ガス検知体ホルダ
【課題】紫外線による検出の妨害を抑制した状態で、検知対象の空気とより均一に接触する状態とすることでより正確なガス濃度の検知ができるようにする。
【解決手段】台紙102の表面側に、平面覆い部141と側面覆い部142と上面覆い部143とから構成された箱型カバー104が固定され、箱型カバー104の下側の開口部146が配置されている領域の台紙102に、黒く着色された金属薄板113を備える。金属板113は、例えば、四三酸化鉄(Fe3O4)の被膜が形成された鉄鋼材から構成されていればよい。
【解決手段】台紙102の表面側に、平面覆い部141と側面覆い部142と上面覆い部143とから構成された箱型カバー104が固定され、箱型カバー104の下側の開口部146が配置されている領域の台紙102に、黒く着色された金属薄板113を備える。金属板113は、例えば、四三酸化鉄(Fe3O4)の被膜が形成された鉄鋼材から構成されていればよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境リスクが高いガス状の大気汚染物質、特に、光化学オキシダントの主成分を構成するオゾンや物質の燃焼に伴って発生する二酸化窒素の環境中濃度を個人や家庭レベルで検知するためのオゾン検知体や二酸化窒素検知体などからなるガス検知体を収容するガス検知体ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ろ紙及び多孔質ガラスなどの小型の多孔体に、例えばオゾンなどの検知対象ガスと選択的に反応して変色(退色)する色素を含む検知剤を含浸させたものをガス検知体とすることで、個人が持ち運び可能な超小型のガス検知用の蓄積型センサが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、多孔質ガラスなどの小型の多孔体に二酸化窒素などの検知対象ガスと選択的に反応して変色(発色)する色素を含む検知剤を含浸させたものをガス検知体とすることで、個人が持ち運びできる超小型のガス検知用の蓄積型センサが開発されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
これらのガス濃度測定に用いられる蓄積型センサのうち、特にろ紙などを用いたシート状のガス検知体は、主に1日間の個人のガス被爆量を検知するものであり、オゾン殺菌などでオゾンガスを利用する特殊作業従事者の曝露量評価を想定している。このシート状ガス検知体は、平均労働時間8時間で労働基準に定められた蓄積濃度量(濃度基準×時間)で、例えば目視可能に変色するように設計されている。
【0005】
このようなセンサとして、図4に示すような、シート状ガスセンサ401がある。シート状ガスセンサ401は、例えば9cm×6cm程度の名刺サイズの台紙402の上に、シート状のガス検知体403と、カラーチャート406及び使用方法等が記載された文字表示シート406aなどが貼り付けられたものである。ガス検知体403の変色の状態を、カラーチャート406に示されている色と比較することで、目視で確認された色に対応するガスの濃度に換算することが可能とされている。
【0006】
しかし、ガス状大気汚染物質(オゾン)の曝露によるリスクは、屋内環境におけるよりも日照の強い屋外環境下の方が著しいと考えられ、ガス(オゾン)検知体の紫外線(以下、UVと略称する)を含む太陽光照射下の屋外での利用が強く要請されていた。
【0007】
被測定対象ガス(オゾンあるいは二酸化窒素)との選択的な反応により変色(退色あるいは発色)する有機系色素は、日照に含まれる紫外線が照射されることによっても変色する。このため、試薬(検知剤)を含浸させたろ紙あるいは多孔質ガラスからなるガス検知体を、このまま太陽光の照射下の屋外に持ち出した場合、紫外線照射による変色も発生するため、被測定対象ガスへの曝露に起因する吸光度変化などの変色の状態のみを検知することができない。
【0008】
上述した問題を解消するため、本発明者らは、図5(a)及び図5(b)に示すような、耐UV型のガス検知体バッチ501を開発した。ガス検知体バッチ501は、台紙502上にシート状のガス検知体503を貼り付け、ガス検知体503の上方を、UV成分をカットする機能をもつUVカットフィルムよりなる覆い504によって覆ったものである。ガス検知体バッチ501では、ガス検知体503と覆い504との間に、ガス検知体503と試料空気505との接触を可能にするために1〜5mmの間隔tを備えている。なお、符号506は、退色(あるいは発色)の色具合から目視により、検知したガスの濃度を換算し指示するとともに使用上の注意事項を表示したカラーチャートである。
【0009】
【特許文献1】特開2004−144729号公報
【特許文献2】特開平9−274032号公報
【特許文献3】特開2000−081426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、図5に示すガス検知体バッチ501においては、検知される試料空気505は、ガス検知体503の上面を覆う覆い504の対向する2辺と台紙502との間に設けられた開口部507より導入され、ガス検知体503内の有機色素と選択的に反応してガス検知体503を変色(退色あるいは発色)させるものと考えられていた。
【0011】
しかしながら、実験結果によると、図5(b)に破線で示すように、ガス検知体503の開口部507に近い側縁部付近と中央部とでは、オゾンあるいは二酸化窒素などの測定対象のガスによる変色508が不均一になり、幅方向中央の両端部に変色しない不変部分509が残ることが判明した。
【0012】
この原因は、試料空気505の粘性により、ガス検知体503の表面に境界層領域が形成され、覆い504の中央部では、試料空気505の置換が、ほとんど起こらないためと考えられる。他方、開口部507の近傍では、境界層の厚さが極めて薄く、試料空気505がガス検知体503の表面に到達するため、ガス検知体503の表面に垂直な方向からの被検出対象ガス分子が十分供給され、退色あるいは発色などの変色反応が起きたためと考えられる。このように、不均一に変色する状態では、正確なガス濃度の検知(検出)ができない。
【0013】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、紫外線による検出の妨害を抑制した状態で、検知対象の空気とより均一に接触する状態とすることでより正確なガス濃度の検知ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るガス検知体ホルダは、主に太陽光の照射下の屋外環境にて使用され、検知対象の気体との反応により変色する検知剤が担持されたガス検知体を収容するガス検知体ホルダであって、紫外線を遮断して可視光を透過する材料より構成されてガス検知体を収容する断面矩形の管路と、この管路の一方の開口部の領域に設けられた暗い色とされた着色部とを少なくとも備えるものである。着色部は、例えば黒色とされている。従って、太陽光が照射される中で、着色部が設けられた側の開口部を大地側にして配置すると、着色部が太陽光の照射により加熱され、管路の中に一方の開口部から他方の開口部にかけて対流が発生する。
【0015】
上記ガス検知体ホルダにおいて、着色部は、黒い色とされているとよい。また、着色部は、開口部の領域に貼り付けられて着色された金属薄板であってもよい。この場合、金属薄板は、四三酸化鉄の被膜が形成された鉄鋼材から構成されたものであればよい。
【0016】
上記ガス検知体ホルダにおいて、管路は、ガス検知体が貼り付けられた台紙と、ガス検知体を覆うように台紙に固定された箱型のカバーと、箱型のカバーの他方の開口部の一部を覆うように設けられた覆い部とから構成され、着色部は、箱型のカバーの一方の開口部の領域の台紙に形成されているようにすればよい。
【0017】
また、上記ガス検知体ホルダにおいて、ガス検知体が貼り付けられた検知素子シートを収容し、ガス検知体が貼り付けられた領域にガス検知体を露出させるホルダ開口部を備えたホルダ部を備え、管路は、ホルダ開口部を覆うように設けられて断面が矩形とされたカバー管路から構成され、このカバー管路は、一方の開口部から続いて同一の幅とされた導入部と、この導入部から続いて徐々に管の幅が細くなる傾斜導入部と、この導入部から続く絞り部と、この絞り部から続いて徐々に間の幅が広くなる傾斜排気部と、この傾斜排気部から続いて導入部と同一の幅とされた排気部とから構成され、導入部の表面に着色部が形成されているようにしてもよい。
【0018】
また、上記ガス検知体ホルダにおいて、管路の対向する2つの内側側面に各々設けられた案内溝を備え、案内溝にガス検知体が貼り付けられた検知素子シートを係合させることでガス検知体が収容され、着色部は、一方の開口の側の管路の周部に形成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明では、紫外線を遮断して可視光を透過する材料より構成されてガス検知体を収容する断面矩形の管路と、この管路の一方の開口部の領域に設けられた着色部とを少なくとも備えるようにしたので、太陽光が照射される中で、着色部が設けられた側の開口部を大地側にして配置すると、着色部が太陽光の照射により加熱され、管路の中に一方の開口部から他方の開口部にかけて対流が発生するようになる。この結果、本発明によれば、紫外線による検出の妨害を抑制した状態で、検知対象の空気とより均一に接触する状態とすることでより正確なガス濃度の検知ができるようになるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図である。図1に示すガス検知体ホルダは、先ず、台紙102の表面側に、平面覆い部141と側面覆い部142と上面覆い部143とから構成された箱型カバー104が固定されている。箱型カバー104は、紫外線を遮断して可視光域の光は透過するUVカットフィルムより構成されている。UVカットフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレン,ナイロン,ポリエチレンナフタレートなどの無色透明な高分子材料からなるベースフィルムに、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が含まれる樹脂層よりなる紫外線吸収層や、TiO2などの金属酸化物微粒子が分散した樹脂塗膜層よりなる紫外線吸収層を備えたものであればよい。また、ベースフィルム自体に、紫外線吸収剤が含まれているものであってもよい。
