説明

ガス増幅を用いた放射線検出器

【課題】特に40cm角以上の大型であって新規な構成の放射線検出器を提供する。
【解決方法】それぞれが、絶縁部材、この絶縁部材の第1の面上に形成されるとともに、円形状の複数の開口部を有する第1の電極パターン、及び前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に形成されるとともに、前記絶縁部材を貫通し、前記第1の電極パターンの前記開口部の略中心部に先端が露出してなる凸状部を有する第2の電極パターンを有する複数のピクセル型電極を含む複数の放射線検出器ユニットと、前記複数の放射線検出器ユニットを互いに隣接するようにして搭載するための配線基板と、前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれを前記配線基板と電気的に接続するための導電性部材と、を具えるようにして、放射線検出器を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピクセル型電極によるガス増幅を用いた放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス増幅を利用した放射線検出器として、従来、ピクセル型の放射線検出器が用いられてきた。この放射線検出器は、例えば両面プリント基板の表面にストリップ状陰極電極が形成されるとともに、裏面に陽極ストリップが形成され、ストリップ状陰極電極には、一定間隔に開口部が形成されるとともに、開口部の中心には裏面の陽極ストリップと接続されている円柱状陽極電極、すなわちピクセル電極が形成されたような構成を採っている。
【0003】
なお、放射線検出器は、例えばArとエタンとの混合ガス中に配置される。また、前記ピクセル電極と前記ストリップ状陰極電極との間には所定の電圧が印加されている。
【0004】
上記放射線検出器においては、所定の放射線が前記検出器内に入射すると、前記ガスが電離して電子を生成し、この電子は、上記ストリップ状陰極電極と上記ピクセル電極との間に印加された高電圧、及び上記ピクセル電極の点電極としての形態(形状異方性)に起因して生成される強力な電場によって、電子雪崩増幅を引き起こす。一方、前記電子雪崩増幅によって生じた正イオンは、周囲の前記ストリップ状陰極電極に向けてドリフトする。
【0005】
この結果、対象となる前記ストリップ状陰極電極及び前記ピクセル電極に、それぞれ正孔と電子とがチャージされる。この電荷が生成された前記ストリップ状陰極電極及び前記ピクセル電極の位置を検出することによって、前記放射線の前記検出器における入射位置を特定することができ、前記放射線の検出が可能となる(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−6047号
【0007】
しかしながら、上述した放射線検出器は、現在の製造技術において、歩留まりを考慮した場合、最大で10cm〜30cm角の大きさのものしか製造することができない。したがって、大型の用途、例えば、人体のX線撮影等に関するX線検出に際して要求されるような40cm角以上の大きさの放射線検出器は、未だ歩留まりよく製造することが困難であって、たとえ製造できたとしても製造コストが増大し、実用可能な大型の放射線検出器は未だ十分に提供することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特に40cm角以上の大型であって新規な構成の放射線検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく、本発明は、
それぞれが、絶縁部材の第1の面上に形成されるとともに、円形状の複数の開口部を有する第1の電極パターン、及び前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に形成されるとともに、前記絶縁部材を貫通し、前記第1の電極パターンの前記開口部の略中心部に先端が露出してなる凸状部を有する第2の電極パターンを含む複数のピクセル型電極を有する複数の放射線検出器ユニットと、
前記複数の放射線検出器ユニットを互いに隣接するようにして搭載するための配線基板と、
前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれを前記配線基板と電気的に接続するための導電性部材と、
を具えることを特徴とする、ガス増幅を用いた放射線検出器(第1の放射線検出器)に関する。
【0010】
また、本発明は、
それぞれが、絶縁部材の第1の面上に形成されるとともに、円形状の複数の開口部を有する第1の電極パターン、及び前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に形成されるとともに、前記絶縁部材を貫通し、前記第1の電極パターンの前記開口部の略中心部に先端が露出してなる凸状部を有する第2の電極パターンを含むピクセル型電極を有する複数の放射線検出器ユニットと、
前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれを搭載する複数の配線基板と、
前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれと、前記複数の配線基板それぞれとを電気的に接続するための導電性部材とを具え、
前記複数の放射線検出器ユニットは、前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれの直交する2辺が、搭載すべき前記複数の配線基板それぞれの直交する2辺と平行に近接して配置されるようにして、それぞれ前記複数の配線基板上に搭載され、
前記複数の放射線検出器ユニットは、それぞれの前記直交する2辺を介して互いに隣接して配置されていることを特徴とする、ガス増幅を用いた放射線検出器(第2の放射線検出器)に関する。
【0011】
本発明の第1の放射線検出器によれば、絶縁部材の第1の面上に形成されるとともに、円形状の複数の開口部を有する第1の電極パターン、及び前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に形成されるとともに、前記絶縁部材を貫通し、前記第1の電極パターンの前記開口部の略中心部に先端が露出してなる凸状部を有する第2の電極パターンを含む複数のピクセル型電極を有する従来の放射性検出器を、単一の放射線検出器ユニットとし、このような放射線検出器ユニットを複数準備する。次いで、複数の放射線検出器ユニットを互いに隣接するように配線基板上に搭載するとともに、各放射線検出器ユニットを配線基板と導電性部材によって電気的に接続するようにしている。
【0012】
