説明

ガス検出器の制御システムおよび方法

【課題】ガス検出器の制御システムおよび方法を提供する。
【解決手段】ガス検出器管理システムが、監視されている領域に分散された複数のドッキングステーションを含む。さまざまなガス濃度に暴露され、それぞれの記憶された最高の濃度を含む、当該領域内の1つまたは複数のガス検出器が、それぞれのドッキングステーションに結合され得る。最高の記憶された濃度を含む情報が、ステーションにダウンロードされ得る。警告メッセージが、自動的に生成され、追加対応のために別の離れた位置にいる保安員に送信され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、2011年2月21日に出願した、「Gas Detector Control System and Method(ガス検出器の制御システムおよび方法)」と題した米国仮出願第61/444,913号の出願日の利益を主張するものである。第‘913号出願は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002]本出願は、対象領域において人の暴露の監視に使用される多数のガス検出器を管理する制御システムおよび制御方法に関する。より具体的には、本出願は、対象領域において、選択されたレベルのガスに人が暴露されたことを速やかかつ自動的に報告するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]対象領域で作動する、人の1つまたは複数のガスへの暴露の監視に使用される多数のガス検出器を管理するためのシステムが、知られている。システムによって維持されるデータベースに検出器のユーザが暴露情報を自動的に提供することを可能にするためのドッキングステーションが、提供される。収集されたデータが、分析されることができ、監視中の領域におけるガス暴露および位置についての管理情報が、提供されうる。1つのそのようなシステムが、IQ SYSTEMという商標で、Honeywellの子会社であるSperian Protection Instrumentation,LLCによって販売されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国仮出願第61/444,913号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガス検出器の制御システムおよび方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ガス検出器管理システムは、監視されている領域に分散された複数のドッキングステーションを含む。さまざまなガス濃度に暴露され、それぞれの記憶された最高の濃度を含む、当該領域内の1つまたは複数のガス検出器が、それぞれのドッキングステーションに結合され得る。最高の記憶された濃度を含む情報が、ステーションにダウンロードされ得る。警告メッセージが、自動的に生成され、追加対応のために別の離れた位置にいる保安員に送信され得る。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】[0004]本明細書によるシステムの構成図である。
【図2A】[0005]代表的なガス検出器のさらなる詳細を示す図である。
【図2B】[0006]代表的なドッキングステーションのさらなる詳細を示す図である。
【図3A】[0007]例示的な計器の使用レポートを示す画面の図である。
【図3B】例示的な計器の使用レポートを示す画面の図である。
【図4】[0008]例示的な警報レポートを示す画面の図である。
【図5】[0009]例示的な警報イベントを示す画面の図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[0010]開示される実施形態は多くのさまざまな形態をとり得るが、本開示は本開示の原理および本開示の原理を実施する最良の形態の例示とみなされるべきであり、本出願または特許請求の範囲を示される特定の実施形態に限定するように意図されていないことを理解したうえで、開示される実施形態のうちの特定の実施形態が、図面で示され、本明細書で詳細に説明される。
【0009】
[0011]一態様において、本明細書の一実施形態は、1人の作業員に対するすべてのガス検出器の割り当てを追跡することができる。さらに、作業員のガス暴露が、検出器の割り当て中に追跡され得る。
【0010】
[0012]さらに別の態様において、システムは、作業員が警報状態のガス検出器をドッキングステーションに戻すことを要求する可能性がある。検出器の状態および人の暴露レベルについてのデータまたは情報が、検出器から取得され、分析のためにデータベースにダウンロードされることができる。ガス暴露が起きた場合、画面またはメッセージを示すレポートまたは警報が、生成され、管理者に転送されることができる。
【0011】
[0013]別の態様において、単一の検出器が、単一のユーザに割り当てられ得る。この割り当ては、いつでも変更され得る。
[0014]有利なことに、ガス検出器は、警報ラッチ機能を組み込むことができる。ラッチされた警報は、たとえガスレベルが定義された警報レベルよりも下がったとしても、警報状態を表示し続ける。別の態様において、この機能は、警報のラッチがドッキングステーションによってのみリセットされることを可能にするように構成され得る。
