説明

ガス混合物の分離方法

【課題】少なくとも3つの吸着剤容器(C1、C2、C3)を使用した吸着サイクルによって、ガス混合物を分離する方法を提供すること。
【解決手段】その吸着サイクルでは、1つの吸着剤容器から吸着製品を回収するスイープ段階が吸着剤容器のうちの別のもののそれと重なり合い、及び/又は、供給物洗浄段階における1つの吸着剤容器からの流出物が空気スイープ段階にある別の吸着剤容器に送られる。また、製品オゾン濃度が10mg/lの範囲内に維持されるPSAオゾン分離サイクルも提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
オゾンは、化学薬品生産、消毒、飲用水処理、空気浄化、布帛及び木材パルプの漂白、廃水処理、及び食品加工において使用される酸素の反応性三原子同素体である。これらの用途に使用されるオゾンのほとんどは、空気又は高純度酸素を供給ガスとして使用するコロナ放電システムによって製造される。オゾンはまた、紫外線の作用によって又は低温プラズマ発生器によって空気又は酸素から製造されることもある。
【0002】
オゾンの大抵の大規模工業用途において、オゾン発生器供給ガスとしては高純度酸素が使用される。商業的なコロナ放電発生器での酸素からオゾンへの転化率は、典型的には4〜13%であり、そして特定の用途では、結果として得られた酸素・オゾン混合物は、更なる処理を施さずに下流側の使用者に製品として直接提供される。未反応酸素のコストは、オゾンシステム運転コストの主要な部分を占めるので、多くの状況では、オゾン発生器への再循環のために、酸素・オゾン混合物から酸素を回収することが望ましい。これは、例えば圧力スイング吸着(PSA)によって行われる。この圧力スイング吸着では、オゾン発生器の出口流からオゾンを選択的に吸着し、そして回収されたオゾンの減少した酸素をオゾン発生器へ再循環させる。吸着されたオゾンは、スイープガス、例えば空気又は窒素、によって脱着され、そしてオゾンとスイープガスとの混合物が下流側の使用者に製品として提供される。
【0003】
オゾン・酸素PSAシステムはしばしば、酸素からオゾンを選択的に吸着するためにゼオライト吸着剤を使用する。ゼオライト吸着剤は、オゾンの分解を促進することがあり、そしてこのオゾン分解度は、オゾンのコストに不都合な影響を及ぼし、またオゾン消費プロセスの運転コストを高くするおそれがあることが知られている。オゾン分解度は、米国特許第5810910号明細書に記載されているように、予め吸着された成分、例えば水、二酸化炭素、アルゴン、又は六フッ化硫黄など、を含有するゼオライトを使用することにより、低減することができる。オゾンとは非反応性であるこれらの成分は、オゾン吸着の前に吸着剤に吸着される。
【0004】
PSAシステムに用いられる現行の吸着サイクル、例えば米国特許第6030598号明細書に開示された吸着サイクルなどの1つの問題点は、製品ガス流中のオゾンの濃度に大きい変動があることであり、そしてこれは、製品ガス流を利用して定常状態で運転するプロセスの能力を損なうおそれがある。従って、製品ガス流中のオゾン濃度をより変動のないものにする、改善された吸着サイクルが必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5810910号明細書
【特許文献2】米国特許第6030598号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、製品ガス流中のオゾン濃度をより変動のないものにする、改善された吸着サイクルが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの態様において、本発明は、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物を分離する方法であって、それぞれの吸着剤容器が反応物ガスに対するよりも製品ガスに対して大きな吸着親和性を有する吸着剤を含んでいる、少なくとも3つの吸着剤容器の各容器で、下記の工程、すなわち、(i)第1ガスラインを介して吸着剤容器にガス混合物を供給し、そして吸着剤容器を出たガスを、第1ガスラインと流体連通する回収ラインに送る工程、及び(ii)吸着剤容器を通してスイープガスを供給し、そして吸着剤容器を出た、スイープガスと製品ガスとを含むガスを、製品ガスラインに送る工程、を繰り返し実施することを含むサイクルを実施することを含み、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つの容器で実施する工程(ii)が、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つで実施する工程(ii)と重なり合う、ガス混合物の分離方法を含む。
【0008】
別の態様において、本発明は、少なくとも3つの吸着塔を含むシステムを使用して、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物から製品ガスを製造する方法であって、それぞれの吸着剤容器が製品ガスに対するよりも反応物ガスに対して大きな吸着親和性を有する吸着剤を含んでいる、少なくとも3つの吸着剤容器の各容器で、下記の工程、すなわち、(i)第1ガスラインを介して吸着剤容器にガス混合物を供給し、そして吸着剤容器を出たガスを、第1ガスラインと流体連通する回収ラインに送る工程、(ii)吸着剤容器を通してスイープガスを供給し、そして吸着剤容器を出た、スイープガスと製品ガスとを含むガスを、製品ガスラインに送る工程、及び(iii)吸着剤容器を通して供給ガス混合物を供給し、そして吸着剤容器を出たガスを、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(ii)を実施している別の1つの容器へ送る工程、を繰り返し実施することを含むサイクルを実施することを含む、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物から製品ガスを製造する方法を含む。
