説明

ガスタービン装置

【課題】高効率運転を図りつつ、炭酸ガス(例えば、二酸化炭素)を効率良く除去することができるガスタービン装置を提供する。
【解決手段】空気を圧縮する圧縮機1と、該圧縮機1から吐出される圧縮空気と燃料とを燃焼させる燃焼器2と、該燃焼器2からの燃焼ガスにより駆動されるガスタービン3と、ガスタービン排ガスの一部を圧縮機1の入口に再循環させる再循環経路と、ガスタービン排ガスの流路に設置され、再循環された排ガスを含む空気が燃焼器3に導入されて排出された燃焼排ガス中の炭酸ガス濃度を減少させる炭酸ガス除去装置41a,41b,41cとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービン装置に係り、排気を圧縮機空気入口側に循環する排気再循環型ガスタービン装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの排気の一部を圧縮機入口に戻し圧縮機吸気温度を上昇させ、部分負荷時の燃焼温度ひいてはガスタービン排出ガス温度が低下することを抑止することにより、部分負荷時のサイクル熱効率の低下を防ぐ排気再循環型コンバインドプラントに関して特許文献1に記載されている。
【0003】
また、再循環されたガスタービン排ガスが圧縮機に入る前に水を噴霧して蒸発させ、圧縮機を出た圧縮空気の経路に冷却器を設け、冷却媒体を供給して熱回収させ、排ガスからの熱回収比を向上させることが特許文献2に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−34900号公報
【特許文献2】特開昭56−141040号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1では、安定して排気再循環させて高効率で部分負荷運転できる範囲を広くできることについて何ら開示されていない。また、特許文献2では、部分負荷運転について触れていない。
本発明は、高効率運転を図りつつ、炭酸ガス(例えば、二酸化炭素)を効率良く除去することができるガスタービン装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、空気を圧縮する圧縮機と、該圧縮機から吐出される圧縮空気と燃料とを燃焼させる燃焼器と、該燃焼器からの燃焼ガスにより駆動されるガスタービンと、ガスタービン排ガスの一部を前記圧縮機入口に再循環させる再循環経路と、ガスタービン排ガスの流路に設置され、前記再循環された前記排ガスを含む空気が前記燃焼器に導入されて排出された燃焼排ガス中の炭酸ガス濃度を減少させる炭酸ガス除去装置と、を備えたことを特徴とするガスタービン装置である。
【0007】
これにより、高効率運転を図りつつ、炭酸ガス(例えば、二酸化炭素)を効率良く除去することができ、また、炭酸ガス除去設備の小型化も図ることができる。小型化によりガスタービン排気経路の圧力損失を低減することができるのでガスタービン運転時の効率低下を抑制でき、更に高効率運転に寄与できる。
【0008】
また、前記炭酸ガス除去手段は、前記排ガスの経路のうち前記再循環経路との分岐部と前記排ガスを大気に放出する放出部との間に配置することができる。これにより、高濃度の炭酸ガスを含む排ガスを除去できることに基づき、前述の効果に加えて、炭酸ガス除去効率を高く維持できる。また、圧力損失をより少なくできるので、更に高効率運転に寄与することができる。
【0009】
或いは、前記炭酸ガス除去手段は、前記排ガスの経路のうち前記ガスタービンと前記再循環経路との分岐部との間に配置されることができる。これにより、ガスタービン排ガス量を多く供給できることに基づき、前述の効果に加えて、炭酸ガス除去効率を高く維持できる。
【0010】
或いは、前記炭酸ガス除去手段は、前記再循環経路に設置されることができる。これにより、炭酸ガス除去装置の設置が容易である。また、同装置のメンテナンスが容易となる。また、排ガスから大気への排気部における圧力損失をより少なくできるので、ガスタービンの効率低下を更に抑制することができる。
【0011】
炭酸ガス除去装置は例えば、アミン系吸収剤を用いたものとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、高効率運転を図りつつ、炭酸ガス(例えば、二酸化炭素)を効率良く除去することができるガスタービン装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の参考例1を図1に示す。ガスタービン吸気水噴霧システムを用いた排気再循環型コンバインドプラントは空気を吸い込みこれを圧縮する圧縮機(コンプレッサ)1と圧縮空気と燃料を混合させて燃焼させる燃焼器2,燃焼器2からの燃焼ガスで駆動するガスタービン3,ガスタービン3からの排出ガスの熱量を回収し、給水と熱交換することで蒸気を発生させる排熱回収ボイラ4,排熱回収ボイラ4で発生した蒸気によって駆動する蒸気タービン5、さらに蒸気タービン5に結合された発電機6、ガスタービン3の排出ガスの一部を取り出して圧縮機入口に再循環させる再循環経路を形成する再循環手段(配管)9ならびに前記再循環量を制御する再循環量制御手段(排気再循環量調整弁)10を備える。
【0014】
図1では圧縮機(コンプレッサ)1,ガスタービン3,蒸気タービン5,発電機6が同軸上に連結されているが、それぞれのタービンがそれぞれの発電機を駆動するようにしてもよい。
【0015】
燃焼器2への燃料供給量を制御する燃料量制御弁(燃料供給系)7、これらの燃料量制御弁7や再循環量制御手段10を制御する統括制御装置8を有する。
【0016】
参考例1では更に、吸気ダクト17内に微細液滴噴霧を行う噴霧ノズル11が配置される。噴霧ノズルに水を供給する経路には噴霧量を制御する給水流量調整弁12,水を貯蔵する給水タンク13ならびに給水ポンプ14を配置する。また、微細液滴を得るために前記ノズルに吸気供給手段が必要な場合は吸気の供給経路に空気流量調整弁15を備える。
【0017】
前記噴霧される微細液滴はZautor平均粒径(S.M.D.)で約10μm程度である。
【0018】
前記コンバインドプラントの発電出力は、燃焼器2に投入する燃料量を制御する燃料量制御弁7,再循環量制御手段10,噴霧流量(給水流量)調整弁12,空気流量調整弁15とを操作端とし、その開度調整で決定される。これらの操作端は統括制御装置8からの操作信号により制御され、統括制御装置8はコンバインドプラントに対する中央給電指令所16からの負荷要求信号Ldを入力として、プラント全体を制御し、空気量,燃料量,水噴霧量を適正に制御する。
【0019】
統括制御装置の制御の一例を図2を用いて説明する。
【0020】
燃料量の制御のために、まず負荷要求信号Ldと実負荷Lとの偏差を減算器AD1で求め、調節器PI1により燃料目標信号Fdを得る。そして燃料量目標信号Fdと実燃料量Fの偏差を減算器AD2で求め、調節器PI2により燃料量制御弁7を調節して燃焼器に投入する燃料量を決定する。この制御では負荷が大きくなるほど燃焼器2に投入される燃料量が増大する。
【0021】
さらに再循環量の制御では負荷信号Ldを入力とする関数発生器FG1において、低負荷であるほど大きくなる出力信号S1が求められる。この信号S1は調節器PI3に与えられ、再循環量制御手段10を制御する。
【0022】
