説明

ガスメータ

【課題】ガスメータに簡便な構成を付加するだけで、バルブシートの不具合が確認できるようにすること。
【解決手段】膜部により区画される一対の計量室を設け、その計量室へガスを給排出する分配部を設け、分配部と協働してガスを給排出制御可能にする弁部を設け、ガスの給排出にともなって、往復動する膜部を設け、弁部に設けた揺動バルブと、分配部に設けられたバルブシートVsとの相対姿勢が変更されてガスの給排出が制御される膜式のガスメータであって、バルブシートVsの部位Vs1に応力を受けた状態で発光する応力発光材料を含有してなる応力発光部を設けてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜部により区画される一対の計量室を設け、その計量室へガスを給排出する分配部を設け、前記分配部と協働して前記ガスを給排出制御可能にする弁部を設け、前記ガスの給排出にともなって、往復動する膜部を設け、前記弁部に設けた揺動バルブと、前記分配部に設けられたバルブシートとの相対姿勢が変更されてガスの給排出が制御される膜式のガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスを消費する住居等のガス消費部には、ガス消費部へ供給されるガスを計量する計量部を内部に設けてあるガスメータが設置されている。
【0003】
このようなガスメータとして、膜部を挟んで一対の計量室が設けられ、これら計量室の一方にメータに供給されるガスを供給し、この供給状態において、他方の計量室から、その空間内にあるガスを排出し、このガスの供給・排出に伴う膜部の往復動を検出することで、メータを通過するガス量を計量する膜式ガスメータが知られている。
【0004】
前記各計量室へのガスの供給・排出は、前記膜部の往復動が、この膜部に連接される翼、翼軸の揺動として取り出され、この揺動がリンク機構を介して前記弁部に備えられるバルブに伝達され、バルブが動作する。このバルブ動作に従って、メータのガス供給口に連通連結される計量室と、メータのガス排出口に連通接続される計量室とが入れ替わることで、メータを介して流れるガスにより、膜部の往復動を良好に維持することができる。
【0005】
さて、この種の膜式ガスメータとしては、バルブ形状として扇型の揺動バルブを有するバルブ揺動型のメータ(特許文献1)が知られている。
【0006】
バルブ揺動型のメータでは、扇型の揺動バルブは、その下面がバルブシート部に接触する状態で所定の軸周りに揺動し、揺動バルブとバルブシート部とが相対摺動する状態で長期間にわたって使用される。この揺動バルブとバルブシート部間との摺動面では、ガスを所定の計量室に導くため、一定のシール性と摺動性とが要求される。
【0007】
従来、揺動バルブとバルブシート部とに関しては、その構成材料として、カーボン含有フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂等が採用されてきた。これら部位の材料は、上記摺動面について、所定の寿命期間に亘って、そのシール性及び摺動性を確保できるものとされてきた。
【0008】
この種のガスメータに設けられている計量部、特に、ガスを計量するための膜部を備えたガスメータの計量部は、長期にわたって屋外等で使用された場合経時劣化が発生し、計量精度が低下することがある。
【0009】
また、このような計量部の経時劣化による計量精度の低下を抑制するために、このようなガスメータは、例えば、10年毎等の定期的に分解・点検され、更に、回収された使用後のガスメータは、上記計量部等の熱劣化が発生していると予測される部品を交換又は補修した後に再使用所謂リサイクルされる場合がある。
【0010】
そして、このような交換又は補修を行う間隔は、部品における劣化状態にあわせてできるだけ長く設定した方が経済的に有利である。
【0011】
