説明

ガスバーナー高さ調整装置及びその装置を有するガスコンロ

【課題】ガスバーナーをガス台に対して上下動できる従来のガスコンロは、上下動する距離を長くするとガス台が大きくなってしまうという欠点があった。また、ガスバーナー上下動装置はガスバーナーの一側面のみを押圧しているので、ガスバーナーが傾き上下動の動きが悪くなり、ガス放出面も傾くので加熱効率も悪くなっていた。
【解決手段】本発明のガスコンロは、ガス台と、上記ガス台に設けたガスバーナーと、上記ガスバーナーを上記ガス台に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー高さ調整装置とよりなり、上記ガスバーナー高さ調整装置は、上記ガス台に水平面内で回転自在に設けた回転台と、上記回転台を回動せしめる回動装置と、上記回動装置に連動して、上記ガスバーナーを上記ガス台に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー上下動装置とよりなることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスバーナー高さ調整装置及びその装置を有するガスコンロ、特に、ガスバーナーの高さをスムーズに調整できるガスバーナー高さ調整装置及びその装置を有するガスコンロに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図20及び図21は従来のガスコンロを示し、1はガス台、2は上記ガス台1内の取付台3上に固定したガスバーナー、4は上記ガス台1の上面に設けた開口部、5は上記開口部4に設けた受け皿、6は上記ガス台1の上面に載置せしめたゴトク、7は上記ゴトク6上に載置した鍋、8は上記ガスバーナー2の火力調整つまみである。
【0003】
上記従来のガスコンロにおいては、炎の大小により火力を調整をしているので、火力を弱くした場合には、ガスバーナー2の炎9が鍋7の底面から離れてしまい熱効率が悪くなり、また、火力を強くした場合には、炎9の根元部分が鍋7の底面に当たり温度の高い炎の先端が乱れるので熱効率が悪かった。
【0004】
そのため、図22に示すように、ガスバーナー2の下面に固定した基部10の側面に上下方向にラック11を設け、上記ラック11に噛み合わせたピニオン12をつまみ13により回動せしめることにより上記基部10を上下動せしめるガスコンロがある。このようなガスコンロとしては特許文献1がある。
【特許文献1】実開昭63−159615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来のガスコンロにおいては、ガスバーナー2を上下動せしめる距離が長いほど、上記基部10を長くとる必要があり、ガスコンロが大きくなってしまうという欠点があった。また、ピニオン12がガスバーナー2の基部10の一側面のみを押圧しているので、使用するうちにガスバーナー2の軸が垂直方向に対して傾き、ガスバーナー2をスムーズに上下動できなかった。また、ガスバーナー2の軸が傾けばガスバーナー2の上面のガス放出面が傾き、また、空気供給が悪くなり加熱効率が悪くなっていた。
【0006】
本発明は上記の欠点を除き、ガスバーナーをスムーズに上下動できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のガスコンロは、ガス台と、上記ガス台に設けたガスバーナーと、上記ガスバーナーを上記ガス台に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー高さ調整装置とよりなり、上記ガスバーナー高さ調整装置は、上記ガス台に水平面内で回転自在に設けた回転台と、上記回転台を回動せしめる回動装置と、上記回動装置に連動して、上記ガスバーナーを上記ガス台に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー上下動装置とよりなることを特徴とする。
【0008】
また、上記ガスバーナー上下動装置は、ガスバーナーに設けた、外方に伸びる複数の係合部片と、上記回転台に固定した、上記各係合部片の遊端を斜め方向に移動自在にガイドする傾斜ガイド部を有する複数の板片と、上記回転台の上記各板片にそれぞれ対応して上記ガス台に固定した、上記各係合部片の遊端を上下方向に移動自在にガイドする上下ガイド部を有する複数の板片とよりなることを特徴とする。