【0021】
また、台紙102は、例えば8cm×6cm程度に形成され、表面に塗布されたポリエチレンよりなるポリエチレンの皮膜で覆われている。このポリエチレンの皮膜で覆われている台紙102の表面に、側面覆い部142に続く接着部144と、上面覆い部143に続く接着部145とが貼り付けられて、箱型カバー104が台紙102に固定されている。例えば、超音波溶融などによる熱圧着、あるいは、ホットメルト接着剤による接着により、接着部144及び接着部145が、台紙102の表面に固定されている。
【0022】
箱型カバー104は、上面覆い部143が設けられている側(上側)に対向する側(下側)には、下側開口部146を備えている。また、上面覆い部143は、平面覆い部141から接着部145にかけて、例えば、台紙102の平面に対して45°程度の角度とを備えて配置され、箱型カバー104の上部において、2つの側面覆い部142の側に、各々上部開口部147を備えている。また、箱型カバー104は、平面覆い部141が台紙102の表面より1cm程度離間し、下側開口部146から上面覆い部143の接続部までの高さが5cm程度とされ、2つの側面覆い部142の間が4cm程度とされている。なお、台紙102には、上面覆い部143が形成されている上部の両端部に、台紙102をつり下げるための窄孔部112が形成されている。
【0023】
このように構成された箱型カバー104の平面覆い部141に覆われた領域、言い換えると平面覆い部141に対向する台紙102の表面に、ガス検知体103及びカラーチャート106が固定されている。従って、ガス検知体103は、台紙102及び箱型カバー104から構成されて開口部146と開口部147とを備えるガス流路(管路)中に、外部より目視可能な状態で、かつUVから保護された状態で配置されていることになる。
【0024】
ここで、ガス検知体103について説明すると、ガス検知体103は、例えば、カルコン,メチルオレンジ,及びオレンジIなどのアゾ色素とグリセリンなどの保湿剤とが溶解した検知剤溶液に、白色のろ紙などのシート状担体を浸漬し、シート状担体に検知剤溶液を含浸させ、これを乾燥窒素中で乾燥させたものである。このように作製されたガス検知体103は、オゾンに曝露されることで、染色されているアゾ色素が退色して色が変化するので、オゾンの検知が行える。また、退色の状態は、曝露した全オゾンの量に対応しているので、オゾンの蓄積濃度量を知ることが可能である。例えば、ガス検知体103の変色の状態は、例えばアゾ色素が光吸収を示す所定の波長領域の光吸収強度が5段階に変化しているカラーチャート106に示されている色と比較することで、目視に確認された色に対応するガスの濃度に換算可能である。
【0025】
加えて、図1に示すガス検知体ホルダは、開口部146が配置されている領域の台紙102に、例えば黒,焦げ茶色,及び濃紺などの暗い色に着色された金属薄板113を備える。金属薄板113は、例えば、四三酸化鉄(Fe3O4)の被膜が形成されることで、表面が黒に着色された鉄鋼材から構成されていればよい。また、電気亜鉛メッキを形成した後、硝酸銀などを含んだ溶液でクロメート処理をして表面を黒色とした鉄鋼材から構成してもよい。このように構成されたガス検知体ホルダによると、日光の照射がある屋外で用いられると、先ず、日光の照射を受けた金属薄板113が加熱され、他の部分よりも高温となる。この結果、金属薄板113の設けられた領域と、他の領域とでは温度差が生じることになる。
【0026】
なお、図1に示す検知体用ホルダは、窄孔部112を用いることで、窄孔部112が形成されている側が大地に対して上方となるように配置されて用いられ、金属薄板113が配置された開口部146が大地側(下側)とされ、開口部157が上側とされた状態とされる。従って、箱型カバー104よりなるガスの流路においては、この下方に存在する空気が、この上方に存在する空気より高い温度とされた状態となり、熱による空気の対流105が発生可能な状態となる。
【0027】
ここで、熱対流の発生について検討する。箱型カバー104よりなる断面矩形のガスの流路(管路)においては、台紙102の表面及び平面覆い部141の内面などと、流体である空気との間に摩擦があるため、金属薄板113が設けられた領域とこれ以外との温度差がある値以上で、上記ガス流路中に熱による空気の上方への流れが発生する。
【0028】
次に、自然対流が起こるための条件について説明する。温度T∞[℃]の静止空気中に、平板を大地に対して垂直に立てた際の垂直平板に沿う自然対流境界層の様子を図6に示す。平板の温度T表面[℃]を次第に上げていくと、温度差(T表面−T∞)がある値を超えると、空気の上昇運動が起こり始める。一般的には、グラスホフ数(Grashof number)がある値を超えると、流体の浮力による上昇運動が起こる。等温の平板の高さをd[m]、重力の加速度をg[m/s2]、空気の体積膨張係数をβ[1/℃]、空気の動粘性係数をν[m2/s]とすれば、グラスホフ数Grは、以下の式(1)で定義される。
【0029】
【数1】
【0030】
ただし、運動するのは平板近傍の極薄い層内の空気に限られ、この流れは層流である。上昇流れの速度uは、図6に示すように、空気のような気体の場合には、平板から2〜3mmのところで最大となり、ここから遠ざかると速度は急に小さくなる。運動している層、すなわち、速度境界層の厚さδは、加熱された平板から1cm程度である。
【0031】
グラスホフ数は、平板に直角な単位面積あたりの浮力と、単位面積あたりの粘性力との比を表しており、この無次元量は、平板の粘性力と流体の浮力による流動との間の関係を決定する量、すなわち、自然対流の強さを表す無次元量となっている。平板に直角方向の温度勾配の表面における値、従って伝熱量は、平板の最下端で最大となり、上に行くに従って小さくなる。
【0032】
グラスホフ数をさらに大きくすると、平板の上方から乱流が起こってくる。このような場合の局所熱伝達係数hxの分布は、図7に示すようになる。hxが最小になっているところがおおよそ層流から乱流へ遷移するところであり、一度乱流になってからは、hxの値はほぼ一定である。ここで、hxは、熱伝達係数(Coefficient of Heat Transfer)で、単位は[W/m2℃]である。
【0033】
流体として空気以外の場合に一般化するには、グラスホフ数の他にプラントル数(Prandtl number)Prを考慮する必要があるが、大体の傾向としては、グラスホフ数とプラントル数の積で定義されるレイリー数(Rayleigh number:Ra=Gr・Pr)が、ある臨界値になるまでは、どのような流体も層流であり、レイリー数が臨界値を超えるとどのような流体も乱流になる。
【0034】
プラントル数Prは、動粘性係数ν(=粘性係数μをこの状態の流体の密度ρで割った値、すなわち、ν=μ/ρ)と熱伝達係数K(=熱伝導率κをこの流体の密度ρと定圧比熱cpの積により割った値、すなわち、K=κ/cp・ρ)により、以下の式(2)により定義される。
【0035】
【数2】
【0036】
ここで、ρは流体の密度[kg/m3]、μは流体の粘性係数[kg/s・m]、cp は、定圧比熱[kJ/kg℃]、κは熱伝導率[kW/m℃]、また、Kは温度伝達率[m2/s]である。この式は、速度勾配として現れている粘性による運動量の輸送性と、温度勾配として現れている熱拡散による熱の輸送性との比を表しており、無次元量である。ゆえに、プラントル数は、流体の熱伝播と流動との間の関係を決定する量となっている。
【0037】
空気は、動粘性係数ν=1.522×10-5(m2s-1)(at20℃)、温度伝導率K=0.2189×10-4(m2s-1)、体積膨張係数β=3.41×10-3(℃-1)であるから、金属薄板113の上下方向の幅dを1.2cmとし、臨界レイリー(Rayleigh)数(Ra≡Gr・Pr)として台紙102あるいは箱型カバー104の内壁と空気との間に摩擦がある場合の値1708を取ったとしても、熱対流が起こるための温度差ΔT(臨界温度差)は、以下の式(3)より、10℃程度あればよいことが判る。なお、gは重力加速度(m/s2)である。
【0038】
[ΔT]=Ra・K・ν/(β・g・d3)=10.04℃・・・(3)
【0039】
従って、金属薄板113の部分が、太陽光の照射により周囲の他の領域より10℃程度(臨界温度差)より高い状態となれば、熱による空気の対流105が生じる。このようにして生じた空気の対流105は、下側開口部146から箱型カバー104の内部へと導入され、ガス検知体103の上(表面)を通過し、上部開口部147より箱型カバー104の外部へと流れていく。これらの結果、上記対流が発生している状態では、箱型カバー104の内部においては、この中央部に空気が滞留することなどがなく、常に換気された状態となり、従来の滞留によるガス検知体103の変色ムラの発生が抑制されるようになる。
【0040】
次に、金属薄板113に太陽光が照射された場合の表面温度について説明する。
地球大気層の外縁において太陽光線に垂直な面に入射する単位面積・単位時間あたりの放射強度の値(太陽定数S)は約1.37(kW/m2)である。このうち、雲などによる反射により約30%が失われ、オゾン層や、大気中の水蒸気などにより約20%が吸収されるものの、残り約50%は地表に達する。このため、地表面で太陽光に垂直な面が受ける日射強度は、約664W/m2と概算される。
【0041】
