説明

ガスタービン用のトランジションピースインピンジメントスリーブ

【課題】組み立て及び分解を容易に行うことができるインピンジメントスリーブを提供する。
【解決手段】ガスタービンのトランジションピース100のインピンジメントスリーブ102が開示される。インピンジメントスリーブ102は一般に、トランジションピース100の内側ダクト104の一部を囲むよう構成された第1のケーシング106と、内側ダクト104の一部を囲むよう構成された第2のケーシング108とを含む。加えて、インピンジメントスリーブ102は、第1及び第2のケーシング106、108間に画成される継手を含むことができる。継手は、第2のケーシング108に第1のケーシング106を取り付けるよう構成された複数のファスナー138を含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、全体的に、ガスタービンに関し、より詳細には、ガスタービン燃焼器のトランジションピース用のインピンジメントスリーブに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは通常、圧縮機セクション、燃焼セクション、及びタービンセクションを含む。圧縮機セクションは、タービンに流れる空気を加圧する。圧縮機セクションから吐出される加圧空気は、燃焼器セクションに流れ、該燃焼器セクションは、ガスタービンの軸線を中心として環状アレイで配置された複数の燃焼器によって特徴付けることができる。複数の燃焼器の各々は、燃焼器ライナを含み、該燃焼器ライナは、燃焼器の燃焼室を画成する。従って、各燃焼器に流入する空気は燃料と混合され、燃焼器ライナ内で燃焼される。高温の燃焼ガスが、燃焼器ライナからトランジションピースを通ってガスタービンのタービンセクションに流れて、タービンを駆動して出力を生成する。
【0003】
ガスタービンのトランジションピースは、二重壁部品として構成することができる。詳細には、トランジションピースは、インピンジメントスリーブと、該インピンジメントスリーブから半径方向内向きに配置された内側ダクトとを含むことができる。内側ダクトは、一般に、燃焼室からタービンセクションの第1段ノズルに高温ガスの流れを移送させるよう構成されている。インピンジメントスリーブは、一般に、内側ダクト用の衝突冷却をもたらすよう構成される。例えば、インピンジメントスリーブは、圧縮機セクションから吐出される加圧空気を受け取るよう構成される複数の冷却孔を画成することができる。
【0004】
内側ダクトの幾何形状又は形状は、インピンジメントスリーブが内側ダクトの周りに組み付けられるよう構成された2以上のセクションから形成されることを必要とすることが多い。通常、インピンジメントスリーブのセクションは互いに溶接される。しかしながら、インピンジメントスリーブセクションを共に溶接するプロセスは難しい作業であることが多い。更に、セクションを互いに溶接することによって、検査及び/又は補修を行うために現場でインピンジメントスリーブを分解することは極めて困難であり、多大な時間を必要とする可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、当技術分野では、組み立て及び分解を容易に行うことができるインピンジメントスリーブがあれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様及び利点については、一部は以下の詳細な説明で開示するが、以下の詳細な説明から自明であろうし、本発明を実施することによって明らかとなろう。
【0007】
1つの態様では、本発明の主題は、ガスタービンのトランジションピースのインピンジメントスリーブを開示している。インピンジメントスリーブは、一般に、トランジションピースの内側ダクトの一部を囲むよう構成された第1のケーシングと、内側ダクトの一部を囲むよう構成された第2のケーシングとを含む。加えて、インピンジメントスリーブは、第1及び第2のケーシング間に画成された実質的に平坦な継手を含むことができる。実質的に平坦な継手は、第2のケーシングに第1のケーシングを取り付けるよう構成された複数のファスナーを含むことができる。
【0008】
別の態様では、本発明の主題は、ガスタービンのトランジションピースのインピンジメントスリーブを開示している。インピンジメントスリーブは、トランジションピースの内側ダクトの一部を囲むよう構成された第1のケーシングと、内側ダクトの一部を囲むよう構成された第2のケーシングとを含む。加えて、インピンジメントスリーブは、第1及び第2のケーシング間に画成された継手を含むことができる。継手は、第2のケーシングに第1のケーシングを取り付けるよう構成された複数のファスナーを含むことができる。更に、1以上のチャネルを第1のケーシング及び第2のケーシングの1以上の内側面に取り付けることができる。チャネルは一般に、該チャネルに取り付けられる複数のネジ付きナットを含むことができる。
【0009】
