説明

ガス処理システム

【課題】固体吸着剤の融着を防止する。
【解決手段】ガス処理システム10は、ガス通路12と、酸性ガス成分を中和反応により吸着可能な固体吸着剤Aが充填された第1反応室22のガス通路12に面する側とガス通路12に面しない側にそれぞれ第1内側開口24と第1外側開口28が設けられた第1化学吸着装置20と、固体吸着剤Aが充填された第2反応室42のガス通路12に面する側とガス通路12に面しない側にそれぞれ第2内側開口44と第2外側開口48が設けられた第2化学吸着装置40とを備えている。スライドバルブ110は、ガス供給管71から供給される未処理ガスが第1化学吸着装置20、ガス通路12及び第2化学吸着装置40をこの順に通過する順方向状態か、第2化学吸着装置40、ガス通路12及び第1化学吸着装置20をこの順に通過する逆方向状態かを切り替えるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、工場等から排出される排ガス中の酸性ガス成分を乾式処理により除去するガス処理システムが提案されている。例えば、特許文献1では、反応室内に充填された炭酸カルシウム粒子に、燃焼炉から排出される高温の排ガスを接触させて酸化カルシウムを生成し、この酸化カルシウムと排ガス中に含まれる酸性ガス成分と反応させて吸着、除去するガス処理システムが開示されている。また、本発明者は、特許文献2,3に示すように、反応室内に充填されたカルシウム成分を主体とする固体吸着剤を上から下へ流動させると共に、この固体吸着剤の流動方向と交差する方向又は逆方向に排ガスを流通させることにより、固体吸着剤と排ガスとの接触効率を向上させて排ガス中に含まれる酸性ガス成分を効率よく除去するガス処理システムを提案している。こうすることにより、酸性ガス成分を中和した後の固体吸着剤が下部から排出されると共に新たな固体吸着剤が上部から供給されるため、反応室内の酸性ガス成分除去機能が長期間維持される。
【特許文献1】特開平8−47617号公報
【特許文献2】特開2004−167403号公報
【特許文献3】特開2008−126134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、これらのガス処理システムでは、反応室のガス導入口付近で固体吸着剤が融着してしまうことがあった。このような固体吸着剤の融着が発生するのは、反応室のガス導入口付近では、未処理の排ガスつまり酸性ガス成分の濃度が高い排ガスと固体吸着剤との中和反応が活発に起こり、それに伴って発熱量が増大し局所的な高温化を招くことによると考えられる。こうした固体吸着剤の融着が発生すると、排ガスが反応室を通過する際の圧力損失が大きくなるため好ましくない。また、特許文献2,3のように固体吸着剤を反応室内で流動させる場合には、固体吸着剤の流動性が悪化してしまい、反応室内の酸性ガス成分除去機能を長期間維持することが困難になる。
【0004】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、固体吸着剤の融着を防止可能なガス処理システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0006】
すなわち、本発明のガス処理システムは、
ガス通路と、
酸性ガス成分を中和反応により吸着可能な固体吸着剤が充填された第1反応室を有し、該第1反応室のうち前記ガス通路に面する側と前記ガス通路に面しない側にそれぞれガス通過口が設けられた第1化学吸着装置と、
酸性ガス成分を中和反応により吸着可能な固体吸着剤が充填された第2反応室を有し、該第2反応室のうち前記ガス通路に面する面と前記ガス通路に面しない側にそれぞれガス通過口が設けられた第2化学吸着装置と、
前記第1反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に未処理ガスを供給し、前記第1反応室、前記ガス通路及び前記第2反応室をこの順に通過した処理済みガスを前記第2反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口から排出する順方向状態か、前記第2反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に未処理ガスを供給し、前記第2反応室、前記ガス通路及び前記第1反応室をこの順に通過した処理済みガスを前記第1反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口から排出する逆方向状態かを切り替える切替器と、
を備えたものである。
【0007】
このガス処理システムでは、順方向状態で運転を継続することにより第1反応室内の固体吸着剤が酸性ガス成分の濃度の高い未処理ガスと中和反応を起こして未処理ガス接触面近傍の固体吸着剤が発熱したとしても、その固体吸着剤が融着する前に切替器により逆方向状態に切り替えることが可能である。そして、逆方向状態に切り替えた後、第1反応室内の固体吸着剤は、第2反応室内で中和されたあとのガス(酸性ガス成分を少量含むガス)が導入されるため、発熱量が減り、温度上昇が緩和されるか温度が下降する。また、逆方向状態で運転を継続することにより第2反応室内の固体吸着剤が酸性ガス成分の濃度の高い未処理ガスと中和反応を起こして未処理ガス接触面近傍の固体吸着剤が発熱したとしても、その固体吸着剤が融着する前に切替器により順方向状態に切り替えることが可能である。そして、順方向状態に切り替えた後、第2反応室内の固体吸着剤は、第1反応室内で中和されたあとのガス(酸性ガス成分を少量含むガス)が導入されるため、発熱量が減り、温度上昇が緩和されるか温度が下降する。このように順方向状態と逆方向状態とを適宜切り替えることが可能であるため、各反応室内の固体吸着剤が溶着するのを防止できる。
【0008】
ここで、固体吸着剤としては、酸性ガス成分(ハロゲン化水素や亜硫酸ガス、硫酸ガス、ハロゲンガスなど)を中和反応により吸着可能な材料であれば特に限定されないが、例えば、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが挙げられる。
【0009】
本発明のガス処理システムにおいて、前記第1及び第2化学吸着装置は、別々に形成されていてもよい。こうすれば、後述するように、第1及び第2化学吸着装置の反応室を共通化することも考えられるが、第1及び第2化学吸着装置を別々に形成することにより一方が高温化したときにその熱が他方に伝わりにくいため、各反応室内の固体吸着剤が溶着するのをより確実に防止できる。
【0010】
このように第1及び第2化学吸着装置が別々に形成された本発明のガス処理システムにおいて、前記第1化学吸着装置は、前記第1反応室へ固体吸着剤を供給可能な第1供給部と、前記第1反応室から固体吸着剤を排出可能な第1排出部と、を備え、前記第1供給部から前記第1反応室へ供給された固体吸着剤は前記第1反応室の前記両ガス通過口を結ぶ仮想線と交差する方向に移動して前記第1排出部から排出されるように構成され、前記第2化学吸着装置は、前記第2反応室へ固体吸着剤を供給可能な第2供給部と、前記第2反応室から固体吸着剤を排出可能な第2排出部と、を備え、前記第2供給部から前記第2反応室へ供給された固体吸着剤は前記第2反応室の前記両ガス通過口を結ぶ仮想線と交差する方向に移動して前記第2排出部から排出されるように構成されていてもよい。こうすれば、酸性ガス成分を中和した後の固体吸着剤が第1及び第2排出部から排出されると共に新たな固体吸着剤が第1及び第2供給部から供給されるため、各反応室内の酸性ガス除去機能を長期間維持することができる。また、上述したように固体吸着剤が溶着するのを防止できるため、固体吸着剤の流動性が悪化することがない。