気温(T∞)25℃の中に設置され、太陽からの輻射エネルギーとして地表日射強度(S0=)664(W/m2)を受けている板(金属薄板113)の輻射平衡温度Tを求めると、対流による熱伝達が起こっていない初期状態においては、太陽から吸収される正味のエネルギーが周囲との長波長による輻射熱交換が釣り合っていることから、吸収率をα(表1参照)、ステファン・ボルツマン(Stefan-Boltzmann)係数をσ(=5.67×10-8(W/m2・K4))として、以下の式(4)が成り立つ。なお、簡単のため、板は、この主表面が太陽光の照射方向を法線とした状態に置かれているものとする。
【0042】
S0・αsun=α25℃・σ・(T表面4−T∞4)[W/m2]・・・(4)
【0043】
【表1】
【0044】
金属薄板113の表面に対して、表1よりαsun=0.96、α25℃=0.95を用いて計算すると、T=374.8(K)=102(℃)となる。
【0045】
勿論、金属薄板113が、常に太陽光に対して垂直ではないので、表面温度102℃というのは最大値と考えてよい。参考のため、白く着色されている場合を想定すると、表1よりαsun=0.12、α25℃=0.9を用いて、T白=311K=38.7℃となり、予測どおり、太陽光に対しては、白色面の方が黒色面よりも低温であることが確認できる。図1に示すガス検知体ホルダでは、金属薄板113の表面は黒色に着色され、これより上方の箱型カバー104の部分は透明であるので、金属薄板113がこれ以外の非着色領域に比較して高温となることに違いはない。また、これらの間の温度差が10℃以上あれば、前述したように熱対流が起こる。
【0046】
次に、発生した自然対流により、金属薄板113の温度がどの程度変化するかを考察する。対流熱伝達は一括してニュートンの冷却の法則により、次の式(5)で与えられる。
【0047】
q=hx・A・(T表面−T∞)・・・(5)
【0048】
ここで、対流による熱の移動速度q(W)は、金属薄板113の表面温度(T表面)と流体温度(T∞:この場合、空気)との全体の温度差と伝熱面積Aに各々比例し、この比例係数hx[W/m2]は垂直(上)方向(x軸方向とする)への対流による熱伝達率である。
【0049】
従って、熱対流がある場合のエネルギー収支式は、次の式(6)となる。
【0050】
S0・αsun=α25℃・σ・(T表面4−T∞4)+h・A・(T表面−T∞)・・・(6)
【0051】
対流する空気の温度(T∞)は、外気温25℃よりも、式(3)により10℃以上高い温度であるので、ここでは約35℃として近似すると、表面温度(T表面)を求める式(6)における未知数は、垂直方向への対流による熱伝達率hxとなる。
【0052】
問題を簡単にするため、地表日射強度(So=)664W/m2を受けている黒く着色された垂直に設置された板が、裏面を断熱され、外気温25℃の空気の下で、自由対流により放熱している際の表面温度T表面を求める。
【0053】
板からの熱伝達は等熱流束であると仮定する。さらに、求める表面温度T表面が判らないので、膜温度Tfと空気の物性値を適当に仮定する。ここで、膜温度Tfとは、熱の伝わりに最も影響の大きい境界層の平均温度のことであり、平板の温度T表面とこの周りの空気の温度T∞の平均値として、以下の式(7)により与えられる。
【0054】
Tf=(1/2)(T表面+T∞)[℃] ・・・(7)
【0055】
自然対流の垂直方向への熱伝達係数はほぼho=10(W/m2・℃)であるから、近似的に、表面温度と流体温度の差ΔT(=T表面−T∞)の概算値として、ΔT=So・αsun/ho=664・0.96/10=64℃を得る。このときの膜温度は、Tf=64/2+25=57℃である。57℃における空気の物性値は、動粘性係数ν=18.66×10-6(m2/s)、体積膨張係数β=1/Tf=3.03×10-3(℃-1)、熱伝導率κ=0.02855(W/m・℃)、プラントル数Pr=0.701を用いて、系の特性長さをd=1.2×10-2(m)、Nuをヌッセルト数(Nusselt number)として、等熱流束の場合に用いられる修正グラスホフ数Gr*を求めると、次の式(8)となる。
【0056】
Grx*=Grx・Nux=g・β・(S0・αsum)・d4/(κ・ν2)・・・(8)
=(9.8×3.03×10-3×(664×0.96)×(1.2×10-2)/(0.02855×(1.866×10-5)2)=3.95×104
【0057】
ここで、ヌッセルト数は、hを熱伝達係数[W/m2℃]、dを代表長さ[m]、κを流体の熱伝導率[kW/m℃]とすると、次の式(9)により定義される無次元量であり、壁面の各位置における流体内の無次元温度勾配を表し、該当する位置での対流による壁面と流体との間の熱の移動量(伝熱量)を代表している。
【0058】
Nu≡h・d/κ ・・・(9)
【0059】
修正グラスホフ数の値より、この範囲の流れは層流であることが判る。従って、層流域では、局所熱伝達率hxは、次の式(10)となる。
【0060】
Nuxf=hxd/κf=0.60(Grx*×Prf)1/5 ・・・(10)
(105<Grx*<1011;qw=S0・αsun=const)
【0061】
また、式(10)を逆に解いて次の式(11)を得る。
【0062】
hx=(κf/x)・0.60(Grx*×Prf)1/5=0.02855(0.6×3.95×104×0.701)1/5/(1.2×10-2)=16.61[W/m2・℃] ・・・(11)
【0063】
この局所熱伝達率(hx)の値は、Tfを推定するのに用いた近似値ho(=10(W/m2・℃)よりも大きいので、ΔTを再計算すると、ΔT=So・αsun/hx=664・0.96/16.61=38.4℃を得る。よって、修正された膜温度は、Tf=38.4/2+25=44.2℃である。44.2℃における空気の物性値は、動粘性係数ν=17.37×10-6(m2/s)、体積膨張係数β=1/Tf=3.151×10-3(℃-1)、熱伝導率κ=0.02758(W/m・℃)、プラントル数Pr=0.704を用いて、修正グラスホフ数はGrx*=4.9×104となるので、局所熱伝達率は、hx=16.77(W/m2・℃)で、先に求めた値にほぼ収束している。これ以上繰り返し計算を行っても精度は向上しない。よって、この新しい収束値を用いた温度差は、ΔT(=T表面−T∞)=So・αsun/hx=664×0.96/16.77=38.0℃である。
【0064】
従って、垂直方向の熱対流がある場合でも、金属薄板113の平均表面温度は、T表面=38+25=63℃となる。勿論、金属薄板113が、常に太陽光に対して垂直に位置しているわけではないので、この表面温度63℃という値は、熱対流がある場合の最大値と考えてよい。いずれにせよ、地表日射強度によってもたらされる金属薄板113の表面温度が、式(3)で与えられる臨界温度差以上になり得ることが明らかとなった。以上のことは、黒く着色された場合について説明したが、焦げ茶色や濃紺などの黒以外の暗い色であっても同様であり、太陽光の照射により着色部の表面温度の上昇が得られることはいうまでもない。また、金属薄板113の変わりに、この領域を暗い色に着色するようにしても良い。また、これらに加え、上面覆い部143などの流路の上方部分を白などの明るい色に着色しておいてもよい。下方に暗い色の着色部が配置され、上方に明るい色の着色部が配置されていても、太陽光の照射により温度差が得られる。
【0065】
上述したように、図1に示すガス検知体ホルダによれば、従来のようにガス検知体103の上面に、単にUVカットフィルムによる覆いを設けた場合に生じた検知対象空気の滞留が、金属薄板113を設けたことによる熱対流によって抑制できるようになる。空気の滞留が抑制できるので、検知対象空気の滞留に起因するガス検知体の変色ムラを抑制できるようになる。また、図1に示すガス検知体ホルダにおいても、ガス検知体103は、UVカットフィルムよりなる箱型カバー104に覆われているので、例えば太陽光の紫外線のガス検知体103への到達が、抑制されている。なお、金属薄板113の変わりに、金属薄板113が形成されている領域が、暗い色に着色された着色部とされていても同様である。
【0066】
次に、本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダについて、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図(a)及び上面図(b)である。図2に示すガス検知体ホルダは、例えば主表面がポリエチレンの皮膜で覆われた台紙201の表面側にホルダ部202が固定されている。台紙201には、上部に、台紙201をつり下げるための窄孔部212を備える。台紙201は、大地に対して窄孔部212の形成部の側を上方として配置される。
【0067】
また、ホルダ部202は、ホルダ開口部202aを備え、加えて、ホルダ開口部202aを覆うように断面が矩形とされたカバー管路204が設けられている。ホルダ部202に、前述同様のガス検知体103及びカラーチャート106が貼り付けられた検知素子シート101が収容される。ホルダ202に収容された検知素子シート101のガス検知体103及びカラーチャート106は、ホルダ開口部202aにおいて、カバー管路204の内部に露出する。
【0068】
カバー管路204は、導入部241,傾斜導入部242,絞り部243,傾斜排気部244,及び排気部245から構成されている。カバー管路204は、ホルダ部202の表面(上面)より1cm程度の高さとされ、流路長が8cm程度とされている。また、導入部241及び排気部245の台紙201平面方向の流路幅は8cm程度とされ、絞り部243の流路幅は4cm程度とされている。なお、図2(a)に示すように、ホルダ開口部202aは、傾斜導入部242,絞り部243,及び傾斜排気部244に渡る領域に配置されている。
【0069】
また、カバー管路204は、図1に示した箱型カバー104と同様に、紫外線を遮断して可視光域の光は透過するUVカットフィルムより構成されている。加えて、カバー管路204の導入部241の表面には、例えば黒,焦げ茶色,及び濃紺などの暗い色に着色された着色領域213が形成されている。なお、傾斜導入部242,絞り部243,及び傾斜排気部244は、着色されていないので、ホルダ開口部202aより露出するガス検知体103は、カバー管路204よりなるガス流路中に、外部より目視可能な状態で、かつUVから保護された状態で配置されていることになる。