特に、バルブシートに関しては、平坦でかつ揺動バルブに対する摺動性の高いことが求められるが、前記バルブシートに無理な応力がかかった状態で取付けられていたような場合や、異物が付着した状態で取付けられていたような場合、バルブシートに対して摺動するバルブから無理な力がかかった場合、あるいは、熱劣化等の劣化度にムラが生じている場合には、前記バルブシートの使用中に内部にひずみが発生するなどして、揺動バルブに対する摺動性が低下するという問題が発生する場合がある。このような状態で前記バルブシートが長期にわたって使用された場合、前記揺動バルブに負荷がかかり、動作不良などにつながる場合もある。
【0012】
しかし、直接部品を目視により検査したとしても、バルブシートは外観上損傷しておらず、かつ、材料的にも熱劣化等の不具合が生じるに至っていない場合には、長期使用等により歪が発生していたとしても簡単には見分けることができない。
【0013】
そこで、特許文献2に示すように、計量部内に、前記計量部内の圧力を監視する圧力センサを設けて、揺動バルブやバルブシートの異常動作に伴う圧力変動を検知し、前記バルブシートの不具合を早期に検出することが考えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2001−201383号公報
【特許文献2】特開2002−188948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかし、新規に圧力センサを設けたとしても、圧力センサの検知した異状が前記計量部内のどの部分に起因するのかは明確ではないという問題がある。また、構造が複雑化するため、ガスメータとしてのコストアップは避けられないという問題があった。また、圧力センサの配置についても、ガスメータの計量機能に悪影響を及ぼさないように計量室内に設けるには制約が多く、計量機能への悪影響も懸念される。
【0016】
本発明の目的は、上記実情に鑑み、ガスメータに簡便な構成を付加するだけで、前記バルブシートの不具合が確認できるようにすることにあり、これにより、信頼性の高いガスメータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
〔構成〕
本発明のガスメータの特徴構成は、膜部により区画される一対の計量室を設け、その計量室へガスを給排出する分配部を設け、前記分配部と協働して前記ガスを給排出制御可能にする弁部を設け、前記ガスの給排出に伴って、往復動する膜部を設け、前記膜部の往復動に伴って前記弁部に設けた揺動バルブと、前記分配部に設けられたバルブシートとの相対姿勢が変更されてガスの給排出が制御される膜式のガスメータであって、
前記バルブシートに応力を受けた状態で発光する応力発光材料を含有してなる応力発光部を設けてある点にある。
【0018】
〔作用効果〕
つまり、本願にかかる膜部を設けたガスメータにおけるバルブシートに対して、揺動バルブが摺動することによってガスの給排出が行われる。このとき、前記バルブシートには、揺動バルブとの摺動や、その他不測の外力による負荷がかかる場合がある。ここで、前記バルブシートの負荷がかかった場合、負荷部位には歪による応力が残ることになる。この部位に応力発光材料を含有してなる応力発光部を設けてあると、前記部位は、前記歪による応力に基づいて発光する。この発光は、残存する応力に基づいて発生するものであるから、上述の分解・点検の際に、バルブシートの歪状態に応じた発光が観測されることになり、バルブシートの交換時期を知ることができるようになる。
【0019】
尚、応力発光材料としては、スピネル構造、コランダム構造、ウルツ構造、FeS2構造,メリライト構造またはβアルミナ構造のもののほか、ケイ酸塩の応力発光体や、欠陥制御型アルミン酸塩の高輝度応力発光体などが知られている。
【0020】
〔構成〕
また、前記応力発光部が、ユウロピウム添加アルミン酸ストロンチウムまたはマンガン添加硫化亜鉛を添加した樹脂材料を主成分とするものを用いることができる。
【0021】
〔作用効果〕