したがって、複数の放射線検出器ユニットには、配線基板の表面あるいは内部に形成された配線パターンを介して、外部から高電圧が印加され、かつ放射線の照射から得られた信号が、放射線検出器ユニットから配線基板の配線パターンを介して信号読み出し回路へ伝達されるので、配線基板は、複数の放射線検出器ユニットに対して、共通の高電圧印加と信号読み出しとして機能するようになる。
【0013】
この結果、複数の放射線検出器ユニットは、高電圧印加と信号読み出しとの機能を担う配線基板を共有することになり、この配線基板によって、複数の放射線検出器ユニットは互いに同期するようにして高電圧印加と信号読み出しとができるようになる。このため、複数の放射線検出器ユニットは1つの放射線検出器として高電圧印加と信号読み出しとができるようになるので、結果として大型の放射線検出器として機能させることができるようになる。
【0014】
したがって、例えば各放射線検出器ユニットの大きさを20cm角とし、その数を4とすれば、40cm角の大型の放射線検出器と同等の放射線検出器が得られることになる。なお、各放射線検出器ユニットの大きさを、現在の製造技術における高歩留まりの30cm程度とし、あるいはその数を5以上(例えば、9)とすれば、90cm角の大型の放射線検出器と同等の放射線検出器が得られることになる。
【0015】
なお、放射線検出器ユニットの数は、放射線検出器ユニットの大きさ及び得ようとする放射性検出器の大きさによって任意の数とすることができるが、上述したように、現状の製造方法で歩留まりよく得られる放射検出器ユニットの大きさが10cm〜30cm角であることを考慮すると、実質40cm角以上の大きさの放射性検出器を得ようとした場合、その数は4以上であることが好ましい。
【0016】
一方、本発明の第2の放射線検出器においては、複数の放射線検出器ユニットのそれぞれに対して配線基板を準備し、各放射線検出器ユニットと各配線基板とを導電性部材によって電気的に接続するようにしている。また、各放射線検出器ユニットは、各放射線検出器ユニットの直交する2辺が、搭載すべき配線基板の直交する2辺と平行に近接して配置されるようにしてそれぞれの配線基板上に搭載され、複数の放射線検出器ユニットは、それぞれの直交する2辺を介して互いに隣接して配置されてなる。すなわち、第2の放射線検出器においては、外観上、上記第1の放射線検出器における配線基板が放射線検出器ユニット毎に分断されたような形態となっている。
【0017】
この場合、各放射線検出器ユニットは、それぞれが搭載された各配線基板によって独立に高電圧印加及び信号読み出しが行われることになるが、これら配線基板による各放射線検出器ユニットの高電圧印加及び信号読み出しは互いに同期させることができる。結果として、複数の放射線検出器ユニットは1つの放射線検出器として高電圧印加及び信号読み出しできるようになるので、大型の放射線検出器として機能させることができるようになる。
【0018】
したがって、第1の放射線検出器と同様に、例えば各放射線検出器ユニットの大きさを20cm角とし、その数を4とすれば、40cm角の大きさの大型の放射線検出器と同等の放射線検出器が得られることになる。なお、各放射線検出器ユニットの大きさを、現在の製造技術における高歩留まりの30cm程度とし、あるいはその数を5以上(例えば、9)とすれば、90cm角の大きさの大型の放射線検出器と同等の放射線検出器が得られることになる。
【0019】
この場合においても、放射線検出器ユニットの数は、放射線検出器ユニットの大きさ及び得ようとする放射性検出器の大きさによって任意の数とすることができるが、上述したように、現状の製造方法で歩留まりよく得られる放射検出器ユニットの大きさが10cm〜30cm角であることを考慮すると、実質40cm角以上の大きさの放射性検出器を得ようとした場合、その数は4以上であることが好ましい。
【0020】
また、第2の放射線検出器においては、複数の放射線検出器ユニットそれぞれに対して配線基板を設けるようにしているので、例えば複数の放射線検出器ユニットの内の1つが故障した場合において、この放射線検出器ユニット及びこれを搭載する配線基板を交換すれば、放射線検出器は全体として再び高電圧印加及び信号読み出しができる。一方、第1の放射線検出器は、1つの放射線検出器が故障した場合においても、この放射線検出器のみを交換することは不可能であって、放射線検出器ごと新たな放射線検出器と交換しなければならない。
【0021】
したがって、第2の放射線検出器は、放射線検出器ユニットが故障した場合の修理コストを低減することができる。
【0022】
本発明の一例において、導電性部材はワイヤー部材とすることができる。この場合、放射線検出器ユニットと配線基板との電気的接続は、ワイヤーボンディングなる簡易かつ汎用の技術を用いて行うことができる。なお、この場合においては、ワイヤーのボンディングを固定し、さらには隣接した放射線検出器との電気的接触等を防止すべく、樹脂で封止することが好ましい。
【0023】
また、本発明の一例において、導電性部材は、主面上にストリップ状の配線パターンが形成されてなるフレキシブル配線基板とすることができる。この場合、放射線検出器ユニットと配線基板との電気的接続は、フレキシブル配線基板のストリップ状の配線パターンを介して行われることになる。ストリップ状の配線パターンは、フレキシブル配線基板の基板によって保護されるので、ワイヤーボンディングなどの場合のように、隣接した放射線検出器との電気的接触等は自ずから防止される。しかしながら、放射線検出器ユニット及び配線基板との接続部における結合力を保持するために、例えば、異方性導電樹脂を介して放射線検出器ユニット及び配線基板に接続することが好ましい。
【0024】
さらに、本発明の一例において、複数の放射線検出器ユニット間を接続する追加の導電性部材を設けることができる。この場合、複数の放射線検出器ユニットは互いに電気的に導通(接続)されることになるので、これら複数の放射線検出器ユニットの高電圧印加及び信号読み出しを同期させることが容易になる。
【0025】
なお、追加の導電性部材は、導電性部材と同様にワイヤー部材あるいは主面上にストリップ状の配線パターンが形成されてなるフレキシブル配線基板とすることができる。ワイヤー及びフレキシブル配線基板を用いた場合の利点及び欠点は、上記導電性部材と同様であり、このような観点から、これらワイヤー部材を樹脂で被覆することができるとともに、フレキシブル基板の接続部における接続を、異方性導電樹脂を用いて行うことができる。
【0026】
特に限定されるものではないが、例えば放射線検出器ユニットと配線基板との電気的な接続は、放射線検出器ユニットのピクセル電極から延在するようにして形成されたパッドと、配線基板に形成されたパッドとの間で行われる。
【発明の効果】
【0027】