本発明の上記その他の特徴、態様及び利点については、以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することによって理解を深めることができるであろう。なお、本願の内容の一部をなす添付の図面には、本発明の実施形態を例示するとともに、発明の詳細な説明と併せて本発明の原理を説明する。
【0010】
本発明を当業者が実施できるように、以下の詳細な説明では、図面を参照しながら、本発明を最良の形態を含めて十分に開示する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】ガスタービンの概略図。
【図2】ガスタービンの燃焼器の側断面図。
【図3】本発明の主題の態様による、インピンジメントスリーブの一実施形態の斜視図。
【図4】本発明の主題の態様による、二重壁トランジションピースの一実施形態の拡大図。
【図5】図4に示す二重壁トランジションピースの側断面図。
【図6】本発明の主題の態様による、インピンジメントスリーブの部品を共に取り付けるための取付継手の一実施形態の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について詳しく説明するが、その1以上の実施例を図面に示す。各実施例は例示にすぎず、本発明を限定するものではない。実際、本発明の技術的範囲又は技術的思想から逸脱せずに、本発明に様々な修正及び変形をなすことができることは当業者には明らかであろう。例えば、ある実施形態の一部として例示又は説明した特徴を、別の実施形態に用いてさらに別の実施形態としてもよい。従って、本発明は、かかる修正及び変形を特許請求の範囲で規定される技術的範囲及びその均等の範囲に属するものとして包含する。
【0013】
図面を参照すると、図1は、ガスタービンの概略図を示している。ガスタービン10は、圧縮機セクション12、燃焼セクション14、及びタービンセクション16を含む。燃焼セクション14は、ガスタービン10の軸線を中心とした環状アレイで配置された複数の燃焼器20(その1つが図2に示されている)を含むことができる。圧縮機セクション12及びタービンセクション16は、シャフト18により結合することができる。シャフト18は、単一のシャフト、又は共に結合されてシャフト18を形成する複数のシャフトとすることができる。ガスタービン10の作動中、圧縮機セクション12は、加圧空気を燃焼セクション14に供給する。加圧空気が燃料と混合されて各燃焼器20(図2)内で燃焼され、高温の燃焼ガスが燃焼セクション14からタービンセクション16に流れ、高温ガスからエネルギーが抽出されて仕事を産出するようになる。
【0014】
図2を参照すると、燃焼セクション14の燃焼器20の一実施形態の側断面図が図示されている。燃焼器20は、一般に、圧縮機吐出ケーシング又は燃焼ラッパーケーシングのような、ガスタービンケーシング24の一部に固定される実質的に円筒形の燃焼ケーシング22を含むことができる。フランジ26は、一般に、燃焼ケーシング22の上流側端部から外向きに延在することができる。フランジ26は、端部カバー組立体(図示せず)が燃焼ケーシング22に固定できるように構成することができる。周知のように、端部カバー組立体は、複数の燃料ノズル(図示せず)を含むことができる。
【0015】
燃焼器20はまた、流れスリーブ28と、流れスリーブ28内で実質的に同心状に配列された燃焼ライナ30とを含むことができる。燃焼ライナ30は一般に、実質的に円筒形の燃焼室32を画成することができ、燃料及び空気が噴射され燃焼されて高温の燃焼ガスを生成するようになる。加えて、流れスリーブ28及び燃焼ライナ30の両方は、その下流側端部で二重壁トランジションピース34まで延在することができ、該トランジションピース34は、インピンジメントスリーブ36並びに該インピンジメントスリーブ36から半径方向内向きに配置された内側ダクト38を含む。詳細には、燃焼ライナ30は、その下流側端部で内側ダクト38に結合され、燃焼ライナ30及び内側ダクト38が、一般に、各燃焼器20からガスタービン10(図1)のタービンセクション16まで流れる高温燃焼ガスの流路を画成するようにすることができる。例えば、インピンジメントスリーブ36は、内側ダクト38とインピンジメントスリーブ36との間に画成される半径方向スペースに加圧空気が流入できるように構成された複数の冷却孔40を画成することができる。
【0016】
更に、図2に示すように、インピンジメントスリーブ36及び内側ダクト38の下流側端部の一方又は両方は、トランジションピースの後方フレーム42に結合することができる。一般に理解されるように、後方フレーム42は、トランジションピース34をタービンセクション16(図1)の第1段ノズル(図示せず)に取り付け、内側ダクト38を通って流れる高温燃焼ガスがタービンセクション16内に配向できるように構成することができる。
【0017】