【0011】
このとき、前記第1化学吸着装置は、前記第1反応室のうち前記ガス通路に面する側に設けられたガス通過口に近い領域に比べて前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域の方が固体吸着剤の移動速度が速くなるように構成され、前記第2化学吸着装置は、前記第2反応室のうち前記ガス通路に面する側に設けられたガス通過口に近い領域に比べて前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域の方が固体吸着剤の移動速度が速くなるように構成されていてもよい。順方向状態では、第1反応室のうちガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域は酸性ガス成分の濃度の高い未処理ガスと固体吸着剤とが接触するため発熱量が多いが、この領域の固体吸着剤の移動速度が速いため、中和反応後の固体吸着剤がこの領域にとどまっている時間が短いことから高温になりにくい。また、逆方向状態では、第2反応室のうちガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域は酸性ガス成分の濃度の高い未処理ガスと固体吸着剤とが接触するため発熱量が多いが、この領域の固体吸着剤の移動速度が速いため、中和反応後の固体吸着剤がこの領域にとどまっている時間が短いことから高温になりにくい。したがって、各反応室内の固体吸着剤が溶着するのをより確実に防止できる。
【0012】
本発明のガス処理システムにおいて、前記第1化学吸着装置の第1反応室と前記第2化学吸着装置の第2反応室とは、共通化されて一つの大反応室をなし、前記第1化学吸着装置の両ガス通過口は、前記大反応室のうち前記ガス通路に面する側と前記ガス通路に面しない側にそれぞれ設けられ、前記第2化学吸着装置の両ガス通過口は、前記第1化学吸着装置の両ガス通過口とは別に、前記大反応室のうち前記ガス通路に面する側と前記ガス通路に面しない側にそれぞれ設けられていてもよい。こうすれば、上述したように第1及び第2化学吸着装置を別々に形成する場合に比べて、システム構成をコンパクトにすることができる。
【0013】
このように第1反応室と第2反応室とが共通化されて一つの大反応室をなす本発明のガス処理システムにおいて、前記大反応室は、前記ガス通路に面する側に設けられたガス通過口に近い領域に比べて前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域の方が固体吸着剤の移動速度が速くなるように構成されていてもよい。こうすれば、酸性ガス成分を中和した後の固体吸着剤が排出部から排出されると共に新たな固体吸着剤が供給部から供給されるため、大反応室内の酸性ガス除去機能を維持することができる。また、上述したように固体吸着剤が溶着するのを防止できるため、固体吸着剤の流動性が悪化することがない。
【0014】
このとき、前記大反応室は、前記ガス通路に面する側に設けられたガス通過口に近い領域に比べて前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域の方が固体吸着剤の移動速度が速くなるように構成されていてもよい。順方向状態では、大反応室のうち第1化学吸着装置のガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域は酸性ガス成分の濃度の高い未処理ガスと固体吸着剤とが接触するため発熱量が多いが、この領域の固体吸着剤の移動速度が速いため、中和反応後の固体吸着剤がこの領域にとどまっている時間が短いことから高温になりにくい。また、逆方向状態では、大反応室のうち第2化学吸着装置のガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域は酸性ガス成分の濃度の高い未処理ガスと固体吸着剤とが接触するため発熱量が多いが、この領域の固体吸着剤の移動速度が速いため、中和反応後の固体吸着剤がこの領域にとどまっている時間が短いことから高温になりにくい。したがって、大反応室内の固体吸着剤が溶着するのをより確実に防止できる。
【0015】
本発明のガス処理システムにおいて、前記第1及び第2化学吸着装置では、未処理ガス中のハロゲン化炭化水素を酸化分解して酸性ガス成分であるハロゲン化水素及び/又はハロゲンガスを発生させる酸化触媒が固体吸着剤と混合して使用されるようにしてもよい。こうすれば、各化学吸着装置中でハロゲン化炭化水素(例えばトリクロロエチレンなど)が酸化触媒によってハロゲン化水素やハロゲンガスなどに分解したあと固体吸着剤に吸着されるため、未処理ガスを効率よく浄化することができる。ここで、酸化触媒としては、例えば酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などが挙げられる。
【0016】
本発明のガス処理システムにおいて、前記ガス通路は、熱源を有し、該熱源の熱により前記第1及び第2化学吸着装置を暖機可能としてもよい。こうすれば、第1及び第2化学吸着装置を暖機して固体吸着剤と未処理ガス中の酸性ガス成分との中和反応を効率よく実施することができる。ここで、暖機温度は、酸性ガス成分と固体吸着剤の組み合わせに応じて適宜適切な温度に設定すればよい。ところで、未処理ガスが第1反応室から第2反応室へ流れるように設定した場合には、第2反応室は排ガスと固体吸着剤との熱交換により蓄熱される。このため、未処理ガスが第2反応室から第1反応室へ流れるように切替弁を切り替えたとき、未処理ガスは第2反応室の蓄熱を利用して予熱され、未処理ガスの暖機に必要な、熱源からの熱エネルギーを低減できる。この点は、未処理ガスが第2反応室から第1反応室へ流れるように設定したあと第1反応室から第2反応室へ流れるように切り替えた場合も同様である。
【0017】
本発明のガス処理システムにおいて、前記第1又は第2反応装置に未処理ガスを供給する未処理ガス供給経路には、バルブを介して希釈ガス導入管から希釈ガスが導入可能としてもよい。この場合、切替器を切り替える直前にそのバルブを開いて未処理ガスを希釈ガスで十分希釈し、その後、そのバルブを閉めて切替器を切り替える。こうすれば、ガスの流れが順方向状態から逆方向状態に切り替わったときには、切替器から第1反応室までの間に溜まった未処理ガスがそのまま排出されることになるが、希釈ガスに希釈された状態で排出されるため、有害成分が高濃度のまま排出されることはない。また、逆方向状態から順方向状態に切り替わったときには、切替器から第2反応室までの間に溜まった未処理ガスがそのまま排出されることになるが、この場合も希釈ガスに希釈された状態で排出されるため、有害成分が高濃度のまま排出されることはない。
【0018】
本発明のガス処理システムにおいて、前記第1又は第2反応装置に未処理ガスを供給する未処理ガス供給経路と前記第1又は第2反応装置から処理済みガスを排出する処理済みガス排出経路との間にバルブ付きの連通管が取り付けられると共に、該処理済みガス排出経路のうち前記連通管の取付位置より下流側にバルブが取り付けられていてもよい。この場合、通常は連通管を閉鎖すると共に処理済みガス排出経路を開放し、切替器を切り替えた直後の所定期間は連通管を開放すると共に処理済みガス排出経路を閉鎖する。こうすれば、ガスの流れが順方向状態から逆方向状態に切り替わったときには、切替器から第1反応室までの間に溜まった未処理ガスがそのまま処理済みガス排出経路に流れることになるが、連通管を介して再び未処理ガス供給経路に戻すことができる。また、逆方向状態から順方向状態に切り替わったときには、切替器から第2反応室までの間に溜まった未処理ガスがそのまま処理済みガス排出経路に流れることになるが、この場合も連通管を介して再び未処理ガス供給経路に戻すことができる。