【0070】
このように構成されたガス検知体ホルダによると、日光の照射がある屋外で用いられると、先ず、日光の照射を受けた着色領域213が加熱され、他の部分よりも高温となる。この結果、着色領域213を備える導入部241の設けられた領域と、他の領域とでは温度差が生じることになる。従って、カバー管路204においては、この下方(カバー下部開口部246)に存在する空気が、この上方に存在する空気より高い温度とされた状態となり、前述したように、熱による空気の対流が発生する。
【0071】
このようにして発生した対流により、例えば、台紙201の下方のカバー下部開口部246から検知対象空気が導入され、導入された検知対象空気は、導入部241を流れ、傾斜導入部242,絞り部243、傾斜排気部244,及びカバー上部開口部247を通過し、カバー上部開口部247より排出される。ここで、導入部241(カバー下部開口部246)の断面積と排気部245(カバー上部開口部247)の断面積とは等しい。このため、カバー管路204の中央部の断面積が小さくなっている絞り部243においては、ベルヌーイの定理により流速が速まる。従って、ガス検知体103が配置されている領域の空気が、効率的に循環されるようになる。
【0072】
この結果、図1に示したガス検知体ホルダと同様に、従来のようにガス検知体103の上面に、単にUVカットフィルムによる覆いを設けた場合に生じた検知対象空気の滞留が、抑制できるようになる。空気の滞留が抑制できるので、検知対象空気の滞留に起因するガス検知体の変色ムラを抑制できるようになる。なお、図1に示すガス検知体ホルダと同様に、着色領域213が、この領域に貼り付けられた金属薄板から構成されていても同様である。また、図2に示すガス検知体ホルダにおいても、ガス検知体103は、UVカットフィルムよりなるカバー管路204に覆われているので、例えば太陽光の紫外線のガス検知体103への到達が、抑制されている。
【0073】
次に、本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダについて、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図である。図3に示すガス検知体ホルダは、例えば、透明なプラスチックより構成されて表面にUVカットフィルムが貼り付けられたカバーケース301と、カバーケース301の対向する2つの側面302,303の中央部に設けられた案内溝302a,303aと、カバーケース301の下部領域に配置された着色領域304とを備えている。着色領域304は、例えば黒に着色されている。なお、黒に限らず、焦げ茶色及び濃紺などの暗い色に着色されていてもよい。また、例えば、カバーケース301は、縦5cm横5cm高さ7cmとされている。
【0074】
案内溝302a及び案内溝303aは、カバーケース301の上部開口部301aから下部開口部301bの方向に形成されている。また、案内溝302a及び案内溝303aは、側面302の途中の係止部312及び側面303の途中の係止部313まで形成されている。このように形成された案内溝302a及び案内溝303aに、前述同様のガス検知体103及びカラーチャート106が貼り付けられた検知素子シート101の側部を係合させることで、検知素子シート101をカバーケース301に収容させることができる。案内溝302a及び案内溝303aに検知素子シート101をスライドさせることで挿抜可能としているので、検知素子シート101の交換が容易である。
【0075】
このように構成されたガス検知体ホルダによると、日光の照射がある屋外で用いられると、先ず、日光の照射を受けた着色領域304が加熱され、他の部分よりも高温となる。この結果、着色領域304の設けられた領域と、他の領域とでは温度差が生じることになる。従って、カバーケース301においては、この下方(下部開口部301b)に存在する空気が、この上方に存在する空気より高い温度とされた状態となり、前述したように、熱による空気の対流が発生する。
【0076】
このようにして発生した対流により、例えば、カバーケース301の下方の下部開口部301bから検知対象空気が導入され、導入された検知対象空気は、断面矩形とされた管路であるカバーケース301の内部を流れ、ガス検知体103の領域を通過し、上部開口部301aより排出される。このように、図3に示すガス検知体ホルダにおいても、ガス検知体103が配置されている領域の空気が、循環されるようになる。
【0077】
この結果、図1に示したガス検知体ホルダと同様に、従来のようにガス検知体103の上面に、単にUVカットフィルムによる覆いを設けた場合に生じた検知対象空気の滞留が、抑制できるようになる。空気の滞留が抑制できるので、検知対象空気の滞留に起因するガス検知体の変色ムラを抑制できるようになる。なお、図1に示すガス検知体ホルダと同様に、着色領域304が、この領域に貼り付けられた金属薄板から構成されていても同様である。また、図3に示すガス検知体ホルダにおいても、ガス検知体103は、UVカットフィルムが貼り付けられたカバーケース301に覆われているので、例えば太陽光の紫外線のガス検知体103への到達が、抑制されている。
【0078】
なお、上述では、ガス検知体103として、アゾ染料よりなる検知剤を担持したろ紙から構成したものを示したが、これに限るものではない。例えば、多孔質ガラス片に検知剤を担持させたものを用いるようにしてもよい。また、オゾンと反応して変色する他の染料よりなる検知剤を担持させるようにしてもよい。また、二酸化窒素と反応(ジアゾカップリング反応)して発色する検知剤を担持させるようにしてもよい。また、ガス検知体103とともに、カラーチャート106を備えるようにしたが、これに限るものではなく、使用方法などが記載された文字表示シートなどを同時に備えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態におけるガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図(a)及び上面図(b)である。
【図3】本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図である。
【図4】シート状ガスセンサ401の構成を示す平面図である。
【図5】従来の耐UV型のガス検知体バッチ501の構成例を示す構成図である。
【図6】垂直平板に沿う自然対流境界層の形成を説明するための説明図である。
【図7】垂直平板の自然対流及び局所熱伝達係数を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0080】
101…検知素子シート、102…台紙、103…ガス検知体、104…箱型カバー、105…空気の対流、106…カラーチャート、112…窄孔部、113…金属薄板、141…平面覆い部、142…側面覆い部、143…上面覆い部、144,145…接着部、146…下側開口部、147…上部開口部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境リスクが高いガス状の大気汚染物質、特に、光化学オキシダントの主成分を構成するオゾンや物質の燃焼に伴って発生する二酸化窒素の環境中濃度を個人や家庭レベルで検知するためのオゾン検知体や二酸化窒素検知体などからなるガス検知体を収容するガス検知体ホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ろ紙及び多孔質ガラスなどの小型の多孔体に、例えばオゾンなどの検知対象ガスと選択的に反応して変色(退色)する色素を含む検知剤を含浸させたものをガス検知体とすることで、個人が持ち運び可能な超小型のガス検知用の蓄積型センサが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、多孔質ガラスなどの小型の多孔体に二酸化窒素などの検知対象ガスと選択的に反応して変色(発色)する色素を含む検知剤を含浸させたものをガス検知体とすることで、個人が持ち運びできる超小型のガス検知用の蓄積型センサが開発されている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0004】
これらのガス濃度測定に用いられる蓄積型センサのうち、特にろ紙などを用いたシート状のガス検知体は、主に1日間の個人のガス被爆量を検知するものであり、オゾン殺菌などでオゾンガスを利用する特殊作業従事者の曝露量評価を想定している。このシート状ガス検知体は、平均労働時間8時間で労働基準に定められた蓄積濃度量(濃度基準×時間)で、例えば目視可能に変色するように設計されている。
【0005】
このようなセンサとして、図4に示すような、シート状ガスセンサ401がある。シート状ガスセンサ401は、例えば9cm×6cm程度の名刺サイズの台紙402の上に、シート状のガス検知体403と、カラーチャート406及び使用方法等が記載された文字表示シート406aなどが貼り付けられたものである。ガス検知体403の変色の状態を、カラーチャート406に示されている色と比較することで、目視で確認された色に対応するガスの濃度に換算することが可能とされている。
【0006】
しかし、ガス状大気汚染物質(オゾン)の曝露によるリスクは、屋内環境におけるよりも日照の強い屋外環境下の方が著しいと考えられ、ガス(オゾン)検知体の紫外線(以下、UVと略称する)を含む太陽光照射下の屋外での利用が強く要請されていた。
【0007】
被測定対象ガス(オゾンあるいは二酸化窒素)との選択的な反応により変色(退色あるいは発色)する有機系色素は、日照に含まれる紫外線が照射されることによっても変色する。このため、試薬(検知剤)を含浸させたろ紙あるいは多孔質ガラスからなるガス検知体を、このまま太陽光の照射下の屋外に持ち出した場合、紫外線照射による変色も発生するため、被測定対象ガスへの曝露に起因する吸光度変化などの変色の状態のみを検知することができない。
【0008】