【0009】
更に別の態様において、本発明は、(a)圧力スイング吸着サイクルであって、当該サイクルの間にオゾンを少なくとも1つの吸着剤容器のそれぞれにおいて吸着し、次いで少なくとも1つの吸着剤容器のそれぞれから脱着し、そしてパージガスによって製品ガスラインへ送る圧力スイング吸着サイクルを実施すること、及び(b)工程(a)間、製品ガスライン内のオゾン濃度を10mg/lの範囲内に維持すること、を含む方法を含む。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の1つの実施形態のプロセスフロー図である。
【図2】図1に示したPSAオゾンシステムのためのシステムサイクルを示す図表である。
【図3】従来技術の吸着サイクルを用いて実施された試験のデータを示すグラフである。
【図4】本発明の吸着サイクルを用いて実施された試験のデータを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、サイクル全体を通して製品ガス流中のオゾン濃度の変動を低減するように構成された、改善PSAサイクルを含む。この改善PSAサイクルはまた、平均オゾン濃度がより高いオゾン製品流を提供する。
【0012】
ここでは特に断りのない限り、明細書、図面、及び特許請求の範囲において特定された全ての百分率は、体積を基準としたものと理解されるべきである。
【0013】
ここでは、方法の工程を特定するために、文字を使用する(例えば、(a)、(b)、(c)、(i)及び(ii))。これらの文字は、方法の工程を参照するのを助けるために使用されるものであり、順序が具体的に記載されているのでない限り、工程を実施する順序を示そうとするものではない。
【0014】
1つの態様において、本発明は、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物を分離する方法であって、それぞれの吸着剤容器が反応物ガスに対するよりも製品ガスに対して大きな吸着親和性を有する吸着剤を含んでいる、少なくとも3つの吸着剤容器のそれぞれにおいて、下記の工程、すなわち、
(i)第1ガスラインを介して吸着剤容器にガス混合物を供給し、吸着剤容器を出たガスを第1ガスラインと流体連通する回収ラインに送る工程、及び
(ii)吸着剤容器を通してスイープガスを供給し、そして吸着剤容器を出た、スイープガスと製品ガスとを含むガスを、製品ガスラインに送る工程、
を繰り返し実施することを含むサイクルを実施することを含み、
少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つにおいて実施する工程(ii)が、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つにおいて実施する工程(ii)と重なり合う、ガス混合物の分離方法を提供する。
【0015】
スイープガスは、露点が−57℃以下の周囲空気からなることができる。
【0016】
好ましくは、工程(ii)を実施する吸着剤容器を出た全てのガスを、前記重なり合いの間は、製品ガスラインに導く。
【0017】
工程(i)は通常、前記重なり合いの実施中に、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つの容器で実施される。
【0018】
サイクルは更に、(iii)供給ガス混合物を吸着剤容器を通して供給し、そして吸着剤容器を出たガスを、回収ライン以外の送給箇所に、好ましくは少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(ii)を実施している別の1つに、送ることを含むことができる。
【0019】
サイクルはまた、(iv)吸着剤容器を通してパージガスを供給し、そして吸着剤容器を出たガスを回収ラインに送ることを更に含むこともできる。好ましくは、パージガスは、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(ii)を実施している1つの容器を出たガスの一部からなる。
【0020】
通常、工程(i)〜(iv)は、少なくとも3つの吸着剤容器のうちのそれぞれにおいて、工程(i)、(iv)、(ii)、次いで(iii)、の順序で実施される。
【0021】
工程(iv)は、通常、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つにおいて、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つが工程(iii)を実施している間に、実施される。少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つでの工程(iv)の開始の部分及び終りの部分は、通常、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つでの工程(iii)の開始部分及び終りの部分と同時に行われる。
【0022】
好ましくは、工程(ii)は、工程(i)、及び存在するならば、工程(iii)及び(iv)のそれぞれの時間よりも長い時間にわたって行われ、特に、サイクルの他の工程のそれぞれの少なくとも2倍の長さにわたって行われる。