【0012】
[0015]ドッキングステーションは、検出器のイベントロガーを分析し、暴露レベルを管理者に警告する自動通知が生成される必要があるかどうかをシステム構成に基づいて決定することができる。システムは、計器の使用および作業員のガス暴露についてのレポートを生成することができるレポートソフトウェアも含み得る。
【0013】
[0016]さらに別の態様において、定義された特別なガスイベントを避けるために、危険警報を超える追加的な警報レベルが、設けられ得る。そのようなイベントは、検出器の振り切れ、または特殊な呼吸機器を装着しており、通常そうであるよりもかなり高いガスレベルで作業可能なユーザを含み得るが、これらに限定されない。新しい警報レベルが満たされると、すべてのセッションデータおよびイベントが、ドッキングステーションを介してダウンロードされ得る。
【0014】
[0017]端的に言えば、本明細書によるシステムは、ガス検出器の警報ラッチ機能を利用することによって、過度のガス暴露が起こった場合に保安員に速やかかつ自動的に知らせることができる。例えば、それぞれのガス検出器がドッキングステーションに挿入されるときに、Eメールによる通知が、保安員に対してなされ得る。ラッチ機能はドッキングステーションに挿入されたときにのみ検出器のリセットを許可し、そのときに、そのデータがダウンロードされ、Eメールで、またはその他の態様においてはテキストメッセージで転送されることができ、検出器のユーザおよびユーザの位置を一覧化するレポートが生成され得るので、ラッチ機能はその際に特に有用である。検出器の割り当ても、レポートされ得る。上述の追加的な警報レベルを含む各警報レベルに対して、別々のイベント発生が行われ得る。
【0015】
[0018]図1は、上記内容を実施する装置10、ガス検出器の管理および通知システムの全体図である。装置10は、複数のドッキングステーションS1...Snを含む。ステーションSiは、1つまたは複数の周囲条件、例えば選択されたガスの濃度の継続的な監視が行われている領域R全体に、分散される。
【0016】
[0019]ステーションS1などのドッキングステーションは、計器のユーザU1が領域R内での作業中に身に着けていた可能性があるD1などの適合するガス検出器をスライド式に受ける。複数の検出器Diが領域R内で同時に使用されている可能性があることが、理解されるであろう。場合によっては、領域R内の人または計器のユーザの暴露を制限するために、領域R内の(1つまたは複数の)ガス濃度が厳密に監視されなければならないので、領域R全体にわたってステーションSiが使用できるようにすることは、U1などの計器のユーザがSiなどのローカルのドッキングステーションを介してシステム10に超過した濃度の情報を速やかに提供することを可能にする。続いて、管理システム10は、以下で説明されるように、別の離れた位置にいる保安員にメッセージまたはガス濃度の警告を自動的に提供することができる。
【0017】
[0020]さまざまな情報が、それぞれのステーションSiによってD1などのガス検出器から取得され得る。そのようなデータまたは情報は、ユーザUiが最近暴露された最高の濃度レベル、周期的に感知された濃度レベル、検出器が割り当てられた人を含み得る。検出器のイベントロガー全体が、ドッキングステーションにダウンロードされ得る。記録されたイベントに応答するドッキングステーションは、通知またはイベントを示すメッセージが生成され、保安員に送信される必要があるかどうかを決定することができる。
【0018】
[0021]ドッキングステーションSiは、それぞれ、1つまたは複数の有線または無線通信リンクL1...Lnを介して通信することができる。当業者は、ステーションSiが、すべて、ローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して分析コンピューター20および関連するデータベース22と通信することができることを理解するであろう。コンピューター20は、ソフトウェアアプリケーションを実行して、検出器D1のイベントロガーの内容を分析することができる。
【0019】
[0022]通信サーバ30は、インターネットIなどのコンピューターネットワークを介して、またはセルラー式の無線システムを介して、すべて限定ではないコンピューター30、スマートフォン、PDAもしくは同種のもの32、またはラップトップ34などの1つまたは複数の別の離れた位置にある受信機に1つまたは複数のイベント通知メッセージを送信することができる。ソフトウェア24による分析の結果も、それらのユニットのうちの1つまたは複数に送信され得る。
【0020】
[0023]図2Aは、代表的なガス検出器Diのさらなる詳細を示す。検出器Diは、筐体40を含む。筐体40は、1つまたは複数の選択された空気中のガスに反応し得る1つまたは複数のセンサー42を収容する。それらの複数のセンサー42は、すべて限定ではない煙、湿気などに反応する可能性もある。
【0021】
