説明

ガス放電ランプに対する電力供給

所定量の電力をガス放電ランプ2に供給するためのデバイス1は、電力対電圧グラフ10に応じて電力を供給するための供給回路4を制御するための制御回路3を有する。計算部30は、ガス放電ランプ2の低温始動からの予め規定された時間間隔後に測定された、電圧信号の測定された電圧値の関数として境界電圧値を計算する。より正確な境界電圧値は、より高い安定性をもたらし、定常状態に達するために必要とされる時間を少なくする。計算部30は、電圧信号の最小電圧値の関数及び電圧信号の定常状態電圧値の関数として境界電圧値を計算するように構成されてもよい。メモリ31は、電圧信号の電圧値を格納し、プロセッサ32は、これらの電圧値を更新し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定量の電力をガス放電ランプに供給するためのデバイスに関する。また、本発明は、デバイスを有するシステム、方法、コンピュータプログラムプロダクト及び媒体に関する。
【0002】
斯様なデバイスの例は電気安定器であり、斯様なシステムの例は電源、及び/又は、ガス放電ランプを有するライトである。コンピュータプログラムプロダクトは、コンピュータ、マイクロコントローラ、並びに、アナログ及び/又はデジタル制御回路等において用いられ得る。結果的に、本デバイスは、任意の種類の制御デバイスである。
【背景技術】
【0003】
米国特許出願公開第2005/0088114号明細書は、放電ランプ照明デバイスを開示している。放電バルブ安定器は、放電バルブをオンに切り替えた後にバルブ電圧が上昇し始めるターニングポイントを検出するためのターニングポイント検出ユニットを含む制御回路を有する。放電バルブをオンに切り替えた直後に、電力制御ユニットは、放電バルブが第1の電力を供給される態様で制御を実行する。ターニングポイント検出ユニットが、放電バルブの電圧がターニングポイントを超えたことを検出したときには、電力制御ユニットは、第1の電力よりも少ない第2の電力を放電バルブに供給する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、改良されたデバイスを提供することにある。本発明の他の目的は、改良されたデバイスを有するシステムを提供すること、並びに、改良された方法、コンピュータプログラムプロダクト及び媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、所定量の電力をガス放電ランプに供給するためのデバイスであって、電力対電圧グラフに応じて電力を供給するための供給回路を制御するための制御回路を有し、前記電力対電圧グラフは、第1の電力量を供給するための第1の状態を規定し、前記電力対電圧グラフは、第2の電力量を供給するための第2の状態を規定し、前記第1の状態は、電圧信号の境界電圧値で終了し、前記第2の状態は、前記境界電圧値で開始し、前記制御回路は、前記ガス放電ランプの低温始動からの予め規定された時間間隔の後に測定された、前記電圧信号の測定された電圧値の関数として前記境界電圧値を計算するための計算部を有する、デバイスが提供される。
【0006】
デバイスは、例えば、電流信号をガス放電ランプに供給する。結果的に、ガス放電ランプ間の電圧信号が存在するだろう。これらの電流及び電圧信号の組み合わせは、ガス放電ランプに供給された所定量の電力を規定する。本デバイスは、電力対電圧グラフに応じて電力を供給するための供給回路を制御するための制御回路を有する。この電力対電圧グラフは、第1の電力量を供給するための第1の状態を規定する。この電力対電圧グラフは、第2の電力量を供給するための第2の状態を規定する。これら第1及び第2の状態の間の境界は、ターニングポイント電圧値としても知られる、ガス放電ランプ間に存在する電圧信号の境界電圧値に位置する。制御回路は、予め規定された時間間隔が経過した後に測定された、電圧信号の測定された電圧値の関数として境界電圧値を計算する計算部を有する。この予め規定された時間間隔は、ガス放電ランプの低温始動で開始される。
【0007】