次に、図3〜6を参照すると、本発明の主題の態様による、二重壁トランジションピース100の一実施形態、詳細には、トランジションピース100と共に使用するのに好適なインピンジメントスリーブ102の一実施形態が示されている。詳細には、図3は、インピンジメントスリーブ102の斜視図を示す。図4及び5は、詳細にはインピンジメントスリーブ102の種々の構成要素及び/又は特徴部を示す、トランジションピース100の拡大図及び断面図をそれぞれ示している。加えて、図6は、開示されたインピンジメントスリーブ102のケーシング部品106、108の取り付け機構部の部分断面図を示している。
【0018】
開示されたインピンジメントスリーブ102は、一般に、トランジションピース100の内側ダクト104から半径方向外向きに位置付けるよう構成することができる。例えば、インピンジメントスリーブ102は、半径方向スペース又はギャップ110がインピンジメントスリーブ102と内側ダクト104との間に画成されるように内側ダクト104に対して配置することができる。このため、ガスタービン10(図1)の圧縮機セクション12から吐出される加圧空気は、半径方向ギャップ110を通じて配向され、内側ダクト104を冷却することができる。例えば、複数の冷却孔122がインピンジメントスリーブ102を貫通して画成され、この外周に沿って流れる加圧空気をインピンジメントスリーブ102に通して配向することができ、且つ内側ダクト104の外側面114上に衝突させることができるようにする。加えて、一般に理解されるように、インピンジメントスリーブ102及び/又は内側ダクト104の下流側端部116は、燃焼器20(図2)の後方フレーム42などのガスタービン10の下流側部品に結合されるよう構成することができる。
【0019】
図示の実施形態に示すように、インピンジメントスリーブ102は、第1のケーシング部品106及び第2のケーシング部品108を含む。第1及び第2のケーシング部品106、108は、一般に、内側ダクト104の一部の形状及び輪郭に対応する形状又は輪郭を画成することができ、該内側ダクト104の周りにケーシング部品106、108が配置されるように構成される(例えば、内側ダクト104の第1及び第2の側部118、120)。しかしながら、第1及び第2のケーシング部品106、108の形状又は輪郭はまた、ガスタービン10内で効果的な冷却構成並びに利用可能なパッケージングを考慮して、内側ダクト104の形状又は輪郭とは異なるようにすることができる点は理解されたい。
【0020】
一般に、第1及び第2のケーシング部品106、108は、組み立てられたときにケーシング部品106、108が内側ダクト104を全体的に包み込むように互いに取り付けられるよう構成することができる。従って、図示のように、取付継手140は一般に、ケーシング部品106、108の上端部126間、及びケーシング部品106、108の下端部128間など、第1及び第2のケーシング部品106、108の接合部にて形成することができる。ケーシング部品106、108は一般に、当該技術分野で公知のあらゆる好適な継手を形成するよう設計されたあらゆる好適な構成を有することができる点は理解されたい。しかしながら、本発明の主題の幾つかの実施形態では、ケーシング部品106、108は、ケーシング部品106、108間に画成される取付継手140が重ね継手として構成されるように、互いに重なり合うよう構成することができる。
【0021】
例えば、図示の実施形態では、第1のケーシング部品106は、ケーシング部品106の上端部126に配置された第1の取付フランジ122と、ケーシング部品106の下端部128に配置された第2の取付フランジ124とを含むことができる。同様に、第2のケーシング部品108は、ケーシング部品108の上端部126に配置された第1の取付ショルダ130と、ケーシング部品108の下端部128に配置された第2の取付ショルダ132とを含むことができる。ケーシング部品106、108のフランジ122、124及びショルダ130、132は、一般に、第1及び第2のケーシング部品106、108が内側ダクト104の周りに組み立てられたときに、第1のショルダ130が第1のフランジ122と整列して重なり合い、第2のショルダ132が第2のフランジ124と整列して重なり合って取付継手140を形成するように構成することができる。フランジ122、124及びショルダ130、132は、第1及び第2のケーシング部品106、108が全体的に内側ダクト104の周りで包み込み構成を形成するように互いに取り付けることができる。
【0022】