以上説明したように、本発明によれば、特に40cm角以上の大型であって新規な構成の放射線検出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の放射線検出器の一例における概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示す放射線検出器の平面図である。
【図3】図1及び図2に示す放射線検出器の、放射線検出器ユニットの一つを拡大して示す斜視図である。
【図4】本発明の放射線検出器の他の例における概略構成を示す側面図である。
【図5】図4に示す放射線検出器の平面図である。
【図6】本発明の放射線検出器のその他の例における概略構成を示す側面図である。
【図7】図6に示す放射線検出器の平面図である。
【図8】図6及び図7に示す放射線検出器のフレキシブル配線基板の概略構成を示す図である。
【図9】図6及び図7に示す放射線検出器のフレキシブル配線基板による接合部を拡大して示す図である。同じく、実施形態における放射線検出器の製造方法の一例における工程図である。
【図10】本発明の放射線検出器の他の例における概略構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の特徴及びその他の利点について、発明を実施するための形態に基づいて説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の放射線検出器の一例における概略構成を示す側面図であり、図2は、図1に示す放射線検出器の平面図である。また、図3は、図1及び図2に示す放射線検出器の、放射線検出器ユニットの一つを拡大して示す斜視図である。なお、本実施形態における放射線検出器の特徴を明確にすべく、図2においては、図1に示す封止樹脂及び保護カバーについては記載を省略している。
【0031】
図1及び図2に示すように、本実施形態における放射線検出器10は、4つの放射線検出器ユニット11−1、11−2,11−3及び11−4を有している。これら4つの放射線検出器ユニット11−1,11−2,11−3及び11−4は、互いに隣接するようにして配線基板13上に図示しない接着剤等によって固定され、搭載されている。
【0032】
また、第1の放射線検出器ユニット11−1には、その主面上において、2つの直交する外縁に沿って第1のパッド11−1A及び第2のパッド11−1Bが形成されており、第2の放射線検出器ユニット11−2にも、その主面上において、2つの直交する外縁に沿って第1のパッド11−2A及び第2のパッド11−2Bが形成されている。さらに、第3の放射線検出器ユニット11−3にも、その主面上において、2つの直交する外縁に沿って第1のパッド11−3A及び第2のパッド11−3Bが形成されており、第4の放射線検出器ユニット11−4にも、その主面上において、2つの直交する外縁に沿って第1のパッド11−4A及び第2のパッド11−4Bが形成されている。
【0033】
配線基板13の主面上には、上述した各放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第1のパッド11−1A,11−2A,11−3A及び11−4Aと対向するようにしてパッド13Aが設けられており、第2のパッド11−1B,11−2B,11−3B及び11−4Bと対向するようにしてパッド13Bが設けられている。さらに、パッド13A及びパッド13Bの外方には、配線基板13の各外縁に沿ってコネクター18が設けられている。コネクター18は、配線基板13を、外部制御回路及び外部駆動回路等に接続するためのものである。
【0034】
なお、特に図示しないが、配線基板13内部には、パッド13A及びパッド13Bとこれらに1対1で対応するコネクター18の各接続端子へ電気的に接続するための配線パターンが形成されている。
【0035】
また、各放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第1のパッド11−1A,11−2A,11−3A及び11−4Aは、対向して設けられた配線基板13のパッド13Aと、それぞれワイヤー14によって接続されている。同様に、各放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第2のパッド11−1B,11−2B,11−3B及び11−4Bは、対向して設けられた配線基板13のパッド13Bと、それぞれワイヤー14によって接続されている。さらに、ワイヤー14はエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂によって封止されている。
【0036】
図1から明らかなように、本実施形態の放射線検出器10は、配線基板13のパッド13A及びコネクター18間から立設し、放射線検出器ユニット11−1〜11−4を覆うようにして設けられた、放射線検出器ユニット11−1〜11−4に対する保護カバー19が設けられている。
【0037】
図3に示すように、第1の放射性検出器ユニット11−1は、絶縁部材21の主面11A上に形成された、円形状の複数の開口部22Aを有する第1の電極パターン22と、絶縁部材21の裏面21B上に、第1の電極パターン22と直交するようにして形成された第2の電極パターン23とを含んでいる。第2の電極パターン23は、絶縁部材21を貫通し、第1の電極パターン22の開口部22Aの略中心部に先端が露出してなる凸状部24を有する。凸状部24は、ピクセル電極(検出電極)を構成し、その結果、第1の電極パターン22及び第2の電極パターン23はピクセル型電極を構成する。なお、凸状部24の上面は平坦となっており、その周囲にエッジが形成されている。
【0038】
また、第1の電極パターン22からは、その両端に延在するようにして第1のパッド11−1Aが形成されている。さらに、第2の電極パターン23からは、絶縁部材21内を貫通するようにして形成された層間接続体25を介して、絶縁部材21の主面21A上において第2のパッド11−1Bが形成されている。すなわち、図1及び図2に示す放射線検出器10における第1の放射線検出器ユニット11−1の第1のパッド11−1Aは、この第1の放射線検出器11−1の第1の電極パターン22と電気的に導通したパッドであり、第2のパッド11−1Bは、第1の放射線検出器11−1の第2の電極パターン23と電気的に導通したパッドである。
【0039】
なお、第2の放射線検出器ユニット11−2、第3の放射線検出器ユニット11−3及び第4の放射線検出器ユニット11−4の構成も、図3に示す符号“11−1”が、それぞれ“11−2”、“11−3”及び“11−4”に代わったのみであって、その基本構成は、図3に示す第1の放射線検出器ユニット11−1と同じである。
【0040】