【0019】
本発明のガス処理システムにおいて、前記切替器は、前記切替器は、ガスが通過可能な第1及び第2通過口が所定方向に並んで設けられたベース面部材と、前記ベース面部材と対向し、ガスが通過可能な第3及び第4通過口が前記所定方向と交差する方向に並び且ついずれも前記第1及び第2通過口の両方と重なり合うように設けられた対向面部材と、前記ベース面部材と前記対向面部材との間に摺動可能に配置され、第1姿勢に位置決めされたときには前記第1通過口と前記第3通過口との連通及び前記第2通過口と前記第4通過口との連通を許容し前記第1通過口と前記第4通過口との連通及び前記第2通過口と前記第3通過口との連通を遮断し、第2姿勢に位置決めされたときには前記第1通過口と前記第4通過口との連通及び前記第2通過口と前記第3通過口との連通を許容し前記第1通過口と前記第3通過口との連通及び前記第2通過口と前記第4通過口との連通を遮断するように複数の貫通孔が形成された制御部材と、前記ベース面部材及び前記対向面部材を取り囲み、前記第1通過口に接続され未処理ガスが供給されるガス供給口、前記第2通過口に接続され処理済みガスを排出するガス排出口、前記第3通過口と前記第1化学吸着装置の第1反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口とを繋ぐ通気管及び前記第4通過口と前記第2化学吸着装置の第2反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口とを繋ぐ通気管を有するハウジング部材と、を備えた摺動式切替バルブとしてもよい。この摺動式切替バルブの制御部材を第1姿勢に位置決めすると、ガス供給口は第1通過口と第3通過口を介して第1化学吸着装置の第1反応室に接続されると共に第2化学吸着装置の第2反応室は第4通過口と第2通過口を介してガス排出口に接続されるため、順方向状態に設定される。一方、第2姿勢に位置決めすると、ガス供給口は第1通過口と第4通過口を介して第2化学吸着装置の第2反応室に接続されると共に第1化学吸着装置の第1反応室は第3通過口と第2通過口を介してガス排出口に接続されるため、逆方向状態に設定される。つまり、順方向状態と逆方向状態を制御部材を操作することによって簡単に切り替えることができる。
【0020】
なお、ベース面部材や対向面部材の材料は、特に限定するものではないが、例えば耐熱性を向上させる場合にはカーボンを使用してもよい。ハウジング部材の材料は、特に限定するものではないが、例えば放熱性を向上させる場合には熱伝導率の高いもの(例えばアルミニウム、銅、真鍮又はそれらの合金など)を使用することが好ましく、変形によるシール不良を回避させる場合には線膨張係数の小さいもの(例えばステンレス鋼など)を使用することが好ましい。制御部材の材料は、特に限定するものではないが、例えば耐熱(180℃以上)・耐食性を向上させる場合にはオーステナイト系ステンレス、マルテンサイト系ステンレスなどを使用することが好ましく、180℃未満の場合には安価で熱伝導率が高いもの(例えば亜鉛メッキ鋼板SECC(冷延材)や亜鉛メッキ鋼板SEHC(熱延材)など)を使用することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
[第1実施形態]
次に、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1及び図2は、第1実施形態のガス処理システム10の説明図であり、図1は、スライドバルブ110を順方向状態に設定したとき、図2は、スライドバルブ110を逆方向状態に設定したときを表す。なお、図1及び図2は、説明の便宜上、スライドバルブ110を分解して示した。
【0022】
本実施形態のガス処理システム10は、ガスが水平方向に流通可能なガス通路12と、このガス通路12の片側に配置された第1化学吸着装置20と、ガス通路12のもう片側に配置された第2化学吸着装置40と、未処理ガスの供給や処理済みガスの排出の経路を切り替える切替器としてのスライドバルブ110を備えている。
【0023】
ガス通路12は、筒状の空間であり、ヒータ14が取り付けられている。このヒータ14は、第1化学吸着装置20や第2化学吸着装置40を暖機したり、第1化学吸着装置20又は第2化学吸着装置40を通過したあとの未処理ガスの温度を維持したりする役割を果たす。
【0024】
第1化学吸着装置20は、酸性ガス成分を中和反応により吸着可能な粒状の固体吸着剤Aが充填された第1反応室22を備えている。ここでは、固体吸着剤Aは酸化カルシウム又は炭酸ナトリウムとする。この第1反応室22のうち、ガス通路12に面する側にはガス通過口である第1内側開口24が形成されている。この第1内側開口24は、第1反応室22の内側に設けられた扁平で箱型の第1内側スペース23の断面と略同じ面積を有し、この第1内側スペース23を介してガス通路12に通じている。また、第1内側開口24には、細長い板からなる複数の羽板26が所定の隙間をもって平行に取り付けられている。一方、ガス通路12とは反対側つまりガス通路12に面しない側にもガス通過口である第1外側開口28が形成されている。この第1外側開口28は、第1反応室22の外側に設けられた扁平で箱型の第1外側スペース25の断面と略同じ面積を有し、この第1外側スペース25及び通気管81を介してスライドバルブ110の第3接続口123と接続されている。また、第1外側開口28には、第1内側開口24と同様、複数の羽板30が所定の隙間をもって平行に取り付けられている。各羽板26,30は、第1反応室22の内から外に向かって上向きに傾斜するように取り付けられているため、固体吸着剤Aが第1内側開口24や第1外側開口28から外へこぼれるのを防止すると共に、ガスが第1内側開口24や第1外側開口28を介して第1反応室22に出入りするのを許容する役割を果たす。
【0025】
第1反応室22は、上部に固体吸着剤Aを供給可能な第1ホッパ32を有すると共に、下部に第1吸着剤排出口34を介して固体吸着剤Aを排出可能なスクリューコンベヤ36を有している。このため、固体吸着剤Aは、自重により上から下へ移動する。この移動方向は、第1内側開口24と第1外側開口28とを結んだ仮想線に交差する。なお、第1ホッパ32及び第1吸着剤排出口34が本発明の第1供給部及び第1排出部に相当する。第1反応室22の床38は、内側から外側に向かって傾斜しており、もっとも低い部分に第1吸着剤排出口34が設けられている。このように第1反応室22の床38が傾斜しているため、第1ホッパ32から供給される固体吸着剤Aが第1吸着剤排出口34まで移動するときの移動速度はガス通路12に面する側(第1内側開口24に近い領域)に比べてガス通路12に面しない側(第1外側開口28に近い領域)の方が速くなる。
【0026】