【0009】
また、本発明のガスバーナー高さ調整装置は、ガス台に水平面内で回転自在に設けた回転台と、上記回転台を回動せしめる回動装置と、上記回動装置に連動して、上記ガスバーナーを上記ガス台に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー上下動装置とよりなり、上記ガスバーナー上下動装置は、ガスバーナーに設けた、外方に伸びる複数の係合部片と、上記回転台に固定した、上記各係合部片の遊端を斜め方向に移動自在にガイドする傾斜ガイド部を有する複数の板片と、上記回転台の上記各板片にそれぞれ対応して上記ガス台に固定した、上記各係合部片の遊端を上下方向に移動自在にガイドする上下ガイド部を有する複数の板片とよりなることを特徴とする。
【0010】
上記傾斜ガイド部は、上記板片の上端に設けた傾斜面または、上記板片に設けた斜め方向に伸びる長孔であることを特徴とする。
【0011】
上記上下ガイド部は上記板片の上端から下方に延びる長溝または、上記板片に設けた上下方向に伸びる長孔であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のガスバーナー高さ調整装置によれば、鍋等に対する炎の位置を最適に設定できるので、火力を強くしても弱くしても最適の位置でガスの炎を使用でき、ガス効率が良いという大きな利益がある。
【0013】
また、水平回転を上下運動に変換するガスバーナー上下動装置を用いているので、ガス台の高さを小さくすることができ、また、ガスバーナーをスムーズに上下動せしめることができるので、長期に渡って安定して鍋を加熱することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下図面によって本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明のガスコンロは、図1及び図2に示すように、ガス台1と、上記ガス台1内の取付台3上に固定したガスバーナー2と、上記取付台3に枢支部14を介して水平面内で回転自在に設けた円環状の回転台15と、上記回転台15を回動せしめる回動装置16と、上記回動装置16に連動して、上記ガスバーナー2を上記回転台15に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー上下動装置17とよりなる。
【0016】
上記枢支部14は、図3及び図4に示すように、上記取付台3に互いに等距離に離間して固定した3つの軸受18よりなり、上記軸受18は、上記取付台3に垂立せしめて固定したピン19と、上記ピン19に回転自在に設けたベアリング20と、上記ベアリング20の抜け止めのEリング21とよりなり、上記3つの軸受18により上記回転台15をその縁部から挟持せしめ、上記回転台15を上記取付台3に対して回転自在に支持せしめる。
【0017】
上記回動装置16は、図3及び図5に示すように、上記回転台15の上面外周部に設けたクラウンギヤ22と、上記クラウンギア22に噛合うピニオンギヤ23と、上記ピニオンギヤ23の軸24と、上記ピニオンギヤ23の軸24の端部にギヤ部25を介して設けた高さ調整用の回転つまみ26とよりなる。
【0018】
上記ガスバーナー上下動装置17は、図6〜図8に示すように、上記回転台15の上面に互いに等距離に離間して固定した、斜め方向に伸びる傾斜長孔27を有する3つの板片28と、上記回転台15の各板片28にそれぞれ対応して上記取付台3に固定した、上下方向に伸びる上下長孔29を有する3つの板片30と、図1及び図9に示すように、上記ガスバーナー2の側面に互いに等間隔に離間して固定した、その遊端が上記回転台15に固定した各板片28の傾斜長孔27と上記取付台3に固定した各板片30の上下長孔29に挿入される3本の棒体31とよりなる。
【0019】
なお、上記回転台15に固定した各板片28の傾斜長孔27の傾斜方向はそれぞれ同じ方向に伸びる。
【0020】
また、図6及び図9に示すように、上記ピニオンギヤ23が上記クラウンギヤ22の中央部にあるとき、上記ガスバーナー2の棒体31が、上記回転台15の板片28の傾斜長孔27及び上記取付台3の板片30の上下長孔29の中央部に位置せしめ、この場合において、図10に示すように、通常の火力(中火)において、炎9の先端と鍋7の底部とが最適になるようにガスバーナー2とガス台1との距離を調整せしめる。