【0023】
本発明は、特に、ガス混合物が製品ガスとしてオゾンを、及び/又は反応物ガスとして酸素を含む方法に適用されるが、それだけにとどまるものではない。通常、ガス混合物は、酸素含有供給ガス混合物又はそれに由来するオゾン含有ガス混合物からオゾンを発生させるオゾン発生器の流出物である。この場合、回収ライン(28)は好ましくは、ガスをオゾン発生器に再循環させる。
【0024】
別の態様において、本発明は、少なくとも3つの吸着塔を含むシステムを使用して、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物から製品ガスを製造する方法であって、それぞれの吸着剤容器が反応物ガスに対するよりも製品ガスに対して大きな吸着親和性を有する吸着剤を含んでいる、少なくとも3つの吸着剤容器のそれぞれで、下記の工程、すなわち、
(i)第1ガスラインを介して吸着剤容器にガス混合物を供給し、吸着剤容器を出たガスを第1ガスラインと流体連通する回収ラインに送る工程、
(ii)吸着剤容器を通してスイープガスを供給し、そして吸着剤容器を出た、スイープガスと製品ガスとを含むガスを、製品ガスラインに送る工程、及び
(iii)吸着剤容器を通して供給ガス混合物を供給し、そして吸着剤容器を出たガスを、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(b)(ii)を実施している別の1つに送る工程、
を繰り返し実施することを含むサイクルを実施することを含む、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物から製品ガスを製造する方法を提供する。
【0025】
更なる態様において、本発明は、
(a)オゾンを少なくとも1つの吸着剤容器のそれぞれで吸着し、次いで少なくとも1つの吸着剤容器のそれぞれから脱着し、そしてスイープガスによって製品ガスラインへ送給する圧力スイング吸着サイクルを実施すること、及び
(b)工程(a)の間、製品ガスライン内のオゾン濃度を10mg/l以下の範囲内、好ましくは5mg/lの範囲内に維持すること、
を含む方法を提供する。
【0026】
第1の態様の実施形態及び好ましいものの全ては、第2及び第3の態様に等しく当てはまる。
【0027】
本発明の態様及び実施形態は以下のものを含む。
【0028】
1.次の(a)〜(c)を含む方法。
(a)製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物を、第1ガスラインを介して提供すること。
(b)それぞれの吸着剤容器が反応物ガスに対するよりも製品ガスに対して大きな吸着親和性を有する吸着剤を含んでいる、少なくとも3つの吸着剤容器のそれぞれで、下記の工程、すなわち、
(i)吸着剤容器にガス混合物を供給し、そして吸着剤容器を出たガスを、第1ガスラインと流体連通する回収ラインに送る工程、及び
(ii)吸着剤容器を通して第1パージガスを供給し、そして吸着剤容器を出た、第1パージガスと製品ガスとを含むガスを、製品ガスラインに送る工程、
を繰り返し実施することを含むサイクルを実施すること。
(c)少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つにおいて実施する工程(b)(ii)を、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つにおいて実施する工程(b)(ii)と重ね合わせること。
【0029】
2.工程(b)が更に、工程(c)の実施中に、工程(b)(ii)を実施している吸着剤容器を出た全てのガスを製品ガスラインに導くことを含む、上記1に記載の方法。
【0030】
3.工程(b)が更に、工程(c)の実施中に、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つで工程(b)(i)を実施することを含む、上記2に記載の方法。
【0031】
4.工程(b)が更に、
(iii)吸着剤容器を通して供給ガス混合物を供給し、そして吸着剤容器を出たガスを回収ライン以外の送給箇所に送ること、
を含む、上記1に記載の方法。
【0032】
5.工程(b)が更に、
(iii)吸着剤容器を通して供給ガス混合物を供給し、そして吸着剤容器を出たガスを少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(b)(ii)を実施している別の1つに送ること、
を含む、上記1に記載の方法。
【0033】
6.工程(b)が更に、
(iv)吸着剤容器を通して第2パージガスを供給し、そして吸着剤容器を出たガスを回収ラインに送ること、
を含む、上記4に記載の方法。
【0034】
7.工程(b)が更に、
(iv)吸着剤容器を通して第2パージガスを供給し、そして吸着剤容器を出たガスを回収ラインに送り、第2パージガスは、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(b)(ii)を実施している1つを出たガスの一部からなるものである、上記4に記載の方法。
【0035】
8.工程(b)が更に、少なくとも3つの吸着剤容器のそれぞれにおいて工程(b)(i)〜(b)(iv)を、工程(b)(i)、(b)(iv)、(b)(ii)、次いで(b)(iii)の順序でもって実施することを含む、上記6に記載の方法。
【0036】
