説明

ガス化装置

【課題】ガス化装置本体のモータ側を開放することなくスクリューシャフトの出し入れができ、且つ、スクリューシャフトの交換(或いは点検)に要する作業時間を短縮することができるガス化装置を提供する。
【解決手段】放射性廃棄物をガス化装置本体11内部でガス化し、放射性廃棄物をガス化した際の残渣をガス化装置本体11内部に回転可能に収容されたスクリューシャフト12により排出するようにしたガス化装置10であって、一端部21aがスクリューシャフト12を駆動する回転モータ13と接続されると共に、他端部21bがガス化装置本体11外部からガス化装置本体11内部まで延出された中間シャフト21と、中間シャフト21の他端部21bとスクリューシャフト12のモータ側端部12aとに設けられ、中間シャフト21の他端部21bとスクリューシャフト12のモータ側端部12aとを挿脱可能に連結する連結機構23とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性廃棄物をガス化装置本体内部に回転可能に収容されたスクリューシャフト炉内を搬送する過程でガス化し、放射性廃棄物をガス化した際の残渣を前記スクリューシャフトにより排出するようにしたガス化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力プラント等からの放射性廃棄物は、例えば、ガス化装置(スチームリフォーマ装置)でガス化され、ガス分が無害化装置で処理した後大気に放出され、放射性廃棄物をガス化した際の残渣が残渣回収装置で回収される。処理対象物が放射性廃棄物であるため、人手による作業が制限され、ガス化装置は機械による遠隔操作によって運用が行われる。
【0003】
図3は、ガス化装置を示したものである。
【0004】
図3に示すガス化装置40においては、放射性廃棄物は、供給管41からガス化装置本体(トラフ)42内部に供給される。そして、ガス化装置本体42内部に供給された放射性廃棄物は、ガス化装置本体42に装着されたヒーター(図示せず)で加熱してガス化され、ガス分が排ガス管(図示せず)から排気され、残渣がスクリューシャフト43の回転に伴い残渣排出管44から順次排出される。スクリューシャフト43はカップリング(モータカップリング)45でスクリュー回転モータ46と接続され、ガス化装置本体42におけるスクリューシャフト43が貫通する部位は軸シール機構47でシールされる。
【0005】
なお、本背景技術に係る先行技術文献には、以下のものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−300036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図3に示すガス化装置40においては、スクリューシャフト43を交換(或いは点検)する際、スクリューシャフト43をガス化装置本体42から抜き出す前にカップリング45をその都度切り離す必要があった。そのため、スクリューシャフト43の交換(或いは点検)に要する作業時間が長くなりやすく、作業時間を短縮する必要がある。
【0008】
また、図3に示すガス化装置40においては、スクリューシャフト43を交換(或いは点検)する際にガス化装置本体42のモータ側を開放することになるため、残留残渣が飛散しスクリュー回転モータ46やガス化装置本体42の周囲を汚染する虞があった。
【0009】
そこで、本発明の目的は、ガス化装置本体のモータ側を開放することなくスクリューシャフトの出し入れができ、且つ、スクリューシャフトの交換(或いは点検)に要する作業時間を短縮することができるガス化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、放射性廃棄物をガス化装置本体内部でガス化し、放射性廃棄物をガス化した際の残渣を前記ガス化装置本体内部に回転可能に収容されたスクリューシャフトにより排出するようにしたガス化装置であって、一端部が前記スクリューシャフトを駆動する回転モータと接続されると共に、他端部が前記ガス化装置本体外部から前記ガス化装置本体内部まで延出された中間シャフトと、該中間シャフトの前記他端部と前記スクリューシャフトのモータ側端部とに設けられ、前記中間シャフトの前記他端部と前記スクリューシャフトの前記モータ側端部とを挿脱可能に連結する連結機構とを備えるものである。
【0011】
前記連結機構は、前記中間シャフトの前記他端部と前記スクリューシャフトの前記モータ側端部との内の一方に形成されたプラス形状の溝部と、他方に形成され前記溝部に挿入されるマイナス形状の凸部とから構成されるものであっても良い。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガス化装置本体のモータ側を開放することなくスクリューシャフトの出し入れができ、且つ、スクリューシャフトの交換(或いは点検)に要する作業時間を短縮することができるガス化装置を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係るガス化装置の側断面図である。
【図2】図2(a)は中間シャフトとスクリューシャフトとの連結部を示す側面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A線矢視図であり、図2(c)は図2(a)のB−B線矢視図である。