【0021】
本発明のガスコンロは上記のような構成であるから、図11及び図12に示すように、上記高さ調整用の回転つまみ26を回動せしめて、上記回転台15を上記取付台3に対して相対的に時計方向に回動せしめれば、上記ガスバーナー2の棒体31は上記取付台3の板片30の上下長孔29により左右方向の移動が規制されているので、上記ガスバーナー2の棒体31は上記回転台15の板片28の傾斜長孔27内を斜め上方に移動し、また、上記板片30の上下長孔29内を上方に移動し、図13に示すように、上記ガスバーナー2がガス台1に対して上方に移動し、炎の高さが低い場合であっても、炎9と鍋7の底面との距離を最適の距離とすることができる。
【0022】
また、図14及び図15に示すように、上記高さ調整用の回転つまみ26を回動せしめて、上記回転台15を上記取付台3に対して相対的に反時計方向に回動せしめれば、上記同様に上記ガスバーナー2の棒体31は上記取付台3の板片30の上下長孔29により左右方向の移動が規制されているので、上記ガスバーナー2の棒体31は上記板片28の傾斜長孔27内を斜め下方に移動し、また、上下長孔29内を下方に移動し、図16に示すように、上記ガスバーナー2がガス台1に対して下方に移動し、炎の高さが高い場合であっても、炎9と鍋7の底面との距離を最適にすることができるようになる。
【0023】
なお、上記ガスバーナー2の側面に棒体31を設ける代わりに、図17に示すように、上面に上記ガスバーナー2の下部に嵌合可能な凹部を有し、側面に互いに等間隔に離間して、例えばその側面の一部を切り起こして外方に突出せしめた3本の突片32を有する皿状の受け部材33を用い、上記各突片32の遊端を上記回転台15に固定した各板片28の傾斜長孔27と上記取付台3に固定した各板片30の上下長孔29に挿入せしめ、上記受け部材33の凹部に上記ガスバーナー2の下部を嵌合せしめ、上記ガスバーナー2をガス台に対して上下動可能ならしめてもよい。なお、上記受け部材33と上記ガスバーナーを遊嵌せしめ、上記受け部材33に連動して、上記ガスバーナー2を上下動ならしめてもよい。
【0024】
また、上記回転台15に傾斜長孔27を有する板片28を固定する代わりに、図18に示すように、上端を傾斜せしめた傾斜面34を有する板片35を上記回転台15に固定せしめてもよい。
【0025】
また、上記取付台3に上下長孔29を有する板片30を固定する代わりに、図19に示すように、上端から下方に伸びる上下長溝36を有する板片37を上記取付台3に固定せしめてもよい。
【0026】
本発明のガスバーナー高さ調整装置によれば、鍋等に対する炎の位置を最適に設定できるので、火力を強くしても弱くしても最適の位置でガスの炎を使用でき、ガス効率が良いという大きな利益がある。
【0027】
また、水平回転を上下運動に変換するガスバーナー上下動装置を用いているので、ガス台の高さを小さくすることができ、また、ガスバーナーをスムーズに上下動せしめることができるので、長期に渡って安定して鍋を加熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明のガスコンロの要部の説明用平面図である。
【図2】本発明のガスコンロの要部の縦断側面図である。
【図3】本発明のガスコンロの回転台と回動装置の説明用平面図である。
【図4】本発明のガスコンロの枢支部の説明用縦断側面図である。
【図5】本発明のガスコンロの回動装置の説明用縦断側面図である。
【図6】本発明のガスコンロのガスバーナー上下動装置の説明用平面図である。
【図7】本発明のガスコンロのガスバーナー上下動装置の要部の説明用側面図である。
【図8】本発明のガスコンロのガスバーナー上下動装置の要部の説明用側面図である。
【図9】本発明のガスコンロのガスバーナー上下動装置の要部の説明用側面図である。
【図10】本発明のガスコンロの説明用側面図である。
【図11】本発明のガスコンロのガスバーナー上下動装置の説明用平面図である。
【図12】本発明のガスコンロのガスバーナー上下動装置の説明用側面図である。
【図13】本発明のガスコンロの説明用側面図である。
【図14】本発明のガスコンロのガスバーナー上下動装置の説明用平面図である。
【図15】本発明のガスコンロのガスバーナー上下動装置の説明用側面図である。