なお、AD2又はAD3へは燃焼温度の演算値が入力されて、AD2やAD3では演算される際、燃焼温度の変動を抑制するように必要に応じて補正が加えられる。燃焼温度の演算値は、排ガス温度と圧縮機出口圧力とがFG2に入力され、ここで排ガス温度及び圧力から燃焼温度を演算して出力される。
【0023】
これは、負荷が小さい程再循環量を増大させるため、燃焼温度ひいてはガスタービン排出ガス温度が負荷の低下に伴い低下するのを抑止する、望ましくは負荷と係わりなく燃焼温度(ガスタービン排出ガス温度)をほぼ一定にすることが可能である。図1の関数発生器FG1は負荷に応じて排出ガス量の再循環割合が決定されており、従って関数発生器
FG1の出力信号S1は、図示の例ではガスタービン排出ガス温度を負荷と係わりなくほぼ一定とすることができる。このように排気のエンタルピを回収して部分負荷時の効率低下を押さえることができる。
【0024】
こうしてガスタービン排出ガス温度を負荷と係わりなくほぼ一定とすることができる。
【0025】
圧縮機特性の改善に関しては、部分負荷運転時の燃焼温度ひいてはガスタービン排出ガス温度の低下を防ぐために、圧縮機入口において大気温度の外気と高温のガスタービン排出ガスを混合して吸入空気とし、さらに低負荷であるほど再循環させるガスタービン排出ガス量が増大するわけであるが、ガスタービン排出ガスが増大するにしたがって、当然吸気温度も上昇し、それに対応して圧縮機1内の温度も上昇する。図3に示すように圧縮機翼周辺での流体挙動に変化がおこる。まず通常、圧縮機内部では動翼の周速度が一定で、軸流速度は一定になるように設計されているならば、(A)のように圧縮機動翼に流入するみかけの速度Bは翼に対して平行になる。ところが、吸気温度が高くなり、圧縮機内部ガス温度が上昇すると、(B)のように軸流速度A′が増大するためみかけの速度Bの入射角であるインシデンスαが負の方向に増大する。このため温度が高くなる圧縮機後段側(例えば最後段動翼付近)では、翼で流れの剥離が発生して失速状態となり、ひどい場合には負の失速となって、ガスタービンの運転の安定運転が困難となる。したがってガスタービン負荷の低下に伴って再循環量を増加したとしても排気再循環量に上限ができ、部分負荷運転の範囲が制限される。
【0026】
本参考例の場合は、大気温度の外気と高温のガスタービン排出ガスが混合された吸込空気に圧縮機内で気化する液滴を導入することで図3(C)のように圧縮機内部ガスが冷却されて、圧縮機の後段側での軸流速度A′が低下しこれによりインシデンスαも低下し、みかけの速度Bは翼に対して平行となり、圧縮機特性の安定化を得ることができる。圧縮機内部ガスを導入された液滴の圧縮機内での気化によって冷却することができるので、圧縮機吸気温度をより高くすることができ、すなわちより排気再循環量をより多くすることができるので、高効率な部分負荷運転範囲を拡大することができる。
【0027】
図4は噴霧量に対するインシデンスの変化を示したものである。まず、ガスタービンは通常、大気温度が0℃から50℃を運転範囲として設計されており、この間であれば、圧縮機吸気温度の変化で、インシデンスも変化するが、圧縮機の特性は安定している。しかし、圧縮機吸気温度がこの範囲を超えるとインシデンスの絶対値は増大し、圧縮機の特性は不安定な状態となり、ひどい場合は、正の失速(ストール)や負の失速(チョーク)といったことが起こる。
【0028】
本発明では、圧縮機内で蒸発する液滴を導入することで、圧縮機内部ガスを冷却し、インシデンスを改善する。図3より、吸気温度が50℃の時、インシデンスは通常運転範囲の下限にあるが、圧縮機入口部で液滴を噴霧し、圧縮機内部ガスを冷却することで、インシデンスは徐々に回復し、噴霧量1.5% でインシデンスが0deg に回復する。しかし、噴霧量が多くなると、今度は正の失速(ストール)が問題となるので適正な噴霧量を選択する必要がある。
【0029】
このように、圧縮機内で蒸発する液滴を導入することにより、圧縮機入口と出口ガスの温度差を小さくすることができる。入口温度はほぼ一定で、出口温度が低下するか又は入口温度の低下量より出口温度の低下量を大きくする。
【0030】
このため、圧縮機出口温度をほぼ一定にしつつ、再循環量を増加させることができる。
【0031】
よって、低い部分負荷運転時にも再循環させることができる。
【0032】
前記混合ガスの流れる圧縮機内で気化する液滴を導入させて、圧縮機内で液滴が蒸発することにより、部分負荷状況での効率を前記従来技術の場合よりさらに向上させることができる。圧縮機内に入った水滴は気化し、気化が完了すると、圧縮機内の気体はさらに断熱圧縮を受ける。その際水蒸気の定圧比熱は圧縮機内の代表的な温度(300℃)付近では、混合気の約2倍の値を有するので、熱容量的には混合気換算で、気化する水滴の重量の約2倍の混合気が作動流体として増したのと等価な効果がある。すなわち圧縮機の出口混合気温度低下に効果(昇温抑制効果)がある。このようにして圧縮機内での水滴の気化により圧縮機出口の混合気温度が低下する作用が生じる。圧縮機の動力は、圧縮機出入口の混合気のエンタルピの差に等しく混合気エンタルピは温度に比例するので、圧縮機出口の混合気温度が下がると、圧縮機の所要動力を低減でき、効率を向上させることができる。
【0033】
また、圧縮機入口吸気温度T1 ,圧縮機出口温度T2 ,燃焼温度T3 ,ガスタービン出口温度T4 とすると、ガスタービンの効率ηは近似的に次式で与えられる。
【0034】
【数1】

【0035】
圧縮機出口温度T2 が、水噴霧の混入による気化によりT2′(<T2)に低下すると、上式右辺第2項は小さくなるので、水噴霧により効率も向上することがわかる。別な言い方をすると、ガスタービンという熱機関から系外に廃棄される熱エネルギーCp(T4−T1)は本発明の適用前後で大差ない一方、投入される燃料エネルギーCp(T3−T2′)は本発明の適用時は、Cp(T2−T2′)ほどすなわち圧縮機仕事の低下分ほど増えている。圧縮機仕事の低下分は増出力に等しいので、この燃料増加分は実質全部ガスタービンの出力増加に寄与する。即ち、増出力分は熱効率が100%となる。このため、ガスタービンの熱効率を向上できる。燃焼温度が一定に保たれているので、ボトミングサイクルの熱効率は本発明適用前と等しいので、コンバインドサイクルトータルの熱効率を向上させることができる。
【0036】
一方、圧縮機に導入される混合ガス温度を単に低下させる場合では、図3に示した圧縮機の特性の多少の改善にはなるかもしれないが限度がある。
【0037】
また、低い部分負荷運転状態においては、吸気が冷却されて圧縮機1に導入される吸気の重量流量が増大し、低負荷の状態で運転したいガスタービンの負荷を増加させることにつながる可能性もでてくる。
【0038】
噴霧液滴は粒径が大きいと圧縮機1の翼やケーシングに衝突し、メタルから熱を得て気化することになるので作動流体の減温効果が阻害されるおそれがある。このため、このような観点からは、液滴の粒径は小さい方が好ましい。
【0039】
噴霧液滴には粒径の分布が存在する。圧縮機1の翼やケーシングに衝突することを抑制することや、翼のエロージョンを防止するという観点から、噴霧される液滴は主に50
μm以下の粒径になるようにする。翼に作用する影響をより少なくする観点からは、最大粒径で50μm以下にすることが好ましい。
【0040】
更に、粒径が小さい方が流入空気中に液滴をより均一に分布させることができ、圧縮機内の温度分布が生じることを抑制する観点から、Sautor平均粒径(S.M.D)で30μm以下にすることが好ましい。噴霧ノズルから噴出される液滴は粒度の分布があることから前記最大粒径では計測が容易ではないので、実用上は前述のようにSautor 平均粒径
