプリング20の製造を簡潔化するために、互いに平行な回旋部を用いることができる。
【0035】
第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bに予荷重を与えるようにベロースプリング20を用いることにより、軸受コンパートメント12の限られた空間において単一の構成要素を使用することができ、これにより、空間が節約され、製造コストが減少する。ベロースプリング20は、第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bに対しエンジン中心線CL(図1)に沿って軸方向に予荷重を与えるとともに、スクイズフィルムダンパシステム46(図2)の心出しスプリング(centering spring)(つまり、エンジン中心線CLに対し半径方向の剛性を備えたスプリング)として機能するように適応される。ベロースプリング20が第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bの面上で過度に摩耗しないように、ベロースプリング20は、第1の円錐ころ軸受14Aおよび第2の円錐ころ軸受14Bによって半径方向の曲げを吸収する。
【0036】
図4には、他の例示的なガスタービンエンジン120が概略的に示されている。ここで、ガスタービンエンジン120は、一般に、ファンセクション122、圧縮機セクション124、燃焼器セクション126およびタービンセクション128を組み込んでなる2−スプールターボファンとして開示されている。代替的なエンジンが、他のシステムや特徴部の間にオグメンタセクション(augmentor section)(図示せず)を備え得る。ファンセクション122は、バイパス通路に沿って空気を移動させ、圧縮機セクション124は、圧縮のためにコア流路に沿って空気を移動させてから、この空気を燃焼器セクション126へと通流させ、そして、この空気は、タービンセクション128を通して膨張する。これに限定されない開示した実施例においてターボファンガスタービンエンジンとして図示したが、他の形式のタービンエンジン、例えば、低圧圧縮機(LPC)と高圧圧縮機(HPC)との間に配置された中間圧圧縮機(IPC)と、高圧タービン(HPT)と低圧タービン(LPT)との間に配置された中間圧タービン(IPT)とを中間スプールが有してなる3−スプール(ファンを加えた)エンジンに教示が適用され得るので、本明細書で説明した概念はターボファンと共に用いることに限定されないことを理解されたい。
【0037】
エンジン120は、一般に、低スプール130および高スプール132を備えており、低スプール130および高スプール132は、エンジン静止構造体136に対しエンジンの中心長手方向軸Aを中心に回転するように種々の軸受支持部138によって取り付けられている。低スプール130は、一般に、ファン142、低圧圧縮機144および低圧タービン146を相互接続する内側シャフト140を備えている。低スプール130よりも低速でファン142を駆動するために、内側シャフト140は、歯車装置148を介してファン142を駆動する。例示的な減速装置は、遊星変速装置、つまり、遊星または星形歯車システムである。
【0038】
高スプール132は、高圧圧縮機152と高圧タービン154とを相互接続する外側シャフト150を備えている。燃焼器156が、高圧圧縮機152と高圧タービン154との間に配置されている。内側シャフト140および外側シャフト150は同心であり、これらのシャフトの長手方向軸と同一直線上にあるエンジンの中心長手方向軸Aを中心に回転する。
【0039】
コア空気流が、低圧圧縮機144によって加圧されてから高圧圧縮機152によってさらに加圧され、燃焼器156において燃料と混合されてから燃焼され、そして、燃焼ガスが、高圧タービン154および低圧タービン146にわたって膨張する。タービン154,146は、膨張に応答して低スプール130および高スプール132の各々を回転させる。
【0040】
主エンジンシャフト140,150は、軸受支持部138によって、静止構造体136内において複数の箇所で支持されている。これに限定されない一実施例においては、軸受支持部138は、圧縮機セクション124の半径方向内周側に配置された第2の軸受システム138−2を備えている。
【0041】