米国特許出願公開第2005/0088114号明細書の図7において、電圧信号の最小値が検出されている。そして、ターニングポイント電圧値を見出すために、予め規定された電圧値がこの最小値に追加される。これは、ターニングポイント電圧値を見出すための比較的不正確な手法である。特定の種類のランプに関して、最小値は、例えばランプの低温始動後1秒で現れる。最小値自体及びその出現時点は、始動時のランプ温度及びランプ寿命のような多くの環境に依存し得る。本発明によれば、例えば特定の種類のランプに関しては、ガス放電ランプの低温始動後の5,6若しくは7秒のような、又は、例えばより一般的な種類のランプに関しては、2〜10秒の間の任意の時間値のような、時間的に固定された時点で電圧信号の電圧値を測定し、この測定された電圧値の関数として境界電圧値を計算することにより、境界電圧値を見出すためのより正確な手法が実現される。結果的に、改良されたデバイスが生成される。
【0008】
他の利点は、より正確な境界電圧値がより高い精度をもたらし、定常状態に達するために必要とされる時間を少なくすることである。
【0009】
ガス放電ランプ間に存在する電圧信号の電圧値を測定する代わりに、ガス放電ランプ間に存在する電圧信号から導出された他の電圧信号の電圧値が測定されてもよい。前記導出は、例えば除算器で行われ得る。前記関数は、この導出を考慮してもよく、及び/又は、この導出に基づいてもよい。前記計算は、ハードウェア及び/又はソフトウェアにおける任意の種類のアナログ及び/又はデジタルマシンであり得る。
【0010】
一実施形態によれば、本デバイスは、前記計算部が、前記電圧信号の最小電圧値の関数として、及び、前記電圧信号の定常状態電圧値の関数として、前記境界電圧値を計算するように構成されることにより規定される。前記測定された電圧値の関数、並びに、前記最小電圧値及び前記定常電圧値の関数として前記境界電圧値を計算することにより、3つの関数が組み合わせられるという事実のため、更に正確な境界電圧値が決定されるだろう。
【0011】
代わりに、電圧信号の最小電圧値の関数、及び、電圧信号の定常状態電圧値の関数のうち一方だけが、電圧信号の測定された電圧値の関数と組み合わせられてもよい。好ましくは、各関数はtype f(x) = px + q(p及びqは関数毎に選択される)である。換言すれば、各関数f(x)は、px + q(p及びqは関数毎に選択される)という表現を有し得る。
【0012】
更に代わりに、境界電圧値は、電圧信号の1よりも多い最小電圧値の関数として計算されてもよい。電圧信号の2又はそれ以上の最小電圧値は、例えばランプの2又はそれ以上の異なる始動温度のような、2又はそれ以上の異なる状況に対して起こり得る。電圧信号の各最小電圧値は、特定の時間間隔における最小値であるに過ぎず、従って、電圧信号は、異なる時間間隔における異なる最小値を有し得る。
【0013】
一実施形態によれば、本デバイスは、前記電圧信号の前記測定された電圧値の関数が第1の重み付け因子を有し、前記電圧信号の前記最小電圧値の関数が第2の重み付け因子を有し、前記電圧信号の前記定常状態電圧値の関数が第3の重み付け因子を有し、これらの重み付け因子の合計が、予め規定された値に等しくなることにより規定される。この手法において、最も正確な境界電圧値が決定され得る。
【0014】
前記境界電圧値が前記電圧信号の1よりも多い最小電圧値の関数として計算される場合において、1よりも多い重み付け因子が、例えば最小電圧値毎の一つの重み付け因子のように用いられるために必要とされ得る。
【0015】
一実施形態によれば、本デバイスは、前記第1の電力量が、前記第1の状態の第1の部分の間において増加していく電力量を有する一方で前記ガス放電に最大電流を供給し、前記第1の電力量が、前記第1の状態の第2の部分の間において最大の電力量を有し、前記第2の電力量が、前記電圧信号の前記定常状態電圧値に達するまで減少していく電力量を有することにより規定される。増加していく電力量は、最大電流と組み合わせて前記電圧信号の電圧値を増加させることに起因する。最大の電力量は、減少していく電流と組み合わせて前記電圧信号の電圧値を増加させることに起因する。減少していく電力量は、更に減少していく電流と組み合わせて前記電圧信号の電圧値を増加させることに起因する。
【0016】