上述した問題を解消するため、本発明者らは、図5(a)及び図5(b)に示すような、耐UV型のガス検知体バッチ501を開発した。ガス検知体バッチ501は、台紙502上にシート状のガス検知体503を貼り付け、ガス検知体503の上方を、UV成分をカットする機能をもつUVカットフィルムよりなる覆い504によって覆ったものである。ガス検知体バッチ501では、ガス検知体503と覆い504との間に、ガス検知体503と試料空気505との接触を可能にするために1〜5mmの間隔tを備えている。なお、符号506は、退色(あるいは発色)の色具合から目視により、検知したガスの濃度を換算し指示するとともに使用上の注意事項を表示したカラーチャートである。
【0009】
【特許文献1】特開2004−144729号公報
【特許文献2】特開平9−274032号公報
【特許文献3】特開2000−081426号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ここで、図5に示すガス検知体バッチ501においては、検知される試料空気505は、ガス検知体503の上面を覆う覆い504の対向する2辺と台紙502との間に設けられた開口部507より導入され、ガス検知体503内の有機色素と選択的に反応してガス検知体503を変色(退色あるいは発色)させるものと考えられていた。
【0011】
しかしながら、実験結果によると、図5(b)に破線で示すように、ガス検知体503の開口部507に近い側縁部付近と中央部とでは、オゾンあるいは二酸化窒素などの測定対象のガスによる変色508が不均一になり、幅方向中央の両端部に変色しない不変部分509が残ることが判明した。
【0012】
この原因は、試料空気505の粘性により、ガス検知体503の表面に境界層領域が形成され、覆い504の中央部では、試料空気505の置換が、ほとんど起こらないためと考えられる。他方、開口部507の近傍では、境界層の厚さが極めて薄く、試料空気505がガス検知体503の表面に到達するため、ガス検知体503の表面に垂直な方向からの被検出対象ガス分子が十分供給され、退色あるいは発色などの変色反応が起きたためと考えられる。このように、不均一に変色する状態では、正確なガス濃度の検知(検出)ができない。
【0013】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、紫外線による検出の妨害を抑制した状態で、検知対象の空気とより均一に接触する状態とすることでより正確なガス濃度の検知ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るガス検知体ホルダは、主に太陽光の照射下の屋外環境にて使用され、検知対象の気体との反応により変色する検知剤が担持されたガス検知体を収容するガス検知体ホルダであって、紫外線を遮断して可視光を透過する材料より構成されてガス検知体を収容する断面矩形の管路と、この管路の一方の開口部の領域に設けられた暗い色とされた着色部とを少なくとも備えるものである。着色部は、例えば黒色とされている。従って、太陽光が照射される中で、着色部が設けられた側の開口部を大地側にして配置すると、着色部が太陽光の照射により加熱され、管路の中に一方の開口部から他方の開口部にかけて対流が発生する。
【0015】
上記ガス検知体ホルダにおいて、着色部は、黒い色とされているとよい。また、着色部は、開口部の領域に貼り付けられて着色された金属薄板であってもよい。この場合、金属薄板は、四三酸化鉄の被膜が形成された鉄鋼材から構成されたものであればよい。
【0016】
上記ガス検知体ホルダにおいて、管路は、ガス検知体が貼り付けられた台紙と、ガス検知体を覆うように台紙に固定された箱型のカバーと、箱型のカバーの他方の開口部の一部を覆うように設けられた覆い部とから構成され、着色部は、箱型のカバーの一方の開口部の領域の台紙に形成されているようにすればよい。
【0017】
また、上記ガス検知体ホルダにおいて、ガス検知体が貼り付けられた検知素子シートを収容し、ガス検知体が貼り付けられた領域にガス検知体を露出させるホルダ開口部を備えたホルダ部を備え、管路は、ホルダ開口部を覆うように設けられて断面が矩形とされたカバー管路から構成され、このカバー管路は、一方の開口部から続いて同一の幅とされた導入部と、この導入部から続いて徐々に管の幅が細くなる傾斜導入部と、この導入部から続く絞り部と、この絞り部から続いて徐々に間の幅が広くなる傾斜排気部と、この傾斜排気部から続いて導入部と同一の幅とされた排気部とから構成され、導入部の表面に着色部が形成されているようにしてもよい。
【0018】
また、上記ガス検知体ホルダにおいて、管路の対向する2つの内側側面に各々設けられた案内溝を備え、案内溝にガス検知体が貼り付けられた検知素子シートを係合させることでガス検知体が収容され、着色部は、一方の開口の側の管路の周部に形成されているようにしてもよい。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明では、紫外線を遮断して可視光を透過する材料より構成されてガス検知体を収容する断面矩形の管路と、この管路の一方の開口部の領域に設けられた着色部とを少なくとも備えるようにしたので、太陽光が照射される中で、着色部が設けられた側の開口部を大地側にして配置すると、着色部が太陽光の照射により加熱され、管路の中に一方の開口部から他方の開口部にかけて対流が発生するようになる。この結果、本発明によれば、紫外線による検出の妨害を抑制した状態で、検知対象の空気とより均一に接触する状態とすることでより正確なガス濃度の検知ができるようになるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図である。図1に示すガス検知体ホルダは、先ず、台紙102の表面側に、平面覆い部141と側面覆い部142と上面覆い部143とから構成された箱型カバー104が固定されている。箱型カバー104は、紫外線を遮断して可視光域の光は透過するUVカットフィルムより構成されている。UVカットフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート,ポリプロピレン,ナイロン,ポリエチレンナフタレートなどの無色透明な高分子材料からなるベースフィルムに、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤が含まれる樹脂層よりなる紫外線吸収層や、TiO2などの金属酸化物微粒子が分散した樹脂塗膜層よりなる紫外線吸収層を備えたものであればよい。また、ベースフィルム自体に、紫外線吸収剤が含まれているものであってもよい。
【0021】
また、台紙102は、例えば8cm×6cm程度に形成され、表面に塗布されたポリエチレンよりなるポリエチレンの皮膜で覆われている。このポリエチレンの皮膜で覆われている台紙102の表面に、側面覆い部142に続く接着部144と、上面覆い部143に続く接着部145とが貼り付けられて、箱型カバー104が台紙102に固定されている。例えば、超音波溶融などによる熱圧着、あるいは、ホットメルト接着剤による接着により、接着部144及び接着部145が、台紙102の表面に固定されている。
【0022】
箱型カバー104は、上面覆い部143が設けられている側(上側)に対向する側(下側)には、下側開口部146を備えている。また、上面覆い部143は、平面覆い部141から接着部145にかけて、例えば、台紙102の平面に対して45°程度の角度とを備えて配置され、箱型カバー104の上部において、2つの側面覆い部142の側に、各々上部開口部147を備えている。また、箱型カバー104は、平面覆い部141が台紙102の表面より1cm程度離間し、下側開口部146から上面覆い部143の接続部までの高さが5cm程度とされ、2つの側面覆い部142の間が4cm程度とされている。なお、台紙102には、上面覆い部143が形成されている上部の両端部に、台紙102をつり下げるための窄孔部112が形成されている。
【0023】
このように構成された箱型カバー104の平面覆い部141に覆われた領域、言い換えると平面覆い部141に対向する台紙102の表面に、ガス検知体103及びカラーチャート106が固定されている。従って、ガス検知体103は、台紙102及び箱型カバー104から構成されて開口部146と開口部147とを備えるガス流路(管路)中に、外部より目視可能な状態で、かつUVから保護された状態で配置されていることになる。
【0024】
ここで、ガス検知体103について説明すると、ガス検知体103は、例えば、カルコン,メチルオレンジ,及びオレンジIなどのアゾ色素とグリセリンなどの保湿剤とが溶解した検知剤溶液に、白色のろ紙などのシート状担体を浸漬し、シート状担体に検知剤溶液を含浸させ、これを乾燥窒素中で乾燥させたものである。このように作製されたガス検知体103は、オゾンに曝露されることで、染色されているアゾ色素が退色して色が変化するので、オゾンの検知が行える。また、退色の状態は、曝露した全オゾンの量に対応しているので、オゾンの蓄積濃度量を知ることが可能である。例えば、ガス検知体103の変色の状態は、例えばアゾ色素が光吸収を示す所定の波長領域の光吸収強度が5段階に変化しているカラーチャート106に示されている色と比較することで、目視に確認された色に対応するガスの濃度に換算可能である。
【0025】
加えて、図1に示すガス検知体ホルダは、開口部146が配置されている領域の台紙102に、例えば黒,焦げ茶色,及び濃紺などの暗い色に着色された金属薄板113を備える。金属薄板113は、例えば、四三酸化鉄(Fe3O4)の被膜が形成されることで、表面が黒に着色された鉄鋼材から構成されていればよい。また、電気亜鉛メッキを形成した後、硝酸銀などを含んだ溶液でクロメート処理をして表面を黒色とした鉄鋼材から構成してもよい。このように構成されたガス検知体ホルダによると、日光の照射がある屋外で用いられると、先ず、日光の照射を受けた金属薄板113が加熱され、他の部分よりも高温となる。この結果、金属薄板113の設けられた領域と、他の領域とでは温度差が生じることになる。