【図16】本発明のガスコンロの説明用側面図である。
【図17】本発明のガスコンロの他の実施例のガスバーナー上下動装置の要部の説明用側面図である。
【図18】本発明のガスコンロの他の実施例のガスバーナー上下動装置の要部の説明用側面図である。
【図19】本発明のガスコンロの他の実施例のガスバーナー上下動装置の要部の説明用側面図である。
【図20】従来のガスコンロの説明用平面図である。
【図21】従来のガスコンロの説明用側面図である。
【図22】従来の他のガスコンロの説明用斜視図である。
【符号の説明】
【0029】
1 ガス台
2 ガスバーナー
3 取付台
4 開口部
5 受け皿
6 ゴトク
7 鍋
8 火力調整つまみ
9 炎
10 基部
11 ラック
12 ピニオン
13 つまみ
14 枢支部
15 回転台
16 回動装置
17 上下動装置
18 軸受
19 ピン
20 ベアリング
21 Eリング
22 クラウンギヤ
23 ピニオンギヤ
24 軸
25 ギヤ部
26 回転つまみ
27 傾斜長孔
28 板片
29 上下長孔
30 板片
31 棒体
32 突片
33 皿状受け部材
34 傾斜面
35 板片
36 上下長溝
37 板片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス台と、上記ガス台に設けたガスバーナーと、上記ガスバーナーを上記ガス台に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー高さ調整装置とよりなり、
上記ガスバーナー高さ調整装置は、上記ガス台に水平面内で回転自在に設けた回転台と、上記回転台を回動せしめる回動装置と、上記回動装置に連動して、上記ガスバーナーを上記ガス台に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー上下動装置とよりなることを特徴とするガスコンロ。
【請求項2】
上記ガスバーナー上下動装置は、ガスバーナーに設けた、外方に伸びる複数の係合部片と、上記回転台に固定した、上記各係合部片の遊端を斜め方向に移動自在にガイドする傾斜ガイド部を有する複数の板片と、上記回転台の上記各板片にそれぞれ対応して上記ガス台に固定した、上記各係合部片の遊端を上下方向に移動自在にガイドする上下ガイド部を有する複数の板片とよりなることを特徴とする請求項1記載のガスコンロ。
【請求項3】
ガス台に水平面内で回転自在に設けた回転台と、上記回転台を回動せしめる回動装置と、上記回動装置に連動して、上記ガスバーナーを上記ガス台に対して相対的に上下動せしめるガスバーナー上下動装置とよりなり、
上記ガスバーナー上下動装置は、ガスバーナーに設けた、外方に伸びる複数の係合部片と、上記回転台に固定した、上記各係合部片の遊端を斜め方向に移動自在にガイドする傾斜ガイド部を有する複数の板片と、上記回転台の上記各板片にそれぞれ対応して上記ガス台に固定した、上記各係合部片の遊端を上下方向に移動自在にガイドする上下ガイド部を有する複数の板片とよりなることを特徴とするガスバーナー高さ調整装置。
【請求項4】
上記傾斜ガイド部は、上記板片の上端に設けた傾斜面または、上記板片に設けた斜め方向に伸びる長孔であることを特徴とする請求項2記載のガスコンロ。
【請求項5】
上記傾斜ガイド部は、上記板片の上端に設けた傾斜面または、上記板片に設けた斜め方向に伸びる長孔であることを特徴とする請求項3記載のガスバーナー高さ調整装置。
【請求項6】
上記上下ガイド部は上記板片の上端から下方に延びる長溝または、上記板片に設けた上下方向に伸びる長孔であることを特徴とする請求項2記載のガスコンロ。
【請求項7】
上記上下ガイド部は上記板片の上端から下方に延びる長溝または、上記板片に設けた上下方向に伸びる長孔であることを特徴とする請求項3記載のガスバーナー高さ調整装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2009−150617(P2009−150617A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330085(P2007−330085)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(390024327)チューナー株式会社 (3)
【Fターム(参考)】