一実施形態によれば、本デバイスは、前記電力対電圧グラフが、第3の電力量を供給するための第3の状態を規定し、前記第3の状態が、前記電圧信号の前記定常状態電圧値で開始し、前記第3の電力量が、安定した電力量を有することにより規定される。安定した電力量は、例えば毎秒1%よりも少なく、好ましくは毎秒0.1%よりも少なく変化する量である。
【0017】
一実施形態によれば、本デバイスは、前記制御回路が、前記電圧信号の前記測定された電圧値を格納するためのメモリを有し、前記メモリ内に格納された前記測定された電圧値を更新するためのプロセッサを有することにより規定される。ガス放電ランプの始動後に、格納され測定された値が、境界電圧値を計算するために用いられ、より新しい測定された値が、格納され測定された値を更新するために用いられる。
【0018】
一実施形態によれば、本デバイスは、前記制御回路が、前記電圧信号の前記測定された電圧値、並びに、前記電圧信号の前記最小電圧値、及び、前記電圧信号の前記定常状態電圧値を格納するためのメモリを有し、前記メモリに格納されたこれらの電圧値を更新するためのプロセッサを有することにより規定される。ガス放電ランプの始動後、格納された値が、境界電圧値を計算するために用いられ、より新しい値が、格納された値を更新するために用いられる。
【0019】
一実施形態によれば、本デバイスは、本デバイスが前記ガス放電ランプ用の電気安定器であることにより規定される。
【0020】
本発明の第2の態様によれば、本デバイスを有するシステムであって、前記供給回路(この場合においては本システムが電源である)を有し、及び/又は、前記ガス放電ランプを有する(この場合においては本システムがライトである)、システムが提供される。電源及びライトの組み合わせが除外されるべきものではない。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、所定量の電力をガス放電ランプに供給するための方法であって、当該方法は、電力対電圧グラフに応じて電力の供給を制御するステップを有し、前記電力対電圧グラフは、第1の電力量を供給するための第1の状態を規定し、前記電力対電圧グラフは、第2の電力量を供給するための第2の状態を規定し、前記第1の状態は、電圧信号の境界電圧値で終了し、前記第2の状態は、前記境界電圧値で開始し、当該方法は、前記ガス放電ランプの低温始動からの予め規定された時間間隔の後に測定された、前記電圧信号の測定された電圧値の関数として前記境界電圧値を計算するサブステップを有する、制御するステップを有する、方法が提供される。
【0022】
本発明の第4の態様によれば、本方法のステップを実行するためのコンピュータプログラムプロダクトが提供される。
【0023】
本方法の第5の態様によれば、本コンピュータプログラムプロダクトを格納し有する、媒体が提供される。
【0024】
本システムの実施形態及び本方法の実施形態は、本デバイスの実施形態に対応する。
【0025】
見識は、ガス放電ランプの電力対電圧グラフに関して、境界電圧値が、電圧信号の比較的安定した電圧値に依存すべきであることである。
【0026】
基本的な考えは、ガス放電ランプの電力対電圧グラフに関して、境界電圧値が、低温始動からの予め決められた時間間隔の後に測定された電圧信号の測定された電圧値の関数として計算されることである。
【0027】
改良されたデバイスを提供するという課題が解決される。
【0028】
他の利点は、より正確な境界電圧値がより高い精度をもたらし、定常状態に達するために必要とされる時間を少なくすることである。
【0029】
本発明のこれら及び他の態様は、後述される実施形態から明らかになり、これらの実施形態を参照して説明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】電力対電圧グラフを示す。
【図2】デバイスを有するシステムを示す。
【図3】制御回路を示す。
【図4】電力を規定するアルゴリズムを示す。
【図5】時間電圧の関数としての境界電圧を示す。
【図6】図5の時間の関数としての電圧を示す。
【図7】最小電圧の関数としての境界電圧を示す。
【図8】図7の時間の関数としての電圧を示す。
【図9】定常状態電圧の関数としての境界電圧を示す。