本実施形態の放射線検出器10によれば、図3に示すような構成の放射線検出器ユニット11−1〜11−4を互いに隣接するように配線基板13上に搭載するとともに、各放射線検出器ユニット11−1〜11−4の外縁に形成された第1のパッド11−1A〜11−4A及び第2のパッド11−1B〜11−4Bを、配線基板13上に形成されたパッド13A及び13Bとそれぞれワイヤー14によって電気的に接続するようにしている。また、配線基板13内部には、パッド13A及びパッド13Bをコネクター18の対応する接続ピンへ電気的に接続するための配線パターンが形成されている。
【0041】
したがって、放射線検出器ユニット11−1〜11−4には、配線基板13のコネクター18に接続された外部高電圧系からの高電圧印加が配線基板13に内蔵された配線パターン(図示せず)並びにパッド13A及び13Bを介して行われ、一方、放射線検出器ユニット11−1〜11−4が放射線から得た信号が、配線基板13に内蔵された配線パターン(図示せず)を介して外部信号読み出し回路等へ伝達されるようになる。この結果、配線基板13は、放射線検出器ユニット11−1〜11−4に対して共通の高電圧印加系及び信号読み出し系として機能するようになる。この結果、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は、高電圧印加系及び信号読み出し系である配線基板13を共有することになり、この配線基板13によって、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は互いに同期するようにして高電圧印加及び信号読み出しができるようになる。
【0042】
特に、配線基板13のパッド13Aは、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第1の電極パターンのパッドとワイヤー14を介して電気的に接続されており、配線基板13のパッド13Bは、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第2の電極パターンのパッドとワイヤー14を介して電気的に接続されている。したがって、これら第1の電極パターン及び第2の電極パターン間に印加すべき電圧も、放射線検出器ユニット11−1〜11−4間で同じ値となるように制御することができ、放射線検出器ユニット11−1〜11−4間の検出感度を互いに等しくすることができる。
【0043】
このため、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は1つの放射線検出器として高電圧印加及び信号読み出しを行うことができるようになるので、結果として本実施形態の放射線検出器10は、大型の放射線検出器として機能させることができるようになる。
【0044】
したがって、例えば放射線検出器ユニット11−1〜11−4の大きさをそれぞれ20cm角とすれば、40cm角の大きさの大型の放射線検出器と同等の放射線検出器10が得られることになる。なお、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の大きさを、現在の製造技術における高歩留まりの30cm程度とすれば、60cm角の大きさの大型の放射線検出器と同等の放射線検出器10が得られることになる。
【0045】
なお、本実施形態において、放射線検出器ユニットの数は4としているが、放射線検出器ユニットの大きさ及び得ようとする放射性検出器の大きさによって任意の数とすることができる。但し、現状の製造方法で歩留まりよく得られる放射検出器ユニットの大きさが10cm〜30cm角であることを考慮すると、実質40cm角以上の大きさの放射性検出器を得ようとした場合、その数は4以上であることが好ましい。
【0046】
また、本実施形態においては、放射線検出器11−1〜11−4の第1のパッド11−1A〜11−4Aと配線基板13のパッド13Aとの間、及び放射線検出器11−1〜11−4の第2のパッド11−1B〜11−4Bと配線基板13のパッド13Bとの間をワイヤー14によって電気的に接続している。この場合、パッド間の電気的接続は、ワイヤーボンディングなる簡易かつ汎用の技術を用いて行うことができる。
【0047】
さらに、本実施形態では、ワイヤー14を樹脂封止しているので、ボンディングを固定し、さらには隣接した放射線検出器との電気的接触等を防止することができる。
【0048】
なお、各放射線検出器11−1〜11−4の放射線検出原理は公知であるが、図3を参照して簡単に説明する。
【0049】
放射線検出器ユニット11−1は、所定のガス、例えばHeとメタンとの混合ガス雰囲気中に配置し、さらに、保護カバー19の上面にアルミニウム板などを貼付し、所定の電圧をバイアスする。第1の電極パターン22をカソードとし、第2の電極パターン23をアノードとした場合、上述した混合ガス雰囲気中に放射線が入射すると、この放射線は前記ガスと衝突することによって前記ガスを電離し、電子を生成する。
【0050】
生成した電子は、保護カバー19の上面に形成されたアルミニウム板のバイアス電圧を受けて放射線検出器ユニット11−1に導かれ、第1の電極パターン22と、第2の電極パターン23の凸状部24との間に印加された電圧に起因して生成された大きな電場によって、電子雪崩を引き起こし、凸状部24に溜まるようになる。一方、前記電子雪崩によって生じた正イオンは、凸状部24から周囲の第1の電極パターン22に向けてドリフトする。
【0051】
この結果、第1の電極パターン22及び第2の電極パターン23の凸状部24にそれぞれ正孔と電子がチャージされるようになるので、凸状部24、すなわちピクセル電極の位置を図示しない電荷検出回路で検出することによって、前記放射線の、放射線検出器ユニット11−1における入射位置を特定することができ、前記放射線の検出が可能となる。
【0052】
(第2の実施形態)
図4は、本発明の放射線検出器の他の例における概略構成を示す側面図であり、図5は、図4に示す放射線検出器の平面図である。なお、本実施形態における放射線検出器の特徴を明確にすべく、図5においては、図4に示す封止樹脂及び保護カバーについては記載を省略している。なお、図1〜図3に示す構成要素と類似あるいは同一の構成要素については同一の符号を用いている。
【0053】
本実施形態においては、放射線検出器ユニット11−1,11−2,11−3及び11−4のそれぞれに対して配線基板13−1,13−2,13−3及び13−4を準備し、これら放射線検出器ユニット11−1〜11−4をそれぞれ配線基板13−1〜13−4に対して図示しない接着剤等で固定して搭載するととともに、放射線検出器ユニット11−1〜11−4と配線基板13−1〜13−4とをワイヤー14によって電気的に接続するようにしている。
【0054】