(SM.D.)で測定したものを適応できる。尚、粒径は小さい方が好ましいが、小さい粒径の液滴を作る噴霧ノズルは高精度な製作技術が要求されるので、技術的に小さくできる下限までが、前記粒径の実用範囲となる。よって、係る観点からは、例えば、前記主な粒径,最大粒径、或いは平均粒径がそれぞれ1μmが下限となる。又、細粒径の液滴になる程生成するためのエネルギーが大きくなることが多いので、液滴生成のための使用エネルギーを考慮して前記下限を定めてもよい。大気中に浮遊し落下し難い程度の大きさにすると、一般に、接触表面の状態も良い。
【0041】
空気が圧縮機内を通過する時間はわずかであり、この間に液滴を良好に気化させ、気化効率を高める観点からは、Sautor平均粒径(S.D.M.)で30μm以下が望ましい。
【0042】
尚、小さい粒径の液滴を作る噴霧ノズルは高精度な製作技術が要求されるので、技術的に小さくできる下限までが、前記粒径の下限となる。例えば、1μmである。
【0043】
液滴が大きすぎると、圧縮機で液滴の良好な気化をし難くなるからである。
【0044】
液滴導入量は、ガスタービン排ガス再循環量,混合気入口温度あるいは圧縮機出口温度により調整することができる。圧縮機出口温度を一定に制御する観点から噴霧量は再循環量の上限である7%を上限とし、導入範囲をこれ以下にすることができる。再循環量が少ない場合より多い場合に多く前記水滴を噴霧する。
【0045】
噴霧ノズルの位置は、他に圧縮機内に設け、圧縮ガスに液滴を噴霧するようにしてもよい。
【0046】
噴霧ノズル11の位置を具体的に図6を用いて説明する。ここで18はIGVを示す。
【0047】
噴霧ノズルは11aから11dの何れかの位置に設置する。噴霧ノズル11aは、圧縮機入口から所定の間隔を介して設置したものである。但し吸気ダクト17内にサイレンサが設置される場合はそれより下流側に設置する。これにより、前記のように、高効率の部分負荷運転を得るだけでなく、高効率で増出力運転を図る場合には、圧縮機に導入するまでの間に液滴の一部が気化させ、さらに圧縮機に導入されて圧縮機を流下中にさらに気化させることができる点で好ましい。
【0048】
噴霧ノズル11bは、圧縮機入口に設置された圧縮機の導入部である最上流部に設置された導入翼にノズルを設置したものである。同翼の内部に空気の供給経路及び水の供給経路を設置する。これにより、噴霧ノズルによる流れの抵抗となることを抑制し、ノズル設置のためのスペースを改めて設けなくても、液滴を噴霧することができる。
【0049】
噴霧ノズル11cは、前記案内翼とIGVとの間に設置したものである。圧縮機1内に入るまでの間に噴霧された液滴が蒸発し混合ガスの重量流量が増加することを抑制できる。流れを乱さないという観点からはIGVの近くに設けるほうが好ましい。
【0050】
このように11a〜11cのようにすることで、圧縮機内での連続的な気化が得られる。また、圧縮機内の比較的上流側で多くを気化させることでより圧縮機吐出温度を低下でき、圧縮機吐出温度の上昇を抑制することができる。
【0051】
噴霧ノズル11dは圧縮機の中間段に設けたものである。圧縮機の翼の失速等の事象が生じやすいのは後段側の翼であるため、近い圧縮機中間段に設置してもよい。係る場合は、拡大図のように静翼にノズルを設置し、翼内に水供給手段及び空気供給手段を設ける。
【0052】
このような、圧縮機内に流下する噴霧液滴は流線に沿って圧縮機1の翼間を移動する。圧縮機内では、断熱圧縮により吸気は加熱され、この熱で液滴は表面から気化しながら粒径を減少しつつ後段側翼へ輸送される。この過程で、気化に必要な気化潜熱は、圧縮機内の混合気に依存するため圧縮機内の混合ガスの温度を低下させる。
【0053】
前記噴霧ノズル11の噴霧量は、ガスタービン排ガスの再循環量に対応するよう制御されている。例えば、再循環量が多い場合を、再循環量が少ない場合より噴霧量を多くするよう制御する。
【0054】
コンバインドプラントのガスタービンが部分負荷運転時に、再循環配管9を経たガスタービン排ガスと吸気ダクト17を経て供給される空気との混合ガスが圧縮機1に導入され、圧縮機1内は前記混合ガスが圧縮され吐出される。
【0055】
かかる状態で前記噴霧ノズル11から前記微細液滴を噴霧して圧縮機内に導入させ、圧縮機1内を流下中に気化させる。
【0056】
再循環量に応じて噴霧量を増減することにより、単なる排気再循環を行うのに較べ、排気再循環をして高効率に運転できる部分負荷運転の範囲を広くできる。さらに、部分負荷運転時においてより高効率の運転ができる。
【0057】
部分負荷のうち特に低負荷時の運転での再循環量増大に伴う圧縮機入口吸気温度の上昇によって低下した圧縮機の特性を改善することができる。
【0058】
噴霧量の制御を図2を用いて説明する。
【0059】
この制御では負荷要求信号Ldを入力とする関数発生器FG1において低負荷であるほど大きくなる出力信号S1と実運転での燃焼温度変化を修正すべく関数発生器FG2においてガスタービン排出ガス温度とコンプレッサ出口圧力から推定される燃焼温度信号を減算器AD3に印加して関数発生器FG1の修正再循環割合信号を出力する。この信号を関数発生器FG3に入力することで再循環量が増加するに従い噴霧量が増加するような再循環量に対する水滴噴霧量の出力信号S2を得、この信号S2と実際に測定された圧縮機出口ガス温度を減算器ADI4に印加して、関数発生器FG3の修正噴霧量信号を出力する。この信号を調整器P14に与えることで噴霧流量(給水流量)調節弁12を制御する。この制御によって再循環割合に応じて噴霧量を制御することができる。
【0060】
微細液滴を作るのに必要であれば空気流量調節弁15を開いてもよい。図5は排気温度を一定とした場合の再循環率に対する噴霧率の制御線を示している。再循環率に対して噴霧率はほぼ直線的に増加していく。
【0061】
再循環運転により、前記のように圧縮機内の翼のインシデンスが変化するが、前記の制御線による制御により、排気再循環前の状態まで戻すこともできる。例えば、大気温度
15℃のとき排気重量流量ベース10%の再循環量で約3%の噴霧量(外気重量べース)や、20%の再循環量で約5.5% を噴霧量とする。
【0062】
図9は、各負荷に対する混合気吸気温度と再循環率の関係を示したものである。圧縮機1に吸入される混合気(体積流量)はガスタービン3が一定速度で回転しているため、負荷に関係なく一定である。低負荷になるほど排気再循環量が増大し、その分圧縮機入口吸気温度が大きくなる。これに対して、ガスタービン出力は再循環量が増大し、混合吸気温度が増大すると、圧縮機入口吸込重量流量の減少で低下する。従来技術のような単なる再循環ガスタービンでは最終段の翼の失速等を考慮すると圧縮機吸気温度上限が50℃であり、このため再循環量が制限され、ガスタービン出力低下も制限を受けることになる。しかし、本参考例により微細液滴を圧縮機入口で噴霧し、圧縮機内部ガスを冷却することで圧縮機翼周辺の流体挙動が改善されるため、排気再循環量を増大でき、より低負荷での運転が可能となると共に、更に高効率の部分負荷運転ができる。圧縮機1を出た圧縮空気は圧縮機内での水滴の気化により温度降下しているが、この分は燃料投入量を増すことによって燃焼温度を一定に保つことができる。次に燃焼ガスはガスタービン3で断熱膨張する過程で仕事をし、その一部はコンプレッサ1と発電機6を駆動するために消費されるため、正味出力はその差に相当する。