【図10】図9の時間の関数としての電圧を示す。
【図11】測定された境界電圧対計算された境界電圧を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1において、ガス放電ランプの電力対電圧グラフ10が示されている。電力対電圧グラフ10は、第1の電力量を供給するための第1の状態11を規定する。電力対電圧グラフ10は、第2の電力量を供給するための第2の状態12を規定する。第1の状態11は、電圧信号の境界電圧値Ubで終了し、第2の状態12は、境界電圧値Ubで開始する。第1の電力量は、第1の状態11の第1の部分の間において増大していく電力量を有する一方で、最大電流Imaxをガス放電ランプに供給する。第1の電力量は、第1の状態11の第2の部分の間において最大電力量Pmaxを有する。第2の電力量は、電圧信号の定常状態電圧値Uststに達するまで減少していく電力量を有する。電力対電圧グラフ10は、第3の電力量を供給するための第3の状態13を規定する。第3の状態13は、定常状態電圧値Uststで開始する。第3の電力量は、安定した電力量を有する。
【0032】
図2において、デバイス1を有するシステム6が示されている。システム6は、図1に示された電力対電圧グラフ10に応じて所定量の電力を供給するための供給回路4に接続されたガス放電ランプ2を更に有する。それに加えて、供給回路4は、例えば電流信号をガス放電ランプ2に供給し、この電流信号は、ガス放電ランプ2間の電圧信号をもたらす。これら電流及び電圧信号の組み合わせが所定の電力量を規定する。供給回路4は、例えば、主電源を整流するための整流器5に接続される。代わりに、バッテリが用いられてもよい。デバイス1は、(供給回路4と並列に)ガス放電ランプ2に接続され、例えば(供給回路4と並列に)整流器5に接続された制御回路3を有する。制御回路3の制御出力は、供給回路4の制御入力に接続される。ガス放電ランプ2と供給回路4との間に、ガス放電ランプ2内/近くに、又は、供給回路4内/近くに、点火回路が存在してもよい(図示省略)。
【0033】
図3において、制御回路3がより詳細に示されている。制御回路3は、ガス放電ランプ2の低温始動からの予め決められた時間間隔後に測定された電圧信号の測定された電圧値UTの関数として境界電圧値Ubを計算するための計算部30を有する。オプションによれば、計算部30は、電圧信号の最小電圧値Uminの関数として、及び、電圧信号の定常状態電圧値Uststの関数として、境界電圧値Ubを更に計算し得る。他のオプションによれば、電圧信号の測定された電圧値UTの関数が第1の重み付け因子Aを有し、電圧信号の最小電圧値Uminの関数が第2の重み付け因子Bを有し、電圧信号の定常状態電圧値Uststの関数が第3の重み付け因子Cを有し、これらの重み付け因子の合計が、予め決められた値に等しくなる(A+B+C=D,Dは、他の予め決められた値を除外することなく、例えば1に等しい。)。
【0034】
計算部30の出力は、制御回路3の制御出力を構成し、計算部30の入力は、例えばプロセッサ32に接続される。プロセッサ32は、メモリ31に接続され、例えば、電圧決定回路33及び給電回路34に接続される。給電回路34は、例えば、計算部30、メモリ31、プロセッサ32及び電圧決定回路33に給電する。電圧決定回路33は、例えばプロセッサ32からの指示に応答してガス放電ランプ2の低温始動からの予め決められた時間間隔の後に電圧値を測定することにより、電圧信号の測定された電圧値UTを決定する。電圧決定回路33は、例えば測定された電圧値を互いに比較することにより例えば電圧信号の最小電圧値Umin及び電圧信号の定常状態電圧値Uststを見出すために、例えばこれらの電圧値を測定し、測定された電圧値をプロセッサ32に供給することにより、電圧信号の他の電圧値を更に決定してもよい。それに加えて、プロセッサ32が、アナログコンパレータ又は比較機能を有してもよく、代わりに、このアナログコンパレータ又は比較機能が、電圧決定回路33等の内部に配置されてもよい。代わりに、電圧決定回路33が、アナログデジタルコンバータを有し、プロセッサ32が、デジタルコンパレータ又は比較機能を有してもよく、代わりに、このデジタルコンパレータ又は比較機能が、電圧決定回路33等の内部に配置されてもよい。計算部30は、プロセッサ32の部分を形成してもよく、この逆であってもよい。