【図3】図3は、従来例に係るガス化装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るガス化装置(スチームリフォーマ装置)10は、低レベル放射性廃棄物の処理装置であり、供給された放射性廃棄物をガス化するガス化装置本体(トラフ)11と、ガス化装置本体11外部に配設され、後述するスクリューシャフト12を駆動するスクリュー回転モータ(回転モータ)13とを備える。
【0016】
ガス化装置本体11は、筒状(本実施形態では、円筒状)に形成された筒部14と、筒部14の一端(図1中の左側)にボルト15により取り付けられ、筒部14のモータ側の開口部を閉塞する第一蓋16と、筒部14の他端(図1中の右側)にボルト17により取り付けられ、筒部14のモータ側と反対側の開口部を閉塞する第二蓋18とを有する。筒部14には、放射性廃棄物を供給するための供給管19と、ガス分を排気するための排ガス管(図示せず)と、残渣を排出するための残渣排出管20とが接続されている。また、筒部14の外周には、ガス化装置本体11(筒部14)内部に供給された放射性廃棄物を加熱するヒーター(図示せず)が装着されている。
【0017】
スクリュー回転モータ13は、スクリューシャフト12を比較的低速(1rpm程度)で回転駆動させるものであり、油圧モータ或いは電動モータからなる。
【0018】
本実施形態では、スクリューシャフト(ガス化装置本体側シャフト)12とスクリュー回転モータ13との間にスクリューシャフト12の位置決めを行う中間シャフト(モータ側シャフト)21を設け、この中間シャフト21のモータ側端部(一端部)21aはカップリング(モータカップリング)22でスクリュー回転モータ13と接続し、中間シャフト21のガス化装置本体側端部(他端部)21bはガス化装置本体11外部からガス化装置本体11内部まで延長して、ガス化装置本体11内部にスクリューシャフト12及び連結機構23を設けている。
【0019】
即ち、本実施形態に係るガス化装置10は、モータ側端部21aがカップリング22でスクリュー回転モータ13と接続されると共に、ガス化装置本体側端部21bがガス化装置本体11外部からガス化装置本体11内部まで延出された中間シャフト21と、放射性廃棄物をガス化した際の残渣を排出すべく、ガス化装置本体11内部に回転可能に収容されたスクリューシャフト12と、中間シャフト21のガス化装置本体側端部21bとスクリューシャフト12のモータ側端部12aとに設けられ、中間シャフト21のガス化装置本体側端部21bとスクリューシャフト12のモータ側端部12aとを挿脱可能に連結する連結機構23とを備える。
【0020】
中間シャフト21はカップリング22からガス化装置本体11内部までの長さとした。中間シャフト21はガス化装置本体11外部にて軸受(本実施形態では、プランマブロック)24で支持され、ガス化装置本体11における中間シャフト21が貫通する部位は軸シール機構25でシールされている。
【0021】
カップリング(本実施形態では、フランジ形軸継手)22は、スクリュー回転モータ13の回転軸26の先端に装着されたモータ側フランジ27と、中間シャフト21のモータ側端部21aに装着された中間シャフト側フランジ28とから構成され、モータ側フランジ27と中間シャフト側フランジ28とはボルト29により結合されている。
【0022】
軸シール機構25は、ガス化装置本体11の第一蓋16に固定され、中間シャフト21が挿通される筒状のボス部30と、ボス部30の内周と中間シャフト21の外周との隙間をシールするパッキン31と、ボス部30にボルト32により取り付けられるパッキン押さえ33とを有する。
【0023】
スクリューシャフト12は、交換(或いは点検)等で頻繁にガス化装置本体11から出し入れする部位である。スクリューシャフト12は、ガス化装置本体11の長手方向に延出するシャフト部34と、シャフト部34の長手方向に間隔を隔てて装着された一対のエンドプレート35と、これら一対のエンドプレート35間に位置させてシャフト部34に装着されたスクリュー36とを有する。
【0024】
図2に示すように、連結機構23は、スクリューシャフト12のモータ側端部12aに形成されたプラス形状の溝部37と、中間シャフト21のガス化装置本体側端部21bに形成され、溝部37に挿入されるマイナス形状の凸部38とから構成される簡易キー連結機構である。本実施形態では、溝部37の幅W1は、凸部38の幅W2よりも若干大きく形成される。
【0025】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0026】
図1に示すガス化装置10においては、放射性廃棄物は、供給管19からガス化装置本体11内部に供給される。そして、ガス化装置本体11内部に供給された放射性廃棄物は、ガス化装置本体11に装着されたヒーターで加熱してガス化され、ガス分が排ガス管から排気され、残渣がスクリューシャフト12の回転に伴い残渣排出管20から順次排出される。
【0027】
<スクリューシャフト取り外し>
ガス化装置本体11の筒部14から第二蓋18を取り外して、ガス化装置本体11のモータ側と反対側を開放する。そして、スクリューシャフト12をそのままモータ側と反対側に引くことで、スクリューシャフト12をガス化装置本体11から抜き出すことができる。
【0028】
<スクリューシャフト連結>