上記の応力発光材料のなかでも、ユウロピウム添加アルミン酸ストロンチウムまたはマンガン添加硫化亜鉛は、歪応力に基づいて、前者は緑色、後者は黄橙色を発し、容易に歪位置を視認できるため好ましい。特に、人間の視感度は500nm〜600nmの緑色領域が最も優れていることもあり、ユウロピウム添加アルミン酸ストロンチウムの発光は、肉眼でも十分に確認することができる。
【0022】
尚、応力発光部は、前記バルブシート自体にユウロピウム添加アルミン酸ストロンチウムに代表される応力発光材料を含有させることによって設けることができるが、単に、これら応力発光材料を含有してなる樹脂塗料を塗布により設けることによっても形成することができる。また、応力発生材料を含有する樹脂材料をテープ状に成型して貼着することによって設けることもできる。
【0023】
また、応力発光部を設ける部位は、バルブシートにおける前記揺動バルブの摺動部およびその周辺となるが、前記摺動部の摺動性能を損なわないためには、前記摺動部の周辺とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0024】
したがって、ガスメータの分解・点検の際に、目視では確認困難な歪応力を可視化して監査することができるので、バルブシートのリサイクル(継続使用)の可否を容易にかつ正確に判断することができ、ガスメータの動作の信頼性を高めるとともに、長期にわたってかつ経済的にガスメータを使用することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ガスメータの斜視図
【図2】ガスメータの要部の縦断面図
【図3】ガスメータの要部の分解斜視図
【図4】ガスメータの要部の斜視図
【図5】ガスメータの要部の平面図
【図6】ガスメータの分解図
【図7】ガスメータの台座部を示す図、(a)は平面図、(b)は断面図
【図8】ガスメータに取り付けられるバルブシートを示す平面図
【図9】揺動バルブを示す図、(a)は平面図、(b)は断面図(c)下面図
【図10】検査方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
尚、以下の説明では、本発明に係るガスメータの実施形態として、膜式ガスメータの構成に関して説明する。
【0027】
〔膜式ガスメータ〕
膜式ガスメータ100は、図1に示すように、ガス供給口1及びガス排出口2を備えた外装ケーシングCを用いて組み付けて構成してあり、ガス供給口1及びガス排出口2により、住宅等のガス需要先にガスを供給するガス供給管(図示省略)の途中に接続して、ガス供給管を流れるガスの流量を計測して、外装ケーシングCの外部に設けた表示部3に計測したガス流量を表示するように構成してある。
【0028】
外装ケーシングCは、図1、図2に示すように、下ケーシングC1及び上ケーシングC2から成る。前記上ケーシングC2には、膜式ガスメータ100に供給されるガス圧力を検出する圧力センサ、地震の震動を検出する感震器、及び、ガス供給遮断弁、これらを制御するための制御部7を設けた制御基盤等の部品を収容する部品収容室を形成する。
【0029】
図3に示すように、膜式ガスメータ100は、計量室4へのガスの給排を制御する弁部V、計量室4へのガスの給排により往復動する膜部F、その膜部Fの1往復で1回転するように、膜部Fにリンク機構Lにて連動連結された回転体R、その回転軸芯から径方向に離れた位置に位置して、膜部Fの往復動に伴って、その回転軸芯周りに回転するように設けられた磁石5、その磁石5が特定回転位相に回転したときに動作するリードスイッチ6、及び、そのリードスイッチ6からの信号と前記設定計測基準流量とに基づいて流量を求めると共に求めた流量を上述の表示部3に表示させる制御部7(図5参照)を、外装ケーシングC内に組み付けて構成してある。
【0030】
上記各部品は、前記圧力センサが異常圧力を検出したときや前記感震器が地震を検出したとき等、異常が発生したときに、上述の制御部7により、前記ガス供給遮断弁を遮断制御すると共に、異常情報を前記表示部3に表示する等協働して機能するよう構成してある。
【0031】