【0035】
メモリ31は、電圧信号の測定された電圧値UTを格納し、プロセッサ32は、メモリ31に格納された測定された電圧値UTを更新する。メモリ31は、電圧信号の最小電圧値Umin及び電圧信号の定常状態電圧値Uststを更に格納し、プロセッサ32は、メモリ31に格納されたこれらの電圧値を更に更新してもよい。ガス放電ランプ2の始動後、1又はそれ以上の格納された値が境界電圧値Ubを計算するために用いられてもよく、及び、1又はそれ以上の最新の値がこれらの格納された値を更新するために用いられてもよい。
【0036】
ユニット30〜33は、ハードウェアユニット及び/又はソフトウェアユニットであってもよく、コンピュータ若しくはマイクロコンピュータ又はアナログ及び/若しくはデジタル制御回路等の部分を形成してもよい。
【0037】
図4において、電力を規定するアルゴリズムが示されている。ブロック40では、測定された電圧値Uが提示される。ブロック41では、(計算された)境界電圧値Ubが示される。ブロック42では、(測定された)定常状態電圧値Uststが示される。ブロック43及び44では、これらの差分が決定され、ブロック45では、ブロック45の出力で正規化された電圧値Unormが利用可能になるように除算が行われる(Unorm=(U−Ustst)/(Ub−Ustst))。電圧を正規化するための他の手法が除外されるべきではない。この正規化された電圧値Unormは、例えば多項式15x3+13x2+7x+35又は任意の他の種類の多項式を計算するブロック46に与えられる。ブロック47及び48では、最大電力Pmax及び最小電力Pminが規定され、ブロック49では、ブロック46,47及び48からの情報が、ブロック50で規定された出力電力に変換され、ガス放電ランプ2に供給される。これにより、一実施形態によれば、計算された多項式が最大電力Pmaxと最小電力Pminとの間の値をもつ限り、この値が与えられ、前記値が最大電力Pmaxよりも大きい場合には、この最大電力Pmaxが与えられ、前記値が最小電力Pminよりも小さい場合には、この最小電力Pminが与えられる。
【0038】
図5において、測定された電圧UT(V)の関数として境界電圧Ub(V)が示される。電圧信号の測定された電圧値UTは、ガス放電ランプ2の低温始動からの予め決められた時間間隔後に測定される。図6は、図5の時間t(s)の関数としての電圧U(V)を示している。明らかに、UTを測定した後に、Ubが計算され得る。
【0039】
図7において、最小電圧Umin(V)の関数として境界電圧Ub(V)が示されている。図8は、図7の時間t(s)の関数としての電圧U(V)を示している。明らかに、Uminを決定した後に、Ubが計算され得る。
【0040】
図9において、定常状態電圧Ustst(V)の関数として境界電圧Ub(V)が示されている。図10は、図9の時間t(s)の関数としての電圧U(V)を示している。明らかに、Uststを決定した後に、Ubが計算され得る。
【0041】
図11において、測定された境界電圧Ub,m(V)対計算された境界電圧Ub,c(V)が示されている。
【0042】
とり得るアルゴリズムは以下のとおりである。特定の種類のガス放電ランプ2に関しては例えば5,6又は7、例えばより一般的な種類のランプに関しては2〜10秒の任意の時間値のような予め規定された時間間隔Tの後、電圧信号の電圧値UTが測定される。電圧信号のこの測定された電圧値UTは、メモリ31に格納された前の電圧値UTと比較される。第1の比較結果(非低温始動)に応答して、メモリ31に格納された前の電圧値UTは、電圧信号の測定された電圧値UTと置き換えられる。異なる第2の比較結果(低温始動)に応答して、メモリ31に格納された前の電圧値UTは、例えば電圧信号の測定された電圧値UT及び例えば20のような1又はそれ以上の前に格納された電圧値UTに依存して新たな電圧値UTと置き換えられる。
【0043】