9.工程(b)が更に、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つで工程(b)(iv)を実施することを含み、その間に少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つが工程(b)(iii)を実施することを含む、上記1に記載の方法。
【0037】
10.工程(b)が更に、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つで、少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つにおける工程(b)(iii)の開始部分及び終りの部分と同時に、工程(b)(iv)を開始及び終了させることを含む、上記9に記載の方法。
【0038】
11.工程(b)が更に、工程(b)(i)、(b)(iii)、及び(b)(iv)のそれぞれのよりも長い時間にわたって工程(b)(ii)を実施することを含む、上記1に記載の方法。
【0039】
12.工程(a)が、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物を第1ガスラインを介して供給することを含み、該製品ガスはオゾンである、上記1に記載の方法。
【0040】
13.工程(a)が、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物を第1ガスラインを介して供給することを含み、該反応物ガスは酸素である、上記1に記載の方法。
【0041】
14.工程(b)(ii)が、吸着剤容器を通して第1パージガスを供給し、そして吸着剤容器を出たガスを製品ガスラインに送ることを含み、該第1パージガスは露点が−57℃以下の周囲空気からなるものである、上記1に記載の方法。
【0042】
15.少なくとも3つの吸着塔を含むシステムを使用して製品ガスを製造する方法であって、
(a)製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物を、第1ガスラインを介して供給すること、及び
(b)それぞれの吸着剤容器が反応物ガスに対するよりも製品ガスに対して大きな吸着親和性を有する吸着剤を含んでいる、少なくとも3つの吸着剤容器のそれぞれで、下記の工程、すなわち、
(i)吸着剤容器にガス混合物を供給し、吸着剤容器を出たガスを、第1ガスラインと流体連通する回収ラインに送る工程、
(ii)吸着剤容器を通して第1パージガスを供給し、そして吸着剤容器を出た、第1パージガスと製品ガスとを含むガスを、製品ガスラインに送る工程、及び
(iii)吸着剤容器を通して供給ガス混合物を供給し、そして吸着剤容器を出たガスを少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(b)(ii)を実施している別の1つに送る工程、
を繰り返し実施することを含むサイクルを実施すること、
を含む製品ガスの製造方法。
【0043】
16.工程(b)が更に、
(iv)吸着剤容器を通して第2パージガスを供給し、そして吸着剤容器を出たガスを回収ラインに送ること、
を含む、上記15に記載の方法。
【0044】
17.工程(b)が更に、少なくとも3つの吸着剤容器のそれぞれで工程(b)(i)〜(b)(iv)を、工程(b)(i)、(b)(iv)、(b)(ii)、次いで(b)(iii)の順序で実施することを含む、上記16に記載の方法。
【0045】
18.次の(a)及び(b)を含む方法。
(a)オゾンを少なくとも1つの吸着剤容器のそれぞれにおいて吸着し、次いで少なくとも1つの吸着剤容器のそれぞれから脱着し、そしてパージガスによって製品ガスラインへ送給する圧力スイング吸着サイクルを実施すること。
(b)工程(a)の間、製品ガスライン内のオゾン濃度を10mg/lの範囲内に維持すること。
【0046】
19.工程(b)が、製品ガスライン内のオゾン濃度を工程(a)の間5mg/lの範囲内に維持することを含む、上記18に記載の方法。
【0047】
図1を参照すると、PSAオゾンシステム10が示されている。このシステム10は、オゾンを発生させるオゾン発生サブシステム11と、吸着サブシステム13とを含む。吸着サブシステム13は、オゾン発生プロセスの流出物からオゾンを分離し、そのオゾンを一時的に貯え、次いで工業プロセスで使用するために製品ガスライン22を介してオゾンを移送する。
【0048】
オゾン発生サブシステム11は、供給ガスライン24を介して供給ガス混合物をオゾン発生器12に導入することにより、オゾンを発生させる。この実施形態の場合、オゾン発生器12は、誘電放電(低温プラズマ)オゾン発生器である。供給ガスライン24の供給ガス混合物は好ましくは、本質的に酸素からなる。供給ガスライン24は、酸素供給源14に接続されており、酸素供給源14は、空気分離から得られた、少なくとも90%の酸素、より好ましくは少なくとも99%の酸素を含むガスを提供する。供給ガス混合物はまた、再循環ライン29から再循環されたガスを含む。好ましくは、供給ガス混合物では少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の酸素濃度が維持される。再循環ガスの典型的な組成については、本明細書中で一層詳しく説明する。ライン26を流れる、オゾン発生器12からの発生器流出物は、本質的に酸素とオゾンからなる。典型的な誘電放電オゾン発生器は、供給ガス中の酸素の約4〜13%をオゾンに変える。
【0049】
この実施形態では、酸素は液化ガスタンクを介して供給される。あるいは、信頼性の高い酸素供給源を提供する任意の適切な手段を使用することもできる。酸素供給源は周囲空気よりも好ましい。なぜならば、周囲空気は酸素含有割合がより低く、かなりの量の窒素を含有しているからである。所望の供給ガス混合物組成を得るために、任意の好適な手段、例えば制御器及び調節可能な弁(図示せず)を使用して、酸素供給源14及び回収ライン28からの流れを制御することができる。