【0063】
ガスタービン3の排気の一部は、排気再循環手段9と制御手段(排気再循環量調整弁)10を経由してコンプレッサ1の吸気の一部として再循環される。排熱回収ボイラ4では高圧蒸気が生成され、これが蒸気タービン5と発電機6を駆動して発電する。
【0064】
図10にコンバインドサイクルにおける各負荷に対する効率低下を通常のコンバインドサイクル,排気再循環型コンバインドサイクル、本参考例の効率と比較したものを示す。通常のコンバインドサイクルのサイクル熱効率はIGV等により燃焼温度一定運転が行われている90%負荷までは効率低下はさほど大きくないが、90%負荷以下の運転になると燃焼温度が下がることから、効率は急激に低下し、ボトミング側の制約条件から決まる負荷である25%負荷では、効率は相対値で4割ほど低下する。前記IGV等による燃焼温度一定運転が行われるのは機器により多少範囲が異なる。但し、多くの場合少なかったとしても80%負荷までである。排気再循環型コンバインドサイクルは、通常のコンバインドサイクルに比べてサイクル熱効率の低下が小さいが、圧縮機吸気温度の制約から約
65%負荷までしか運転することができない。これに対し本発明では圧縮機内部ガスを冷却することによって圧縮機動力低減並びに増出力による熱効率向上によって各負荷に対してさらに効率低下が小さくなり、排気再循環型コンバインドサイクルに比べてもより低負荷まで運転することが可能であり、理論的にはガスタービン排気ガス中の酸素濃度ゼロになる約30%負荷まで運転が可能であり、効率低下は約10%程度である。
【0065】
下限は機器の設定等によって定めることが好ましく、一般には少なくとも50%負荷位までは再循環させる場合が多いと考える。
【0066】
尚、図10はプラント負荷(コンバインドサイクルプラントではなく、単なるガスタービン装置である場合はガスタービン負荷。以下同様)100〜90%もしくは80%の領域でIGV等の制御による運転を考慮したものであるがこれに限らず、100%から負荷が下がった場合にそれに対応して再循環量をコントロールするようにしてもよい。負荷が低い程再循環量を増すようにすると燃焼温度を1430℃にするとし、圧縮機出口温度を370℃より大きくならないようにするため、例えば370℃一定制御をした場合、プラント負荷74%で圧縮機入口温度は150℃となり、負荷50%では、112℃となり、負荷30%では240℃となった。本参考例のように圧縮機内で蒸発する液滴を導入して圧縮機出口温度を低下させることにより圧縮機後段側で生じる不都合をさけることができる。このため、圧縮機内で蒸発する液滴の噴霧量を制御して再循環割合を上げて圧縮機入口の混合ガスの温度を上げるよう制御することができる。また、単に再循環したプラントより再循環量を増大することができ、低い部分負荷領域まで再循環量を増加させた運転ができる。
【0067】
また、本参考例では、プラントの負荷が少なくとも50%から80%の間で、前記噴霧量を再循環量が多くなるに従い増加させて、負荷が低くなるに従い再循環量が連続的に増加するよう制御することができる。
【0068】
また、プラント負荷が少なくとも50%から80%の間での燃焼器の燃焼温度の変動を抑制するよう負荷に対応して前記再循環量を制御し(例えば、負荷が低くなるに従い再循環量を増加させるよう制御し)、圧縮機内に液滴を導入して圧縮機出口の圧縮空気の温度上昇を抑制することができる。
【0069】
また、統括制御装置8では以下のような制御を行うことができる。
【0070】
プラント負荷が50%から80%の間での燃焼器の燃焼温度の変動を抑制するよう負荷に対応して前記再循環量と前記液滴の噴霧量とを制御する。負荷が低くなるに従い再循環量を増加すると共に、噴霧量を増加させるように制御して、燃焼温度の低下を抑制して高く維持することで、部分負荷の広い範囲で高効率の運転が可能となる。
【0071】
また、プラント負荷が50%から80%の間での燃焼器の燃焼温度の変動を抑制するよう負荷に対応して前記再循環量を制御し、圧縮機内に液滴を導入して圧縮機出口の圧縮空気の温度上昇を抑制する。再循環量を増加するに従い、圧縮機出口温度は上昇するため、当該温度が許容範囲に維持するように圧縮機内に液滴を導入して圧縮機内で蒸発させる。
【0072】
また、前記プラント負荷変化に対応して圧縮機入口に戻すガスタービン排ガス量を調整し、プラント負荷が50%から80%の間での燃焼器の燃焼温度の変動を抑制するよう負荷に対応して前記再循環量を制御し、前記圧縮機内を流下中に気化する液滴の前記噴霧量を制御して、負荷が低くなるに従い再循環量が連続的に増加するよう抑制する。負荷が低くなるに従い再循環量を増加するように制御しようとすると、圧縮機等の都合により再循環量の増加量に上限ができるが、圧縮機内で蒸発する液滴の導入量を調整して、負荷が低くなるに従い液滴の導入量を増加するように制御することにより、広い部分負荷範囲で負荷が低くなるに従い再循環量を連続的に増加するよう制御することができる。
【0073】
なお、前記上限は再循環をおこなう上限の負荷であるため、100%より低くなった場合に再循環させる場合は、前記上限範囲は大きくなる。また、下限においては、機器の設定により定まるため、機器によっては、より低い範囲まで再循環量を増加するよう制御することもできる。
【0074】
参考例2を図1等を用いて説明する。基本的構成は参考例1と同様である。参考例1では排気再循環量に応じて噴霧量を制御していたが、本参考例では排気再循環量の制御は第1の参考例と同様であるが、噴霧量制御に関して、圧縮機出口で測定されたガス温度により、噴霧量を制御する方法が異なる。コンバインドプラントの機器構成は第1の参考例と同じであるが、噴霧量制御手段として、圧縮機出口ガス温度を計測し、この信号を統括制御装置8に入力する手段が追加されている。本参考例の統括制御装置8を図7に示す。本参考例では、図7に示すように測定された圧縮機出口ガス温度を関数発生器FG3に入力して、排気再循環する前の圧縮機出口ガス温度の変動を抑制すべく、好ましくは温度一定となるような噴霧量を算出する。出口温度が高い方が噴霧量が多くなるよう制御する。得られた噴霧量信号から調節器PI4により、噴霧流量(給水流量)調整弁12を制御する。一方、噴霧することで燃焼温度が変化することもあるため、負荷要求信号Ldと実負荷Lから得られた燃料流量信号に噴霧量信号を印加することで液滴噴霧した場合の燃料流量を修正制御し、燃焼温度一定を実現する。図8は、一例として大気温度が15℃での圧縮機出口ガス温度から、排気再循環を行う前の圧縮機出口ガス温度を算出する制御線を示したものである。10%の排気再循環量で、圧縮機出口ガス温度は、約450℃になるが、圧縮機入口部で約2.5% の噴霧を行えば、排気再循環を行う前の圧縮機出口ガス温度一定運転が可能となる。なお、圧縮機出口ガス温度は、排気再循環量が一定でも大気温度の違いで変化するため、大気温度をパラメータとした制御線とすることが望ましい。これより、微小な出力変動や気温の変動には追随させない運転も可能であり、運転制御が容易になるという効果がある。
【0075】
圧縮の不都合の原因となる圧縮機後段側の温度が直接反映されるので、より精度の高い運転ができる。
【0076】
参考例3を図1等を用いて説明する。基本的には参考例1と同様の構造を使用することができる。
【0077】
本参考例の特徴は、圧縮機入口部に混合ガス温度の検出装置を設け、当該温度検出装置の温度を基に、噴霧量を制御するものである。