スクリューシャフト12をガス化装置本体11のモータ側と反対側から挿入する。スクリューシャフト12がストロークエンド近辺に到達したら、スクリュー回転モータ13を駆動し中間シャフト21を回転させた状態で、スクリューシャフト12をモータ側に押す。連結機構23の凸部38(中間シャフト21のガス化装置本体側端部21b)が溝部37(スクリューシャフト12のモータ側端部12a)に最後まで入ったことはスクリューシャフト12の移動位置で検知する。具体的には、スクリューシャフト12におけるモータ側端部12aとは反対側の端部12bの先端がガス化装置本体11の筒部14内に収まる位置までスクリューシャフト12が移動したときに、連結機構23の凸部38が溝部37に最後まで入ったと判断する。連結機構23の凸部38が溝部37に最後まで入らなかった場合は、スクリュー回転モータ13を駆動し中間シャフト21を回転させた状態で、スクリューシャフト12をモータ側に押す動作を繰り返し行う。そして、連結機構23の凸部38が溝部37に最後まで入ったことをスクリューシャフト12の移動位置で検知したならば、ガス化装置本体11の筒部14に第二蓋18を取り付けて、ガス化装置本体11を密閉する。
【0029】
本実施形態では、スクリューシャフト12の連結をガス化装置本体11内部にある連結機構23で行うようにしたため、スクリューシャフト12の交換(或いは点検)のたびにカップリング22を切り離す必要が無くなったことと、中間シャフト21のガス化装置本体側端部21bとスクリューシャフト12のモータ側端部12aとを挿脱可能に連結する連結機構23でスクリューシャフト12の連結を行うこととから、スクリューシャフト12の交換(或いは点検)に要する作業時間を短縮することができる。
【0030】
また、本実施形態では、スクリューシャフト12の連結部(連結機構23)がガス化装置本体11内部にあるため、ガス化装置本体11のモータ側を開放する必要がなくなり、ガス化装置本体11のモータ側への放射性廃棄物の飛散がなくなる。
【0031】
従って、本実施形態に係るガス化装置10によれば、ガス化装置本体11のモータ側を開放することなくスクリューシャフト12の出し入れができ、且つ、スクリューシャフト12の交換(或いは点検)に要する作業時間の短縮、カップリング連結作業時の作業者への放射線被ばくを無くすことができる。
【0032】
また、本実施形態では、連結機構23は、スクリューシャフト12のモータ側端部12aに形成されたプラス形状の溝部37と、中間シャフト21のガス化装置本体側端部21bに形成され、溝部37に挿入されるマイナス形状の凸部38とから構成されるので、中間シャフト21を最大で90度回転させれば凸部38を溝部37に入れることができ、溝部37をマイナス形状に形成した場合(中間シャフト21を最大で180度回転させる必要がある)と比較して短時間でスクリューシャフト12の連結を達成し得る。
【0033】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態には限定されず他の様々な実施形態を採ることが可能である。
【0034】
例えば、上述の実施形態では、スクリューシャフト12のモータ側端部12aにプラス形状の溝部37を形成し、中間シャフト21のガス化装置本体側端部21bにマイナス形状の凸部38を形成するとしたが、これに代えて、中間シャフト21のガス化装置本体側端部21bにプラス形状の溝部37を形成し、スクリューシャフト12のモータ側端部12aにマイナス形状の凸部38を形成しても良い。即ち、中間シャフト21のガス化装置本体側端部21bとスクリューシャフト12のモータ側端部12aとの内の一方にプラス形状の溝部37を形成し、他方にマイナス形状の凸部38を形成すれば良い。
【符号の説明】
【0035】
10 ガス化装置(スチームリフォーマ装置)
11 ガス化装置本体(トラフ)
12 スクリューシャフト
12a モータ側端部
13 スクリュー回転モータ(回転モータ)
21 中間シャフト
21a モータ側端部(一端部)
21b ガス化装置本体側端部(他端部)
23 連結機構
37 溝部
38 凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性廃棄物をガス化装置本体内部でガス化し、放射性廃棄物をガス化した際の残渣を前記ガス化装置本体内部に回転可能に収容されたスクリューシャフトにより排出するようにしたガス化装置であって、
一端部が前記スクリューシャフトを駆動する回転モータと接続されると共に、他端部が前記ガス化装置本体外部から前記ガス化装置本体内部まで延出された中間シャフトと、
該中間シャフトの前記他端部と前記スクリューシャフトのモータ側端部とに設けられ、前記中間シャフトの前記他端部と前記スクリューシャフトの前記モータ側端部とを挿脱可能に連結する連結機構とを備えることを特徴とするガス化装置。
【請求項2】
前記連結機構は、前記中間シャフトの前記他端部と前記スクリューシャフトの前記モータ側端部との内の一方に形成されたプラス形状の溝部と、他方に形成され前記溝部に挿入されるマイナス形状の凸部とから構成される請求項1に記載のガス化装置。

【図2】
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【図1】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−122889(P2012−122889A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274715(P2010−274715)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】