説明

ガスタービン吸気用フィルタ

【課題】フィルタ取り扱い時にフィルタパックを破損することなくフィルタ性能として実用上問題のないガスタービン吸気用フィルタを提供する。
【解決手段】本発明のガスタービン吸気用フィルタ10は、濾材11をジグザグ状に折り畳み、折り畳まれた濾材11同士の間にセパレータ12を挿入してフィルタパック13を形成し、シール剤を介してフィルタパック13をフィルタ枠14に収容したフィルタ本体15を構成し、このフィルタ本体15の少なくとも下流側に下流側メディアガード18を設けてなるガスタービン吸気用フィルタであって、下流側メディアガード18の目開きが3.5mm未満でかつ開口率が50%以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン等の発電機の吸気側に用い、メディアガードを備えるガスタービン吸気用フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
フィルタに設けられるメディアガードは、本来、作業者が取り扱い中フィルタパックに触れて破損したり、フィルタの設置までにぶつけること等により外的衝撃を与えて破損したりすることを防止する保護材として用いられている。
例えば、特許文献1には、エアフィルタのメディアガードとして、厚さ0.5mm以上、開口率30〜80%の樹脂製・金属製のラス網等が開示され、その一例として、厚さ1mm、開口率35%のアルミニウム製のラス網が示されている。
また、特許文献2には、亜鉛引鉄板製メディアガードをガスタービン用エアフィルタに用いたものが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−62234号公報
【特許文献2】特開2001−179028号公報
【特許文献3】特許2891732号公報
【特許文献4】特公平3−34967号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には次のような問題点があった。
すなわち、保護材であるラス網の開口が大きいため、フィルタの取り扱い時、例えば、フィルタを運んでいる際に、その開口から指の肉や先の尖った工具(例えば、ドライバー等)が入り込み、フィルタパックの濾材折山の頂部を潰してフィルタパックを破損してしまう可能性があるという問題があった。
また、タービンプラントにおいては、発電機のプロペラを汚す原因として、大気塵埃、錆以外に、フィルタを構成する濾材のガラス繊維も知られている。これは、吸気時の猛烈なサクションにより、濾材が無理矢理はぎ取られることにより発塵するものである。
濾材からのガラス繊維の発塵を防止する方法としては、特許文献3のように、濾材の下流側に微細メッシュシートを横断するように設けたり、あるいは、特許文献4のように、濾材の下流側に多孔質膜からなる微細粒子阻止体を重畳したりすることが知られている。ところが、吸気時の猛烈なサクションにより、微細メッシュシートや多孔質膜は引き剥がされてしまうため、繊維飛散の防止としての機能を発揮することができないという問題があった。
さらに、例えば、タービンプラントが臨海地に設置されて、塩害粒子により金属の腐食が発生する場合や、酸性雨が微粒子化した腐食性ガスを含む空気を吸気する場合等において、例えば、8000時間フィルタを使用し続けると、半導体クリーンルーム等で使用される際には考えられなかった程、フィルタ枠及びメディアガードが錆びつき、赤錆が発生してしまうという問題があった。そして、この赤錆は、そのまま放置すると発塵してタービンプラントの発電機のプロペラを汚し、その結果、発電効率が低下してしまうという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、フィルタ取り扱い時にフィルタパックを破損することなくフィルタ性能として実用上問題のないガスタービン吸気用フィルタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決すべく、本発明者らは鋭意検討の結果、以下の構成を見出した。即ち、本発明のガスタービン吸気用フィルタは、請求項1の記載の通り、濾材をジグザグ状に折り畳み、折り畳まれた前記濾材同士の間を間隔部材でセパレートしてフィルタパックを形成し、シール剤を介して前記フィルタパックをフィルタ枠に収容してフィルタを構成し、前記フィルタの下流側にメディアガードを設けてなるガスタービン吸気用フィルタにおいて、
前記メディアガードの目開きが3.5mm未満でかつ開口率が50%以上であることを特徴とする。
また、請求項2に記載のガスタービン吸気用フィルタは、請求項1に記載のガスタービン吸気用フィルタにおいて、前記メディアガードの目開きが3mm未満以下でかつ開口率が70%以下であることを特徴とする。