【0078】
例えば、圧縮機に入る混合ガス温度が低い時より高い場合により多くの液滴を噴霧するよう統括制御装置8にて制御する。また、排気再循環を行う前の圧縮機出口温度になるように噴霧量を制御する。
【0079】
これにより、部分負荷運転時に低い部分負荷時であっても高効率の運転ができる。
【0080】
参考例4を図1等を用いて説明する。基本的には参考例1と同様の構造を使用することができる。
【0081】
本参考例の特徴は、プラント負荷の測定装置から信号に基づいて、噴霧量を統括制御装置8にて制御する。
【0082】
例えば、負荷が高い場合より低い場合に、より多くの液滴を噴霧するよう制御する。また、排気再循環を行う前の圧縮機出口温度になるように噴霧量を制御する。
【0083】
これにより、部分負荷運転時に低い部分負荷時であっても高効率の運転ができる。
【0084】
これにより、負荷の測定は通常運転においても測定される場合が多いので、係る信号を使用できるので、容易に制御することができる。
【0085】
参考例5を図1等を用いて説明する。
【0086】
基本的構成は参考例1と同様の構成を使用できる。参考例と装置する点はガスタービン3排ガスが供給される排熱回収ボイラ4及び廃熱回収ボイラ4で生じた蒸気が供給される蒸気タービンがないガスタービン装置である点である。
【0087】
前記参考例1で述べたように、前記再循環経路を経たガスタービン排ガスと空気との混合ガスが流れる圧縮機内に液滴を導入させて前記圧縮機内を流下中に前記導入させた液滴が気化するようにした噴霧装置とを備える。これにより、前記ガスタービンの負荷変化に対応して圧縮機入口に戻すガスタービン排ガス量を調整し、噴霧装置から液滴を噴霧して前記再循環経路を経たガスタービン排ガスと空気との混合ガスが流れる圧縮機内に液滴を導入させて前記圧縮機内を流下中に前記導入させた液滴が気化するようにした。
【0088】
また、前記再循環量に対応して前記液滴の噴霧量を制御する噴霧量制御装置と、を備える。また、プラント負荷に対応して、負荷が低い場合の方が負荷が高い場合より多く噴霧するように制御する。
【0089】
また、圧縮機の入口に導入される混合ガス温度変化に対応して噴霧量を制御する。混合ガス温度が高い方が低い場合より噴霧量が多くなるように制御する。
【0090】
これにより前記のように、圧縮機内部ガス温度を低下させ、圧縮機の特性を改善することができるため、排気再循環量を増大でき部分負荷運転範囲を拡大することができる。また圧縮機吸気への水滴噴霧の効果によって排気再循環型ガスタービン装置よりもさらに熱効率を高くすることができる。
【0091】
参考例6を図11〜図16を用いて説明する。
【0092】
参考例6は、前記噴霧量と再循環量を圧縮機取り入れ温度に基づき制御する。
【0093】
本参考例の概要図を図11に示す。
【0094】
基本的には、参考例1の概要図と同様の構造をとることができる。
【0095】
本参考例では、排熱回収ボイラ4の下流側から再循環する排ガスを導いている。
【0096】
ガスタービン3の排出ガスの一部を取り出す排気再循環手段の一例である配管9は、排熱回収ボイラ,排熱回収ボイラ入口部,出口部のいずれでもよいが、排ガス中の熱を有効に利用するためには、本参考例のように排熱回収ボイラ出口部から取り出すのがよい。
【0097】
燃焼器2に投入する燃料量を制御する燃料量制御弁7,再循環量制御手段としての排気再循環量調整弁10,給水流量調整弁12,空気流量調整弁15とを操作端とし、これらの操作端は統括制御装置8からの操作信号により制御される。かかる操作により、前記コンバインドプラントの発電効率を制御できる。前記統括制御装置には、圧縮機に供給される空気温度を検出する温度検出器18の信号が伝達される。好ましくはさらに、湿度検出器19の信号が伝達されるようにする。温度検出器18や湿度検出器19は再循環排ガスの合流部或いは噴霧ノズル11の上流部に設置することができる。
【0098】
統括制御装置8からの指令により、プラント全体を制御し、再循環量,燃料量,空気量,水噴霧量を適正に制御する。たとえば、圧縮機入口温度を入力としてプラント効率を高くし、プラント負荷が一定となるように制御する。
【0099】
図12に統括制御装置の制御機構概要の一例を示す。まず負荷要求信号Ldと実負荷Lとの偏差を減算器AD1で求め、調節器PI1により燃料目標信号Fdを得る。そして燃料量目標信号Fdと実燃料量Fの偏差を減算器AD2で求め、調節器PI2により燃料量制御弁7を調節して燃焼器に投入する燃料量を決定する。このようにして燃料量の制御をすることができる。例えば、この制御では負荷が大きくなるほど燃焼器2に投入される燃料量が増大するようにすることができる。
【0100】
また、圧縮機入口温度から、好ましくは更に、圧縮機入口湿度から関数発生器3
(FG12)で再循環量の指令信号S1が出される。この信号は、調節器P13に与えられ、再循環制御手段10を制御する。また、関数発生器3(FG12)から噴霧ノズル
11からの噴霧量の指令信号S2が出される。この信号は、調節器P14に与えられ、給水流量調整弁12と空気流量調整弁15を制御して、噴霧ノズル11からの液滴の噴霧推量を制御する。
【0101】
また、燃焼温度をガスタービン排出ガス温度とコンプレッサ出口圧力から関数発生器4(FG12)において推定し、減算器AD2に印加して燃料量の修正制御を行うことが好ましい。
【0102】
圧縮機入口温度や外気温度が変動した場合に変動に応じて燃料を調整して、燃焼温度変動を抑制し燃焼温度一定になるために寄与する。これは、高プラント効率運転の実現のためには燃焼温度を一定に保つことも重要であるが、実運転では燃焼温度が変化することも有るために、たとえば、ガスタービンの実排ガス温度と圧縮機吐出圧力から推定した実際の燃焼温度を基に、燃焼温度の変動を抑制するように運転すると、水噴霧や再循環時に燃焼温度低下を抑制しつつ運転を図ることができる。これにより、燃料温度が低下して、効率が低下することを防止する。
【0103】
また、減算器AD1で負荷要求信号Ldと実負荷Lとの偏差を求め関数発生器3の出力を修正することが好ましい。負荷一定を図るために寄与する。
【0104】
関数発生器3の出力によって最高プラント効率運転を実現することが好ましい。
【0105】
実運転ではプラント効率が変化することも有るため、要求プラント効率ηdと実プラント効率ηの偏差を減算器AD5において算出し、減算器AD5の出力を減算器AD3,減算器AD4に印加して関数発生器1の出力を修正することが好ましい。これにより、実運転時であっても高効率運転を図ることができる。
【0106】
関数発生器3は、排ガス温度検出器24からの信号や圧縮機吐出空気の温度検出器23からの信号に基づいて、燃焼温度を算出して信号をAD2に出す。例えば、排ガス温度が低い場合より高い方が燃焼温度が高くなり、また、圧縮機吐出圧力が低い場合より高い場合燃焼温度が高くなるよう計算するようにすることができる。
【0107】
また、燃焼温度に相当する数値を他の手段により出力することも考えられる。
【0108】
関数発生器4は、圧縮機入口温度に基づき、噴霧ノズル11の噴霧量を制御する。また、再循環量を制御する。噴霧量等は、圧縮機入口空気湿度に基づいて補正されることが好ましい。気温が高くなるに従い、噴霧量(或いは噴霧量の制限値)は大きくなり、湿度が高い場合より低い場合に噴霧量(或いは噴霧量の制限値)は大きくなるようにすることができる。