【0050】
本明細書においてより詳細に説明するように、回収ライン28は、酸素の回収を可能にするために、ひいてはオゾン発生プロセスを維持するのに必要となる補給酸素量を低減するために設けられている。回収ライン28は好ましくは圧縮機20を含み、この圧縮機は、システム10全体にわたる圧力降下を補償し、そして再循環ライン29の、ひいては供給ガスライン24の、所望の圧力を維持する。
【0051】
この実施形態では、供給ガス混合物は好ましくは、それがオゾン発生器12に入るとき(すなわち供給ガスライン24において)、10%以下の窒素を含有している。窒素レベルを監視するために、回収ライン28は好ましくは、窒素センサ34を含む。回収ライン28はまた任意選択的に、弁38を有するガス抜きライン36を含んでいる。この弁は、回収ライン28の窒素濃度が好ましいレベルを超えたならば回収ライン28からガス抜きするために使用することができる。本明細書中でより詳細に説明するように、PSAサイクルはまた、回収ライン28に導入される窒素量を低減するのに適応している。
【0052】
この実施形態では、吸着サブシステム13は、3つの吸着剤容器C1〜C3を含んでおり、これらの容器のそれぞれが同様の吸着床を収容している。吸着剤は、酸素又は窒素に対するよりもオゾンに対して大きな吸着親和性を有している。ゼオライト吸着剤が一般に使用される。この実施形態におけるゼオライト吸着剤は、好ましくは、菱沸石、エリオナイト、モルデナイト、オフレタイト、ZSM−5、HZSM−5、ZSM−11、ZSM−12、L−ゼオライト、フェリエライト、ベータゼオライト、Y型ゼオライト、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0053】
スイープガスの供給源18が設けられている。本明細書中でより詳細に説明するように、スイープガスは、吸着剤容器C1〜C3からオゾンを脱着して、それを最終的に使用する工業プロセスにオゾンを移送するために使用される。スイープガスは好ましくは周囲空気であり、そしてそれは圧縮し、−70°F(−57℃)以下の露点まで、より好ましくは−100°F(−73℃)以下の露点まで、乾燥されている。複数の弁V50〜V64とガスラインが設けられており、これらは、吸着剤容器C1〜C3のそれぞれを通るガスの流量を制御し、そして吸着剤容器C1〜C3のそれぞれからの流出物を本明細書に記載されたプロセス工程のそれぞれにおいて望まれるとおりに導くために使用される。
【0054】
以下の段落では、各吸着剤容器C1〜C3のPSAサイクルの4つの好ましい段階を順番に説明する。システム10の運転中、各容器C1〜C3は好ましくは、これらの段階を順番に、連続的に繰り返す。簡潔にするために、各段階について、対応する弁V50〜V51及びV59〜V60を使用して吸着剤容器C1に関連して説明する。言うまでもなく、それぞれの段階は、吸着剤容器C2、C3でも、それぞれの吸着剤容器について対応する弁を使用して、同じように実施される。例えば、オゾン供給段階が吸着剤容器C1で行われているときには、弁V50及びV59が開いている。オゾン供給段階が吸着剤容器C2で行われているときには、弁V53及びV61が開いている。これも言うまでもなく、下記の説明では、吸着剤容器における特定の段階の実施中に開いている弁について具体的に言及する。その吸着剤容器と関連する全ての他の弁は、説明している段階の実施中には閉じられていると想定することができる。弁の開閉は、任意の適合する手段、例えば制御器(図示せず)によって行うことができる。
【0055】
〔オゾンの供給〕
オゾン供給段階の目的は、ライン26の発生器流出物が吸着剤容器に流入するのを可能にし、そしてオゾンを吸着するのを可能にすることである。オゾン供給段階は、弁V50を開くことにより吸着剤容器C1で実施される。この弁は、ライン26の発生器流出物(本質的に酸素とオゾンからなる)が吸着剤容器C1に流入するのを可能にする。発生器流出物が吸着剤容器C1を通って流れると、オゾンが吸着剤に吸着される。弁V59を開き、そして吸着剤容器C1からの流出物が回収ライン28に流入するのを可能にすることによって、発生器流出物の非吸着成分(この実施形態では主に酸素)が好ましく回収される。
【0056】
〔製品の洗浄〕
製品洗浄段階の目的は、オゾン供給段階に続き、その吸着剤容器で空気スイープ段階が行われる前に、吸着剤容器内に残っている酸素を再利用することである。これは、パージガスを吸着剤容器を通して供給する一方、吸着剤容器からの流出物を回収ライン28に導くことにより行われる。この実施形態では、製品洗浄段階は、空気スイープ段階にある別の吸着剤容器(この事例では、吸着剤容器C3)からの流出物のうちの一部をパージガスとして使用することにより、吸着剤容器C1で実施される。吸着剤容器C3での空気スイープ段階の実施中、弁V64及びV57は開いている。吸着剤容器C1で製品洗浄段階を開始するために、弁V51及びV59が開かれる。
【0057】
好ましくは、製品洗浄段階は、パージガスからの窒素が吸着剤容器C1の上部を「破過」し始めるまで実施され、そして相当量の窒素が回収ライン28に入る直前(窒素センサ34によって検出される)に停止されるべきである。この段階の実施中に回収ライン28に入るのを許される窒素のレベルは、この段階の長さを適切に調節することにより、又は吸着剤容器C1に入るパージガスの流量を適切に制御することにより、又は吸着剤容器C1を出て回収ライン28に入るガスを適切に制御することにより、制御することができる。あるいは、スイープガス18を、この段階におけるパージガスとして使用してもよい(弁及び配管は示さず)。