第2化学吸着装置40は、酸性ガス成分を中和反応により吸着可能な粒状の固体吸着剤Aが充填された第2反応室42を備えている。この第2反応室42のうち、ガス通路12に面する側にはガス通過口である第2内側開口44が形成されている。この第2内側開口44は、第2反応室42の内側に設けられた扁平で箱型の第2内側スペース43の断面と略同じ面積を有し、この第2内側スペース43を介してガス通路12に通じている。また、第2内側開口44には、複数の羽板46が所定の隙間をもって平行に取り付けられている。一方、ガス通路12とは反対側つまりガス通路12に面しない側にもガス通過口である第2外側開口48が形成されている。この第2外側開口48は、第2反応室42の外側に設けられた扁平で箱型の第2外側スペース45の断面と略同じ面積を有し、この第2外側スペース45及び通気管83を介してスライドバルブ110の第4接続口124と通気管83を介して接続されている。また、第2外側開口48にも、複数の羽板50が所定の隙間をもって平行に取り付けられている。これらの羽板46,50は、第1化学吸着装置20が備えているものと同じ形状で同じ機能を有する。なお、各内側スペース23,43及び各外側スペース25,45は、高さ(図1の上下方向の長さ)と奥行き(図1の紙面と垂直方向の長さ)に比べて厚さ(図1の左右方向の長さ)が小さい直方体形状をなしている。
【0027】
第2反応室42は、上部に固体吸着剤Aを供給可能な第2ホッパ52を有すると共に、下部に第2吸着剤排出口54を介して固体吸着剤Aを排出可能なスクリューコンベヤ56を有している。このため、固体吸着剤Aは、自重により上から下へ移動する。この移動方向は、第2内側開口44と第2外側開口48とを結んだ仮想線に交差する。なお、第2ホッパ52及び第2吸着剤排出口54が本発明の第2供給部及び第2排出部に相当する。この第1反応室42の床58は、内側から外側に向かって傾斜しており、もっとも低い部分に第2吸着剤排出口54が設けられている。このように第2反応室42の床58が傾斜しているため、第2ホッパ52から供給される固体吸着剤Aが第2吸着剤排出口54まで移動するときの移動速度はガス通路12に面する側(第2内側開口44に近い領域)に比べてガス通路12に面しない側(第2外側開口48に近い領域)の方が速くなる。
【0028】
スライドバルブ110は、一方の面に上下方向に並んだ第1及び第2接続口121,122と他方の面に左右方向に並んだ第3及び第4接続口123,124とを有するハウジング120と、このハウジング120内で上下にスライド可能なスライド板160とを備えている。第1接続口121には、塩化水素や亜硫酸ガス、硫酸ガスなどの酸性ガス成分を含む未処理ガスが外部から供給されるガス供給管71が接続され、第2接続口122には、各化学吸着装置20,40を通過してきた処理済みガスを外部へ放出するガス排出管73が接続されている。また、第3接続口123には、通気管81を介して第1化学吸着装置20の第1外側開口28が接続され、第4接続口124には、通気管83を介して第2化学吸着装置40の第2外側開口48が接続されている。
【0029】
ハウジング120は、カーボン製のベース面部材130を支持するベース面支持体120aと、このベース面部材130と対向するカーボン製の対向面部材140を支持する対向面支持体120bとで構成されている。
【0030】
ベース面支持体120aは、熱伝導率の高いアルミニウム製の板状の部材である。このベース面支持体120aには、対向面支持体120bと向かい合う面に窪み(図示せず)が設けられ、この窪みにベース面部材130が嵌め込まれている。第1及び第2接続口121,122は、ベース面支持体120aを厚さ方向に貫通している。ベース面部材130には、左右方向に長く伸びる長円形状の第1及び第2通過口131,132が上下方向に並んで設けられ、第1通過口131の略中央に第1接続口121が配置され、第2通過口132の略中央に第2接続口122が配置されている。このベース面部材130のうちベース面支持体120aと接する面には、第1及び第2通過口131,132の周囲に沿って設けられた凹溝にフッ素樹脂製のシールリングであるVリング135,136が嵌め込まれている。
【0031】
対向面支持体120bは、ベース面支持体120aと同様、アルミニウム製の部材である。この対向面支持体120bには、ベース面支持体120aと向かい合う面に窪み125が設けられ、この窪み125に対向面部材140が嵌め込まれている。第3及び第4接続口123,124は、対向面支持体120bを厚さ方向に貫通している。対向面部材140には、上下方向に長く伸びる長円形状の第3及び第4通過口143,144が左右方向に並んで設けられ、第3通過口143の略中央に第3接続口123が配置され、第4通過口144の略中央に第4接続口124が配置されている。また、第3通過口143は、第1及び第2通過口131,132の右側と重なり合うように設けられ、第4通過口144は、第1及び第2通過口131,132の左側と重なり合うように設けられている。対向面部材140のうち対向面支持体120bと接する面には、第3及び第4通過口143,144の周囲に沿って設けられた凹溝にフッ素樹脂製のVリング145,146が嵌め込まれている。また、対向面支持体120bは、左右両側に所定の高さの突堤127,128が形成されている。ハウジング120は、ベース面支持体120aと対向面支持体120bとを重ね合わせた状態で、ベース面支持体120aの左右両側と対向面支持体120bの左右両側に形成された突堤127,128とを複数のネジで締結されている。このハウジング120の内部には、突堤127,128の存在により上下方向に連通する空洞が形成される。
【0032】
スライド板160は、制御部材に相当するものであり、マルテンサイト系ステンレス(SUS410)製の板状の部材である。このスライド板160は、ハウジング120に形成された空洞内にて、ベース面部材130と対向面部材140とに挟持されている。具体的には、スライド板160は、Vリング135,136,145,146が弾性力を有するため、ベース面部材130と対向面部材140とによって弾性支持される。この結果、スライド板160は上下方向に摺動可能に支持されると共に、スライド板160とベース面部材130とのシール性やスライド板160と対向面部材140とのシール性が確保される。また、スライド板160は、三角形の頂点の位置に3つの第1〜第3貫通孔161,162,163を有している。
【0033】
ここで、スライド板160が第1姿勢に位置決めされたとき、図1に示すように、第1通過口131と第3通過口143とはスライド板160の第1貫通孔161によって連通が許容され、第2通過口132と第4通過口144とはスライド板160の第2貫通孔162によって連通が許容される。また、第1通過口131と第4通過口144、第2通過口132と第3通過口143とはスライド板160によって連通が遮断される。一方、スライド板160が第2姿勢に位置決めされたとき、図2に示すように、第1通過口131と第4通過口144とはスライド板160の第2貫通孔162によって連通が許容され、第2通過口132と第3通過口143とはスライド板160の第3貫通孔163によって連通が許容される。また、第1通過口131と第3通過口143、第2通過口132と第4通過口144とはスライド板160によって連通が遮断される。なお、ここでは、スライド板160は図示しない空気圧シリンダにより直線的に上下動させるものとした。
【0034】