具体的には、第1の放射線検出器ユニット11−1の外縁に沿って形成した第1のパッド11−1Aと対向するようにして、第1の放射線検出器ユニット11−1を搭載する第1の配線基板13−1においてパッド13Aを形成し、第1のパッド11−1Aとパッド13Aとをワイヤー14で電気的に接続するとともに、第1の放射線検出器ユニット11−1の外縁に沿って形成した第2のパッド11−1Bと対向するようにして、第1の放射線検出器ユニット11−1を搭載する第1の配線基板13−1においてパッド13Bを形成し、第2のパッド11−1Bとパッド13Bとをワイヤー14で電気的に接続する。
【0055】
同様に、第2の放射線検出器ユニット11−2の外縁に沿って形成した第1のパッド11−2Aと対向するようにして、第2の放射線検出器ユニット11−2を搭載する第2の配線基板13−2においてパッド13Aを形成し、第1のパッド11−2Aとパッド13Aとをワイヤー14で電気的に接続するとともに、第2の放射線検出器ユニット11−2の外縁に沿って形成した第2のパッド11−2Bと対向するようにして、第2の放射線検出器ユニット11−2を搭載する第1の配線基板13−2においてパッド13Bを形成し、第2のパッド11−2Bとパッド13Bとをワイヤー14で電気的に接続する。
【0056】
また、第3の放射線検出器ユニット11−3の外縁に沿って形成した第1のパッド11−3Aと対向するようにして、第3の放射線検出器ユニット11−3を搭載する第3の配線基板13−3においてパッド13Aを形成し、第1のパッド11−3Aとパッド13Aとをワイヤー14で電気的に接続するとともに、第3の放射線検出器ユニット11−3の外縁に沿って形成した第2のパッド11−3Bと対向するようにして、第3の放射線検出器ユニット11−3を搭載する第1の配線基板13−3においてパッド13Bを形成し、第2のパッド11−3Bとパッド13Bとをワイヤー14で電気的に接続する。
【0057】
さらに、第4の放射線検出器ユニット11−4の外縁に沿って形成した第4のパッド11−4Aと対向するようにして、第4の放射線検出器ユニット11−4を搭載する第4の配線基板13−4においてパッド13Aを形成し、第1のパッド11−4Aとパッド13Aとをワイヤー14で電気的に接続するとともに、第4の放射線検出器ユニット11−4の外縁に沿って形成した第2のパッド11−4Bと対向するようにして、第4の放射線検出器ユニット11−4を搭載する第4の配線基板13−4においてパッド13Bを形成し、第2のパッド11−4Bとパッド13Bとをワイヤー14で電気的に接続する。
【0058】
なお、放射線検出器ユニット11−1〜11−4を配線基板13−1〜13−4に搭載するに際しては、各放射線検出器ユニット11−1〜11−4の、第1のパッド及び第2のパッドが形成されていない側の、直交する2辺、すなわち直交する2つの外縁が、搭載すべき配線基板13−1〜13−4の、パッド13A及びパッド13Bが形成されていない側の直交する2辺、すなわち直交する2つの外縁と平行に近接して配置されるようにして行う。また、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は、それぞれの直交する2辺を介して互いに隣接するようにして配置する。換言すれば、本実施形態の放射線検出器30は、外観上、第1の実施形態の放射線検出器10における配線基板13が放射線検出器ユニット毎に分断されたような形態となっている。
【0059】
また、配線基板13−1〜13−4内部には、パッド13A及びパッド13Bとこれらに1対1で対応するコネクタ18の各接続端子へ電気的に接続するための配線パターンが形成されている。
【0060】
この場合、放射線検出器ユニット11−1〜11−4には、配線基板13のコネクター18に接続された外部高電圧系からの高電圧印加が配線基板13に内蔵された配線パターン(図示せず)並びにパッド13A及び13Bを介して行われ、一方、放射線検出器ユニット11−1〜11−4が放射線から得た信号が、配線基板13に内蔵された配線パターン(図示せず)を介して外部信号読み出し回路等へ伝達されるようになる。この結果、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は、それぞれ配線基板13−1〜13−4によって独立に機能することになる。しかしながら、これら配線基板13−1〜13−4による放射線検出器ユニット11−1〜11−4の高電圧印加及び信号読み出しは互いに同期させることができる。
【0061】
特に、配線基板13−1〜13−4のパッド13Aは、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第1の電極パターンのパッドとワイヤー14を介して電気的に接続されており、配線基板13−1〜13−4のパッド13Bは、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第2の電極パターンのパッドとワイヤー14を介して電気的に接続されている。したがって、これら第1の電極パターン及び第2の電極パターン間に印加すべき電圧も、放射線検出器ユニット11−1〜11−4間で同じ値となるように制御することができ、放射線検出器ユニット11−1〜11−4間の検出感度を互いに等しくすることができる。
【0062】
このため、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は1つの放射線検出器として機能するようになるので、結果として本実施形態の放射線検出器30は、大型の放射線検出器として機能させることができるようになる。
【0063】
したがって、例えば放射線検出器ユニット11−1〜11−4の大きさをそれぞれ20cm角とすれば、40cm角の大きさの大型の放射線検出器と同等の放射線検出器10が得られることになる。なお、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の大きさを、現在の製造技術における高歩留まりの30cm程度とすれば、60cm角の大きさの大型の放射線検出器と同等の放射線検出器30が得られることになる。
【0064】
なお、本実施形態において、放射線検出器ユニットの数は4としているが、放射線検出器ユニットの大きさ及び得ようとする放射性検出器の大きさによって任意の数とすることができる。但し、現状の製造方法で歩留まりよく得られる放射検出器ユニットの大きさが10cm〜30cm角であることを考慮すると、実質40cm角以上の大きさの放射性検出器を得ようとした場合、その数は4以上であることが好ましい。
【0065】
