説明

ガス内燃式釘打機

【課題】過給圧力が設定圧力値を超えたときは過大なエネルギの発生を防止し又は抑制して安全を確保する。
【解決手段】打撃ピストンを収容する打撃シリンダと、打撃シリンダの上方に筒状の可動ハウジングの上下動により開閉可能に設けられた燃焼室と、燃料供給管27を通して燃焼室内に燃料ガスを供給する燃料供給装置19と、上記燃料供給管27の中途部に設けられた制御弁41と、を備え、燃料ガスと空気とを混合して点火燃焼させるガス内燃式釘打機において、上記燃焼室内の圧力が設定圧力値以下のときには、上記制御弁41の弁体43は付勢部材45により付勢されて上記燃料供給管27を開通状態とし、上記燃焼室内の圧力が上昇して設定圧力値を超えたときには、上記付勢部材45の付勢力に抗して上記制御弁41の弁体43が空気圧によって移動することにより上記燃料供給管27を遮断し、上記燃料供給装置19による燃料の供給を遮断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス内燃式釘打機に関し、特に予期せぬ圧力の上昇に対する安全対策が講じられたガス内燃式釘打機に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス内燃式の釘打機は従来から知られており(例えば、特許文献1参照)、また、このような釘打機において燃焼室内に圧縮空気を過給することにより出力エネルギの増大を図ったものも知られている。
【0003】
これら公知のガス内燃式釘打機においては良好な燃焼状態の確保のための適正な空燃比の維持が図れるようになされており、このために燃焼室に供給された空気量に応じて燃料の噴射量を調整する手段が装備されている。
【0004】
そして、例えば、ある公知の過給式のガス内燃式釘打機によれば、圧縮空気と燃料がそれぞれ個別の供給管を通して燃焼室内に供給される構造を備えていて、燃焼室内に供給する所定量の燃料の供給は、燃料供給管に配置した機械式あるいは電子式制御手段で制御する定量弁を用いて行うようにしている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特許公報平4−48589号
【特許文献2】US Pub.2004/0134961 A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のガス内燃式釘打機においては、適正な空燃比を維持するために供給する空気量に応じた燃料の供給量の調整が行われており、この燃料供給量の調整は供給する空気量と燃料供給量が互いに連動性を持つ関係とされることで行われており、上述の特許文献2のガス内燃式釘打機の機械式あるいは電子式制御手段で制御する定量弁を用いる燃料供給においてもその例外ではない。
【0006】
ところで、上述の空気と燃料の供給における両者の供給量の連動性を持つ関係によれば、例えば、過給式のガス内燃式釘打機において何らかの理由で過剰な圧縮空気が供給されて過給圧力が所定の圧力値を超えるような事態が発生した場合においても、引き続き圧縮空気が供給される限り供給した空気量に応じた燃料の供給が行われることになる。
【0007】
しかしながら、所定の圧力値を超えた高い過給圧力における燃焼は、燃焼による爆発エネルギが設定した出力エネルギを超えることになる。そして、このような過大な出力エネルギの発生は釘打機に物理的な過大負荷をかけることになり、釘打機の耐久性や安全性に悪影響を及ぼすことになる。したがって、釘打機における耐久性と安全性の確保の視点からこのような悪影響を排除するための有効な対策が求められる。
【0008】
本発明は上述した課題を解決すべく、圧力が設定圧力値を超えたときは燃料供給の遮断や、点火スイッチの作動の不能化、燃焼室内容積の拡大による過給圧の減圧等の格別の対策を施して、設定した出力エネルギを超える燃焼による過大な燃焼エネルギの発生を防止し又は抑制することで釘打機の耐久性と安全性を確保することができるガス内燃式釘打機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の請求項1に係る発明は、打撃ピストンを摺動可能に収容する打撃シリンダと、打撃シリンダの上方に開閉可能に設けられた燃焼室と、燃料供給管を通して燃料ガスを供給する燃料供給装置と、上記燃料供給管の中途部に設けられた制御弁と、を備え、燃料ガスと空気とを混合して点火燃焼させるガス内燃式釘打機において、上記燃焼室内の圧力が設定圧力値以下のときには、上記制御弁の弁体は付勢部材により付勢されて上記燃料供給管を開通状態とし、上記燃焼室内の圧力が上昇して設定圧力値を超えたときには、上記付勢部材の付勢力に抗して上記制御弁の弁体が上記