次に、本実施形態のガス処理システム10の使用例について、図1及び図2を用いて説明する。ここでは、事前にガス通路12に設けられたヒータ14によって第1及び第2化学吸着装置20,40の暖機が行われ、第1及び第2反応室22,42における中和反応が進行しやすい温度に設定されているものとする。なお、暖機温度は、酸性ガス成分と固体吸着剤の組み合わせに応じて適宜適切な温度に設定すればよい。また、ガス排出管73の下流側には図示しないブロワ(誘引通風機)を接続し、このブロワを回転させることにより各反応室22,42やガス通路12、各通気管81,83の内部は負圧になっているものとする。
【0035】
スライドバルブ110のスライド板160を上にスライドさせて第1姿勢に位置決めした状態では、図1に示すように、ガス供給管71から供給された酸性ガス成分を含む未処理ガスは第1接続口121から第1通過口131、第1貫通孔161、第3通過口143、第3接続口123及び通気管81を通って第1化学吸着装置20の第1外側開口28から第1反応室22に進入する。第1反応室22に進入した未処理ガスは、図1にて右から左へ移動しながら第1反応室22内を上から下に移動する固体吸着剤Aと接触して中和反応を起こす。このとき、第1反応室22のうち第1外側開口28に近い領域では、未処理ガスは高濃度の酸性ガス成分を含んでいるため、中和反応による発熱量が多く高温になりやすい。一方、第1反応室22のうち第1内側開口24に近い領域では、酸性ガス成分の濃度が低下しているため、中和反応による発熱量は少なく高温になりにくい。このように、第1反応室22では第1外側開口28に近いほど高温になりやすい。しかし、第1外側開口28に近いほど固体吸着剤Aの移動速度が速いため、中和後の高温化した固体吸着剤Aは早期に排出されることから高温になりすぎることはない。さて、第1反応室22を通過したあとのガスは、ガス通路12を通過して第2化学吸着装置40の第2内側開口44から第2反応室42へ進入する。このガス通路12を通過する際、ガス温度はヒータ14により中和反応に適した温度に維持される。第2反応室42に進入した未処理ガスは、図1にて右から左へ移動しながら第2反応室42内を上から下に移動する固体吸着剤Aと接触して中和反応を起こすが、既に第1反応室22で酸性ガス成分の多くが除去されているため、中和反応による発熱量は少なく高温になりにくい。そして、第2反応室42を通過したあとのガスは、第2外側開口48、通気管83、第4接続口124,第4通過口144、第2貫通孔162、第2通過口132を通って第2接続口122からガス排出管73へと導出される。このようなガスの流れを順方向状態という。順方向状態で運転を継続すると、第1反応室22のうち第1外側開口28に近い領域が徐々に高温化する。
【0036】
そして、第1反応室22のうち第1外側開口28に近い領域の温度が固体吸着剤Aの融着温度に達する前に、スライドバルブ110のスライド板160を下にスライドさせて第2姿勢に位置決めする。すると、図2に示すように、ガス供給管71から供給された未処理ガスは第1接続口121から第1通過口131、第2貫通孔162、第4通過口144、第4接続口124及び通気管83を通って第2化学吸着装置40の第2外側開口48から第2反応室42に進入する。第2反応室42に進入した未処理ガスは、図2にて左から右へ移動しながら第2反応室22内を上から下に移動する固体吸着剤Aと接触して中和反応を起こす。このとき、第2反応室42のうち第2外側開口48に近い領域では、未処理ガスは高濃度の酸性ガス成分を含んでいるため、中和反応による発熱量が多く高温になりやすい。一方、第2反応室42のうち第2内側開口44に近い領域では、酸性ガス成分の濃度が低下しているため、中和反応による発熱量は少なく高温になりにくい。このように、第2反応室42では第2外側開口48に近いほど高温になりやすい。しかし、第2外側開口48に近いほど固体吸着剤Aの移動速度が速いため、中和後の高温化した固体吸着剤Aは早期に排出されることから高温になりすぎることはない。そして、第2反応室42を通過したあとのガスは、ガス通路12を通過して第1化学吸着装置20の第1内側開口24から第1反応室22へ進入する。このガス通路12を通過する際、ガス温度はヒータ14により中和反応に適した温度に維持される。第1反応室22に進入した未処理ガスは、図2にて左から右へ移動しながら第1反応室22内を上から下に移動する固体吸着剤Aと接触して中和反応を起こすが、既に第2反応室42で酸性ガス成分の多くが除去されているため、中和反応による発熱量は少なく高温になりにくい。そして、第1反応室22を通過したあとのガスは、通気管81、第3接続口123,第3通過口143、第3貫通孔163、第2通過口132を通って第2接続口122からガス排出管73へと導出される。このようなガスの流れを逆方向状態という。逆方向状態で運転を継続すると、第2反応室42の第2外側開口48に近い領域が徐々に高温化する。また、前回まで順方向状態に設定されていて第1反応室22のうち第1外側開口28に近い領域が高温になっていたとしても、逆方向状態に設定されたあとはその領域の温度が徐々に低下するため、その領域で固体吸着剤Aが融着することはない。
【0037】
そして、第2反応室42の第2外側開口48に近い領域の温度が固体吸着剤Aの融着温度に達する前に、スライドバルブ110のスライド板160を上にスライドさせて第1姿勢に位置決めする。すると、再び図1のように未処理ガスの流れが切り替わる。この状態を継続することにより、第2反応室42のうち第2外側開口48に近い領域の温度が徐々に低下し、代わりに第1反応室22のうち第1外側開口28に近い領域の温度が徐々に上昇する。このように、適宜のタイミングでスライド板160を第1姿勢と第2姿勢との間で切り替えることにより、ガスの流れが順方向状態と逆方向状態との間で切り替わり、第1反応室22の温度と第2反応室42の温度を常に適正に保つことができる。その結果、いずれの反応室22,42でも固体吸着剤Aが融着するのを防止することができる。
【0038】
以上詳述した本実施形態のガス処理システム10によれば、順方向状態と逆方向状態とを適宜切り替えることが可能であるため、各反応室22,42内の固体吸着剤Aが溶着するのを防止できる。また、酸性ガス成分を中和した後の固体吸着剤Aは第1及び第2吸着剤排出口34,54から排出されると共に新たな固体吸着剤Aが第1及び第2ホッパ32,52から供給されるため、各反応室22,42内の酸性ガス除去機能を長期間維持することができるし、上述したように固体吸着剤Aが溶着するのを防止できるため、固体吸着剤Aの流動性が悪化することがない。更に、順方向状態では第1反応室22のうち第1外側開口28に近い領域が高温になりやすく、逆方向状態では第2反応室42のうち第2外側開口48に近い領域が高温になりやすいが、これらの領域では固体吸着剤Aの移動速度が速いため、中和反応後の固体吸着剤Aがこれらの領域にとどまっている時間が短いことから高温になりすぎるのを防止できる。更にまた、未処理ガスが第1反応室22から第2反応室24へ流れるように設定した場合には、第2反応室24は排ガスと固体吸着剤Aとの熱交換により蓄熱される。このため、未処理ガスが第2反応室24から第1反応室22へ流れるようにスライドバルブ110を切り替えたとき、未処理ガスは第2反応室24の蓄熱を利用して予熱され、未処理ガスの暖機に必要な、ヒータ14からの熱エネルギーを低減できる。この点は、未処理ガスが第2反応室24から第1反応室22へ流れるように設定したあと第1反応室22から第2反応室24へ流れるように切り替えた場合も同様である。
【0039】
[第2実施形態]
図3及び図4は、第2実施形態のガス処理システム210の説明図であり、図3は、スライドバルブ110を順方向状態に設定したとき、図4は、スライドバルブ110を逆方向状態に設定したときを表す。