図1において、8は、前記ガス供給遮断弁30の遮断状態を解除するための復帰軸(図示せず)の操作部を覆う復帰軸キャップである。尚、この復帰軸の上ケーシングC2の貫通部には、外装ケーシングC内を気密にするためのOリングが設けられている。
【0032】
図2及び図3に示すように、下ケーシングC1は、その中央を仕切り壁9にて仕切り、その仕切り壁9の両側それぞれに仕切り壁9を底部とする概ね円筒形状の計量室形成用空間を備え、各計量室形成用空間の中央部を膜部Fにて仕切ると共に、各計量室形成用空間の開口部を蓋10にて閉じて、各膜部Fの両側夫々に計量室4を形成してある。即ち、膜部Fは1対設け、計量室4は4室形成してある。
【0033】
図2ないし図4に基づいて、膜部Fについて説明を加えると、膜部Fは、計量室4を形成する下ケーシングC1に枠状の整膜板14により周縁部を固定した状態で設けた膜材(具体的にはゴム膜で構成される)11と、その膜材11の両面夫々の中央部に保持した円形の膜板12にて構成してあり、外側の膜板12の中央には丁番台13を設けてある。膜材11は、可撓性を有するゴムにて形成してある。
【0034】
図2ないし図4に示すように、翼軸16を、その軸心を上下方向に向けて上端側を下ケーシングC1の上部壁に形成した孔に気密状に貫通させた状態で回動自在に支承し、その翼軸16に翼15を支持してある。つまり、翼15を翼軸16により下ケーシングC1に揺動自在に支承してある。
【0035】
更に詳細には、下ケーシングC1の上部壁の貫通部位には、図4に示すように、この部位に螺合される翼軸ボックス160が設けられており、このボックス160内を翼軸16が貫通する構成が採用されている。翼軸ボックス160の上側にはシール用のゴム材161が嵌め込まれており、気密状態が保たれる。
【0036】
図4に示すように、翼軸に接続された翼15の先端に支持した丁番軸26を、その軸心周りに相対回転自在に丁番台13に挿通して、膜部Fの往復動に伴って翼15が揺動するように、膜部Fと翼15とを連結してある。丁番台13には、挿通孔形成部分13a及び丁番軸挿通孔13bが設けられている。
【0037】
図3及び図5に示すように、リンク機構Lは、端部同士を互いに枢支連結した大肘金17と小肘金18との組を2組備えて構成してある。そして、各翼軸16の上端部は、各大肘金17の一端を固定連結してある。
【0038】
図3及び図5に示すように、回転体Rは、下ケーシングC1の上部壁上に取り付けた支持台19に上下方向の軸心周りで回転自在に支持したクランク軸20と、そのクランク軸20の上端に同軸芯状に取り付けた回転円板21とを備えて構成し、クランク軸20には、その径方向外方に突出する状態でクランクアーム22を取り付けてある。
【0039】
前記磁石5は、回転円板21の上面の外周側に設けて、前記リードスイッチ6は、回転円板21の外周に位置させて、支持台19に支持させて設けてある。
【0040】
図3及び図5に示すように、弁部Vは、上記の4室の計量室4のガスの給排を制御するように下ケーシングC1の上部壁に設け、弁部Vが膜部Fの往復動にて開閉操作されるように設けてある。
【0041】
図6,7に示すように下ケーシングC1の上部壁には、膜部Fを介して対向する2室の計量室4に各別に連通する2個のガス給排口Xを、間隔を隔てて並べて設ける(X1,X2およびX3,X4)ことにより、2個のガス給排口Xが並ぶガス給排口Xの組を2組設けると共に、各組のガス給排口Xの間にはガス排出口Yを設けてある。つまり、ガス排出口Yの両側に2個のガス給排口Xが並ぶ給排用開口部列を2列(X1,Y,X2およびX3,Y,X4)形成して、前記計量室へガスを給排出する分配部を構成する。
【0042】
各給排用開口部列のガス排出口Yは、下ケーシングC1の上部壁に設けたガス排出用接続口Zに対して、ガス排出路にて接続し、このガス排出用接続口Zは、下ケーシングC1上に上ケーシングC2を設けた状態で、上ケーシングC2内に設けたガス排出路にてガス排出口2に接続されるようになっている。
【0043】