また、請求項3に記載のガスタービン吸気用フィルタは、請求項1又は2に記載のガスタービン吸気用フィルタにおいて、前記メディアガード及び前記フィルタ枠がステンレス製で、前記セパレータが合成樹脂フィルムラミネート製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に記載のガスタービン吸気用フィルタによれば、メディアガードの目開きを3.5mm未満としたため、フィルタ取り扱い時に指でフィルタパックを押さえつけることによりフィルタパックが破損することがない。また、使用時の風圧(特に、ガスタービンの立ち上げ時や最大負荷運転時における風圧)により、フィルタパックの一部が引きちぎられたとしても、メディアガードに捕獲されるので、下流側へ飛び出して、発電機のプロペラを汚すことはない。
また、メディアガードの開口率が50%以上であるため、フィルタの初期圧力損失の上昇に寄与することはなく、実用上何らの支障はない。
また、本発明の請求項2のガスタービン吸気用フィルタによれば、メディアガードの目開きが3mm未満と更に小さいが、その開口率が70%以下であるため、しかもドライバー等の先の尖った工具が開口をすり抜け難いため、誤ってフィルタパックを破損してしまうという問題が生じない。また、濾材からガラス繊維が飛散したとしてもメディアガードに捕獲されて下流側へ飛散するのを効果的に防止することができる。このように、濾材のガラス繊維飛散が生じないので、ガラス繊維の発塵による発電機のプロペラ汚れを効果的に防止することができ、発電効率が低下するという問題を解決することができる。
また、本発明の請求項3に記載のガスタービン吸気用フィルタによれば、メディアガード、フィルタ枠及びセパレータが耐食性材料から構成されているので、腐食性ガスによる錆等に耐性を有することができる。これにより、フィルタの各材料から錆が発生しないので、錆の発塵による発電機のプロペラ汚れを効果的に防止することができ、発電効率が低下するという問題を解決することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明のガスタービン吸気用フィルタの好適な実施の形態を添付図面を参照しつつ詳細に説明する。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタの構成を説明する。図1は、本発明の第1実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタの斜視図であり、図2は、図1に示すガスタービン吸気用フィルタの分解斜視図である。
本発明の第1実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタ10は、図1及び図2に示すように、フィルタ枠14内にフィルタパック13を装着した中性能・高性能複合フィルタ本体15(例えば、型式ADV、「アドバンスター」(登録商標)、以下、単に「フィルタ本体15」と略す場合もある)と、上流側フィルタガイド枠16と、上流側メディアガード17と、下流側メディアガード18と、下流側フィルタガイド枠19とから構成されている。なお、図1では、ガスタービン吸気用フィルタ10の使用時の空気の流れを矢印により示している。
フィルタパック13は、低効率濾材と高効率濾材を密接して積層したガラス繊維ペーパー製の濾材11をジグザグ状に折り畳み、その濾材11の間にセパレータ12を挿入したものである。また、このセパレータ12は、その表面にポリエチレンをラミネートしたアルミニウム箔製のセパレータである。
フィルタ枠14は、厚さ0.5mm・ステンレスSUS304製の4枚のフィルタ枠板から構成される中空のフィルタ枠であり、その上流側及び下流側にそれぞれ折返部14a、14bを有する。これら4枚のフィルタ枠板は、図1及び図2に一部示すような径3.2mmφのステンレス製ポップリベット14cにより、1辺につき2箇所で固定される。
上流側メディアガード17は、径1mmφ・10mmピッチのステンレスSUS304製の格子状網からなり、その目開きは9mm、目開き面積は81mm2、開口率は81%である。
下流側メディアガード18は、径0.47mmφ・2mmピッチのステンレスSUS304製の平織状網からなり、その目開きは1.5mm、目開き面積は2.3mm2、開口率は60%である。このように、本実施形態のガスタービン吸気用フィルタ10は、フィルタ本体15の下流側に目開きが3.5mm未満でかつ開口率が50%以上の下流側メディアガード18を設けているので、ガスタービン吸気用フィルタ10の取り扱い時に指でフィルタパック13を押さえつけることによりフィルタパック13が破損することがなく、ガスタービン吸気用フィルタ10の初期圧力損失の上昇に寄与することもない。また、使用時の風圧(特に、ガスタービンの立ち上げ時や最大負荷運転時における風圧)により、フィルタパック13の一部が引きちぎられたとしても、下流側メディアガード18に捕獲されるので、下流側へ飛散して、発電機のプロペラを汚すことはない。