【0040】
ガス処理システム210は、ヒータ214が取り付けられガスが上下方向に流通可能なガス通路212と、このガス通路212の片側に配置された第1化学吸着装置220と、ガス通路212のもう片側に配置された第2化学吸着装置240と、未処理ガスの供給や処理済みガスの排出の経路を切り替える切替器としてのスライドバルブ110を備えている。スライドバルブ110は、第1実施形態で採用したものと同じであるため、具体的な説明を省略する。
【0041】
第1化学吸着装置220は、粒状の固体吸着剤Aが充填された第1反応室222を備えている。この第1反応室222は、第2化学吸着装置240の第2反応室242と共通化された大反応室221の上半分に相当する。この第1反応室222のうち、ガス通路212に面する側にはガス通過口である第1内側開口224が形成されている。この第1内側開口224は、ガス通路212に通じている。また、第1内側開口224には、複数の羽板226が所定の隙間をもって平行に取り付けられている。一方、ガス通路212とは反対側つまりガス通路212に面しない側にもガス通過口である第1外側開口228が形成されている。この第1外側開口228は、スライドバルブ110の第3接続口123と通気管81を介して接続されている。また、第1外側開口228には、第1内側開口224と同様、複数の羽板230が所定の隙間をもって平行に取り付けられている。
【0042】
第2化学吸着装置240は、粒状の固体吸着剤Aが充填された第2反応室242を備えている。この第2反応室242は、大反応室221の下半分に相当する。この第2反応室242のうち、ガス通路212に面する側にはガス通過口である第2内側開口244が形成されている。この第2内側開口244は、ガス通路212に通じている。また、第2内側開口244には、複数の羽板246が所定の隙間をもって平行に取り付けられている。一方、ガス通路212とは反対側つまりガス通路212に面しない側にもガス通過口である第2外側開口248が形成されている。この第2外側開口248は、スライドバルブ110の第4接続口124と通気管83を介して接続されている。また、第2外側開口248には、第2内側開口244と同様、複数の羽板250が所定の隙間をもって平行に取り付けられている。なお、羽板226,230,246,250は第1実施形態の羽板と同じ形状で同じ機能を有する。
【0043】
大反応室221は、上部に固体吸着剤Aを供給可能なホッパ232を有すると共に、下部に吸着剤排出口234を介して固体吸着剤Aを排出可能なスクリューコンベヤ236を有している。このため、固体吸着剤Aは自重により上から下へ移動する。この移動方向は、第1内側開口224と第1外側開口228とを結んだ仮想線や第2内側開口244と第2外側開口248とを結んだ仮想線に交差する。なお、ホッパ232及び吸着剤排出口234が本発明の供給部及び排出部に相当する。この大反応室221の床238は、内側から外側に向かって傾斜しており、もっとも低い部分に吸着剤排出口234が設けられている。このように大反応室221の床238が傾斜しているため、ホッパ232から供給される固体吸着剤Aが吸着剤排出口234まで上下方向に移動するときの移動速度はガス通路212に面する側(第1及び第2内側開口224,244に近い領域)に比べてガス通路212に面しない側(第1及び第2外側開口228,248に近い領域)の方が速くなる。
【0044】
次に、本実施形態のガス処理システム210の使用例について、図3及び図4を用いて説明する。ここでは、事前にガス通路212に設けられたヒータ214によって第1及び第2化学吸着装置220,240の暖機が行われ、第1及び第2反応室222,242における中和反応が進行しやすい温度に設定されている。また、ガス排出管73の下流側には図示しないブロワ(誘引通風機)を接続し、このブロワを回転させることにより各反応室220,240やガス通路212、各通気管81,83の内部は負圧になっているものとする。
【0045】
スライドバルブ110のスライド板160を上にスライドさせて第1姿勢に位置決めした状態(図1参照)では、未処理ガスは順方向に流れる。すなわち、図3に示すように、ガス供給管71から供給された酸性ガス成分を含む未処理ガスは、スライドバルブ110を経て通気管81を通って第1化学吸着装置220の第1外側開口228から第1反応室222に進入し、この第1反応室222内の固体吸着剤Aと中和反応を起こす。第1反応室222を通過したあとのガスは、ガス通路212を通過して第2化学吸着装置240の第2内側開口244から第2反応室242へ進入する。そして、第2反応室242を通過したあとのガスは、第2外側開口248から、通気管83を通ってスライドバルブ110を経てガス排出管73へと導出される。こうした順方向状態では、第1反応室222のうち第1外側開口228に近い領域で中和反応が活発に起こるため、この領域の温度が最も高くなりやすい。
【0046】
そして、第1反応室222のうち第1外側開口228に近い領域の温度が固体吸着剤Aの融着温度に達する前に、スライドバルブ110のスライド板160を下にスライドさせて第2姿勢に位置決めする(図2参照)。すると、未処理ガスは逆方向に流れる。すなわち、図4に示すように、ガス供給管71から供給された未処理ガスは、スライドバルブ110を経て通気管83を通って第2化学吸着装置240の第2外側開口248から第2反応室242に進入し、この第2反応室242内の固体吸着剤Aと中和反応を起こす。第2反応室242を通過したあとのガスは、ガス通路212を通過して第1化学吸着装置220の第1内側開口224から第1反応室222へ進入する。そして、第1反応室222を通過したあとのガスは、第1外側開口228から、通気管81を通ってスライドバルブ110を経てガス排出管73へと導出される。こうした逆方向状態では、第2反応室242のうち第2外側開口248に近い領域で中和反応が活発に起こるため、この領域の温度が最も高くなりやすい。
【0047】
そして、第2反応室242のうち第2外側開口248に近い領域の温度が固体吸着剤Aの融着温度に達する前に、スライドバルブ110のスライド板160を上にスライドさせて第1姿勢に位置決めする。すると、未処理ガスの流れが順方向に切り替わる。この状態を継続することにより、第2反応室242のうち第2外側開口248に近い領域の温度が徐々に低下し、代わりに第1反応室222のうち第1外側開口228に近い領域の温度が徐々に上昇する。このように、適宜のタイミングでスライド板160を第1姿勢と第2姿勢との間で切り替えることにより、ガスの流れが順方向状態と逆方向状態との間で切り替わり、第1反応室222の温度と第2反応室242の温度を常に適正に保つことができる。その結果、いずれの反応室222,242でも固体吸着剤Aが融着するのを防止することができる。
【0048】
以上詳述した本実施形態のガス処理システム210によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、第1反応室222と第2反応室242とが共通化されているため、第1実施形態と比べてシステム全体をコンパクトにすることができる。ちなみに、第1実施形態では、第1及び第2化学吸着装置20,40が別々に設けられているため、一方が高温化したときにその熱が他方に伝わりにくく、各反応室22,42内の固体吸着剤Aが溶着するのをより確実に防止できる。