【0026】
なお、図1に示す検知体用ホルダは、窄孔部112を用いることで、窄孔部112が形成されている側が大地に対して上方となるように配置されて用いられ、金属薄板113が配置された開口部146が大地側(下側)とされ、開口部157が上側とされた状態とされる。従って、箱型カバー104よりなるガスの流路においては、この下方に存在する空気が、この上方に存在する空気より高い温度とされた状態となり、熱による空気の対流105が発生可能な状態となる。
【0027】
ここで、熱対流の発生について検討する。箱型カバー104よりなる断面矩形のガスの流路(管路)においては、台紙102の表面及び平面覆い部141の内面などと、流体である空気との間に摩擦があるため、金属薄板113が設けられた領域とこれ以外との温度差がある値以上で、上記ガス流路中に熱による空気の上方への流れが発生する。
【0028】
次に、自然対流が起こるための条件について説明する。温度T∞[℃]の静止空気中に、平板を大地に対して垂直に立てた際の垂直平板に沿う自然対流境界層の様子を図6に示す。平板の温度T表面[℃]を次第に上げていくと、温度差(T表面−T∞)がある値を超えると、空気の上昇運動が起こり始める。一般的には、グラスホフ数(Grashof number)がある値を超えると、流体の浮力による上昇運動が起こる。等温の平板の高さをd[m]、重力の加速度をg[m/s2]、空気の体積膨張係数をβ[1/℃]、空気の動粘性係数をν[m2/s]とすれば、グラスホフ数Grは、以下の式(1)で定義される。
【0029】
【数1】
【0030】
ただし、運動するのは平板近傍の極薄い層内の空気に限られ、この流れは層流である。上昇流れの速度uは、図6に示すように、空気のような気体の場合には、平板から2〜3mmのところで最大となり、ここから遠ざかると速度は急に小さくなる。運動している層、すなわち、速度境界層の厚さδは、加熱された平板から1cm程度である。
【0031】
グラスホフ数は、平板に直角な単位面積あたりの浮力と、単位面積あたりの粘性力との比を表しており、この無次元量は、平板の粘性力と流体の浮力による流動との間の関係を決定する量、すなわち、自然対流の強さを表す無次元量となっている。平板に直角方向の温度勾配の表面における値、従って伝熱量は、平板の最下端で最大となり、上に行くに従って小さくなる。
【0032】
グラスホフ数をさらに大きくすると、平板の上方から乱流が起こってくる。このような場合の局所熱伝達係数hxの分布は、図7に示すようになる。hxが最小になっているところがおおよそ層流から乱流へ遷移するところであり、一度乱流になってからは、hxの値はほぼ一定である。ここで、hxは、熱伝達係数(Coefficient of Heat Transfer)で、単位は[W/m2℃]である。
【0033】
流体として空気以外の場合に一般化するには、グラスホフ数の他にプラントル数(Prandtl number)Prを考慮する必要があるが、大体の傾向としては、グラスホフ数とプラントル数の積で定義されるレイリー数(Rayleigh number:Ra=Gr・Pr)が、ある臨界値になるまでは、どのような流体も層流であり、レイリー数が臨界値を超えるとどのような流体も乱流になる。
【0034】
プラントル数Prは、動粘性係数ν(=粘性係数μをこの状態の流体の密度ρで割った値、すなわち、ν=μ/ρ)と熱伝達係数K(=熱伝導率κをこの流体の密度ρと定圧比熱cpの積により割った値、すなわち、K=κ/cp・ρ)により、以下の式(2)により定義される。
【0035】
【数2】
【0036】
ここで、ρは流体の密度[kg/m3]、μは流体の粘性係数[kg/s・m]、cp は、定圧比熱[kJ/kg℃]、κは熱伝導率[kW/m℃]、また、Kは温度伝達率[m2/s]である。この式は、速度勾配として現れている粘性による運動量の輸送性と、温度勾配として現れている熱拡散による熱の輸送性との比を表しており、無次元量である。ゆえに、プラントル数は、流体の熱伝播と流動との間の関係を決定する量となっている。
【0037】
空気は、動粘性係数ν=1.522×10-5(m2s-1)(at20℃)、温度伝導率K=0.2189×10-4(m2s-1)、体積膨張係数β=3.41×10-3(℃-1)であるから、金属薄板113の上下方向の幅dを1.2cmとし、臨界レイリー(Rayleigh)数(Ra≡Gr・Pr)として台紙102あるいは箱型カバー104の内壁と空気との間に摩擦がある場合の値1708を取ったとしても、熱対流が起こるための温度差ΔT(臨界温度差)は、以下の式(3)より、10℃程度あればよいことが判る。なお、gは重力加速度(m/s2)である。
【0038】
[ΔT]=Ra・K・ν/(β・g・d3)=10.04℃・・・(3)
【0039】
従って、金属薄板113の部分が、太陽光の照射により周囲の他の領域より10℃程度(臨界温度差)より高い状態となれば、熱による空気の対流105が生じる。このようにして生じた空気の対流105は、下側開口部146から箱型カバー104の内部へと導入され、ガス検知体103の上(表面)を通過し、上部開口部147より箱型カバー104の外部へと流れていく。これらの結果、上記対流が発生している状態では、箱型カバー104の内部においては、この中央部に空気が滞留することなどがなく、常に換気された状態となり、従来の滞留によるガス検知体103の変色ムラの発生が抑制されるようになる。
【0040】
次に、金属薄板113に太陽光が照射された場合の表面温度について説明する。
地球大気層の外縁において太陽光線に垂直な面に入射する単位面積・単位時間あたりの放射強度の値(太陽定数S)は約1.37(kW/m2)である。このうち、雲などによる反射により約30%が失われ、オゾン層や、大気中の水蒸気などにより約20%が吸収されるものの、残り約50%は地表に達する。このため、地表面で太陽光に垂直な面が受ける日射強度は、約664W/m2と概算される。
【0041】
気温(T∞)25℃の中に設置され、太陽からの輻射エネルギーとして地表日射強度(S0=)664(W/m2)を受けている板(金属薄板113)の輻射平衡温度Tを求めると、対流による熱伝達が起こっていない初期状態においては、太陽から吸収される正味のエネルギーが周囲との長波長による輻射熱交換が釣り合っていることから、吸収率をα(表1参照)、ステファン・ボルツマン(Stefan-Boltzmann)係数をσ(=5.67×10-8(W/m2・K4))として、以下の式(4)が成り立つ。なお、簡単のため、板は、この主表面が太陽光の照射方向を法線とした状態に置かれているものとする。
【0042】
S0・αsun=α25℃・σ・(T表面4−T∞4)[W/m2]・・・(4)
【0043】
【表1】
【0044】
金属薄板113の表面に対して、表1よりαsun=0.96、α25℃=0.95を用いて計算すると、T=374.8(K)=102(℃)となる。
【0045】
勿論、金属薄板113が、常に太陽光に対して垂直ではないので、表面温度102℃というのは最大値と考えてよい。参考のため、白く着色されている場合を想定すると、表1よりαsun=0.12、α25℃=0.9を用いて、T白=311K=38.7℃となり、予測どおり、太陽光に対しては、白色面の方が黒色面よりも低温であることが確認できる。図1に示すガス検知体ホルダでは、金属薄板113の表面は黒色に着色され、これより上方の箱型カバー104の部分は透明であるので、金属薄板113がこれ以外の非着色領域に比較して高温となることに違いはない。また、これらの間の温度差が10℃以上あれば、前述したように熱対流が起こる。
【0046】
次に、発生した自然対流により、金属薄板113の温度がどの程度変化するかを考察する。対流熱伝達は一括してニュートンの冷却の法則により、次の式(5)で与えられる。
【0047】
q=hx・A・(T表面−T∞)・・・(5)
【0048】
ここで、対流による熱の移動速度q(W)は、金属薄板113の表面温度(T表面)と流体温度(T∞:この場合、空気)との全体の温度差と伝熱面積Aに各々比例し、この比例係数hx[W/m2]は垂直(上)方向(x軸方向とする)への対流による熱伝達率である。
【0049】
従って、熱対流がある場合のエネルギー収支式は、次の式(6)となる。
【0050】
S0・αsun=α25℃・σ・(T表面4−T∞4)+h・A・(T表面−T∞)・・・(6)
【0051】
対流する空気の温度(T∞)は、外気温25℃よりも、式(3)により10℃以上高い温度であるので、ここでは約35℃として近似すると、表面温度(T表面)を求める式(6)における未知数は、垂直方向への対流による熱伝達率hxとなる。
【0052】
問題を簡単にするため、地表日射強度(So=)664W/m2を受けている黒く着色された垂直に設置された板が、裏面を断熱され、外気温25℃の空気の下で、自由対流により放熱している際の表面温度T表面を求める。
【0053】
板からの熱伝達は等熱流束であると仮定する。さらに、求める表面温度T表面が判らないので、膜温度Tfと空気の物性値を適当に仮定する。ここで、膜温度Tfとは、熱の伝わりに最も影響の大きい境界層の平均温度のことであり、平板の温度T表面とこの周りの空気の温度T∞の平均値として、以下の式(7)により与えられる。
【0054】
Tf=(1/2)(T表面+T∞)[℃] ・・・(7)
【0055】
自然対流の垂直方向への熱伝達係数はほぼho=10(W/m2・℃)であるから、近似的に、表面温度と流体温度の差ΔT(=T表面−T∞)の概算値として、ΔT=So・αsun/ho=664・0.96/10=64℃を得る。このときの膜温度は、Tf=64/2+25=57℃である。57℃における空気の物性値は、動粘性係数ν=18.66×10-6(m2/s)、体積膨張係数β=1/Tf=3.03×10-3(℃-1)、熱伝導率κ=0.02855(W/m・℃)、プラントル数Pr=0.701を用いて、系の特性長さをd=1.2×10-2(m)、Nuをヌッセルト数(Nusselt number)として、等熱流束の場合に用いられる修正グラスホフ数Gr*を求めると、次の式(8)となる。