また、本実施形態においても、放射線検出器11−1〜11−4の第1のパッド11−1A〜11−4Aと配線基板13−1〜13−4のパッド13Aとの間、及び放射線検出器11−1〜11−4の第2のパッド11−1B〜11−4Bと配線基板13−1〜13−4のパッド13Bとの間をワイヤー14によって電気的に接続している。この場合、パッド間の電気的接続は、ワイヤーボンディングなる簡易かつ汎用の技術を用いて行うことができる。
【0066】
さらに、本実施形態では、ワイヤー14を樹脂封止しているので、ボンディングを固定し、さらには隣接した放射線検出器との電気的接触等を防止することができる。
【0067】
また、本実施形態では、放射線検出器ユニット11−1〜11−4それぞれに対して配線基板13−1〜13−4を設けるようにしているので、例えば放射線検出器ユニット11−1が故障した場合において、この放射線検出器ユニット11−1及びこれを搭載する配線基板13−1を交換すれば、放射線検出器30は全体として再び制御及び駆動させることができる。一方、第1の実施形態における放射線検出器10は、例えば放射線検出器ユニット11−1が故障した場合においても、この放射線検出器11−1のみを交換することは不可能であって、放射線検出器10ごと新たな放射線検出器と交換しなければならない。
【0068】
したがって、本実施形態の放射線検出器30は、放射線検出器ユニットが故障した場合の修理コストを低減することができる。
【0069】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の放射線検出器のその他の例における概略構成を示す側面図であり、図7は、図6に示す放射線検出器の平面図である。また、図8は、図6及び図7に示す放射線検出器のフレキシブル配線基板の概略構成を示す図であり、図9は、図6及び図7に示す放射線検出器のフレキシブル配線基板による接合部を拡大して示す図である。なお、本実施形態における放射線検出器の特徴を明確にすべく、図7においては、図6に示す保護カバーについては記載を省略している。また、図1〜図3に示す構成要素と類似あるいは同一の構成要素については同一の符号を用いている。
【0070】
本実施形態の放射線検出器40は、図1及び図2に示す第1の実施形態の放射線検出器10において、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第1のパッド11−1A,11−2A,11−3A及び11−4Aと対向して設けられた配線基板13のパッド13Aとをワイヤー14で接続する代わりにフレキシブル配線基板44で接続している。同様に、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第2のパッド11−1B,11−2B,11−3B及び11−4Bと対向して設けられた配線基板13のパッド13Bとをワイヤー14によって接続する代わりに、同じくフレキシブル配線基板44で接続している。
【0071】
なお、その他の構成は、第1の実施形態の放射線検出器10と同様であるので説明を省略する。
【0072】
本実施形態においては、上述のように、放射線検出器ユニット11−1〜11−4のパッドと配線基板のパッドとをフレキシブル配線基板44で接続している。したがって、ワイヤー14を使用した接続に比較して、隣接した放射線検出器との電気的接触等は自ずから防止される。このため、ワイヤー14を使用した場合のように封止樹脂等を設ける必要がない。
【0073】
但し、フレキシブル配線基板44は、放射線検出器ユニット11−1〜11−4のパッドと配線基板とのパッドとを、例えば放射線検出器ユニット11−1等における隣接するパッド同士、及び配線基板13における隣接するパッド同士が電気的に干渉しないように、電気的接続を行うべき配線パターンは、図8に示すように、例えばポリイミドなどからなるフレキシブル基板441の主面上においてストリップ状に形成され、ストリップ状の配線パターン442を構成することが必要である。
【0074】
したがって、フレキシブル配線基板44は、ストリップ状配線パターン442が、放射線検出器ユニット11−1〜11−4のパッドと配線基板のパッドとを電気的に接続できるように、ストリップ状配線パターン442の長さ方向が、放射線検出器ユニットのパッド及び配線基板のパッド間の線分方向と一致するようにして配置する。
【0075】
一方、放射線検出器ユニット11−1〜11−4のパッド及び配線基板のパッドに対するフレキシブル配線基板44の接合力は低いので、例えば図9に示すように、異方性導電樹脂46を介在させて、フレキシブル配線基板44の、放射線検出器ユニット11−1〜11−4のパッド及び配線基板のパッドに対する接合力を向上させることが好ましい。
【0076】
なお、本実施形態においても、放射線検出器ユニット11−1〜11−4には、配線基板13のコネクター18に接続された外部高電圧系からの高電圧印加が配線基板13に内蔵された配線パターン(図示せず)並びにパッド13A及び13Bを介して行われ、一方、放射線検出器ユニット11−1〜11−4が放射線から得た信号が、配線基板13に内蔵された配線パターン(図示せず)を介して外部信号読み出し回路等へ伝達されるようになる。したがって、配線基板13は、放射線検出器ユニット11−1〜11−4に対して共通の高電圧印加系及び信号読み出し系として機能するようになる。この結果、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は、高電圧印加系及び信号読み出し系である配線基板13を共有することになり、この配線基板13によって、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は互いに同期するようにして高電圧印加及び信号読み出しができるようになる。
【0077】
このため、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は1つの放射線検出器として高電圧印加及び信号読み出しを行うことができるようになるので、結果として本実施形態の放射線検出器40は、大型の放射線検出器として機能させることができるようになる。
【0078】
(第4の実施形態)
図10は、本発明の放射線検出器の他の例における概略構成を示す側面図である。なお、図1〜図3に示す構成要素と類似あるいは同一の構成要素については同一の符号を用いている。
【0079】
本実施形態においては、第1の放射線検出器ユニット11−1の相対向する外縁において、これら外縁に沿って第1のパッド11−1Aが形成されるとともに、第3の放射線検出器ユニット11−3と隣接する外縁において、この外縁に沿って第2のパッド11−1Bが形成されている。また、第2の放射線検出器ユニット11−2の、第1の放射線検出器ユニット11−1と隣接する外縁において、この外縁に沿って第1のパッド11−2Aが形成されるとともに、第4の放射線検出器ユニット11−4と隣接する外縁において、この外縁に沿って第2のパッド11−2Bが形成されている。