[0024]筐体40は、プログラム可能なプロセッサ44aおよび関連する記憶回路44bを少なくとも部分的に用いて実装される制御回路も収容する。回路44bは、ガス濃度などに関する取得されたデータとともに、Diのための実行可能な制御プログラムを記憶することができる。検出器Diが局地的な環境濃度を監視し続けている間に、最高の感知された濃度が、後でダウンロードするために44cのように記憶されることができる。
【0022】
[0025]Siなどのドッキングステーションとの通信のためのインターフェース回路46aが、制御回路44に結合される。その他のデバイスとの通信のために、限定することなしに他の有線または無線インターフェース46bが、設けられ得る。筐体40は、ローカルディスプレイデバイス48a、手動で操作可能なローカル制御部48b、検出器Diに給電するためのバッテリ48cも収容することができる。
【0023】
[0026]当業者は、検出器Diが、ドッキングステーションSiにスライド式に連結するために、筐体40に関連するフォームファクタおよび関連するコネクタ要素を有することを理解するであろう。制御回路44は、Siなどの連結したドッキングステーションに情報を送ることができる。
【0024】
[0027]図2Bは、代表的なドッキングステーションSiのさらなる詳細を示す。ドッキングステーションSiは、筐体50を含む。筐体50は、Diなどの連結された検出器と通信し、当該検出器から情報をダウンロードするためのインターフェース回路52を収容する。当業者は、ドッキングステーションSiが、検出器Diにスライド式に連結するために、筐体50に関連するフォームファクタおよび関連するコネクタ要素を有することを理解するであろう。
【0025】
[0028]ドッキングステーションSiは、プログラム可能なプロセッサ54aおよび関連する記憶装置54bを少なくとも部分的に用いて実装される可能性がある制御回路54も含む。記憶装置54bは、実行可能な制御プログラムおよび検出器Diからダウンロードされたデータ、ならびに通信プログラムを含み得る。検出器Diからの最高濃度値44cを含む情報が、通信リンクL1を介してドッキングステーションSiからストレージおよび分析コンピューター20に接続され得る。ドッキングステーションSiは、検出器Diからの情報が分析のためにダウンロードされたとき、記憶された最高濃度値44cをストレージユニット44bから自動的にラッチ解除または削除する可能性がある。
【0026】
[0029]有利なことに、ラッチされた最高濃度値44cは、調査を行う必要があることを保安員に警告するために、サーバ28を介してコンピューター20から30〜34などの1つまたは複数の別の離れた位置にある安全監視ユニットに自動的に送信され得る。
【0027】
[0030]分析コンピューター24は、領域Rの状態、または当該領域を監視するために使用されている複数の検出器についてのさらなる表形式の情報をディスプレイ20aに表示するか、またはユニット30〜34に転送することができる。
【0028】
[0031]図3は、検出器のシリアル番号および日付でソートされ、分析コンピューター20およびソフトウェア24によって生成され、ディスプレイユニット20a、30a、または34aのうちの1つまたは複数に表示可能である例示的な計器の使用レポート画面70である。
【0029】
[0032]図4は、ユーザが構成可能な時系列の間に起こった警報イベントを示し、ディスプレイユニット20a、30a、または34aのうちの1つまたは複数に表示可能である警報レポート画面80である。
【0030】
[0033]図5は、ディスプレイユニット20a、30a、32a、または34aのうちの1つまたは複数に表示可能であるイベントの種類、最低および最高ガスレベル、ならびに継続時間を示す警報イベント画面90である。
【0031】
[0034]以上の内容から、多数の変更および修正が本明細書の精神および範囲を逸脱することなく行われ得ることが認められるであろう。本明細書において示された特定の装置に関していかなる限定も意図されておらず、またはいかなる限定も推測されるべきでないことを理解されたい。特許請求の範囲に入るすべてのそのような修正を添付の特許請求の範囲によって包含することが、当然意図される。さらに、図面に示された論理の流れは、所望の結果を得るために、示された特定の順序、または逐次的順序を必要としない。その他のステップが設けられる可能性があり、またはステップが説明された流れから削除される可能性があり、その他のコンポーネントが説明された実施形態に追加される可能性があり、または説明された実施形態から削除される可能性がある。
【符号の説明】
【0032】
10 装置、システム
S1...Sn ドッキングステーション
Si ドッキングステーション
D1 ガス検出器
Di 検出器
U1 ユーザ
Ui ユーザ
R 領域
L1...Ln 通信リンク
20 コンピューター
20a ディスプレイ、ディスプレイユニット
22 データベース
24 ソフトウェア
30 コンピューター、安全監視ユニット
30a ディスプレイユニット
32 PDAもしくは同種のもの、安全監視ユニット
32a ディスプレイユニット
34 ラップトップ、安全監視ユニット
34a ディスプレイユニット
I インターネット
40 筐体
42 センサー
44 制御回路
44a プログラム可能なプロセッサ