【0056】
Grx*=Grx・Nux=g・β・(S0・αsum)・d4/(κ・ν2)・・・(8)
=(9.8×3.03×10-3×(664×0.96)×(1.2×10-2)/(0.02855×(1.866×10-5)2)=3.95×104
【0057】
ここで、ヌッセルト数は、hを熱伝達係数[W/m2℃]、dを代表長さ[m]、κを流体の熱伝導率[kW/m℃]とすると、次の式(9)により定義される無次元量であり、壁面の各位置における流体内の無次元温度勾配を表し、該当する位置での対流による壁面と流体との間の熱の移動量(伝熱量)を代表している。
【0058】
Nu≡h・d/κ ・・・(9)
【0059】
修正グラスホフ数の値より、この範囲の流れは層流であることが判る。従って、層流域では、局所熱伝達率hxは、次の式(10)となる。
【0060】
Nuxf=hxd/κf=0.60(Grx*×Prf)1/5 ・・・(10)
(105<Grx*<1011;qw=S0・αsun=const)
【0061】
また、式(10)を逆に解いて次の式(11)を得る。
【0062】
hx=(κf/x)・0.60(Grx*×Prf)1/5=0.02855(0.6×3.95×104×0.701)1/5/(1.2×10-2)=16.61[W/m2・℃] ・・・(11)
【0063】
この局所熱伝達率(hx)の値は、Tfを推定するのに用いた近似値ho(=10(W/m2・℃)よりも大きいので、ΔTを再計算すると、ΔT=So・αsun/hx=664・0.96/16.61=38.4℃を得る。よって、修正された膜温度は、Tf=38.4/2+25=44.2℃である。44.2℃における空気の物性値は、動粘性係数ν=17.37×10-6(m2/s)、体積膨張係数β=1/Tf=3.151×10-3(℃-1)、熱伝導率κ=0.02758(W/m・℃)、プラントル数Pr=0.704を用いて、修正グラスホフ数はGrx*=4.9×104となるので、局所熱伝達率は、hx=16.77(W/m2・℃)で、先に求めた値にほぼ収束している。これ以上繰り返し計算を行っても精度は向上しない。よって、この新しい収束値を用いた温度差は、ΔT(=T表面−T∞)=So・αsun/hx=664×0.96/16.77=38.0℃である。
【0064】
従って、垂直方向の熱対流がある場合でも、金属薄板113の平均表面温度は、T表面=38+25=63℃となる。勿論、金属薄板113が、常に太陽光に対して垂直に位置しているわけではないので、この表面温度63℃という値は、熱対流がある場合の最大値と考えてよい。いずれにせよ、地表日射強度によってもたらされる金属薄板113の表面温度が、式(3)で与えられる臨界温度差以上になり得ることが明らかとなった。以上のことは、黒く着色された場合について説明したが、焦げ茶色や濃紺などの黒以外の暗い色であっても同様であり、太陽光の照射により着色部の表面温度の上昇が得られることはいうまでもない。また、金属薄板113の変わりに、この領域を暗い色に着色するようにしても良い。また、これらに加え、上面覆い部143などの流路の上方部分を白などの明るい色に着色しておいてもよい。下方に暗い色の着色部が配置され、上方に明るい色の着色部が配置されていても、太陽光の照射により温度差が得られる。
【0065】
上述したように、図1に示すガス検知体ホルダによれば、従来のようにガス検知体103の上面に、単にUVカットフィルムによる覆いを設けた場合に生じた検知対象空気の滞留が、金属薄板113を設けたことによる熱対流によって抑制できるようになる。空気の滞留が抑制できるので、検知対象空気の滞留に起因するガス検知体の変色ムラを抑制できるようになる。また、図1に示すガス検知体ホルダにおいても、ガス検知体103は、UVカットフィルムよりなる箱型カバー104に覆われているので、例えば太陽光の紫外線のガス検知体103への到達が、抑制されている。なお、金属薄板113の変わりに、金属薄板113が形成されている領域が、暗い色に着色された着色部とされていても同様である。
【0066】
次に、本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダについて、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図(a)及び上面図(b)である。図2に示すガス検知体ホルダは、例えば主表面がポリエチレンの皮膜で覆われた台紙201の表面側にホルダ部202が固定されている。台紙201には、上部に、台紙201をつり下げるための窄孔部212を備える。台紙201は、大地に対して窄孔部212の形成部の側を上方として配置される。
【0067】
また、ホルダ部202は、ホルダ開口部202aを備え、加えて、ホルダ開口部202aを覆うように断面が矩形とされたカバー管路204が設けられている。ホルダ部202に、前述同様のガス検知体103及びカラーチャート106が貼り付けられた検知素子シート101が収容される。ホルダ202に収容された検知素子シート101のガス検知体103及びカラーチャート106は、ホルダ開口部202aにおいて、カバー管路204の内部に露出する。
【0068】
カバー管路204は、導入部241,傾斜導入部242,絞り部243,傾斜排気部244,及び排気部245から構成されている。カバー管路204は、ホルダ部202の表面(上面)より1cm程度の高さとされ、流路長が8cm程度とされている。また、導入部241及び排気部245の台紙201平面方向の流路幅は8cm程度とされ、絞り部243の流路幅は4cm程度とされている。なお、図2(a)に示すように、ホルダ開口部202aは、傾斜導入部242,絞り部243,及び傾斜排気部244に渡る領域に配置されている。
【0069】
また、カバー管路204は、図1に示した箱型カバー104と同様に、紫外線を遮断して可視光域の光は透過するUVカットフィルムより構成されている。加えて、カバー管路204の導入部241の表面には、例えば黒,焦げ茶色,及び濃紺などの暗い色に着色された着色領域213が形成されている。なお、傾斜導入部242,絞り部243,及び傾斜排気部244は、着色されていないので、ホルダ開口部202aより露出するガス検知体103は、カバー管路204よりなるガス流路中に、外部より目視可能な状態で、かつUVから保護された状態で配置されていることになる。
【0070】
このように構成されたガス検知体ホルダによると、日光の照射がある屋外で用いられると、先ず、日光の照射を受けた着色領域213が加熱され、他の部分よりも高温となる。この結果、着色領域213を備える導入部241の設けられた領域と、他の領域とでは温度差が生じることになる。従って、カバー管路204においては、この下方(カバー下部開口部246)に存在する空気が、この上方に存在する空気より高い温度とされた状態となり、前述したように、熱による空気の対流が発生する。
【0071】
このようにして発生した対流により、例えば、台紙201の下方のカバー下部開口部246から検知対象空気が導入され、導入された検知対象空気は、導入部241を流れ、傾斜導入部242,絞り部243、傾斜排気部244,及びカバー上部開口部247を通過し、カバー上部開口部247より排出される。ここで、導入部241(カバー下部開口部246)の断面積と排気部245(カバー上部開口部247)の断面積とは等しい。このため、カバー管路204の中央部の断面積が小さくなっている絞り部243においては、ベルヌーイの定理により流速が速まる。従って、ガス検知体103が配置されている領域の空気が、効率的に循環されるようになる。
【0072】
この結果、図1に示したガス検知体ホルダと同様に、従来のようにガス検知体103の上面に、単にUVカットフィルムによる覆いを設けた場合に生じた検知対象空気の滞留が、抑制できるようになる。空気の滞留が抑制できるので、検知対象空気の滞留に起因するガス検知体の変色ムラを抑制できるようになる。なお、図1に示すガス検知体ホルダと同様に、着色領域213が、この領域に貼り付けられた金属薄板から構成されていても同様である。また、図2に示すガス検知体ホルダにおいても、ガス検知体103は、UVカットフィルムよりなるカバー管路204に覆われているので、例えば太陽光の紫外線のガス検知体103への到達が、抑制されている。
【0073】
次に、本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダについて、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図である。図3に示すガス検知体ホルダは、例えば、透明なプラスチックより構成されて表面にUVカットフィルムが貼り付けられたカバーケース301と、カバーケース301の対向する2つの側面302,303の中央部に設けられた案内溝302a,303aと、カバーケース301の下部領域に配置された着色領域304とを備えている。着色領域304は、例えば黒に着色されている。なお、黒に限らず、焦げ茶色及び濃紺などの暗い色に着色されていてもよい。また、例えば、カバーケース301は、縦5cm横5cm高さ7cmとされている。
【0074】
案内溝302a及び案内溝303aは、カバーケース301の上部開口部301aから下部開口部301bの方向に形成されている。また、案内溝302a及び案内溝303aは、側面302の途中の係止部312及び側面303の途中の係止部313まで形成されている。このように形成された案内溝302a及び案内溝303aに、前述同様のガス検知体103及びカラーチャート106が貼り付けられた検知素子シート101の側部を係合させることで、検知素子シート101をカバーケース301に収容させることができる。案内溝302a及び案内溝303aに検知素子シート101をスライドさせることで挿抜可能としているので、検知素子シート101の交換が容易である。
【0075】