【0109】
圧縮機に供給される空気の検知温度が設定された第1の温度領域の場合に前記再循環を行い、前記噴霧装置からの液滴の噴霧を停止し、前記検知温度が前記第1の温度領域より高い第2の温度領域の場合に、前記再循環を停止し、前記噴霧装置からの液滴の噴霧を停止し、前記第2の温度領域より高い第3の温度領域の場合に、前記再循環を停止し、前記噴霧装置からの液滴の噴霧を行うよう制御する。
【0110】
コンバインドプラントの効率が高い領域の上限と下限の温度を設定し、前記第1の温度域と第2の温度域との切換え温度、第2の温度域と第3の温度域との切換え温度とすることが好ましい。コンバインドプラントの効率が高い15℃以上22℃以下の温度から前記各温度を設定することが好ましい。プラントによってはこの領域から外れる場合は、プラントに応じて設定することが好ましい。
【0111】
圧縮機入口温度を監視して、プラント効率が最高となる圧縮機入口温度となり且つプラント負荷が常に一定となるように、再循環量と水噴霧量を制御することにある。
【0112】
前記第1の温度領域の場合、例えば、圧縮機入口温度がプラント効率が高効率となる吸気温度域よりも低い場合、圧縮機入口温度を入力とする関数発生器FG3において吸気温度が低いほど再循環率が大きくなる信号S1が求められる。
【0113】
この信号S1は調節器PI3に与えられ、再循環量制御手段10を制御する。前記信号S1は、再循環量を所望出力等により制御し、再循環量の制限値として利用することもできる。
【0114】
前記第2の温度領域の場合は、再循環及び噴霧ノズル11からの液滴噴霧を停止する。第3の温度領域の場合、例えば圧縮機入口温度がプラント効率が高効率となる吸気温度よりも高い場合、圧縮機入口温度,湿度を入力とする関数発生器FG1において吸気温度が高い、相対湿度が低いほど噴霧率が大きくなる信号S2が求められる。
【0115】
この信号S2は調節器PI4に与えられ、給水流量調整弁12と空気流量調整弁15を制御する。
【0116】
これにより、外気温度は変動しても再循環量制御と噴霧量制御によって圧縮機入口温度を一定にすることができるために、或いは変動を良好に抑制することができるので、大気温度が変動してもコンバインドプラントを高いプラント効率で運転することができる。
【0117】
その際、前記第2の温度域を介して、第1の温度域と第3の温度域を設けたので、相対湿度によってプラント効率が高い大気温度が変化するが、第2の温度域を設定することで、相対湿度によるプラントが最高となる大気温度の変化を考慮しなくて良いため、プラントの運転制御を容易にし、より現実に即した運転を行うことができる。また、外気温度が変動した場合にコンバインドプラントの効率が高い第2の温度域での制御を容易化することができる。外気温度変化があっても安定して高効率で所望の出力を得ることができる。
【0118】
これにより、温度変化に対して信頼性の高いプラントを形成することができる。
【0119】
また、場合によっては、前記第2温度領域を狭めて、ある設定温度の場合とすることもできる。かかる場合は、より高効率運転を図る際に適応することができる。プラント効率が高い大気温度を境界として排気再循環システムと水噴霧システムを切換えて使用できる。これにより、制御システムが容易となる。
【0120】
高効率運転に関して以下詳述する。プラント効率はプラント出力(ガスタービン出力と蒸気タービン出力)と燃料流量によって決定される。図14に大気温度による効率特性を示す。大気温度がプラント効率が最高となる大気温度より低くなると圧縮機吸込重量流量が増加する。一方、燃焼温度は一定であるので燃料流量は増加しガスタービン出力は増加する。
【0121】
蒸気サイクルへの影響としては圧縮機吸込重量流量の増加に伴うガスタービン排ガス流量の増加と大気温度が低くなることによるガスタービン排ガス温度の低下があるが、ガスタービン排ガス流量の影響が大きいため、蒸気タービン出力も増加する。
【0122】
但し、ガスタービン出力の増加割合に対し蒸気タービン出力の増加割合が小さいため、プラント出力としての増加割合は小さくなりプラント効率としては低下することになる。
【0123】
一方、大気温度がプラント効率が最高となる大気温度より高くなると、圧縮機吸込重量流量の減少に伴い、燃料流量も減少し、ガスタービン出力,蒸気タービン出力が低下するが、ガスタービン出力の低下割合が大きく、プラント効率は低下する。
【0124】
図15は大気温度とプラント出力の関係を示したものである。プラント出力は大気温度によって変化し、大気温度が低くなるにつれてプラント出力は増大し、破線のようになる。しかし、実際の発電プラントでは認可出力が定められており、その出力を超えるような運転はされないと考えられる。従って、認可出力になると実線のように大気温度に関わらず認可出力一定運転となり、この時カスタービンは部分負荷で運転される。また、大気温度が高くなると、ガスタービン圧縮機吸込重量流量,燃料流量が減少するためプラント出力は低下する。
【0125】
図16は大気温度によるプラント効率特性を示したものである。
【0126】
前記説明したコンバインドプラントでは、認可出力一定運転になるとガスタービンが部分負荷運転となるので、プラント効率が極端に低下する。しかし、本参考例により、ガスタービン吸気温度をプラント効率が高い大気温度と同じ状態にすることができる。
【0127】
例えば、ガスタービン排ガス流量に対して再循環率0〜40%でプラント効率を相対値で約0〜1.5% 改善することが可能である。また、プラント効率が高くなる領域の大気温度よりも圧縮機入口温度が高い場合、ガスタービン吸気に水噴霧ノズル11から液滴を噴霧しガスタービン吸気流量に対し、0〜0.2% の噴霧量でプラント効率を相対値で約0.1% 改善することが可能である。
【0128】
したがって、大気温度が低い場合には排気再循環システムによりガスタービン排ガスの一部を圧縮機入口に戻すことで圧縮機吸込重量流量を減少させプラント出力を低下することができるので、ガスタービンを部分負荷運転することなく、認可出力一定運転が可能となる。また、大気温度が高い場合には、吸気水噴霧システムにより、圧縮機吸込重量流量を増加させ、プラント出力を増加することができ、大気温度に依らず高効率で一定負荷運転を図ることができる。参考例7を図11〜図16を用いて説明する。
【0129】
参考例7は、基本的に参考例6の構造を有することができる。参考例6の制御に対して、圧縮機に供給される空気温度の検知温度が設定された第1の温度領域の場合に前記再循環を行い、前記噴霧装置からの液滴の噴霧を停止し、前記検知温度が前記第1の温度領域より高い第2の温度領域の場合に、前記噴霧装置からの液滴の噴霧の両方を起動し、前記第2の温度領域より高い第3の温度領域の場合に、前記再循環を停止し、前記噴霧装置からの液滴の噴霧を行うよう制御する点が相違する。
【0130】
第1の温度領域と第2の温度領域との切換え温度や、第2の温度領域と第3の温度領域との切換え温度は参考例6と同様に設定することもできる。図13に制御線の一例を示す。
【0131】
まず、第1の温度域(例えば、圧縮機入口温度がプラント効率が最高となる圧縮機入口温度よりも低い場合)には、圧縮機入口温度が低いほど、再循環量が多くなる制御とすることができる。
【0132】
第2の温度域(例えば、圧縮機入口温度がプラント効率が最高となる圧縮機入口温度を含む温度域)では、ガスタービン排ガスを再循環させ、水噴霧ノズル
11からの前記液滴噴霧を行う。