【0049】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0050】
例えば、上述した第1及び第2実施形態では、切替器としてスライドバルブ110を採用したが、スライドバルブ110の代わりに図5及び図6に示すように複数の配管74〜77及び開閉バルブ74a〜77aを採用してもよい。具体的には、第1化学吸着装置20の第1外側スペース25に導入管74と導出管77を接続し、第2化学吸着装置40の第2外側スペース45に導入管75と導出管76を接続し、各管74〜77に開閉バルブ74a〜77aを取り付ける。そして、図5のように、開閉バルブ74a,76aを開、開閉バルブ75a,77aを閉とすると、未処理ガスは、導入管74から第1化学吸着装置20、ガス通路12及び第2化学吸着装置40をこの順に通過したあと導出管76に導出される(順方向状態)。一方、図6のように、開閉バルブ74a,76aを閉、開閉バルブ75a,77aを開に切り替えると、未処理ガスは、導入管75から第2化学吸着装置40、ガス通路12及び第1化学吸着装置20をこの順に通過したあと導出管77に導出される。この場合でも、上述した第1及び第2実施形態と同様の効果が得られる。但し、図5及び図6では、4つの開閉バルブ74a〜77aを操作する必要があるのに対して、スライドバルブ110を採用した場合にはこのスライドバルブ110を1つだけ操作すればよいため、ガスの流れを切り替えるのに必要な構成をコンパクトにすることができる。
【0051】
上述した第1実施形態では、第1及び第2反応室22,42内を固体吸着剤Aが上から下へ移動するようにしたが、第1及び第2ホッパ32,52及び第1及び第2吸着剤排出口34,54を閉鎖して固体吸着剤Aを移動しないようにしてもよい。また、第2実施形態についても、同様に固体吸着剤Aを移動しないようにしてもよい。この場合、運転を継続するに従って固体吸着剤Aは酸性ガス成分を中和する能力が低下するため、適宜のタイミングで固体吸着剤Aを新品に交換することが好ましい。このとき、通気可能なカートリッジ容器に固体吸着剤Aを詰めて、カートリッジ容器ごと交換するようにしてもよい。こうすれば、固体吸着剤Aの交換作業が容易になる。
【0052】
上述した第1実施形態では、ガス通路12にヒータ14を取り付けたが、第1及び第2反応室22,42内にヒータを取り付けて、これらのヒータにより各反応室22,42内の暖機などを行うようにしてもよい。また、第2実施形態でも、同様に大反応室221にヒータを取り付けて、これらのヒータにより各反応室222,242内の暖機などを行うようにしてもよい。この場合、ヒータ14,214を省略してもよい。
【0053】
上述した第1及び第2実施形態では、固体吸着剤Aを単独で用いたが、固体吸着剤Aと酸化触媒との混合物を用いてもよい。こうすれば、未処理ガスにハロゲン化炭化水素(例えばトリクロロエチレンなど)が含まれる場合、そのハロゲン化炭化水素が酸化触媒によってハロゲン化水素やハロゲンガスなどに分解したあと固体吸着剤Aに吸着されるため、未処理ガスを効率よく浄化することができる。ここで、酸化触媒は、未処理ガスに含まれるハロゲン化炭化水素の種類によって適宜選択すればよいが、例えば酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化ケイ素などが挙げられる。
【0054】
上述した第1及び第2実施形態では、ガスの流れをスライドバルブ110により順方向状態から逆方向状態に切り替えるときには、通気管81に溜まった未処理ガスがそのままガス排出管73から排出されることになり、逆方向状態から順方向状態に切り替えるときには、通気管83に溜まった未処理ガスがそのままガス排出管73に排出されることになる。このため、例えば図7に示すように、ガス供給管71にバルブ78を介して無害なガス(例えば空気など)を供給可能な構成としておき、スライドバルブ110を切り替える直前にそのバルブ78を開いて未処理ガスを無害なガスで十分希釈し、その後、そのバルブ78を閉めてスライドバルブ110を切り替えるのが好ましい。こうすれば、酸性ガス成分を高濃度に含む未処理ガスがそのまま放出されるのを防止することができる。あるいは、ガス供給管71とガス排出管73との間にバルブ付きの連通管を取り付けると共に、ガス排出管73のうち連通管の取付位置より下流側にバルブを取り付けた構成としておき、通常は連通管を閉鎖すると共にガス排出管73を開放し、スライドバルブ110を切り替えた直後の所定期間は連通管を開放すると共にガス排出管73を閉鎖してもよい。こうすれば、未処理ガスがそのままガス排出管73に戻ってきたとしても、連通管を介してその未処理ガスを再びガス供給管71に戻すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態のガス処理システム10の説明図であり、スライドバルブ110を順方向状態に設定したときを表す。
【図2】第1実施形態のガス処理システム10の説明図であり、スライドバルブ110を逆方向状態に設定したときを表す。
【図3】第2実施形態のガス処理システム210の説明図であり、スライドバルブ110を順方向状態に設定したときを表す。
【図4】第2実施形態のガス処理システム210の説明図であり、スライドバルブ110を逆方向状態に設定したときを表す。
【図5】スライドバルブ110の代わりに配管構造を採用して順方向状態に設定したときの説明図である。
【図6】スライドバルブ110の代わりに配管構造を採用して逆方向状態に設定したときの説明図である。
【図7】未処理ガスを希釈する構成を表す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
10 ガス処理システム、12 ガス通路、14 ヒータ、20 第1化学吸着装置、22 第1反応室、23 第1内側スペース、24 第1内側開口、25 第1外側スペース、26,30,46,50 羽板、28 第1外側開口、32 第1ホッパ、34 第1吸着剤排出口、36,56 スクリューコンベヤ、38,58 床、40 第2化学吸着装置、42 第2反応室、43 第2内側スペース、44 第2内側開口、45 第2外側スペース、48 第2外側開口、52 第2ホッパ、54 第2吸着剤排出口、71 ガス供給管、73 ガス放出管、74,75 導入管、74a〜77a 開閉バルブ、76,77 導出管、78 バルブ、81,83 通気管、110 スライドバルブ、120 ハウジング、120a ベース面支持体、120b 対向面支持体、121 第1接続口、122 第2接続口、123 第3接続口、124 第4接続口、125 窪み、127,128 突堤、130 ベース面部材、131 第1通過口、132 第2通過口、135,136,145,146 Vリング、140 対向面部材、143 第3通過口、144 第4通過口、160 スライド板、161〜163 第1〜第3貫通孔、210 ガス処理システム、212 ガス通路、214 ヒータ、220 第1化学吸着装置、221 大反応室、222 第1反応室、224 第1内側開口、226,230,246,250 羽板、228 第1外側開口、232 ホッパ、234 吸着剤排出口、236 スクリューコンベヤ、238 床、240 第2化学吸着装置、242 第2反応室、244 第2内側開口、248 第2外側開口路、A 固体吸着剤。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス通路と、