44b 記憶回路、ストレージユニット
44c 最高濃度値
46a インターフェース回路
46b 有線または無線インターフェース
48a ローカルディスプレイデバイス
48b ローカル制御部
48c バッテリ
50 筐体
52 インターフェース回路
54 制御回路
54a プログラム可能なプロセッサ
54b 記憶装置
70 計器の使用レポート画面
80 警報レポート画面
90 警報イベント画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶された最高の濃度のインジケーターを提供する回路を含む少なくとも1つの周囲条件検出器と、
前記検出器に取り外し可能に結合できるドッキングステーションであって、前記検出器からの選択された情報を受信および記憶し、前記検出器の前記記憶された最高の濃度のインジケーターを取得およびリセットするための制御回路を含む、ドッキングステーションと、
前記ドッキングステーションから検出器の識別、割り当て、および最高の濃度の情報を受信するための、前記ドッキングステーションに結合された通信要素であって、前記最高の濃度のインジケーターに応じて別の離れた位置にメッセージを送信する、通信要素と
を含む装置。
【請求項2】
前記検出器は、少なくともガス検出器を含む群から選択される請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記要素は、検出器の割り当ての情報を受信および記憶するためのデータストレージを含む請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記要素は、選択された検出器を単一の所定の人に割り当てるための回路を含む請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記要素は、前記割り当ての情報とともに、前記検出器に関する濃度暴露情報を受信および記憶する請求項4に記載の装置。
【請求項6】
緊急暴露メッセージが、選択された領域における超過した周囲条件の濃度に関する位置の監視に送信される請求項2に記載の装置。
【請求項7】
選択された領域Rを監視する複数のガス検出器からの情報を受信および記憶するための、前記通信要素に結合されたデータベースを含む請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記検出器は、最高の感知されたガス濃度をラッチおよび記憶するための回路を含むガス検出器を含む請求項1に記載の装置。
【請求項9】
複数の検出器と、前記要素に結合された複数のドッキングステーションとを含み、前記検出器のそれぞれが、ドッキングステーションとの連結および通信にのみ応じて前記それぞれの記憶された最高の濃度のインジケーターを破棄する回路を含む請求項1に記載の装置。
【請求項10】
複数の周囲条件検出器と、
複数の検出器ドッキングステーションであって、前記検出器がドッキングステーションに取り外し可能に連結できる、ドッキングステーションと、
前記ドッキングステーションに結合された送信システムとを含み、
前記ドッキングステーションが、それぞれ、プロセッサと、前記プロセッサによって実行されたときに前記プロセッサに、感知された条件の情報をダウンロードさせ、それぞれの検出器の記憶された最高の条件のインジケーターをリセットさせる複数の命令を記憶する少なくとも1つのメモリデバイスとを含む検出器管理システム。
【請求項11】
前記検出器のそれぞれは、最高の感知された濃度値を示す指示を記憶するための回路を含む請求項10に記載の検出器管理システム。
【請求項12】
前記検出器は、それぞれ、ローカルプロセッサと、前記ローカルプロセッサによって実行されたときに前記ローカルプロセッサに、前記それぞれの検出器において最高の感知された濃度値を示す前記指示を記憶させる複数の命令を記憶する少なくとも1つのメモリデバイスとを含む請求項11に記載の検出器管理システム。
【請求項13】
監視されている領域内の空間的に離れた位置で複数の周囲条件を感知するステップと、
前記位置の少なくとも一部に関連する最高の濃度値のインジケーターを記憶するステップと、
前記記憶されたインジケーターのそれぞれをそれぞれの初期分析の位置に転送し、前記それぞれの位置における初期分析に応じて前記記憶されたインジケーターをリセットし、前記記憶されたインジケーターのすべてを前記それぞれの初期分析の位置から共通の集積位置に転送するステップと、
前記記憶されたインジケーターのうちの少なくとも1つを示す少なくとも1つの緊急指示メッセージを前記共通の位置から別の離れた監視位置に転送しながら、前記共通の位置において前記初期分析の位置を記憶するステップと
を含む方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−175709(P2012−175709A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−33956(P2012−33956)
【出願日】平成24年2月20日(2012.2.20)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】