図6及び図8に示すように、台座部40にねじ止め固定されるバルブシートVsは、フェノール樹脂、ポリアセタール等の硬質合成樹脂の成形品からなり、上記4つの連通孔X1〜X4に対応して、4つのガス流路s1〜s4が形成される。更にバルブシートVsには、第1及び第2流路s1、s2間に対応して、排気導流路s5が形成されるとともに、第3及び第4流路s3、s4間に対応して、排気導流路s6が形成されている。
【0044】
図6及び図9に示すように、バルブシートVs上には、第1及び第2流路s1、s2間を変位移動自在に揺動バルブ23aが設けられるとともに、第3及び第4流路s3、s4間を変位移動自在に揺動バルブ23bが設けられる。
【0045】
各給排用開口部列の上部には、バルブシートVsを介して揺動バルブ23a、23bを上下方向の軸部にて給排用開口部列(X1,Y,X2およびX3,Y,X4)の開口部に連通するバルブシートの流路列(s1、s5、s2およびs3、s6、s4)の並び方向に揺動自在に支持して設けてある。
【0046】
また各揺動バルブ23a、23bの下面側におけるガスリターン用凹部svの両側には、閉塞部231が設けられている。揺動バルブ23a、23bの裏面には連通用凹部svを設けてあり、揺動バルブ23a、23bは、各揺動端に位置する状態で、揺動端側のガス給排口Xとガス排出口Yとをバルブシートの流路列(s1〜s6)を通じて前記連通用凹部svにて接続し且つ揺動端と反対側のガス給排口Xを開口し、揺動方向の中央に位置する状態で、両方のガス給排口Xを閉塞部231により閉じるように構成してある。つまり、揺動バルブ23a、23bが変位移動することにより、第1流路s1及び排気導流路s5間と、第2流路s2及び排気導流路s5間とが交互に連通するとともに、第1流路s3及び排気導流路s6間と、第2流路s4及び排気導流路s5間とが交互に連通するように構成されている。
【0047】
例えば、揺動バルブ23aが、そのガスリターン用凹部svが排気導流路s5に適合配置された状態では、ガスリターン用凹部svにより排気導流路s5が閉塞されるとともに、閉塞部231により、第1及び第2流路s1、s2が閉塞されるよう構成される。また、揺動バルブ23bが、そのガスリターン用凹部svが排気導流路s6に適合配置された状態では、ガスリターン用凹部svにより排気導流路s6が閉塞されるとともに、閉塞部231により、第1及び第2流路s3、s4が閉塞されるよう構成されている。
【0048】
図5に示すように、クランク台24の一端を、クランクアーム22の先端に軸心が上下方向を向くように設けた軸部22aに枢支し、各翼軸16の上端部に、各大肘金17の一端を枢支し、両方の小肘金18の一端をクランク台24におけるクランクアーム22に対する枢支軸芯から偏芯させた位置に枢支することにより、膜部Fと回転体Rとを連動連結し、クランクアーム22の軸部22aに連結した2本のクランクロッド25夫々を各揺動バルブ23a、23bに連結してある。
【0049】
そして、1対の膜部Fが1往復すると、各翼軸16が所定角度で回動し、その回動に伴って、リンク機構Lにより回転体Rが1回転して、各揺動バルブ23a、23bがバルブシートVsに対して摺動しつつ揺動し、4個の計量室4に対するガスの給排を制御するように構成してある。
【0050】
つまり、弁部Vは、2個の揺動バルブ23a、23b、各揺動バルブ23a、23bに夫々対応する2列の給排用開口部列(X1,Y,X2およびX3,Y,X4)に対応するバルブシートVsの各流路列(s1、s5、s2およびs3、s6、s4)を備えて、2個の揺動バルブ23a、23b夫々の揺動によって4室の計量室4へのガスの給排を行うように構成し、その弁部Vが膜部Fの往復動にて開閉操作されるように、翼軸16と弁部Vとを、リンク機構L及びクランク軸20とクランクアーム22とから構成されるクランク機構にて動作する。
【0051】
前記バルブシートにおける前記各揺動バルブ23a、23bとの摺動部周辺の部位Vs1には、ユウロピウム添加アルミン酸ストロンチウムまたはマンガン添加硫化亜鉛に例示される応力発光材料を添加した樹脂塗料を塗布して応力発光部Iを設けてある。
【0052】