幾つかの実施形態では、ケーシング部品106、108の重なり合い構成を可能にするために、第2のケーシング部品108は、ショルダ130、132がフランジ122、124と整列して重なり合うことを可能にするような、フランジ122、124の幅143(図6)とほぼ等しい高さを有する僅かな曲げ部を取付継手140に含むことができる。具体的には、図6に示すように、第2のケーシング部品108は、フランジ122、124がショルダ130、132から半径方向内向きに配置できるように各ショルダ130、132の基部に半径方向外向きに延在する曲げ部142を含むことができる。或いは、第2のケーシング部品108は、フランジ122、124がショルダ130、132から半径方向外向きに配置できるように各ショルダ130、132の基部に半径方向内向きに延在する曲げ部142を含むことができる。他の実施形態では、第2のケーシング部品108は、必ずしも曲げ部142を形成する必要は無い点は理解されたい。例えば、一実施形態では、第2のケーシング部品108は、単に曲率半径を形成すればよく、或いは、ケーシング部品106、108が共に位置付けられたときにフランジ122、124及びショルダ130、132が互いに重なり合うように、第1のケーシング部品106の曲率又は半径方向寸法よりも僅かに大きい下又は僅かに小さい半径方向寸法を有することができる。
【0023】
加えて、本発明の主題の幾つかの実施形態では、取付継手140は、一般に、実質的に平坦継手として構成することができる。「実質的に平坦」とは、取付継手140を形成するケーシング部品106、108の一部の形状又は輪郭が、継手140にほぼ隣接する区域におけるインピンジメントスリーブ102の全体形状又は輪郭にほぼ一致することができることを意味する。例えば、フランジ122、124及びショルダ130、132は、一般に、各取付継手140において第1及び第2のケーシング部品106、108それぞれの形状又は輪郭の延長部を形成するよう構成することができる。従って、図3〜4及び6に示すように、第1及び第2のフランジ122、124は、一般に、取付継手140に隣接する区域において第1のケーシング部品106の輪郭に実質的に接線方向に延在する及び/又は平行な直線又は湾曲輪郭を画成することができる(例えば、第1のケーシング部品106の上端部及び下端部126、128にて画成される輪郭)。同様に、第1及び第2のシュラウド130、132は、一般に、取付継手140に隣接する区域において第2のケーシング部品108の輪郭に実質的に接線方向に延在する及び/又は平行な直線又は湾曲輪郭を画成することができる(例えば、第2のケーシング部品108の上端部及び下端部126、128にて画成される輪郭)。加えて、図示のように、フランジ122、124及びショルダ130、132は、取付時には、互いに実質的に平行に延在するよう構成することができる。このため、第1及び第2のケーシング部品106、108が内側ダクト104の周りで包み込み構成で位置付けられた場合、取付継手140は、一般に、インピンジメントスリーブ102の形状又は輪郭全体に対して実質的に平坦な構成を有することができる。
【0024】
取付継手140が実質的に平坦な継手として構成される実施形態では、フランジ122、124及びショルダ130、132の対応する輪郭は一般に、取付継手140がインピンジメントスリーブ102の外周に沿って画成される位置に応じて変わる可能性がある点は理解されたい。例えば、代替の実施形態では、第1及び第2のケーシング部品106、108は、取付継手140がインピンジメントスリーブ102の側部141に沿って画成されるように構成することができる。このような一実施形態では、フランジ122、124及びショルダ130、132は、一般に、第1及び第2のケーシング部品106、108の側部141の輪郭に実質的に接線方向に延在する及び/又は平行な直線又は湾曲輪郭を画成することができる。
【0025】
依然として図3〜6を参照すると、ケーシング部品106、108は、一般に、あらゆる好適な手段を用いて取付継手140にて互いに固定されるよう構成することができる。しかしながら、本発明の主題の幾つかの実施形態では、ケーシング部品106、108は、互いに非溶接的に取り付けるよう構成することができる。例えば、図示の実施形態では、第1及び第2のフランジ122、124は、ボルト孔パターンを形成する複数のフランジ開口134を画成することができ、該ボルト孔パターンは、第1及び第2のショルダ130、132において画成される複数のショルダ開口136によって形成されたボルト孔パターンにほぼ一致する。具体的には、第1の取付フランジ122において画成されるフランジ開口134の各々は、第1及び第2のケーシング部品106、108が内側ダクト104の周りに位置付けられたときに、第1の取付ショルダ130において画成されるショルダ開口136の1つと整列されるよう構成することができる。同様に、第2の取付フランジ124において画成されるフランジ開口134の各々は、第2の取付ショルダ132において画成されるショルダ開口136の1つと整列されるよう構成することができる。従って、フランジ開口134及びショルダ開口136は、一般に、ファスナー138が整列した開口134、136を通って配置されて、第1のケーシング部品106を第2のケーシング部品108に取り付けることができるように構成することができる。
【0026】