【0133】
本参考例では、図13では第2温度域は19℃以上25℃以下の場合を示す。好ましくは、第2温度域を設定値の高温側領域と低温側領域とに分ける。設定値はコンバインプラントの効率が高い値を基に設定することが好ましい。例えば、15℃から22℃とすることができる。設定値からプラスマイナス2℃〜3℃程度をもって第2の温度領域を設定することもできる。
【0134】
前記第2の温度域は、プラントが安定して運転できる温度域を設定するとよい。具体的には圧縮機入口温度幅が5℃程度にすることもできる。
【0135】
前記低温側領域では、再循環量を一定に保持すると共に吸気水噴霧システムを作動させる。水噴霧ノズルからの前記液滴の噴霧量(或いは噴霧量の制限値)は温度が低い場合より高い場合に高くなるように設定することが好ましい。プラント負荷を一定、プラント効率が高くなる圧縮機入口温度となるように噴霧量を制御することができる。圧縮機入口温度がプラント効率が最高となる圧縮機入口温度となるまでは再循環量は一定、噴霧量は圧縮機入口温度が高くなるほど増加する制御とすることができる。
【0136】
前記高温側領域では、噴霧量を一定にし、圧縮機に供給される空気温度が低い場合より高い場合に再循環量が少なくなるよう制御することが好ましい。
【0137】
第3の温度域(例えば、圧縮機入口温度がプラント効率が最高となる圧縮機入口温度よりも高い場合)には、ガスタービン排ガスの再循環を停止し、水噴霧ノズル11からの水噴霧を行う。例えば、圧縮機入口温度が高くなるほど噴霧量が多くなる制御とすることができる。
【0138】
これにより、外気温度が変動した場合であっても、高効率で一定不可運転ができる。
【0139】
外気温度が変動した場合であっても、燃焼排ガスの再循環と水噴霧ノズル11からの前記液滴噴霧を共に行う領域を有するので、第2の温度域での切換えをスムーズに行う。
【0140】
また、プラント効率の高い温度域での効率や出力が変動する恐れを抑制することができる。スムーズに前記液適噴霧や再循環を図り、出力変動を抑制し、所望の出力からの変動を抑制できる。
【0141】
前記第2温度領域、水噴霧ノズル11からの水噴霧とガスタービン排ガスの再循環との切換えが本温度領域近傍で生じる領域で(例えば、コンバインドプラントが高効率運転ができる温度域)、本参考例のような前記水滴噴霧と再循環を行
う温度領域を形成することにより、外気温度が急変しても迅速に応答して高効率運転ができる。また、外気温度が変動しても、高効率で負荷変動を抑えた運転(好ましくは一定負荷運転)に大きく寄与することができる。特に第2温度域での外気温度変動による前記液適噴霧量の変動や再循環量の変動させる際の出力の変動を抑制することが容易となる。
【0142】
本発明の実施例を説明する。先ず、実施例1を図17を用いて説明する。
【0143】
実施例1は、ガスタービン排ガス中の炭酸ガス(例えば、二酸化炭素)を減少させるに際して、炭酸ガスを濃縮させる炭酸ガス濃縮機構と、濃縮された炭酸ガスを含有する排ガスを供給して含まれる炭酸ガス濃度を減少させる炭酸ガス除去装置41を備えるものである。
【0144】
上記により、炭酸ガスを濃縮させた炭酸ガス含有排ガスを炭酸ガス除去装置41に導入して炭酸ガスを減小することができるので、例えば単にガスタービンプラントに炭酸ガス除去装置を設置した場合に比べて高効率で炭酸ガスを除去できる。また、従来型プラント設置される炭酸ガス除去装置と同じ除去性能を有する場合は炭酸ガス除去装置の小型化を図ることができる。
【0145】
このため、ガスタービン排ガスの流れる流路に設置する炭酸ガス除去装置が小型化できるので、圧力損失を抑制でき、ガスタービンの高効率運転に寄与できる。
【0146】
加えて、前記炭酸ガス濃縮機構として、本実施例のようにガスタービン排ガスを再循環させてガスタービンを運転して、高濃度の炭酸ガス排ガスを生成し、該高濃度のガスタービン排ガスが炭酸ガス除去装置に導入されるように形成することにより、更にガスタービンの高効率運転ができる。
【0147】
このように、ガスタービンの高効率運転を図りつつ、高効率で炭酸ガス除去ができるので、環境に配慮して環境にやさしいガスタービン或いはコンバインドプラントを形成するという基本効果を有する。
【0148】
また、前記噴霧ノズル11を前述の実施例のように運転することがさらに好ましい。
【0149】
ここで、図18に再循環率に対する排気ガス中の二酸化炭素の割合を示す。このように、排気再循環型プラントではガスタービン排ガスをガスタービン吸気側に戻してガスタービンサイクル内で循環させることで二酸化炭素の濃度が従来型プラントに比べて高くなる。再循環量が多くなるに従い排ガス中の炭酸ガス濃度も高くなる。このため、二酸化炭素の除去効率も高くなる。ガスタービン排ガス中の酸素濃度がゼロとなる条件、すなわち排気再循環割合を75%とした場合、排ガス中の二酸化炭素濃度は従来型プラントに比べ約4倍となる。尚、高効率に炭酸ガスの除去を図りつつ、ガスタービンの燃焼安定性の高い再循環運転を図るためには、再循環量をガスタービン排ガスの流量の75%より少なくすることが好ましい。
【0150】
炭酸ガス除去装置の性能は炭酸ガスの濃度,体積流量,伝達面積に比例するので、炭酸ガス除去装置の性能が同じであれば、炭酸ガスの濃度が4倍になれば、伝達面積を1/4にすることができる。また、例えば再循環率はガスタービン排ガスの3/4以下であって再循環率が高い領域で運転することにより、より効率的に炭酸ガスを除去でき、プラントへの熱回収量が多くなり高効率運転に寄与できる。
【0151】
実施例1は、基本的に参考例6の構造を有することができる。参考例6の構造に加えて、排気経路31に炭酸ガス除去装置41aを設定している例を示す。
【0152】
ガスタービン3で排出された排ガスは、再循環手段9を経てコンプレッサ1上流側に供給される。大気と再循環された排気ガスとの混合ガスはコンプレッサ1に導入され昇圧される。コンプレッサ1から吐出される前記混合ガスと燃料は燃焼器2に導入されて燃焼される。再循環手段9を持たない単なるガスタービンより炭酸ガス濃度の高い燃焼排ガスが燃焼器2から排出されガスタービン3を駆動する。高炭酸ガス濃度の排ガスの一部は再循環手段9へ分岐され、残りは該分岐部より下流側の排ガス経路31に設置された炭酸ガス除去装置41aに導入されて炭酸ガス濃度を減少させる。炭酸ガス濃度を減少した排ガスは煙突等から大気へ排出される。
【0153】
これにより、前記基本効果に加えて、本炭酸ガス除去装置41をガスタービンと再循環手段9との分岐部との間の排ガス経路32や再循環手段9に設置するのと比較しても、炭酸ガス除去装置41に供給する排ガス中の炭酸ガス濃度を高く維持することができる。このため、かかる点で高効率に炭酸ガスを除去する運転ができる。また、このため、それほど高効率を求めない場合は、所望の性能を得つつ、炭酸ガス除去装置41を小型化することができる。また、小型化のためにガスタービン排ガス経路での圧力損失を低減でき、係る点においてもガスタービンの高効率運転に寄与することができる。また、ガスタービン排ガス流量のうち、再循環手段9で分岐された残りの大気へ排出される流量が炭酸ガス除去装置9に導入されるので、流量が少なくてすみ、係る点においても圧力損失を抑制することができ、ガスタービンの高効率運転に寄与する。
【0154】
また、再循環量を変動するよう制御した場合であっても、大気に排出する炭酸ガスの制御が容易となる。
【0155】