ここで、このような下流側メディアガード18の目開きは3.5mm未満であるのが好ましく、3.0mm未満であるのがより好ましい。また、その開口率は50%以上であるのが好ましく、50%以上70%以下であるのがより好ましい。本発明では、メディアガード(本実施形態では、下流側メディアガード18)の目開き、開口率をこのような範囲にすることにより、ドライバー等の先の尖った工具や指がメディアガードの開口部分をすり抜け難いため、誤ってフィルタパック13を破損してしまうという問題が生じない。
【0009】
次に、本実施形態のガスタービン吸気用フィルタ10の組立方法を説明する。
まず、組立時に上流側メディアガード17が上流側フィルタガイド枠16の内側になるように、上流側フィルタガイド枠16の折返部16aの内側に、上流側メディアガード17の対応部分を溶接して固定する。同様に、組立時に下流側メディアガード18が下流側フィルタガイド枠19の内側になるように、下流側フィルタガイド枠19の折返部19aの内側に、下流側メディアガード18の対応部分を溶接して固定する。
次に、フィルタ本体15(フィルタ枠14)の上流側の折返部14aに沿って、上流側メディアガード17付きの上流側フィルタガイド枠16をはめ込み、フィルタ本体15と上流側フィルタガイド枠16とを係合して固定する。同様に、フィルタ本体15(フィルタ枠14)の下流側の折返部14bに沿って、下流側メディアガード18付きの下流側フィルタガイド枠19をはめ込み、フィルタ本体15と下流側フィルタガイド枠19とを係合して固定する。
次に、上流側フィルタガイド枠16の折返部16aとフィルタ枠14の折返部14aとを係合して固定した後、例えば、BOLLHOFF社製のシングルクリンチ方式である型式SPOT CLINCH 0302AS(「SPOT CLINCH」は登録商標、以下同様。なお、使用空気圧6kg/cm2、加圧力3ton)を用いて、上流側フィルタガイド枠16の折返部(フランジ部)16aの上流側からのパンチによる加圧により孔径が縦4×横3mmのかしめ(圧着部)16bを折返部16aの一辺に5箇所それぞれ形成する。また、下流側フィルタガイド枠19についても同様に、縦4×横3mmのかしめ(圧着部)を折返部19aの一辺に5箇所それぞれ形成する。
このようにして、本発明の第1実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタ10が組み立てられる。
【0010】
なお、本実施形態では、シングルクリンチ方式によりかしめを形成したが、その代わりに、BOLLHOFF社のダブルクリンチ方式である型式SPOT CLINCH 0607AD(使用空気圧6kg/cm2、パンチかしめ圧力(4.6kg/cm2空気圧時)2.4〜3.5ton)を用いて、例えば、図示しないトグロックかしめを形成するようにしてもよく、あるいは、ランスかしめを用いてもよい。
また、本実施形態では、かしめの形状を縦4×横3mmの長方形のかしめとしたが、しめ丸形のかしめとしてもよい。
また、本実施形態では、濾材同士をセパレータにより間隔保持したが、その変わりに、樹脂をリボン状に形成して間隔保持したり、あるいは、くし歯状のスタピライザーで間隔保持したりしてもよい。
【0011】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタの構成を説明する。図3は、本発明の第2実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタの斜視図であり、図4は、図3に示すガスタービン吸気用フィルタの分解斜視図である。なお、本第2実施形態では、前述の第1実施形態との相違点を中心に説明することとし、同一の構成要素には同一の符号を付すとともに、その説明を省略する。
本発明の第2実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタ20は、図3及び図4に示すように、フィルタ枠23内にフィルタパック13を装着した中性能・高性能複合フィルタ本体24(例えば、型式ADV、「アドバンスター」(登録商標)、以下、単に「フィルタ本体24」と略す場合もある)と、上流側メディアガード17と、上流側メディアガード17をフィルタ枠23の上流側に固定するための複数のタッカー25と、下流側メディアガード18と、下流側メディアガード18をフィルタ枠23の下流側に固定するための複数のタッカー25とから構成される。