一般に、開示されるファスナー138は、当該技術分野で公知のあらゆる好適なファスナーを含むことができる。例えば、幾つかの実施形態では、ファスナー138は、ネジ付きボルト、スクリュー、及び同様のものなど、複数のネジ付きファスナーを備えることができる。代替の実施形態では、ファスナー138は、リベット、ピン、クリップ、ボルト、ブラケット、ロッド、及び他のあらゆる好適な機械的ファスナー及び/又は取り付け機構を含むことができる。加えて、ファスナー138は、あらゆる好適な手段を用いて開口134、136内に固定するよう構成することができる。例えば、ファスナー138は、ナット、保持ピン、保持ロッド、接着材、及び同様のものを用いて開口134、136内に固定することができる。しかしながら、本発明の主題の特定の実施形態では、ファスナー138の各々は、フローティングナット144を用いて開口134、136内に固定することができる。
【0027】
一般的に理解されるように、フローティングナット144は、ケージ、フレーム、又は他のリテーナ148内に移動可能に配置されるネジ付きナット146を含むことができる。例えば、図6に示すように、ネジ付きナット146は、該ネジ付きナット146とリテーナ148の基部152との間にギャップが画成されるようにリテーナ148内に配置することができる。このため、ネジ付きナット146は、このようなギャップ内のリテーナの基部152に対して移動又は浮遊することができる。その上、リテーナ基部152に向かって及びリテーナ基部152から離れて移動できることに加えて、ネジ付きナット146はまた、リテーナ基部152に垂直に移動又は浮遊するよう構成することができる。このため、ネジ付きナット146は、開口134を通じて挿入されたときにファスナー138と整列するよう配置することができ、或いは移動することができる。従って、各フローティングナット144は、一般に、ネジ付きナット146に対するファスナー138の取り付けにおける組み込みの融通性をもたらし、これによりショルダ130、132へのフランジ122、124のブラインド取り付けを簡素化することができる。本明細書で記載されるフローティングナット144は、一般に、当該技術分野で公知のあらゆる好適なフローティングナット構成を有し、従って、本明細書で例示され且つ上記で説明されるのと全く同じ構成を有する必要は無い。
【0028】
幾つかの実施形態では、複数のフローティングナット144は、第1及び第2のケーシング部品106、108が内側ダクト104の周りに位置付けられたときに、1つのフローティングナット144が整列したフランジ及びショルダ開口134、136の各々とほぼ整列するように、インピンジメントスリーブ102内に装着することができる。例えば、図5及び6に示すように、フローティングナット144は、第1及び第2のフランジ122、124の内側面154に沿って配置することができる。或いは、ショルダ130、132がフランジ122、124から半径方向内向きに配置される実施形態では、フローティングナット144は、第1及び第2のショルダ130、132の内側面154に沿って配置することができる。
【0029】
加えて、一実施形態では、フローティングナット144の各々は、フランジ122、124の内側面154のように、インピンジメントスリーブ102の内側面上に別個に取り付けることができる。例えば、各フローティングナット144のリテーナ148は、フランジ122、124の内側面154に直接取り付けることができる(例えば、リテーナ148を内側面154に溶接又は他の方法で締結することによって)。或いは、フローティングナット144は、取付フランジ122、124の内側面154に取り付けるための共通のカートリッジ又はチャネル158、160にグループ化又は一組にまとめることができる。例えば、図示の実施形態に示すように、第1及び第2の細長チャネル158、160は、一般に、内側面154上に細長チャネル158、160を溶接又は他の方法で締結することなどにより、第1及び第2のフランジ122、124の内側面154にそれぞれ固定することができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、各細長チャネル158、160は、一般に、これらが取り付けられるインピンジメントスリーブ102の部分の形状又は輪郭に一致する形状又は輪郭を画成するよう構成することができる。従って、図示の実施形態では、第1の細長チャネル158は、一般に、第1のフランジ122の上流側及び下流側端部162、164(図5)間に長手方向に延在することができる。同様に、第2の細長チャネル160は、一般に、第2のフランジ124の上流側及び下流側端部166、168(図5)間に長手方向に延在することができ、第2のフランジ124の湾曲輪郭にほぼ一致する湾曲輪郭を画成する基部180を含むことができる。このため、細長チャネル158、160は、一般に、インピンジメントスリーブ102の内側面に接して実質的に同一平面で固定することができる。
【0031】