図5を参照すると、圧縮機セクション124の近くのエンジン静止構造体136は、一般に、前方側中央ボディケース構造体160と、該前方側中央ボディケース構造体160の後方部分を取り付ける中央ケース構造体162とを備えている。代替的または付加的に種々のケース構造体を設けることができ、これらのケース構造体は、本明細書で説明された構造体から依然として恩恵を受けることを理解されたい。
【0042】
前方側中央ボディケース構造体160は、一般に、低圧圧縮機144へとコア空気流を通流させるための環状コア流路164Aを画定する。中央ケース構造体162は、コア空気流をコア流路164Aからコア流路164Cの高圧圧縮機152へと連続的に通流させるコア流路164Bを画定する。コア流路164Bは、一般に、半径方向のより小さな直径からなるコア流路164Cへと移行するように、コア流路164Aの半径方向内周側に延びる。つまり、コア流路164Bは、「細くくびれたウエスト(wasp waist)」型ガスタービンエンジン構造体を画定する。
【0043】
第2の軸受システム138−2は、前方側中央ボディケース構造体160に対し内側シャフト140を少なくとも部分的に支持する。また、第3の軸受システム138−3は、一般に、中央ケース構造体162に対し外側シャフト150を支持する。つまり、第2の軸受システム138−2は、低スプール130を少なくとも部分的に支持し、第3の軸受システム138−3は、一般に、高スプール132を支持する。種々の軸受システム、例えば、スラスト軸受および取付配置が、本明細書で説明された軸受システムから恩恵を受けることを理解されたい。
【0044】
可撓性支持部168が、前方側中央ボディケース構造体160内の歯車装置148の可撓性取付部を提供する。可撓性支持部168は、歯車装置148からのねじり荷重に作用するとともに、振動の吸収や他の支持機能を容易にする。心出しスプリング170は、フランジ端部構成体の間に延びる複数のビームを有してなる概ね円筒形のかご型構造的構成要素であり、低スプール130に対し第2の軸受システム138−2を弾性的に位置決めする。一実施例においては、ビームは、二重傾斜ビーム(double−tapered beams)であり、この二重傾斜ビームは、軸受にかかる荷重、軸受の寿命、ロータの力学およびロータの変形についての検討事項を含むがこれらに限定されない複数の検討事項に基づいて選択され得る半径方向のばね率(spring rate)を制御するように周方向に整列される。
【0045】
歯車装置148の歯車箱172が、これに限定されない開示した実施例の低スプール130によって、軸継手174を介して駆動される。軸継手174は、軸受システムから歯車箱172へトルクを伝達する。第2の軸受システム138−2は、歯車箱172からの振動や他の過渡現象(transients)の分離を容易にする。これに限定されない開示した実施例の軸継手174は、前方側軸継手部176および後方側軸継手部178を備えている。前方側軸継手部176は、歯車箱172と噛み合う接続スプライン(interface spline)180を備えている。後方側軸継手部178の接続スプライン182が、これに限定されない実施例において、低圧圧縮機144の低圧圧縮機ハブ184を介して軸継手174を低スプール130に接続する。
【0046】
ファン142の後方に位置したファンロータ軸受システム構造体186が、前方側中央ボディケース構造体160から半径方向内周側に延びる。ファンロータ軸受システム構造体186および前方側中央ボディケース構造体160は、軸受コンパートメントBを画定する。オイルを内包し、また、ファン142を駆動するように歯車装置148に接続される出力シャフト200の回転を補助するために、種々の軸受支持部138−1および(図5に概略的に示した)シール188がファンロータ軸受システム構造体186によって支持され得ることを理解されたい。
【0047】
低圧圧縮機144の低圧圧縮機ハブ184が、管状ハブ190および円錐形ウェブ(frustro−conical web)192を備えている。管状ハブ190は、例えば、スプライン接続を介して内側シャフト140に取り付けられている。管状ハブ190は、第2の軸受システム138−2に隣接して配置されている。円錐形ウェブ192は、(図6にも示したように)第2の軸受システム138−2と第3の軸受システム138−3との間に軸方向に延びた管状ハブ190から前方向に延びる。つまり、円錐形ウェブ192は、第2の軸受システム138−2と第3の軸受システム138−3との間に軸方向に配置される。