このように構成されたガス検知体ホルダによると、日光の照射がある屋外で用いられると、先ず、日光の照射を受けた着色領域304が加熱され、他の部分よりも高温となる。この結果、着色領域304の設けられた領域と、他の領域とでは温度差が生じることになる。従って、カバーケース301においては、この下方(下部開口部301b)に存在する空気が、この上方に存在する空気より高い温度とされた状態となり、前述したように、熱による空気の対流が発生する。
【0076】
このようにして発生した対流により、例えば、カバーケース301の下方の下部開口部301bから検知対象空気が導入され、導入された検知対象空気は、断面矩形とされた管路であるカバーケース301の内部を流れ、ガス検知体103の領域を通過し、上部開口部301aより排出される。このように、図3に示すガス検知体ホルダにおいても、ガス検知体103が配置されている領域の空気が、循環されるようになる。
【0077】
この結果、図1に示したガス検知体ホルダと同様に、従来のようにガス検知体103の上面に、単にUVカットフィルムによる覆いを設けた場合に生じた検知対象空気の滞留が、抑制できるようになる。空気の滞留が抑制できるので、検知対象空気の滞留に起因するガス検知体の変色ムラを抑制できるようになる。なお、図1に示すガス検知体ホルダと同様に、着色領域304が、この領域に貼り付けられた金属薄板から構成されていても同様である。また、図3に示すガス検知体ホルダにおいても、ガス検知体103は、UVカットフィルムが貼り付けられたカバーケース301に覆われているので、例えば太陽光の紫外線のガス検知体103への到達が、抑制されている。
【0078】
なお、上述では、ガス検知体103として、アゾ染料よりなる検知剤を担持したろ紙から構成したものを示したが、これに限るものではない。例えば、多孔質ガラス片に検知剤を担持させたものを用いるようにしてもよい。また、オゾンと反応して変色する他の染料よりなる検知剤を担持させるようにしてもよい。また、二酸化窒素と反応(ジアゾカップリング反応)して発色する検知剤を担持させるようにしてもよい。また、ガス検知体103とともに、カラーチャート106を備えるようにしたが、これに限るものではなく、使用方法などが記載された文字表示シートなどを同時に備えるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態におけるガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図(a)及び上面図(b)である。
【図3】本発明の実施の形態における他のガス検知体ホルダの構成例を示す斜視図である。
【図4】シート状ガスセンサ401の構成を示す平面図である。
【図5】従来の耐UV型のガス検知体バッチ501の構成例を示す構成図である。
【図6】垂直平板に沿う自然対流境界層の形成を説明するための説明図である。
【図7】垂直平板の自然対流及び局所熱伝達係数を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0080】
101…検知素子シート、102…台紙、103…ガス検知体、104…箱型カバー、105…空気の対流、106…カラーチャート、112…窄孔部、113…金属薄板、141…平面覆い部、142…側面覆い部、143…上面覆い部、144,145…接着部、146…下側開口部、147…上部開口部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主に太陽光の照射下の屋外環境にて使用され、検知対象の気体との反応により変色する検知剤が担持されたガス検知体を収容するガス検知体ホルダであって、
紫外線を遮断して可視光を透過する材料より構成されて前記ガス検知体を収容する断面矩形の管路と、
この管路の一方の開口部の領域に設けられた暗い色とされた着色部と
を少なくとも備えることを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項2】
請求項1記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記着色部は、黒い色とされていることを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項3】
請求項1記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記着色部は、前記開口部の領域に貼り付けられて着色された金属薄板であることを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項4】
請求項3記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記金属薄板は、四三酸化鉄の被膜が形成された鉄鋼材から構成されたものであることを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記管路は、
前記ガス検知体が貼り付けられた台紙と、
前記ガス検知体を覆うように前記台紙に固定された箱型のカバーと、
前記箱型のカバーの他方の開口部の一部を覆うように設けられた覆い部と
から構成され、
前記着色部は、前記箱型のカバーの一方の開口部の領域の前記台紙に形成されている
ことを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記ガス検知体が貼り付けられた検知素子シートを収容し、前記ガス検知体が貼り付けられた領域に前記ガス検知体を露出させるホルダ開口部を備えたホルダ部を備え、
前記管路は、前記ホルダ開口部を覆うように設けられて断面が矩形とされたカバー管路から構成され、
このカバー管路は、
一方の開口部から続いて同一の幅とされた導入部と、
この導入部から続いて徐々に管の幅が細くなる傾斜導入部と、
この導入部から続く絞り部と、
この絞り部から続いて徐々に間の幅が広くなる傾斜排気部と、
この傾斜排気部から続いて前記導入部と同一の幅とされた排気部と
から構成され、
前記導入部の表面に前記着色部が形成されている
ことを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記管路の対向する2つの内側側面に各々設けられた案内溝を備え、
前記案内溝に前記ガス検知体が貼り付けられた検知素子シートを係合させることで前記ガス検知体が収容され、
前記着色部は、一方の開口の側の前記管路の周部に形成されている
ことを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項1】
主に太陽光の照射下の屋外環境にて使用され、検知対象の気体との反応により変色する検知剤が担持されたガス検知体を収容するガス検知体ホルダであって、
紫外線を遮断して可視光を透過する材料より構成されて前記ガス検知体を収容する断面矩形の管路と、
この管路の一方の開口部の領域に設けられた暗い色とされた着色部と
を少なくとも備えることを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項2】
請求項1記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記着色部は、黒い色とされていることを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項3】
請求項1記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記着色部は、前記開口部の領域に貼り付けられて着色された金属薄板であることを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項4】
請求項3記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記金属薄板は、四三酸化鉄の被膜が形成された鉄鋼材から構成されたものであることを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記管路は、
前記ガス検知体が貼り付けられた台紙と、
前記ガス検知体を覆うように前記台紙に固定された箱型のカバーと、
前記箱型のカバーの他方の開口部の一部を覆うように設けられた覆い部と
から構成され、
前記着色部は、前記箱型のカバーの一方の開口部の領域の前記台紙に形成されている
ことを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記ガス検知体が貼り付けられた検知素子シートを収容し、前記ガス検知体が貼り付けられた領域に前記ガス検知体を露出させるホルダ開口部を備えたホルダ部を備え、
前記管路は、前記ホルダ開口部を覆うように設けられて断面が矩形とされたカバー管路から構成され、
このカバー管路は、
一方の開口部から続いて同一の幅とされた導入部と、
この導入部から続いて徐々に管の幅が細くなる傾斜導入部と、
この導入部から続く絞り部と、
この絞り部から続いて徐々に間の幅が広くなる傾斜排気部と、
この傾斜排気部から続いて前記導入部と同一の幅とされた排気部と
から構成され、
前記導入部の表面に前記着色部が形成されている
ことを特徴とするガス検知体ホルダ。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のガス検知体ホルダにおいて、
前記管路の対向する2つの内側側面に各々設けられた案内溝を備え、
前記案内溝に前記ガス検知体が貼り付けられた検知素子シートを係合させることで前記ガス検知体が収容され、
前記着色部は、一方の開口の側の前記管路の周部に形成されている
ことを特徴とするガス検知体ホルダ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2008−32605(P2008−32605A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−207798(P2006−207798)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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