代替の実施形態では、細長チャネル158は、必ずしも第1及び第2のフランジ122、124の上流側及び下流側端部162、164、166、168間に完全に延在するよう構成される必要は無い点は理解されたい。例えば、細長チャネル158、160は、上流側及び下流側端部162、164、166、168間に部分的にのみ延在することができる。他の実施形態では、2以上の細長チャネル158、160は、各フランジ122、124の上流側及び下流側端部162、164、166、168間に固定することができる。
【0032】
更に、図3及び5〜6に示すように、各細長チャネル158、160は、一般に、各チャネル158、160の基部180に取り付けられた複数のフローティングナット144を含むことができる。例えば、一実施形態では、フローティングナット144のリテーナ148は、各基部180に溶接又は他の方法で締結することができる。加えて、各チャネル158、160に沿ったフローティングナット144の間隔は、フランジ122、124及びショルダ130、132それぞれに画成されるフランジ及びショルダ開口134、136の間隔にほぼ一致することができる点は理解されたい。従って、細長チャネル158、160がケーシング部品106、108の一方の内側面154、156に固定され、ケーシング部品106、108が内側ダクト104の周りに位置付けられたときに、1つのフローティングナット144は、一般医、整列フランジとショルダ開口134、136の各ペアと整列して配置することができる。
【0033】
別の実施形態では、ネジ付きナット146などの複数のネジ付き部材は、フローティングナット144の代替物として細長チャネル158、160に固定することができる点は理解されたい。加えて、図3及び6に詳細に示すように、一実施形態では、細長チャネル158、160は、各チャネル158、160の基部180から実質的に垂直に延在する側壁161を含むよう構成することができる。或いは、細長チャネル158、160は、取付プレートとして簡単に構成することができ、必ずしも例示の側壁161を含む必要は無い。
【0034】
ファスナー138及びフローティングナット144(又はネジ付きナット146)を用いることの代替手段として、他の好適な種々の取付方法を利用して、第1及び第2のシュラウド130、132に対する第1及び第2のフランジ122、124への非溶接取付を行うことができる点を理解されたい。例えば、フランジ122、124及びショルダ130、132は、共に圧着するか、又は接着及び他の好適な接合材料を用いて共に取り付けることができる。
【0035】
第1及び第2のケーシング部品106、108はまた、第1及び第2のケーシング部品106、108はまた、上流側端部162、166にてケーシング部品106、108から半径方向外向きに延在する対応するリップ170、172のペアを含むことができる。一般に、半径方向に延在するリップ170、172は、第1のケーシング部品106のリップ170が第2のケーシング部品108のリップ172に固定されたときに、燃焼器20(図1)の上流側部品176とケーシング部品106、108の上流側端部162、166との間に配置されるシール174(図5)が適切に係合され、及び/又は十分な力が接合部にて加わるように構成することができる。加えて、本発明の主題の幾つかの実施形態では、第1のケーシング部品106の半径方向に延在するリップ170の向きは、第1及び第2のケーシング部品106、108が共に位置付けられたときにリップ170、172を互いに実質的に平行に延在するよう構成することなどによって、第2のケーシング部品108の半径方向に延在するリップ172の向きに一致又は対応するよう構成することができる。他の実施形態では、リップ170、172は、一般に、あらゆる好適な角度でケーシング部品106、108の上端部及び下端部126、128から外向きに延在することができる点は理解されたい。
【0036】
また、第1のケーシング部品106のリップ170は、一般に、あらゆる好適な手段を用いて第2のケーシング部品108のリップ172に取り付けられるよう構成することができる点は理解されたい。例えば、図示の実施形態では、リップ170、172は、互いにリップ170、172を取り付けるための好適なファスナー179(例えば、ボルト、スクリュー、リベット、ピン、他の機械的ファスナー及び同様のもの)を受けるように構成された開口178を画成することができる。或いは、リップ170、172を共に圧着することにより、又は接着及び他の接合材料を用いて共に取り付けることによるなど、他の好適な種々の取付方法を利用して、リップ170、172を互いに取り付けることができる。
【0037】