【0058】
〔空気スイープ〕
空気スイープ段階の目的は、オゾン供給段階の実施中に吸着されたオゾンを脱着し、そしてオゾン富化製品ガスを製品ガスライン22に移送することである。製品ガスライン22は、オゾンが最終的に使用される工業プロセスへ製品ガスを移送する。吸着剤容器C1では、空気スイープ段階は、弁V60及びV51を開き、スイープガスが吸着剤容器C1を流れ製品ガスライン22を通って流出するようにすることによって行われる。この実施形態では、各吸着剤容器C1〜C3での空気スイープ段階の長さは、所望のPSAサイクル全体の長さが得られるように選択される。これについては下記でより詳しく検討する。
【0059】
〔供給物の洗浄〕
供給物洗浄段階の目的は、スイープガス(かなりの量の窒素を含有する)がオゾン供給段階の実施中に回収ライン28へ抜き出されることがないように、空気スイープ段階後に吸着剤容器からスイープガスを除去することである。この実施形態では、弁V50を開き、酸素が供給ガスライン26を介して吸着剤容器C1に流入するのを可能にすることにより、酸素洗浄段階を吸着剤容器C1で行う。吸着剤容器C1からの流出物(流出ガス)は好ましくは、空気スイープ段階にある別の吸着剤容器に送られる。この実施形態では、吸着剤容器C1からの流出物は、弁V60を開くことにより吸着剤容器C3(空気スイープ段階にある)に送られる。
【0060】
好ましくは、供給物洗浄段階は、窒素が吸着剤容器C1からほぼ完全に除去されるまで続ける。供給物洗浄段階が短すぎると、その後でオゾン供給段階が開始されて流出物の流れが回収ライン28に切り換えられたときに、回収ライン28の窒素センサ34によって望ましくないほど高い濃度の窒素が検出されることになる。流出物が回収ライン28に導かれる前に吸着剤容器C1に残された残留窒素に起因して回収ライン28に入るのを許される窒素のレベルは、この段階の長さを適切に調節することにより制御することができる。
【0061】
任意選択的に、供給物洗浄段階を実施している吸着剤容器からの流出物の全て又は一部を、空気スイープ段階にある塔内でのオゾン回収を助けるために、スイープガスと組み合わせてもよい。あるいは、それほど好ましくはないが、流出物をガス抜き口に導く(弁と配管は示していない)か、又は製品ガスライン22に導く(弁と配管の構成は示していない)こともできる。
【0062】
図2を参照すると、3つの吸着剤容器C1〜C3の吸着サイクルは、オゾン発生器12の比較的定常状態の運転を可能にし製品ガス中のオゾン濃度の変動を低減するように、互いにずらされている。PSAサイクルは、図2に示されている6つの工程からなる。それぞれの逐次的な工程の実施中に、吸着剤容器C1〜C3のうちの少なくとも1つは、PSAサイクルのうちのその部分における次に続く段階に切り換わる。製品ガス中のオゾン濃度を安定化するために、PSAサイクルの各工程中において吸着剤容器C1〜C3のうちの少なくとも1つが空気スイープ段階にあることが望ましい。
【0063】
吸着剤容器C1〜C3のそれぞれのための全PSAサイクル時間は、好ましくは、製造ガスライン22のオゾン濃度と、製造ガスライン22のオゾン濃度の一貫性と、酸素の節約とのバランスをとるように選択される。相対的な言い方をすれば、吸着サイクル時間が長いと、再循環のための酸素回収率が高くなるが、製品ガスライン22のオゾン濃度が低くなるという犠牲を払うことになる。反対に、吸着サイクル時間が短いと、酸素回収率が低くなるが、製品ガス中のオゾン濃度は高くなる。
【0064】
この実施形態では、各吸着剤容器の空気スイープ段階は、PSAサイクルの3つの工程にまたがる。1つの吸着剤容器に対する空気スイープ段階の最初の工程を実施する間に、別の1つの吸着剤容器は空気スイープ段階の最後の工程を実施しており、残りの吸着剤容器はオゾン供給段階を実施している。例えば、工程3において、吸着剤容器C1は空気スイープ段階の最初の工程を実施しており、吸着剤容器C3はその空気スイープ段階の最後の工程を完了しつつあり、吸着剤容器C2はそのオゾン供給段階を実施している。1つの吸着剤容器に対する空気スイープ段階の第2の工程を実施している間に、空気スイープ段階を完了したばかりの吸着剤容器は供給物洗浄段階を実施し、そしてオゾン供給段階を完了したばかりの吸着剤容器は製品洗浄段階を実施する。例えば、工程4において、吸着剤容器C1は空気スイープ段階の第2工程を実施しており、吸着剤容器C3は供給物洗浄段階を実施しており、吸着剤容器C2は製品洗浄段階を実施している。
【0065】
2つの吸着剤容器の空気スイープ段階が重なっている間(すなわち各空気スイープ段階の第1工程と第3工程を行っている間)は、空気スイープ段階を実施する2つの吸着剤容器を出たガスの全ては、好ましくは製品ガスライン22に導かれる。加えて、スイープガス供給源18からのスイープガスの流量を、製品ガスライン22のオゾン濃度の変動を低減するように調節することが好ましい。
【0066】
上記のように、1つの吸着剤容器の空気スイープ段階が別の吸着剤容器の製品洗浄段階と重なっている間は、空気スイープ段階を実施している吸着剤容器からの流出物を、好ましくは、製品ガスライン22と、製品洗浄段階を実施している吸着剤容器のための供給ガスを提供するのとの間で分割する。好ましくは、システム10は、どれだけの流出ガスが製品ガスライン22に流れるか、そしてどれだけが製品洗浄段階を実施している吸着剤容器に流入するかを制御する手段を含む。この実施形態では、これは、製品洗浄段階を実施している吸着剤容器の圧力を圧縮機20を使用して調節することにより行うことができる。あるいは、比例弁(図示せず)を使用してもよい。