燃焼室内の空気圧によって移動することにより上記燃料供給管を遮断し、上記燃料供給装置による燃料の供給を遮断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に係る発明は、燃焼室内の圧力が設定圧力値を超えたときには上記燃料供給装置による燃料の供給を遮断する制御弁を設けたので、設定圧力値を超える圧力状態においても制御弁により燃料の供給は完全に遮断されるので、結果的に燃焼室内における混合燃料が希釈されて適正な空燃比が得られず燃焼しない状態となり、もしくは不完全燃焼を起す状態となり、たとえ予期しない圧力の上昇という事態が発生しても釘打機の耐久性や安全性に悪影響を与えるような高圧下での燃焼による過大な爆発エネルギが発生することはない。
【0011】
又は、燃焼室内に供給される過給のための圧縮空気による該燃焼室内の過給圧力が設定圧力値を超えたときには、上記燃焼室内から打撃シリンダ内に過給圧力を開放するようにすれば、打撃シリンダ内に高い過給圧の混合ガスが流入する。そして、打撃ピストンは上記過給圧に押し下げられるので実質的に燃焼室の容積が拡大する。このため、燃焼室内の過給圧力が減圧し、燃焼による爆発エネルギが抑制される。したがって、釘打機の耐久性や安全性に悪影響を与えるような高圧下での燃焼による過大な爆発エネルギの発生は確実に防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態について説明するが、まず、その前提となるガス内燃式釘打機Aを図8及び図9によって説明し、燃焼室内に供給される過給のための圧縮空気による過給圧力が設定圧力値を超えたときの形態を個別に説明する。
【0013】
図8及び図9はガス内燃式釘打機を示すもので、この釘打機は駆動機構部やガス燃料カートリッジ等を収納する釘打機本体1と、釘打機本体1と一体形成のグリップ2と、釘打機本体1の図示下部から突出するノーズ部3等を備えている。なお、4はノーズ部3の射出口に釘を供給するマガジンを示す。
【0014】
駆動機構部は、円筒状の打撃シリンダ5と、打撃シリンダ5内で図示上下方向で往復摺動する打撃ピストン6と、打撃ピストン6に固定されたドライバ7と、打撃シリンダ5の上部に位置する筒状の可動ハウジング8と上部のシリンダヘッド部10に囲まれ、前記打撃ピストン6の上面により仕切られる空間である燃焼室11と、燃焼室11の上部のシリンダヘッド部10に装着された点火プラグ12、ガス燃料カートリッジ13から供給された可燃性燃料ガスと空気とを混合するモータ14駆動による撹拌用のファン15等からなる。
【0015】
なお、燃焼室11と打撃シリンダ5とは仕切り部材16によって仕切られ、板バネからなる逆止弁17を備えた開口部18を介して連通するようになっている。
【0016】
次に、打撃シリンダ5の上端側壁には供給口20が形成され、打撃シリンダ5と燃焼室11との間には環状のヘッドバルブ21が供給口20と燃焼室11とを開通又は遮断するように設けられている。ヘッドバルブ21は打撃シリンダ5の上方外側面とに沿って上下動可能に配置され、その下部に設けられた押し上げバネ22によって常時供給口20を閉じるように上方に付勢されている。押し上げバネ22のバネ力は燃焼室11内の内圧が燃焼により高くなったときにはヘッドバルブ21を閉じ状態に保持できない程度に設定されている。
【0017】
また、駆動機構部の実質的な始動のための初動を行うコンタクト部材23が設けられている。コンタクト部材23は、釘打ちに供されない状態においてその下端がノーズ部3の最下部から突出するようにバネ付勢され、コンタクト部材23の上部に設けられたロッド部材24上端が燃焼室11の可動ハウジング8の下端部に連結され、これにより燃焼室11の可動ハウジング8は下動して大気に開放されている。
【0018】
さらに、ガス内燃式釘打機は、釘打機本体1の後部空間に過給用の圧縮機25を備えている。圧縮機25は往復動型であり、空気の吸入口26と圧縮空気供給管27とに開口するシリンダ28内でピストン30を往復動させることにより、吸入口26から取り入れた大気をピストン30で圧縮して圧縮空気供給管27に送るように構成され、吸入口26と圧縮空気供給管27の管口にはそれぞれ吸入弁31と吐出弁(図示せず)が設けられている、吸入弁31と吐出弁は互いに逆方向に作用する板状の逆止弁である。過給用の圧縮空気は圧縮空気供給管27から燃焼室11に供給される。
【0019】
ピストン30の往復動はモータ32により行われ、モータ32のモータ軸の歯車33から2つの傘歯車34の噛み合いを経てクランク歯車36に駆動力が伝達され、クランク歯車36の回転をコンロッド37に伝達することで該コンロッド上端にピストンピンを介して揺動可能に保持されたピストン30を上述の吸気と吐出のためにシリンダ28内で往復動させるようになっている。