この応力発光部Iは、応力に比例して発光強度が高くなる特性があり、バルブシートの歪応力を有する部分が、歪応力の大きさに応じて発光するため、ガスメータの分解・点検時に交換の必要なバルブシートVsを容易に判別できるものとなる。
【0053】
〔検査方法〕
以上が膜式ガスメータ100の構成に関する説明であるが、この膜式ガスメータ100に対する検査方法は、例えば10年間等の有効期間が経過して回収された膜式ガスメータ100(以下検満メータ100と呼ぶ。)を検査対象とし、その検満メータ100に設けてある応力発光部Iの光学的状態の変化程度を目視又は測定機器により測定し、その応力発光部Iの光学的状態の変化程度に基づいてバルブシートVs等の部品の応力発生状況を推定するものである。
【0054】
具体的には、図10に示すように、先ず、検満メータ100の部品収容室C0が点検分解された際に、各部品が回収される(ステップ#1)。そしてその応力発光部Iの光学的状態としての発色度が測定される(ステップ#2)。かかる測定は、正確な応力発光部Iの光学的状態の変化程度を認識するために、色度測定器等の光学機器などが用いられるが、目視で明確に判別できる場合には、この限りではない。
【0055】
次に、このように測定された応力発光部Iの光学的状態が、初期時点における応力発光部Iの光学的状態と比較され、バルブシートVsの交換又は補修が必要な検満メータ100が選別され(ステップ#3)、選別された検満メータ100に対してのみ部品の交換又は補修が行われる(ステップ#4)。
【0056】
即ち、その応力発光部Iの初期時点に対する光学的状態の変化程度が一定程度以上のものについては、補修する必要があるとして、補修が行われ、リサイクルに供される。
【0057】
一方、応力発光部Iの初期時点に対する光学的状態の変化程度が一定程度未満のものについては、部品の劣化状態が小さいと推定されることから、部品を交換又は補修する必要がない検満メータ100であると選別され、例えば、適宜性能検査等が行われて、リサイクルに供される。
【0058】
また、上記のような検満メータ100は、リサイクルに供される際に、応力発光部Iそのものについても新しいものに交換されるので、その新しい応力発光部Iの光学的状態の変化程度は次の使用において受けた応力の影響に起因するものとなる。
【符号の説明】
【0059】
100 膜式ガスメータ
C 外装ケーシング
C0 部品収容室
C1 下ケーシング
C2 上ケーシング
V 弁部
F 膜部
L リンク機構
I 応力発光部
R 回転体
X ガス給排口
Y ガス排出口
Z ガス排出用接続口
1 ガス供給口
2 ガス排出口
3 表示部
4 計量室
5 磁石
6 リードスイッチ
7 制御部
8 復帰ボタン
9 仕切り壁
10 蓋
X(X1,X2およびX3,X4)ガス給排口
Y ガス排出口
Z ガス排出用接続口
sv 連通用凹部
Vs バルブシート
s1〜s4流路
s5 排気導流路
s6 排気導流路
23a 揺動バルブ
23b 揺動バルブ
sv 連通用凹部
231 閉塞部
I 応力発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜部により区画される一対の計量室を設け、その計量室へガスを給排出する分配部を設け、前記分配部と協働して前記ガスを給排出制御可能にする弁部を設け、前記ガスの給排出に伴って、往復動する膜部を設け、前記膜部の往復動に伴って前記弁部に設けた揺動バルブと、前記分配部に設けられたバルブシートとの相対姿勢が変更されてガスの給排出が制御される膜式のガスメータであって、
前記バルブシートに応力を受けた状態で発光する応力発光材料を含有してなる応力発光部を設けてあるガスメータ。
【請求項2】
前記応力発光部が、ユウロピウム添加アルミン酸ストロンチウム、または、マンガン添加硫化亜鉛を添加した樹脂材料を主成分とするものである請求項1に記載のガスメータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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