【0048】
円錐形ウェブ192は、低圧圧縮機144の低圧圧縮機ロータ194に取り付けられる。これに限定されない開示した実施例においては、円錐形ウェブ192は、第2の軸受システム138−2と第3の軸受システム138−3との間に延びており、また、三段低圧圧縮機ロータ194の第2の段に取り付けられている。他のエンジン構成物の他の段に円錐形ウェブ192を取り付けることができ、上記エンジン構成物は、異なる数の段を備えることができることを理解されたい。
【0049】
第2の軸受システム138−2と第3の軸受システム138−3との間に低圧圧縮機ハブ184を配置することにより、図7つまり従来技術に示した例のような従来技術の構造体と比較して、歯車装置148の変形を減少させるのに大きな利点がもたらされる。つまり、軸継手174の両端部は、これらの両端部の間の相対的な変形が大いに減少するように前方側中央ボディケース構造体160に連結されている。これにより、基本的なトルク、運航支援事業者(FBO)によるトルクおよび操作による変形のより効率的な均衡を得ること、および歯車装置148へと伝達される荷重全体を最小化することが容易となる。
【0050】
さらに、製造公差の増加を促進する、比較的複雑でない軸受コンパートメントBが、例えば、潜在的なオイル漏れの原因を最小化し、かつ重量を削減するシールをより少なくするように画定される。
【0051】
この構造体は、歯車装置の荷重経路(図8のL)を効率的なものとすることや、発熱およびオイル流れの全てを全体的に減少させることをさらに補助する。つまり、より小型の荷重経路Lが、前方側中央ボディケース構造体160のみによって画定される。二次的な恩恵としては、オイルタンクの大きさを減少させること、冷却器の大きさを減少させること、およびエンジンの潤滑システムにおけるオイルの量を減少させることが挙げられる。
【0052】
種々の図の全てについて、同様の符号が対応する構成要素または同様の構成要素を示すことを理解されたい。また、特定の構成要素配置が、図示した実施例に開示されているが、他の配置も、上記特定の構成要素配置から恩恵を受けることを理解されたい。
【0053】
特定のステップの順序が示され、説明され、特許請求されているが、特に指示がない限り、ステップは、任意の順序で実施され、分離され、または組み合わされるものであり、本発明から恩恵を受けたままであることを理解されたい。
【0054】
異なる例が、図示した特定の構成要素を備えているが、本発明の実施例は、これらの特定な組み合わせに限定されない。1つの例のいくつかの構成要素や特徴部を他の例の構成要素や特徴部と組み合わせて用いることが可能である。
【0055】
上記の説明は例示的なものであって、限定的なものではない。これらに限定されない種々の実施例について説明してきたが、当業者であれば、本発明の範囲を逸脱することなく、種々の変更がなされ得ることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸に沿って配置された低圧圧縮機と、
前記軸に沿って内側シャフトを少なくとも部分的に支持する第1の軸受システムと、
前記軸に沿って外側シャフトを少なくとも部分的に支持する第2の軸受システムと、
前記第1の軸受システムと前記第2の軸受システムとの間で前記低圧圧縮機へと延びるように前記内側シャフトに取り付けられた低圧圧縮機ハブと、
を備えたガスタービンエンジン。
【請求項2】
前記低圧圧縮機ハブは、前記第1の軸受システムと前記第2の軸受システムとの間に延びる円錐形ウェブを備えることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項3】
前記円錐形ウェブは、前記第1の軸受システムの周囲に少なくとも部分的に延びることを特徴とする請求項2に記載のガスタービンエンジン。
【請求項4】
前記低圧圧縮機は、前記第1の軸受システムの半径方向外周側に配置されることを特徴とする請求項3に記載のガスタービンエンジン。
【請求項5】
前記低圧圧縮機ハブは、前記低圧圧縮機に向かって傾斜していることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項6】