【0080】
さらに、第3の放射線検出器ユニット11−3の、第1の放射線検出器ユニット11−1と隣接する外縁及びこれと相対向する外縁には、これら外縁に沿って第2のパッド11−3Bが形成されるとともに、第4の放射線検出器ユニット11−4と隣接する外縁及びこれと相対向する外縁には、これら外縁に沿って第1のパッド11−3Aが形成されている。さらに、第4の放射線検出器ユニット11−4の、第2の放射線検出器ユニット11−2と隣接する外縁には、この外縁に沿って第2のパッド11−4Bが形成されるとともに、第3の放射線検出器ユニット11−3と隣接する外縁には、この外縁に沿って第1のパッド11−4Aが形成されている。
【0081】
配線基板13の主面上には、第1の放射線検出器ユニット11−1の第1のパッド11−1A及び第3の放射線検出器ユニット11−3の第1のパッド11−3Aと対向するようにしてパッド13Aが設けられており、第3の放射線検出器ユニット11−3の第2のパッド11−3B及び第4の放射線検出器ユニット11−4の第2のパッド11−4Bと対向するようにしてパッド13Bが設けられている。さらに、パッド13A及びパッド13Bの外方には、配線基板13の各外縁に沿ってコネクター18が設けられている。コネクター18は、配線基板13を、外部高電圧印加回路及び外部信号読み出し回路等に接続するためのものである。
【0082】
なお、特に図示しないが、配線基板13内部には、パッド13A及びパッド13Bとこれらに1対1で対応するコネクタ18の各接続端子とを電気的に接続するための配線パターンが形成されている。
【0083】
また、第1の放射線検出器ユニット11−1の第1のパッド11−1A及び第3の放射線検出器ユニット11−3の第1のパッド11−3Aと対向して設けられた配線基板13のパッド13Aは、それぞれワイヤー14によって接続されている。同様に、第3の放射線検出器ユニット11−3の第2のパッド11−3B及び第4の放射線検出器ユニット11−4の第2のパッド11−4Bと対向して設けられたパッド13Bは、それぞれワイヤー14によって接続されている。ワイヤー14はエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂によって封止することができる。
【0084】
さらに、本実施形態の放射線検出器50においては、互いに隣接する第1の放射線検出器ユニット11−1の第1のパッド11−1Aと第2の放射線検出器ユニット11−2の第1のパッド11−2Aとが追加のワイヤー54によって接続されるとともに、互いに隣接する第1の放射線検出器ユニット11−1の第2のパッド11−1Bと第3の放射線検出器ユニット11−3の第2のパッド11−3Bとが追加のワイヤー54によって接続されている。
【0085】
また、互いに隣接する第2の放射線検出器ユニット11−2の第2のパッド11−2Bと第4の放射線検出器ユニット11−4の第2のパッド11−4Bとが追加のワイヤー54によって接続されるとともに、互いに隣接する第3の放射線検出器ユニット11−3の第1のパッド11−3Aと第4の放射線検出器ユニット11−4の第1のパッド11−4Aとが追加のワイヤー54によって接続されている。
【0086】
このように本実施形態の放射線検出器50においては、第1の放射線検出器ユニット11−1〜11−4が直接的にワイヤー54によって電気的に接続されているので、これら第1の放射線検出器ユニット11−1〜11−4は必然的に同期して高電圧印加及び信号読み出しを行うことになる。
【0087】
したがって、放射線検出器ユニット11−1〜11−4には、配線基板13のコネクター18に接続された外部高電圧系からの高電圧印加が配線基板13に内蔵された配線パターン(図示せず)並びにパッド13A及び13Bを介して行われ、一方、放射線検出器ユニット11−1〜11−4が放射線から得た信号が、配線基板13に内蔵された配線パターン(図示せず)を介して外部信号読み出し回路等へ伝達されるようになる。したがって、配線基板13は、放射線検出器ユニット11−1〜11−4に対して共通の高電圧印加系及び信号読み出し系として機能するようになる。この結果、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は、高電圧印加系及び信号読み出し系である配線基板13を共有することになり、この配線基板13によって、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は互いに同期するようにして高電圧印加及び信号読み出しができるようになる。
【0088】
特に、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第1のパッド11−1A〜11−4A同士が電気的に接続され、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第2のパッド11−1B〜11−4B同士が電気的に接続されているので、放射線検出器ユニット11−1〜11−4の第1の電極パターン及び第2の電極パターンに印加すべき電圧を同期させて同じ値となるように制御することができ、放射線検出器ユニット11−1〜11−4間の検出感度を互いに等しくすることができる。
【0089】
このため、放射線検出器ユニット11−1〜11−4は1つの放射線検出器としてより簡易に高電圧印加及び信号を読み出すことができるようになるので、結果として本実施形態の放射線検出器50は、大型の放射線検出器としてより簡易に機能させることができるようになる。
【0090】
また、放射線検出器ユニット11−1〜11−4間の必然的な同期制御に起因して外部から取り込むべき高電圧印加及び読み出し信号の量を低減させることができるので、図10に示すように、高電圧印加等と接続すべきコネクター18の数も、図1に示す放射線検出器10と比較して低減することができる。したがって、放射線検出器50の構成を、図1に示す放射線検出器10に比較してより簡略化することができる。
【0091】
なお、本実施形態では、パッド間の電気的接続をワイヤーを用いて実施したが、第3の実施形態で示したように、フレキシブル配線基板を用いて実施することもできる。
【0092】
以上、本発明を上記具体例に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記具体例に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない限りにおいて、あらゆる変形や変更が可能である。
【0093】