【0020】
また、グリップ2の下部にはガス燃料カートリッジ13を含む燃料供給装置19が取付けられている。燃料供給装置19から供給されるガス燃料は燃料供給管38を通して燃焼室11内に供給される。燃料供給管38は圧縮空気供給管27の管路途中に接続しており、ガス燃料は圧縮空気とともに圧縮燃料供給管39から燃焼室11内に供給される。
【0021】
なお、良好な燃焼状態の確保のための適正な空燃比の維持が図れるように、燃料供給装置19には、燃焼室11に供給された空気量に応じて燃料の噴射量を調整する手段が装備されているものとする。
【0022】
次に、コンタクト部材23は上方へ押し込まれることで可動ハウジング8を上動させて密閉された燃焼室11を形成し、トリガの操作に関連して過給用の圧縮機25がモータ32の駆動で作動を開始し、ガス燃料の供給や点火プラグ12による点火等が行われるようになされている。
【0023】
つまり、図示されない被釘打ち材に押し当てられたコンタクト部材23が図示上方に押し込められることで、燃焼室11の可動ハウジング8が図9のように上動して開放状態である燃焼室11を密封閉鎖状態にするとともに、圧縮機25がモータ32の駆動で作動を開始して圧縮空気供給管27を経て圧縮空気を送り込むとともに、時を同じくしてガス燃料カートリッジ13からガス燃料が燃料供給管38を経て噴射供給され、圧縮空気と燃料が圧縮燃料供給管39に合流して燃焼室11内に供給される。これを撹拌ファン15により均一になるように攪拌混合して、トリガ40の操作でマイクロスイッチSをオン作動させて点火プラグ12を点火作動させることにより燃焼室11内の混合燃料を燃焼させる。
【0024】
燃焼室11内における混合燃料の燃焼による高圧のガスは、ヘッドバルブ21をバネ22に抗して押し下げてその開口を供給口20に開くので、燃焼ガス圧が打撃シリンダ5内に供給され打撃ピストン6が駆動され、ドライバ7が釘を打撃して被釘打ち材の所定位置に打ち込むようになされている。
【0025】
また、打撃ピストン6が下死点まで下動すると、打撃シリンダ5内のガスが急激に冷却して容積が減少するので打撃シリンダ5内が負圧となり、打撃ピストン6が上方に移動する。打撃ピストン6の上動に伴うシリンダ内空間の圧力上昇は仕切り部材16の逆止弁17の開口を開き、打撃ピストン6は上死点へと移動する。
【0026】
そして、釘打ちの終了に伴ってトリガ40の操作が解放され、コンタクト部材23の被釘打ち材に対する押圧が開放されると、コンタクト部材23がバネの戻し力で押し下げられて下動し、これと連動して燃焼室11の可動スリーブ部が下動し、燃焼室11が開放されてシール部から燃焼室11内へ新鮮な空気が流入して次の釘打ちが準備される。
【0027】
[実施形態1]
この実施形態は、上記ガス内燃式釘打機において、上記燃焼室11内に供給される過給のための圧縮空気による過給圧力が設定圧力値を超えたときに、上記燃料供給装置による燃料の供給を遮断する手段に関するものである。
【0028】
すなわち、図1に示されるように、燃料供給装置19から燃料ガスを供給する燃料供給管38の中途部に制御弁41が設けられている。制御弁41のバルブシリンダ42の内部には弁体43が摺動可能に配置され、バルブシリンダ42の上端は圧縮空気供給管27から分岐した圧力取出管44に連結されている。また、バルブシリンダ42の下方には弁体43を上方に付勢する押し上げバネ45が配置されている。さらに、バルブシリンダ42の側壁には、燃料供給管38が開口している。
【0029】
燃焼室11内の過給圧力が所定の設定圧力値以下であれば、制御弁41の弁体43は図に示されるように押し上げバネ45により上方に押し上げられて燃料供給管38は開通状態となり、ガス燃料は圧縮空気供給管27に連続して供給される。
【0030】
ところが、燃焼室11内の過給圧力が上昇して設定圧力値を超えると、図2に示されるように、圧縮空気供給管27から圧力取出管44を経て高圧の圧縮空気がバルブシリンダ42の上端から内部に供給されるので、押し上げバネ45のバネ力に抗して弁体43が下方に作動する。これにより、弁体43のOリング46が移動して燃料供給管38を遮断する。このため、ガス燃料は圧縮空気供給管27に供給されない。
【0031】