【0067】
空気スイープ段階は好ましくは、各吸着剤容器で、その吸着剤容器における他の段階のいずれかを実施するよりも長い時間にわたって実施される。より好ましくは、空気スイープ段階は他の段階のうちのいずれよりも少なくとも2倍長い。それぞれの段階の長さはまた、好ましくは、吸着剤容器の全てにわたって等しい(例えば、空気スイープ段階は吸着剤容器C1〜C3のそれぞれにおいて同じ時間行われる)。
【0068】
図3は、米国特許第6030589号明細書に開示されたPSAサイクルを用いて行った試験のデータを示し、そして図4は、本発明を用いて実施された試験のデータを示している。両方の試験で、3つの吸着剤容器を使用し、それぞれは直径約5cm、高さ160cmであった。各塔内の吸着剤は、1.5mm直径の押し出し物の形態の2700グラムのシリカ結合HZSM−5からなっていた。吸着は約15℃及び1.1bargで行った。ライン26のオゾン濃度を約72mg/lで維持した。
【0069】
米国特許第6030589号明細書のPSAサイクルを用いて行った試験について、図3を参照すると、吸着剤容器に供給されるガス中のオゾン濃度が線OF1によって示され、製品ガスラインのオゾン濃度が線OP1で示され、回収ラインのオゾン濃度(「破過」)が線OB1で示されている。同様に、本発明のPSAサイクルを用いて行った試験について、図4を参照すると、吸着剤容器に供給されるガス中のオゾン濃度が線OF2で示され、製品ガスラインのオゾン濃度が線OP2によって示され、回収ラインのオゾン濃度(「破過」)が線OB2によって示されている。これらの試験において、本発明のPSAサイクルでは、製品ガス流中のオゾン濃度の変動がはるかに少ないこと(約6mg/lの変動、それに対し米国特許第6030589号明細書のPSAサイクルでは39mg/lの変動)と、製品ガスラインの平均オゾン濃度がより高いこと(約77mg/l、それに対して米国特許第6030589号明細書のPSAサイクルでは約62mg/l)を含めて、著しく改善されたオゾン製品特性がもたらされた。
【0070】
本発明のPSAサイクルは、製品ガスライン22のオゾン濃度をオゾンを最終的に使用するプロセスにとって許容し得る範囲内に維持するように適合させることができる。例えば、一部のプロセスでは、10mg/l以上のオゾン濃度の変動が許容可能であるが、しかし他の用途では、5mg/l、3mg/l、又はそれ未満のオゾン濃度の変動が好ましい。
【0071】
別の実施形態では、オゾン発生サブシステム11は、他のタイプの吸着サブシステム、例えば真空スイング吸着システムなど、とともに使用することができる。更に、吸着サブシステム13は、任意の数の吸着剤容器を含むことができる。
【0072】
更に、供給ガス混合物は、オゾンの発生を増進し及び/又はオゾン発生プロセスの別の部分を改善するために、1種以上の添加物質、例えば窒素、ヘリウム、又は別の希ガスを含むことができる。2009年1月23日出願の米国特許出願第12/358310号明細書に相当する同日付けの同時係属中の欧州特許出願明細書において説明したように、ヘリウムは供給ガス混合物への好ましい添加物質である。と言うのは、ヘリウムには、供給ガス中に窒素が存在するときのコロナ放電オゾン発生器の副生物である二酸化窒素に付随する腐食性の副作用がないからである。ヘリウムの単位原価は比較的高いため、本明細書中に示されたPSAサイクルをヘリウムの損失を減らすよう変更することが好ましい。このようなサイクルの変更、及び供給ガス混合物へのヘリウムの添加に適応するための好ましい付加的構成要素は、同時係属中の上記欧州特許出願明細書に示されている。
【0073】
上記のように、本発明を好ましい実施形態及びそれとは別の実施形態に関して開示してきた。もちろんながら、本発明の範囲を逸脱することなしに、本発明の教示内容からの種々の変更、改変、及び修正が当業者によって考えられよう。本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物を分離する方法であり、それぞれの吸着剤容器が該反応物ガスに対するよりも該製品ガスに対して大きな吸着親和性を有する吸着剤を含んでいる、少なくとも3つの吸着剤容器(C1、C2、C3)のそれぞれにおいて下記の工程、すなわち、
(i)第1ガスライン(26)を介して該吸着剤容器に該ガス混合物を供給し、そして該吸着剤容器を出たガスを、該第1ガスラインと流体連通(29)する回収ライン(28)に送る工程、及び
(ii)該吸着剤容器を通してスイープガス(18)を供給し、そして該スイープガスと該製品ガスとを含む該吸着剤容器を出たガスを製品ガスライン(22)に送る工程、
を繰り返し実施することを含むサイクルを実施することを含む方法であって、
該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つ(C1)で実施する工程(ii)が該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つ(C2)で実施する工程(ii)と重なり合うことを特徴とするガス混合物分離方法。
【請求項2】
該サイクルが更に、該重なり合いの間に、工程(ii)を実施している該吸着剤容器を出た全てのガスを該製品ガスライン(22)に導くことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