前記低圧圧縮機ハブは、前記低圧圧縮機の第2の段のディスクに取り付けられることを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項7】
前記低圧圧縮機は、3つの段を備えることを特徴とする請求項6に記載のガスタービンエンジン。
【請求項8】
前記内側シャフトは、歯車装置を介してファンを駆動することを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項9】
前記第1の軸受システムは、前方側中央ボディケース構造体に取り付けられ、該前方側中央ボディケース構造体は、コア空気流用のコア流路を画定することを特徴とする請求項1に記載のガスタービンエンジン。
【請求項10】
前記第2の軸受システムは、中間ケース構造体に取り付けられ、該中間ケース構造体は、前記コア流路を連続させるように前記前方側中央ボディケース構造体に取り付けられることを特徴とする請求項9に記載のガスタービンエンジン。
【請求項11】
前方側中央ボディケース構造体と、
前記前方側中央ボディケース構造体によって少なくとも部分的に支持された歯車装置と、
内側シャフトを回転可能に支持するように前記前方側中央ボディケース構造体に取り付けられた第1の軸受システムと、
前記内側シャフトおよび前記歯車装置に取り付けられる、前記第1の軸受システムによって少なくとも部分的に支持された軸継手と、
を備えたガスタービンエンジン。
【請求項12】
前記内側シャフトは、前記歯車装置を介してファンを駆動することを特徴とする請求項11に記載のガスタービンエンジン。
【請求項13】
前記内側シャフトの少なくとも一部を取り囲む外側シャフトをさらに備え、該外側シャフトは、高圧圧縮機を駆動することを特徴とする請求項11に記載のガスタービンエンジン。
【請求項14】
前記外側シャフトを少なくとも部分的に支持する第2の軸受システムをさらに備えることを特徴とする請求項13に記載のガスタービンエンジン。
【請求項15】
前記内側シャフトに取り付けられた低圧圧縮機ハブをさらに備え、該低圧圧縮機ハブは、前記第1の軸受システムと前記第2の軸受システムとの間で低圧圧縮機へと延びることを特徴とする請求項14に記載のガスタービンエンジン。
【請求項16】
前記低圧圧縮機は、3つの段を備え、前記低圧圧縮機ハブは、前記低圧圧縮機の第2の段のディスクに取り付けられることを特徴とする請求項15に記載のガスタービンエンジン。
【請求項17】
コア流路を画定するようにエンジン軸に沿って配置された前方側中央ボディケース構造体と、
前記コア流路に沿って配置された低圧圧縮機と、
前記エンジン軸に沿って前記前方側中央ボディケース構造体の後方に取り付けられた中間ケース構造体と、
前記エンジン軸を中心に回転する内側シャフトを少なくとも部分的に支持するように、前記前方側中央ボディケース構造体に取り付けられた第1の軸受システムと、
前記エンジン軸を中心に回転する外側シャフトを少なくとも部分的に支持するように、前記中間ケース構造体に取り付けられた第2の軸受システムと、
前記第1の軸受システムと前記第2の軸受システムとの間で前記低圧圧縮機へと延びるように前記内側シャフトに取り付けられた低圧圧縮機ハブと、
を備えたガスタービンエンジン。
【請求項18】
前記前方側中央ボディケース構造体は、ファンの下流側に配置されることを特徴とする請求項17に記載のガスタービンエンジン。
【請求項19】
前記内側シャフトは、歯車装置を介して前記ファンを駆動することを特徴とする請求項18に記載のガスタービンエンジン。
【請求項20】
前記歯車装置は、前記前方側中央ボディケース構造体によって少なくとも部分的に支持されることを特徴とする請求項19に記載のガスタービンエンジン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−108500(P2013−108500A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−255781(P2012−255781)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【出願人】(590005449)ユナイテッド テクノロジーズ コーポレイション (581)
【氏名又は名称原語表記】UNITED TECHNOLOGIES CORPORATION