酸性ガス成分を中和反応により吸着可能な固体吸着剤が充填された第1反応室を有し、該第1反応室のうち前記ガス通路に面する側と前記ガス通路に面しない側にそれぞれガス通過口が設けられた第1化学吸着装置と、
酸性ガス成分を中和反応により吸着可能な固体吸着剤が充填された第2反応室を有し、該第2反応室のうち前記ガス通路に面する面と前記ガス通路に面しない側にそれぞれガス通過口が設けられた第2化学吸着装置と、
前記第1反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に未処理ガスを供給し、前記第1反応室、前記ガス通路及び前記第2反応室をこの順に通過した処理済みガスを前記第2反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口から排出する順方向状態か、前記第2反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に未処理ガスを供給し、前記第2反応室、前記ガス通路及び前記第1反応室をこの順に通過した処理済みガスを前記第1反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口から排出する逆方向状態かを切り替える切替器と、
を備えたガス処理システム。
【請求項2】
前記第1及び第2化学吸着装置は、別々に形成されている、
請求項1に記載のガス処理システム。
【請求項3】
前記第1化学吸着装置は、前記第1反応室へ固体吸着剤を供給可能な第1供給部と、前記第1反応室から固体吸着剤を排出可能な第1排出部と、を備え、前記第1供給部から前記第1反応室へ供給された固体吸着剤は前記第1反応室の前記両ガス通過口を結ぶ仮想線と交差する方向に移動して前記第1排出部から排出されるように構成され、
前記第2化学吸着装置は、前記第2反応室へ固体吸着剤を供給可能な第2供給部と、前記第2反応室から固体吸着剤を排出可能な第2排出部と、を備え、前記第2供給部から前記第2反応室へ供給された固体吸着剤は前記第2反応室の前記両ガス通過口を結ぶ仮想線と交差する方向に移動して前記第2排出部から排出されるように構成されている、
請求項2に記載のガス処理システム。
【請求項4】
前記第1化学吸着装置は、前記第1反応室のうち前記ガス通路に面する側に設けられたガス通過口に近い領域に比べて前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域の方が固体吸着剤の移動速度が速くなるように構成され、
前記第2化学吸着装置は、前記第2反応室のうち前記ガス通路に面する側に設けられたガス通過口に近い領域に比べて前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域の方が固体吸着剤の移動速度が速くなるように構成されている、
請求項3に記載のガス処理システム。
【請求項5】
前記第1化学吸着装置の第1反応室と前記第2化学吸着装置の第2反応室とは、共通化されて一つの大反応室をなし、
前記第1化学吸着装置の両ガス通過口は、前記大反応室のうち前記ガス通路に面する側と前記ガス通路に面しない側にそれぞれ設けられ、
前記第2化学吸着装置の両ガス通過口は、前記第1化学吸着装置の両ガス通過口とは別に、前記大反応室のうち前記ガス通路に面する側と前記ガス通路に面しない側にそれぞれ設けられている、
請求項1に記載のガス処理システム。
【請求項6】
前記大反応室は、前記大反応室へ固体吸着剤を供給可能な供給部と、前記大反応室から固体吸着剤を排出可能な排出部と、を備え、前記供給部から前記大反応室へ供給された固体吸着剤は前記大反応室の前記両ガス通過口を結ぶ仮想線と交差する方向に移動して前記排出部から排出されるように構成されている、
請求項5に記載のガス処理システム。
【請求項7】
前記大反応室は、前記ガス通路に面する側に設けられたガス通過口に近い領域に比べて前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口に近い領域の方が固体吸着剤の移動速度が速くなるように構成されている、
請求項6に記載のガス処理システム。
【請求項8】
前記第1及び第2化学吸着装置では、未処理ガス中のハロゲン化炭化水素を酸化分解して酸性ガス成分であるハロゲン化水素及び/又はハロゲンガスを発生させる酸化触媒が固体吸着剤と混合して使用される、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項9】
前記ガス通路は、熱源を有し、該熱源の熱により前記第1及び第2化学吸着装置を暖機可能である、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のガス処理システム。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス処理システムであって、
前記第1又は第2反応装置に未処理ガスを供給する未処理ガス供給経路には、バルブを介して希釈ガス導入管から希釈ガスが導入可能となっている、
ガス処理システム。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載のガス処理システムであって、
前記第1又は第2反応装置に未処理ガスを供給する未処理ガス供給経路と前記第1又は第2反応装置から処理済みガスを排出する処理済みガス排出経路との間にバルブ付きの連通管が取り付けられると共に、該処理済みガス排出経路のうち前記連通管の取付位置より下流側にバルブが取り付けられている、
ガス処理システム。
【請求項12】
前記切替器は、
ガスが通過可能な第1及び第2通過口が所定方向に並んで設けられたベース面部材と、
前記ベース面部材と対向し、ガスが通過可能な第3及び第4通過口が前記所定方向と交差する方向に並び且ついずれも前記第1及び第2通過口の両方と重なり合うように設けられた対向面部材と、
前記ベース面部材と前記対向面部材との間に摺動可能に配置され、第1姿勢に位置決めされたときには前記第1通過口と前記第3通過口との連通及び前記第2通過口と前記第4通過口との連通を許容し前記第1通過口と前記第4通過口との連通及び前記第2通過口と前記第3通過口との連通を遮断し、第2姿勢に位置決めされたときには前記第1通過口と前記第4通過口との連通及び前記第2通過口と前記第3通過口との連通を許容し前記第1通過口と前記第3通過口との連通及び前記第2通過口と前記第4通過口との連通を遮断するように複数の貫通孔が形成された制御部材と、
前記ベース面部材及び前記対向面部材を取り囲み、前記第1通過口に接続され未処理ガスが供給されるガス供給口、前記第2通過口に接続され処理済みガスを排出するガス排出口、前記第3通過口と前記第1化学吸着装置の第1反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口とを繋ぐ通気管及び前記第4通過口と前記第2化学吸着装置の第2反応室のうち前記ガス通路に面しない側に設けられたガス通過口とを繋ぐ通気管を有するハウジング部材と、
を備えた摺動式切替バルブである、
請求項1〜11のいずれか1項に記載のガス処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−104940(P2010−104940A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−281122(P2008−281122)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】