上述のように、燃焼室11内の過給圧力が所定の設定圧力値を超えると過給のための圧縮空気の供給と燃料供給の連動関係が断たれるので、つまり、燃焼室11内の過給圧力が所定の設定圧力値を超えると過給のための圧縮空気の供給が続行されていても燃料供給制御弁41が作動して燃料供給を遮断するようになっているので、圧縮空気の供給が続行して燃焼室11内の過給圧力が設定圧力値を超えて上昇したときは、その分燃料が希薄な状態となるので適正な空燃比が得られず、点火によっても燃焼せず、あるいは不完全燃焼を起すことになり、釘打機の耐久性や安全性に悪影響を与えるような高い過給圧での燃焼による過大な爆発エネルギの発生は起らない。
【0032】
[実施形態2]
次に、本発明の別の実施形態2を図3に基づいて説明する。この実施形態は上記燃焼室11内に供給される過給のための圧縮空気による該燃焼室11内の過給圧力が設定圧力値を超えたときには、上記燃焼室11内から打撃シリンダ5内に過給圧力を開放する手段に関するものである。
【0033】
上述のように、圧縮機25から供給される圧縮空気の供給量に応じて燃料供給装置19(図1参照)からガス燃料が供給され、これにより適正な空燃比が確保されるようになされている。そして、圧縮空気供給管27と燃料供給管38とは直接に接続され、噴射された燃料は圧縮空気と合流して圧縮燃料供給管39から燃焼室11内に供給されるように構成されている。
【0034】
ところで、燃焼室11の下部を仕切りかつ上死点にある打撃ピストン6の上部との間に打撃シリンダ5内空間を形成する既述の仕切り部材16には、打撃シリンダ5内空間と燃焼室11との連通を可能とし、また連通を遮断することができるヘッドバルブ21が設けられているが、本実施形態においては、このヘッドバルブ21が、燃焼室11内の過給圧力が所定の設定圧力値以下の状態では該ヘッドバルブ21が図3に示されるように常時押し上げバネ22の押上げ力で上動して打撃シリンダ5の供給口20を閉じているが、これに対し、燃焼室11内の過給圧力が設定圧力値を超えるとヘッドバルブ21が図4に示されるように押し上げバネ22に抗して下動して燃焼室11を供給口20に開くようになされている。
【0035】
したがって、過給による燃焼室11内の過給圧力が設定圧力値を超えると上述のヘッドバルブ21が下動して燃焼室11を供給口20に開き(図参照)、打撃シリンダ5内に高い過給圧の混合ガスが上記ヘッドバルブ21の開口を通って流入する。このため、打撃ピストン6は上記過給圧に押し下げられるので実質的に燃焼室11の容積が拡大する。このように、燃焼室11内の余分な過給圧力は打撃シリンダ5内空間に開放されるから、燃焼室11内の過給圧力が減圧し、燃焼による爆発エネルギが抑制される。
【0036】
このように、ヘッドバルブ21により供給口20が開くことで打撃シリンダ5内空間に混合燃料である高い過給圧の混合燃料が流入し、この燃料の流入により該シリンダ5内空間の圧力が上昇してピストンが作動するが、この圧力は燃焼による圧力に比べて低いので釘打機の耐久性や安全性に何ら悪影響を与えるものではない。
【0037】
[実施形態3]
次に、本発明の別の実施形態を図5に基づいて説明する。
【0038】
この実施形態は、上記燃焼室11内の上記設定圧力値を超える圧力を検知する圧力センサ47の検知信号による点火制御装置のコントロール基板35の電気回路制御により、上記点火のためのスイッチSがON作動しないようにする手段に関するものである。
【0039】
同図に示されるように、燃焼室11の側壁に圧力センサ47が取り付けられており、燃焼室11内の過給圧力が設定圧力値を超えると圧力センサ47によりこの圧力状態が検知されて検知信号が発信される。そして、発信された検知信号の受信がなされると該信号が点火制御装置のコントロール基板35の電気回路の点火プラグ12の着火用スイッチSがオン作動しないようにプログラムされている。
【0040】
したがって、たとえトリガ40が押し込み操作されてスイッチSがON作動されても該作動は無効とされて点火プラグ12が点火することはなく、燃焼室11内における混合ガスの燃焼は行われない。
【0041】
[実施形態4]
この実施形態は、燃焼室内の上記設定圧力値を超える圧力に応じて作動するシリンダ機構により、点火プラグ12を点火作動させることにより燃焼室11内の混合燃料を燃焼させるマイクロスイッチSの接点部材を、上記トリガに係合しない位置に移動させる手段に関するものである。
【0042】
すなわち、図6に示されるように、前述の圧縮機25から燃焼室11内へ圧縮空気を供給する圧縮空気供給管27の管路途中から分岐させた圧力取出管44がシリンダ機構47のシリンダ48に接続され、燃焼室11内の過給圧力が直接該圧力取出管44を通してシリンダ48内に作用するようになされている。シリンダ48内にはピストン50とピストンロッド51が設けられ、ピストンロッド51の先端はシリンダ48から突出してマイクロスイッチSの前側面に当接している。マイクロスイッチSは前後にスライド可能に配置され、その後側面に配置されたバネ52によって常時前方に移動するように付勢されている。マイクロスイッチSの接点部材53は下向きに突出形成されている。