フィルタ枠23は、図4に示すように、その上下に配置された2枚のフィルタ枠板21と、その側面に配置された2枚のフィルタ枠側板22とから構成され、フィルタ枠板21及びフィルタ枠側板22は、厚さ15mm・ベニヤ合板製のものである。また、フィルタ枠板21は、その長手方向の両端部付近にそれぞれ等間隔で複数(本実施形態では、3つ)の孔(スクリュー用孔)21bが設けられている。この孔21bを介してスクリュー30により、フィルタ枠板21とフィルタ枠側板22とは強固に固定される。なお、本実施形態では、スクリュー30として、孔径3mm、長さ4mmのステンレスSUS304製のものを用いている。
また、フィルタ枠板21には、長手方向の両端部付近であって、フィルタ枠側板22と当接する部分にそれぞれ縦せき21aが設けられるとともに、短手方向の両端部付近に縦せき21aと垂直に横せき(図示せず)が設けられる。また、フィルタ枠側板22には、フィルタ枠板21の縦せき21aと嵌合するように、短辺側の各側面にそれぞれ嵌合溝22aが設けられる。
タッカー25は、本実施形態では、縦20×横10mmのステンレスSUS304製のものであり、例えば、上流側及び下流側の各面に等間隔で20個設置して、上流側メディアガード17及び下流側メディアガード18をフィルタパック13のフィルタ枠23に固定するものである。
このように、本実施形態のガスタービン吸気用フィルタ20は、フィルタ枠23がステンレスSUS304製ではなく、ベニヤ合板製のものである点、上流側フィルタガイド枠16及び下流側フィルタガイド枠19を用いてかしめにより上流側メディアガード17及び下流側メディアガード18を固定するのではなく、タッカー25を用いてフィルタ枠23に直接上流側メディアガード17及び下流側メディアガード18を固定する点において、上述の第1実施形態のガスタービン吸気用フィルタ10とは異なる。
【0012】
次に、本実施形態のガスタービン吸気用フィルタ20の組立方法を説明する。
まず、フィルタ本体24の組立方法を説明する。
フィルタ枠側板22の嵌合溝22aにフィルタ枠板21の縦せき21aを嵌合して、その中空部にフィルタパック13を装着し、フィルタ枠側板22とフィルタ枠板21とを仮留めして、中性能・高性能複合フィルタ本体24を仮組する。
次に、フィルタ枠側板22と、上部のフィルタ枠板21と、フィルタ枠側板22と、フィルタパック13とからなる三方枠体を、下部のフィルタ枠板21との仮留めを外して、後方に傾斜させ、それにより生じた隙間から、下部のフィルタ枠板21の縦せき21aと横せき(図示せず)の端部との間にシール剤でシール剤せき(図示せず)を設ける。
次に、縦せき21a、横せき、シール剤せきで囲まれたせき内に、上記隙間からシール剤を流し込む。
次に、三方枠体を前方に戻してフィルタ枠側板22、22と下部のフィルタ枠板21とをシール固定する。反転して同様にフィルタ枠側板22、22と上部のフィルタ枠板21とをシール固定する。
次に、上部のフィルタ枠板21とフィルタ枠側板22の接合部のスクリユー用孔21bにスクリュー30を挿通して、上部のフィルタ枠板21とフィルタ枠側板22とを強固に固定する。以下同様に、下部のフィルタ枠板21とフィルタ枠側板22とをスクリュー30を通して強固に固定する(下部については図示せず)。
このようにして、フィルタ本体24が組み立てられる。
次に、このフィルタ本体24のフィルタ枠23の下流側に下流側メディアガード18をタッカー25により固定する。同様に、フィルタ本体24のフィルタ枠23の上流側に上流側メディアガード17をタッカー25により固定する。
このようにして、本発明の第2実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタ20が組み立てられる。
【0013】
なお、上記第1及び第2実施形態では、フィルタパック13の濾材として中性能・高性能複合フィルタを用いた場合を示したが、フィルタパック13には中性能フィルタか高性能フィルタを単体で用いてもよい。
また、上記第1及び第2実施形態では、下流側メディアガード18として平織状ステンレス金網を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、JIS G3555に規定される織金網として平織金網、綾織金網、平畳織金網、綾畳織金網でもよく、JISG3551に規定される溶接金網及び鉄筋格子でもよく、JIS G3553に規定されるクリンプ金網でもよく、さらに、JIS G3351に規定されるエキスパンドメタル(ラス網)でもよい。
【実施例】
【0014】
次に、本発明のガスタービン吸気用フィルタについて、以下に示すような具体的な実施例1〜5、比較例1及び2に基づいて、下流側のメディアガードの目開き、目開き面積、開口率及び(線径)×(メッシュ数)を適宜変更した各メディアガードに対する圧損、指ささりについて比較及び評価した。
まず、表1に示すような目開き、目開き面積、開口率及び(線径)×(メッシュ数)を有する実施例1〜5並びに比較例1及び2に係るガスタービン吸気用フィルタのメディアガードを準備した。
【0015】
【表1】

【0016】