特定の種類のガス放電ランプ2に関して例えば120秒のような他の予め規定された時間間隔の後、電圧信号の定常状態電圧値Uststが測定される。電圧信号のこの定常状態電圧値Uststは、メモリ31に格納された前の定常状態電圧値Uststと比較される。第1の比較結果に応答して、メモリ31に格納された前の定常状態電圧値Uststは、電圧信号の測定された定常状態電圧値Uststと置き換えられる。異なる第2の比較結果に応答して、メモリ31に格納された前の定常状態電圧値Uststは、例えば電圧信号の測定された定常状態電圧値Ustst及び1又はそれ以上の前に格納された定常状態電圧値Uststに依存して新たな定常状態電圧値Uststと置き換えられる。更新された電圧値により、新たな境界電圧値Ubが計算され、新たな境界電圧値Ub及び新たな定常状態電圧値Uststが、供給されるべき電力の量等の次の計算のために用いられ得る。
【0044】
勿論、加えて、電圧値UT及びUststのうち一方を測定/決定した後に、測定/決定結果が、(計算された)他のものを更新するために用いられてもよい。
【0045】
既存の特定のガス放電ランプ2の低温始動後に、UT及びUststが計算されてもよい。既存の特定のガス放電ランプ2の非低温始動後に、UTがそのまま維持されてもよく、Uststが更新されてもよい。新規な特定のガス放電ランプ2の低温始動後に、UT及びUststが決定される。新規な特定のガス放電ランプ2の非低温始動後に、UTがそのまま維持されてもよく、Uststが更新されてもよい。
【0046】
要約すると、所定量の電力をガス放電ランプ2に供給するためのデバイス1は、電力対電圧グラフ10に応じて電力を供給するための供給回路4を制御するための制御回路3を有する。計算部30は、ガス放電ランプ2の低温始動からの予め規定された時間間隔後に測定された、電圧信号の測定された電圧値の関数として境界電圧値を計算する。より正確な境界電圧値は、より高い精度をもたらし、定常状態に達するために必要とされる時間を少なくする。計算部30は、電圧信号の最小電圧値の関数及び電圧信号の定常状態電圧値の関数として境界電圧値を計算するように構成されてもよい。メモリ31は、電圧信号の電圧値を格納し、プロセッサ32は、これらの電圧値を更新し得る。
【0047】
本発明は、図面及び前述した説明において詳細に示され述べられた一方で、斯様な図示及び説明は、例示又は単なる例であると見なされ、限定的と見なされるべきではない。即ち、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。例えば、異なる開示された実施形態の異なる部分が新たな実施形態に組み合わせられた実施形態において本発明を動作させることが可能である。
【0048】
開示された実施形態に対する他のバリエーションは、図面、開示及び特許請求の範囲の研究から、当業者により理解され実施され得る。請求項において、"有する"という用語は、他の要素又はステップを除外するものではなく、単数表記は、複数を除外するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、請求項に記載された幾つかのアイテムの機能を満たしてもよい。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に用いられ得ないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアとともに又はその部分として供給された光学格納媒体又は半導体媒体のような適切な媒体に格納/分配されてもよいが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介するような、他の形式において分配されてもよい。請求項中の任意の参照符号は本発明を限定するものとして考慮されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定量の電力をガス放電ランプに供給するためのデバイスであって、
電力対電圧グラフに応じて電力を供給するための供給回路を制御するための制御回路を有し、
前記電力対電圧グラフは、第1の電力量を供給するための第1の状態を規定し、
前記電力対電圧グラフは、第2の電力量を供給するための第2の状態を規定し、
前記第1の状態は、電圧信号の境界電圧値で終了し、前記第2の状態は、前記境界電圧値で開始し、