【0043】
これに対し、トリガ40の上端にはスイッチ押圧部54が、通常状態のマイクロスイッチSの接点部材53に上下に対応するように配置されている。
【0044】
上記構成により、燃焼室11内の過給圧力が設定圧力値以下であれば、マイクロスイッチSはバネ52により常時は前方に付勢されているが、図7に示されるように、燃焼室11内の過給圧力が設定圧力値を超えると該過給圧力によりシリンダ48内のピストン50とともにピストンロッド51がバネ52に抗してマイクロスイッチSを後方にスライドさせると、接点部材53はトリガ40に係合できない位置に移動する。このため、トリガ40を引き上げ操作しても、接点部材53を押し込むことはできないので、釘打機を起動させることはできない。
【0045】
なお、ここでは、マイクロスイッチを利用した機械的スイッチについて説明したが、これに限定されず、ホール素子等を利用した電気的スイッチでもよい。
【0046】
なお、図示しないが、上記マイクロスイッチの接点部材を、上記トリガに係合しない位置に移動させることに代え、上記燃焼室内の上記設定圧力値を超える圧力に応じて作動するシリンダ機構のピストンロッドを上記トリガの移動軌跡の途中に突出して干渉するように構成してもよい。
【0047】
[実施形態5]
上記圧縮機25による過給圧力と上記燃料供給装置による燃料噴射量とは過給圧力が設定圧になるまでは連動するように構成されているが、設定圧力値を超えるときは、上記圧縮機25による過給圧力と上記燃料供給装置による燃料噴射量とを連動させず、互いに個別に設定したもので、図8及び図9に示されるガス燃料カートリッジ13を含む燃料供給装置からは一定量のガス燃料を噴射させる。
【0048】
上記構成によれば、過給圧力が設定圧力値よりも高くなっても燃料噴射量は一定であるから、それ以上は増えない。このため、過給圧力だけが上がったときは、要するに燃料ガスに比べて空気量だけが多くなり、混合ガスは希薄になるから、点火しても燃焼できないか、燃焼してもパワーが出ない。したがって、設定したエネルギよりも低くなってしまうので、釘打機の耐久性と安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の1つの実施形態のガス内燃式釘打機の要部の縦断面図
【図2】図1のガス内燃式釘打機の作動状態を示す縦断面図
【図3】本発明の他の実施形態のガス内燃式釘打機の要部の縦断面図
【図4】図3のガス内燃式釘打機の作動状態を示す縦断面図
【図5】本発明のさらに他の実施形態のガス内燃式釘打機の要部の縦断面図
【図6】本発明の別の実施形態のガス内燃式釘打機の要部の縦断面図
【図7】図6のガス内燃式釘打機の作動状態を示す縦断面
【図8】本発明に係るガス内燃式釘打機の基本構成を示す縦断面図
【図9】図8のガス内燃式釘打機の作動状態を示す要部の縦断面図
【符号の説明】
【0050】
5 打撃シリンダ
6 打撃ピストン
8 可動ハウジング
11 燃焼室
19 燃料供給装置
25 圧縮機
41 燃料供給制御弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
打撃ピストンを摺動可能に収容する打撃シリンダと、打撃シリンダの上方に開閉可能に設けられた燃焼室と、燃料供給管を通して燃料ガスを供給する燃料供給装置と、上記燃料供給管の中途部に設けられた制御弁と、を備え、燃料ガスと空気とを混合して点火燃焼させるガス内燃式釘打機において、
上記燃焼室内の圧力が設定圧力値以下のときには、上記制御弁の弁体は付勢部材により付勢されて上記燃料供給管を開通状態とし、
上記燃焼室内の圧力が上昇して設定圧力値を超えたときには、上記付勢部材の付勢力に抗して上記制御弁の弁体が上記燃焼室内の空気圧によって移動することにより上記燃料供給管を遮断し、上記燃料供給装置による燃料の供給を遮断することを特徴とするガス内燃式釘打機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−210704(P2012−210704A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−115256(P2012−115256)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【分割の表示】特願2007−96166(P2007−96166)の分割
【原出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】