炭酸ガス除去装置41は、例えば、炭酸ガス除去装置に供給される炭酸ガス濃度を5%から10%程度減少させる炭酸ガス除去性能を有するものを使用することができる。例えば、アミン系吸収剤を用いたものとすることができる。
【0156】
また、例えば再循環手段9の分岐部より下流側に排熱回収ボイラ4がある場合は、よりコンパクト化を図る点や材料強度等の観点から炭酸ガス除去装置は排熱回収ボイラの下流側であることが好ましい。排ガス経路の機器の簡素化からは排熱回収ボイラ内に設置することも考えられる。
【0157】
実施例2を図17を用いて説明する。
【0158】
実施例2は、基本的には実施例1の構造を採用することができる。
【0159】
実施例2は実施例1の炭酸ガス除去装置41aに代えて、ガスタービンと再循環手段9への分岐部との間の排ガス経路32に炭酸ガス除去装置41bを設置する。
【0160】
ガスタービン3で排出された排ガスは、再循環手段9を経てコンプレッサ1上流側に供給される。大気と再循環された排気ガスとの混合ガスはコンプレッサ1に導入され昇圧される。コンプレッサ1から吐出される前記混合ガスと燃料は燃焼器2に導入されて燃焼される。再循環手段9を持たない単なるガスタービンより炭酸ガス濃度の高い燃焼排ガスが燃焼器2から排出されガスタービン3を駆動する。高炭酸ガス濃度の排ガスは炭酸ガス除去装置41bに導入されて炭酸ガス濃度を減少させる。炭酸ガス濃度を減少した排ガスの一部は再循環手段9へ分岐され、残りは煙突等から大気へ排出される。
【0161】
このように、前述の実施例1の基本効果に加えて、再循環手段9や排ガス経路31に炭酸ガス除去手段41を設置する場合より、大流量の高炭酸ガス濃度の排ガスを炭酸ガス除去装置41bに供給することができる。このため、炭酸ガス除去装置41bの単位体積当りの炭酸ガス捕捉量が多くなり、炭酸ガス除去効率を向上させることができる。また、それほど高効率を求めないならば、所望の性能を得つつ、炭酸ガス除去装置41の小型化を図ることができる。
【0162】
実施例3を図17を用いて説明する。
【0163】
実施例3は、基本的には実施例1の構造を採用することができる。
【0164】
実施例3は実施例1の炭酸ガス除去装置41aに代えて、再循環手段9に炭酸ガス除去装置41cを設置する。
【0165】
ガスタービン3で排出された排ガスは、再循環手段9を経てコンプレッサ1上流側に供給される。大気と再循環された排気ガスとの混合ガスはコンプレッサ1に導入され昇圧される。コンプレッサ1から吐出される前記混合ガスと燃料は燃焼器2に導入されて燃焼される。再循環手段9を持たない単なるガスタービンより炭酸ガス濃度の高い燃焼排ガスが燃焼器2から排出されガスタービン3を駆動する。高炭酸ガス濃度の排ガスの一部は再循環手段9へ分岐され、残りは煙突等から大気へ排出される。再循環手段9へ分岐された排ガスは、炭酸ガス除去装置41bに導入されて炭酸ガス濃度を減少させる。炭酸ガス濃度を減少した排ガスは再びコンプレッサ1へ供給される。
【0166】
このように、前述の実施例1の基本効果に加えて、排ガスから大気へ放出する経路に圧力損失を生じる炭酸ガス除去装置41を設置しなくともよいので、ガスタービン高効率運転に寄与する事ができる。また、既に設置されたガスタービンプラントに追加設置する場合も含めて、炭酸ガス除去装置41cの設置が容易である。また、再循環手段を必要に応じて使用するガスタービンプラントにおいては、ガスタービン排ガスが常に流れる系統とは別に炭酸ガス除去装置41cを設置したので、メンテナンスが容易となる。たとえば、炭酸ガス除去装置41cをメンテナンスする場合であっても、再循環ラインに流れ込む排ガスを閉止することにより、ガスタービン運転を継続しつつメンテナンスができることも考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0167】
【図1】本発明の参考例の概要図。
【図2】統括制御装置の制御概要図。
【図3】圧縮機内部の翼周辺流体挙動を示す図。
【図4】水噴霧による圧縮機内のインシデンス変化を示す図。
【図5】再循環率と噴霧率の関係を示す図。
【図6】噴霧ノズル位置概要図。
【図7】統括制御装置の制御概要図。
【図8】圧縮機出口温度と噴霧率の関係を示す図。
【図9】負荷ー再循環率ー混合気温度の関係を示す図。
【図10】負荷に対する熱効率を示す図。
【図11】本発明の参考例の概要図。
【図12】統括制御装置の制御概要図。
【図13】制御線の概要図。
【図14】大気温度による効率特性を示す概要図。
【図15】大気温度とプラント出力を示す概要図。
【図16】大気温度によるプラント効率を示す概要図。
【図17】本発明の実施例の概要図。
【図18】再循環率に対する排ガス中の酸素および二酸化炭素の割合を示す概要図。
【符号の説明】
【0168】
1…コンプレッサ、2…燃焼器、3…ガスタービン、4…排熱回収ボイラ(HRSG)、5…蒸気タービン、6…発電機、7…燃料供給系、8…統括制御装置、9…排気再循環手段、10…排気再循環量調整弁、11…噴霧ノズル、12…給水流量調整弁、13…給水タンク、14…給水ポンプ、15…空気流量調整弁、16…中央給電指令所。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気を圧縮する圧縮機と、該圧縮機から吐出される圧縮空気と燃料とを燃焼させる燃焼器と、該燃焼器からの燃焼ガスにより駆動されるガスタービンと、ガスタービン排ガスの一部を前記圧縮機入口に再循環させる再循環経路と、
ガスタービン排ガスの流路に設置され、前記再循環された前記排ガスを含む空気が前記燃焼器に導入されて排出された燃焼排ガス中の炭酸ガス濃度を減少させる炭酸ガス除去装置と、
を備えたことを特徴とするガスタービン装置。
【請求項2】
請求項1のガスタービン装置において、
前記炭酸ガス除去手段は、前記排ガスの経路のうち前記再循環経路との分岐部と前記排ガスを大気に放出する放出部との間に配置される
ことを特徴とするガスタービン装置。
【請求項3】
請求項1のガスタービン装置において、
前記炭酸ガス除去手段は、前記排ガスの経路のうち前記ガスタービンと前記再循環経路との分岐部との間に配置される
ことを特徴とするガスタービン装置。
【請求項4】
請求項1のガスタービン装置において、
前記炭酸ガス除去手段は、前記再循環経路に設置される
ことを特徴とするガスタービン装置。
【請求項5】
圧縮機で空気を圧縮し、該圧縮した空気と燃料とを燃焼器で燃焼させ、該燃焼器からの燃焼排ガスによりガスタービンを駆動し、前記排ガスの一部を再循環経路を経て前記圧縮機入口に再循環させ、
前記再循環された前記排ガスを含む空気を用いて燃料を前記燃焼器で燃焼させ、該燃焼させて排出された燃焼排ガス中の炭酸ガス濃度を減少させる
ことを特徴とするガスタービン装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2006−132931(P2006−132931A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20804(P2006−20804)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【分割の表示】特願平10−181897の分割
【原出願日】平成10年6月29日(1998.6.29)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】