前記制御回路は、前記ガス放電ランプの低温始動からの予め規定された時間間隔の後に測定された、前記電圧信号の測定された電圧値の関数として前記境界電圧値を計算するための計算部を有する、デバイス。
【請求項2】
前記計算部は、前記電圧信号の最小電圧値の関数として、及び、前記電圧信号の定常状態電圧値の関数として、前記境界電圧値を計算するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記電圧信号の前記測定された電圧値の関数が第1の重み付け因子を有し、前記電圧信号の前記最小電圧値の関数が第2の重み付け因子を有し、前記電圧信号の前記定常状態電圧値の関数が第3の重み付け因子を有し、これらの重み付け因子の合計が予め規定された値に等しくなる、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の電力量は、前記第1の状態の第1の部分の間において増加していく電力量を有する一方で前記ガス放電に最大電流を供給し、
前記第1の電力量は、前記第1の状態の第2の部分の間において最大の電力量を有し、
前記第2の電力量は、前記電圧信号の前記定常状態電圧値に達するまで減少していく電力量を有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記電力対電圧グラフは、第3の電力量を供給するための第3の状態を規定し、前記第3の状態は、前記電圧信号の前記定常状態電圧値で開始し、前記第3の電力量は、安定した電力量を有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御回路は、前記電圧信号の前記測定された電圧値を格納するためのメモリを有し、前記メモリ内に格納された前記測定された電圧値を更新するためのプロセッサを有する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記制御回路が、前記電圧信号の前記測定された電圧値、並びに、前記電圧信号の前記最小電圧値、及び、前記電圧信号の前記定常状態電圧値を格納するためのメモリを有し、前記メモリに格納されたこれらの電圧値を更新するためのプロセッサを有する、請求項2に記載のデバイス。
【請求項8】
当該デバイスは、前記ガス放電ランプ用の電気安定器である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
請求項1に記載のデバイスを有するシステムであって、
前記供給回路を有し、及び/又は、前記ガス放電ランプを有する、システム。
【請求項10】
所定量の電力をガス放電ランプに供給するための方法であって、
当該方法は、電力対電圧グラフに応じて電力の供給を制御するステップを有し、前記電力対電圧グラフは、第1の電力量を供給するための第1の状態を規定し、前記電力対電圧グラフは、第2の電力量を供給するための第2の状態を規定し、前記第1の状態は、電圧信号の境界電圧値で終了し、前記第2の状態は、前記境界電圧値で開始し、
当該方法は、前記ガス放電ランプの低温始動からの予め規定された時間間隔の後に測定された、前記電圧信号の測定された電圧値の関数として前記境界電圧値を計算するサブステップを有する、制御するステップを有する、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法のステップを実行するためのコンピュータプログラムプロダクト。
【請求項12】
請求項11に記載のコンピュータプログラムプロダクトを格納し有する、媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2012−508430(P2012−508430A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533920(P2011−533920)
【出願日】平成21年11月3日(2009.11.3)
【国際出願番号】PCT/IB2009/054877
【国際公開番号】WO2010/052641
【国際公開日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】