例えば、第1の実施形態では、4つの放射線検出器ユニット11−1,11−2,11−3及び11−4を用いて、放射線検出器10を正方形状に形成しているが、任意の2つ、例えば、放射線検出器ユニット11−1及び11−2を選択して、横長の放射線検出器を構成することもできるし、放射線検出器ユニット11−1及び11−3を選択して、縦長の放射線検出器を構成することもできる。また、6つの放射線検出器を用いて、これら放射線検出器を2×3のマトリックス状に配列し、横長あるいは縦長の放射線検出器とすることもできる。合計16個あるいは25個の放射線検出器を用い、4×4のマトリックス状あるいは5×5のマトリックス状に配列することもできる。
【0094】
また、第2の実施形態でも、4つの放射線検出器ユニット11−1,11−2,11−3及び11−4、並びに4つの配線基板13−1,13−2,13−3及び13−4を用いて、放射線検出器30を正方形状に形成しているが、任意の2つ、例えば放射線検出器ユニット11−1及び11−2並びに配線基板13−1及び13−2を選択して、横長の放射線検出器を構成することもできるし、放射線検出器ユニット11−1及び11−3並びに配線基板13−1及び13−3を選択して、縦長の放射線検出器を構成することもできる。
【符号の説明】
【0095】
10,30,40,50 放射線検出器
11−1 第1の放射線検出器ユニット
11−2 第2の放射線検出器ユニット
11−3 第3の放射線検出器ユニット
11−4 第4の放射線検出器ユニット
11−1A 第1の放射線検出器ユニットの第1のパッド
11−1B 第1の放射線検出器ユニットの第2のパッド
13 配線基板
13−1 第1の配線基板
13−2 第2の配線基板
13−3 第3の配線基板
13−4 第4の配線基板
14 ワイヤー
17 封止樹脂
18 コネクター
19 保護カバー
21 絶縁部材
22 第1の電極パターン
23 第2の電極パターン
24 第2の電極パターンの凸状部
25 層間接続体
44 フレキシブル配線基板
46 異方性導電樹脂
54 追加のワイヤー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが、絶縁部材の第1の面上に形成されるとともに、円形状の複数の開口部を有する第1の電極パターン、及び前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に形成されるとともに、前記絶縁部材を貫通し、前記第1の電極パターンの前記開口部の略中心部に先端が露出してなる凸状部を有する第2の電極パターンを含む複数のピクセル型電極を有する複数の放射線検出器ユニットと、
前記複数の放射線検出器ユニットを互いに隣接するようにして搭載するための配線基板と、
前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれを前記配線基板と電気的に接続するための導電性部材と、
を具えることを特徴とする、ガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項2】
それぞれが、絶縁部材の第1の面上に形成されるとともに、円形状の複数の開口部を有する第1の電極パターン、及び前記絶縁部材の前記第1の面と相対向する第2の面上に形成されるとともに、前記絶縁部材を貫通し、前記第1の電極パターンの前記開口部の略中心部に先端が露出してなる凸状部を有する第2の電極パターンを含むピクセル型電極を有する複数の放射線検出器ユニットと、
前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれを搭載する複数の配線基板と、
前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれと、前記複数の配線基板それぞれとを電気的に接続するための導電性部材とを具え、
前記複数の放射線検出器ユニットは、前記複数の放射線検出器ユニットそれぞれの直交する2辺が、搭載すべき前記複数の配線基板それぞれの直交する2辺と平行に近接して配置されるようにして、それぞれ前記複数の配線基板上に搭載され、
前記複数の放射線検出器ユニットは、それぞれの前記直交する2辺を介して互いに隣接して配置されていることを特徴とする、ガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項3】
前記複数の放射線検出器ユニットは4以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項4】
前記導電性部材はワイヤー部材であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項5】
前記ワイヤー部材は樹脂封止されていることを特徴とする、請求項4に記載の放射線検出器。
【請求項6】
前記導電性部材は、主面上にストリップ状の配線パターンが形成されてなるフレキシブル配線基板であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項7】
前記フレキシブル配線基板は、異方性導電樹脂によって前記放射線検出器ユニット及び前記配線基板に電気的に接続されてなることを特徴とする、請求項6に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項8】
前記複数の放射線検出器ユニット間を接続する追加の導電性部材を具えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項9】
前記追加の導電性部材はワイヤー部材であることを特徴とする、請求項8に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項10】
前記ワイヤー部材は樹脂封止されていることを特徴とする、請求項9に記載の放射線検出器。
【請求項11】
前記追加の導電性部材は、主面上にストリップ状の配線パターンが形成されてなるフレキシブル配線基板であることを特徴とする、請求項8に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。
【請求項12】
前記フレキシブル配線基板は、異方性導電樹脂によって前記複数の放射線検出器ユニットに電気的に接続されてなることを特徴とする、請求項11に記載のガス増幅を用いた放射線検出器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−168170(P2012−168170A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−11227(P2012−11227)
【出願日】平成24年1月23日(2012.1.23)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】