本明細書で記載される構成に加えて、他の種々のインピンジメントスリーブ構成を本発明の主題の範囲内で利用できる点は当業者であれば容易に理解されるはずである。例えば、1以上のショルダ130、132は、第1のケーシング部品106上に配置することができ、1以上のフランジ122、124は、第2のケーシング部品108上に配置することができる。加えて、上述のように、フランジ122、124は、必ずしもショルダ130、132の半径方向内向きに配置される必要は無い。具体的には、幾つかの実施形態では、ショルダ130、132は、フランジ122、124の半径方向内向きに配置することができる。別の実施形態では、第1のショルダ130は、第1のフランジ122の半径方向内向きに配置するよう構成することができ、第2のショルダ132は、第2のフランジ124の半径方向外向きに配置するよう構成することができる。
【0038】
更に、第1及び第2のケーシング部品106、108は、必ずしも、フランジ122、124及びショルダ130、132にて画成される取付継手140がインピンジメントスリーブ102の上端部126及び下端部128にて形成されるように構成する必要は無い点は理解されたい。むしろ、ケーシング部品106、108は、取付継手140がインピンジメントスリーブ102の側部141又はコーナなど、インピンジメントスリーブ102の外周部に沿ったあらゆる位置に形成されるよう構成することができる。更に、別の実施形態では、インピンジメントスリーブ102は、2つよりも多いケーシング部品を含むことができる。例えば、インピンジメントスリーブ102は、3以上のケーシング部品を含むことができ、ケーシング部品は、内側ダクト1042を包み込むように互いに取り付けるよう構成されている。
【0039】
本明細書では、本発明を最良の形態を含めて開示するとともに、装置又はシステムの製造・使用及び方法の実施を始め、本発明を当業者が実施できるようにするため、例を用いて説明してきた。本発明の特許性を有する範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に自明な他の例も包含する。かかる他の例は、特許請求の範囲の文言上の差のない構成要素を有しているか、或いは特許請求の範囲の文言と実質的な差のない均等な構成要素を有していれば、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に属する。
【符号の説明】
【0040】
10 ガスタービン
12 圧縮機セクション
14 燃焼セクション
16 タービンセクション
18 シャフト
20 燃焼器
22 燃焼ケーシング
24 ガスタービンケーシング
26 フランジ
28 内部流れスリーブ
30 燃焼ライナ
32 燃焼室
34 トランジションピース
36 インピンジメントスリーブ
38 内側ダクト
40 冷却孔
42 後方フレーム
100 トランジションピース
102 インピンジメントスリーブ
104 内側ダクト
106 第1のケーシング部品
108 第2のケーシング部品
110 半径方向ギャップ
112 冷却孔
114 外側面(内側ダクト104の)
116 下流側端部
118 第1の側部
120 第2の側部
122 第1の取付フランジ
124 第2の取付フランジ
126 上端部(ケーシング部品106の)
128 下端部(ケーシング部品106の)
130 第1の取付ショルダ
132 第2の取付ショルダ
134 フランジ開口
136 ショルダ開口
138 ファスナー
140 取付継手
141 側部(インピンジメントスリーブ102の)
142 外向きに延在する曲げ部
143 幅(フランジ122,124)
144 フローティングナット
146 ネジ付きナット
148 リテーナ
152 リテーナ基部
154 内側面
156 内側面
158 第1のカートリッジ又はチャネル
160 第2のカートリッジ又はチャネル
161 側壁
162 上流側/下流側端部
164 上流側/下流側端部
166 上流側/下流側端部
168 上流側/下流側端部
170 リップ
172 リップ
174 シール
176 上流側部品
179 ファスナー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(10)のトランジションピース(100)のインピンジメントスリーブ(102)であって、
前記トランジションピース(100)の内側ダクト(104)の一部を囲むよう構成された第1のケーシング(106)と、
前記内側ダクト(104)の一部を囲むよう構成された第2のケーシング(108)と、
前記第1及び第2のケーシング(106、108)間に画成され、前記第2のケーシング(108)に前記第1のケーシング(106)を取り付けるよう構成された複数のファスナー(138)を含む実質的に平坦な継手(140)と
を備えるインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項2】
前記第1のケーシング(106)が1以上のフランジ(122、124)を含み、前記第2のケーシング(108)が1以上のショルダ(130、132)を含み、前記1以上のフランジ(122、124)が前記実質的に平坦な継手(140)において前記1以上のショルダ(130、132)に取り付けられる、請求項1記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項3】