次に、以下のようにして、各実施例、比較例におけるメディアガードの圧力損失と指ささりについて評価した。
<圧力損失>
実施例及び比較例では、フィルタ本体を変更せず、メディアガードのみを変更するものとしたので、各実施例、比較例に係るメディアガードを用いて、通風時のメディアガードにおける圧力損失を計測した。
各実施例、比較例において、対応するメディアガードを試験ダクトにセットする。ここで、実使用時には、風量60m3/分の空気を流すと仮定すると、そのときの面風速が3.0m/sとなる。そのため、この面風速3.0m/sで試験ダクトにセットされたメディアガードに通風する。
そして、上下流の差圧をマノメータで読み取り、この値を圧力損失(圧損)とする。圧力損失の評価としては、圧力損失が5Pa以下のものを◎、5〜15Paのものを○、15Pa以上のものを×として評価した。
<指ささり>
次に、メディアガードに対する指ささりを評価する。ここで、「指ささり」とは、本発明では、フィルタをチャンバーに取り付ける場合等に、指又は工具等の先端の細い突起部がメディアガードを超えてフィルタパックを損傷することをいい、メディアガードの目開きに左右される。
ここで、メディアガードの目開きが3.0mm未満であれば、指やほとんどの工具の先端等の細い突起部がフィルタパックを損傷することがない。そのため、メディアガードの目開きが3.0mm未満のものを◎、3.0〜3.5mmのものを○、3.5mm以上のものを×として評価した。
<総合評価>
総合評価として、圧力損失、指ささりの評価がともに◎のものを◎、圧力損失、指ささりの評価が◎と○、あるいは○と○のものを○、圧力損失、指ささりのいずれかに×があるものを×と評価した。
以上の結果を表2に示す。
【0017】
【表2】

【0018】
この表2の評価の結果からも分かるように、各実施例は○以上の評価を得られた。各実施例におけるメディアガードの目開き、開口率を考慮すると、目開きが1.3〜3.2mmと低いものであり、開口率が54.9〜75.8%とある程度の大きさを有するメディアガードを用いることにより、ガスタービン吸気用フィルタは上述のような効果を奏することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、小さい目開きと所定の開口率とを有するメディアガードを下流側に備えるガスタービン吸気用フィルタであり、特に、ガスタービン等の発電機の吸気側に使用する際に利点を有する点で、産業上の利用可能性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタの斜視図
【図2】図1に示すガスタービン吸気用フィルタの分解斜視図
【図3】本発明の第2実施形態におけるガスタービン吸気用フィルタの斜視図
【図4】図3に示すガスタービン吸気用フィルタの分解斜視図
【符号の説明】
【0021】
10、20 ガスタービン吸気用フィルタ
11 濾材
12 セパレータ
13 フィルタパック
14、23 フィルタ枠
15、24 中性能・高性能複合フィルタ本体
16 上流側フィルタガイド枠
17 上流側メディアガード
18 下流側メディアガード
19 下流側フィルタガイド枠
21 フィルタ枠板
22 フィルタ枠側板
25 タッカー
30 スクリュー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾材をジグザグ状に折り畳み、折り畳まれた前記濾材同士の間を間隔部材でセパレートしてフィルタパックを形成し、シール剤を介して上前記フィルタパックをフィルタ枠に収容してフィルタを構成し、前記フィルタの下流側にメディアガードを設けてなるガスタービン吸気用フィルタにおいて、
前記メディアガードの目開きが3.5mm未満でかつ開口率が50%以上であることを特徴とするガスタービン吸気用フィルタ。
【請求項2】
前記メディアガードの目開きが3mm未満以下でかつ開口率が70%以下であることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン吸気用フィルタ。
【請求項3】
前記メディアガード及び前記フィルタ枠がステンレス製で、前記セパレータが合成樹脂フィルムラミネート製であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガスタービン吸気用フィルタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−31967(P2008−31967A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208866(P2006−208866)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000232760)日本無機株式会社 (104)
【Fターム(参考)】