該サイクルが更に、該重なり合いの間に、該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つ(C3)で工程(i)を実施することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
該サイクルが更に、工程(ii)の後に、(iii)該吸着剤容器を通して該供給ガス混合物を供給し、そして該吸着剤容器を出たガスを該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(ii)を実施している別の1つに送る工程を含む、請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
該サイクルが更に、工程(i)の後に、(iv)該吸着剤容器を通してパージガスを供給し、そして該吸着剤容器を出たガスを該回収ラインに送ることを含み、該パージガスは該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(ii)を実施している1つを出たガスの一部からなる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
該サイクルは更に、該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つで工程(iv)を実施する間に、該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つが工程(iii)を実施することを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
該サイクルが更に、該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの1つで工程(iv)を開始させるのと終了させるのを、該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの別の1つで工程(iii)を開始させるのと終了させるのと同時にすることを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(ii)の継続時間が該サイクルの他の工程のうちのいずれよりも少なくとも2倍長い、請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
該ガス混合物が製品ガスとしてオゾンを含む、請求項1から8までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
該ガス混合物が反応物ガスとして酸素を含む、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
該ガス混合物がオゾン発生器(12)の流出物であり、該オゾン発生器において酸素含有供給ガス混合物(24)又はそれに由来するオゾン含有ガス混合物からオゾンを発生させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
該回収ライン(28)がガスを該オゾン発生器(12)に再循環させる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該スイープガスが露点−57℃以下の周囲空気からなる、請求項1から12までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも3つの吸着塔を含むシステムを使用して、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物から製品ガスを製造する方法であって、
それぞれの吸着剤容器が該反応物ガスに対するよりも該製品ガスに対して大きな吸着親和性を有する吸着剤を含んでいる、少なくとも3つの吸着剤容器(C1、C2、C3)のそれぞれで、下記の工程、すなわち、
(i)第1ガスラインを介して該吸着剤容器に該ガス混合物を供給し、そして該吸着剤容器を出たガスを該第1ガスラインと流体連通(29)する回収ライン(28)に送る工程、
(ii)該吸着剤容器を通してスイープガス(18)を供給し、そして該スイープガスと該製品ガスとを含む該吸着剤容器を出たガスを製品ガスライン(22)に送る工程、及び
(iii)該吸着剤容器を通して該供給ガス混合物を供給し、そして該吸着剤容器を出たガスを該少なくとも3つの吸着剤容器のうちの工程(ii)を実施している別の1つに送る工程、
を繰り返し実施することを含むサイクルを実施することを含む、製品ガスと反応物ガスとを含むガス混合物から製品ガスを製造する方法。
【請求項15】
(a)オゾンを少なくとも1つの吸着剤容器(C1、C、C3)のそれぞれにおいて吸着し、次いで該少なくとも1つの吸着剤容器のそれぞれから脱着し、そしてスイープガスによって製品ガスライン(22)へ送給する圧力スイング吸着サイクルを実施すること、及び
(b)工程(a)の間、製品ガスラインのオゾン濃度を10mg/lの範囲内に維持すること、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−81466(P2012−81466A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−223177(P2011−223177)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【分割の表示】特願2010−12088(P2010−12088)の分割
【原出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】