前記1以上のフランジ(122、124)及び前記1以上のショルダ(130、132)が各々、前記複数のファスナー(138)を受けるように構成された複数の開口(134、136)を画成する、請求項2記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項4】
前記1以上のフランジ(122、124)が、前記実質的に平坦な継手(140)において前記1以上のショルダ(130、132)に実質的に平行に配置される、請求項2記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項5】
前記1以上のフランジ(122、124)及び前記1以上のショルダ(130、132)のうちの少なくとも1つが、前記実質的に平坦な継手(140)において前記インピンジメントスリーブ(102)の輪郭に実質的に接線方向に延在するよう構成される、請求項2記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項6】
前記第1のケーシング(106)及び前記第2のケーシング(108)の1以上の内側面(154、156)に取り付けられた複数のネジ付きナット(146)をさらに備え、前記複数のファスナー(138)が、前記複数のネジ付きナット(146)内に固定されるよう構成された複数のネジ付きファスナーを含む、請求項1記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項7】
前記複数のネジ付きナット(146)の各々がフローティングナット(144)として構成される、請求項6記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項8】
前記複数のネジ付きナット(146)が、前記内側面(154、156)に取り付けられた1以上のチャネル(158、160)内にグループ化される、請求項6記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項9】
ガスタービン(10)のトランジションピース(100)のインピンジメントスリーブ(102)であって、
前記トランジションピース(100)の内側ダクト(104)の一部を囲むよう構成された第1のケーシング(106)と、
前記内側ダクト(104)の一部を囲むよう構成された第2のケーシング(108)と、
前記第1及び第2のケーシング(106、108)間に画成され、前記第2のケーシング(108)に前記第1のケーシング(106)を取り付けるよう構成された複数のファスナー(138)を含む継手(140)と、
前記第1のケーシング(106)及び前記第2のケーシング(108)の1以上の内側面(154、156)に取り付けられ、複数のネジ付きナット(146)が取り付けられた1以上のチャネル(158、160)と
を備える、インピンジメントスリーブ(102)。
【請求項10】
前記継手(140)が実質的に平坦であるように構成される、請求項9記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項11】
前記第1のケーシング(106)が1以上のフランジ(122、124)を含み、前記第2のケーシング(122、124)が1以上のショルダ(130、132)を含み、前記1以上のフランジ(122、124)が前記継手(140)において前記1以上のショルダ(130、132)に取り付けられる、請求項9記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項12】
前記1以上のフランジ(122、124)及び前記1以上のショルダ(130、132)が各々、前記複数のファスナー(138)を受けるように構成された複数の開口(134、136)を画成する、請求項11記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項13】
前記1以上のフランジ(122、124)が、前記継手(140)において前記1以上のショルダ(130、132)に実質的に平行に配置される、請求項11記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項14】
前記1以上のフランジ(122、124)及び前記1以上のショルダ(130、132)のうちの少なくとも1つが、前記継手(140)において前記インピンジメントスリーブ(102)の輪郭に実質的に接線方向に延在するよう構成される、請求項11記載のインピンジメントスリーブ(102)。
【請求項15】
前記複数のネジ付きナット(146)の各々がフローティングナット(144)として構成される、請求項9記載のインピンジメントスリーブ(102)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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